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ペクチン質の定量に関する2, 3の考察-香川大学学術情報リポジトリ

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貸17巻第1号(19占5)

ペクチン質の定量に関する2,3の考察

真 部 正 敏,樽 谷 隆 之

Ⅰ 緒 ペクチン質はコロイド性の多糖類の一一層で広く植物体中に分布してこいる.その構造はD−ガラクツロン酸の直鎖状 重合体からなっているが,重合の程度,メチ・ルエステル基の含盈,塩類の幾合状態などによって親政の硬軟,汁液の 粘度,ゼリ−化カの強弱その他各種の異なった特性を示す.ぺクチン質は青果物にも相当の割合で含有されており, それらを貯蔵したり加工したりする際に,ぺクチンの盈および貿が直接品質を左右することが多い.したがって,園 芸産物を利用するに当たって,それらぺクチンを定鼠的に調べる必要がたびたびおこってくる.. 現在,ぺクチ・ソの定盈はそれぞれの目的に応じ,いろいろな方法がとられて.いるが(3i),それらの車でぺクチ∵/の

′ 抽出ほNANJI・NoRMAN法(8),定量ほCARE丘・HAYNES法(2)が比較的広く用いられて:きた..ところで,ぺクチンを分別

抽出するのに多くはHCl(塩酸),(COOH)9(シ.コ.ウ酸),(NH4)9C204(シユウ酸アンモニサム)およびNaOH(水 酸化ナトリウム)などの試薬が用いられているが,それら抽出剤はいずれもぺクチンを加水分解する性質が知られ ている..したがって,条件によっては抽出の途中で一部が加水分解を受けて,実際の値と異なった定量値が得られる

′ のではないかという疑問が残る.また,CARREらのぺクチン酸カルシウム法(以下Ca−peCtate法と略記)において

は,ペクチンの外に一部の類似多糖類が混入するともいわれているい したがって,それらの関係を検討t,正しい定 底値を得る方法について試験した“ 本研究の要旨は19る2年庭園芸学会秋季大会において.発表した. Ⅱ 実験材料および方法 植物の種類によってぺクチンの組成や性状が異なるため,ペクチンの測定に当たってほそれらの影響を考慮し,実 験材料ほ広く果実,そ菜および一般植物の申から適当に選んで用いたい すなわち, 果 実:モモの果肉,湿州および夏ミカンの果皮,夏ミカンの果汁残漬 そ 菜:トマトの果肉およびにんじんの根部 −・般植物:ポプラおよびまさ木の葉 果実とそ菜は約2mmの厚さに細刻し,ポプラとまさ木の葉はそのまま使用した..これらの材料は次に示すいずれか の方法で前処理して供試した… (a)材料を10分間蒸気で加熱処理し,生体内の酵素を不活性解した..(b)材料に 95%エタノールを全体の濃度が70%になるように加え,5分間沸騰しろ布でろ過した.. 残漆はさらに70%・エタノ− ルを加えて一夜放置し,それをろ過してアルコール可溶性成分を除去した−. このようにして前処理の終った材料を500C以下で通風乾燥し,粉砕機で20メッシユ以下に微粉化し供試したい 実 験の方法はそれぞれの項目において述べる. Ⅲ 実 験 結 果 1 NANJトNoRMAN法におけるぺクチン質の抽出法の検討 NAN一丁Ⅰら(る)はぺクチンを水可溶性ぺクチッ,0‖5%シーユ.ウ酸可溶性ぺクチンおよび0.5%シェ・ウ酸アンモニクム可溶 性ぺクチンの5種のぺクチッに分別抽出しているが,これと同じ条件で溢州ミカンの果皮を用い経時的にべクチンを 抽出し定温したところ,水可溶性ぺクチッとレふウ酸アンモニウム可溶性ぺクチソは24時間まで定足値がはぼ増加し た.しかし,レ.ユク酸可溶性ぺクチッは約5時間で極大値に達し,それ以上抽出を続けて−も定温値は増加せず,かえ って.減少することがわかった,.このような抽出曲線の相違は,抽出温度や供試材料の種類による影響と思われるい以 下それらについて2,5の実験を行なった,. 心 抽 出 温 度 ぺクチンをH20,(COOH)2および(NH4)2C20鼻で分別抽出する場合,(COOH)2と(NH4)2C204の濃度は

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香川大学農学部学術報告 NoRRISら(9叱よれほいずれも0.5%がよいとされている.また,抽出時間はNANJIらは24時間を常法としている.た だ,抽出の温度について骨L一般に800∼900Cの闇で行なっているが,抽出時間が非常に長い関係もあって,抽出中 に涼度が変動しやすく定温に保てない場合がしぼしばおこる.そこで抽出温度と定盈値との関係について調べた 試料ほアルコ−ル処理した温州ミカンの果皮を用い80),850ぉよび貯Cの各温度で経時的にべクチソを抽出しCa pectate法で定恩した.その結果ほ第1図のごとく,いずれの涼度で抽出してもシユク酸可溶性ぺクチンは胤5・−・5時 間で極大値に達した.さらに抽 出を続けると定量値はかえって 減少した√その場合湿度が高く なるはどその傾向ほ強かった. ト1 レ.ユク酸アンモニクム可溶性ぺ h・、 クチンほ,抽出5時間までほい ずれの温度もはぼ同じような傾 向を示したが,それ以上抽出す ると900Cは∴ンユ.ウ酸可溶性ぺ クチン同様に減少し,8DOぉよ び850Cでは24時間まで徐徐に 増加した (2)材料別ペクチンの抽出 曲線 果実,そ菜および−・般植物の 卜芯 中からそれ孝れ2種類の材料を 選び,そ・れらのぺクチ:/な 0.5%(COOH)2および0..5% (NH4)2C204で経時的に抽出 しCa・・peCtate法で定塵した 抽 出 時 間(時) 第1図 抽出の温度および時間とぺクチンの定盈曲線 (温州ミカンの果皮) 抽出湿度はいずれも850Cで行なった,その結果は.第2区匿示すごとく材料によって,抽出曲線が著しく異なった すなわち,ジーコ.ウ酸可溶性ぺクチンでほポプラを除いていずれも5∼5時間で極大値に達し,それ以後定藍値は減少 した‖ その際,紅んじん,トマトおよぴまさ木はかなり減少したが,夏ミカンとモモはわずかに減少したにすぎなか った。ポプラだけは24時間まで経時的に増加した∴・血・方,レコク酸アンモニウム可溶性ぺクチッも材料たよって抽出 曲線が異なったが,その変動はレ.ユ.ウ酸可溶性ぺクチソはど強くなかった.−一般にレユ.ウ酸アンモニクム可溶性ぺク チッは.シユク酸可溶性ペクチンに比べて\極大値に達するのが遅く,まさ木で10時間,夏ミカン,モモおよぴにんじん はそれぞれ15時間,トマトおよびポプラは24時間であった,試料別に抽出されたぺクチッの極大点における絶対値を 両ぺクチンについで比較すると,ボブブはシ㌧ク酸可溶性ぺクチンよりン.ユク酸アンモニウム可溶性ぺクチンが高か ったが,それ以外の材料ではいずれもシュウ酸可溶性ぺクチッが高かった 2 CARR怠一HAYNESのCa−peCtate定意法の検討 Ca■・peCtate法は他の定巌法濫比べて精度が最も高いといわれ今日まで広く用いられてきたこの方法は,抽出液 にアルコ・−ルを加えてぺクチソを凝周分離し,得たペクチンをア)L/カリで脱エステルしてからCaを加.k_Ca−peCtate として定塗する方法である.この際,抽出剤の種類や抽出時間の長短によっでぺクチッの凝固状態が著しく異なる が,それらがペクチンの定盤値やCa・peCtateを構成するCaおよぴペクチンの組成割合にいかなる影響を及ぼすか紅 ついて2,5の実験を行なった. (1)ぺクチッを凝周するアルコ−ル濃度と定量値との関係 抽出液にアルコ−ルを加.えてぺクチソを凝固分離する際,一般に・抽出時間が長くなるにつれてぺクチンの分離が困 難となり,ろ過に相当の時間を要することがある,これは抽出時間に比例してぺクチンの加水分解が進み重合皮が低 下するための原因と思われる.この際,抽出液に加えるアルコ−ル量を変えて添加し,ぺクチッの凝固状態や定温値 紅及ぼす影響などについて調べた

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滞17巻欝1号(19る5) 試料はアルコ−ル処理した夏ミカンの果汁 残漬を用い,0.5%(COOH)2および0..5% (NH4)2C204で前と同じ方法で経時的にべ クチッを抽出した.抽出液1に対し95%エタ ノ−・ルを1,2およぴ5い5倍鼠(・エタノ一− ルの最終濃度ほそれぞれ47..5%,占515%およ び75.9%となる)加えてぺクチンを凝固し Ca−PeCtate法で定量した.その結果,ぺク チッの凝固および分離状態ほアルコ」−ルの添 加割合の違いに関係なく,大きな差異は認め られなかった.この場合,アルコールの添加 鼠よりもむしろ抽出時間の長短の影響が大き いように思われた(第5図) (2)アルコ・「ル廃液に溶存するぺクチン ぺクチンは一般に抽出剤によって加水分解 される性質が知られているから,過度の抽出 により重合度が低下し,アルコ−ルで十分に 凝固されずそのまま廃液に移行するこ.とが考 えられる.ぺクチンの定鼠借がある時間に極 大に達し,そ・の後は抽出時間が長びくにつれ て減少する傾向がみられるのはそのためとも 考えられるい そこで,経時的に抽出したぺク チソの定鼠値とアルコ−ル廃液中のぺクチン 盈との関係について調べた 経時的に抽出した実験2(1)の抽出液を用 い,常法にしたがってアルコ−ルを加え,ぺ クチソを分離しアルコ・−ル廃液を得た.この 廃液を中和することなく,そのまま減圧蒸溜 してアルコ−ルを除去し仝鼠を80mlに.した この液を中和し,0.5N NaOHを1ロml加えさ らに水を加え全巌を100mlに.し,50分間放置し たこの液について−カルバブール反応比色法 (r)でぺクチンを定量した,その結果をクロン 酸として表わし,試料100g当たりに換算し たのが碍1表である.アルコ−・ル廃液に溶存 するペクチン盟は両ぺクチンともに1時間の 抽出でほ明らかに少なかったが,抽出時間に 比例して増加する傾向にあった.廃液中のペ クチンの最も多かった24時間の抽出では,乾 1‖ 果 実 5 0 5 1 1 ペクチン酸カルシウム 5 10 15 20 25 5 10 15 20 25 2小 そ 菜 ≠ ′乱 用 にんじん ペクチン酸カルシウム 51、−・般植物 ま さ 木 ポ1プラ %20 ペクチン酸カルシウム 10 5 10 15 20 25 5 10 15 20 25 抽 出 時 間(時) 第2図 植物体の種類とぺクチンの定鼠曲線 物試料に対しレ.ユク酸可溶性ぺクチッが約2 %,シ㌧nウ酸アンモニクムー1■J溶性ぺクチッが約4%にも達した (3)Ca−PeCtateのCaとウロン酸の組成割合 夏ミカンの果汁残法を用い0‖5%(COOH)2および01.5%(NH4)2C204で経時的にべクチッを抽出し,常法にした が・つてCa・・PeCtateを精製した.これを1050Cで乾燥し粉末とし,次に示す要領でCaとクロン酸を定塵した。Caは Ca−peCtateを灰化し(5),キレ−ト滴定法(11)で測定した.また,ぺクチソほCa−peCtateを0。5%(NH4)C204で溶

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香川大学農学部学術報告 ベタノ†ン地力几シウム 20 5 10 15 20 25 5 10 15 20 25 抽出時 間(時) 0一一05%(COOH)2 ケーーーー005%(NH4)2C204 5 10 15 20 25 第5図 アルコ−ルの添加割合とぺクチンの定温曲線(夏ミカン果汁残漆) 解しカルバゾ−ル法で比色定盈しウロン酸として表わし た.それらの結果を第2表に示す… Ca,peCtate中のCa舎監は抽出剤の種粉や抽出時間によ って明らかに異なった.すなわち,シ.ユク酸可溶性ぺクチ・ ンは7い8へ・8.占%の範囲にあり抽出時間による一足の傾向ほ 認められなかったこれに比べてレ.ユク酸アンモニクム可 溶性ぺクチ・ンは,1時間の抽出では一7一.5%であったCaが, 抽出の時間が長くなるにつれて減少し,24時間の抽出では 5,7%と1い8%も減少した.一方,ウロン酸ほCaと密接な関 係を示し,Caとはぼ同様の傾向が認められた.Ca−PeCtate 中のウロン酸盈は,シュウ酸可溶性ぺクチッほ59−る7%, レ.ユク酸アンモニクム可溶性ペクチンほ40∼50%であっ たり Ⅳ 考 察 ぺクチ:/質の定忍法の中で,従来から比較的よく用いら れてきたNANTI・NoRMANの抽出法と,CARR丘−HAYNES のCa・peCtate定量法についてそれぞれ検討した まず,NAN丁Ⅰらの分別抽出法にしたがい,ぺクチンの抽 出温度および抽出時間と定鼠曲線との関係について調べ たり 材料ほ温州ミカンの果皮を用い800,850および900C の各湿度で経時的に24時間抽出したところ,湿度の最も高 かった980Cと,8DOおよび850Cとでほ抽出曲線が著しく異 なった.すなわち,定鼠値が極大点に達する時間を比較す ると900Cではレ.ユク酸可溶性ぺクチッは5時間,レ.コ.ク 第1表 アルコーール廃液中のぺクチ∴/ (ワロン酸として) 0.F% ロ.5% (COOH)2 (NH4)9C204 % n zっ % 0 nU 1 2 7つ 2 4 ′0 9 5 フつ 9 ∠U 4 7 42蛮08亜閃 nU nU l l l 試料はアルコ−ル処理した夏ミカンの果汁残漆を 用いた。 数値ほ対乾物で表わした。 第2表 Ca→peCtate中のCaおよびぺクチ・ソ (ぺクチッはウロン酸として) 0.5%(NH4)2C204 0.5%(COOH)℡ 抽出時間 Ca ぺクチン Ca ぺクチソ

7.5% 59小5%

る…5 51‖9 る…2 48…占 5.7 40り0 5.7 59、占

 ̄…  ̄ニー

1時 5 10 1る 8.1 占7‖1 8.占 る5.7 24 1 7り8 る2,.1 試料はアルコ−ル処理した夏ミカンの果汁残澄を 用いた。 数値は対乾物で表わした。 酸アンモニクム可溶性ぺクチンは5時間であったが,80◇ およぴ850Cではそれぞれ前者のぺクチ・ンが5時間,後者ほ24時間であった このように,わずかの温度差でも抽出曲線が著しく異なったが,極大点におけるぺクチッ鼠はいずれの温度もあま り差異は認められなかった.こ.れらの結果から,抽出湿度は900Cよりも抽出曲線の変動の比較的少ない800Cか850Cが よいと思われたただ,この両湿度のジーコウ酸アンモニウム可溶性ぺクチッを比扱すると800Cよりも850Cの方が定

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第17巻第1号(19占5) 盈値が多少高いので,抽出温度としては850Cの方が適当と考えられた. 果実,そ栗および一般植物から2種類ずつ材料を選び,それらのぺクチッを0・5%(COOH)2とD・5%(NH4)9C204 で850C,24時間軸出した その結果,材料によって抽出曲線がそれぞれ異なったが,一塊削こシ.ユ.ク酸可溶性ぺクチ・ソは5−5時間,ミ/コウ酸 アンモニクム可溶性ペクチンは10−24時間で極大値に達した。両者の定藍値を比較するとポプラを除いてレ.コ.ウ酸可 溶性ぺクチンの方が高かった NANJIらはぺクチソをH20,Ol5%(COOH)2および05%(NH4)2C204を用い85OCで24時間分別抽出し,それ ぞれのぺクチンを次のように分類している.すなわち,H20抽出ほ水可溶性ぺクチン,(COOH)2抽出は水可溶性 ぺクチンとプロトぺクチン(NH4)2C204抽出は水可溶性ぺクチン,プロトペクチンおよびぺクチッ酸である..レユ ク酸アンモニクム可溶性ぺクチンほ全ぺクチソを抽出し,レコク酸可溶性ペクチンはぺクチン酸を除いた残りのぺク チンを抽出したことになる.ところが材料別にペクチンを分別抽出した結果,ポプラを除いてぺクチ・ンの絶対値はい ずれもシュク酸可溶性ぺクチンの方が高かった BoNNER(1)によれば,中葉(Middlelame11a)は大部分がCaおよびMgのぺクチ・y酸塩(Pectate)の混合物 のようで,熱い低濃度酸に・ほ溶解しないが,(NH4)2C204rの溶液によく溶けるといわれ,また,McCREADYら(T)も pectateは低濃度の酸には溶解されないと述べて:いるしたがって,Vユウ酸可溶性ぺクチンにほぺクチ・ン酸が含ま れていないことと思われるが,青果物のペクチンを測定した結果では,ぺクチン酸が抽出されていなぃべ/コク酸可溶 性ぺクチンが全ぺクチ∴/を表わサンコウ酸アンモニウム可溶性ぺクチンよりも定盈値が高かったい これに関連し て,経時的に抽出した夏ミカンの抽出液のぺクチンをカルバゾール反応比色法で定厳し,Ca−peCtate法と比較した ところ(6),両者の定義曲線はやや異なったが定底値ほレ,ユ.ウ酸アンモニウム可溶性ぺクチンよりシユウ酸可溶性ぺク チ:/が高かった.ぺクチン酸も含めて全ぺクチンを抽出するレユク酸アンモニクム可溶性ぺクチンほ実際にはレーユ.ウ 酸可溶性ペクチンより少ない場合が多いので,0.5%(NI王4)2C204で24時間抽出したぺクチンは,仝ぺクチ・ンの他 には近いが,これをただちに仝ぺクチ・ンとして表わすことほ適当でないように思われる小 また,レユク酸可溶性ぺク チンほ比較的短時間に極大に達し,24時間も抽出すると走鼠値が著しく低下することがあるので,抽出に当たっては それぞれの材料に応じた抽出時間を求めて定足すべきで,一様に24時間抽出を行なうのは適当とは思われない 次に,Ca”PeCtate定違法について2,5実験を行なった”まず,経時的に抽出したぺクチソ溶液に同一感度のア ルコー・ルを容盈を変えて.添加したとこ.ろ,アルコールの濃度によって抽出曲線が少しは異なったが,それによってJ定 最低が大きく変わるようなことはなかった アルコ−ル凝固したぺクチンを分離すると透明なアルコール廃液が得られるが,その中に.溶存するぺクチ・ソ監を調 べたところ,明らかにバ/コク酸可溶性ぺクチン,シ.コウ酸アンモニウム可溶性ぺクチンともに抽出時間に比例して増 加するのが認められた,.これは抽出されたぺクチソの山部がアルコ−ル凝固されない程度の低重合皮のペクチンに加 水分解された結果と考えられるパ 廃液中のぺクチンをクロン酸としてみた場合,レユ.ク酸可溶性ぺクチソよりレ.ユク 酸アンモニウム可溶性ぺクチンが多く,24時間の抽出ではレ,コク酸可溶性ぺクチンの約2倍に達した… このぺクチッ ほ温州ミカンの乾物果皮に対し約4%,Ca・・peCtate法で定鼠した値の16%にも達した 夏ミカンのぺクチ・yを経時的に抽出し,常法でCa・peCtateを作り,そのCaとクロン酸の組成割合を調べた..V.ユ ク酸可溶性ぺクチッは抽出時間の長短に関係なくCaの理論恩といわれる7小るる%(4)に近かった.しかし,レェ.ク酸ア ンモニクム可溶性ぺクチンほ抽出時間が短い場合はシユ.ク酸可溶性ぺクチッと変わらなかったが,抽出時間が長くな るにしたがって減少する傾向を示した.また,Caと並.行してクロン酸盈を調べたが,Caとはば同じような傾向であ った..この際,クロン酸とCaの比ほ抽出時間やレコ.ク酸可溶性およびシュ.ウ酸アンモニクム可溶性ぺクチンの違い にかかわらずいずれも約7−8であった SINClAIRら(10)によると塩化カルシウムほぺクチンの外に,生物的成分をも沈殿するといわれている.シュク酸ア ンモニウム可溶性ぺクチッの場合,Ca・PeCtate中のぺクチッの組成割合が,抽出時間に反比例して減少したのはそ のためと思われる.したがって,ぺクチ・ンをCa−peCtate法で定鼠するにほ,アルコ−ル廃液中のぺクチッの損失蕊 が抽出時間に比例して増加すること,また,(NH4)2C204抽出のペクチッにおいてほ,ペクチン以外の成分が混 入し,定鼠値を変動する恐れがあることなどにより,ぺクチンの抽出液はできる限り短時間抽出したものを用いる方 がよいように思われた

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香川大学農学部学術報告 Ⅴ 摘 要 ベタチyの定農法に.閲し,NANJJ・NoRMANの抽出法およびC.ARR丘・FAYNESのCa・PeCtate定盛儀濫ついて2,5 検討を加えたル 1ぺクチッの抽出温度ほ0.5%(COOH)2および0.5%(NH4)2C204抽出ともに850Cが適当と思われた. 果実,そ菜およ.び一叔植物のぺクチンをロ.5%(COOH)2および0..5%(NH4)2C204で抽出すると,一般にシーユ.ク 酸可溶性ぺクチッほ5−5時間,シーユ.ク敬アンモニウム可溶性ぺクチッは10一−24時間で極大値に達した‖ 両者の定・監僧 はポプラを除いていずれもレェク酸可溶性ぺクチッの方が高く,シ.ユク酸アンモニクム可溶性ペクチンを全ぺクチ∵/ とするNANJIらの結果と異なった 2 笈S.カyを用い,0.5%(COOH)2とOL5%(NH4)2CBO4で経時的に.24時間抽出し,得たCa・peCtateのCaお よぴクロン酸合盈を調べたところ,シ.ユク酸可溶性ぺクチッはCaが7…8−8小占%,クロン酸が59一占7%であったが,シ ユク酸アンモ、ユタム可溶性ぺクテンほそれぞれ5.7−7‖5%,40−59%でシ.ユク酸可溶性ぺクチソに比べいずれも低か った..しかし,Caとクロン酸の比は約7−8で両者間にあまり差異が認められなかった.Ca−peCtate法で定鼠する場 合,測定操作や定盈償およびCal・Pectateの組成割合からみて,抽出時間は可能な限り短くした方がよいようであ る 参 考 文 献 旨(19る5). (7)McCREADY,R一.M一.,McCoMB,E”A.:Anal。Chem., 24,1占50(1952)い (8)NANH,D.R.,NoRMAN,AuG∴Biochem小,., 22,59占(1928) (9)NoRRIS,F。Wい,ScHRYVER,S”B。:Biochem..J. 19,る7る(1925). (1q)SINCLAIR,W.B巾,JoLLIFFE,V巾A.:J.Food Sci.,2る,125(19‘1). 仙 上野景乎:キレーート滴定法,144,東京,南江堂 (1957). (1)BoNNER,J.:PlantBiocheznistry,98NewYork, Academic Press(1952). (2)CARR丘,M.H,HAYNES,D,:BiochemJlリ1‘, 占0(1922)巾 (3)川村信一・郎:.ペクチン,多糖類化学(左右田徳郎, 江上不二大病).254,東京,共立出版(1955)

(4)ⅨERTESZ,Z.Ⅰ‖:The Pectic SubstanCeS,New

YoIk,1nterscience PublisheI■S(1951) (5)京都大学農学部農芸化学教室:農芸化学実験雷,

525,東京,産業図書(1957)

(6)基部正敏,樽谷隆之:園芸学会(昭和58春)発表要

Some observations on the extraction and quantitative

determination of pectic substances

MasatoshiMANABE and TakayukiTARUTANI

Summ&ry An experimentinthe extraction ofpectics11bstanesby the NANJI・NORMAN method and the quantitative estimation of these substances as CalciumpeCtate(Ca・PeCtate)by the CARR貞一HAYNES

method has produced the foliowingI・eSults:

(1)The s11itable temperature for extracting pectin with O。5%0Ⅹalicacid and O.5%Ammonium oxalate

WaS850C for both agents

(2)On the estimation curvesofpectic s11bstancesofCitrusnatsudaidai,White・fIeShedpeach(Okubo), tomato,CarrOt,Spindle tree(1eaf)and Poplar(1eaf),a maXimumwas reachedby O.5%0Ⅹalic acid・ SOluble pectinin 5 to 5 hrs.in each of the sanples except poplar,WhileinlO to24hrs。by O”5%

Ammonium oxalate−SOluble pectininal)the cases

(3)In the caseof the pectic stlbstazICeS deterzz)inedasCa−peCtate,the q11aJltity of pectinin alcohol Obsolute sol11tionincreasedwith the elapse of time of e=traCtion with eitheIOftheagents,D、5%0Ⅹalic

(7)

第17巻第1号(19占5)

acid and O。5%Ammor)ium oxalate

With thelatteragent the pectinin alcoholobsolute sol11tion waslargerinquantitythanwiththe former

agent,andintheprocessof24・houT eXtraCtionwith Ammoniu甲0Ⅹalate16%ofpectin wasfoundtobe

lost against the determined value

(4)Thequantity of Caand pectinin the Ca・peCtate Which was pr・oduced by the ordinary method from

pectin extIaCted at vaIIyingintervals of time for24hrs.from Citrus natsudaidaiwas as follows:78t0 8..6%0董Ca and59to67%of pectin(as11rOnic acid)with O.5%0Ⅹalicacid・SOlublepectin,While with O“5%Ammonium oxalate・$Oluble pectin,5.7to7u5%of Ca and59to40%of pectin.Illthelattercase

the quantity of both Ca and pectin decreased with the elapse of time of extraction.

Fromthese result$itfo1lows thatif pectin sol11tionis extractedin asshort atime as possible the Ca−

pectate method would be the more effective

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