H12・13 研究−Ⅲ
米国の建設資材等に関する価格調査の現況
− 調査研究報告書 −
2001
2001
2001
2001 年9月
年9月
年9月
年9月
財団法人 経 済 調 査 会
経 済 調 査 研 究 所
「米国の建設資材等に関する価格調査の現況」
目 次
1.調 査 概 要 1.1 調査目的 1.2 調査内容 1.3 調査対象国 1.4 調査対象機関 1.5 調査方法 2.アメリカにおける建設資材等価格調査機関の調査結果 2.1 R.S. Means 社 2.2 Richardson 社 2.3 Saylor 社 2.4 McGraw-Hill 社「ENR」 3.調査機関における電子商取引への対応状況と将来構想 3.1 調査方法 3.2 回答状況 3.3 調査結果 3.4 将来の構想 4.ま と め −現状と今後の見通し− Ⅲ- 1 Ⅲ- 1 Ⅲ- 1 Ⅲ- 2 Ⅲ- 3 Ⅲ- 3 Ⅲ- 4 Ⅲ- 8 Ⅲ-15 Ⅲ-17 Ⅲ-19 Ⅲ-21 Ⅲ-21 Ⅲ-21 Ⅲ-21 Ⅲ-24 Ⅲ-26 ※PDF形式の報告書文中の、 ※PDF形式の報告書文中の、 ※PDF形式の報告書文中の、 ※PDF形式の報告書文中の、青色枠で囲まれたか所および青色表示のU青色枠で囲まれたか所および青色表示のU青色枠で囲まれたか所および青色表示のU青色枠で囲まれたか所および青色表示のURL部分RL部分RL部分RL部分 は、該当する別のPDFファイルまたはURLへのリンクが設定されています。 は、該当する別のPDFファイルまたはURLへのリンクが設定されています。は、該当する別のPDFファイルまたはURLへのリンクが設定されています。 は、該当する別のPDFファイルまたはURLへのリンクが設定されています。Ⅲ−1
1.調 査 概 要
1.1 調査目的 先進国における建設資材等価格調査の現状および、その電子商取引の動きへの対応状 況を調査することにより、今後の資材等価格調査の動向に関する基礎資料収集を目的と する。 1.2 調査内容 次の項目について、主としてアメリカにおける建設資材等の価格調査の内容及び、公 表方法などに関して調査を行った。 1)アメリカにおける建設資材等の価格調査の現状 アメリカにおける建設資材等価格調査機関の価格調査の現状について、下記の項 目を調査した。 ・ 資材等価格の調査方法 ・ 調査サイクル ・ 調査対象資機材 ・ 調査対象地域・地区 ・ 調査先、調査件数 2)アメリカにおける建設資材等価格の調査結果公表の現状 建設資材等価格情報の公表内容について、下記の項目に従って調査を行った。 ・ 公表対象資材と、刊行物種類及び発行部数 ・ 利用者の構成 ・ 価格データの精度Ⅲ−2 ・ 価格公表方法 A (公表書誌名、CD−ROMなど磁気媒体提供での現状) ・ 価格公表方法 B (ホームページ等、IT対応での価格公表、情報提供の現状) ・ 価格公表方法 C (特定会員のみへの限定情報提供制度の有無) 3)アメリカにおける建設資材等価格情報の使い方に関する現状 アメリカにおける建設資材等価格情報の使い方に関して、その主な特徴を調査し、 日本における使い方との比較を行った。 4)価格調査機関による電子商取引時代への対応状況 アメリカおよび世界の主要先進国の価格調査機関に対して、電子商取引時代への 対応状況および将来の利用構想等に関するアンケート調査を行った。 5)新しい分野における情報提供の現状 アメリカの価格調査機関において取組みが始められている、ストック(不動産) 関連市場に関するコスト情報提供の現状についても調査を行った。 現在、アメリカにおいては、FM(ファシリティマネジメント)やLCC(ライ フサイクルコスト)面の検討に役立てるための情報として、メンテナンスコスト、 リノベーションコスト、施設運用管理コスト、環境保全コスト等、ストックマネジ メント関連のコストデータに関する需要が急速に増えつつあると言われる。 そこで価格調査機関によるこれらの市場への対応状況を調査したものである。 6)アメリカの電子商取引の現状 主にアメリカにおける電子商取引(EC)の歴史と電子調達への推移をとりまと めた。 1.3 調査対象国 先進国のうち、アメリカを主とした。
Ⅲ−3 1.4 調査対象機関 下記の価格調査機関を調査対象として選択した。 アメリカ企業においては、「1.3調査内容」の項目1)∼6)の全てを対象として 調査を行った。 アメリカ以外の各国企業においては、項目4)の電子商取引時代への対応について調 査を行った。 1)アメリカの建設資材等価格調査機関: ① R.S.Means ② Richardson ③ Saylor ④ McGraw-Hill(「ENR」) 2)イギリス(UK)の価格調査機関:
・ BCIS(Building Cost Information Services)
3)イギリス(UK)のコンサルタント: ① Northcroft
② EC Harris
③ Davis Langdon & Everest
4)フィンランドのCM/コントラクター: ・ SRV Viitoset Oy 1.5 調査方法 調査方法は、下記によった。 ①インターネット・文献・その他の諸資料を収集し、情報を取りまとめる。 ②アメリカの実状に関するヒアリング結果や、これまでの聞き取り情報を取りまと める。 ③IT利用による価格情報収集の試行や、将来の利用構想などに関しては、別途統一 的な設問を設け、先進国調査機関に対するヒアリングまたはe−メールによるアン ケート調査を実施して取りまとめる。
Ⅲ−4
2.アメリカにおける建設資材等価格調査機関の調査結果
アメリカにおける価格調査機関への現状調査は、下記の 4 機関を対象として行った。 その調査結果については、要約を表−1に取りまとめ、さらに各調査機関ごとの詳細な内容 は表−1の後にコメントとして取りまとめた。 ① R.S.ミーンズ(R.S.Means)社 (マサチューセッツ州) ② リチャードソン(Richardson)社 (アリゾナ州) ③ セーラー(Saylor)社 (カリフォルニア州) ④ マグローヒル(McGraw-Hill)社「ENR」 (ニューヨーク州)表−1 建設資材等価格調査方法等および結果公表に関する現状(要約)
設問項目 R.S.Means Richardson Saylor McGraw-Hill
調査人数 ・ 約 20 名+4∼5 名の パート ・稼動調査員 15∼18 名 (社外要員も含む) 民間コストコンサルタ ントに外注委託(11 名) 調査方法 ・ 郵送、電話 ・電話(最も多い)、 FAX、E メール ・ 郵送、電話、面接 1-a) 調査方法 掲 載 価 格 の 決定 ・ 平均 ・ 85%有効レベル ・ 最頻値 米国 20 都市と、カナダ2 都市の調査員が、毎月同 じ業者より情報を収集す る。 1-b) 調査サイクル (主な刊行物発行月) ・年1回、指数は年4回 (主な刊行物発行:10 月) ・年1回 (主な刊行物発行:3 月) ・年1回 (主な刊行物発行:12 月) ・毎月 1-c) 調査対象資材 ・ 40,000∼50,000 項目 ・ 約 20,000 項目 ・約 20,000 項目 ・21 項目、21 職種 1-d) 調査対象地域・地区 ・ 全米 930 都市 ・ 全米 127 都市、 海外 40 都市 ・128 都市 (カナダを含む) ・ 全米 20 都市、 カナダ 2 都市 1-e) 調査先件数 ・ 10,000∼11,000 社 ・ 500∼2,000 社 (平均 1,200 社) ・1 資材当たり 3 社以上 全体社数不明 不明 Ⅲ− 5
設問項目 R.S.Means Richardson Saylor McGraw-Hill 2-a) 公表対象資材 ・90,000 項目 ・ 20,000 項目 ・ 20,000 項目 ・21 項目、21 職種 主 な 刊 行 物 ・Building Construction Cost Data (35,000 部)
・ Process Plant Cost Estimating Standard (1,400 部) ・ General Construction Cost Estimating (600 部) ・Current Construction Costs (部数不明) ・ENR: (Engineering New-Record) (週刊誌:公表対象資材 を週ごとに分けて調査 刊行している)
・Quarterly Cost Reports (季刊誌) 2-b) 刊行物の種類 及び発行部数 発 行 部 数 ・ 合計 220,000 部 (うち定期購読者 175,000 部) 合計 ・ 2,850 部 ・ CD-ROM 510 部 ・ 積算データベース 330 部 ・合計 5,000 部以下 (発行部数 不明) Ⅲ− 6
設問項目 R.S.Means Richardson Saylor McGraw-Hill 官公庁 10% 10% 5% 不 明 コ ン ト ラ クター 49% 30% 47% 不 明 コ ン サ ル タント 11% 10% 48% 不 明 民 間 発 注者 7% 50% (プラントオーナーが多い) − 不 明 2-c) 利用者の構成 その他 23% − − 不 明 2-d) 価格情報の精度 ・ 資材価格は実勢より 高め ・ 一般に市況より高いと 認識されている ・ 価格の精度に対する説 明要求はない ・ クレームがあった場合 のみ理由を調査 ・ 条件が異なる場合が 多い ・ 低い価格を掲載する と、クレームがくるこ とがある ・価格の変動を早期に指 標として出すことが目 的であり、実際の価格 は地方の状況により異 なる。 Ⅲ− 7
Ⅲ−8 2.1 R.S.Means 社 (R.S.ミーンズ)
企業概要:R.S.Means Company, Inc.
Construction Plaza, 63 Smiths Lane Kingston, MA 02364-0800 URL http://www.rsmeans.com/ R.S.ミーンズ社は、北米における建設コスト情報のリーディングサプライヤーである。ミー ンズは、建設市場データグループの一員として、新規建設及び改修建設プロジェクトのコスト コントロールに役立つ正確かつ最新のコスト情報を、建築士、技術者、コントラクター等に提 供していると評価されている。 またミーンズは、建設コストブックの出版の他にも、建設見積及びファシリティマネージメ ント(FM)に関するセミナーの開催、電子コストデータベースとソフトウェアの販売および コンサルティング業務を実施している。その他にも、カナダ、メキシコ、ロシアの建設市場に 関する情報も提供している。 1)建設資材等価格調査の現状 R.S.ミーンズ社における建設資材等価格調査の現状は、下記のとおりである。 a) 調査方法: 調査担当職員は約 20 名で、4∼5 名のパートが手伝っている。 調査先1か所ごとに対し、多くの項目についてのヒアリングを実施しており、現状で は電話と郵送による調査が主体である。 今後はインターネットによる調査方法も検討中とのことである。 調査、収集したコストデータに対し、調査担当職員が前年度の実績、自社の参考デー タ等を考慮して、最終的に決定価格を判断している。 b) 調査サイクル: 単価の更新調査は年1回、指数については年4回の調査更新を行っている。 翌年向けの価格情報誌の調査については、毎年9月頃には完了しており、10 月に主な 刊行物である「Means Building Construction Cost Data」として発行している。
Ⅲ−9 c) 調査対象資材: 床・壁・天井等の各部位ごとに、同じ項目を調査対象として設けているため、調査項 目は 40,000∼50,000 項目程度になる。 また年4回の指数調査は、9タイプの建物モデルについて、66 の資材、21 の職種、6 種の建設機械リース料を対象にしている。 d) 調査対象地域・地区: 全米 930 都市を対象としている。 e) 調査先、調査件数: ベンダー(サブコン)、サプライヤー(メーカー)を主体に、10,000∼11,000 社を対 象として調査を行っている。 調査は、主要資材に関しては 30∼40 社を対象として実施している。資材によって最小 の場合でも3社を対象として調査を行っている。 また、労務費調査の対象は、ユニオンを主体としている。さらに、米国政府の労務費 データも用いている。 2)建設資材等価格の調査結果公表の現状 a) 公表対象資材: 90,000 項目(建築、設備、土木を合わせたもの)。 b) 刊行物の種類及び発行部数: 主な情報誌としては、下記の3種がある。
・コスト情報: 「Building Construction Cost Data」 ・床面積当たりの価格情報: 「Square Foot Cost Data」
・施設の内部改修用価格情報: 「Facility Construction Cost Data」
価格情報誌の年間発行部数は、全種類の合計で約 220,000 部。その内、約 175,000 部 は定期的な購読者によるものである。
Ⅲ−10
現在、販売中の価格情報誌は以下のとおりである(29 種類・アルファベット順):
1. Means Assemblies Cost Data 2001
2. Means Building Construction Cost Data 2001
3. Means Building Construction Cost Data 2001 Loose-leaf
4. Means Building Construction Cost Data − Metric Version 2001
5. Means Building Construction Cost Data 2001 −Western Edition 2000
6. Means Concrete & Masonry Cost Data 2001
7. Means Construction Cost Indexes 2001
8. Means Contractor’s Pricing Guide: Framing & Rough Carpentry 2000
9. Means Contractor’s Pricing Guide: Residential Detailed Cost 2000
10. Means Contractor’s Pricing Guide: Residential Square Foot Costs 2000
11. Means Electrical Change Order Cost Data 2001
12. Means Electrical Cost Data 2001
13. Means Environmental Remediation Cost Data−Assemblies Cost Book 2000
14. Means Environmental Remediation Cost Data−Unit Cost Book 2000
15. Means Facilities Construction Cost Data 2001
16. Means Facilities Maintenance & Repair Cost Data 2000
17. Means Heavy Construction Cost Data 2001
18. Means Heavy Construction Cost Data 2000 − Metric
19. Means Interior Cost Data 2001
20. Means Labor Rates for the Construction Industry 2000
21. Means Light Commercial Cost Data 2000
22. Means Mechanical Cost Data 2001
23. Means Open Shop Building Construction Cost Data 2001
24. Means Plumbing Cost Data 2001
25. Means Repair & Remodeling Cost Data 2001
26. Means Residential Cost Data 2000
27. Means Site Work & Landscape Cost Data 2001
28. Means Square Foot Cost Data 2001
29. Means Yardsticks for Costing 2000
注)誌名中の西暦は、調査月により最新のものが刊行されている場合がある。 c) 利用者の構成: コントラクター 49% 建築家・設計事務所 11% 官公庁 10% 民間発注者&その他 30%
Ⅲ−11 d) 価格データの精度: 資材価格は、実勢水準の市況よりやや高めに設定されている。 またハリケーン等の自然災害による価格変動があっても、価格には加味されない。 3)アメリカにおける建設資材等価格情報の使い方について R.S.ミーンズ社が提供している価格情報データは、発注者、設計者、コントラクター等の ユーザーにとって、通常実際の市況レベルよりやや高いと認識されている。 したがって、ミーンズ社の価格情報の使い方は、ユーザー側がコストデータを有していな い場合の補完的なチェック用データとして、あるいは自社データを有している場合の客観的、 ガイド的な役割として一般的に位置付けられ、使用されている。また自社データでは不足し ている地域・地区指数や、経年変動の時点修正用に用いられる。 またミーンズ社では、価格情報誌のユーザーが、建設計画・設計段階や、入札・契約、工 事の各段階での利用、その他の目的に応じて使い分けることができるように配慮し、各種の 価格情報誌を出版している。 使用するユーザーの各目的や段階ごとに、主な出版物は次のように体系付けられている。 ①主として企画構想段階で利用されている価格情報誌 「Square Foot Cost Data」
「Yardstick for Costing」 「Residential Cost Data」
②主として計画・設計の進行段階で利用されている価格情報誌 「Assemblies Cost Data」
③主として実施設計、入札、契約時折衝段階で利用されている価格情報誌 「Building Construction Cost Data」
「Electrical Cost Data」 「Mechanical Cost Data」 「Plumbing Cost Data」
「Concrete & Masonry Cost Data」 「Heavy Construction Cost Data」 「Constructor’s Pricing Guide」 「Interior Cost Data」
Ⅲ−12
④変更工事の折衝段階で利用されている価格情報誌 「Electrical Change Order Cost Data」
⑤ユーザー保有データの運用時点修正や、地域修正用のコスト指数データ 「Construction Cost INdexes」
⑥労務費データ
「Labor Rates for the Construction Industry」 「Open Shop Building Construction Cost Data」
4)電子商取引時代への対応 (1)建設資材等価格データの収集面でのインターネット利用度合 現在のところ、インターネット等を利用した取引価格情報データの収集や調査活動は、 ほとんど行われていない。 しかしながら、将来的にはインターネット等を利用した価格調査方法を導入し、その利 用度合いを増加させていきたい、との構想を有しているとのことである。 (2)ミーンズ社における情報電子化の状況 ①電子化情報による価格情報の提供 a)CD−ROMによるデータ提供と、売上の増加傾向 CD−ROM版である「Means CostWorks」には、書籍版のコストブック 16 冊分のデ ータがすべて収められて販売されている。 ユーザーが「Means CostWorks」を注文すると、ミーンズ社からは代金を支払ったコス トブックに対応するデータのみ読み出し可能な、パーソナル・アクセスコードが与えら れる。またCD−ROM版の購入ユーザーが、追加データを購入する場合も、追加のコ ストブックにアクセス可能となる新規のパスワードがミーンズ社から与えられる。この 新パスワード取得で、初回に購入したCD−ROMに対して、追加データが読み出し可 能となる。 ミーンズ社によると、この過去3年間でCD−ROMの売上は、書籍本による売上の 10%を占めるようになってきたとのことである。 同社では、今後も引き続きCD−ROM版の売上が増加するとの見通しを持っている。 またミーンズは、積算システムのソフトハウスである Timberline Asset Works や、Win
Ⅲ−13
Estimator, Success、BSD Cost Link、G2 Estimator、Pulsar 等に対し、CD−ROM 版による価格データの提供も開始している。
しかしながら、今のところ売上に占める比率は少ないとのことである。
b)インターネットによる価格情報の提供
ミーンズ社は、有料でインターネットにより「建物別、床面積当たりのコストデータ: Square Foot Cost Data」を提供している。具体的には、インターネットを経由し、概算 予算額を知りたい計画モデルの建物用途、階数、延床面積、建設地を入力すると、建物 建設の概算額が算出されるシステムである。 この使用料として、1モデルにつき 24 時間利用可能で、30 米ドル(約 3,400 円程度) を徴収している。また全モデルのデータが入手できるサービスは、年間 150 米ドル(約 17,000 円程度)である。 ヒストリカルデータは 58 タイプの建物床面積当たりの実績値であり、このデータの提 供は無料で行っている。
また近々発売を予定している「Cyberplaces: The Internet Guide for Architects、
Engineers、 Contractors & Facility Managers(第2版)」は、設計者、エンジニア及
び経営者向けのインターネットガイドで、Webサイトの作成から、バーチャルプライ ベートネットワークの構築、プロジェクトマネージメント等をカバーしているものであ る他、先端企業のケーススタディを紹介している。 ②将来の情報の電子化について ミーンズ社では、書籍本である価格情報誌の発行部数は、徐々に減少していき、引き 続きCD−ROM版の売上や、インターネットを利用したデータ提供が増加していくと の見通しを持っている。 その反面で、ユーザーであるコストエンジニアには、これまで長い間慣れ親しんだ“紙 ページをめくる感覚”が身に付いているため、書籍本によるデータ提供=売上が一気に 減少したり、なくなったりすることはないであろうとの見方も同時に持っている。 5)新しい分野での情報提供 R.S.ミーンズ社が、公表、出版している建設施設ストック(環境保全/既存建物のメンテナ ンス)関連市場に対するコスト情報誌は、下記のとおりである。 ①環境保全コストデータ
Ⅲ−14 ②建物内部の改修コストデータ
「Facilities Construction Cost Data」
③建物内部の小修繕コストデータ
「Facilities Maintenance & Repair Cost Data」
④大規模改修コストデータ
Ⅲ−15 2.2 Richardson 社 (リチャードソン)
企業概要:Richardson Engineering Services, Inc. 1742 S. Fraser Drive PO Box 9103 Mesa, AZ 85214-9103 Tel: 480-497-2062 Fax: 480-497-5529 URL http://www.resi.net/ アリゾナ州に事務所を持つ価格情報機関である。 特にアメリカ以外におけるプロセスプラント関連のユーザーが多い。 1)建設資材等価格調査の現状 a) 調査方法: 調査員として実際に動いているのは 15∼18 名。(社外要員も含む)電話調査が最も多 く、FAXやe−メール、インタビュー調査も実施している。 労務費は、年に2回外部(NLRC;ユニオン系と米国政府;デイビスベーコン法) より労務費情報を購入し、2つの情報を分析した上で労務費を決定している。 またAMCO(サウジアラビア)などのプラントオーナーからも価格情報を得ている。 b) 調査サイクル: 年1回更新。
「Process Plant Cost Estimating Standards」の発行月は3月。
c) 調査対象資材:
約 20,000 項目。
d) 調査対象地域・地区:
Ⅲ−16 e) 調査先件数: 調査先は、対象資材の選定や変動によって毎年 500∼2,000 件と差が大きく、平均では 海外調査先を含み 1,200 件を対象としている。 2)建設資材等価格の調査結果公表の現状 a) 公表対象項目: 約 20,000 項目。 b) 刊行物の種類及び発行部数: 刊行物 2,850 部、 CD-ROM 510 部、 積算ソフト&データベース 330 部。
① Process Plant Cost Estimating Standards 1,400 部
同 上 CD-ROM 版 250 部 ② General Construction Cost Estimating Standards 600 部 同 上 CD-ROM 版 100 部
③ International Cost Factors Location Manual 350 部
同 上 CD-ROM 版 60 部
④ Richardson’s Cost Trend Reporter 500 部
同 上 CD-ROM 版 100 部 ⑤ WinRace (積算ソフト) 250 部 積算ソフト向け データベース 80 部 c) 利用者の構成: プラントオーナー 50% ゼネコン 25% 官公庁 10% 建築家&設計事務所 10% 専門工事業 5% d) 価格データの精度: 摘要条件等が異なる場合が多いと言われている。
Ⅲ−17 2.3 Saylor 社 (セーラー)
企業概要:Saylor Publications, Inc
9420 Topanga Canyon Blvd. Suite 203 Chatsworth, CA TEL 818-718-5966 FAX 818-718-8024 URL http://www.saylor.com/ カリフォルニア州に事務所を持つ価格情報機関である。全体の約 80%がカリフォルニア州の ユーザーであり、さらにその内の 85%がロッキー山脈の西側に在住しているユーザーである。 その他は、ニューヨーク、ワシントン、中西部在住のユーザーである。 1)建設資材等価格調査の現状 a) 調査方法: 企業の調査担当者は 11 名と回答があったものの、実質的な調査はすべてロスアンジェ ルスにあるコストコンサルタントにより行われている。 労務費に関しては、ユニオンとオープンショップの両方を調査している。
設備機材は、NECA(National Electric Construction Association)などの業界 団体やセールスマンに対して、ヒアリングや見積徴収を実施している。
掲載価格は、原則として調査対象3件以上のサンプルの最頻値を採用している。
b) 調査サイクル:
年1回。
「Current Construction Costs」の発行月は、12 月。
c) 調査対象資材:
調査項目は 20,000 項目程度
d) 調査対象地域・地区:
Ⅲ−18 e) 調査先件数: 調査先は1資材当たり3社以上、全体の対象数は不明。 2)建設資材等価格の調査結果公表の現状 a) 公表対象資材: 20,000 項目。 b) 刊行物の種類及び発行部数: 発行部数の合計は 5,000 部以下で、刊行物の種類は下記のとおりである。:
1. Current Construction Costs 2. Residential Construction Costs 3. Remodeling/Repair Costs 4. Commercial Square Foot Costs 5. Residential Square Foot Costs
c) 利用者の構成: ゼネコン 38% 建築家・設計事務所 24% 積算事務所 24% サブコン 9% 官公庁 5% d) 価格データの精度: 低い価格を掲載した場合に、クレームが来ることがある。
Ⅲ−19 2.4 McGraw-Hill 社「ENR」 (マグローヒル)
企業概要:The McGraw-Hill Companies
Two Penn Plaza, 9th floor New York, NY 10121 Engineering News-Record URL http://www.enr.com/ マグローヒル社の発行する「Engineering News-Record、通称:ENR」は、建設全般を取 り扱う週刊誌である。米国 20 都市とカナダ2都市における次の資材等価格調査を毎週行いな がら、その調査結果の掲載を行っている。 第1週 アスファルト、セメント、生コンクリート、ブロック、骨材 第2週 配管類(コンクリート、鋳鉄管、PVC管など) 第3週 木材、型枠材、石膏ボード 第4週 鉄骨、鉄筋、アルミニウム、ステンレス板 第5週 組合労務費 ※3月、6月、9月、12 月には、建設コストの動向分析を発行している。 また、建設コストに関して、毎月1回、米国 20 都市と全米平均の「Construction Cost Index:CCI」と「Building Cost Index:BCI」を掲載している。CCIとBCIの違 いは、労務費の算出方法にある。 1)建設資材等価格調査の現状 a) 調査方法 米国 20 都市とカナダ2都市の調査員が、毎月同じ業者より情報を収集する。 b) 調査サイクル 毎月。 c) 調査対象資材 資材単価 21 項目。 ユニオン労務費 21 職種。
Ⅲ−20 d) 調査対象地域・地区
米国 20 都市とカナダ2都市を対象としている。
米国 20 都市(Atlanta、Baltimore、Birmingham、Boston、Chicago、Cincinnati、Cleveland、
Dallas、Denver、Detroit、Kansas City、Los Angeles、Minneapolis、 New Orleans、New York、Philadelphia、Pittsburgh、St. Louis、 San Francisco、Seattle) カナダ2都市(Montreal、Toronto) e) 調査先件数 不明。 2)建設資材等価格の調査結果公表の現状 a) 公表対象項目 資材単価 21 項目 組合労務費 21 職種 b) 刊行物の種類及び発行部数 1. Engineering News-Record (週刊誌、通称ENR) 発行数不明
2. Quarterly Cost Reports (季刊誌) 発行数不明
c) 利用者の構成
不明
d) 価格データの精度
価格の変動を早期に指標として出すことを目的としており、実際の価格は地方の状況 により異なると言われている。
Ⅲ−21
3.調査機関における電子商取引への対応状況と将来構想
3.1 調査方法 アメリカをはじめ主要先進国の価格調査機関に対して、建設業界で進みつつある電子商取引 時代への対応や、インターネット等を利用した価格調査や情報収集の現状、将来に向けたIT 環境の利用構想等について、郵送またはe−メールによるアンケート調査を行った。 3.2 回答状況 当初、主にアメリカにおける価格調査機関およびコストコンサルタント会社に対して、電子 商取引等への対応状況についてのアンケート調査を実施した。 しかしながらアメリカの各機関からの回収率は低く、依頼企業8社(価格調査機関3社、コ ストコンサルタント会社2社、その他3社)のうち、回答が得られたのは1社(価格調査機関) のみに留まった。この回答率の悪さの理由としては、現在のところアメリカの調査機関等にお いては、インターネットを利用した価格調査への対応度が低い点が挙げられる。実際、回答が 得られた1社においても、またその他の調査機関においてもインターネットへの対応は遅れて いることが分かっている。 この状況に鑑み、アンケート調査の対象を、比較的インターネット対応が進んでいると情報 があったヨーロッパ(価格調査機関3社、コストコンサルタント会社5社、その他2社)に広 げて、同様な調査を行った。 その結果、英国より4社、フィンランドより1社の回答を得ることができた。 3.3 調査結果 調査結果は、表−2 ITと価格調査に関するアンケート結果としてまとめたとおりである。 1)価格調査や価格情報収集におけるIT利用 アンケートの回答によると、価格調査や価格情報の収集そのものにインターネット等を利用 している実績は、今のところアメリカの価格調査機関ではほとんどみられない。価格調査面で のIT利用については、イギリスの方がアメリカよりもやや先行している結果となった。 しかしながらイギリスを中心とする欧州圏においても、インターネットを利用して価格収集 を行っている企業の情報割合は 5%∼10%に留まっており、まだ十分活用されているとは言い 難い。利用が始まったばかりの段階と考えられ、その利用度合いは低いものの、一応インター ネットからの情報収集やe−メール等を利用した実績があるので、回答が得られたものである。Ⅲ−22
表−2 価格調査とIT利用に関するアンケート結果
設 問 Saylor (USA) Northcroft (UK) EC Harris (UK)
Q1-1 ITとECの発展によ り、価格データ収集方 法に変化はありました か? まだ変化なし。 入手データをデータベースに保管し 分析可能となった。 各国事務所間での価格データは、 電子的に交換している。 価格情報等は、電子フォーマットで 収集、保管する。 データベースに取り込み、サーチエ ンジンで検索する。 Q1-2 ECにおける取引価格 データをどの様に収集 し、使用しています か? まだ収集、使用していない。 全事務所が収集した主なプロジェク トの価格データを定型形式に入力 し、英国本社にて分析し、データ ベース化している。 情報は社内イントラネットで送り、 基準として役立てている。 収集した価格データで、平均価格の 算出や、基準参照、コストプランニ ングの詳細内訳用に使用している。 Q1-3 従来の価格データ収集 方法と比較し、イン ターネットを使用して 収集しているデータの 割合は? インタ-ネットの使用実績なし。 インターネット収集は、5%以下。 インターネット収集 5∼10% eメールでの収集 75∼85% 紙情報による収集 10∼15% Q1-4 将来のIT利用構想に ついて 今のところ、構想なし。 ・ハードウェアの向上及びソフト ウェア開発。 ・ECでプロジェクトマネージメント の実施、コスト管理ツール利用。 ・コントラクターとの書類やりとり の電子化。 ・Web及びイントラネットの社内 教育 ・インテグレーションを図る。 ・より掘り下げたWebベースの データベースモデルに、見積 ツールをリンクする。 ・プロジェクトデータベースの統一保管 ・資料及びプロジェクトデータの管理 ・知識ベースシステム (例:キャピタルアローアンス の構築。) Q2-1 刊行物とその発行部数
・Current Construction Costs ・Residential Construction Costs
・Remodeling/Repair Costs ・Commercial Square Foot Costs ・Residential Square Foot Costs
・Survey 3,000部 ・Consult 3,500部
・ECH Economics Survey (Feb 1999) 5,000部 ・ECH Annual Review 5,500部 ・Indicative Building Costs booklet 200部 ・CESMM3(ThomasTelford出版) Q2-2 価格データの提供方法 と、その媒体別割合 出版+CD-ROM 100% 出版 75% CD-ROM 5% イントラネット 20% 出版 100% Q2-3 特定会員のみへの限定 情報提供制度の有無 なし 有り。 社内分析データをリクエスト により 配布している。 なし Q2-4 IT(HP等)による 情報提供の現状 ホームページ 社内イントラネットでの利用が急速 に増加中。今後2年間で社内のペー パレス化を完成する。 イントラネット、ネットベースプロ ジェクトシステム、Citadonでの提 供。 Q3 ストック市場へのコスト情報提供の動向 なし なし なし
Ⅲ−23
設 問 Davis Langdon & Everest(UK) BCIS (UK) SRV Viitoset Oy(Finland)
Q1-1 ITとECの発展によ り、価格データ収集方 法に変化はありました か? 今後の取引はE-Mailを使って入札が 行われることが確実である。またプ ロジェクトのデータはエンティ ティーに再編成されており、近いう ちに全てのプロジェクトデータが1 つの入り口からアクセス可能になる と考えている。 まだあまり変化なし。 インターネットの価格情報は大まか であり、しかも限られた資材しか情 報がないため、使用していない。 取引価格データは、サブコンから情 報入手している。 Q1-2 ECにおける取引価格 データをどの様に収集 し、使用しています か? 既存のデータベースは、Webアク セスツールにより統合し、アクセス 及びアップデートする予定。 英国建設業界では、まだ普及してい ない。 コスト見積を行う際、ECコスト情 報を利用することもある。しかし情 報が限られているため、インター ネットでパートナーの価格ファイル 情報に直接アクセスすることが多 い。 Q1-3 従来の価格データ収集 方法と比較し、イン ターネットを使用して 収集しているデータの 割合は? 現在のところインターネット収集は 0%。 しかし今後は、かなり増加していく 見込みである。 インターネット収集 0% eメールでの収集 1%以下 インターネット収集は、5%以下。 Q1-4 将来のIT利用構想について システムをイントラネット及びイン ターネットに統合し、セクエルサー バーシステムに移行する予定であ る。 独自システムの利用を考えている。 ・トップマネージメント生産情報。 ・プロジェクトマネージメント データバンク。 ・環境問題、メンテナンスコスト。 ・購買プロセスでのインター ネット利用。 Q2-1 刊行物とその発行部数
・Spon's Architects and Builders Price Book ・Spon's Mechanical and Electrical Price Book ・Spon's Landscape Price Book ・Spon's Civil Engineering Price Book
・Spon's European Price Book ・Spon's Pacific Rim Price Book ・AJ Focus Articles
(elemental costs) ・Building Cost models ・Building Cost Forecasts ・Building Cost Updates ・Spon's Cost Updates
・BCIS bulletin
・BCIS Quarterly Review of Building Prices ・Guide to House Rebuilding Costs
・Guide to daywork Rates ・BMI Bulletins ・BMI Pricebook − Q2-2 価格データの提供方法 と、その媒体別割合 出版 100% CD-ROM 10% (Spon's Price Book)
出版 75% オンライン 25% − Q2-3 特定会員のみへの限定 情報提供制度の有無 なし なし − Q2-4 IT(HP等)による 情報提供の現状 アクロバット、ワード、エクセル等 でハードコピーのデータを作ってお き、提供する。 オンライン・データベース。 − Q3 ストック市場へのコスト情報提供の動向 なし なし −
Ⅲ−24 アメリカよりもイギリスでIT利用が先行している理由としては次の点が考えられる。 アメリカの価格調査機関は、主に年1回の調査実施であり、コスト情報もユーザー側で不足 する部分の補完的チェックデータとして位置付けられている。このためコスト情報の調査、収 集面でリアルタイムでの対応は、余り必要とされない。 これに対し、イギリスの建設工事費積算や入札・契約においては「工事数量内訳書(BQ: Bills of Quantities)」がベースとなっており、価格情報も「工事数量内訳書(BQ)」で活用 されなければ意味を持たない。このため、イギリスの価格調査機関やコンサルタントにおいて は、日々の業務の中でコストデータの更新を行っており、常にリアルタイムでのコストデータ 収集や価格情報提供が求められている。このため、より早く的確に情報を入手、反映するため の手段としてインターネット等を利用した取組が先行していると考えられる。 なお、電子商取引された価格の情報収集に関しては、各国とも建設資材等に関する電子商取 引が本格的に始まったのがここ2年程度の間であることから、電子商取引の仕組みや取引価格 の公開など、今後の動向に対応しながら動いていくものと考えられる。 2)情報の提供ツールとしてのIT利用 価格調査機関やコンサルタントにおいては、情報の提供ツールとしては、既にCD−ROM が幅広く利用されている。他企業への価格データの提供については、インターネットを利用す る企業も出てきている。 一方、イギリスを中心とする欧州圏では収集された価格情報については、積極的にデータベ ースを構築して、イントラネットでの活用が行われている。今後についても、システムをイン トラネット及びインターネットに移行していく構想の企業や、より掘り下げたWebベースの モデルに見積ツールをリンクする構想の企業も見られ始めてきている。 このアンケート調査結果から推測してみると、今後5∼10 年内に、確実にネットワーク利用 とデータベース利用が主流になると考えられる。 3.4 将来の構想 次に示す概念図のように、現状では、資材価格等調査面でのインターネット利用は、e−メ ール及び価格情報収集にとどまっている。 将来はデータベースの構築及び利用へとインターネットの活用が、価格調査機関を含めた建 設業界全体で高まってくると考えられる。 またインターネット上での、カタログと価格情報の結合を目指す動きも出てきているので、 この面での利用も進むと考えられる。
図−1 インターネットと価格調査、価格情報の提供 ●現在の価格調査におけるインターネット利用状況 建設資材等価格情報収集面でのインターネット利用は、e−メールやイントラネットの利用 が始まった段階にとどまっている。 価格調査機関 A 社 B 社 C 社 発注者企業 資機材業者 建設業者 ● 将 来 の 価 格 情 報 収 集 と 価 格 デ ー タ 提 供 に 関 す る イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 全体的にe−メール、電子商取引での利用が一般化する。 価格調査機関はデータベースを構築・提供することにより、ユーザーはデータベースに直接 アクセスして価格情報を利用し、また電子商取引価格の提供も進んでいくものと予想される。 価格調査機関 A 社 B 社 C 社 発注者企業 資機材業者 建設業者 ・e−メール ・イントラネット ・価格情報収集 ・e−メール ・イントラネット ・価格情報収集 ・e−メール ・イントラネット ・価格情報収集 インターネット ・e−メール ・電子調達 ・電子入札 ・e−メール ・電子入札 ・e−メール ・電子入札 ・電子調達 価格情報データベース の構築 価格情報データベース の構築 価格情報データベース の構築 インターネット ・価格情報データベース利用 ・電子商取引 ・価格情報提供と利用 ・電子商取引 ・価格情報データベース利用 ・電子商取引
Ⅲ−26
4.ま と め ―現状と今後の見通し―
前章までの結果に見られるように、海外の建設資材等価格調査機関においては、情報収集や調 査手段としてのインターネット利用はまだほとんど進んでいないのが実態である。 一方、調査結果や価格情報の提供手段としての電子メディア利用は、CD−ROMによるデー タ販売を始め、一部の機関では既にインターネットによるデータ提供が行われており、確実に進 展してきている。 ただ、このような状況は国によって傾向が若干異なり、まずアメリカでは、価格調査手段とし てのインターネット利用実績はほとんど見受けられない。この理由としては、次のような点が考 えられる。 ① アメリカの建設資材等価格調査機関により提供される価格データの精度及び水準は、市 況レベルよりやや高いとされている。 ② また価格情報の調査、提供頻度は年1回程度であり、わが国に比べて少なく、即時性は さほど求められていない。 ③ ユーザーの使い方も、概算データとして利用する他、ユーザーが保有している資材価格 等を補完、チェックするために、時系列指数、地域指数を利用することが主である。 アメリカにおいては、この様な背景や条件があるため、情報収集に対しては、今のところ即時 性が強く求められておらず、インターネット利用による価格調査などが進んでいないと考えられ る。 一方、イギリスのコストコンサルタント(QS)では、価格情報収集業務の遂行ツールとして、 インターネットの利用が広がり始めている。現調査時点では、情報収集活動全体に占めるインタ ーネット等利用割合は、まだ5∼10%にとどまっているものの、利用範囲の拡大が試行されてい る。イギリスにおいては「工事数量内訳書:BQ」をベースとするコスト管理手法が主であるこ とから、日常業務の中で即時的にコスト情報や資材価格情報等が求められることが多い。今後、 建設資材等の電子商取引規模が増加するのに伴い、よりリアルタイムで情報収集、情報提供が求 められるようになれば、価格調査手段としてのインターネット利用はさらに増加していくものと 考えられる。また、情報収集だけでなく、調査価格の提供などにおいても、調査機関やコンサル タントが保有するデータベースとのリンクが積極的に使われていくと考えられる。 今後、建設関連のB2B取引の伸びとともに、ユーザーからはインターネットによる電子商取 引時代に応じて様々な要求が発生してくると予想される。それらは、例えば建設資材の電子商取 引価格に関する情報や、各資材に関するカタログ情報のデータベース化、各種の積算ソフトや見 積ソフトとのリンク等である。 実際、既にオランダの「STABU(仕様書作成機関)」あるいは、ベルギーの「COBO S ystems(カタログ情報作成機関)」といった機関が、既にカタログ情報のデータベース構築 の動きを示している。また、今回のアンケート調査に回答を寄せてくれたイギリスのコストコン サルタントである「EC Harris」社は、高度なインターネット利用を目指して、より発 展させたWebのデータベース上のモデルに、見積ツールをリンクさせた総合的なコストデータ ベースの開発を志向しているとのことである。Ⅲ−27 こうした動きは、価格調査機関における今後のコスト関連データベースの開発および活用の方 向性を指し示すものとして興味深い。価格情報のためのデータベース構築だけでなく、今後は建 設資材等カタログ情報と有機的に結合させるなど、ユーザーにとって、より便利なコストデータ ベースを開発し提供する方向に、さらに拍車がかかると考えられる。 今後とも先進国の価格調査機関の動きに対して、調査・研究が必要であると思われる。
本書の内容の無断転載等を禁じます。
2001 年9月 発行
財団法人経済調査会
経 済 調 査 研 究 所
東京都中央区銀座5−13−16
(東銀座三井ビル)
URL