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紫外線照射装置 JWRC 技術審査基準 (UV-LED 編 )( 案 ) 制定平成 29 年月日 目 次 第 1 章技術審査基準 1 目的 1 2 適用範囲 1 3 用語の定義 1 4 装置基準 照射能力等 モニタリング性能 浸出性 耐圧性 6 4.5

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紫外線照射装置JWRC技術審査基準

UV-LED 編)

(案)

平成29年3月28日

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紫外線照射装置JWRC技術審査基準(UV-LED編)(案)

制定 平成29年 月 日 目 次

第1章 技術審査基準

1 目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 適用範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 3 用語の定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 4 装置基準 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 4.1 照射能力等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 4.2 モニタリング性能 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 4.3 浸出性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 4.4 耐圧性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 4.5 その他の性能 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 5 大規模装置の技術審査申請に関する特記事項 ・・・・・・・・・・7

第2章 UV-LED試験方法等

1 試験等に用いる紫外線照射槽の条件 ・・・・・・・・・・・・・・8 2 UV-LED の光学試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 2.1 紫外線強度計 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 2.2 試験装置と方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 2.3 測定結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 3 紫外線強度の変換 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 3.1 UV-LED の発光分布(P値) ・・・・・・・・・・・・・・・15 3.2 対象となる微生物の紫外線による不活化の紫外線感受性(GF値)・・15 3.3 紫外線強度の変換係数BF ・・・・・・・・・・・・・・・17 3.4 紫外線強度変換係数の最小値BFmin ・・・・・・・・・・・・19 4 紫外線照射量試験 4.1 供試微生物の紫外線感受性測定試験 ・・・・・・・・・・・22 4.2 紫外線照射装置の通水試験 ・・・・・・・・・・・・・・30 4.3 適合RED値の算出方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・35 5 CFD解析モデルによるシミュレーション ・・・・・・・・・・40 5.1 審査手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 5.2 CFD解析モデル審査基準 ・・・・・・・・・・・・・・41

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5.3 紫外線照射槽認定審査 ・・・・・・・・・・・・・・・・67 6 モニタリング性能試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72 6.1 測定と表示 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72 6.2 モニタリング性能試験のための機器選定 ・・・・・・・・73 6.3 モニタリング試験方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・73 6.4 モニタリング性能判定基準 ・・・・・・・・・・・・・・74 7 浸出性試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79 申請関係資料 「紫外線照射装置JWRC基準適合認定依頼書の纏め方の手引き」 ・・・付―1 「データ総括表(UV-LED)」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・付―9 参考資料 参考1 紫外線照射装置技術基準等検討委員会 委員 参考2 厚生労働省水道課長通達:水道施設の技術的基準を定める省令の一部改正に ついて(平成 19 年 3 月 30 日) 参考3 厚生労働省水道課長通達:水道水中のクリプトスポリジウム等対策の実施につ いて(通知)(平成 19 年 3 月 30 日) 参考4 厚生労働省:水道におけりクリプトスポリジウム等対策指針(平成 19 年 3 月 30 日) 参考5 厚生労働省:資機材等の材質に関する試験(平成 12 年 2 月 23 日) 参考6 用語集

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第1章 技術審査基準

1 目的 耐塩素性病原生物対策として位置づけられた紫外線処理における「紫外線照射装置が 備えるべき要件」について、具体的な判断基準及び試験方法等を「JWRC 技術審査基準」 として定めることにより、水道事業体における紫外線照射装置の導入を支援することを 目的とする。 2 適用範囲 地表水以外の水道原水を対象にクリプトスポリジウム等の耐塩素性病原生物対策と して使用する紫外線照射装置のうち、殺菌紫外線を発する発光ダイオード(以下 「UV-LED」という。)等を使用した装置について適用する。 3 用語の定義 ⅰ)JWRC 技術審査基準 公益財団法人水道技術研究センターが紫外線照射装置に係る技術上の審査基準 として定める「紫外線照射装置 JWRC 技術審査基準」をいう。 ⅱ)紫外線照射装置 紫外線照射の機能を発揮させるために必要な装置であり、UV-LED・紫外線セン サ等が設置された紫外線照射槽及び定電流電源装置・紫外線モニタ等を組み込んだ 付属制御盤をいう。 ⅲ)審査対象紫外線照射装置 技術審査の対象とされる紫外線照射装置で、実装置として用いられることを目的 としたものをいう。 ⅳ)低圧ランプ 主として 253.7 nm 付近の単波長を発する低圧水銀ランプをいう。 ⅴ)RED(換算紫外線照射量:Reduction Equivalent UV Dose)

紫外線照射槽内で実際に与えられた紫外線照射量を表す指標をいう。生物線量計 によって求めることができる。 ⅵ)UV-LED ピーク波長が 250~300 nm で半値幅が概ね 15 nm 以下の発光ダイオードパッケー ジ、モジュールなどをいう。 [解説] ピーク波長を 250 nm 以上とした理由は、これ未満の波長では被照射液中の溶 解物の影響で透過率が低下する場合が多く、かつ、その透過率の値が原水によっ て大きく異なるためである。

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ⅶ)LED チップ LED の発光に寄与する半導体の部分をいう。 ⅷ)LED パッケージ LED チップをプリント配線板などに取りつけられるよう外部接続用端子と一体 化すること及び一体化したものをいう。 ⅸ)LED モジュール 一つの光源として扱えるよう、1 個以上の LED チップをプリント配線板などに 平面的又は立体的に配列して、機械的、電気的及び光学的構造部品を含む多数の要 素で光源とするユニット又はその集合体をいう。 ⅹ)単位モジュール LED モジュールを構成する 1 個の LED チップとリフレクターおよびレンズなど の光学的構造部品を組み合わせたものをいう。 ⅺ)ジャンクション温度 LED チップの pn 接合部の温度をいう。 以上に示した以外の用語については、巻末に添付する「参考6 用語集」を参照のこ と。 図 1-3-1 UV-LED の模式図 LED モジュール LED パッケージ LED チップ レンズ (光学的構造部品) リフレクター (光学的構造部品) プリント基板 単位モジュール

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4 装置基準 4.1 照射能力等 紫外線照射装置は、紫外線照射槽を通過する水量の 95 %以上に対して、紫外線(253.7 nm 付近)の照射量を常時 10 mJ/cm2以上確保できるものでなければならない。そのた めの具体的な審査基準は次のとおりである。 4.1.1 照射性能等 紫外線照射装置の照射性能としては、図 1-4-1 UV-LED 照射性能確認方法のフロー チャートに従い、以下のⅠ)またはⅢ)の条件を満足すること。 Ⅰ)「第2章4 紫外線照射量試験」により求めた審査対象紫外線照射装置の RED実測が適合 RED 値以上である場合。 Ⅲ)「第2章4 紫外線照射量試験」により求めた審査対象紫外線照射装置の RED実測が適合 RED 値未満の場合、「第2章5 CFD 解析モデルによるシミュレ ーション」に示す紫外線照射量分布を考慮した CFD(以下 P-CFD と称す)によ る解析の結果、審査対象紫外線照射槽を通過する水量の 95%以上に対して紫外線 照射量が 10 mJ/cm2以上であることを照射量分布図において示すことができる場 合。 適合 RED 値についての詳細は「第2章4.3 適合 RED 値の算出方法 表 2-4-2」 に示す。 また、装置に備える UV-LED、即ち「第2章4.2 紫外線照射装置の通水試験」 で使用する UV-LED は、「第2章2 UV-LED の光学試験」を行い、次の条件を満足 すること。 ① 装置に備える UV-LED の紫外線強度設計値を提示すること。 ② 装置に備える UV-LED の配光特性を提示すること。 ③ 装置に備える UV-LED のスペクトル分布を提示すること。 ④ 装置に備える UV-LED 寿命時の維持率設計値を提示すること。 ⑤ UV-LED の紫外線強度測定値が、設計値以上であること。

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図 1-4-1 UV-LED 照射性能確認方法のフローチャート 不 適 合 適 合

No Ⅰ:紫外線照射装置の RED実測 値が適合 RED 値以上であること。 Ⅲ:P-CFD による解析の結果、紫外線照射槽を通過する水量の 95%以上に 対して紫外線照射量が 10 mJ/cm2以上であることを照射量分布図にお いて示すことができること。

手順 スタート Yes Yes No

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4.1.2 処理水量の異なる一連の照射装置(同系列照射装置)に関する特記事項 前項4.1.1に従って試験を行う照射装置(審査対象紫外線照射装置)で用いら れている UV-LED 単位モジュールと同一の UV-LED 単位モジュールを持つ UV-LED モジュールが配備され、設計水量としておよそ 10 倍の範囲内にある照射装置であり、 かつ、既に審査基準を合格したものと同じ設計思想注)で製造される照射装置(同系 列照射装置)は、下記条件を満たすことによって照射性能は適合とすることができる。 1)審査対象紫外線照射装置が前項Ⅰ)の条件により適合となった場合 同系列照射装置の試験結果が以下のいずれかを満足すること。 (ⅰ)「第2章4 紫外線照射量試験」により求めた RED実測 が適合 RED 値以上。 (ⅱ)「第2章5 CFD 解析モデルによるシミュレーション」に示す P-CFD による解 析の結果、REDCFD が適合 RED 値以上。 (ⅲ)新たに、審査対象紫外線照射装置の「第2章5 CFD 解析モデルによるシミ ュレーション」に示す P-CFD による解析を行い、紫外線照射槽を通過する水量 の 95%以上に対して紫外線照射量が 10 mJ/cm2以上であることを照射量分布図に おいて示した上で、同系列照射装置の P-CFD による解析の結果が、紫外線照射 槽を通過する水量の 95 %以上に対して紫外線照射量が 10 mJ/cm2以上であること を照射量分布図において示すことができること。 2)審査対象照射装置が前項Ⅲ)の条件により適合となった場合。 「第2章5 CFD 解析モデルによるシミュレーション」に示す P-CFD による解析 の結果、紫外線照射槽を通過する水量の 95 %以上に対して紫外線照射量が 10 mJ/cm2 以上であることを照射量分布図において示すことができること。 注) 同じ設計思想とは、照射槽の構造・材質・監視制御等が同じ設計思想で設 計・製造されていること。 4.2 モニタリング性能 紫外線照射装置に設置する紫外線モニタは、「第2章6 モニタリング性能試験」にお いて次の条件を満足すること。 1)紫外線モニタの測定値は、「第2章 2.1 紫外線強度計」で規定する紫外線強 度計に比べて変化率の誤差が 10%以内であること。 2)1ヶ月間の連続曝露劣化は、紫外線モニタのセンサ取り付け位置において 10%以内 であること。 既に適合認定を受けた紫外線モニタと同一型式の紫外線モニタを配備した紫外 線照射装置については、適合認定を受けた紫外線モニタの試験結果を用いることが できるものとする。

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4.3 浸出性 審査対象紫外線照射槽の浸出性は、資機材等の材質に関する試験(厚生省告示第 45 号)に従って得られた分析値が、水道施設の技術的基準を定める省令(厚生省令第 15 号)第 1 条第 17 号ハの規定に適合していること。 ⅰ)浸出性試験は、審査対象紫外線照射槽で実施することを原則とする。ただし、同 様の構造・型式かつ同一の接液部材質を用いた照射槽については、「第2章7 浸 出性試験」の手法によって、既に適合認定を受けた紫外線照射槽で行った浸出試 験結果を用いることができるものとする。 ⅱ)水質分析は、水道法第 20 条に基づく登録水質検査機関で行うものとする。 ⅲ)浸出試料水の採取は、水道法第 20 条に基づく登録水質検査機関に依頼し、そこ に所属する専門の担当者が浸出試料水の採取を行うものとする。 (留意事項) 水道施設の技術的基準を定める省令(厚生省令 15 号)第 1 条第 17 号ハの別表二は、水質基準の改正に伴う内容変更が逐次実施される。本適合 認定では、認定時点における基準を満足する必要がある。 4.4 耐圧性 審査対象紫外線照射槽の耐圧性は、あらかじめ照射槽内に水を満たした状態とし、二 次側を閉じ、次いで一次側より水圧を加え、当該照射槽の最高使用条件における 1.5 倍 以上の圧力を 1 分間加えて状態を観察し、漏れその他の異常がないこと。 4.5 その他の性能 1)構造一般 ⅰ)管路密閉型で外部からの汚染の心配がなく、また紫外線が外部に漏れないこと。 ⅱ)UV-LED モジュールの取り付け、取り外しが容易なこと。 ⅲ)紫外線強度や水質の紫外線透過率変動などを示す紫外線モニタを設けること。 2)付属制御盤 ⅰ)付属制御盤の絶縁抵抗は JEM 1021.4 を満足すること。 ⅱ)付属制御盤の耐電圧は JEM 1021.5 制御回路の耐電圧値で試験を行い、試験前後 で絶縁抵抗が JEM 1021 4. を満足すること。また、付属制御盤の定格及び試験は JEM 1460 による。 ⅲ)付属制御盤の仕様に含まれる機能が正常に動作すること。 3)紫外線照射装置の主要部寸法公差 図面寸法に( )書きがない場合は JIS B 0405 記号 v の規格値内にあること。( ) 書きがある場合は JIS B 0401-2 4. IT18 の規格値内にあること。

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5 大規模装置の技術審査申請に関する特記事項 審査対象紫外線照射装置の製造や試験に際して、大規模装置ではコストなどの面から 技術審査申請することが困難になる場合がある。既に、同様の形式かつ同一の UV-LED 単位モジュールを用いた照射装置で適合認定を受けている場合に限り、実施設の納入 (設置)後に行う性能試験等のデータとして「第1章4.1.2 処理水量の異なる一 連の照射装置(同系列照射装置)に関する特記事項」に示された条件による試験結果を 用いて大規模装置の技術審査申請を行ってもよい。また、同様な理由により、同系列紫 外線照射装置については「第1章4.4 耐圧性」「4.5 その他の性能」を証明す る試験結果を省略して技術審査申請を行ってもよい。

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第2章 UV-LED試験方法等

審査対象紫外線照射装置の能力及び性能等を評価する試験方法及び計算方法は、次の 各号によるものとする。 1 試験等に用いる紫外線照射槽の条件 紫外線を遮光する部品をオプションで付設することのある紫外線照射槽は、その全て を取り付けた状態で試験すること。 [解説] 1 照射槽内に遮光物があると、照射量や槽内流れに影響を与える。従って、オプション 部品がある場合について考慮する必要がある。手動又は定期的に稼動する洗浄機能を有 する装置を用いて試験する場合は、洗浄待機状態で試験する。 2 UV-LED の光学試験 紫外線照射槽に配備する UV-LED の光学試験について示す。ここで得られた結果は、 次の各試験において引用する。 「第2章 4 紫外線照射量試験」 「第2章 5 CFD 解析モデルによるシミュレーション」 なお、UV-LED パッケージのスペクトル分布、配光特性及び紫外線強度維持率曲線も併 せて提出する。 2.1 紫外線強度計 2.1.1 紫外線強度計 紫外線強度測定に用いられる紫外線強度計は、次のとおりとする。

1)NIST(National Institute of Standards and Technology,米国標準技術局)、(独)産業

技術総合研究所又はそれに準ずる国家標準をもとに値付けされた強度計を用い る。 2)斜入射角特性が良好なものを用いること。 3)分光応答度特性が主に波長 250 nm~300 nm に感度を持つものを用いること。特 に波長 300 nm 以上に感度があってはならない。 ただし、化学光量計(例えば iodide/iodate 溶液を用いた方法)を用いるか、化学光 量計によって補正された紫外線強度計を用いてもよい。

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2.1.2 紫外線分光強度計(全光束測定用)

紫外線分光強度測定に用いられる紫外線分光強度計は、次のとおりとする。

1)NIST(National Institute of Standards and Technology,米国標準技術局)、(国研)産

業技術総合研究所又はそれに準ずる国家標準をもとに値付けされた、積分球を介 する紫外線分光強度計を用いる。 2)LED からの直接光が検出器に入射しない構造を有する積分球を用いること。 3)分光応答度特性が主に波長 250 nm~300 nm にあり、分解能が 1 nm 以下であるこ と。 [解説] 2.1 紫外線強度計は JIS 規格がないため、トレーサビリティ体系が確認できる強度計を用 いる必要がある。また、強度計の測定値と指示値との直線性は定格レンジの 2~5%程度 以上の部分で保たれているため、安全性を考慮し定格レンジの 10%以上で測定すること が望ましい。 紫外線強度測定値は使用する強度計にもよるが、測定誤差を考慮し、最低 100 µW/cm2 程度が望ましい。 低圧紫外線ランプの発光波長は 253.7 nm 付近以外に 313 nm,365 nm,405 nm,435 nm, 546 nm 等もあるため、これらの波長の紫外線や可視光に対して感度を持たないものを 用いる必要がある。 紫外線分光強度計の分光感度が主に 250 nm~300 nm にあることとした理由は、微生 物の不活化効果がこの波長範囲に感度があるためである。なお、微生物の不活化感度に ついては、JIS Z 8811:殺菌紫外線の測定方法の“図 1 紫外線の波長別殺菌効果”が参 考となる。 紫外線分光強度計の波長分解能を 1 nm 以下であることとした理由は、LED は水銀ラ ンプと異なり、発光スペクトル分布に幅があり、かつ、そのピーク波長には個体差があ るのに対して、不活化効果は波長によって異なるため、LED のピーク波長およびスペ クトルの半値全幅(ピーク波長の強度を 1 とし、強度 0.5 以上となる波長領域の幅)を 測定する必要があるためである。 2.2 試験装置と方法 (1)分光強度試験 UV-LED の紫外線分光強度を測定する方法は以下による。 ① 試験に使用する設備は、表 2-2-1 による。 ② 試験を行う UV-LED 及び紫外線分光強度計を図 2-2-1 のように設置する。 積分球の入光ポートから紫外線が漏れないように UV-LED を設置する。 ③ 電源電流を一定にして UV-LED を点灯する。このとき、UV-LED は必要に応じて冷

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却する。 ④ UV-LED の光出力が十分に安定した後、紫外線分光強度計により紫外線分光強度(全 光束とスペクトル分布)を測定する。 図 2-2-1 紫外線分光強度の測定 表 2-2-1 紫外線強度測定装置の主な仕様 機 器 仕 様 分光強度計 「第2章 2.1」に準拠した紫外線強度計。 定電流電源 電源電流を一定に保持することができること。 (2)配光特性 配光特性は、紫外線照射槽内の任意の位置の紫外線強度を計算するために必要な情報 の一つである。紫外線強度計算をするためには配光特性を数式化する必要がある。よっ て、照射性能Ⅲで認定取得する場合は、この配光特性の数式と配光特性図を提示する。 [解説] 2.2 (1)分光強度試験 試験方法は、JIS C 8152-1 (2012) 照明用白色発光ダイオード(LED)の測光方法-第 1 部「LED パッケージ」の「8 全光束測定」及び「9 光源色測定」に準じる。 UV-LED の紫外線強度、全光束、スペクトル分布はジャンクション温度に依存する。 特に、紫外線強度、全光束はジャンクション温度が高くなるにつれて低下する。ジャン クション温度を冷却する手段として空冷、水冷がある。この冷却媒体の温度によってジ ャンクション温度が変化することを考慮して、周辺空気または処理水で冷却する場合は 以下の条件で測定を行う。

r

LED パッケージ 直接光遮光板 積分球 紫外線分光強度計 検出器

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水冷の場合、冷却水の水温を 30 ℃ ペルティエ、水温制御された冷却水など、周辺空気または処理水で冷却しない場合は冷 却方式を示し、その条件で測定を行う。 紫外線分光強度計による全光束測定値は、測定誤差を考慮し最低 100 μW 程度が望ま しい。 (2)配光特性 配光特性は JIS C 8105-5 (2011) 照明器具-第5部「配光測定方法」に準じる。 配光特性を、LED パッケージの発光面の垂線との成す角 θ の関数 f (θ)として表現する。 配光特性図は横軸 sin θ・f (θ) 縦軸 cos θ・f (θ)として示す。図中に f (θ)=1を破線で描き、 この破線が半円となるように縦横の寸法を調整する。f (θ)の最大値が 1 となるように数 式化する。 例 1)𝑓(𝜃) = (cos 𝜃)1.13𝜃2 の場合 例 2)𝑓(𝜃) = (3.8𝜃2+ 0.7)(cos 𝜃)−1.06𝜃6+4.7𝜃47.0𝜃2+6.0 の場合 図 2-2-2 配光特性図の例

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2.3 測定結果 紫外線強度の測定結果は、「表 2-2-2 紫外線分光強度測定結果報告書」に記載する。 併せて「配光特性図」「スペクトル分布図」を提出する。 [解説]2.3 測定結果の記載方法は次のとおりである。 1) 測定系 測定系は紫外線強度計の機種名,校正原器(トレーサビリティのとれている機関が認

証したもの),校正日を記入する。校正原器は NIST(National Institute of Standards and

Technology,米国標準技術局)、(国研)産業技術総合研究所及びその他から選択し、そ の他を選択した場合には( )内に用いた校正原器を記入する。 2) 測定条件 LED 駆動電流は定電流電源を用いて一定とする。また、LED の温度は一定にする。 なお、LED のジャンクション温度の推定は、LED 基板温度など、測定可能な場所の 温度を測定し、材料の熱抵抗理論値を用いて計算する。 3) 紫外線強度測定結果 LED モジュールを構成する LED パッケージの全数について測定を行い、その平均値 及び設計値を記入し、合否を判定する。 併せて、全光束、ピーク波長及び発光波長半値全幅について LED 全数の頻度分布図 を提出する。

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表 2-2-2 紫外線強度測定結果報告書 測 定 系 紫外線分光強度計 機種名 校正原器 校正日 NIST 産総研 その他( ) 年 月 日 測 定 条 件 LED 形式 LED 駆動電圧 V LED 駆動電流値 mA LED の 推定ジャンクション温度 ℃ 紫 外 線 分 光 強 度 測 定 結 果 パッケージ測定個数 全光束測定平均値 mW 全光束設計値 mW 以上 ピーク波長測定平均値 nm ピーク波長設計値 nm 以上、 nm 以下 発光波長半値全幅 測定平均値 nm 発光波長半値全幅 設計値 nm 以上、 nm 以下 合否 合 ・ 否 4) 配光特性測定結果 一つの LED パッケージの配光特性測定結果が仕様と概ね一致していることを図表で 示す。 例 1)𝑓(𝜃) = (cos 𝜃)1.13𝜃2 図 2-2-3 配光特性の測定結果(配光特性図)

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表 2-2-3 配光特性の測定結果 角度 -90° -80° -70° -60° -50° -40° -30° -20° -10° 仕様 0 0.174 0.342 0.500 0.643 0.766 0.866 0.940 0.985 測定結果 角度 0° 10° 20° 30° 40° 50° 60° 70° 80° 90° 仕様 1.000 0.985 0.940 0.866 0.766 0.643 0.500 0.342 0.174 0 測定結果 5) スペクトル分布測定結果 一つの LED パッケージのスペクトル分布測定結果が仕様と概ね一致していることを 図表で示す。 図 2-2-4 スペクトル分布の測定結果(スペクトル分布図) 表 2-2-4 スペクトル分布の測定結果 波長(nm) 255 260 265 270 275 280 285 仕様 0.005 0.016 0.045 0.11 0.26 0.59 1.0 測定結果 波長(nm) 290 295 300 305 310 315 仕様 0.67 0.29 0.11 0.045 0.016 0.006 測定結果 3 紫外線強度の変換 UV-LED の紫外線強度を波長 253.7 nm の紫外線強度に変換するものとする。この変 換した紫外線強度は ①「第2章 4.1 供試微生物の紫外線感受性測定試験」で光源に UV-LED を使用す る場合 ②「第2章 4.3 適合 RED 値の算出方法」 ③「第2章 5.2 5) P-CFD 認定条件」 ④「第2章 5.3.1.2 7)発光波長分布による影響」

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に使用する。 UV-LED の発光分布には、個体としてピーク波長と半値幅があり、かつ、集合体とし てピーク波長のバラツキがある。また、供試微生物を紫外線で不活化する場合、その不 活化速度が波長に依存し、それは供試微生物によって異なる。UV-LED の紫外線強度を 波長 253.7 nm の紫外線強度に変換するには、これらの情報が必要である。ここでは UV-LED の発光波長範囲内で供試液の紫外線透過率が一定とする。 3.1 UV-LED の発光分布(P 値) UV-LED の発光分布として、最大値を 1 として 5 nm 刻みの波長に対する相対発光強 度 Piを示すこと。複数個の LED を使用する場合は、発光分布を相和し、最大値を 1 に して示すこと。 [解説]3.1 5 nm 刻みとは nm 単位の 1 桁目に 0 と 5 を中心波長として選び、中心波長の±2.5 nm の範囲、例えば 250 nm の場合は 247.5 nm 以上 252.5 nm 未満とする。例を表 2-3-1 に示 した。 表 2-3-1 UV-LED の発光分布提出例 3.2 対象となる微生物の紫外線による不活化の紫外線感受性(GF 値) 枯草菌、ウイルス、クリプトスポリジウムあるいはジアルジアなどの微生物の紫外線 による不活化速度は、紫外線の波長と微生物の種類によって異なる。このような紫外線 感受性については文献を引用し、5 nm 刻みの値を示す。この値(GF 値)は波長 253.7 nm の感受性を 1 とすること。上記の①、②、③については UV-LED の紫外線強度を波長 253.7 nm の紫外線強度に変換することに正確性が求められるので、GF 値に安全率を考 波長 指標微生物の紫外線感受性 測定試験に使用したUV-LED 紫外線照射装置の通水試験 に使用したUV-LED [nm] Pi Pi 235 0.000 0.000 240 0.000 0.000 245 0.000 0.000 250 0.000 0.000 255 0.000 0.000 260 0.000 0.011 265 0.000 0.097 270 0.250 0.385 275 0.750 0.798 280 1.000 1.000 285 0.750 0.798 290 0.250 0.385 295 0.000 0.097 300 0.000 0.011

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慮しない。④については表 2-3-2 の値を使用すること。 ここでは、紫外線感受性試験に用いた対象となる微生物の不活化速度式が、UV-LED の発光分布の波長範囲及び波長 253.7 nm において「肩」の無い生物線量計として扱え る 1 次反応とした。 表 2-3-2 波長 253.7 nm の感受性を 1 とした場合のクリプトスポリジウムの紫外線感受性 (GF 値) 波長 GFi [-] 波長 GFi [-] 205 nm - 255 nm 0.92 210 nm 0.56 260 nm 1.10 215 nm 0.65 265 nm 1.14 220 nm 0.64 270 nm 1.05 225 nm 0.58 275 nm 0.92 230 nm 0.53 280 nm 0.75 235 nm 0.51 285 nm 0.55 240 nm 0.52 290 nm 0.35 245 nm 0.56 295 nm 0.14 250 nm 0.68 300 nm 0 [解説]3.2 ①、②、③のための一例として、供試微生物として MS2 を選んだ場合の GF 値を表 2-3-3 に示す。この値は正確性を期すために参考文献1)にある図の曲線上の値とした。 表 2-3-3 波長 253.7 nm の感受性を 1 とした場合の MS2 の紫外線感受性(GF 値) 波長 GFi [-] 波長 GFi [-] 200 nm 5.42 255 nm 1.03 205 nm 4.67 260 nm 1.21 210 nm 3.91 265 nm 1.24 215 nm 3.16 270 nm 1.10 220 nm 2.41 275 nm 0.94 225 nm 1.65 280 nm 0.77 230 nm 1.03 285 nm 0.58 235 nm 0.69 290 nm 0.38 240 nm 0.6 295 nm 0.17 245 nm 0.68 300 nm 0 250 nm 0.86 表 2-3-2 に示したクリプトスポリジウムについての GF 値を決めるにあたり、参考文献 1)にはその感受性のデータにエラーバーがあり、かつ、5 nm 刻みでは測定されていな い。そのため、このエラーバーの低い方の値を通る近似式を定め、5 nm 刻みの波長に ついて±2.5 nm の範囲で最小値を選ぶことで安全側の評価となるようにした。 MS2 以外の供試微生物を使用した場合は引用した文献を提出し、後述する BF を求め るまでの計算手順を示すこと。

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参考文献

1) Sara E. Beck, Harold B. Wright, Thomas M. Hargy, Thomas C. Larason, Karl G. Linden(2015), Action spectra for validation of pathogen disinfection in medium-pressure ultraviolet (UV) sustems, Water Reserch, 70, pp. 27-37

3.3 紫外線強度の変換係数 BF 上記①の供試微生物の紫外線感受性測定試験では、供試微生物の波長 253.7 nm にお ける不活化速度定数𝐷0を求めることが目的である。この試験で使用する光源に UV-LED を用いた場合、そこで使用した UV-LED の紫外線強度を、変換係数 BF を用いて波長 253.7 nm の紫外線強度に変換する。この変換係数 BF は式(2.3.1)から求めること。 𝐵𝐹 =∑ 𝐺𝐹𝑖∑ 𝑃𝑖𝑃𝑖 𝑖 𝑖 (2.3.1) ここで、𝐺𝐹𝑖と𝑃𝑖は上記①の供試微生物の紫外線感受性測定試験での値を用いる。変換 係数 BF を用いて波長 253.7 nm における不活化速度定数𝐷0を求めること。 [解説]3.3 供試微生物の紫外線感受性測定試験で供試液が UV-LED から受光した紫外線強度を I とすると、その UV-LED の発光には分布があるので、式(2.3.2)で表現できる。 𝐼 = ∑ 𝐼ω𝑖 (2.3.2) 𝑖 ここで i は分割波長番号で、𝐼ω𝑖は i 番目の波長の紫外線強度である。この発光分布を有 する光源を用いた場合の生残率 S を式(2.3.3)に示す。 𝑆 = exp (− ∑𝐷𝐼ω𝑖𝑡 0ω𝑖 𝑖 ) (2.3.3) 𝑡は照射時間、𝐷0ω𝑖は i 番目の波長の不活化速度定数である。単一波長λの紫外線強度 とするための変換係数 BF を用いて生残率 S を表すと式(2.3.4)となる。 𝑆 = exp (−𝐵𝐹 ∙ 𝐼 ∙ 𝑡 𝐷 ) (2.3.4) ここでは𝐷は波長λの不活化速度定数である。両者の生残率が等しいことから BF は 式(2.3.5)となる。 𝐵𝐹 =𝐷0λ 𝐼 ∑ 𝐼ω𝑖 𝐷0ω𝑖 𝑖 (2.3.5) 𝐼ω𝑖と𝐷0ω𝑖はそれぞれ以下の式で示すことができる。 𝐼ω𝑖 = 𝐼 𝑃𝑖 ∑ 𝑃𝑖 𝑖 (2.3.6) 𝐷0ω𝑖= 𝐺𝐹𝜆 𝐺𝐹𝑖𝐷0𝜆 (2.3.7)

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𝐺𝐹𝜆は波長λの GF 値であり、波長 253.7 nm では 1 である。これらを BF の式(2.3.5)に代 入して、波長 253.7 nm に変換するための BF は式(2.3.1)となる。 𝐵𝐹 =∑ 𝐺𝐹𝑖∑ 𝑃𝑖𝑃𝑖 𝑖 𝑖 (2.3.1) ゆえに、供試微生物の波長 253.7 nm における不活化速度定数𝐷0は式(2.3.8)から求めるこ とができる。 𝐷0= −𝐵𝐹 ∙ 𝐼 ∙ 𝑡 ln(𝑆) (2.3.⁄ 8) 計算例として、供試微生物の紫外線感受性測定試験にて、供試微生物に MS2 を用い て供試液の紫外線強度が 0.32 mW/cm²、照射時間が 80 秒での生残率が 0.1 であった場合 の、ある発光分布における BF と𝐷0を表 2-3-4 に示した。 表 2-3-4 UV-LED による供試微生物の紫外線感受性測定試験での BF と𝐷0の算出例 適合 RED 値との比較で提示する RED実測の算出のために、この𝐷0を式(2.3.9)で使用す る。 波長 発光分布 [nm] Pi GFi*Pi 260 1.21 0 0 265 1.24 0 0 270 1.10 0.25 0.275 275 0.94 0.75 0.705 280 0.77 1 0.77 285 0.58 0.75 0.435 290 0.38 0.25 0.095 295 0.17 0 0 300 0 0 0 3 2.28 Σ ↑ Σ ↑ BF= 0.76 ペトリ皿液内の平均紫外線強度 I 0.32 mW/cm² 照射時間 t 80 sec 生残率 S 0.1 波長253.7 nmの不活化速度定数 D0 8.449633 mJ/cm² MS2の GFi

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𝑅𝐸𝐷実測 = −𝐷0ln(𝑆) (2.3.9)

3.4 紫外線強度変換係数の最小値 BFmin

BF は発光分布に依存することから、UV-LED の半値幅とピーク波長の仕様範囲内で

変化させれば、BF には最小値 BFminが存在する。この BFminを用いて算出した波長 253.7

nm 変換紫外線強度が、装置設計条件で使用すべき紫外線強度である。上記②と④のと

ころではこの最小値 BFminを使用する。BFminを求めるためには UV-LED の個体と集合体

の仕様が必要である。 [解説]3.4 UV-LED の発光分布仕様の提示内容には、ピーク波長、半値幅、ピーク波長範囲以外 に、波形を具体的に表現する。例を下記に示した。 3.4.1 適合 RED 値の算出で使用する BFmin 紫外線感受性を示す GF に供試微生物の値を選び、紫外線照射装置の通水試験に使

用した UV-LED の発光分布から得られる波長 253.7 nm 変換係数 BFDATAと、UV-LED

の発光分布仕様内で変化させて得られた BF の最小値(BFmin)との比 fBF(=BFmin/

BFDATA)を適合 RED 値の算出に使用する。

[解説]3.4.1

表 2-3-1 に示す UV-LED の例で BFminを求めた。上述の UV-LED の仕様に従って、

UV-LED が取り得る発光分布を考えると、表 2-3-5 の「ピーク波長のばらつきを含め た集合体として UV-LED の仕様」に示すような、発光分布のパターンが考えられる(こ の表では、6 パターン示している)。それぞれの BF を算定して比較したところ、BFmin が 0.253 であることがわかる。 UV-LED の仕様 ≪パッケージとしての発光分布仕様≫ ・ピーク波長:280 nm ・半値全幅:15 nm ・5 nm ごとの P 値:280 nm が 1、270 nm と 290 nm が 0.25、275 nm と 285 nm が 0.75、その他は 0 ≪モジュールとして追加される発光分布仕様≫ ・ピーク波長範囲:±15 nm でバラツキが正規分布

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表 2-3-5 供試微生物の GF を用いた場合の BFDATAと BFminの算出例 この場合、fBF(=0.253/0.755)=0.335 となる。 波長 [nm] Pi GFi*Pi Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj 235 0.69 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 240 0.6 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 245 0.68 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.011 0.007 250 0.86 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.011 0.009 0.097 0.084 255 1.06 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.011 0.011 0.097 0.103 0.385 0.409 260 1.21 0.011 0.013 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.097 0.118 0.385 0.466 0.798 0.966 265 1.24 0.097 0.121 0.000 0.000 0.000 0.000 0.011 0.013 0.385 0.478 0.798 0.990 1.000 1.240 270 1.1 0.385 0.424 0.000 0.000 0.011 0.012 0.097 0.107 0.798 0.878 1.000 1.100 0.798 0.878 275 0.94 0.798 0.750 0.011 0.010 0.097 0.091 0.385 0.362 1.000 0.940 0.798 0.750 0.385 0.362 280 0.77 1.000 0.770 0.097 0.075 0.385 0.297 0.798 0.615 0.798 0.615 0.385 0.297 0.097 0.075 285 0.58 0.798 0.463 0.385 0.224 0.798 0.463 1.000 0.580 0.385 0.224 0.097 0.056 0.011 0.006 290 0.38 0.385 0.146 0.798 0.303 1.000 0.380 0.798 0.303 0.097 0.037 0.011 0.004 0.000 0.000 295 0.17 0.097 0.017 1.000 0.170 0.798 0.136 0.385 0.066 0.011 0.002 0.000 0.000 0.000 0.000 300 0 0.011 0.000 0.798 0.000 0.385 0.000 0.097 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 3.583 2.704 3.09015 0.782 3.476 1.379 3.573 2.046 3.584 3.302 3.584 3.776 3.584 4.027 Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ BF DATA= 0.755 BFmin= 0.253 0.397 0.573 0.921 1.054 1.124 通水試験に 使用したUV-LED ピーク波長のバラツキを含めた集合体としてのUV-LEDの仕様 MS2の GFi

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3.4.2 「第2章 5.3 紫外線照射槽認定審査」で使用する BFmin

紫外線照射槽認定審査の「5.3.1.2 紫外線強度に影響する因子α 7)発 光波長分布による影響」のところでは、クリプトスポリジウムの GF を用いて、個体

としての UV-LED の発光分布仕様で算出した BFspecと、UV-LED の発光分布仕様内で

変化させて得られた BF の最小値(BFmin)からαBF(=BFmin/BFspec)を算出する。

[解説]3.4.2

解説3.4の UV-LED 仕様で BFminを求めた(表 2-3-6)。BFminが 0.231 であること

がわかる。 表 2-3-6 クリプトスポリジウムの GF を用いた場合の BFspecと BFminの算出例 この場合、αBF(=0.231/0.734)=0.315 となる。 波長 [nm] Pi GFi*Pi Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj 235 0.51 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 240 0.52 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 245 0.56 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.011 0.006 250 0.68 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.011 0.007 0.097 0.066 255 0.92 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.011 0.010 0.097 0.090 0.385 0.355 260 1.1 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.011 0.012 0.097 0.107 0.385 0.424 0.798 0.878 265 1.14 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.011 0.012 0.097 0.111 0.385 0.439 0.798 0.910 1.000 1.140 270 1.05 0.250 0.263 0.000 0.000 0.011 0.011 0.097 0.102 0.385 0.405 0.798 0.838 1.000 1.050 0.798 0.838 275 0.92 0.750 0.690 0.011 0.010 0.097 0.090 0.385 0.355 0.798 0.734 1.000 0.920 0.798 0.734 0.385 0.355 280 0.75 1.000 0.750 0.097 0.073 0.385 0.289 0.798 0.599 1.000 0.750 0.798 0.599 0.385 0.289 0.097 0.073 285 0.55 0.750 0.413 0.385 0.212 0.798 0.439 1.000 0.550 0.798 0.439 0.385 0.212 0.097 0.054 0.011 0.006 290 0.35 0.250 0.088 0.798 0.279 1.000 0.350 0.798 0.279 0.385 0.135 0.097 0.034 0.011 0.004 0.000 0.000 295 0.14 0.000 0.000 1.000 0.140 0.798 0.112 0.385 0.054 0.097 0.014 0.011 0.001 0.000 0.000 0.000 0.000 300 0 0.000 0.000 0.798 0.000 0.385 0.000 0.097 0.000 0.011 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 3 2.203 3.09015 0.714 3.476 1.291 3.573 1.951 3.583 2.599 3.584 3.161 3.584 3.562 3.584 3.717 Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ Σ ↑ BFspec= 0.734 BFmin= 0.231 0.371 0.546 0.725 0.882 0.994 1.037 ピーク波長のバラツキを含めた集合体としてのUV-LEDの仕様 個体としての UV-LEDの仕 様 クリプト の GFi

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4 紫外線照射量試験 紫外線照射量試験とは、紫外線照射装置の換算紫外線照射量を求める試験のことをい う。RED実測 を求める方法は次の2つの試験項目からなる。 1) 供試微生物の紫外線感受性測定試験 2) 紫外線照射装置の通水試験 両者とも様々な試験方法があるが、代表的な例を以下に示す。 [解説] 4 紫外線照射量試験とは、あらかじめ供試微生物の紫外線感受性を測定し、紫外線照射 装置に同一供試微生物を供することによって、その生残率から紫外線照射装置の与えた 照射量を求める方法である。つまり、供試微生物を線量計として利用する方法である。 なお、微生物の紫外線感受性は、同じ微生物株であっても培養条件や保存状態あるい は継代されること等によって大きく変化する場合があるので、上記1)及び2)の試験 は同一ロットで行うことを最低限の条件として、試験日時は正確に記録すること。 4.1 供試微生物の紫外線感受性測定試験 1)供試微生物の選定 供試微生物は、病原性がなく安全で第三者機関が追試可能な微生物の中から選択す る。代表的なものとしては、枯草菌(Bacillus subtilis)、大腸菌(E. coli)又は Qβ、 MS2 等のファージがある。

2)供試液の調製方法

以下に、枯草菌(Bacillus subtilis ATCC6633)芽胞を例に調整方法を示す。

供試菌の培養は JIS K 3800 または GMP 微生物試験法等に準拠し、枯草菌芽胞原液 の濃度は 108~109 個/mL とする。この芽胞原液を滅菌生理食塩水に添加し、紫外線 照射後の芽胞数が定量可能な濃度となるよう調製したものを供試菌液とし、試験開始 までは 4 ℃で保存する。また、供試菌液の紫外線透過率は原則として 90 %以上とな るよう調製する。 また、ファージの場合の調製方法は次のとおりである。 供試ファージ及び宿主菌の培養は、環境微生物工学研究法1)等に準じる。ファー ジ培養後、遠心分離及びろ過等によりファージ原液を作製する。このファージ原液を 滅菌生理食塩水又はリン酸緩衝液等に添加し、紫外線照射後のファージ数が定量可能 な濃度となるよう調製したものを供試液とし、試験開始までは 4℃で保存する。 また、供試液の紫外線透過率は原則として 90 %以上となるよう調製する。 3)紫外線の照射方法 光源は低圧ランプ又は UV-LED を使用する。紫外線の照射方法には時計皿法(図 2-4-1)とコリメート法(図 2-4-2)及びペトリ皿法(図 2-4-3)がある。低圧ランプ の場合は時計皿法又はコリメート法を選ぶ。時計皿法とコリメート法は供試液表面の

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紫外線強度分布がほぼ一定であることを想定している。UV-LED がこの条件を満たさ ない場合はペトリ皿法を選ぶ。UV-LED を使用する場合はパッケージとし、そのパッ ケージの配光特性を示すこと。 ジャンクション温度が一定になってから試験を行う。 4)生残微生物数の測定方法 紫外線照射前後の生残微生物数は、それぞれに応じた適切な方法を用いる。 5)生残率曲線(不活性化曲線)の求め方 生残率を下記式から算出し、紫外線照射量との関係から生残率曲線を求める。 生残率 S =N / N0 N :紫外線照射後の生残微生物数 N0:紫外線未照射の供試微生物数 紫外線照射量は、供試液面の紫外線強度と紫外線照射時間の積により算出すること とし、紫外線強度の測定については「第2章 2 UV-LED の光学試験」に準じる。 生残率曲線は、生残率 S を片対数紙上に紫外線照射量に対してプロットし、その近 似曲線を描くことによって求めることができる。 UV-LED を用いる場合は、供試液の平均紫外線強度から波長 253.7 nm に変換された 供試微生物の不活化速度定数 D0を式(2.3.8)から求める。供試液の平均紫外線強度は測 定された供試液表面の紫外線強度と液厚さ方向の紫外線強度分布の計算から求める。 [解説] 4.1 1)供試微生物の選定 病原性のない安全な微生物とは、少なくとも WHO のバイオセーフティレベル L-1 の微生物であり、第三者機関が追試可能な微生物とは微生物株が明確(例えば ATCC、 NBRC、IAM)であり入手が容易であるものをいう。但し、高い再現性のある微生物 でなければならない。 供試微生物の調製、培養方法は、その微生物に適した方法(JIS、上水試験方法そ の他文献等に記載されている方法)に準拠する。なお、培地や培養条件等によって微 生物の紫外線感受性が変化する場合もあるので、感受性試験と通水試験とは、常に同 一(同じ製造元)の培地を使用する。 クリプトスポリジウムと供試微生物では波長感受性が異なるため、表 2-4-1 に示さ れている不活化効果比が 0.9 から 1.1 の範囲となる微生物を用いることが望ましい。

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表 2-4-1 中圧紫外線ランプでのクリプトスポリジウムに対する不活化効果比 (参考文献2)より抜粋 微生物種 中圧紫外線ランプでのクリプトスポリジウムに 対する不活化効果比 Cryptosporidium oocysts 1.00 Vaccinia 0.98 B.subtilis spores 0.99 VSV 0.99 MS2, R-17, fr, 7-S 1.04 T2 1.07 EMC 1.07 ψx-174 1.16 Polyoma 1.18 Herpes simplex 1.26 Reovirus-3 1.32 2)供試液の調製方法 枯草菌芽胞の培養方法の一例として、FDA(米国食品医薬局)に記載されている方 法を示す。 ⅰ)斜面培地に生育させたコロニーを生理食塩水に懸濁後、AK Agar(BBL)培地 に塗抹する。 ⅱ)35 ± 2 ℃で 5 日間培養する。 ⅲ)平板培地(AK Agar)からコロニーを集め滅菌生理食塩水に懸濁させる。 ⅳ)5000 rpm 15 分遠心分離による洗浄を行う。 ⅴ)洗浄後、滅菌生理食塩水を加えて 70 ℃、30 分間熱処理を行い芽胞懸濁原液と する。 本試験では、得られた芽胞原液をさらに滅菌生理食塩水に添加し、紫外線照射後の 芽胞菌数が定量可能な濃度となるよう芽胞菌数を調製したものを供試微生物液とす る。 なお、調製方法において洗浄が十分でない場合は供試微生物液の紫外線透過率が低 下する場合があるので留意する。供試微生物液の紫外線透過率が 90%程度あれば以 下に示す時計皿法ではその影響を受けないことが確認されているが、著しく低くなる 場合は、影響の程度を確認し必要な場合は補正する。 また、ファージの調製手順の一例を以下に示す。 ⅰ)液体培地で宿主菌を十分増殖させる。 ⅱ)上記培地にファージを接種し、ファージを増殖させる。

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ⅲ)ファージを十分に増殖させた後、遠心分離、ろ過等の方法で宿主菌体を完全に 取り除く。 ⅳ)得られたファージを、滅菌生理食塩水に浮遊させ供試液とする。 なお、調製方法において洗浄が十分でない場合は供試液の紫外線透過率が低下する 場合があるので留意する。供試液の紫外線透過率が著しく低くなる場合は、影響の程 度を確認し必要な場合は補正する。 3)紫外線の照射方法 時計皿法(図 2-4-1)とは、供試液を時計皿に入れ、その上面に配置した紫外線ラ ンプの全発光長または LED モジュールの全発光面から紫外線を受ける方法である。 ランプから時計皿までの距離はランプ発光長の 1/10 以上、LED モジュールから時計 皿までの距離は発光面の対角線長の 1/10 以上が適当である。時計皿にはペトリ皿の ような縁部の立上りがないために、液面に紫外線を受けることが可能である。また、 時計皿内の供試液の液相厚(深度)もφ100 時計皿に 5 mL を入れた場合では 5 mm 程 度となり、紫外線透過率の影響を受けにくい利点がある。ただし、供試液面の紫外線 強度の測定には角度特性を有する紫外線強度計では誤差を生じやすいので、化学光量 計で測定することが望ましい。 コリメート法(図 2-4-2)とは、供試液をペトリ皿、又は時計皿に入れ、その上面 に配置した紫外線ランプまたは LED モジュールからコリメートチューブ内を通過し た紫外線のみを受ける方法である。コリメートチューブ内は紫外線の反射がないよう に配慮する必要がある。また、平行光が得られるようにコリメートチューブの長さを 配慮3)し、その内径よりペトリ皿の内径の方が小さくなるように配慮する。微生物 液面は紫外線ランプからのほぼ平行光を受けているので、ペトリ皿縁部による遮光の 影響もなく、角度特性を有する紫外線強度計での測定精度も高まる利点を有している。 ペトリ皿内の供試液の液相が厚くなる場合は、スターラーで攪拌することで対応する。 いずれにしても、供試液面の紫外線強度を正確に測定すれば、求める供試ファージ の紫外線感受性結果は同じである。供試液面内には紫外線強度分布がある。ゆえに、 供試液面の紫外線強度を正確に測定する場合、化学光量計を用いれば供試液面の紫外 線強度分布を加味した結果が得られ、紫外線強度計を用いる場合は安全を考慮して供 試液面内での最小値を選ぶことが適当である。時計皿法が化学光量計での測定に向い ている方法であるのに対し、コリメート法は紫外線強度計にも対応可能な方法といえ る。 なお、化学光量計での測定は文献4)等に従う。その場合、量子収率は波長に依存 することに注意する必要がある。5) 紫外線強度計での測定は、「第2章 2 UV-LED の光学試験」に準じる。

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ペトリ皿法(図 2-4-3)とは、ペトリ皿の上部より照射する方法である。ペトリ皿 は光源より大きい直径を用いる。ペトリ皿内の供試液はスターラーで撹拌する。光源 の発光部の中心はペトリ皿中心の真上に位置し、その発光部とペトリ皿液面との鉛直 距離はペトリ皿の内径の 1/2 以上とする。 図 2-4-3 ペトリ皿法 UV-LED を用いたペトリ皿内の平均紫外線強度の算出は、次の手順で行う。ここで は、紫外線強度を化学光量計で測定した場合を例示する。 a) 供試液表面の紫外線強度の測定 化学光量計は量子収率に波長依存性があるので、発光波長範囲で量子収率が概ね一 定である化学光量計を選ぶことが望ましい。得られた結果から次式の定数 k を求める。 𝐼 =𝑘 ∫ 2π𝑥 𝑓(θ) 𝑙2 𝑟p 0 d𝑥 ∫ 2π𝑥𝑟p 0 d𝑥 (2.4.1) ここで、𝐼は化学光量計で求めた供試液表面の平均紫外線強度、𝑟pはペトリ皿の内 半径、𝑙は光源から液面までの距離、𝑥は供試液表面の中心から半径方向の任意の距離 図 2-4-1 時計皿法 図 2-4-2 コリメート法 UVランプ 時計皿 供試菌液 コリメート チューブ 供試菌液 攪拌子 シャーレ スターラー UVランプ 供試微生物液 供試微生物液 ペトリ皿 θ LED パッケージ l x rp 低圧ランプまたは LED モジュール ペトリ皿 供試微生物液 供試微生物液 低圧ランプまたは LED モジュール

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である。 【k の算出例】 ペトリ皿表面の半径方向を 10 分割し、配光特性が先の例 1)𝑓(𝜃) = (cos 𝜃)1.13𝜃2 の場 合について計算した例を以下に示す。d が LED から供試液までの鉛直距離、rp がペト リ皿の内径の半径、I がここでは化学光量計で測定した値である。

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b) 供試液内の平均紫外線強度の計算方法 ペトリ皿表面を半径方向と液深さを各々10 分割し、配光特性が先の例 1)𝑓(𝜃) = (cos 𝜃)1.13𝜃2 の場合について以下に示す。ここで、h をペトリ皿の液深さ、T を供試液の UV-LED 発光波長範囲の 1 cm 当たりの透過率とする。 𝐼av= 𝑘 ∫ ∫ 2π𝑥𝑓(θ)𝑙2 𝑇 (𝑙 𝑦𝑑+𝑦) 𝑟p 0 d𝑥 ℎ 0 d𝑦 ∫ ∫ 2π𝑥𝑟p 0 d𝑥 ℎ 0 d𝑦 (2.4.2)

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4)生残微生物数の測定方法 「上水試験方法 解説編 Ⅴ 微生物試験」に準じ、標準寒天培地を用いた混釈法 により発育したコロニー数を測定する。測定は、同一サンプルにつき少なくとも n=2 以上としその平均値を生残微生物数とする。 ファージの場合は環境微生物工学研究法1)等に準じ、プラーク数(溶菌斑)を測 定する。測定は、同一サンプルにつき少なくとも n = 2 以上としその平均値を生残フ ァージ数とする。 5)生残率曲線(不活性化曲線)の求め方 一般的に、微生物の生残率曲線は片対数紙上で直線で示されるが、紫外線消毒の場 合は低照射量域において不活化速度が遅い誘導期(致死遅滞相ともいう)を有する場 合も多いので留意する。 生残率のプロットから近似曲線を描く方法は特に定められたものはないが、1ヒッ ト性多重標的モデル4)に従って定式化すると非常に良く近似することが知られてい る。いずれにしても RED実測を求める際にきわめて重要なデータとなるので正確に近 似することが重要である。 また、誘導期を有する生残率曲線の場合、誘導期の近似が難しいために RED実測を 求める際には、誘導期ではなく一次反応領域で求める。 参考文献 1) 環境微生物工学研究法(1993)、技報堂出版、土木学会衛生工学委員会編、p233-236 2) United States Environmental Protection Agency(2006), Ultraviolet disinfection guidance

manual for the final long term 2 enhanced surface water treatment rule.

3) Blatchley, E.R. (1997), Numerical modeling of UV intensity: Application to collimated-beam reactors and continuous-flow system, Water Research, 31,pp.2205-2218 4) T.Sugawara, M.Yoneya and H.Ohashi (1986), J. Chem. Eng.,14, 406

5) Sara Goldstein, Joseph Rabani (2008), The ferrioxalate and iodide-iodate actinometers in the UV region, Journal of Photochemistry and Photobiology A: Chemistry, 193, pp50-55 6) *)JIS C 8105-5 (2011) 照明器具-第 5 部:配光測定方法

7) *)JIS C 8152-1 (2012) 照明用白色発光ダイオード(LED)の測光方法-第 1 部 8) Kumiko Oguma, Surapong Rattanakul, James R Bolton (2016), Application of UV

Light-Emitting Diodes to Adenovirus in Water, Journal of Environmental Engineering, 04015082

9) 例として、MS2 の場合:Sara E. Beck, Harold B. Wright, Thomas M. Hargy, Thomas C. Larason, Karl G. Linden (2015), Action spectra for validation of pathogen disinfection in medium-pressure ultraviolet (UV) systems, water research, 70, pp27-37

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4.2 紫外線照射装置の通水試験 1)試験装置 試験装置のフローシートの一例を図 2-4-4 に示す。 本試験においては、通水量の把握がきわめて重要な要因となるのでバルブ1と流量 計の配置等に留意し、事前に流量計の精度を十分に確認する。 また、紫外線照射装置の運転状態を把握するために装置の電気特性(入力電圧、ラ ンプ電力等)及び紫外線モニタの指示値(紫外線出力)等を常時記録できるようにす る。 2)供試水の調製方法 ① 供試水は波長 253.7 nm 光の液厚さ 1 cm あたりの透過率が 95%以上の水道水、イ オン交換水等を使用する。供試水を供試微生物液槽に貯める。 ② 供試微生物液槽に次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加し、遊離残留塩素濃度が少な くとも 1 mg/L 以上となるように調製する。 ③ 紫外線照射装置の UV-LED を点灯させ運転状態にした後、バルブ1、バルブ4を 開とし、バルブ2、バルブ3を閉にしてポンプを稼動することによって供試水を 循環する。循環時間は、系内(配管内等)の殺菌と UV-LED 出力を十分に安定さ せるために少なくとも 30 分以上とする。この時点から紫外線照射装置の電気特 性、紫外線出力等の測定を開始する。以降、紫外線照射装置は試験終了時まで運 転状態を維持する。 ④ サンプリングバルブ(S.P 1 及び S.P 2)のバルブ口部を 75%エタノールでよく拭 き、その後開いてブローさせる。ブロー時間は、サンプリングバルブ内の殺菌、 洗浄のためで少なくとも 10 分以上とする。 ⑤ ③,④の操作後、ポンプを停止し、供試微生物液槽にチオ硫酸ナトリウム剤を添 加して塩素を中和する。 ⑥ 塩素中和後の供試水を再度循環(バルブ1、バルブ4を開、バルブ2、バルブ3 を閉)させ、サンプリングバルブから採水して残留塩素が検出されないことを確 認する。 ⑦ 供試水の波長 253.7 nm、液厚さ 1 cm あたりの透過率を測定し 95%以上であるこ とを確認する。この時点で 95%以上である場合は、この透過率を低下させる薬剤 等を適宜投入しこの透過率が 95%となるよう調製する。この時点で 95%未満の場 合は、系内の水をすべて排出しこの透過率が 95%以上の新しい供試水と入れ替え る。水道水を使用した場合は、チオ硫酸ナトリウムで塩素を中和し、この透過率 も 95%以下となるように調製する。供試水(透過率調整後)及び照射接液面部材 それぞれの発光波長領域における透過率曲線を示すこと。

(34)

図 2-4-4 通水試験装置図 3)供試微生物液の調製 ① 供試微生物液槽に4.1 2)で調製した供試微生物液を添加する。供試微生 物液の濃度は、紫外線照射槽通過後において、定量可能な濃度になるよう調製す る。 ② バルブ3を開とし、バルブ1とバルブ2、バルブ4を閉にしてポンプを稼動さ せて供試微生物液が循環することによって供試微生物液槽内を攪拌する。この操 作は、供試微生物液槽内の微生物濃度の均一化が目的であり、少なくとも 5 分以 上とする。 ③ ポンプを停止し、供試菌液の波長 253.7 nm の透過率を確認し、水温を測定す る。 4)通水試験 ① バルブ1とバルブ2を開とし、バルブ3とバルブ4を閉にしてポンプを稼動さ せて、試験条件の最も低い水量から通水を開始する。通水量は、少なくとも紫外 線照射装置の設計値を含む前後3条件とする。 ② 通水量を設定後、サンプリングバルブ S.P 1 から採水する。事前にバルブを開 にし十分ブローした後に少なくとも2検体以上の採水を行う。本検体がその試験 における初期微生物数(紫外線照射装置入口側の微生物数)となる。サンプリン バルブ4 バルブ3 S.P 1 S.P 2 (可変)ポンプ 流量計 供試微生物液槽 供試微生物 電気特性 ランプ出力等 流量 排液槽 バルブ 1 バルブ2 水温・紫外線透過率 供試水

(35)

グバルブ1が設けられない場合は、供試微生物液槽内の微生物数又は4)⑤の操 作で得られる微生物数を初期微生物数としてもよい。 ③ 次に、紫外線照射槽内の水が十分入れ替わる時間を考慮して、サンプリングバ ルブ S.P 2 から採水を始める。採水するまでの時間は、流量設定後少なくとも予 想される平均滞留時間の3倍以上とする。なお、採水方法及び検体数に関しては、 4)②と同様に実施する。 ④ 採水後、ポンプ回転数及びバルブ1を操作し通水量の条件を変えて4)③を繰 り返す。 ⑤ 全条件での採水終了後、ポンプは稼動させたままランプを消灯する。4)③に 準じてサンプリングバルブ S.P 2 から採水する。本検体は試験終了時の供試微生 物液の微生物濃度となる。4)②が実施できない場合には必須の工程であり、ま た、4)②を実施した場合においてもクロスチェック用として有用である。 ⑥ 試験終了後、2)③と同様な操作を実施し、供試微生物液槽及び配管内に残留 する供試微生物を紫外線照射装置で死滅させた後、排水する。 5)採取サンプル水の微生物数測定 ① 上記4)②~⑤において採水したサンプル中の供試微生物数の測定は、第2章 4.1 4)に準じて行う。 ② 紫外線照射装置の各通水量での生残率は、下式から算出する。 生残率 S =N / N0 N :紫外線照射後の生残微生物数 N0:紫外線未照射の供試微生物液の微生物数 6)紫外線照射装置の RED 算出 上記5)②で得られた生残率 S が、第2章 4.1 5)で得られている生残率曲線に 一致している点を求め、その点のX軸の読み値から RED実測を得る。 7)提出資料 以下の資料を添付する。 ① 試験日時 ② 試験場所 ③ 試験者 ④ 試験条件 a.供試微生物の生残率曲線(第2章 4.1の結果) b.供試微生物液の水質(水温、紫外線透過率) c.供試微生物液の初期微生物数 d.通水量

(36)

⑤ 試験結果 a.紫外線照射装置の特性(電気特性、紫外線モニター出力等) b.各通水量での生残微生物数(同一水量で n = 2 以上、同一検体で m = 2 以上) c.各通水量での生残率(上記データの平均値から算出) [解説] 4.2 1)試験装置 供試微生物液は、紫外線照射装置の設計通水量の少なくとも前後3つの流量が十分 に試験できる量を用意する。流量を設定する間及び流量設定後においても、微生物濃 度安定化のために通水することを考慮しなければならない。 また、通水量の設定は、バルブ操作のみでも可能であるが、ポンプをインバータ等 で制御可能なシステムにしておくと速やかに正確に実施することができる。 図 2-4-4 の中でバルブ3のラインは、試験開始前に供試微生物液槽内の供試微生物 を攪拌する目的で、また、バルブ4のラインは、試験開始前に配管内を殺菌洗浄する 目的のために設けられているが、別の手段を用いても構わない。さらにサンプリング バルブ S.P 1 は、紫外線照射装置入口側での供試微生物数を測定するために設けられ ているが、供試微生物液槽で採水したり、紫外線照射装置の紫外線ランプを消灯状態 にしてサンプリングバルブ S.P 2 から採水することも可能である。 2)供試水の調製方法 ① 本審査基準では紫外線透過率 95%の例を示したが、適合認定を受けようとする 設計条件に調製すればよい。紫外線透過率を低下させる材料としては、チオ硫酸ナ トリウムが一般的に利用される。チオ硫酸ナトリウムは、塩素の中和剤として利用 できる上、濃度以上に添加しても供試微生物の活性に悪影響を与えることがないの で、一般的に利用されている。クリプトスポリジウムと MS2 や枯草菌芽胞体では 波長範囲 210 nm~240 nm における相対反応速度が異なる1)、2)。しかしながら、処 理する原水の透過率は 240 nm 以下から低下するため、クリプトスポリジウムと供 試微生物との 240 nm 以下における波長感受性の差異を無視することができること を想定している。 3)供試微生物液の調製 ① 使用する供試微生物原液は、第2章 4.1で使用したものを用い、感受性が変 わらない間に試験することが望ましい。 第2章 4.1 2)で培養した原液を保存使用する場合は、再度、第2章 4. 1の試験を実施して生残率曲線を求める必要がある。 ② ここで調整された波長 253.7 nm の透過率の供試微生物液が、実際の処理水を表 現しているとした。第2章 3では UV-LED の紫外線強度を 253.7 nm の単一波長 に変換するためには透過率が一定であることを条件としているので、試験に使用し た UV-LED の発光波長範囲で透過率が概ね一定になることが望ましい。

(37)

4)通水試験 ① 紫外線照射装置に試験条件の最低水量から通水を開始するのは、サンプリングバ ルブ S.P 2 及び紫外線照射装置出口側配管内の供試微生物による汚染リスクを最小 限にするためである。通水量が大きいほど装置出口側での生残微生物数が多くなる ため配管内面等への汚染(付着)が高まるおそれがあり、サンプリングバルブ S.P 2 からの採水にも影響を及ぼすことがあるので留意する。 審査基準に記載の“通水量は、少なくとも紫外線照射装置の設計値を含む前後3 条件とする。”について。 設計値(基準処理水量)での通水試験は、その設計値(基準処理水量)での試験 を原則とするが、試験条件を考慮し設計値(基準処理水量)の+10%以内とする。 また、設計値前後の水量条件は、設計値(基準処理水量)に対し概ね±30%を目安 とする。 また、通水試験の水量条件は、設計値を含む3点以上となっているので、4~5 点程度測定しておくことが望ましい。 ⑥ 試験終了後の通水量(循環水量)は、紫外線照射装置の消毒効果を最大限利用す るためになるべく低水量で行い、かつ、時間は供試微生物液槽内の供試微生物液が 十分(複数回)循環するまでとする。必要に応じて薬剤(殺菌剤)等添加してもよ いが、その場合、排水時には中和の必要性等について配慮する。 6)紫外線照射装置の RED 算出 本試験5)②で得られた生残率 S と第2章 4.1 5)で得られている生残率曲 線に一致している点が生残率曲線の誘導期にある場合は、精度が低いので採用しない。 参考文献

1) K.G.Linden, G.Shin and M.D.Sobsey(2000) Comparison of Monochromatic and

Polychromatic UV Light for Disinfection Efficacy, Proceedings of 2000 AWWA Water Quality

Technology

2) Rauth, A.M.(1965) the physical state of viral nucleic acid and the sensitivity of viruses to ultraviolet light, Biophysical Journal, 5, pp.257-273

(38)

4.3 適合 RED 値の算出方法 供試微生物の紫外線感受性測定試験で得られた不活化速度定数を D0とし、これを用 いて供試微生物に適した定量的な評価をするための適合 RED 値を算出する方法を表 2-4-2 に示す。表中には供試微生物の紫外線感受性測定試験の結果を概略図で示す。 表 2-4-2 適合 RED 値の算出 生物線量計の 不活化曲線 求める 定数 適合 RED 値 「肩」の無い生物線量 計を用いる場合 ) exp( 0 D D S   D0 10/f -D0ln(0.05) 「肩」を持つ生物線量 計を用いる場合で、 不活化曲線の X 切片が 10 mJ/cm2÷f よりも大 きい場合 D<DSのとき

S

1

D0 DS DS -D0ln(0.05) 「肩」を持つ生物線量 計を用いる場合で、 不活化曲線の X 切片が 10 mJ/cm2÷f よりも小 さい場合 D≧DSのとき ) exp( 0 D D D S    S D0 DS 10/f -D0ln(0.05) ここで、S: 紫外線照射後の生残率、D: 紫外線照射量、D0: 不活化速度定数、DS:不活化 紫外線照射量 log 生 残率 log 生 残率 紫外線照射量 「肩」 log 生 残率 紫外線照射量

図 1-4-1  UV-LED 照射性能確認方法のフローチャート 不 適 合  適 合 Ⅰ No Ⅰ:紫外線照射装置の RED実測値が適合 RED 値以上であること。  Ⅲ:P-CFD による解析の結果、紫外線照射槽を通過する水量の 95%以上に対して紫外線照射量が 10  mJ/cm2以上であることを照射量分布図において示すことができること。 Ⅲ 手順 スタート Yes Yes No
表 2-2-2  紫外線強度測定結果報告書  測 定 系 紫外線分光強度計 機種名 校正原器  校正日           NIST  産総研    その他(          )         年      月      日  測 定 条 件 LED 形式     LED 駆動電圧          V LED 駆動電流値          mA  LED の  推定ジャンクション温度          ℃  紫 外 線 分 光 強 度 測 定 結 果 パッケージ測定個数 全光束測定平均値  mW 全光
表 2-2-3  配光特性の測定結果  角度  -90°  -80°  -70°  -60°  -50°  -40°  -30°  -20°  -10°  仕様  0  0.174  0.342  0.500  0.643  0.766  0.866  0.940  0.985  測定結果  角度  0°  10°  20°  30°  40°  50°  60°  70°  80°  90°  仕様  1.000  0.985  0.940  0.866  0.766  0.643  0.500  0.3
表  2-3-5  供試微生物の GF を用いた場合の BF DATA と BF min の算出例      この場合、f BF (=0.253/0.755)=0.335 となる。 波長[nm]PiGFi*PiPjGFj*PjPjGFj*PjPj GFj*Pj Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj Pj GFj*Pj2350.69 0.000 0.0000.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.0002400.6
+7

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