CT を用いた手関節リバース・ダーツスロー・モーションの3 次元動態解析
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(2) 2. 理学療法学 第 47 巻第 1 号. 図 1 3 次元骨モデルのマッチング 3 肢位の画像から得られたそれぞれの 3 次元骨モデルから 1 つの骨(橈骨)のマッチン グと橈骨に対する舟状骨の相対的な運動.. を DTM と橈尺屈方向に動かすときには DTM 方向に回. 168.7 ± 8.8 cm,平均体重 61.1 ± 9.9 kg であり,全例右利. 転運動が生じ,手関節を掌背屈方向に動かすときは掌背. きであった。除外基準は,神経疾患や上肢の骨関節疾患. 屈方向に回転運動が生じる二軸性関節である. 1)2). 。よっ. の既往を有する者とした。本研究は,大阪大学医学部附. て,手根中央関節は DTM 方向に回転運動が生じること. 属病院倫理審査委員会の承認を得て実施した(10189) 。. が多い関節である。また,矢状面からおよそ 30°での. 本研究に際し,事前にすべての対象者には本研究の目的. DTM では橈骨月状骨関節の運動が小さくなり,矢状面. および方法,調査結果の取り扱い等について説明を行い,. からおよそ 45°での DTM では橈骨舟状骨関節の運動が. 参加同意書に署名を得た。同意を得られた者のみデータ. 3). 最小となり,ほとんど手根中央関節の運動のみになる 。. を測定した。. 一方,RDTM は DTM の運動方向に直交しているた め,手根中央関節の運動は小さくなり,橈骨手根関節の 運動が大きくなると考えられている。Moritomo ら. 2). は,. 2.画像撮影 3 次元動態の解析方法は,先行研究を参考にして実施 1)2)12‒14). 。本研究では CT(Canon medical systems. 手関節の掌背屈運動において,運動方向が軽度 DTM 方. した. 向に傾いていたときには舟状骨大・小菱形骨関節の運動. corporation,Aqulion TSX-101A)を用いて,slice thick-. はみられるが,軽度 RDTM 方向に傾いていたときには,. ness を 0.5 mm にして画像撮影を行った. 舟状骨大・小菱形骨関節の運動が減少すると報告してい. 肢位は,前腕回外 45° での手関節最大尺背屈位,中間位,. 8). 13). 。CT の撮影. は,RDTM は橈骨手根関節のみの運. 最大橈掌屈位の 3 肢位とし,各肢位で 1 回ずつ撮影を. 動になると考えられることから,橈骨遠位端骨折後のリ. 行った。得られた画像を DICOM(Digital imaging and. ハビリテーションに導入し,橈骨手根関節の可動域が改. communications in medicine)形式で保存した。. る。また,桂ら. 善したと報告している。よって,RDTM のリハビリテー ションへの応用が期待され,実施されはじめている. 9‒11). 。. 3.3 次元骨モデル作成とモデル同士のマッチング. しかし,手関節を RDTM 方向に動かしたときの 3 次元. 得られた画像を DICOM 形式でワークステーションに. 的な動態解析を実施した報告はなく,橈骨手根関節と手. 転送し,各骨要素の領域を semi-automatic に抽出した。. 根中央関節が実際にどのように動いているのかは不明で. 抽出された領域を Marching cubes 法により手関節のす. ある。. べての 3 次元骨モデルを作成した. したがって本研究の目的は,手関節を RDTM 方向に動. 数を計算するために,3 つの肢位の画像から得られたそ. かしたときの橈骨手根関節と手根中央関節の回転角度と. れぞれの 3 次元骨モデルを surface-based registration. 運動方向を,CT を用いて 3 次元的に解析することとした。. technique にてマッチングさせ. 対象および方法. 14)15). 。運動学的な変. 13)16). ,他の骨の相対的. な運動を解析できるようにした(図 1)。CT 画像から 3 次 元 骨 モ デ ル を 作 成 す る 際 の 誤 差 は 0.46 mm. 17). ,. 1.対象. surface-based registration technique による 3 次元骨モ. 対象は,健常成人 12 名(男性 6 名,女性 6 名)12 手で. デルのマッチングの誤差は 1.67° ,0.19 mm であり. 全例右手を計測した。平均年齢 23.8 ± 5.0 歳,平均身長. 確度は非常に高い。Surface-based registration technique. 16). ,正.
(3) リバース・ダーツスロー・モーションの 3 次元動態解析. 3. によるマッチングと,運動学的な変数の定量的解析は専 用 の ソ フ ト ウ ェ ア( 大 阪 大 学,Orthopedics Viewer) を用いて実施した。 4.運動学的変数の定量的解析 本研究では,手関節を RDTM 方向に動かしたときの 橈骨手根関節と手根中央関節の運動を解析の対象とした。 また,橈骨手根関節と手根中央関節の運動の組み合わせ である手関節全体の運動も解析の対象とした. 1)13)14). 。手. 関節全体の運動は,橈骨に対する第 3 中手骨の運動と定 義した。橈骨手根関節の運動は,橈骨手根関節を構成す る外側列の橈骨舟状骨関節,中央列の橈骨月状骨関節, 内側列の橈骨三角骨関節の運動を解析の対象とした。橈 1) 骨舟状骨関節の運動は,橈骨に対する舟状骨の運動 , 1). 橈骨月状骨関節の運動は,橈骨に対する月状骨の運動 ,. 図 2 回転軸と回転軸周りの回転角度の算出 橈骨に対する舟状骨の運動の回転軸.. 橈骨三角骨関節の運動は,橈骨に対する三角骨の運動と 定義した。手根中央関節の運動は,手根中央関節を構成 する外側列の舟状骨大・小菱形骨関節,中央列の月状骨 有頭骨関節,内側列の三角骨有鈎骨関節の運動を解析の 対象とした。舟状骨大・小菱形骨関節の運動は,舟状骨 に対する小菱形骨の運動. 18). ,月状骨有頭骨関節の運動は,. 月状骨に対する有頭骨の運動. 1)2). ,三角骨有鈎骨関節の. 運動は,三角骨に対する有鈎骨の運動と定義した. 19). 。. 手関節全体の運動と橈骨手根関節,手根中央関節を構 成する関節の運動解析は,手関節が尺背屈位から橈掌屈 位まで運動したときの,それぞれの関節の回転軸周りの 回転角度 ラー角. 1)13)14)18). 2)13)20). と,運動方向を評価するためのオイ. を算出した。一般に,3 次元の剛体の運. 図 3 橈骨を基準とした座標系. 動は,screw axis と呼ばれる特有の軸周りの回転運動と 軸に沿った並進運動で表される。本研究では,screw axis を回転軸と定義し,手関節 RDTM 時のそれぞれの 関節の回転軸を算出した. 14). (図 2)。続いて,それぞれ. の関節の回転軸周りの回転角度を算出した. 1) 13) 14) 18). (図. 2)。また,オイラー角は,3 次元で剛体の姿勢を表すと きに用いられ,剛体に固定された座標系に対して,座標 系のそれぞれの軸まわりの回転角度により剛体の姿勢角 度を表現できる。本研究では,関節を構成する手根骨の 姿勢角度の変化をオイラー角にて算出した. 2)13)20). 。ま. ず,オイラー角を算出するにあたり,橈骨を基準とした 21)22). 。橈骨の長軸を y 軸と定. 座標系を設定した(図 3). 図 4 オイラー角の算出 橈骨の座標系を基準に算出した.. 義し,z 軸は橈骨茎状突起の先端を通り,y 軸と垂直に 交わる軸と定義した. 21)22). 。x 軸は y 軸と z 軸の両方と. 垂直に交わる軸と定義した. 21)22). 。座標軸の原点は,3. つの軸が交わる点とした。よって,y 軸周りの回転は回 12) 13) 20). ,z 軸周り(掌背屈方向),. 内(+)と回外(−)となり,z 軸周りの回転は掌屈(+). 橈骨の座標系を基準に. と背屈(−) ,x 軸周りの回転は尺屈(+)と橈屈(−). x 軸周り(橈尺屈方向) ,y 軸周り(回内外方向)の順. を示す。オイラー角は,手関節が尺背屈位から橈掌屈位. に算出した. へ運動した際のそれぞれの手根骨の姿勢角度の変化を,. 12). (図 4)。.
(4) 4. 理学療法学 第 47 巻第 1 号. 表 1 橈骨手根関節と手根中央関節の可動域. 外側列 中央列 内側列. 橈骨手根関節. 手根中央関節. 橈骨舟状骨関節. 舟状骨大・小菱形骨関節. 67.7 ± 14.1. 30.9 ± 7.8. 橈骨月状骨関節. 月状骨有頭骨関節. 48.8 ± 11.6. 28.3 ± 7.9. 橈骨三角骨関節. 三角骨有鉤骨関節. 51.5 ± 11.3. 24.1 ± 8.7. p値. < 0.001. < 0.001. < 0.001. 平均値±標準偏差 単位:degree. 図 5 RDTM における手関節全体の運動 橈骨を基準としたときの尺骨,手根骨,中手骨の相対的な運動を示す. 基準とした橈骨に対して,第 3 中手骨は橈屈方向と掌屈方向に運動した. 矢印の向きは運動方向を示し,矢印の太さは運動の大きさを示す.. 5.統計解析 外側列,中央列,内側列のそれぞれにおいて,橈骨手. は橈骨手根関節が手根中央関節より有意に大きかった (p < 0.001) 。. 根関節と手根中央関節の回転軸周りの回転角度とオイ. 手関節全体のオイラー角は,橈屈方向に 38.6 ± 8.7° ,. ラー角を比較する目的で対応のある t 検定を行った。す. 回内方向に 14.3 ± 9.2°,掌屈方向に 50.8 ± 18.5°であっ. べての検定において危険率を 0.05 未満で有意とした。. た(図 5) 。橈骨手根関節と手根中央関節のオイラー角. なお,すべての統計処理には統計ソフトウェア(SAS,. を表 2 に示す。橈骨手根関節を構成する関節の運動方向. JMP 13)を使用した。. は,回内を伴う尺背屈から橈掌屈の方向であった(図. 結 果. 6)。手根中央関節の外側列の舟状骨大・小菱形骨関節の 運動方向は,手関節全体の運動方向とは異なり回内を伴. 手関節全体の回転軸周りの回転角度は 62.7 ± 13.1(平. う橈背屈方向であった(図 7)。手根中央関節の中央列. 均値±標準偏差)°であった。橈骨手根関節と手根中央. と内側列の月状骨有頭骨関節と三角骨有鉤骨関節は,回. 関節の回転軸周りの回転角度を表 1 に示す。外側列,中. 内しながら掌背屈方向の運動の少ない尺背屈から橈掌屈. 央列,内側列のすべてにおいて,回転軸周りの回転角度. 方向に運動していた(図 8)。掌背屈方向のオイラー角.
(5) リバース・ダーツスロー・モーションの 3 次元動態解析. 5. 表 2 橈骨手根関節と手根中央関節のオイラー角. 外側列. 橈骨手根関節. 手根中央関節. 橈骨舟状骨関節. 舟状骨大・小菱形骨関節. p値. x. ‒13.1 ± 6.7. ‒21.8 ± 8.5. 0.045. y. 11.1 ± 6.6. 4.9 ± 6.5. 0.096. ‒18.9 ± 4.5. < 0.001. z 中央列 x. 66.2 ± 15.1 橈骨月状骨関節 ‒12.4 ± 6.7. 月状骨有頭骨関節 ‒24.0 ± 8.1. y. 4.2 ± 3.7. 8.3 ± 6.3. z. 47.0 ± 12.0. 4.5 ± 11.7. 橈骨三角骨関節. 三角骨有鉤骨関節. 内側列 x. ‒17.3 ± 6.5. 0.009 0.110 < 0.001. ‒22.2 ± 9.2. 0.197. y. 10.1 ± 4.6. 1.6 ± 5.5. 0.004. z. 46.5 ± 12.5. 2.6 ± 6.8. < 0.001. 平均値±標準偏差 単位:degree x:+,尺屈;−,橈屈;y:+,回内;−,回外;z:+,掌屈;−,背屈. 図 6 RDTM における橈骨手根関節の運動 橈骨を基準としたときの尺骨,舟状骨,月状骨,三角骨の相対的な運動を示す. 基準とした橈骨に対して,舟状骨,月状骨,三角骨は橈屈方向と掌屈方向に運動した. 矢印の向きは運動方向を示し,矢印の太さは運動の大きさを示す.. は,外側列,中央列,内側列のすべてにおいて,橈骨手 根関節が手根中央関節に比べ有意に大きかった。(p <. 考 察. 0.001)。橈尺屈方向のオイラー角は,外側列と中央列の. 手関節の運動は主に橈骨手根関節と手根中央関節で行. 手根中央関節が橈骨手根関節に比べ有意に大きかった. われる。Moritomo ら. 2). は,橈屈 30°から尺屈 45°まで. (p = 0.045,p = 0.009) 。また,回内外方向のオイラー. の橈尺屈での手根中央関節の可動域を評価し,有頭骨に. 角は,内側列の橈骨手根関節が手根中央関節に比べ有意. 対する舟状骨の可動域は 41° ,月状骨は 44° ,三角骨は. に大きかった(p = 0.004)。. 33°であると報告している。また,手関節橈尺屈時では 橈骨手根関節と手根中央関節の可動域はほぼ同等になる.
(6) 6. 理学療法学 第 47 巻第 1 号. 図 7 RDTM における舟状骨大・小菱形骨関節の運動 舟状骨を基準としたときの他の手根骨の相対的な運動を示す. 基準とした舟状骨に対して,大菱形骨と小菱形骨は橈屈方向と背屈方向に運動した. 矢印の向きは運動方向を示し,矢印の太さは運動の大きさを示す.. 図 8 RDTM における月状骨有頭骨関節と三角骨有鉤骨関節の運動 月状骨を基準としたときの他の手根骨の相対的な運動を示す. 基準とした月状骨に対して,有頭骨は橈屈方向と掌屈方向に運動した. 三角骨に対して,有鉤骨は橈屈方向と掌屈方向に運動した. 矢印の向きは運動方向を示し,矢印の太さは運動の大きさを示す.. といわれている 23)。さらに,手根中央関節の可動域は, 1). 橈尺屈時に比べ掌背屈時で小さくなる 。Arimitsu ら. 15). る。よって,橈尺屈は橈骨手根関節と手根中央関節の可 動域が同等に近い運動方向であり,掌背屈は橈骨手根関. は,健常者における掌背屈時の橈骨手根関節と手根中央. 節の可動域が軽度大きくなる運動方向であるといえる。. 関節の可動域の比率は 57% と 43% であると報告してい. 一方,DTM は手根中央関節の運動が大きくなる運動方.
(7) リバース・ダーツスロー・モーションの 3 次元動態解析. 7. 向である。橈背屈位から中間位を通り掌尺屈位となる. り大きかった。さらに,橈骨舟状骨関節の掌背屈方向の. DTM では橈骨手根関節の運動が 0 に近くなり,ほとん. オイラー角は,舟状骨大・小菱形骨関節より有意に大き. 3). ど手根中央関節の運動のみになる 。また,背屈位から. かった。手関節の運動は手根中央関節の DTM 方向の余. 尺屈位へ動いたときのような,中間位を通らない DTM. 分な運動を,橈骨手根関節が合目的に補正することで,. でも手根中央関節の運動がおよそ 60% であると報告さ. 全体として手関節の運動となる. 24). 26). 。よって,橈骨舟状. 。本研究において,RDTM 時の橈骨手根関. 骨関節は,舟状骨大・小菱形骨関節が掌背屈方向では反. 節と手根中央関節の回転軸周りの回転角度を比較したと. 対方向に動くため,手関節全体の運動よりも大きな掌屈. ころ,外側列,中央列,内側列のすべてにおいて,橈骨. 方向の運動を生じさせる必要があることが示された。一. 手根関節が有意に大きかった。さらに,橈骨手根関節は,. 方で,橈尺屈方向では,舟状骨大・小菱形骨関節のオイ. 手根中央関節の 1.7 ∼ 2.1 倍動いていた。これは,手根. ラー角が有意に大きく,橈骨舟状骨関節のおよそ 1.8 倍. 中央関節を構成する舟状骨大・小菱形骨関節は DTM 方. であった。よって,舟状骨大・小菱形骨関節は掌背屈方. れている. 向にのみ運動する一軸性関節であるため. 1)2). ,RDTM. 向への貢献はないが,橈尺屈方向の運動には大きく貢献. 時の手関節全体の運動方向とは反対方向となり,スムー. していると考えられる。. ズな運動ができなくなると推測された。また,月状骨有. 月状骨有頭骨関節と三角骨有鉤骨関節は手関節の運動. 頭骨関節と三角骨有鉤骨関節は,DTM 方向と掌背屈方. 方向にかかわらず,常によく似た運動をするといわれて. 向に運動する二軸性関節である. 1)2). 。よって,手関節の. いる. 1). 。そのため,手根中央関節の中央列と外側列の関. RDTM 方向の運動時には,機能解剖学的な運動方向と. 節群は,月状骨三角骨ユニットと有頭骨有鉤骨ユニット. は異なるため回転角度が減少すると考えられた。さら. の関節と考えられることが多い. に,RDTM は手根中央関節の運動がなくなり,橈骨手. と三角骨有鉤骨関節は,どちらも回内しながら掌背屈の. 根関節の運動のみになると考えられ,リハビリテーショ. 運動の少ない尺背屈から橈掌屈方向に運動していた。. ンで導入されはじめている. 8)10). 。本研究において,手. 25). 。月状骨有頭骨関節. よって,RDTM 時でもよく似た運動をしていることが. 根中央関節の運動も生じているが回転角度は小さく,橈. 示された。. 尺屈や DTM,掌背屈に比べ橈骨手根関節の運動の比率. 橈骨手根関節の中央列と内側列は,手根中央関節に比. が大きいことが示されたことから,RDTM は橈骨手根. べ掌背屈方向のオイラー角は有意に大きく,手関節全体. 関節の可動域の改善を目的としたリハビリテーションに. の掌背屈方向の運動のほぼすべてを担っていた。よっ. 応用できる可能性が示唆された。. て,掌背屈方向の運動は橈骨手根関節のみ寄与してお. オイラー角を用いて運動方向を評価した結果,舟状骨. り,手関節全体の RDTM 方向の可動域に大きく影響し. 大・小菱形骨関節の運動方向は,回内を伴う橈背屈方向. てくると考えられる。一方,橈尺屈方向のオイラー角は,. であり,手関節全体の運動方向とは異なっていた。舟状. 中央列と内側列では手根中央関節が有意に大きかった。. 骨には手根中央関節側に 3 つの関節面があり,大菱形骨,. よって,手関節 RDTM 時は,橈骨手根関節が掌背屈方. 25). 。遠位手根列は. 向の運動のほぼすべてに寄与するが,橈尺屈方向には手. 相互にほとんど動かないため,手根中央関節の舟状骨側. 根中央関節が大きく寄与することが示された。また,回. は舟状骨大・小菱形骨関節,または有頭骨も含めた関節. 内外方向では,内側列のみ橈骨手根関節の寄与が大き. 小菱形骨,有頭骨と関節を形成する. として捉えられることがある. 25). 。Moritomo ら. 1)2). は,. く,外側列と中央列は橈骨手根関節と手根中央関節が組. 舟状骨大・小菱形骨関節は手関節を橈尺屈,DTM,掌. み合わされて生じていることが示された。. 背屈のどの方向に動かしても,運動方向が DTM 方向で. 本研究の限界として,1 つ目に 3 肢位の静的な画像か. ある橈背屈から掌尺屈の一軸性関節であると報告してい. らアニメーションを作成し,解析を行っていることであ. る。そのため,運動方向が DTM に直交する RDTM の. る。撮影肢位を増やすことにより,より詳細な解析が可. 際は舟状骨大・小菱形骨関節の運動がなくなると考えら. 能であると考えられる。2 つ目に,CT による画像撮影. 8)10). ,本研究より他の運動方向と同様に. を各肢位で 1 回ずつ行っていることである。本研究で用. DTM 方向の運動がみられ,手関節をどの方向に動かし. いた 3 次元骨モデルの作成と,surface-based registration. ても常に同じ運動をしていることが示された。また,手. technique は高い正確度が報告されている. 関節が尺背屈の際に,舟状骨大・小菱形骨関節は掌尺屈. し,結果の再現性を検討できていないことは本研究の限. し,手関節橈掌屈の際には橈背屈していたことから,橈. 界であると思われる。最後に,手関節を構成する手根骨. 尺屈方向では手関節と同様の方向に運動し,掌背屈方向. の形状による分類をしていないことがある。月状骨の形. では手関節と反対方向に運動していることが示された。. 状によりキネマティクスが変化するとの報告. れていたが. また,橈骨舟状骨関節の掌屈方向のオイラー角は 66.2°. しないとの報告もあるため. であり,手関節全体の掌屈方向のオイラー角の 50.8°よ. あると考えられる。. 19). 16)17). 。しか. 13). や変化. ,今後検討する必要性が.
(8) 8. 理学療法学 第 47 巻第 1 号. 結 論 手関節 RDTM 時は,橈骨手根関節の回転軸周りの回 転角度は手根中央関節より大きく,特に掌背屈方向の運 動のほぼすべてに寄与していた。一方,橈尺屈方向の運 動は手根中央関節が大きく寄与していた。RDTM は橈 骨手根関節の可動域の改善を目的としたリハビリテー ションに応用できる可能性が示唆された。 利益相反 著者の粕渕賢志と菅本一臣はスミス・アンド・ネフュー 株式会社,ジンマー・バイオメット合同会社,日本スト ライカー株式会社,帝人ナカシマメディカル株式会社, TEAMLAB BODY 株式会社が支援する運動器バイオマ テリアル学寄付講座に所属している。また,菅本一臣は TEAMLAB BODY 株式会社の全株式の 5% 以上の株を 保有している。 文 献 1)Moritomo H, Murase T, et al.: In vivo three-dimensional kinematics of the midcarpal joint of the wrist. J Bone Joint Surg Am. 2006; 88: 611‒621. 2)Moritomo H, Murase T, et al.: Capitate-based kinematics of the midcarpal joint during wrist radioulnar deviation: an in vivo three-dimensional motion analysis. J Hand Surg Am. 2004; 29: 668‒675. 3)Crisco JJ, Coburn JC, et al.: In vivo radiocarpal kinematics and the dart thrower’s motion. J Bone Joint Surg Am. 2005; 87: 2729‒2740. 4)Moritomo H, Apergis EP, et al.: International Federation of Societies for Surgery of the Hand 2013 Committee’s report on wrist dart-throwing motion. J Hand Surg Am. 2014; 39: 1433‒1439. 5)粕渕賢志,福本貴彦,他:橈骨遠位端骨折後症例のダーツ スロー・モーション面 ROM と DASH スコアの関係.理 学療法学.2013; 40: 169‒175. 6)土肥義浩,粕渕賢志,他:橈骨遠位端骨折術後のダーツス ロー・モーション 手関節動態 X 線との比較.日本手外 科学会雑誌.2013; 29: 505‒509. 7)土肥義浩,粕渕賢志,他:橈骨遠位端骨折術後の手関節可 動域の評価 リバース・ダーツスロー・モーションと手関 節動態との関係.日本手外科学会雑誌.2014; 30: 886‒890. 8)桂 理,渡邉健太郎:橈骨遠位端関節内骨折術後ハンド セラピィにおける橈骨手根関節に対する早期アプローチの 試み.日本手外科学会雑誌.2012; 28: 578‒581. 9)森田竜治:運動療法の「なぜ?」がわかる超音波解剖.工 藤慎太郎(編),医学書院,東京,2014,pp. 72‒83. 10)整形外科リハビリテーション学会:関節機能解剖学に基づ く 整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹(第 2. 版).メジカルビュー社,東京,2014,pp. 254‒257. 11)Gutiérrez-Espinoza H, Rubio-Oyarzún D, et al.: Supervised physical therapy vs home exercise program for patients with distal radius fracture: A single-blind randomized clinical study. J Hand Ther. 2017; 30: 242‒252. 12)Oka K, Moritomo H, et al.: Patterns of carpal deformity in scaphoid nonunion: a 3-dimensional and quantitative analysis. J Hand Surg Am. 2005; 30: 1136‒1144. 13)Abe S, Moritomo H, et al.: Three-dimensional kinematics of the lunate, hamate, capitate and triquetrum with type 1 or 2 lunate morphology. J Hand Surg Eur Vol. 2018; 43: 380‒386. 14)Arimitsu S, Murase T, et al.: Three-dimensional kinematics of the rheumatoid wrist after partial arthrodesis. J Bone Joint Surg Am. 2009; 91: 2180‒2187. 15)Arimitsu S, Sugamoto K, et al.: Analysis of radiocarpal and midcarpal motion in stable and unstable rheumatoid wrists using 3-dimensional computed tomography. J Hand Surg Am. 2008; 33: 189‒197. 16)Goto A, Moritomo H, et al.: In vivo three-dimensional wrist motion analysis using magnetic resonance imaging and volume-based registration. J Orthop Res. 2005; 23: 750‒756. 17)Oka K, Murase T, et al.: Accuracy analysis of threedimensional bone surface models of the forearm constructed from multidetector computed tomography data. Int J Med Robot. 2009; 5: 452‒457. 18)Moritomo H, Viegas SF, et al.: The scaphotrapeziotrapezoidal joint. Part 2: A kinematic study. J Hand Surg Am. 2000; 25: 911‒920. 19)Moritomo H, Goto A, et al.: The triquetrum-hamate joint: an anatomic and in vivo three-dimensional kinematic study. J Hand Surg Am. 2003; 28: 797‒805. 20)Moritomo H, Murase T, et al.: Relationship between the fracture location and the kinematic pattern in scaphoid nonunion. J Hand Surg Am. 2008; 33: 1459‒1468. 21)Kawanishi Y, Moritomo H, et al.: In vivo 3-dimensional analysis of stage III Kienböck disease: pattern of carpal deformity and radioscaphoid joint congruity. J Hand Surg Am. 2015; 40: 74‒80. 22)Omori S, Moritomo H, et al.: In vivo 3-dimensional analysis of dorsal intercalated segment instability deformity secondary to scapholunate dissociation: a preliminary report. J Hand Surg Am. 2013; 38: 1346‒1355. 23)Kapandji AI: カラー版 カパンジー機能解剖学 I 上肢 (原著第 6 版) .塩田悦仁(訳) ,医歯薬出版,東京,2015, pp. 176‒185. 24)Leventhal EL, Moore DC, et al.: Carpal and forearm kinematics during a simulated hammering task. J Hand Surg Am. 2010; 35: 1097‒1104. 25)森友寿夫:上肢の外科 最近の進歩 病態,機能解剖,診 断の進歩 手・手関節 手根骨の三次元機能解剖.別冊整 形外科.2008; 54: 10‒16. 26)森友寿夫:手の外科画像診断マニュアル 3 次元動態 MRI による手関節運動の解析.Orthopaedics.2006; 19: 17‒23..
(9) リバース・ダーツスロー・モーションの 3 次元動態解析. 〈Abstract〉. Three-Dimensional Kinematics of the Radiocarpal and Midcarpal Joints of the Wrist during Reverse Dart Throw Motion Using Computed Tomography: To Evaluate the Range and Direction of Motion. Kenji KASUBUCHI, PT, MS, Hisao MORITOMO, MD, PhD, Masao YUKIOKA, MD, PhD Department of Physical Therapy, Faculty of Health Science, Osaka Yukioka College of Health Science Kenji KASUBUCHI, PT, MS, Kazuomi SUGAMOTO, MD, PhD Department of Orthopedic Biomaterial Science, Osaka University Graduate School of Medicine Hisao MORITOMO, MD, PhD, Sayuri ARIMITSU, MD, PhD, Masao YUKIOKA, MD, PhD Department of Orthopaedic Surgery, Yukioka Hospital. Purpose: This study aimed to analyze three-dimensional kinematics of the radiocarpal and midcarpal joints of the wrist during reverse dart throw motion. Methods: We analyzed the kinematics of the radiocarpal and midcarpal joints of the wrists of 12 healthy volunteers using CT images. We measured the range and direction of motion for the radiocarpal and midcarpal joints. Paired t-tests were used to compare the results between the radiocarpal and midcarpal joints. Results: The range of motion of the radiocarpal joint was significantly greater than that of the midcarpal joint. The motion of the radiocarpal joint in the flexion/extension plane was also significantly greater than that of the midcarpal joint. For the midcarpal joint, the motions of the lateral and central articulations were significantly greater in the radial/ulnar deviation plane compared to those of the radiocarpal joint. Conclusion: The range of motion of the radiocarpal joint was greater than that of the midcarpal joint during reverse dart throw motion. The radiocarpal joint, especially, contributed to the motion in the flexion-extension plane. The midcarpal joint contributed to the motion in the radial/ulnar deviation plane. Key Words: Reverse dart throw motion, Three-dimensional kinematics, Radiocarpal joint, Midcarpal joint. 9.
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