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0801391,繊維学会ファイバ12月号/報文-01-西川

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(1)

1.緒 言

日本の繊維産業は,中国等からの安い繊維製品の輸入 増大に伴い厳しい状況下にある.この現状を乗り切るに は,今まで以上に魅力ある衣服作りを目指す必要がある. 魅力ある衣服作りの一つにデザイン力の向上が挙げられ, 布図案作成が重要な要素の一つとなる. 一般的に,図案設計を行う方法としては,ファッショ ン雑誌や海外からの織物サンプル帳の情報を基に図案作 成を行っている.この方法は,流行に即した図案作成が 行えるという利点があるが,場合によっては,雑誌の著 作権により有用な情報を図案作成にいかせないこともあ る.また,織物サンプル帳は高価であり,購入には多額 の経費がかかり,中小企業の多い繊維企業にとっては大 きな支出が伴うという課題が存在する.そこで,本研究 では,パーソナルコンピューターを用いて,ドットを重 ね合わせてから回転することによってできるモアレ縞を 図案への展開を図った.この手法により,様々な幾何学 模様を発生させることができ,図案として利用可能な幾 何学模様が多く存在する.本研究による図案作成手法を 紹介することで,織物設計者が図案開発を実施する際の 有用な情報につながると考えられる.また,この方法は 経済的であることと著作権に規制されないという利点を 有している. モアレ縞とは,日常生活でも良く見られる現象である. 例えば,日よけのすだれが重なると,重なった部分に縞 模様が生じる.このように 2 つ以上の模様が重なる場合 に見られる,本来の模様とは異なった縞模様をモアレ縞 と呼んでいる.すだれに見えるモアレ縞は曲線と曲線の 重なり[1,2]によって発生するものであるが,ドットの重 ね合わせによっても発生する.ドットを用いたモアレ縞 の研究では,林らは[3-5]ドット配置の変化による幾何学 的文様の発現メカニズムについて詳細な解析をおこなっ ている. また,ドットを用いた衣服への展開では,小菅ら[6]は ドットの大きさとドット間の距離を変えた柄の作成を行 い,因子分析法による水玉柄の評価を行っている.ただ し,この研究は規則的に配置した独立した水玉柄の評価 であり,ドットの重なりによって発生する柄についての 検討はなされていない.そこで,我々はドットの重なり *1

Miyagi University of Education, 149, Aramaki-aza-Aoba, Aoba-ku, Sendai-shi, Miyagi 980-0845, Japan

*2

North Eastern Industrial Research Center of Shiga Prefecture, 27-39, Mitsuyamotomati, Nagahama-shi,

Shiga 526-0024, Japan

Abstract : In this study, a pattern making method by dots of monochrome was examined. Moreover, as a result of

conducting factor analysis about the made original patterns, the relation between the design condition and the image of

the design can be clarified and the basic data of the pattern making for the textile designer were able to be obtained. In

the original pattern making, the making method of the basic figure was considered first. Next, the original patterns

became innumerable by changing a rotation angle between the two made basic figures. The arrangement method of dots

used as the basis of making of a basic figure was limited to square arrangement. The dot was divided from the center of

the dot vertically and horizontally. The divided dot was defined as 1/4 dot. When 1/4 dot located in four corners carried

out equal distance movement on a diagonal line toward each center of the square which connected the center of the

adjacent dot, the basic figure for pattern making was obtained. 18 samples were prepared for the image test. The images

of 18 samples were analyzed by the factor analysis. The image factors of these 18 samples are identified by three factors,

i.e., ability, evaluation and clearness. The factor of ability is related strongly to the density, the division pattern, and the

color of dots. The factor of evaluation is related strongly to the rotation angle of dots. The factor of clearness is related

strongly to the division patterns of dots.

(Received 28 January, 2008 ; Accepted 29 July, 2008)

宮城教育大学

西川重和・吉住真理子

滋賀県東北部工業技術センター

三宅 肇

Pattern Making Method and Evaluation by Dots of Monochrome

Shigekazu Nishikawa

*1

, Mariko Yoshizumi

*1

, and Hajime Miyake

*2

一般報文

白黒ドットを用いた図案作成方法と評価について

(2)

によるオリジナル図案作成方法の提案と,作成した図案 の因子分析による解析から,図案作成の設計条件と評価 の関係を明らかにすることを研究目的とした.オリジナ ル図案作成には,最初に正方形に配置したドットを分割, 移動という方法を用いて基本図を作成した.この方法を 用いることで,基本図にあるドットの輪郭が曲線に加え 直線から構成されるのが特徴である.次にこの基本図を 2 枚重ね,基本図の一方を回転することでオリジナル図案 を作成した.

2.図案の作成方法

2.1 装 置

図案作成には Adobe 社の Illustrator CS2 のソフトを使用 した.

2.2 ドットの分割・移動方法

2.2.1 ドットの大きさとドット間の距離

図案作成の基となるドットの配置方法は正方形配置に 限定し,本研究では正方形に配置したドットを変形・回 転することによって発生する模様について調べた. 正方形配置ドットのピッチを L,ドット直径を d とし た.今回 の 図 案 作 成 に は L=2d ,L=3d ,L=4d の 3 種 類の密度を用いた.図 1 に d と L の関係を示す.

2.2.2 ドットの分割と移動方法

ドットの中心から垂直と水平に 4 分割したものを 1/4 ドットと定義し,その隣り合ったドットの中心を結んだ 正方形(正方形格子=図 2 中の黒の点線部分)のそれぞれ の中心に向かって,四隅に位置していた 1/4 ドットを等距 離移動させることでオリジナル図案の基本組織を得た (図 2). ここで l1, l2を図 3 のように定義する.1/4 ドットの移動 には,① l1=0, l2=L,② l1: l2=1 : 2,③ l1: l2=2 : 1,④ l1=L, l2=0 の 4 種類の条件を採用した.なお,これから①∼④ の分割・移動方法をとった基本組織について,それぞれ 分割①,分割②,分割③,分割④と定義する(図 4).した がって今回の図案作成には、ドット間距離を変えた 3 種 類と分割方法 4 種類の違いで,3 × 4=12 種類の基本組織 を使用した.

2.2.3 回転方法

図案作成には,ドットの模様が同一である基本組織図 2 枚をドットがズレることなく最初に重ね合わせ,次に面 の中央で重なったドットを原点とし(図 5 の(a)),パソコ ンで角度 θ だけ回転させてオリジナル図案を得た.回転 には,面の一つを固定し,残りの面を左回りに回転させ た.固定した基本組織図を面 A,回転させる基本組織図 を面 B とし,面の中央にあるドットを原点とし,面 B の 第 4 象限おける正方形格子の任意の交点を,x 軸に関して 線対象となるように面 A の第 1 象限の正方形格子の交点 と重なるように回転した.つまり,a と b を任意の自然 数とした時に,面 B の第 4 象限 m=−a,n=b に対応する 正方形格子の交点を,x 軸に関して線対称となるように面 A の第 1 象限 m=a,n=b に対応する正方形格子の交点 に重なるように回転させる.この方法を採用したのは, 規則的で美しい模様が得られるためである.ただし,実 際の模様では正方形格子は不要であるため,回転後,面 A,B のそれぞれの正方形格子を消去し,ドット(または 1/4 ドット)が重なって出来た模様のみ発現させて図案と した.図 5 に回転前後のドット図案を示す.また,ドッ ト(または 1/4 ドット)が白抜きの場合は,重なっている部 分の線も透けて見える模様とした.

2.2.4 回転角

林らは[3],ドット同士を重ね合わせるための回転角 θ を式(1)で表している.

Fig. 3 Relation of l

1

and l

2

.

Fig. 4 Division patterns.

Fig. 1 Relation of d and L.

Fig. 2 Division and movement method of dots.

(3)

tan (θ / 2) = m/n (1) 筆者らは式(1)を用いて,m と n が自然数の時の回転角 θ をあらかじめ計算から求めた.次に計算した数値をパソ コンのソフト(Illustrator CS2)に入力し,ドットを重ね合 わせるという方法を用いた.回転範囲は作成ソフトの機 能上,m=1∼5 n=1∼12 とした.この範囲内でのそれぞ れの回転角は表 1 の通りである.またm と n の組合せに よっては他の組合せと同じ回転角をとるものもある.図 案作成にはその点にも注意した. 基本組織を回転させたとき発現する模様には発現周期 というものがあり,回転を続けていくと必ずドットが再 びズレなく重なり合う周期がある.基本組織の配列が正 方形なら,90°という発現周期で回転させるとドット同士 は完全に重なる.また,その中でも 0°からスタートする と,発現周期の 1/2 の角度を境に今度はそれまでの模様が 逆の流れで発現し,発現周期に達すると元に戻り,それ が繰り返される.したがって正方形配置ドットの場合,90° の 1/2 の角度である 45°を上限に 0 < θ ≦ 45°の範囲で回 転させれば,発現し得る模様はすべて得られる. 表 1 において,90°を超える回転角度の模様は,θ−90° の変換を行った回転角度と同一の模様を示す(例えば,表 1の 126.87°と 126.87°−90°=36.87°の回転角度では同 じ 模様を示す).さらに,正方形配置の場合は,発現周期の 1/2の角度が対称軸となり,45°の軸を境に同じ模様が出 現す る(例 え ば,表 1 の 53.13°と 45°−8.13°=36.87°の 回 転角度では同じ模様を示す).表 1 の回転角を 0°<θ≦ 45° の範囲に変換したものが表 2 である.そして,同じ回転 角をとるものを考慮して,必要な回転角だけを示したも のが表 2 の網掛けで示した部分である.また,45°でも規 則的な模様が得られるため,イメージテストのサンプル として 45°も加えた.ただし,45°の角度ではドット同士 が完全に重なることはなく,そのためにm と n を決定す ることはできない.今回,図案作成に必要な回転角は 45° を含め 23 種類である.

Table 2 Relation of n and rotation angle (θ, degree) of

B -plane at various m-values (0 < θ≦ 45°).

Fig. 5 Geometrical patterns at rotation.

(a) ; The coordinates when piling up two basic figures are

shown.

(b) ; The pattern when moving the black dot of the 4th

quadrant of B-plane to the point of the 1st quadrant

of A-plane that has line symmetry about the X-axis

by rotation is shown.

Table 1 Relation of n and rotation angle (θ, degree) of

B -plane at various m-values.

(4)

3.作成図案

3.1 図案の比較

本研究では以上のような作成方法に基づき様々な図案 を作成した.その結果,分割方法やドット間距離の変化, 回転角の変化,ドットの大きさの変化,ドット内の白抜 きと黒塗りの変化,ドットの重なり部分の色変化によっ て発現する模様に大きな違いがあることがわかった.以 下に,違いの様子がわかりやすい図案の一例を載せ,模 様の比較を行った.

3.1.1 同一ドットピッチ・同一回転角での分割①∼

④の違い

1/4ドットの配置を変えることによって,ドットピッチ が同じものでも全く違った印象を受ける(図 6).分割①は 曲線のみのドットから構成されるため,ソフトな印象を 与える.分割②は比較的大きな模様が発現するため,上 品でエレガントな感じを受ける.分割③は模様が散らばっ ているが規則的で,繊細な印象である.分割④はほぼ直 線のみできているため,とげとげしい雰囲気を与える.

3.1.2 同一分割配置・同一回転角での L=2d,3d,

4d の違い

ドット間距離を変化させることにより,違った印象の 模様が得られた(図 7).L=2d は,平面内のドット密度が 大きいため,それに伴って柄も密になり重い印象を与え る.L=3d は空間と柄のバランスがよく,模様が一番綺 麗にみえる.L=4d はドットが適当に分散するために軽 やかな印象を与える.

3.1.3 同一分割配置・同一ドットピッチでの回転角

による違い

回転角が正方形配置の発現周期の 1/2 である 45°に近づ くと,モアレ縞のドット(または 1/4 ドット)同士の重なり が多くなるため,小さな模様(小柄)が発現する(図 8).

Fig. 7 Patterns by change of L.

(Division

②, m=1 n=5, θ=22.62°)

Fig. 8 Patterns by change of rotation angle.

(Division

①, L=3d )

Fig. 6 Patterns by change of division method.

(L=3, m=1 n=5, θ=22.62°)

Fig. 9 Patterns by color change of dots.

(Division

④, L=2d , m=2 n=7, θ=31.89°)

(5)

4.作成図案の評価

4.1 サンプルの選定

表3 に今回選定したサンプルの概略を示す.模様が見 やすいようにドット直径は d =3 ㎜で統一し,全部で 18 サンプルを用意した.18 サンプルの選定理由は以下のと おりである. まず,分割①∼④それぞれの印象の違いを調べるため に,条件を〔L=3d ,m=1 n=5,θ=22.62°〕で統一し, 分割方法を①∼④に分けたサンプル8(分割①),サンプル 11(分割④),サンプル 15(分割②),サンプル 17(分割③) を用意した.また全体的な比較として,条件〔L=3d ,m=1 n=3,θ=36.87°〕の分割方法①,③のサンプル 2(分割①), サ ン プ ル9(分割③)と条件〔L=3d ,m=1 n=10,θ= 11.42°〕の分割方法①,③のサンプル 10(分割①),サン プル13(分割③)と条件〔L=3d ,θ=45°〕の分割方法①, ③のサンプル1(分割③),サンプル 16(分割①)も用意し た. 次にドット間距離 L=2d ,L=3d ,L=4d の印象の違 いを調べるために,条件〔分割②,m=1 n=5,θ=22.62°〕 で統一し,ドット間距離 L=2d ,L=3d ,L=4d に分け たサンプル4(L=4d ),サンプル 12(L=2d ),サンプル 15 (L=3d )を用意した.また全体的な比較として条件〔分割 ③,m=2 n=7,θ=43.60°〕のサンプル 6(L=2d )と条件 〔分割④,m=4 n=11,θ=39.97°〕のサンプル 7(L=4d ) も用意した. 次に回転角による印象の違いを調べるために,条件〔分 割①,L=3d 〕で統一し回転角を変えたサンプル 2(θ= 36.87°),サンプル 8(θ=22.62°),サンプル 10(θ=11.42°), サンプル16(θ=45°)を用意した.加えて条件〔分割③, L=3d 〕のサンプル 1(θ=45°),サンプル 9(θ=36.87°), サンプル13(θ=11.42°),サンプル 17(θ=22.62°)も用意 した. 最後に白抜きと黒塗りの印象の違いを調べるために, 条件〔分割④,L=2d ,m=2 n=7,θ=31.89°〕で統一し たサンプル3(白),サンプル 14(黒)を用意した(図 9).ま た全体的な比較として,条件〔分割①,L=3d ,m=2,n=9, θ=25.06°〕の黒塗りのサンプル 5 と,条件〔分割②,L=4d, m=5 n=8,θ=25.99°〕の黒塗りのサンプル 18 も用意し た.

4.2 評価語の選定

本研究では,オリジナル図案についてのイメージテス トを行うときに用いる評価語を選定する予備調査として, 関係雑誌や文献[6-9]から模様を表す用語を選び出し,収 集を行った.そしてその中から重複する用語を外し,1 つ にまとめるという作業を行い,結果的に12 種類の用語を 選択した(表4).

4.3 イメージテスト方法

サンプルは,A4 サイズの用紙に約 16 ㎝ × 17 ㎝の大き さで1 枚に 1 サンプル印刷し,合計 18 サンプルを 1 部と して各被験者の机上に配布した.なお、サンプルの提示 順序はサンプル間相互のイメージの影響をできるだけ排 除するようランダムにした.被験者は宮城教育大学の20 代前後の学生60 名で,机上に置かれたサンプルから鉛直 方向に0.2∼0.4m 離れた上部の位置からサンプルの観察を 行った.サンプル(18 試料)ごとに,12 形容詞対による評 価語(表4 参照)を用いて SD 法による 5 段階評価法でイ メージテストを実施した.

4.4 イメージテストの多変量解析

因子分析法の主因子解法(varimax 回転)によりイメージ 因子の抽出を行った.サンプルごとに全被験者(60 名)の 平均値を求め尺度値とし,これを因子分析のインプット データとした.固有値と因子負荷量(varimax 回転後)をそ

Table 3 Details of samples.

Table 4 Result of factor analysis (varimax rotation).

(6)

れぞれ表4 に示した.因子の抽出基準は固有値 1.0 以上と し,第3 因子までの累積寄与率は 90.14% であった.

5.考 察

5.1 因子の解析

第1 因子は「軽快な−重々しい」,「シンプルな−複雑 な」,「やわらかい−硬い」がプラスの負荷量を示し,「く どい−すっきり」「個性的な−平凡な」がマイナスの負荷 量を示している.これを力量性の因子とした.第2 因子 は「美しい−きたない」,「好きな−嫌いな」,「洗練され た−やぼったい」,「親しみやすい−親しみにくい」,「はっ きりした−ぼやけた」が大きなプラスの負荷量を示した. これを評価の因子とした.第3 因子は「大胆な−繊細な」 が特に大きなプラスの負荷量を示した.これを明瞭性の 因子とした. 図10∼12 は 3 因子における各サンプルの因子得点を求 め平面座標に表したものである. 力量性(因子1)の因子方向のプラス側には,分割①の柄 を用いたサンプル2,8,10,16 が分布している.また, L=4d(ドット間距離が遠い)の柄である比較的軽やかな印 象を受けるサンプル4,7,18 図案が分布し,マイナス側 には L=2d(ドット間距離が近い)の柄であるサンプル 3, 6,12,14 や黒塗りの柄など比較的重い印象を受けるサン プル5,14 の図案が分布している.したがって力量性の 因子は柄の分割方法やドットの密度,ドットの色(白抜き と黒塗り)が関係している. 評価の因子(因子2)方向のプラス側には図案の模様がバ ランスよく発現している柄が分布し,マイナス側には模 様が細かすぎたり逆に大きすぎたりしてとらえどころの ない柄が分布している.模様のバランスには回転角度が 大きく影響し,今回の図案でのバランスの良い回転角度 は,22.62°(サン プ ル4,8,12,15,17),31.89°(サ ン プ ル3,14),36.87°(サンプル2,9)であった.また,とら えどころのない回転角度は,11.42°(サンプル10,13),39.97 (サンプル7),45.00°(サンプル1,16)であった.この結 果から,評価には回転角度が大きく左右し評価の高い回 転角度は,今回用いた回転角度(0∼45°)の中間付近に位 置する角度であった. 明瞭性(因子3)の因子方向のプラス側には分割①のサン プル2,5,8,10,16 や分割④のサンプル 3,7,11,14 や黒塗りの柄であるサンプル5,14 など大胆な柄が分布 し,マイナス側には分割②のサンプル15,18 や分割③の サンプル6,13,17 などの繊細な柄が分布している.

5.2 図案柄の設計条件

因子分析の解析からオリジナル図案を衣服の柄として 展開する場合において,衣服のデザインや使用目的に合 わせるなど,製作者の意図とする図案を作るための設計 指針を得ることができた. 評価の高い図案柄についてほぼ共通していえることは, 模様がバランスよく発現していることである.今回のオ リジナル図案作成に用いた回転角のうちでは,θ=22.62°, 31.89°,36.87°などが,どの分割方法でもバランスのよい 柄が発現した.今回用いた回転角度(0∼45°)の中間付近 に位置する角度であった. 軽快性のある柄を設計するためには,ドットを分割し

Fig. 10 Factor scores (Factor 1−Factor 2).

Fig. 11 Factor scores (Factor 1 − Factor 3).

Fig. 12 Factor scores (Factor 2−Factor 3).

(7)

ないパターンである分割①とドット間のピッチが粗い L=4d を基本組織として選択すると良い. 力強さのある柄の設計にはドット間のピッチが狭い L=2d の基本組織を選び,黒塗りの柄を選択すると良い. はっきりした柄を得るためには,分割①や④の基本組 織を選び,黒塗りの柄を選択すると良い. ぼんやりとした柄を設計するには,分割②や③を選択 すると良い.

6.結 言

本研究ではドットならびにドットを水平と垂直方向に 等分割したもの(1/4 ドット)を用いてオリジナル図案の作 成方法について提案した.作成した図案について,因子 分析法を実施した結果,力量性,評価,明瞭性の 3 因子 で表されることがわかった. 力量性因子は,柄の分割パターンと密度,ドットの色(白 抜きと黒塗り)が大きく関係していることがわかった. 評価因子は,模様がバランスよく発現していることが 必要で,模様のバランスには回転角度が大きく影響(今回 の図案でのバランスの良い回転角度は,22.62°,31.89°, 36.87°)することがわかった. 明瞭性因子には,柄の分割パターンが大きく関係して いることがわかった.

文 献

1. A. Shinohara, Sen’i Gakkaishi, (Sen’I to Kogyo), 3, 568 (1970).

2. M. Takatera, A. Shinohara, Sen’i Kikai Gakkaishi, 47, 231 (1994).

3. S. Hayashi, T. Kurisawa, T. Hirai, M. Murayama, Sen’i Gakkaishi,44, 517 (1988).

4. S. Hayashi, T. Suzuki, T. Hirai, M. Murayama, Sen’i Gakkaishi,45, 74 (1989).

5. S. Hayashi, Sen’i Seihin Shohi Kagaku, 32, 233 (1991). 6. K. Kosuge, S. Kobayashi, Sen’i Seihin Shohi Kagaku, 31,

427 (1990).

7. Y. Kato, F. Sugiyama, Sen’i Seihin Shohi Kagaku, 25, 167 (1984).

8. T. Yoshioka, Sen’i Seihin Shohi Kagaku, 31, 250 (1990). 9. N. Kawai, Y. Kato, F. Sugiyama, Sen’i Seihin Shohi

Kagaku,24, 492 (1983).

Fig. 3 Relation of l 1 and l 2 .
Table 1 Relation of n and rotation angle (θ, degree) of B -plane at various m -values.
Fig. 8 Patterns by change of rotation angle.
Table 4 Result of factor analysis (varimax rotation).
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参照

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