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投資環境ウィークリー

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Academic year: 2021

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今週の主要経済指標と政治スケジュール

注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。国名等は7ページの脚注をご参照ください。 出所)Bloomberg等、各種資料より当社経済調査室作成 F o cus

投 資 環 境 ウ ィ ー ク リ ー

経 済 調 査 室

月 火 水 木 金 11/5 7 8 9 10 (米) トランプ大統領 来日(~7日) (日) 9月 現金給与総額(前年比) (日) 9月 景気動向指数(速報、先行CI) (日) 日銀金融政策決定会合 主な意見 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数(速報)  8月:+0.7%、9月:(予)+0.5%  8月:107.2、9月:(予)106.6 (日) 9月 機械受注(船舶・電力除く民需、前月比)  10月:100.7、11月:(予)100.6  8月:+3.4%、9月:(予)▲2.0% 6 (米) クオールズFRB副議長 講演 (日) 10月 景気ウォッチャー調査 (他) ブラジル 10月消費者物価(IPCA、前年比) (日) 黒田日銀総裁記者会見  現状 9月:51.3、10月:(予)50.8  9月:+2.54%、10月:(予)+2.75% (独) 9月 鉱工業生産(前月比)  先行き 9月:51.0、10月:(予)51.5 (米) ダドリー・ニューヨーク連銀総裁 講演  8月:+2.6%、9月:(予)▲0.8% (英) EU離脱交渉(~10日) (豪) 金融政策決定会合  キャッシュレート:1.5%⇒(予)1.5% (中) 10月 消費者物価(前年比)  9月:+1.6%、10月:(予)+1.8% (中) 10月 貿易統計(米ドル建て、前年比) (中) 10月 生産者物価(前年比)  輸出 9月:+8.1%、10月:(予)+7.2%  9月:+6.9%、10月:(予)+6.5%  輸入 9月:+18.6%、10月:(予)+16.5% (他) メキシコ 金融政策決定会合  オーバーナイト・レート:7.0%⇒(予)7.0%

企業業績への期待で株式市場は好調、米税制改革の行方が焦点に

10月の世界株価指数(MSCI、現地通貨ベース)は月間で+2.6%上昇するなか、 日経平均株価は+8.1%、NYダウは+4.3%、ドイツDAX®は+3.1%と日本株の好調が 目立ちました。背景には為替相場の安定による企業業績拡大期待に加え、安倍政 権長期化を見越した需給改善が指摘できます。海外投資家が今年初めて日本株を 10月第4週まで7週連続で買い越す(先物・現物計)なか、株価連騰のため日銀の ETF購入額は10月中1670億円に過ぎず年間6兆円のペースを達成するため今後大幅 な買入れが予想されます。10月末時点で予想PERは日経平均が15.2倍、NYダウが 18.7倍、ドイツDAX®が15.1倍と日本株には割高感はないとみています。 他方、日米株の相関は高いため米国株の調整が日本株下落のきっかけとなる可 能性があります。ハリケーンの復興需要もあり米国経済の成長率加速が米企業業 績期待に寄与しているといえます。今後は長期金利や減税改革の行方が焦点にな ります。先週末に米共和党の税制改革法案が公表されており上下院での審議進捗 が注目されます。税制改革の実施時期は株価に大きく影響するとみられます。 またFRB次期議長にパウエル理事が指名され、来年以降も米国の緩やかな引締 めスタンスは継続される公算が高まりました。欧州中銀は2018年から9ヵ月間に 渡り資産買い入れ(現行の月600億から300億ユーロに半減)継続を決定、英中銀 は2日に10年4ヵ月ぶりの利上げ(0.25%→0.5%)に踏み切るも今後の利上げは緩 やか且つ限定的に進めるとしています。主要国の金利正常化は緩やかに進み、長 期金利は落ち着いています。日銀の国債買入れ額も徐々に減少するなか世界経済 は安定成長しており、株式市場は業績相場に入っているとみています。ただし株 価上昇の前提は低インフレ率の継続となり、物価指標の動向には注意が必要です。 ◆米国:トランプ大統領が5~7日に訪日、北朝鮮問題を念頭に強固な日米同盟の 確認、日米FTA等が注目です。その後韓国、中国を訪問し14日までアジア歴訪の 予定です。10日の11月ミシガン大学消費者信頼感指数は低下見通しですが、水準 は2004年初め以来の高さにあり、先行き景気への楽観は依然強いでしょう。 ◆日本:9日の日銀金融政策決定会合の主な意見では、片岡審議委員の緩和強化 を巡る主張に注目です。ただし、需給ギャップのプラス幅が拡大するなか同調者 は出難いといえます。9日の9月機械受注は船舶・電力除く民需が減少するも、 10-12月期見通しは堅調が予想されます。供給不足感の高まりで設備投資の拡大 が見込まれ、資本財など設備関連需要の拡大が景気を押し上げるとみています。 ◆中国:7日の10月貿易統計は輸入前年比が高い伸びを維持できるのか、9日の10 月消費者物価は川上部分の物価上昇が波及していないか注目です。(向吉)

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直近1週間の株式・長期金利・為替・原油価格

出所)Bloomberg 出所)Bloomberg

出所)Bloomberg 注)使用しているデータは引値、値表示はザラバベースによる。 出所)Bloomberg

金融市場の動向

注)先進国株はMSCI WORLD、新興国株はMSCI EM。 騰落幅と騰落率は1週間前(先々週末)比。 使用しているデータの値は、引値ベースによる。値表示は小数点以下切捨て。商品先物価格は期近物。 11月3日欄の日本株・日本10年国債利回りの値は11月2日時点。 注)使用しているデータの値は、引値ベースによる。値表示は小数点以下切捨て。 日経平均株価の直近値は2017年11月2日時点。 注)使用しているデータの値は、引値ベースによる。 日本の10年国債利回りの直近値は2017年11月2日時点。

【長期金利】 日本・米国・ドイツの10年国債利回り

【株式】 日経平均株価・NYダウ・ドイツDAX

®

【為替相場】 円・米ドル・ユーロ相場

4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 22,000 24,000 26,000 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 (年) NYダウ(米ドル) DAX®(ポイント) 日経平均株価(円) 2017年11月3日 22,539 23,539 13,479 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 (年) 米国 ドイツ 日本 (%) 0.055 2.333 0.364 2017年11月3日 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 (年) ユーロ円(右軸) ユーロドル(左軸) ドル円(右軸) (米ドル/ユーロ) (円/米ドル、ユーロ) 114.07 1.1608 132.42 2017年11月3日 ユーロ高 米ドル安 ユーロ安 米ドル高 ユーロ高 米ドル高 円安 ユーロ安 米ドル安 円高 日経平均 株価( 円) TOPIX NYダウ ( 米ドル) S&P500 ナスダック 指数 ストックス ヨーロッパ600 ドイツ DAX® 先進国 ( 現地通貨) 新興国 ( 現地通貨) 騰落幅 +530.67 +23.03 +105.00 +6.77 +63.17 +2.63 +261.32 +8.16 +722.33 騰落率 2.41% 1.30% 0.45% 0.26% 0.94% 0.67% 1.98% 0.53% 1.21% 日本 米国 ドイツ 米ドル ユーロ 豪ドル ブラジルレアル インドルピー 騰落幅 -0.015 -0.074 -0.019 +0.40 +0.45 -0.00 -0.71 +0.02 +1.74 騰落率 --- --- --- 0.35% 0.34% ▲0.00% ▲2.01% 1.29% 3.23% 87.27 34.42 1.7701 11月 3日 直近 0.055 2.333 0.364 114.07 132.42 396.06 13,478.86 1,558.14 11月 3日 長期金利:10年国債利回り(%) 6,764.44 直近 22,539.12 1,794.08 23,539.19 2,587.84 55.64 米国株 欧州株 日本株 総合株(MSCI) 為替相場(対円) WTI原油 (米ト ゙ル/バレル) 60,419.93

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10 15 20 25 30 35 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 2012 2014 2016 2018(年) 日本経済新聞 円安を考慮 1,475 1,521 16 23,600 24,300 15 22,100 22,800 14 20,600 21,300 P E R 2017年度予想EPS (倍) 予想PER(右軸) 予想EPS(左軸) (円) 1,475 (+9.6%) 15.28 日経平均株価の試算(PER×EPS) 円 倍 ▼ ▼ ▼ ▼ -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 2009 2011 2013 2015 2017 2019 各政策委員の見通し ●はリスクが上下に概ねバランス △は上振れリスク大きい ▼は下振れリスク大きい (%) 日銀物価目標:2% (年度) 政策委員見通し の中央値 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

【図1】 好調な生産と伸びない賃金

【図2】 低インフレ下で日銀は緩和継続、堅調な株式市場

日本 異次元緩和が続くなか景気は拡大、株価は堅調な展開へ

注)2017年10月時点。「経済・物価情勢の展望」によ る消費者物価(生鮮食品除く)見通し。 出所)日本銀行より当社経済調査室作成 注)直近値は2017年11月2日。予想EPSはドル円相場=114 円/ドルを想定した試算値(前年度比+13%)も使用。 出所)日本経済新聞より当社経済調査室作成 日銀金融政策決定会合では大方の予想通り現状の金融政策が維持されました。 展望リポートでは消費者物価(除く生鮮食品)前年度比の政策委員大勢見通しが、 2017年度+1.1%→+0.8%、2018年度+1.5%→+1.4%に下方修正されました。2019年度 は+1.8%で据え置かれ、物価安定の目標である+2%程度に達する時期は「2019年度 頃」で変更はありませんでした(図2左)。また、片岡審議委員は前回に続き金融 市場調節方針について現状維持に反対、今回は15年物国債金利が0.2%未満(現状 0.287%)で推移するよう長期国債の買入れ実施が適当と述べました。こうした主 張は現時点では実現不可能なものであり、金融市場の反応も限定的でした。 日経平均株価はPERが上昇しましたが過去平均に近く割高感はまだなく、上期決 算を踏まえ今期業績予想が上方修正される公算が高いため、上昇余地があるとみ ています(図2右)。現在の為替相場を前提では(今年度EPS予想前年度比+13%) 株価は年度末にかけ2万3千円前後への上昇は妥当と試算されます。(向吉) 日銀の消費者物価前年比見通し 日経平均の予想PER・EPS 日本 有効求人倍率・実質賃金前年比 日本 鉱工業生産・景気ウォッチャー調査 注)直近値は2017年9月。生産は10.、11月予測指数伸 び率を反映。 出所)内閣府、経済産業省より当社経済調査室作成 注)直近値は有効求人倍率が2017年9月、実質賃金は同 年8月。実質賃金は3ヵ月移動平均。 出所)厚生労働省より当社経済調査室作成 先週の日本株は堅調な展開となり日経平均株価は週末比で8週連続で上昇しまし た。海外投資家が10月第4週まで7週連続で買い越す(現物・先物計)なか、日銀 は5週ぶりに1日700億円超のETF買い入れを行い、好需給が株価を下支えしました。 9月鉱工業生産は前月比▲1.1%と減少したものの、製造工業生産予測指数は10月 が同+4.7%、11月が▲0.9%となり「持ち直しの動き」を維持しました(図1左)。 予測指数ははん用・生産用・業務用機械工業や電子部品・デバイス工業が2ヵ月連 続増と好調、設備投資の拡大が背景にあるとみています。一方で、景気ウォッ チャー調査など景況感の盛り上がりに欠ける要因は、やはり賃金上昇率の鈍さと いえます。需要拡大で労働市場の逼迫感が強まり、有効求人倍率は1974年2月の 1.53倍以来の高水準となる一方で、実質賃金は前年割れとなっています(図1右)。 有効求人の大部分が低賃金労働ということになり、家計が所得増を実感できない 可能性があります。技術革新が高収入の雇用機会を阻んでいるのかもしれません。 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 30 35 40 45 50 55 60 65 70 (年) 景気ウォッチャー調査 先行き判断DI(左軸) 鉱工業生産指数 (右軸) (2010年=100) 1.52 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 1992 1996 2000 2004 2008 2012 2016 (%) 有効求人倍率(右軸) 実質賃金指数(左軸) (年) (倍)

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0 20 40 60 80 100 120 0 20 40 60 80 100 120 140 160 2008 2011 2014 2017 コンファレンス・ボード (左軸) (1985年=100) ミシガン大学(右軸) (1966年=100) (年) 61 62 63 64 65 66 67 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 2008 2011 2014 2017 (年) (%) (%) 労働参加率 (右軸) 平均時給 (線、左軸) 雇用コスト (線、左軸) 0 2 4 6 8 10 12 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 2008 2011 2014 2017 2017年9月FOMC予測 失業率の長期水準 4.6% (万人) (%) (年) 非農業部門雇用者数 (前月差、棒、左軸) 失業率 (右軸) 注)左図の直近値は2017年10月、右図の直近値は2017年9月。

【図1】 労働市場は堅調も、賃金上昇ペースは加速せず

【図2】 消費者景況感は良好も、消費拡大の継続性に注視

米国 リスク選好相場が継続、重要イベントを無事消化し、影響を精査する展開へ

先週の米国金融市場では、株高・債券高の流れが継続しました。底堅い経済指 標やIT主要企業の好調な決算発表に牽引され、ダウ工業株30種平均やナスダック 総合は引続き最高値を更新。直前報道の通り、次期FRB(連邦準備理事会)議長 には緩慢かつ慎重な継続利上げを支持するパウエルFRB理事が正式指名され、現 行金融政策の継続性が保たれるとの安心感もリスク選好相場を後押ししました。 先週開催のFOMC(連邦公開市場委員会)は政策金利を据置くも、声明文では景 気判断を引き上げ、次回12月会合での利上げ実施が確実視されています。3日に公 表の10月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月差+26.1万人とハリケーン被害で 急減した前月から大きく回復。失業率は4.1%と一層低下し、労働市場の底堅さを 示しました(図1左)。一方、労働参加率は大きく後退し、物価動向に影響すると される平均時給は前年比+2.4%と再び伸び率が鈍化(図1右)。単月値ながら、先 行きへの不安材料を残す結果となり、来年以降の利上げ観測は高まっていません。 コンファレンス・ボードが10月31日に公表した10月消費者信頼感指数は約17年ぶ りの高水準を記録し(図2左)、家計の景況感は極めて良好です。9月実質個人消 費は前年比+2.7%とハリケーン被害に伴う買替え需要も相まって増加ペースがやや 加速。9月実質個人所得も前年比+1.4%と増加基調を保つも、伸び率は消費に及ば ず貯蓄率は大きく低下しました(図2右)。年末にかけて、ハリケーン復興需要は 続くと予想されるものの、賃金上昇率が緩やかな伸びに留まる中、楽観的な景況 感が維持され、積極的な支出拡大が継続するかが今後の焦点となりそうです。今 週は9月消費者信用残高や11月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定され、 消費増加に伴う借入れ動向や消費姿勢の変化の有無に関心が集まりそうです。 また、2日に議会下院は税制改革法案を発表。法人減税は従来案の規模が堅持さ れた一方で、個人所得減税規模や住宅ローン控除は縮小されました。実現性は依 然不透明ながら米国景気を主導する個人消費への影響も注視されます。(吉永) 出所)コンファレンス・ボード、ミシガン大学、米商務省より当社経済調査室作成 米国 実質個人消費(前年比)と 貯蓄率 米国 消費者信頼感指数 出所)米労働省より当社経済調査室作成 注)左図の直近値は2017年10月。右図の直近値は雇用コストが2017年7-9月期(四半期)、 その以外が2017年10月(月次)。平均時給は含む管理職ベース。 米国 非農業部門雇用者数(前月差)と 失業率 平均時給、雇用コスト(前年比) 米国 労働参加率と -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 2008 2011 2014 2017 (年) (%) (%) 実質個人消費 (棒、左軸) 貯蓄率(線、右軸)

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欧州 英中銀の利上げは苦渋の選択。BREXIT交渉の進展が何より急務

【図2】 BREXIT交渉難航→通貨安→インフレの悪循環

【図1】 ユーロ圏景気は引き続き堅調

■欧州株式市場はスペイン情勢が重石もECB理事会の結果を好感 先週の欧州ストックス600株価指数の週間騰落率は+0.67%と、日経平均の同+3.68% には劣後するもNYダウの同+0.45%は上回り、10月月間では米国株をしのぐ勢い、特 に情報通信セクターや電気自動車の部品で使用するレアメタルを扱う素材やエネル ギーセクターが上昇をけん引しました。またスペインカタルーニャ州独立問題はプ チデモン同州首相が国外退避先で逮捕、同州自治権の中央政府への移譲も混乱なく 総じて沈静化、同国主要株価指数の先週の騰落率も+1.57%と反発しました。 ■ユーロ圏2017年7-9月期実質GDPは予想を上回る強さ ユーロ圏7-9月期実質GDP成長率(速報値)は、予想を上回る前期比+0.6%、同年 率換算は+2.4%と前期同様強さをみせつけました(図1左)。需要項目別は未発表な がら、国別では引き続きドイツ、スペインが、そして先月米系格付会社S&Pから BBBへ1ノッチ格上げされたイタリアも勢いを取り戻してきました。これら好調な国 の共通点は輸出の増勢、ユーロ高にも関わらずユーロ圏8月貿易収支は+216億€と高 水準に達しています。そして、この勢いは当面続くと楽観視しています(図1右)。 ■依然進まぬBREXIT(英国のEU(欧州連合)離脱)交渉 – 英中銀(BOE)は景気下押しを覚悟し消極的利上げを断行 BOE(英中銀)は政策金利を引き上げ+0.5%としました(図2左)。昨年6月の BREXITを問う国民投票以来、暮れにかけ一時20%超も下落した英ポンドの影響 などから、9月消費者物価上昇率は前年比+3.0%と加速、BOEの目標上限に達し 実体経済面でも実質賃金の下げが加速する等、悪影響も既に顕在化しています (図2右)。景気を湿らせても利上げしインフレ抑制か、景気維持のため利上げ せずインフレを甘受か、BOEは前者を選択した格好です。カーニー総裁も今後 の利上げはBREXITに向けたEU(欧州連合)との交渉次第としています。今回の 決定を受け英ポンドは下落、1英ポンド=1.30ドル割れを窺う展開となりました。 今週EUとのBREXIT交渉が再開されますが難航は必至、離脱に伴い英国が支払 う離脱費用の合意なくして貿易交渉なしとするEU側の頑な姿勢の前に、貿易交 渉を急ぎたい英国は四面楚歌の様相です。英ポンド売りとインフレ加速の悪循 環から離脱するにはBREXIT交渉の進展が必要条件といえるでしょう。(徳岡) 英国 実質賃金と 鉱工業生産 ユーロ圏 実質GDP成長率 需要項目別寄与度 (前期比年率換算) 英政策金利と消費者物価上昇率 名目実効為替レート 注)左図、2017年7-9月期の需要項目別寄与度は未発表。右図直近値は2017年8月。 出所)欧州統計局、マークイットより当社経済調査室作成 ユーロ圏 貿易収支と 企業景況感(新規受注) -14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 2008 2010 2012 2014 2016 2018(年) (%) 純輸出 個人消費 在庫投資 政府消費 固定資本投資 実質GDP 2017年7-9月期 実質GDP +2.4% 70 75 80 85 90 95 -1 0 1 2 3 4 5 2012 2014 2016 2018 2020 0.82% BOE物価見通し 2017年11月時点 BOE物価 目標=2.0% 2020年3月 2.2 (%) (年) 3.0 (左軸)政策金利 0.50 2019年3月 EU離脱 (右軸)英名目実効 為替レート(逆目盛) (左軸) 英消費者物価 上昇率(前年比) ※直近値は2017年9月 ↑英ポンド↓英ポンド2016年6月 国民投票 11月2日 76.44 (2005年=100) 11月3日時点 市場予測 2年後の水準 -14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 2007 2010 2013 2016 2019 (%) (年) 実質賃金 (平均時給前年比 除くボーナス) ▲3.3 2017年 8月 鉱工業生産(前年比) 2017年 8月 +1.6

出所)Thomson Reuters Datastream、Bloombergより当社経済調査室作成

30 35 40 45 50 55 60 65 -100 -50 0 50 100 150 200 250 300 2008 2011 2014 2017 2020 (右軸) 企業景況感 (製造・サービス) 新規受注 28ヵ月先行 (左軸) 貿易収支 (3ヵ月移動平均) (億ユーロ) (指数) (年)

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アジア・新興国 マレーシア:選挙対策と財政赤字削減を両立させた来年度予算案

出所)マレーシア財務省、CEICより当社経済調査室作成 出所)マレーシア財務省、CEICより当社経済調査室作成

【図1】 財政赤字のGDP比縮小を目指す2018年度予算案(左)

先月27日、マレーシア政府は2018年度の連邦政府予算案を公表。来年に総選挙 を控えた選挙対策とみられる減税や現金給付等を盛込みつつ、財政赤字のGDP比 を2.8%と前年度の3.0%以下に抑え財政健全化に向けた姿勢も示しました(図1左)。 歳出面では、現金や給付金の支給、低価格住宅の提供、所得減税などによって 家計部門への多額の支援を実施。公務員への特別給付(24億リンギ)、就農者への 特別支援(23億リンギ)など数多くの支給は、連立与党の支持基盤である公務員と 農村部住民に向けたものと思われます。所得減税に関しては、課税所得区分2~7 万リンギに対する税率を引下げ、230万人の納税者の可処分所得を300~1,000リン ギ増加させる見込みです。一連の給付や減税策の恩恵は、主に低所得層に波及。 彼らの限界消費性向は高く、来年の民間消費の伸びを1%ポイント程度押上げると 予想 さ れま す 。総 歳 入の 伸び は 前年 度 比 +6.4%と予算前提の名目GDP 伸 び 率 (+7.6%)を下回っており、減税による減収を考慮しても無理のない予想と言えます。 利払いを除く基礎的財政赤字のGDP比は0.6%と前年度の0.8%より縮小。同比率 は予算前提の名目GDP成長率(7.6%)と国債利回り(約3.5%)の差を下回っており、政 府債務のGDP比(図1右)は来年末にかけて小幅に低下する見込みです。また、石油 関連歳入(直接税、輸出税、権益料、石油公社分配金)を除く財政赤字のGDP比は 5.2%と前年度の5.3%、2016年度の5.5%より縮小。近年縮小してきた課税基盤は、 2015年の物品サービス税(GST)導入等によって強化されました(図2左)。 今年度財政赤字の改定見込は399億リンギと原予算の403億リンギとほぼ同額。 原油価格の上昇(予算前提:1バレル45ドル→50ドル)等に伴って総歳入が原予算比 2.5%増えた一方、総歳出も同2.0%増加しました。政府は歳入の増加を赤字の圧縮 ではなく歳出の拡大に用いる構えとみられます。1-9月期の歳出額は前年比+1.0% と小幅な伸びに留まっており、今後年末にかけて歳出の伸びが加速し(図2右)、足 元の堅調な景気を一層押上げる可能性が高いと考えられます。(入村) 注)本稿は、11月6日付アジア投資環境レポートの要約です。 年度 2013 2014 2015 2016 2017 2018 単位: 億リンギ 実績 実績 実績 実績改定見込予算案 総歳入(a) 2,134 2,206 2,191 2,124 2,253 2,399 税収 1,560 1,642 1,654 1,693 1,802 1,916 内)石油関連 298 270 116 84 109 114 総歳出(b) 2,520 2,580 2,563 2,508 2,652 2,797 経常歳出 2,113 2,196 2,170 2,102 2,199 2,343 内)利払い 208 226 243 265 289 309 内)補助金 433 397 273 246 231 265 資本歳出 407 385 393 406 453 454 財政収支(a-b) -386 -374 -372 -384 -399 -398 GDP比: % 総歳入(a) 20.9 19.9 18.9 17.3 16.8 16.6 税収 15.3 14.8 14.3 13.8 13.4 13.2 内)石油関連 2.9 2.4 1.0 0.7 0.8 0.8 総歳出(b) 24.7 23.3 22.1 20.4 19.7 19.3 経常歳出 20.7 19.8 18.7 17.1 16.4 16.2 内)利払い 2.0 2.0 2.1 2.2 2.1 2.1 内)補助金 4.3 3.6 2.4 2.0 1.7 1.8 資本歳出 4.0 3.5 3.4 3.3 3.4 3.1 財政収支(a-b) -3.8 -3.4 -3.2 -3.1 -3.0 -2.8 中央政府予算(年度: 1月~12月) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 1992 1997 2002 2007 2012 2017 政府債務のGDP比(四半期) (%) 注) 直近値は2017年4-6月期 (年) 対外債務(b) 国内債務(a) 総債務 (a+b) 債務上限(55%) -500 -450 -400 -350 -300 -250 -200 -150 -100 -50 0 1月 4月 7月 10月 中央政府財政収支(年初来: 月次) (億リンギ) 注) 直近値は2017年9月 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2017年度予算 (改定見通の通年収支)

【図2】 今年末にかけて歳出が加速し、財政赤字が拡大か(右)

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 1993 1998 2003 2008 2013 中央政府の主要税収(GDP比) (%) 注) 4四半期移動累計 石油関連税収を除く 直近値は2017年4-6月期 直接税 (その他) 間接税 所得税 法人税 (年)

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出所)Bloomberg等、各種資料より当社経済調査室作成

今週の主要経済指標と政治スケジュール

注) (米)は米国、(日)は日本、(欧)はユーロ圏、(英)は英国、(独)はドイツ、(仏)はフランス、(伊)はイタリア、(加)はカナダ、(豪)はオーストラリア、(中)は中国、(印)はインドをそれぞれ指します。 赤字は日本、青字は米国、緑字はユーロ圏とEU全体、黒字はその他のイベントを表します。経済指標と政治スケジュール、企業決算の日程及び内容は変更される可能性があります。 月 火 水 木 金 10/30 31 11/1 2 3 (日) 日銀金融政策決定会合(~31日) (日) 黒田日銀総裁記者会見 (日) 衆参両院本会議にて首相指名 (日) 10月 消費者態度指数 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 講演  政策金利残高適用金利:▲0.1%⇒▲0.1% (日) 経済・物価情勢の展望(基本的見解) (日) 10月 新車登録台数(軽自動車除く、前年比)  9月:43.9、10月:44.5 (米) 10月 雇用統計 (米) 9月 個人所得・消費(前月比) (日) 9月 鉱工業生産(速報、前月比)  9月:+0.4%、10月:▲4.7% 非農業部門雇用者増減数(前月差)  所得 8月:+0.2%、9月:+0.4%  8月:+2.0%、9月:▲1.1% (米) 9月 建設支出(前月比) (米) パウエルFRB理事 講演  9月:+1.8万人、10月:+26.1万人  消費 8月:+0.1%、9月:+1.0% (日) 9月 家計調査(実質消費支出、前年比)  8月:+0.1%、9月:+0.3% (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁 講演 失業率 9月:4.2%、10月:+4.1%  デフレータ(除く食品・エネルギー、前年比)  8月:+0.6%、9月:▲0.3% (米) 10月 ADP雇用統計 (米) 10月 新車販売台数(輸入車含む、年率) 平均時給(前年比) 9月:+2.8%、10月:+2.4%      8月:+1.3%、9月:+1.3% (日) 9月 完全失業率 (民間部門雇用者増減数、前月差)  9月:1,847万台、10月:1,798万台 (米) 10月 米供給管理協会(ISM) 非製造業景気指数 (独) 10月 消費者物価(前年比)  8月:2.8%、9月:2.8%  9月:+11.0万人、10月:+23.5万人 (米) アップル 2017年7-9月期決算発表  9月:59.8、10月:60.1  9月:+1.8%、10月:+1.6% (日) 9月 有効求人倍率 (米) 10月 米供給管理協会(ISM)製造業景気指数 (米) 7-9月期 労働生産性(非農業部門、前年比) (米) 9月 貿易収支(通関ベース)  8月:1.52倍、9月:1.52倍  9月:60.8、10月:58.7  4-6月期:+1.5%、7-9月期:+3.0%  8月:▲428億ドル、9月:▲435億ドル (欧) 7-9月期 実質GDP(速報値、前期比) (米) 連邦公開市場委員会(FOMC)(~11月1日) (中) 10月 製造業PMI(マークイット) (米) 9月 製造業受注(除く輸送、前月比)  4-6月期:+0.7%、7-9月期:+0.6% FF金利誘導目標:  9月:51.0、10月:51.0 (英) イングランド銀行 政策金利判断  8月:+0.6%、9月:+0.7% (欧) 10月 消費者物価(速報値、前年比)  1.00~1.25%⇒1.00~1.25% (他) ブラジル 9月 鉱工業生産(前年比)  政策金利:0.25%⇒0.5% (米) トランプ大統領 アジア歴訪(~14日)  総合 9月:+1.5%、10月:+1.4% (米) 7-9月期 雇用コスト指数(前期比)  8月:+3.9% 、9月:+2.6% (英) 英中銀 四半期物価報告 (仏) 7-9月期 実質GDP(速報値、前期比)  4-6月期:+0.5%、7-9月期:+0.7% (米) 10月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) (豪) 9月 貿易収支  4-6月期:+0.6%、7-9月期:+0.5% (米) 8月 S&P コアロジック/ケース・シラー住宅価格指数  9月:120.6、10月:125.9  8月:+8.73億豪ドル、9月:+17.45億豪ドル (米) 10月 シカゴ購買部協会景気指数  (20大都市、前月比) (中) 10月 製造業PMI(国家統計局) (他) ブラジル 9月 失業率  9月:65.2、10月:66.2  7月:+0.38%、8月:+0.45%  9月:52.4、10月:51.6  8月:12.6%、9月:12.4% 5 7 8 9 10 (米) トランプ大統領 来日(~7日) (日) 9月 現金給与総額(前年比) (日) 9月 景気動向指数(速報、先行CI) (日) 日銀金融政策決定会合 主な意見 (日) 9月 第3次産業活動指数(前月比)  8月:+0.7%、9月:(予)+0.5%  8月:107.2、9月:(予)106.6 (日) 9月 機械受注(船舶・電力除く民需、前月比)  8月:▲0.2%、9月:(予)▲0.1% (米) クオールズFRB副議長 講演  8月:+3.4%、9月:(予)▲2.0% (日) 10月 マネーストック(M2、前年比) 6 (米) 9月 消費者信用残高(前月差) (米) トランプ大統領 訪中 (日) 9月 経常収支(季調値)  9月:+4.1%、10月:(予)+4.1% (日) 日銀金融政策決定会合議事要旨  8月:+131億ドル、9月:(予)+175億ドル  8月:2兆2,669億円、9月:(予)2兆533億円 (米) 10月 月次財政収支 (9月20日~21日分) (米) 9月 求人・労働異動調査(JOLTS) (他) APEC閣僚会議 (日) 10月 銀行貸出(季調値、前年比)  9月:+80億ドル、10月:(予)▲450億ドル (日) 黒田日銀総裁記者会見  求人件数:  9月:+3.0%、10月:(予)+3.0% (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数(速報)  8月:608万件、9月:(予)605万件 (日) 10月 景気ウォッチャー調査  10月:100.7、11月:(予)100.6 (米) ダドリー・ニューヨーク連銀総裁 講演 (独) 9月 鉱工業生産(前月比)  現状 9月:51.3、10月:(予)50.8 (仏) 9月 鉱工業生産(前月比)  8月:+2.6%、9月:(予)▲0.8%  先行き 9月:51.0、10月:(予)51.5  8月:▲0.3%、9月:(予)+0.5% (欧) ユーロ圏財務相会合 (豪) 金融政策決定会合 (中) 10月 消費者物価(前年比) (米) 9月 卸売売上・在庫(在庫、前月比) (伊) 9月 鉱工業生産(前月比)  キャッシュレート:1.5%⇒(予)1.5%  9月:+1.6%、10月:(予)+1.8%  8月:+0.3%、9月:(予)+0.3%  8月:+1.2%、9月:(予)▲0.4% (他) インドネシア 7-9月期 実質GDP(前年比) (中) 10月 外貨準備高 (中) 10月 生産者物価(前年比) (欧) ECB 経済報告発表 (他) ブラジル 10月消費者物価(IPCA、前年比)  4-6月期:+5.01%  9月:3兆1,085億ドル、10月:(予)3兆1,100億円  9月:+6.9%、10月:(予)+6.5% (英) EU離脱交渉(~10日)  9月:+2.54%、10月:(予)+2.75%  7-9月期:(予)+5.19% (中) 10月 貿易統計(米ドル建て、前年比) (他) ニュージーランド 金融政策決定会合 (英) 9月 鉱工業生産(前月比) (他) APEC首脳会議(~11日)  輸出 9月:+8.1%、10月:(予)+7.2%  オフィシャル・キャッシュレート:1.75%⇒(予)1.75%  8月:+0.2%、9月:(予)+0.3%  輸入 9月:+18.6%、10月:(予)+16.5% (他) フィリピン 金融政策決定会合 (他) メキシコ 金融政策決定会合 オーバーナイト・レート:3.0%⇒(予)3.0%  オーバーナイト・レート:7.0%⇒(予)7.0% 13 14 15 16 17 (日) 10月 国内企業物価 (米) 10月 生産者物価 (日) 7-9月期 実質GDP(1次速報) (米) 10月 輸出入物価 (米) 10月 住宅着工・許可件数 (欧) 7-9月期 実質GDP(2次速報) (日) 9月 製造工業 稼働率指数 (米) 10月 鉱工業生産 (欧) 9月 鉱工業生産 (米) 11月 フィラデルフィア連銀景気指数 (米) 9月 企業売上・在庫 (独) 7-9月期 実質GDP(1次速報) (米) 11月 全米住宅建築業協会(NAHB)住宅市場指数 (米) 10月 消費者物価 (独) 11月 ZEW景況感指数 (米) 10月 小売売上高 (豪) 10月 雇用統計 (他) ブラジル 9月 小売売上高 (伊) 7-9月期 実質GDP(1次速報) (米) 11月 ニューヨーク連銀景気指数 (中) 10月 鉱工業生産 (英) 10月 消費者物価 (中) 10月 小売売上高 (英) 10月 生産者物価 (豪) 11月 消費者信頼感指数 (中) 10月 都市部固定資産投資 (豪) 10月 NAB企業景況感指数 先     週 今     週 来     週

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