平成23年度(第6回)金属資源関連成果発表会
~金属資源確保に対する生産技術面からの貢献をめざして~
平成23年9月8日
金属資源技術部 生産技術課
永井 秀典
希土類金属等回収技術研究開発
1
■総括1
¶ 背景 -レアアース(以下、RE)資源を中国に大きく依存する打開策として、中国以外でのRE資源確保と並んで、RE が利用される使用済み製品等からREを効率的にリサイクルする技術の開発・実用化が望まれている。 -輸入量の多いレアアース(RE)元素は、Y,Ce,La等であり、それらは、主に研磨材・蛍光体の原料として使 用されている。 → 研磨材 : Ce、La → 蛍光体 : Y、Eu、Tb、Ce、La (研磨材について) -光学レンズ、液晶ディスプレイ、ハードディスクなどのガラス表面の精密研磨処理に使用され、ガラス製造 メーカーにおいて、その研磨性能が低下すると、全量、産業廃棄物として廃棄されている。 (蛍光体について) -照明系の蛍光物質として使用され、廃棄される蛍光体の発生源としては、以下に大別される。 ①蛍光体製造時に発生するスクラップ(工程スクラップ) ②廃棄された蛍光灯内の蛍光体 (市場スクラップ) ③廃棄されたCRT内の蛍光体 -現状、国内で発生している廃蛍光体に含まれるREは、元素に分離された状態ではリサイクルされていない。 (回収された蛍光粉自体を再生蛍光粉としてリサイクルしている事例は在る) ①②には、FPD等のバックライト用蛍光体も含む■総括2
¶ 仮説 -RE原料の中国依存性の高さ、中国以外での資源開発状況、研磨材・蛍光体の代替材料開発状況を踏まえると、 REリサイクルのための技術開発は重要である。 (蛍光体について) -各元素毎にリサイクルした方が、レアアースのリサイクル製品としての価値が高い。 -蛍光体のレアアース元素(Y、Eu、Tb等)の製造は溶媒抽出法で実施されており、リサイクルプロセスとしては、 同法を保有するプロセスに廃蛍光体を繰返すことが、最尤と考えられる。 -電球型・コンパクト型蛍光灯の需要は更に増加すると考えられ、リサイクルの必要性は高まると考えられる。 ¶ 実施すべき事業の考え方 リサイクルの循環フローを成立させるべく、以下の考え方で事業を推進する。 (研磨材) -廃研磨材に含まれる不純物を、低コストで除去し、液晶パネル向けクラスの品質を満足する研磨材へ再生させ ること。 (蛍光体) -溶媒抽出技術にて、前出①~③の廃蛍光体中のレアアースを、成分毎に抽出分離出来る技術を開発すること。 (-複雑な構造である電球型蛍光灯等から、蛍光体を効率的に取出すことが出来る技術を開発すること。) (-リサイクルニーズ(規模、経済性、操作性等)に対応すべく、溶媒抽出等の代替技術の基礎も検討すること。)3
■研磨材・蛍光体のREの循環フロー
原料 (輸入) 研磨材製品 (Ce) ガラス製造 メーカー 市場 研磨ガラス 製品 研磨材 製造プロセス 家電 メーカー等 廃研磨材 <廃棄> リサイクル プロセス 家電製品 原料 (輸入) RE製品 (Y、Eu、Tb) 蛍光体製造 メーカー 家電メーカー等 市場 蛍光体 RE 製造プロセス 蛍光体 (工程スクラップ) 蛍光体( 市場スクラップ) RE回収プロセス 廃家電製品 <廃棄> 研磨材の循環フロー 蛍光体の循環フローリサイクルプロセスを開発し、研磨材・蛍光体の循環フローを確立する。
-蛍光体の循環フローは、研磨材に比べ複雑となる。
JOGMEC
金属資源技術部 生産技術課
経済産業省 鉱物資源課
有識者による
委員会
企業
研究機関
大学
公募
提案
公募
提案
■事業の推進機構
-平成21年度に経済産業省の補助金交付先の公募に対し、JOGMECから提案し、交付認可となった。
-JOGMECから研究先を公募し、企業、研究機関、大学へ委託・共同研究テーマを推進している。
委託
共同
共同
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中国(鉱石から原料まで)
鉱石
硫酸焙焼
硫酸希土液
硫酸複塩
水酸化希土
塩酸溶解
炭酸塩
<第1精製>
F
Ba、Ca、Si
P、Fe
・鉄鉱石 ・バストネサイト ・モナザイトの複合鉱石<第2精製>
炭酸塩
塩酸溶解
溶媒抽出
炭酸塩
熱処理
原料
(Ce、La、Pr、Ndの複合酸化物) 中~重希土<原料から研磨材まで>
原料
粉砕
化学処理
乾燥
焼成
分級
研磨材
■(テーマ1)研磨材再生技術の開発
中国にて、鉱石から精製された原料が日本に輸入されている。
研磨材の製造プロセス
日本での製造プロセス
日本では、研磨材としての品質の造り込みが実施されている。
研磨材の製造プロセス
使用用途別(研磨グレード別)に、粒子径の異なる研磨材製品が製造されている。
日本での研磨材製造プロセス
焼成 製品 研磨材■(テーマ1)研磨材再生技術の開発
原料
粉砕
化学処理
濾過
乾燥・焼成
分級
製品研磨材
多品種有り
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酸化セリウム系研磨材製品は、TREO90~97%、研磨用途によって粒径の異なる品種が製造
されている。
項目
TREO (Total Rare Earth Oxide) F (%) (%) CeO2 (%) La2O3 (%) Pr6O11 (%) Nd2O3 (%) 研磨材製品 90~97 50~70 25~40 2~8 0.1~15 1~15
品位
品種別平均粒径
と特徴
品種 平均粒径(μ m) 特徴 ブレーン法 レーザー回折散乱法 研磨材製品 E05 0.3~0.5 0.5~0.9 最終仕上げ用 E10 0.4~0.7 0.8~1.3 最終仕上げ用 E20 0.7~1.0 1.0~1.5 1次研磨及び最終仕上げ用 E30 0.9~1.2 1.2~1.6 1次研磨用 E40 1.2~1.7 1.8~2.3 1次研磨用■(テーマ1)研磨材再生技術の開発
研磨材製品
精密研磨ほど粒径が小さい E10 E20 E30 0.2 0.4 0.6 0.8 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 研磨レート[μ m/min] 研磨 面粗 さ R a[ nm ] 面 の 粗さ (nm ) 研磨レート(μ m/min)60 70 80 90 100 110 120 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 研磨キズ [ % vs.製品 ] 研磨 レ ー ト [ % vs .製品 ]
研磨材の評価は、ガラスを研磨し、ガラスを研磨する速度=研磨レート[
μ m/min ] とガラス表
面に発生した研磨キズ [ 本 ] を計測し、評価している。
研磨パッド ホルダー 研磨の様子 研磨材 ガラス 研磨レートは 削りしろから算出 ガラス 削りしろ 数mmのキズを カウント 研磨キズ 製品同等レベル 良■(テーマ1)研磨材再生技術の開発
研磨材の評価
9 水分 TREO F Fe Si Ca Al Mg Sr 研 磨 材 廃 滓 A 60.6 69.8 3.5 9.86 1.88 0.62 0.45 0.06 0.08 B 60.1 51.9 2.1 18.2 2.71 0.40 1.84 0.05 0.10 C 51.0 77.4 4.1 0.10 1.93 0.17 3.34 0.05 0.09 D 56.6 60.2 3.4 12.8 1.73 0.23 0.65 0.04 0.18 E 72.7 65.8 3.2 0.10 3.50 0.55 4.81 0.13 0.22 製品 96.1 6.0 0.29 0.02 0.03 0.06 ≦0.01 ≦0.01 ガラス由来の成分 凝集剤由来の成分
廃研磨材の性状
製品研磨材と廃研磨材の組成 青異物 ポリエステル系 炭酸塩 黒糸 ポリアミド系物質 (タンパク質・・・髪) 緑異物 エポキシ樹脂 白異物2 無機塩 赤異物 カルボン酸塩 白異物1 炭酸塩 透明系異物 SiO2 青糸 ポリアミド系物質(ナイロン) 白糸 ポリエステル系物質 (PET) 白糸 セルロース系物質 その他異物 塩化ビニル 黒異物① 活性炭 黒異物② ポリエステルウレタン (研摩パッド) 廃研磨材中に含有される異物のFT-IR測定例 廃研磨材には、研磨材組成以外の不純物が含まれており、研磨工程以外からも多くの種類の不純物が混入。■(テーマ1)研磨材再生技術の開発
廃研磨材リサイクルプロセス
研磨材廃滓 分散処理1 凝集剤除去 ろ過 リスラリー化 分散処理2 異物除去2 異物除去3 乾燥・焼成 粉砕・分級 リサイクル研磨材 異物除去1 凝集剤成の除去 異物の除去 研磨材への再生 研磨材廃滓 分散処理1(攪拌機構造) ろ過 凝集剤除去 スラリー化 分散処理2 (剪断分散機 ) 異物除去3 (フィルター式) 異物除去2 (振動膜式濾過) 異物除去1 乾燥・焼成 粉砕・分級 リサイクル研磨材 現在まで、不純物除去の各要素技術とそれに係る課題を克服し、リサイクル処理フローの骨子は固まってきている。■(テーマ1)研磨材再生技術の開発
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新規処理フローで作製したリサイクル研磨材は、製品と同等レベルの評価結果となっている。
項目 単位 製品 研磨材廃滓 リサイクル研磨材 D50 μ m 1.09 0.60 0.85 Fe % 0.37 18.99 0.19 Si % 0.02 3.33 0.04 60 70 80 90 100 110 120 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 研磨キズ [ % vs.製品 ]研磨
レ
ー
ト
[
%
vs
.製品
]
<製品同等レベル領域> リサイクル研磨材 良 研磨レート [ % vs. 製品 ] 120 110 100 80 70 60 90 良 研磨キズ [ % vs.製品 ] 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200■(テーマ1)研磨材再生技術の開発
リサイクル研磨材の評価例
■(テーマ2)蛍光体のRE回収技術の開発
製品
原料
(輸入)
希土類製品
(Y、Eu、Tb)
蛍光体製造
メーカー
家電メーカー
市場
廃蛍光体 製品蛍光体
希土類
製造メーカー
蛍光体
工程スクラップ
1)ガラス化抽出法 2)メカノケミカル粉砕 溶解法 含浸樹脂法Y
Eu
Ce、La
選別法A 直管型 環型電球型
コンパクト型 廃CRT 選別法B 選別法C 選別法D 選別法E溶解
廃蛍光体Y溶媒抽出
廃蛍光体X 廃蛍光体Z前処理
-市場スクラップについては、効率の悪い電球型からの廃蛍光体の回収についても検討する。Tb
蛍光体
市場スクラップの発生源
<代替技術> <代替技術> 工程・市場スクラップからの廃蛍光体を溶媒抽出法により、各レアアース成分を分離回収する。 -プロセス代替技術として、ガラス化抽出・メカノケミカル粉砕・含浸樹脂法の基礎も併せて研究する。13 Y2O3 Eu2O3 S Cu 73.6 4.32 8.40 0.03 Fe Zn Si - 0.04 0.08
CRT用蛍光体
(%)CRT用蛍光体 Y
2O
2S ⇒
Y
2O
2S:
Eu
La2O3 CeO2 Tb4O7 P2O5 41.2 19.2 10.1 27.2 MgO SiO2 Al2O3 1.53 0.674 0.175ランプ用蛍光体
(%)ランプ用蛍光体 LAP ⇒
La
PO
4:
Ce,Tb
■(テーマ2)蛍光体のRE回収
廃蛍光体の性状
<工程スクラップ分析例>
<市場スクラップ分析例>
(%) A B C D E Y2O3 42.7 45.1 10.0 9.42 9.76 Eu2O3 3.06 2.96 0.7 0.73 0.79 La2O3 14.2 12.6 3.43 3.18 3.5 CeO2 6.42 5.46 1.61 1.56 Tb4O7 3.28 2.69 0.7 0.67 0.74 69.66 68.81 16.44 14.00 16.35 P2O5 9.25 9.57 27.1 14.9 26.5 Al2O3 5.19 2.65 1.79 3.67 2.32 BaO 3.89 5.45 1.5 2.47 2.13 CaO 1.49 2.61 44.9 36.3 43.0 SiO2 0.62 0.21 3.08 14.2 0.93 SrO 8.29 9.07 3.11 3.73 Fe2O3 0.07 0.05 0.02 0.48 0.15 MgO 0.53 0.29 0.83 0.25 NiO 0.23 0.29 0.13 0.20 0.14 MnO 0.05 1.14 0.40 1.02 Cl 0.73 0.92 0.42 0.42 0.54 F 2.76 1.83 Sb2O3 0.54 0.38 0.52 PbO 3.37 0.02 ZnO 0.04 0.10 0.03 Pb 0.008 0.0044 0.0016 2.4 0.0076 Hg 0.0004 0.0002 0.0006 0.0006 0.0002 Cr <0.002 <0.002 <0.002 0.005 <0.002 不 純 物 成 分 定 量 分 析 レ ア ア ー ス五種類の市場蛍光体
市場スクラップには、重金属を含む様々な不純物成分が含まれている。
処理フローの決定
廃蛍光体スクラップ 篩分 ろ過 ろ液 Hg・Pb・除去 ろ過 ろ液 残渣 残渣 アルカリ溶融 リパルプ リパルプケーキ リパルプ洗浄液 塩酸溶解 P除去排水処理 溶媒抽出分離 乾燥 ろ過 ろ液 残渣 ろ液 Al 除去 ろ過 Na2S添加 Na2S添加 PH3.5~4 PH3.5~4 篩下 篩上 洗浄ケーキ 残渣 塩酸洗浄 排水処理 解砕 Ba,Ca,Sr除去 ガラス屑 PH3.0~3.5 Hg・Pb・除去 Y,Eu,Tb,La,Ce, 混合液■(テーマ2)蛍光体のRE回収
各要素プロセス実験を繰返し、以下の連続フローを構築した。
溶解液にAlを添加し、クラッドの発生状況を調査
溶媒抽出におけるAlの影響調査例
Y・Eu溶解液抽出でのAlの影響として、Alが200ppm以上になると
クラッド
が発生し、分相不
能となり、分離操業が出来ない。
Y2O3 Eu2O3 Ca Ba Sr Al Si Mg g/l g/l g/l g/l g/l mg/l mg/l mg/l 78.3 5.5 1.9 3.6 17 200 30 25 溶解液 組成 20%PC-88A Na負荷 水相抜取 500ml 1L分液ロート 抽出 1N-NaOH 溶解液75ml Al添加 シェーカー30分振とう シェーカー10分振とう 静置 Na負荷Solv. 65% 67% 63% 正常 界面にクラッド相存在、 Box内に溜まり分離操業 に支障あり クラッドの 発生状況 RE抽出率 67% 分離への影響 500ppm 1.70 3分後 10分後 10分後 10分後 平衡PH 1.65 Al品位 静置時間(写真) 1.65 1.65 200ppm 300ppm 400ppm 24Hr静置しても分相しない⇒操業不可 溶媒抽出においてAlはクラッ ドを発生させる一成分 クラッド■(テーマ2)蛍光体のRE回収
15 水相 有機相ミキサーセトラー段数 150段 例:20段/基 20段/基×7基 + 10段/基×1基 + 負荷Box×1基 攪拌機 A相 O相 ミキサー部 3.9L/段 セトラー部 11.8L/段 適時接続方法と段数の変更が可能 (4倍容量) 実工程と相似性の高い、数百キロレベルの原料で実証可能な小規模ミキサーセトラー設備を設置した。
溶媒抽出実験装置
■(テーマ2)蛍光体のRE回収
17 水相-Y、Eu組成 0.001 0.01 0.1 1 10 100 1 3 5 7 9 11 15 20 25 30 35 40 45 Box 組 成 ( % ) Y2O3 >99.99% Eu2O3 >99.99% 条件変更前 Y2O3品位 条件変更後 Y2O3品位 Y-Euの分離 工程スクラップの分離曲線例 Tb-Ce・Laの分離 ミキサーセトラーを用いて、各成分の分離試験を実施中である。 溶媒抽出分離例 条件変更
■(テーマ2)蛍光体のRE回収
1次分離 ランプ用蛍光体 スクラップ処理液 Y Tb (La・Ce・Eu・Tb・Y)混合液 (La・Ce・Eu・Tb)液 (La・Ce・Eu)液 Eu (La・Ce)液