1 笹 川 ス ポ ー ツ 財 団 第 5回 ス ポ ー ツ ア カ デ ミ ー ( 2014年 9月 26日 ) 「 東 京 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク 開 催 と 東 京 の 未 来 構 想 」 講 師 : 市 川 宏 雄 氏 ( 明 治 大 学 専 門 職 大 学 院 長 / 公 共 政 策 大 学 院 ガ バ ナ ン ス 研 究 科 長 教 授 ) < 以 下 、 講 義 内 容 概 略 > 1 . 「 今 」 東 京 が も つ 力
( 1) Global Power City Index (GPCI)に つ い て
東 京 の 未 来 を 語 る 前 に 、 今 の 東 京 が ど の よ う な 力 を も っ て い る の か を 検 証 す る 。 森 記 念 財 団 都 市 戦 略 研 究 所 が 2008 年 よ り 発 表 し て い る Global Power City Index ( GPCI) は 、 世 界 の 主 要 40都 市 の ラ ン キ ン グ で 、 直 近 で は ト ッ プ が ロ ン ド ン 、 2 位 が ニ ュ ー ヨ ー ク 、 3 位 が パ リ で 東 京 は 4 位 と な っ て い る 。 試 算 開 始 以 来 、 こ の ト ッ プ 4は 不 変 。 第 2グ ル ー プ に 、 シ ン ガ ポ ー ル 以 下 、 二 十 数 都 市 あ る が 、 2009 年 か ら は シ ン ガ ポ ー ル が ず っ と 5 位 に あ り 、 規 模 は 小 さ い な が ら も 東 京 に 接 近 し て き て い る 。 GPCIに は 内 閣 府 や 東 京 都 も 注 目 し 、 2020年 の 東 京 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク ( 以 下 、 2020年 東 京 五 輪 ) 開 催 に よ っ て こ の ラ ン キ ン グ を 上 げ た い と の 意 向 を 示 し て い る 。 ま た 、 海 外 の 主 要 都 市 に お い て も GPCIは 採 用 さ れ て い る 。 ( 2) 世 界 で も 珍 し い ラ ン キ ン グ : 「 6つ の 分 野 」 「 5種 類 の ア ク タ ー 」 で 評 価 GPCI で は 、 都 市 が も つ 主 要 な 機 能 を 6 つ の 分 野 ( 経 済 、 研 究 ・ 開 発 、 文 化 ・ 交 流 、 居 住 、 環 境 、 交 通 ・ ア ク セ ス ) に 分 け て 評 価 す る 。 全 分 野 が 同 じ 割 合 で は な い 。 た と え ば 、 経 済 分 野 の 指 標 グ ル ー プ が 6つ な の に 対 し 、 環 境 分 野 は 3つ と い う よ う に 、 各 分 野 が カ バ ー す る 指 標 グ ル ー プ の 数 は 異 な る 。 指 標 グ ル ー プ は 2~ 3の 指 標 で 構 成 さ れ る が 、 評 価 指 数 は 全 部 で 70あ る 。 結 果 と し て 、 評 価 指 数 の 多 い 分 野 ほ ど 、 評 価 に 反 映 さ れ る こ と に な る 。 ま た 、 GPCIで は 6つ の 都 市 機 能 だ け で は な く 、 異 な る 分 野 に 属 す る 人 間 が 評 価 し た ら ど う な る か と い う 数 値 も 示 し て い る 。 す な わ ち 、 5種 類 の ア ク タ ー ( 経 営 者 、 研 究 者 、 ア ー テ ィ ス ト 、 観 光 客 、 生 活 者 ) の 視 点 に よ る 評 価 で あ る 。 こ う し た 評 価 方 法 に よ る ラ ン キ ン グ は 世 界 で も 例 が な く 、 大 変 珍 し い と さ れ て い る 。 ( 3) 東 京 の 位 置 と 課 題 東 京 は 総 合 ス コ ア で は 4位 だ が 、 分 野 別 で い う と 、 経 済 と 環 境 が 1位 、 研 究 ・ 開 発 は 2位 、 文 化 ・ 交 流 が 8位 で 、 交 通 ・ ア ク セ ス が 10位 、 最 後 に 居 住 が も っ と も 低 く 20位 と な っ て い る 。 依 然 と し て 経 済 力 が 強 く 、 研 究 ・ 開 発 も 悪 く な い 。 環 境 は 、 政 策 も あ っ て ト ッ プ レ ベ ル で あ る 。 課 題 は 、 居 住 、 文 化 ・ 交 流 、 交 通 ・ ア ク セ ス の 3分 野 。 た だ し 、 居 住 の 分 野 は 、 実 は ロ ン ド ン も 非 常 に 低 い 。 こ の 分 野 は 物 価 の 高 さ が 足 を 引 っ 張 る の で 、 パ リ 以 外 の ト ッ プ 4は 軒 の み 低 い 。
2 そ う 考 え る と 、 東 京 の 課 題 は 文 化 ・ 交 流 と 交 通 ・ ア ク セ ス 。 東 京 以 外 の ト ッ プ 4は 文 化 ・ 交 流 が 高 い 。 交 通 ・ ア ク セ ス も 、 東 京 は ト ッ プ 4の 中 で は 3位 で あ り 、 政 策 的 に は こ う し た 面 の 改 善 が 都 市 と し て の 力 の 向 上 に つ な が る と 考 え ら れ る 。 ま た 、 5種 類 の ア ク タ ー 別 に み た 東 京 の 評 価 で は 、 経 営 者 か ら み た 評 価 が 9位 と 低 い 。 経 済 の 分 野 で ト ッ プ で あ り な が ら 経 営 者 が 東 京 を 選 ん で い な い と い う の は 大 き な 課 題 と い え る 。 ま た 、 観 光 客 の 評 価 で も 2013年 の ラ ン キ ン グ で 東 京 は 9位 だ っ た 。 研 究 者 の 評 価 が 2 位 、 生 活 者 の 評 価 が 4位 だ っ た こ と を 踏 ま え る と 、 な ぜ 、 経 営 者 と 観 光 客 が 東 京 を 選 ば な い の か ? を 考 え る こ と が 東 京 の ラ ン ク 上 昇 の カ ギ と い え る 。 2 . 2020年 東 京 五 輪 が も た ら す も の ( 1) 先 行 事 例 と し て の ロ ン ド ン 次 に 、 2020年 に 東 京 五 輪 が 行 わ れ れ ば ど う な る の か と い う シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に つ い て 説 明 す る 。 2008年 に GPCIを 始 め た 際 、 ト ッ プ は ニ ュ ー ヨ ー ク で 、 こ れ は し ば ら く 抜 か れ な い だ ろ う と 思 わ れ た 。 し か し 、 2012年 の ロ ン ド ン 五 輪 が 行 わ れ る と 、 ロ ン ド ン が ト ッ プ に 躍 り 出 て 、 首 位 を キ ー プ し 続 け て い る 。 こ の 先 行 事 例 と し て の ロ ン ド ン は 東 京 に と っ て き わ め て 重 要 で あ る 。 ロ ン ド ン が そ う だ っ た よ う に 、 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク 開 催 と な れ ば 、 そ の 前 年 か ら 大 規 模 イ ベ ン ト が 続 き 、 そ れ に 合 わ せ た イ ン フ ラ 整 備 や 雇 用 拡 大 が 見 込 ま れ る 。 こ れ を 前 提 に す れ ば 、 現 状 の ま ま で も 2020年 東 京 五 輪 が 実 際 に 開 催 さ れ れ ば 、 交 通 ・ ア ク セ ス 、 文 化 ・ 交 流 、 居 住 の 分 野 で の ス コ ア が 上 が り 、 結 果 的 に 東 京 は 4位 か ら 3位 に 上 が る 。 こ れ は 、 あ く ま で も 複 数 の 指 標 を 2020年 東 京 五 輪 開 催 に 合 わ せ て シ ミ ュ レ ー シ ョ ン し た も の で 、 こ れ に 課 題 解 決 の た め の 新 た な 政 策 が 加 わ れ ば 、 東 京 の ラ ン ク は さ ら に 上 が る 可 能 性 が あ る 。 現 実 に 、 舛 添 知 事 は 「 オ リ ン ピ ッ ク の と き に 東 京 を 1番 に し た い 」 と 言 わ れ て お り 、 さ ま ざ ま な 政 策 を 組 み 合 わ せ れ ば 、 そ れ も 夢 で は な い 。 2012年 ロ ン ド ン 五 輪 の 効 果 と 同 様 の 効 果 が 東 京 で も あ ら わ れ る と 想 定 し 、 さ ら に 現 在 、 政 府 等 が 2020年 東 京 五 輪 の 開 催 に 合 わ せ て 実 施 す る と し て い る 施 策 の 効 果 を 組 み 合 わ せ る と 、 た と え ば 一 人 当 た り GDPや 従 業 員 数 、 賃 金 水 準 は 何 割 か 増 し と な り 、 国 際 線 旅 客 数 が 現 在 の 2.5倍 に な る な ど の 数 値 が 出 る 。 ( 2) 経 済 波 及 効 果 約 20兆 円 経 済 波 及 効 果 に つ い て 、 東 京 都 は 3兆 円 と 試 算 し た 。 森 記 念 財 団 都 市 戦 略 研 究 所 で は 、 都 が 試 算 に 組 み 込 ま な か っ た 部 分 の 効 果 を 算 出 し 、 16.5兆 円 と い う 数 字 を 出 し た 。 都 の 試 算 と 合 わ せ れ ば 約 20兆 円 と い う こ と に な る 。 こ れ は 日 本 の 年 間 GDPを 0.3% 押 上 げ る 効 果 が あ る 。 都 の 試 算 に 組 み 込 ま れ な か っ た 部 分 と い う の に は 産 業 連 関 表 を ど こ ま で 回 す か と い う 視 点 が 影 響 す る が 、 具 体 的 に は 次 の 4つ の 仕 組 み を 加 え た 。 す な わ ち 、 「 五 輪 開 催 に 伴 う 直 接 的 な 需 要 の 増 加 」 「 都 市 づ く り 事 業 の 前 倒 し 効 果 」 「 新
3 規 産 業 の 創 出 効 果 」 「 ド リ ー ム 効 果 ( 国 民 一 人 一 人 の 消 費 の 拡 大 ) 」 で あ る 。 ま ず 直 接 的 な 需 要 の 増 加 に は 訪 日 外 国 人 の 増 加 が 影 響 す る 。 ま た 、 都 市 の 基 盤 整 備 事 業 は 前 倒 し さ れ る こ と が 予 想 さ れ る 。 そ し て も っ と も 重 要 な の が 、 新 規 産 業 の 創 出 で あ る 。 こ れ は 1964年 東 京 五 輪 を 体 験 し た 世 代 は 実 際 に そ の 様 子 を 目 の 当 た り に し て お り 、 非 常 に 楽 し み な 面 で あ る 。 1964年 東 京 五 輪 の ド リ ー ム 効 果 で 象 徴 的 だ っ た も の は 、 カ ラ ー テ レ ビ の 普 及 。 2020年 大 会 も ス ポ ー ツ に 関 連 す る 分 野 、 た と え ば 健 康 関 連 な ど で 同 様 に モ ノ が 売 れ る 。 そ う し た こ と を 総 体 的 に 踏 ま え る と 全 体 で 約 20兆 円 近 い 効 果 が 見 込 め る 。 ( 3) 国 家 戦 略 特 区 と 規 制 緩 和 2011年 に 政 府 が 打 ち 出 し た 「 国 際 戦 略 総 合 特 区 」 と い う 施 策 は 2014年 に 「 国 家 戦 略 特 区 」 と パ ワ ー ア ッ プ し た が 、 こ の 施 策 に 照 ら し て 具 体 的 に 東 京 が ど う 変 わ る か と い う こ と を 考 え た い 。 こ の 特 区 の 対 象 エ リ ア は 少 し ず つ 増 え て い る が 、 各 々 の エ リ ア で 打 ち 出 す 内 容 は 互 い に 近 似 す る 。 た と え ば 職 住 一 体 と か 、 コ ン テ ン ツ ビ ジ ネ ス の 拡 充 、 海 外 か ら 新 た な 企 業 を 誘 致 す る な ど が あ げ ら れ る 。 大 き な テ ー マ と し て は 「 外 国 企 業 が 日 本 企 業 と ビ ジ ネ ス し や す い 環 境 づ く り 」 「 24時 間 活 動 す る 国 際 都 市 と し て の 環 境 整 備 」 「 外 国 人 が 暮 ら し や す い 都 市 づ く り 」 の 3 分 野 が あ り 、 そ れ ぞ れ が 具 体 的 な 施 策 を 掲 げ て い る 。 今 後 の 施 策 の 進 行 は 規 制 緩 和 の 進 み 具 合 な ど に も よ る が 、 さ ま ざ ま な 既 得 権 や 習 わ し を 壊 す こ と に も つ な が る た め 、 容 易 で は な い 。 た と え ば 、 外 国 人 医 師 が 東 京 で 医 療 行 為 を 行 う こ と は 原 則 禁 止 だ が 、 こ れ を 特 区 内 で は 、 医 師 法 な ど の 法 律 を 緩 和 し 、 外 国 人 が 医 療 を 受 け ら れ る 環 境 を つ く る こ と な ど が 目 指 さ れ る 。 し か し な が ら 、 現 実 に は 二 国 間 協 定 を 結 ぶ 国 の 医 師 は 訪 日 中 の 自 国 民 へ の 医 療 行 為 は 許 さ れ る と こ ろ に 留 ま っ て い る 。 こ の よ う に 、 最 大 の 課 題 は 、 国 内 の 規 制 や 法 律 の 改 正 に は 時 間 と 手 間 が か か り 、 場 合 に よ っ て は 関 係 団 体 の 合 意 が 得 ら れ ず 実 現 さ れ な い 可 能 性 も あ る 点 で あ る 。 こ う し た 課 題 へ の 答 え と し て 、 2013年 10月 に 国 家 戦 略 特 区 に お い て 検 討 す べ き 規 制 改 革 ( 事 項 等 の ) 検 討 方 針 と い う も の が 内 閣 府 か ら 出 さ れ た 。 医 療 、 雇 用 、 教 育 、 都 市 再 生 ・ ま ち づ く り 、 農 業 、 歴 史 的 建 築 物 の 活 用 の 6つ の 大 き な 項 目 に つ い て 、 そ れ ぞ れ い く つ か の 緩 和 の 例 を 示 し た も の で あ る 。 外 国 医 師 の 問 題 で は 、 国 際 医 療 拠 点 に お け る 外 国 医 師 の 診 察 、 外 国 看 護 師 の 業 務 の 解 禁 が あ り 、 全 国 規 模 の 制 度 改 革 と し て 、 臨 床 修 練 制 度 の 拡 充 が 盛 り 込 ま れ た 。 今 ま で 全 然 で き な か っ た こ と が 、 こ の 改 革 検 討 方 針 に 盛 り 込 ま れ た 。 重 要 な の は 、 そ う し た さ ま ざ ま な 規 制 改 革 の 根 底 に 「 2020年 東 京 五 輪 の 開 催 を 追 い 風 に 、 今 後 わ が 国 に 居 住 さ れ る 外 国 人 が 急 増 す る こ と が 見 込 ま れ る た め に や ら ね ば な ら な い 」 と い う 前 提 が あ る こ と 。 こ れ が 2020年 東 京 五 輪 の 最 大 の 効 果 の ひ と つ と い え る 。 2020年 と い う 期 限 が あ り 、 世 界 に 対 す る 約 束 で あ る こ と を 踏 ま え れ ば 、 こ の 改 革 は 必 ず や ら な け れ ば な ら な い 。 国 家 戦 略 特 区 が 今 後 、 ど う 進 捗 し て い く か は こ れ か ら が 正 念 場 で あ る 。
4 ( 4) 東 京 の 人 口 は ど う な る か : 過 去 の デ ー タ だ け で は わ か ら な い オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク 開 催 に 限 ら ず 、 今 後 、 東 京 が ど う な る の か ? を 考 え る 上 で は 、 人 口 問 題 は 重 要 で あ る 。 1998年 に 東 京 都 が 将 来 の 人 口 動 向 の 予 想 を 行 っ た 。 過 去 の 推 移 に 基 づ き 予 想 を 立 て た 結 果 、 4 つ の ケ ー ス が 導 き 出 さ れ た 。 一 番 多 く な る 場 合 で も 1,250 万 人 と の 予 想 で あ っ た が 、 現 在 す で に 人 口 は 1,300 万 人 を 超 し て お り 、 予 想 は 外 れ た 。 そ こ で 、 今 後 、 ど れ く ら い 人 口 が 変 動 す る の か を 考 え る 必 要 が あ る 。 海 外 の 主 要 都 市 と 比 較 す る こ と も 有 効 で あ る 。 最 大 の ポ イ ン ト は 、 昼 夜 間 の 人 口 比 。 私 は 1990年 に 東 京 都 が 「 都 市 白 書 」 を 作 成 し た 際 に ア ド バ イ ザ ー と し て か か わ っ た 。 そ こ で 、 東 京 、 ニ ュ ー ヨ ー ク 、 ロ ン ド ン 、 パ リ に お け る 昼 夜 間 の 人 口 比 を 比 較 し た 。 当 時 、 東 京 都 心 3 区 の 夜 間 と 昼 間 の 人 口 の 比 率 は 「 1 対 8.3」 だ っ た 。 つ ま り 、 昼 に 830万 人 い て も 、 夜 に は 100万 人 に 減 る 。 そ の 頃 、 こ う し た 傾 向 は 当 然 だ と 思 わ れ て い た が 、 海 外 の 主 要 都 市 は 違 っ て い た 。 東 京 の 都 心 3区 の 面 積 に 該 当 す る エ リ ア と し て 、 ニ ュ ー ヨ ー ク の マ ン ハ ッ タ ン 南 半 分 で は 「 1対 3.7」 、 ロ ン ド ン 都 心 3区 で は 「 1対 2.7」 、 パ リ 都 心 9区 に い た っ て は 「 1対 1.5」 だ っ た 。 バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 に よ り 、 オ フ ィ ス 用 地 と し て 想 定 さ れ て い た 場 所 が す べ て 急 激 に 地 価 を 下 落 さ せ 、 土 地 の 所 有 者 で あ る 企 業 が 倒 産 す る 事 態 が 続 い た 。 そ の オ フ ィ ス 用 地 が 住 宅 用 地 に 変 わ っ た こ と に よ り 、 ど ん ど ん 都 心 に 人 が 集 ま っ て き た 。 バ ブ ル 期 の 「 1対 8.3」 と い う 状 況 は 変 わ り つ つ あ る 。 住 み た い と 考 え れ ば 、 都 心 に は 十 分 な 基 盤 が 整 備 さ れ て お り ま だ 住 め る 。 私 は 今 後 、 場 合 に よ っ て は 東 京 の 人 口 は 1,400~ 1,500万 人 ほ ど に 増 え る と み て い る 。 ( 5) 首 都 圏 メ ガ ロ ポ リ ス 構 想 ( 2001年 ) と 2020年 東 京 五 輪 2001年 に 東 京 都 が 打 ち 出 し た 「 首 都 圏 メ ガ ロ ポ リ ス 構 想 」 の 策 定 に コ ア メ ン バ ー と し て 参 画 し た 。 都 心 を 3区 か ら 8区 ま で 広 げ 、 セ ン タ ー ・ コ ア ・ エ リ ア と 東 京 湾 ウ ォ ー タ ー フ ロ ン ト を 東 京 の 国 際 競 争 力 向 上 の 基 軸 に す る な ど の 都 市 構 造 を 描 い た 。 こ の 構 想 は 2009年 に ほ ぼ そ の ま ま 改 訂 さ れ た が 、 今 、 東 京 は ほ と ん ど そ の 当 時 の 絵 の と お り に 動 い て い る 。 2020 年 東 京 五 輪 の 開 催 イ メ ー ジ に つ い て は 、 招 致 委 員 会 が 「 ヘ リ テ ッ ジ ゾ ー ン 」 「 東 京 ベ イ ゾ ー ン 」 と い う エ リ ア を 設 け て 絵 を 描 い た 。 1964年 東 京 五 輪 の 主 要 開 催 会 場 を 含 む ヘ リ テ ッ ジ ゾ ー ン に 、 東 京 湾 岸 の ベ イ ゾ ー ン を 加 え 、 こ れ か ら の 東 京 の 大 き な 活 力 が こ こ か ら 生 み 出 さ れ る と い う 意 図 が 感 じ ら れ る 。 こ の ベ イ ゾ ー ン は 、 か つ て 新 し い 都 心 と し て 開 発 が 計 画 さ れ な が ら 、 都 市 博 の 中 止 な ど を 経 験 し て 停 滞 し た 過 去 を も つ 。 2020年 東 京 五 輪 の 大 会 会 場 の 約 3分 の 2 の 施 設 が こ こ に 設 置 さ れ る こ と で 、 こ の エ リ ア は 20年 ぶ り に 注 目 さ れ る こ と に な る 。
5 3 . 2030年 ま で に 「 日 本 の 力 」 を 上 げ る ( 1) か な め は 東 京 2020年 東 京 五 輪 に よ っ て 、 イ ン フ ラ が ど う 変 わ る の か と い う 点 は 注 目 さ れ る が 、 1964年 の と き と 比 べ る と 、 そ れ ほ ど 急 激 に 基 盤 整 備 が 変 わ る 雰 囲 気 は な い 。 成 熟 し た 都 市 に お け る 五 輪 と い う こ と を 考 え れ ば 当 然 と い え る 。 一 方 で 、 東 京 だ け に 着 眼 せ ず 、 日 本 全 体 の 国 土 構 造 の 中 で の 東 京 の 役 割 を 考 え る と 、 2020年 東 京 五 輪 の も つ 意 味 は 相 当 重 要 な も の と な っ て く る 。 重 要 な の は や は り 人 口 問 題 で あ る 。 こ の ま ま 推 移 す る と 2050年 に は 日 本 の 人 口 は 8千 万 人 台 ま で 落 ち る と い う 試 算 が あ る 。 何 も 手 を 打 た な け れ ば 、 そ う な る 。 2035年 に は 、 私 た ち 高 齢 者 が 若 者 の 倍 に な る 。 こ の こ と に よ る 影 響 は 2030年 か ら 2045年 に 顕 著 と な る 。 こ れ が も っ と も 深 刻 な 問 題 で あ る 。 2030年 か ら 2045年 の 日 本 の 危 機 を ど う や っ て 乗 り 越 え る の か ? が 重 要 で 、 そ の た め に は 、 今 後 15 年 間 、 つ ま り 2030年 ま で に 日 本 の 力 を 上 げ て お く こ と が 求 め ら れ る 。 そ れ が 出 来 れ ば 、 2030年 か ら 2045年 の 15年 間 は 持 ち こ た え ら れ る 。 持 ち こ た え ら れ れ ば 、 2045年 に は 高 齢 者 と 若 者 の 人 口 比 も バ ラ ン ス が と れ 、 そ れ 以 降 の 日 本 を 次 の 世 代 に 引 き 継 げ る 。 こ れ か ら の 15年 間 に は そ う い っ た 意 味 が あ り 、 そ の 前 半 の 3分 の 1に 東 京 五 輪 が 開 催 さ れ る こ と は そ う し た 面 か ら も 非 常 に 重 要 で あ る 。 後 述 す る が 、 そ の 7年 後 に 予 定 さ れ る リ ニ ア 新 幹 線 開 通 と 併 せ 、 今 後 の 日 本 の 発 展 に は 欠 か せ な い ス テ ッ プ と い え る 。 ( 2) リ ニ ア 新 幹 線 が 築 く 東 京 を か な め と し た 世 界 最 大 の 都 市 圏 1960 年 に は 、 3 大 都 市 圏 が 「 1 」 に 対 し て 地 方 圏 が 「 1.5 」 だ っ た 人 口 比 が 、 2005年 に は 、 「 1対 1」 に な っ た 。 3 大 都 市 圏 と は い う も の の 、 増 え た の は 東 京 圏 の み で 、 関 西 、 名 古 屋 は 増 え て い な い 。 そ し て 、 こ れ が 2030年 か ら 2045年 の 間 に 「 1対 0.5」 に な る と 予 想 さ れ て い る 。 こ う な る と 、 こ れ ま で の 私 た ち の 価 値 観 を 変 え な い 限 り 、 国 は も た な い 。 も た せ る た め に は 、 か つ て の 太 平 洋 ベ ル ト 、 今 の 西 日 本 国 土 軸 が 引 っ 張 る し か な い と 考 え る 。 今 、 こ の 軸 に 日 本 の 人 口 の 7 割 が 居 住 し 、 2030年 か ら 2045 年 の 時 期 に は 8 割 が 居 住 す る と 予 想 さ れ て い る 。 こ こ が し っ か り し て い れ ば 、 日 本 は も ち こ た え ら れ る 。 東 京 は そ の か な め で あ る 。 2027年 に リ ニ ア 新 幹 線 が 開 通 す れ ば 東 京 ・ 名 古 屋 間 を 、 40分 で 結 ぶ よ う に な る 。 東 京 は 郊 外 に 名 古 屋 を 抱 え 、 大 阪 は 関 東 地 方 の 一 部 と な る 。 そ れ に よ り 、 東 京 の サ ー ビ ス 産 業 、 愛 知 の 製 造 業 な ど 、 各 々 の 主 要 産 業 間 で の 補 完 関 係 も 築 け る 。 か つ て 東 海 道 新 幹 線 が 通 っ た と き に 、 大 阪 の 経 営 資 源 が 東 京 に 流 れ 「 ス ト ロ ー 効 果 現 象 」 な ど と 呼 ば れ た が 、 今 回 の リ ニ ア 新 幹 線 は 名 古 屋 ま で 40分 し か か か ら な い た め 、 そ う し た 資 源 の 空 間 移 動 が な い 。 空 間 を そ の ま ま に 首 都 機 能 の 分 担 ・ 代 替 な ど も 考 え ら れ る 。 東 京 は 、 5,000 万 人 を 抱 え る 世 界 最 大 の 都 市 圏 と し て 、 す べ て の 機 能 を も つ と い う こ と が 起 き る 。
6 ( 3) 東 京 の 都 心 は ど う 変 わ る の か ? 今 後 、 も っ と も 変 わ る の は 東 京 の 都 心 。 東 京 駅 、 渋 谷 駅 の 周 辺 一 帯 や 虎 の 門 ・ 六 本 木 地 区 、 日 本 橋 ・ 京 橋 一 帯 な ど 、 都 心 の さ ま ざ ま な エ リ ア が 変 わ り つ つ あ る 。 1964年 の 東 京 五 輪 に よ る 変 化 で も っ と も 有 名 な も の の ひ と つ に 青 山 通 り の 整 備 が あ る 。 欧 米 文 化 を と り い れ た 若 者 文 化 が 発 祥 し 、 青 山 通 り を 軸 に し て 新 し い 店 舗 が で き 、 通 り が つ な ぐ 赤 坂 、 六 本 木 、 原 宿 、 渋 谷 な ど の 街 が 発 展 し た 。 今 回 の 場 合 、 1964年 東 京 五 輪 の 時 と 比 べ る と 、 イ ン フ ラ 面 で の 変 化 は さ ほ ど 大 き く な い が 、 環 状 2 号 線 の 延 伸 に よ る 「 新 虎 通 り 」 の 開 通 な ど が あ る 。 2020 年 の 東 京 五 輪 開 催 の み を き っ か け と す る も の で は な い が 、 都 心 と 東 京 ベ イ ゾ ー ン を 結 ぶ 重 要 な 通 り と な る 。 東 京 都 は 、 こ の 通 り を 日 本 の シ ャ ン ゼ リ ゼ に す る こ と を 目 指 し て お り 、 地 下 鉄 新 駅 も 設 置 さ れ 、 今 後 も 開 発 が 進 む 。 ま た 、 現 在 、 都 心 に は 大 手 町 、 丸 の 内 、 日 本 橋 、 赤 坂 、 六 本 木 、 お 台 場 な ど 複 数 の 拠 点 が 広 が る が 、 こ れ だ け 多 く の 拠 点 を 抱 え る 都 市 は 世 界 的 に み て も 珍 し い 。 各 々 の 拠 点 が そ れ ぞ れ ま っ た く 異 な る 雰 囲 気 と 空 間 を も っ て い る こ と も 特 徴 と い え る 。 こ こ に 今 後 、 品 川 が 加 わ っ て い く 。 羽 田 周 辺 も ど ん ど ん 変 わ る 。 こ の 流 れ は 2020年 以 降 も 10年 か ら 15年 続 く 。 品 川 周 辺 の 鉄 道 、 道 路 が 整 備 さ れ 、 田 町 ・ 品 川 間 に 新 駅 が で き る 。 羽 田 空 港 へ の ア ク セ ス が 向 上 す る 。 鉄 道 網 の 話 で い え ば 、 東 京 の 地 下 鉄 網 は で き あ が っ て い る と 思 わ れ て い る が 、 最 近 、 ロ ン ド ン で 鉄 道 建 設 が 新 た に は じ ま っ て お り 、 東 京 の 鉄 道 網 を 考 え る 刺 激 に な っ て い る 。 た と え ば 、 成 田 空 港 と 羽 田 空 港 を 結 ぶ 新 鉄 道 の 話 や 、 最 近 、 JR東 日 本 が 発 表 し た 田 町 か ら 羽 田 空 港 に 向 か う 貨 物 線 を 旅 客 兼 用 に す る 話 な ど が あ る 。 こ れ に よ っ て 、 東 京 駅 と 新 宿 駅 が 羽 田 空 港 に 直 結 す る 。 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク の 「 玉 突 き 効 果 」 は ま さ に こ う い う と こ ろ に あ る 。 羽 田 空 港 に つ い て は 、 2010年 に 国 際 化 が 行 わ れ 、 現 在 、 国 際 線 の 年 間 発 着 枠 は 9万 回 と な っ て い る 。 こ の 発 着 枠 も 2020年 ま で に は 13 万 回 に 増 や す と さ れ て い る 。 一 方 で 、 世 界 に 目 を 向 け る と 、 都 市 ご と の 発 着 枠 で は 118万 回 の ニ ュ ー ヨ ー ク や 110万 回 の ロ ン ド ン な ど が あ り 、 東 京 の 75万 回 は ま だ 及 ば な い 。 仮 に 、 こ れ か ら オ リ ン ピ ッ ク を 機 に 人 が 増 え る の で あ れ ば 、 現 在 4本 あ る 滑 走 路 を 5本 に 増 や す 構 想 も 現 実 味 を 帯 び て く る 。 4 . 最 後 に ~ 東 京 の 課 題 ~ 東 京 は 地 震 か ら 避 け ら れ な い 。 関 東 大 震 災 ク ラ ス の 地 震 は 200年 に 一 度 起 き る と さ れ て い る の で 当 分 は な い だ ろ う が 、 マ グ ニ チ ュ ー ド 6以 上 の 地 震 は そ の 間 に 何 度 も 起 き て い る 。 大 型 の 地 震 に よ っ て 建 物 な ど に ど れ ほ ど の 影 響 が 出 る の か を き ち ん と シ ミ ュ レ ー シ ョ ン し 、 効 果 的 な 対 策 を 考 え る の が 今 後 の 課 題 で あ る 。 ま た 、 老 朽 化 が 進 ん で い る 首 都 高 速 な ど の 都 市 基 盤 施 設 の 改 修 も 時 間 を か け て で も や ら な け れ ば な ら な い 。
7 < パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ン > ◇ パ ネ リ ス ト 市 川 宏 雄 氏 布 村 幸 彦 氏 ( 東 京 オ リ ン ピ ッ ク ・パ ラ リ ン ピ ッ ク 競 技 大 会 組 織 委 員 会 副 事 務 総 長 ) ◇ コ ー デ ィ ネ ー タ 佐 野 慎 輔 氏 ( 産 経 新 聞 社 特 別 記 者 兼 論 説 委 員 / SSF上 席 特 別 研 究 員 ) 佐 野 : ( 布 村 氏 へ ) 市 川 さ ん の 講 義 を 受 け て 、 組 織 委 員 会 と し て 現 在 、 取 り 組 ま れ て い る ま ち づ く り 、 都 市 づ く り の 方 向 性 な ど に つ い て ご 説 明 を 。 布 村 : 東 京 、 首 都 圏 が 2020年 東 京 五 輪 、 リ ニ ア 新 幹 線 に よ っ て 大 き く 変 わ り 、 そ れ が 日 本 の 未 来 を 大 き く 動 か し て い く と い う 市 川 先 生 の お 話 に 夢 を 感 じ た 。 組 織 委 員 会 と し て は 、 ま ず 2020年 大 会 を ス ポ ー ツ の 大 会 と し て し っ か り 成 功 さ せ る こ と に 全 力 を あ げ る 。 ま た 、 大 会 の レ ガ シ ー と い う 観 点 で は 、 大 会 後 の 東 京 お よ び 日 本 の 社 会 が 持 続 可 能 な 発 展 を 遂 げ る 契 機 と な る 大 会 に す る と い う こ と を 念 頭 に 現 在 取 り 組 ん で い る 。 本 日 の 市 川 先 生 の お 話 か ら は 、 都 市 や 交 通 網 な ど の 長 期 的 な 変 化 の 中 で 2020年 の 大 会 を ど う 位 置 付 け る べ き か と い う 「 逆 の 発 想 」 と も い え る ヒ ン ト を い た だ い た 。 佐 野 : ( 市 川 氏 へ ) 逆 の 発 想 と い う 言 葉 が 布 村 さ ん か ら 出 た 。 東 京 お よ び 首 都 圏 が ど ん ど ん 動 い て い く な か で 2020年 大 会 の 位 置 づ け を 考 え る と い う 意 味 だ が 「 ど ん ど ん 動 い て い く 」 と い う 点 で 、 お 話 し 足 ら な い 部 分 が あ れ ば お 聞 か せ い た だ き た い 。 市 川 : 私 は 東 京 生 ま れ の 東 京 育 ち で 1964年 東 京 五 輪 に よ っ て 、 ま さ し く 東 京 が ど ん ど ん 変 わ っ て い く 様 子 を 間 近 で 見 た 。 国 際 社 会 に 国 が 開 か れ 、 オ リ ン ピ ッ ク を 開 催 す る こ と に よ っ て 、 初 め て 自 分 た ち が 世 界 と 結 ば れ る ん だ と 実 感 し た 。 当 時 、 目 に 見 え る 国 際 化 と い え ば 、 英 会 話 学 校 ブ ー ム や 、 世 界 標 準 の ホ テ ル が ど ん ど ん 建 て ら れ た と い う 記 憶 が あ る 。 こ れ ら は 今 回 も 同 様 の こ と が 予 想 さ れ る 。 ま た 、 首 都 高 速 72km の う ち 半 分 が 、 た っ た 5 年 間 と い う 短 い 期 間 で 造 ら れ た 。 こ れ は 奇 跡 に 近 い 。 た だ 、 こ の 奇 跡 の 裏 返 し と し て 日 本 橋 の 上 に 道 路 を 通 し て し ま っ た と い う 負 の 遺 産 も あ る 。 環 状 7 号 線 も 開 通 し た 。 通 常 だ っ た ら で き な い 道 路 工 事 が 土 地 収 用 法 の 適 用 で 可 能 に な っ た 。 土 地 収 用 法 と い う の は 、 伝 家 の 宝 刀 で ふ だ ん は な か な か 抜 か な い の だ が 、 間 に 合 わ せ る た め に 適 用 し た 。 東 京
8 五 輪 の た め と い う こ と で み ん な が 納 得 し な け れ ば な ら な い 状 況 だ っ た 。 冒 頭 で 話 し た よ う に 、 期 限 が 決 ま っ て い て 、 世 界 に 約 束 し て い る と い う こ と で 、 人 は 動 く 。 1964年 大 会 で は そ う い う こ と が 起 き た 。 当 時 は 、 戦 後 日 本 の 高 度 経 済 成 長 期 で 、 日 本 の ス テ イ タ ス を 上 げ て い く こ と が テ ー マ だ っ た 。 ス ポ ー ツ の 祭 典 を 成 功 さ せ る と い う 側 面 の み で は な く 、 そ う し た テ ー マ が 根 底 に あ っ た 。 私 自 身 、 進 む 道 を 建 築 学 科 に 決 め た ほ ど 、 国 が 動 き 、 東 京 が 変 わ る と い う こ と を 実 感 し た 。 東 京 は そ れ ほ ど 変 わ っ た 。 今 回 も そ う し た 経 緯 を 踏 ま え て 準 備 す る 。 佐 野 : ( 布 村 氏 へ ) 五 輪 と い う 大 き な イ ベ ン ト に よ っ て 都 市 が 変 わ っ て い く 様 子 は 他 の 開 催 都 市 を み て 我 々 も 実 感 し て き た 。 た だ 、 成 熟 都 市 に お い て 、 大 会 を 機 に ど こ を 成 長 さ せ て い く か を 考 え る の は 楽 し み で も あ る 一 方 、 難 し い 面 も あ る と 思 わ れ る が 。 布 村 : 東 京 は 、 成 熟 都 市 と 言 わ れ て い る が 、 先 ほ ど の 都 市 ラ ン キ ン グ で も 紹 介 が あ っ た よ う に 、 舛 添 都 知 事 に は 世 界 一 の 都 市 を 目 指 す と い う 想 い が あ る 。 先 般 、 東 京 都 は 「 東 京 都 長 期 ビ ジ ョ ン ( 仮 称 ) 」 の 中 間 報 告 を 発 表 し た 。 年 内 に は 取 り ま と め る 計 画 で 、 い く つ か の 目 標 を 掲 げ て い る 。 ま ず 、 2020年 東 京 五 輪 を 史 上 最 高 の 大 会 に す る と の 目 標 。 も う ひ と つ が 、 大 会 を さ ま ざ ま な 社 会 課 題 解 決 の 好 機 と と ら え 、 将 来 に わ た る 東 京 の 持 続 的 発 展 を 実 現 す る と い う 目 標 で あ る 。 た と え ば 、 オ リ ン ピ ッ ク を 通 じ て ス ポ ー ツ 都 市 東 京 を 目 指 す と い う 目 標 は も と よ り 、 パ ラ リ ン ピ ッ ク を ひ と つ の 契 機 と し て ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン 先 進 都 市 を 目 指 す と い う 目 標 も 掲 げ て い る 。 ま た 、 先 ほ ど か ら 出 て い る 道 路 網 、 航 空 ネ ッ ト ワ ー ク に 関 し て も 利 用 者 本 位 の 観 点 か ら 新 た な 交 通 網 を つ く る と い う 新 し い 構 想 も 盛 り 込 ま れ て い る 。 も う ひ と つ 重 要 な の が ボ ラ ン テ ィ ア で あ る 。 ロ ン ド ン 、 ソ チ の 例 を み て も 、 や は り ボ ラ ン テ ィ ア は 大 会 の 顔 で そ の お も て な し が 参 加 者 に は も っ と も 印 象 に 残 る 。 今 大 会 を 契 機 に 、 10年 後 の 東 京 を ボ ラ ン テ ィ ア 先 進 都 市 に 変 え る と い う 目 標 も 立 て て お り 、 都 民 は も と よ り 、 関 東 圏 、 日 本 国 中 の 方 々 に そ う し た 目 標 を 共 有 し て い た だ き 、 一 緒 に な っ て 作 り 上 げ て い き た い と 考 え て い る 。 そ の 上 で 、 組 織 委 員 会 と し て は 、 選 手 の 視 線 に 立 っ て し っ か り と し た 大 会 運 営 に 取 り 組 ん で ま い り た い 。 佐 野 : ( 市 川 氏 へ ) 今 の 布 村 さ ん の 発 言 を う か が っ て 二 つ あ っ た よ う に 思 う 。 ひ と つ は 、 東 京 を ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン 先 進 都 市 に す る と い う お 話 。 こ れ は 障 害 者 ス ポ ー ツ 振 興 を 通 じ た 地 域 活 性 化 と い う こ と に も つ な が る と 思 わ れ る 。
9 そ れ と 、 ボ ラ ン テ ィ ア の 件 で 触 れ ら れ て い た 2020年 大 会 を 日 本 国 中 で さ さ え て も ら う と い う お 話 。 今 大 会 の 目 標 や 東 京 の ビ ジ ョ ン を ど の よ う に し て 地 方 に 波 及 し て い く か と い う 視 点 。 こ の あ た り 、 市 川 さ ん の ご 見 解 は ? 市 川 : ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン 化 は 当 然 必 要 だ が 、 ど う い う 視 点 を も っ て 取 り 組 む か と い う こ と が 重 要 。 そ こ に ど う い う 意 味 を 持 た せ る か ? を 考 え な け れ ば な ら な い 。 み ん な が そ れ ( ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン ) を 望 む か ら と い う の は も ち ろ ん 、 そ の と お り だ が 、 東 京 五 輪 に よ っ て 改 善 し て い か な け れ ば な ら な い こ と は 多 岐 に わ た る 。 そ の な か で 、 「 東 京 な ら で は 」 の 視 点 に 基 づ く 施 策 の 優 先 順 位 が あ る べ き だ と 考 え る 。 す べ て に 同 じ ウ エ イ ト は か け ら れ な い と い う こ と も 事 実 だ し 、 意 図 を も っ て 形 を 作 り 上 げ る も の と 、 自 然 と そ う し た 姿 に な る も の が あ る と い う こ と も 事 実 な の で 、 そ こ は 検 討 が 必 要 と 考 え る 。 佐 野 : ( 布 村 氏 へ ) 今 、 組 織 委 員 会 が 開 催 基 本 計 画 を 策 定 し て い る 最 中 だ が 、 市 川 さ ん が 指 摘 さ れ た 「 唯 一 化 」 「 東 京 な ら で は 」 と い う 視 点 に つ い て は ど の よ う に お 考 え か ? 布 村 : 現 在 、 来 年 2月 に 国 際 オ リ ン ピ ッ ク 委 員 会 に 提 出 す る 基 本 計 画 の 策 定 に あ た っ て は 、 組 織 委 員 会 の 役 職 員 は も と よ り 、 各 委 員 会 委 員 、 評 議 員 、 そ の 他 多 く の 国 民 の 方 々 の ご 意 見 を う か が い な が ら 取 り 組 ん で い る 。 東 京 の 大 会 な ら で は と い う 視 点 で い え ば 、 お そ ら く ひ と つ に は 、 パ ラ リ ン ピ ッ ク 競 技 、 オ リ ン ピ ッ ク 競 技 を 同 じ レ ベ ル に 位 置 づ け て 運 営 す る と い う 点 が あ げ ら れ る の で は な い か 。 ま た 、 関 わ る 方 々 の 世 代 の 多 様 性 も あ る 。 と く に 、 ボ ラ ン テ ィ ア に は 多 様 な 世 代 か ら 参 加 し て い た だ き た い 。 も う ひ と つ は 、 地 域 の 多 様 性 。 東 京 で 開 か れ る 大 会 で は あ る も の の 、 日 本 中 の 祭 り や 伝 統 芸 能 な ど の 日 本 の 文 化 を 世 界 に 発 信 す る 機 会 と し た い 。 日 本 の 伝 統 や 文 化 に 加 え て 、 日 本 の 最 先 端 の 科 学 技 術 も 世 界 に 発 信 す る 良 い 機 会 と な る だ ろ う 。 こ れ ら を 踏 ま え 、 ア ス リ ー ト フ ァ ー ス ト な 、 2020年 の 大 会 そ の も の の 成 功 、 大 会 以 降 の 東 京 や 日 本 の あ り か た の 提 起 、 そ し て 国 民 一 人 ひ と り の 主 体 的 参 画 の 3つ 視 点 を 踏 ま え た 大 会 ビ ジ ョ ン を 策 定 し 、 多 く の 方 々 と と も に 目 標 に 向 か え る も の と し た い 。 佐 野 : ( 布 村 氏 へ ) 優 先 順 位 と い う 観 点 で い う と ?
10 布 村 : 優 先 順 位 と な る と 、 組 織 委 員 会 自 体 は 時 限 が 限 ら れ た 組 織 な の で 、 私 個 人 の 見 解 と な る が 、 や は り 、 オ リ ン ピ ッ ク 、 パ ラ リ ン ピ ッ ク を 一 体 と し て と ら え て 準 備 、 運 営 し て い く こ と が も っ と も 重 要 と い え る の で は な い か 。 こ れ ま で 、 オ リ ン ピ ッ ク と 比 べ る と 認 知 度 や 理 解 の 面 で 必 ず し も 同 じ レ ベ ル と は 言 い 難 か っ た パ ラ リ ン ピ ッ ク に 対 す る 認 識 、 あ る い は 心 の バ リ ア と い っ て も 良 い か も し れ な い が 、 そ う し た も の を 東 京 大 会 に お い て は 取 り 払 い 、 一 体 の 大 会 と し て 認 知 し て も ら う こ と が 重 要 だ と 考 え る 。 ア ス リ ー ト と し て 自 分 の 限 界 に 挑 戦 し 、 超 え て い こ う と す る 姿 は オ リ ン ピ ッ ク 選 手 、 パ ラ リ ン ピ ッ ク 選 手 に 違 い は な い 。 多 く の 方 々 が そ の 姿 に 勇 気 を も ら っ た り 、 頑 張 ろ う と い う 気 持 ち に な っ て い た だ け れ ば と 思 っ て い る 。 そ の 意 味 で 、 組 織 委 員 会 と し て は オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク と も に 、 し っ か り と し た 運 営 で 臨 み 、 す べ て の ア ス リ ー ト が 十 分 に 力 を 発 揮 で き る 大 会 に す る と い う こ と に 全 力 を 注 ぐ こ と に な る 。 佐 野 : ( 市 川 氏 へ ) 今 、 布 村 さ ん の ほ う か ら 心 の バ リ ア の 問 題 、 あ る い は ボ ラ ン テ ィ ア に 関 す る お 話 が あ っ た 。 都 市 の 発 展 に 絡 め て 考 え る と ど う い っ た 視 点 が 必 要 と な る か ? 市 川 : 日 本 の 組 織 の 特 徴 の ひ と つ に 、 世 界 に 自 分 た ち の 可 能 性 を 自 ら 発 信 す る 力 が 弱 い と い う 根 本 的 な 問 題 が あ る 。 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク 大 会 は ス ポ ー ツ の 大 会 で は あ る が 、 そ れ を さ さ え る に は さ ま ざ ま な 技 術 や サ ー ビ ス が 必 要 で あ り 、 大 会 に よ っ て 変 わ る こ と も 多 々 あ る 。 そ う し た 技 術 や サ ー ビ ス を 通 じ て 、 東 京 は 、 あ る い は 日 本 は 何 が 出 来 る の か 、 ど う 変 わ る の か を 発 信 す る こ と が 重 要 。 た ん に 「 ス ポ ー ツ の 大 会 を し ま し た 」 だ け で は な く 、 何 を 発 信 す る の か を 決 め て お か な い と い け な い 。 そ の 意 味 で 、 東 京 五 輪 は 、 東 京 、 日 本 な ら で は の 情 報 を 発 信 す る 絶 好 の 機 会 。 発 信 す る に は 、 そ も そ も 「 日 本 人 は こ こ が 優 れ て い る 」 と い う 自 己 分 析 、 自 覚 が 必 要 で 、 そ こ が わ か っ て い な け れ ば 発 信 も で き な い 。 た と え ば 、 日 本 政 府 観 光 局 が 実 施 し て い る ア ン ケ ー ト が あ る 。 成 田 空 港 で 訪 日 外 国 人 に 訪 日 理 由 を 聞 く と 、 ト ッ プ の 回 答 に 「 日 本 の サ ー ビ ス が 良 い か ら 」 が あ げ ら れ 、 3番 目 に 「 日 本 人 は 親 切 だ か ら 」 と い う 回 答 が あ げ ら れ る 。 帰 国 時 に 、 同 じ 調 査 を 行 う と 、 こ の 二 つ の 回 答 を 選 ぶ 割 合 が 増 え る 。 こ の こ と は あ ま り 知 ら れ て い な い 。 こ う い う と こ ろ に ヒ ン ト が あ る 。 私 た ち が 当 た り 前 と 思 っ て い る こ と が 、 世 界 で は 例 外 と い う こ と が あ る こ と を 日 本 人 は も っ と 知 る 必 要 が あ る 。 東 京 五 輪 は 、 そ う し た 日 本 の 良 さ を 発 信 す る 絶 好 の チ ャ ン ス と な る 。
11 佐 野 : ( 布 村 氏 へ ) 市 川 さ ん の ア ド バ イ ス を 受 け て 何 か コ メ ン ト が あ れ ば ? 布 村 : 今 後 、 必 要 と 想 定 さ れ る 8万 人 の ボ ラ ン テ ィ ア だ け で は な く 、 一 般 の 方 々 も 、 外 国 か ら の 訪 問 者 が 困 っ て い る と き な ど 、 自 然 と サ ポ ー ト し て い た だ け れ ば あ り が た い と 思 う 。 一 方 で 、 引 っ 込 み 思 案 だ っ た り 勇 気 が 出 な か っ た り で 、 な か な か 声 を か け ら れ な い 方 も 多 い と 思 わ れ る 。 今 回 の 大 会 を 通 じ て 、 ひ と つ 殻 を 破 っ て 、 困 っ て い る 方 に 手 を 差 し 伸 べ る こ と が 出 来 る よ う に な っ た と い う 人 が 増 え れ ば 嬉 し い 。 佐 野 : ( 二 人 に 対 し ) 発 信 と い う 点 で い え ば 、 東 京 以 外 の 地 方 に つ い て は ど う か ? 東 京 五 輪 で 世 界 か ら 注 目 を 浴 び る の は 東 京 だ け で は な い か と 指 摘 す る 声 も あ る が ? 市 川 : 海 外 か ら 外 国 人 が 来 て び っ く り す る の は 、 東 京 は 巨 大 都 市 で あ り な が ら 非 常 に 整 然 と 動 い て い る 点 と 清 潔 さ 。 そ こ が 東 京 の す ご さ で も あ る が 、 こ れ は 地 方 都 市 に お い て も 同 様 。 あ る 意 味 で 、 日 本 人 と し て し っ か り と し た 自 信 と 誇 り を も つ と い う こ と を も う 少 し 考 え る べ き だ 。 そ の う え で 、 そ れ を 来 た 人 に き ち ん と 伝 え る 。 「 お も て な し 」 を ど う 表 す の か は 、 今 後 6年 間 の 課 題 と い え る 。 加 え て 、 東 京 五 輪 で 注 目 を 浴 び る の は 東 京 だ け と い う の は 間 違 い 。 東 京 を 訪 れ た 人 た ち の 何 割 か は 必 ず 地 方 を 訪 れ る 。 地 方 は 、 ど う や っ て そ の 人 た ち を 受 け 入 れ る か と い う こ と に 注 力 す べ き 。 五 輪 は ス ポ ー ツ の 祭 典 だ が 、 そ れ だ け で は な い と い う の が 私 の 考 え 。 大 量 の 人 が 来 る と 何 が 生 ま れ る の か ? そ れ を ど う 生 か す の か ? を 突 き 詰 め て 考 え て い く と 、 新 た な 発 想 が 生 ま れ る 。 布 村 : 名 称 は 東 京 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク だ け れ ど も 、 ぜ ひ 、 日 本 の オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク に し た い と い う の が 組 織 委 員 会 の 考 え の ベ ー ス に あ る 。 そ こ で ま ず 手 始 め に 、 全 国 の 自 治 体 の 方 々 と の 連 携 を ス タ ー ト さ せ た 。 と く に 被 災 三 県 の 岩 手 、 宮 城 、 福 島 の 3 県 の 知 事 の 方 々 と は 、 組 織 委 員 会 と と も に 「 ど ん な オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク に す る か ? 」 を 協 議 す る 場 を 常 設 し て い る 。 ま た 、 大 学 と の 連 携 も 行 っ て い る 。 日 本 全 国 の 大 学 と 連 携 す る こ と で 、 ス ポ ー ツ 科 学 と い う ア カ デ ミ ズ ム の 力 の み な ら ず 、 ボ ラ ン テ ィ ア と し て の 大 学 生 の 力 な ど に 期 待 し て い る 。 文 化 ・ 芸 術 の 拠 点 と な る 大 学 も あ り 、 ス ポ ー ツ の み な ら
12 ず 、 文 化 ・ 芸 術 の 祭 典 に つ な が る よ う な プ ロ グ ラ ム を 大 学 と 一 緒 に な っ て つ く り あ げ て い け れ ば と 考 え て い る 。 そ う や っ て 日 本 全 国 の 力 を 結 集 し て 機 運 を 盛 り 上 げ て い た だ き た い と い う 意 味 で 、 今 、 エ ン ゲ ー ジ メ ン ト と い う 表 現 を 使 っ て 取 り 組 ん で い る 。 ま た 、 五 輪 の 開 催 に 先 駆 け て 海 外 の メ デ ィ ア が 数 千 人 規 模 で 事 前 取 材 を 行 う こ と も 予 想 さ れ る 。 大 会 開 催 年 の 数 年 前 か ら 来 日 し て 、 大 会 開 催 時 に 流 す た め の 素 材 映 像 を 日 本 国 中 を 取 材 し て 撮 り 貯 め る 。 重 要 な の は 、 日 本 の 地 域 性 、 あ る い は 地 域 の 特 色 あ る 文 化 財 な ど 、 地 域 に 住 ん で い ら っ し ゃ る 日 本 人 の 日 常 の 生 活 が 撮 影 対 象 で あ る こ と 。 そ う し た 素 材 を も と に 日 本 を 世 界 に 紹 介 し て い た だ け る 良 い 機 会 で も あ る 。 地 方 自 治 体 の 方 々 か ら は 、 聖 火 リ レ ー や 事 前 合 宿 の 招 致 な ど の 要 望 を い た だ い て い る 。 東 北 三 県 で は 、 ち ょ う ど 夏 祭 り の 時 期 な の で 、 祭 り を 通 し て 東 北 の 被 災 地 が 元 気 に な っ た 姿 を 届 け る と と も に 世 界 に 感 謝 の 気 持 ち を 届 け た い と い う 要 望 も い た だ い て い る 。 日 本 国 中 一 緒 に な っ て 盛 り 上 げ る と い う 機 運 を 今 後 5 ~ 6年 、 継 続 し て い き た い 。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 【 フ ロ ア と の 質 疑 応 答 】 < フ ロ ア か ら の 質 問 そ の 1 > 医 療 体 制 に つ い て 質 問 し た い 。 東 京 で は 、 救 急 車 を 受 け 入 れ る 救 急 病 院 が 見 つ か ら な い と い う 問 題 が 一 時 話 題 と な っ た 。 大 会 開 催 時 に は 数 百 カ 国 か ら 選 手 や 観 戦 者 が 来 日 さ れ る こ と が 予 想 さ れ る な か 、 救 急 医 療 体 制 は ど う 準 備 し て い く の か ? 市 川 : こ れ か ら の 大 き な 課 題 の ひ と つ 。 た と え ば 東 京 に は ベ ッ ド 数 の 規 制 が あ り 、 簡 単 に は 増 や せ な い 。 五 輪 開 催 期 間 と い う こ と で 特 別 措 置 を 講 じ る 可 能 性 も あ る が 、 現 時 点 で は わ か ら な い 。 た だ 、 外 国 か ら の 方 々 に 対 す る 医 療 行 為 は や ら な け れ ば な ら な い の は 事 実 。 や れ る よ う に 変 え て い く し か な い 。 一 方 、 特 別 措 置 を 講 じ る こ と で 、 そ の 後 の 日 本 が 変 わ る チ ャ ン ス に つ な が る 可 能 性 も あ る 。 1964年 に も そ う し た 例 は い く つ も あ っ た 。 そ う し た チ ャ ン ス を ど れ く ら い 使 え る の か は 今 後 に か か っ て い る 。 ま た こ の 問 題 は 、 政 府 だ け に 任 せ る べ き こ と で は な く 、 み ん な で 考 え て 行 動 し て い か な け れ ば な ら な い 。 医 療 の 問 題 だ け で は な く 、 さ ま ざ ま な 分 野 に 当 て は ま る 。 そ の 上 で 、 2020年 が 日 本 の 歴 史 に と っ て 転 換 点 だ っ た と い わ れ る よ う に し て い き た い 。 た だ 、 課 題 が 山 積 み な こ と も 確 か だ 。
13 < フ ロ ア か ら の 質 問 そ の 2 > 8万 人 の ボ ラ ン テ ィ ア 態 勢 を 構 築 す る に は 、 育 成 な ど に 時 間 も か か る と 思 う が 、 現 状 は ど う お 考 え か ? 布 村 : 8万 人 の ボ ラ ン テ ィ ア と 言 っ て も 、 い ろ い ろ な 個 所 、 部 署 で 業 務 内 容 は 異 な る 。 通 訳 、 障 害 者 の 介 助 な ど 、 多 様 な ス キ ル を お も ち の ボ ラ ン テ ィ ア の 方 々 が ス キ ル ご と に 十 分 に 力 が 発 揮 で き る よ う に 組 織 を 構 築 す る こ と が 重 要 。 既 に 東 京 都 で は 東 京 マ ラ ソ ン で 3 万 人 の ボ ラ ン テ ィ ア の 方 々 に 組 織 的 に 動 い て い た だ く と い う 経 験 を も っ て い る 。 そ う し た ノ ウ ハ ウ も 踏 ま え な が ら 、 あ る い は 大 学 な り 企 業 の 方 々 の 協 力 を い た だ き な が ら 、 組 織 的 な ボ ラ ン テ ィ ア 態 勢 を 構 築 す る 作 業 に こ れ か ら 入 る 。 多 く の 方 々 に ご 協 力 い た だ け る よ う 、 節 目 ご と に き ち ん と 情 報 発 信 で き る 態 勢 は 近 い う ち に 整 え ら れ る 。 先 ほ ど の 別 の 方 の ご 質 問 へ の 回 答 に も つ な が る が 、 各 国 の チ ー ム が 多 く の ス ポ ー ツ ド ク タ ー を 帯 同 さ せ る 。 彼 ら が 大 会 期 間 中 、 き ち ん と 医 療 行 為 が 行 え る よ う 、 法 的 な 措 置 を 行 う こ と に な る 。 そ れ が 、 将 来 の 医 療 体 制 に 良 い 意 味 で 影 響 す る こ と も 考 え ら れ る 。 < フ ロ ア か ら の 質 問 そ の 3 > 市 川 氏 が 指 摘 さ れ た 都 内 の 道 路 網 の 今 後 の 変 化 、 シ ャ ン ゼ リ ゼ 通 り の お 話 や 日 本 橋 の 再 開 発 な ど を み る と 、 た と え ば 既 存 の 車 道 を 歩 道 に 開 放 す る と い っ た こ と も 可 能 性 が あ る の で は な い か ? 東 京 五 輪 に よ っ て ス ポ ー ツ 熱 が 高 ま れ ば 、 車 優 先 の 今 の 道 路 の あ り か た も 変 わ る 可 能 性 も あ る よ う に 思 え る が 、 こ の 点 に つ い て ? 市 川 : 行 政 が 担 当 す る 分 野 に な る が 、 自 治 体 は 都 市 計 画 全 体 を ト ー タ ル に 考 え て 、 そ う し た 案 を 検 討 す る 必 要 が あ る 。 大 事 な の は 、 そ れ を 誰 が ど こ で 協 議 し 、 決 め る か と い う 問 題 。 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク を 開 催 す る と い う こ と は 、 突 き 詰 め れ ば そ う し た 提 案 も 含 め 、 い ろ ん な こ と を や っ て 良 い 時 と い え る 。 2020年 以 降 、 少 な く と も 20年 間 は 東 京 で オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク は 開 催 さ れ な い 。 こ の チ ャ ン ス を 生 か さ な い と 日 本 は 変 わ れ な い と い え る ほ ど の タ イ ミ ン グ と 考 え る 。 先 ほ ど も 言 っ た 通 り 、 2030年 か ら 2040年 代 の 10~ 15年 に 日 本 は 危 機 を 迎 え る 。 そ れ に ど う 備 え る の か と い う 問 題 。 ご 指 摘 の 点 も 含 め 、 変 え て い く 必 要 が あ る 部 分 を 多 く の 人 の 声 で 後 押 し し な け れ ば な ら な い 。 そ う い う 意 味 で は 今 年 か ら 来 年 が 重 要 。
14 < フ ロ ア か ら の 質 問 そ の 4 > ロ ン ド ン が 2012年 の オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク を 契 機 に GPCIで 1 位 に な っ た と い う 話 に 感 銘 を 受 け た 。 今 後 、 東 京 も い ろ い ろ な 分 野 で 改 革 を 図 る 必 要 性 を 感 じ た 。 実 際 に ロ ン ド ン に 行 っ て 印 象 的 だ っ た の は 、 ナ シ ョ ナ ル ギ ャ ラ リ ー を 筆 頭 に 文 化 ・ 芸 術 の 分 野 で 非 常 に 質 の 高 い 観 光 資 源 を 有 し て い る こ と 。 ま た 、 車 椅 子 の 方 の サ ポ ー ト を 周 囲 の 若 者 が 率 先 し て 行 う 姿 を 何 度 も 見 か け た 。 「 お も て な し 」 を ア ピ ー ル す る 日 本 も 、 こ れ か ら そ う し た こ と が 当 た り 前 の 光 景 と な る よ う 考 え て い か な け れ ば な ら な い 。 市 川 : 2012年 五 輪 の 招 致 レ ー ス に お い て 、 ロ ン ド ン が 本 命 視 さ れ て い た パ リ に 勝 て た の は 「 こ の 大 会 開 催 を 通 じ て 都 市 を 変 え る 」 と い う 具 体 的 な 計 画 提 言 が あ っ た こ と が 理 由 の ひ と つ だ と 考 え て い る 。 ソ ー シ ャ ル イ ン ク ル ー ジ ョ ン と い う コ ン セ プ ト の も と 、 貧 困 地 区 で の 大 会 開 催 を 通 じ て 雇 用 を 創 出 し 、 住 民 の 幸 せ に つ な げ る と い う こ と を 前 面 に 打 ち 出 し た 。 非 常 に わ か り や す い ポ リ シ ー だ っ た 。 ま た 、 ご 指 摘 の と お り 、 東 京 五 輪 を 通 じ て 東 京 の 文 化 、 日 本 の 文 化 を 「 見 せ る 」 こ と に も 注 力 し な け れ ば な ら な い 。 都 市 政 策 の 面 で も や る べ き こ と は 多 岐 に わ た る 。 そ の 意 味 で 、 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク は ス ポ ー ツ の イ ベ ン ト で は あ る も の の 、 ス ポ ー ツ の た め だ け の イ ベ ン ト で は な い と い う こ と を み ん な が 認 識 す る 必 要 が あ る 。 ス ポ ー ツ 以 外 の 分 野 に 属 す る 人 た ち に も 、 東 京 に 何 が 必 要 か 考 え て 、 さ ま ざ ま な 提 案 を し て ほ し い 。 こ の 機 会 を 生 か さ な け れ ば も っ た い な い 。 布 村 : 組 織 委 員 会 と し て は 、 今 は 基 本 計 画 を 構 築 す る 仕 込 み の 期 間 だ が 、 計 画 が で き た ら 、 そ れ を 実 現 す る た め に 国 や 東 京 都 に さ ま ざ ま な お 願 い を す る と 同 時 に 、 広 く 国 民 の 方 々 に 計 画 の 趣 旨 を 発 信 し て い き た い 。 そ の た め に も 、 こ の 仕 込 み の 時 期 に 多 く の 方 々 の ご 意 見 を う か が い た い 。 今 日 は そ の 意 味 で 非 常 に 良 い 刺 激 を 受 け た 。 1964年 東 京 五 輪 が 交 通 ネ ッ ト ワ ー ク な ど 有 形 の レ ガ シ ー を 後 世 に 残 し た の と 同 様 、 2020年 は 無 形 の レ ガ シ ー 、 た と え ば ボ ラ ン テ ィ ア 精 神 の 定 着 や 障 害 の あ る 方 、 高 齢 者 が 住 み よ い 社 会 の 創 出 な ど を 遺 し て い け れ ば と 思 う 。 ま た 、 既 に 文 化 ・ 芸 術 の 振 興 団 体 の 方 々 、 あ る い は 地 方 の 伝 統 芸 能 や 文 化 財 を 守 っ て い ら っ し ゃ る 方 々 か ら 、 協 力 の 提 案 を い た だ い て い る 。 加 え て 、 今 大 会 を 機 に 諸 外 国 の 方 々 と 身 近 な 交 流 の 出 来 る 、 い わ ゆ る グ ロ ー バ ル 人 材 が 日 本 国 中 に 定 着 し て ほ し い と 願 っ て い る 。 重 要 な の は 、 や は り オ ー ル ジ ャ パ ン で 取 り 組 む と い う こ と 。 東 京 だ け で は な く 日 本 中 で 、 ス ポ ー ツ 関 係 者 だ け で は な く 多 様 な 分 野 の 方 々 と と も に 、 ま た あ ら ゆ る 世 代 の 方 々 が 参 加 す る 東 京 五 輪 に し た い 。 【 以 上 】