理学 療 法 学 第13巻 第 4号 285
〜
290頁 (1986年)報
告
ハリ
ヴ
ィ ック
法
*一
プー
ル訓 練 及
び水 泳
の指 導 法
冨
田
昌
夫
** は じ め に 福 祉に対 する惰 民養成 的 な 考 えが根 強 く残っ てい る我 が 国では,
障 害 者 がス ポー
ツをする事は,
職 業 を もつ 以 上に困難なの では な か ろうか。
医療 従 事 者の 間で もスポー
ツ に対 する取 り組みは かな り遅 れてい る 。 特IC老 人の 多い片 麻 痺に可 能なス ポー
ツ及び その施 設は皆無とい っ て良い。
幸い国 内のあちこちにプー
ルがで き,
四季を通 じ て泳 ぐこ とが手軽にでぎる よ うにな っ てきてい る現在,
よ り多くの障 害 者が楽し む可 能 性の ある水泳 をあら ため て見 直してみ るの は意義のある事と思い ,J
.
McMillanのハ リ ヴィッ ク法 (The Halliwick Method ) を改めて 紹 介し たい
。
ハ リ ヴィ ッ ク法は,
単に水 泳の指 導に と ど ま らず 身 体 機 能 回復訓 練に も広 範に活 用で きるテ クニ ッ クで ある。
国 内で は神 奈 川リハ ビリ テー
シ ョ ン セ ンター
の竹中等に よ りすで に取り組み が な されて い る。
概
略 1949年ロ ン ドン の 身体障害児学校, ハ リ ヴィッ ク学 校で水 泳の指 導が始め られた。
まもな く船舶工学者のJ
.
McMil
工an が指 導 者の一
員に加わ り“
運 動学 と水力学を と り入 れ,
すべて の障 害 児に水 泳 を 可 能とする”
とい う ハ リヴィ ッ ク法の 基 本 概 念が作 り上げ られ た。
障害児に 特有の現 象は,
水に対 する不 安が強 く順 応しに くい事, 及び体が回転し て しまい水 面で背 臥位を保 持で ぎない事 で ある。
顔を空 中に出し た姿 勢で,
バ ラ ン スが とれない とい う問 題は, 障害児が水に浮 く為に どうし て も乗 り越 え なければ ならない最 大の 関 門で ある。
J.
McMillan
は.
工学 的立場 か ら人 間のバ ラン ス を a :姿勢動揺 (Postual Sway )* The Halliwick Method
−
A Teaching Swimming Me−
thQd as Well as Poel Exercise
−
* *
神 奈 川リ
ハ
ビリ テー
シ ョン病院Masao Tomita RPT :Kanagawa Rehabilitation Hospita
b
:立ち直り反 応 (Righting
Reactions) の二相に区分し た。
姿勢 動 揺は,一
定の姿 勢保持の為 大 きな動 きの抑 制,
立ち直 り反 応は一
つ の姿 勢か ら他の姿 勢に移る等,
大 き な動 きの促 通 的 意味あい を持つD。 水 へ の精 神 的順 応 を 図る段 階,
泳 ぐ事 を 学ぶ段階に,
二 つ の動 的, 静 的バ ラン ス 訓練を加え,
水泳 指 導の過 程を四 つ の大 きな柱に分類し た(表1)。
“
水は泳 ぐよ りもまず 楽しむ もの である” とい う考 えに基づき,
障害児に大 き な動 き を経 験 させ喜びを 与 える。 次に安全性獲得を図る 等 基本 的 な 事から始め, 泳 ぎの習 得ま で具体的 プロ グラ ムを10段階に整理,
10段 階指導 法を確 立し た(表 1)。
286 理学 療 法 学 第13巻第 4号
10
段 階 指 導 法 具 体 的 プロ グラム に入る前に,
少し 述べておぎたい。 水 中で両 下 肢 を 曲 げ,
肩 まで水に沈めた座 位の姿 勢 (写 真 1)を と り,
両上肢は テー
ブル に載せ る様なつ も りで 水 面に伸ば し て おく。 右上肢を その ま ま に し, 左 上肢だ け 空 中に上げる と,
左 下 肢に力が入る。
左上肢が空 中に 上 が り,
左 側の浮 力が少な くなっ た為である。
底に足が つ い て い る時は,
こ の様に足に力 を 入 れ 底の反 力でバ ラ ン ス を と る事 が出来る。
水面に背 臥 位になっ た場 合どう だ ろ う。 背 臥位に浮い て左手だ け空中に出し て み る。
左 側の浮 力が少な くな り体は左に回転して くる。
これ を止 め る に は,
右側へ 体を側 屈 する か,
頭・
体 幹を右へ 回旋 し て浮 力の中 心をず らす 必 要がある。
反 対に右 側へ 体 を 側屈又は 回旋する事を促通し たい時は,
他動 的に体を 少 し左 側へ 回転してや ればよい。
こ の様に重 力と浮 力とい う二つ の 力の間でバ ラ ン ス を とる事は,
陸上にない まっ た く新し い経 験となる。
セ ラ ピス ト は,
具体 的に動ぎの 指 示 を 与 える事が重 要 となる。 水 中に 立っ てい る時, 後を人 が 通る と体が後に倒れ る 様な感じにな る。
水に局所的な乱流 (Turbrent
)が出来 る とその部 分の圧は下が る。 後を人 が 通っ た事で水の 動 きが出来, 体の前よ り圧 が低くなっ た為,
後に吸い込 ま れる様な力を受 けたの である3)。
前 方に移動 する人の前 で水の動 きをつ くれば移 動の介 助,
後方で動 き をつ くれ ば 抵 抗を与え る事 が出来る。
こ の様に浮力の量 を変え た り,
乱 流を利 用 する事はハ リ ヴィ ッ ク法の重要なテ クニ ッ ク である。 写 真 1 座 位 ハ リ ヴ ィ ッ ク法で は,
こ の座 位 姿 勢が羞本とな る。
体の配 置が最 も立 方 体に近づ き,
安 定す る。
あ らゆ る動 作がこ の姿 勢で始まり,
こ の姿 勢で終る。
座 位姿勢は股関節 屈曲, 軽度 外転,
膝 関 節屈 曲,
体幹 を伸展し,
両上肢は水面に伸ばす。
片 麻 痺で は 手を組ませ,
患 側肩の リ トラ ク シ ョ ン を防ぐ。
第1
段階 :水へ の順 応無 意識 の内に溺れる事へ の不安を持ち
,
水は恐い もの と思い こ ん で い る障害者 が多い。
こ の様な不 安を取 り除 く事がこ の段 階の 目的である。
浮 き輪 を使 用しないハ リ ヴィ ッ ク法で は不 安を な くす 事が今後の プロ グラム 進 行 上で特に重 要と な る。
セ ラ ピス トは常に障 害 者の視界に 居 り,
しっ か り と保 持 する。
浅い所か ら徐々 に深い所へ 若し くは,
次第に体を深く沈め る様な動 作か ら始め る。
顔に水し ぶ ぎがか か っ て も平気でい られる様に,
更に 目 をあ けた ま ま顔を水に 沈め られる様にする。
水 中に顔を つ ける とほ とんどの人 が呼吸を止める傾向にある。 水 中 に息 を 吐 く時は,
大 気 圧に水圧 が 加わ り,
大 気 中で の呼 気よ り力が必 要な為である4) 。 呼 吸を止めず水 中に息を 吐 く事が出 来る様にするe 座 位の姿 勢で息を吐いた り,
吸っ た り又は,
立ち 上 が りな が ら息を吸い,
座りな が ら 息を吐 く動 きを通じ浮 力の存在を認 識 させ る。
水は空 気 の13倍の力で体を支えて くれ る。
し た がっ て水の中で動 く時は,
水の重 さ を 感 じる。
早 く歩 こ う と する と自然に 体が前屈し てくるのはこ の重さに抗 する為である。
この 様な水の特性を陸上で とり得るあ らゆる姿 勢 (立位, 座 位,
臥 位 ),
あ ら ゆる動 作 (立つ,
座る,
跳ぶ,
寝 返る) を通じ て十分体 験さ せ る(写真 1)。
浮 力 や 動 く時 体の周 りに出来 る小 さ な水の動 き (Eddy
Effect
)に ょり,
陸 上に い る時よ り リラ ッ ク スし やすく,
容易に大きな動き が出 来る事 を経 験 させ水が楽しい もの である事 を知 らせ る。
尚,
痙 性の ある片 麻 痺で は水 中 歩 行は させない。
浮 力に よ り下 肢の コ ン ト P一
ルが不充分にな りか えっ て痙 性を強め て しま う。
第 2段 階 :自立 セ ラ ピス 】・
は,
障 害 者の 介 助,
支 持 量 を 次 第に減 らし て い く。
まっ た く支 持な しで動 ける様になっ た ら静 止 す る事 も取り入 れる。
障害 者か ら少し離れ次第に距離をあ けてい く。
徐々 に視 界か ら も難 れて障 害 者が水中で独 立 し て行 動 出 来る様にする。
動 作は第一
段階と まっ た く変 らない (写真2
)。
第3段 階 :前後へ の 回転 こ の段 階か らコ ン ト ロー
ル さ れた動 きの学習に入る。
まず 最 初に行 うのが前 後へ の 回転,
つ まり基 本 姿 勢の塵 位か ら ゆっ くり背臥位とな り,
背 臥 位か ら ゆっ くり起 き 上 が り座 位1こ戻る動 作である。
身 長は体の横幅に比べ 数 段に長い の で,
背 臥 位で の前 後の安 定 性は左 右の安 定 性 よ り非常に大 きい。
従っ て前 後に動 く事は大 きな力が 必 要とな るもの の バ ラ ンスが保ち やす く容 易に行 える。
セ ラピス トは障害者の横か ら介 助 する。
第2
仙椎 (S2)付 近の 背 部に手 を 当て支 持する。
障害 者は頭 部・
肩 を後へノ
、
リ ヴィ ッ ク法 287 写 真 2 腹 臥 位か ら座 位へ 腹 臥 位から座 位に戻る時セ ラ ピス トは, 頭 部, 下 肢か ら屈 曲の介 助をする。
障 害 者は首を曲げ膝 を胸 につ ける ように し て,
息 を 吐 きながら足が体の下に くる ま で待っ て か ら, ゆっ くり と下 肢を伸 ばし て座 位にな る。 陸上 と異な り水 中では, まず屈 曲姿勢を とっ てか ら@っ くり伸展して立位と な る。
腹 臥位で 立 と う として頭 を上げ る と浮 力が少 な くな りか えっ て沈ん で し まう。 腹 臥位にな るのは, 座 位の姿勢か ら頭・
上肢を前へ つ ぎ出す様に し て 上半身か ら水に 浮い て い く。
写真 3 座位か ら背臥 位へ 座 位 姿 勢か ら頭 部, 肩を後に倒して い く。 頭が十 分 水につ か り, 上 部体幹が 水 面に浮くま で足部は底 につ けて お く 。 全 身の伸展 促 通の動 きで,
股 関 節の伸長 を 目 的 と する よ うな訓 練に も使える。
反 対に背 臥位か ら座 位 に戻るの は全 身の屈 曲 促 通 と なる。
倒し て行き(写真3
),
頭部,
上部体 幹 が水面に達し て か らゆっ くり足を浮かせ背臥位となる。
全身の伸展を 促 通 する 動 きである。
障 害 者が不 安が り伸展が十 分セこ引 き 出 せ ない時には, S2付 近だけで なく肩の後 や 膝 を 支 持 する と共にセ ラピス ト の足で障 害 者の足を軽 く踏み固定する。 座 位に戻る時は,
まず頭と上肢を前へ,
次に下肢を曲げ 膝 を 顎につ ける様な全 身の 屈 曲姿 勢を と る。 こ の姿勢で 水 中に息を吐きな が ら足 が 体の下に来るまで待ち,
ゆっし
くり下 肢 を伸ばし座 位になる。
必 要に応じ頭 部の前 屈と 下肢の屈曲を介助して全身屈曲姿勢を促通 する。
第 4段 階 :左
・
右ぺの 回転 こ の段 階で は回旋の促通 が 目的と な る。
左・
右へ の回 転と は体長軸に対する回旋の動 きで背 臥位か ら側臥位,
腹 臥 位 そし て背 臥位に戻る動作をい う。
セ ラ ピス トは背 臥 位になっ た障 害 者の骨 盤 付 近に立ち両 手で骨 盤を保 持 する。
障 害 者の骨 盤に セ ラ ピス ト の体をつ け 骨盤 か ら 回 旋の促 通をする。
左へ 回転 する場合,
セ ラ ピス ト は障害 者の左 側に立 ち骨 盤 を 手 前に引 くように 回旋 する。 同 蒔 に障 害 者は頭・
右上肢 もし くは両上肢を左へ 回旋 する 。 さらに右 下 肢を軽く曲げ 左ヘー
歩ふ み出す 事で側臥位,
腹臥 位になっ てい く。
こ の動 作 を さ らに続 ける事で腹 臥 位か ら背臥位に戻る。
水 中で は常}こ息 を 吐 く事 を 忘 れて は な ら ない。360°
回 転の前に背臥 位か ら 側 臥 位にな る練 習 を 充分行 う必 要が ある(写 真4)。 第 5段 階 :前 後.
左 右 同 時の 回転 障 害 者が プー
ル サ イ ドか ら水に入る時 (写 真 5)や水 中で転倒し た場 合,
安 全 性 確 保の為 きわめ て重 要 となる 動きである。
障 害 者が前に倒れた とする。
右上肢を斜め 前に伸ばし左へ 回す。
さ らに前屈し た頭,
体 幹を大 き く 左へ 回旋し た後,
ゆっ くり伸展し て背臥 位 となる。
こ の 事は前に倒れ る (前 後の回転 ),
体を 左へ 回転す る (左・
写 真 4 片 麻 痺の左右へ の 回転 (背 臥 位か ら側 臥 位) 片 麻 痺の 場合360
° 回 転 する だけで な く, 背 臥位か ら側 臥 位にな る動 作を多「
く行 う。
この動 作は,
痙 性 の抑 制に重 要 と な る。
上 肢の痙 性抑制の為, セラピ ス ト は上肢 と体で障 害 者の患 側上肢 を伸展,
外 転,
外旋 位に保持し,
他の手で骨盤か ら回旋の促 通をし てい る。
写真で は,
セ ラ ピス トの手は,
障 害 者の背 面か ら骨 盤に当て て い る。
背 臥 位→ 側 臥位→ 背臥位 の寝返 り動作をくり返し行 うの に都合がよ い か らで ある。
障害巻 が 不安を持つ場 合は,
セ ラ ピス トの体 を患者の骨 盤につ け, 手は前面か ら反対側の骨 盤に 当て る と しっ か り保持できる。288 理学 療 法 学 第 13巻 第4号 写 真
5
プー
ル サ イ ドか ら水に入る障 害 者の手を対 角方 向に軽くひ き
,
前屈 回 旋の促 通をする。
セ ラ ピス トは反 対の 手 を 水に 入っ た障害 者の背部に当て背 臥 位にする。
背臥位で は,S2
付 近の軽い支 持だけでほ と ん どの 障害 者は水に浮 くこ と がで きる。
右へ の 回転 ),
背臥 位になる (前 後の回 転 ) が き わめ て短 時 間に行 わ れ た事になる。
セ ラ ピス ト は障害者の前に立 ち, 頭 部・
体 幹回旋の指 示を与え る と同時に片 方の上肢 を反 対 側 股関節の方 向へ 引き,
前 屈と回旋の促 通をする。
体が 回転し,
水に浮い たら S2 付 近の背 部か ら支 持し背 臥 位にする。
第 6段階:浮 力 以上 で水 申で の大 きな 動 き を経 験し た。
以後,
静止状 態を保つ 学習に入 る が,
静止 状態を保つ 為に は, 障害者 は浮 力に?い て知り自覚し て利 用 する必 要がある。
水中 で水深が S・・
よ り浅い 所で立位を と る時は重力が優位で,
写 真6
プー
ル の 底に座る 浮 力に抗して プー
ル の 底に座ろ うとすると浮い て し まいなかな か 沈 ま ない。
大 量の空 気を 吐 ぎ出す 必 要が あるe 浮力の コ ン ト P一
ルに息を吐 くこ との重 要 性 (例 え ば な ぜ,
臥 位か ら立 位 や 座位に戻る時や 360°
回転する時,
常に水申に息 を 吐 く か) を 自覚で きる。
股 関 節を中心とし た動 きが 体をコ ンF
ロ・
−
7Vする。 し か し第王1胸 椎 (.
TH
l/)以 上の水深で は浮 力が優 位と なり,
頭 部の動 きが体のバ ラン スを コ ン ト卩一
ルする。
こ の状 態は頭部コ ン トロー
ルの促通に も良い。
水 中に体 全 体 を 沈め,
底に座るな どの動 作を通じ浮 力の大 き さ を再 認 識 し,
浮 力に対抗する方 法も身に つ け る (写 真 6)。
第7段 階 :静 的バ ランス左 右, 上下の浮 力 を調 整しバ ラン ス を とった り (写真 7)
,
セ ラ ピス ト の作る乱 流に打ち勝っ て静的 姿勢 を 保 つ 。 座 位,
背 臥 位で の例をこの項の 冒頭で述べた。 こ の 段 階で は障害の程 度に合わせ て実に様々 な事が出 来る。
その一
端を 記 し て み たい。
座 位 姿 勢で右上肢は前に残し た ま ま, 左 上 肢 をgoe 外 転 して空中に出し た とする。 こ の人の左 側で セ ラ ピス トが乱流を作っ た場合,
左 下 肢 筋 及び右側 体 幹 筋の強力な力が必 要と な る。 強い乱 流に も 耐 え られる様 なら両足を閉じ,
体の支 持 面を小さくする と更に筋 力を 必 要 と す る。
こ れ は筋 力 強 化 訓 練に利 用し た例である。
次に 関 節 可 動 域 拡 大 訓練の例 を 上 げる。
座 位の姿勢で一
側 下肢を後へ 伸 展,
内旋し骨盤は水平に保 つ。
体 幹の前 傾を せずに両上肢を前に伸ばし た ま ま空中 に上げると後に伸 ばした下 肢の伸展に力が入る。
こ の人 の前でセ ラピス トが乱 流 を作っ た場合,
バ ラ ン スを保つ 為 更に下
肢の伸展が必 要に な り, 股 屈 筋の伸 長,
及び 下 肢 伸 筋群の筋力 強 化が出 来る。ハ
リ ヴィ ッ ク法の利 点 は,
水の特 性を た くみ に利用し て 自勁 的 な 動 きで関 節 可 動 域の拡 大,
筋 力 強化等 も図 れる事にある。
第8
段階 :水 面 滑 走 障 害 者は 自動 的に泳 ぐ前に他動的に水面を滑走, 移 動 し なが らバ ラ ン スを とる事 を 学ぶ。
他動 的な水面滑 走と は,
セラ ピス ト の作る乱流で障 害 者が水 面を滑る様に移 写 真 7 背 臥 位で静 止 する こ の 障 害 者の場合,
下肢が沈み足 部が底につ いて し ま う。 下 肢を浮かせ る為に,
両上肢を挙上 して い る。 片 麻 痺の為, 痙 性 抑 制 を 目的に両手を組ん で い る。ハ
リ ヴィ ッ ク法 289 写 真 8 水 面滑 走 背 臥 位に浮い た障 吉 者は,
セ ラピス ト の作る乱 流 に引っ 張ら れ, 水面を滑る ように移動する。
セ ラ ピ ス トは障 害 老の頭 部 付近 で乱 流を作 りな が ら後 方に 移 動し ている。
セ ラ ピス トは軽 く指 を 開 き,
手 首の 力 を 抜い て,
手 を 前 後に動かすと乱 流が作 りやすい 。 動 する事で ある。
背 臥 位になっ た障 害 者の頭の下でセ ラ ピス トが乱流 を 作る場 合,
セ ラ ピス トが 移 動 すると乱 流 の出来 る部 分 も移 動 するので,
障害者は乱 流の 部分に吸 い込 まれる様に して,
セ ラ ピス ト の移 動に合 わせ て水 面 を滑っ て来る(写真8)。
常に変 化する乱 流や波にバ ラン スを崩さずに滑る事で静 的なバ ラン ス獲 得を更に強 化 出 来る。
水面滑 走で は体の大 部 分に均一
な 刺 激が加 わ リリ ラッ クスし や すい。
従っ て こ の動 きは,
リ ラ ッ ク スを 目 的と し た訓 練,
治 療に も有 効に使え る。 第 9段 階 :自動 的 な泳ぎ 初め て自分の力で泳 ぐ事を学ぶ。
泳 ぎの型 を問題 とせ ず,
障害 者が 自力で泳ぐ事だけを考え る。一
般に禁忌事 項 が少な く,
容 易 な 泳 ぎは背 泳である。
し か し背 泳で も この段 階で は, 両上肢は体側で力を抜き軽 度の 内・
外転 の動 きをする(写真9
)。
セ ラ ピス トは背臥位の障 害 者の 肩を支持し て,
水面を滑 走させ る。
障 害 者に 上肢だけ,
若しくは下 肢だ けの 動 きをさ せ次第に支持を少な くし 自 力で泳 がせ る。
更に,
上下 肢 を 同 時に動か し て泳 ぐ事を 学習する。
第10段 階 :基 本 的 な 型 平 泳 ぎ,
背 泳,
ク ロー
ル等,
各 種泳法の習得。 お わ りにJ
.
McMillan
は,
1965年か ら1974年に亘 り,
メ ディカ ル セ ンPt
一
及びク リ= ッ ク ヴァ レ ン ス の医 師 及び 理学 療法士と Wat 巳r Research
Project
を作り,
ハ リ ヴィ ッ ク 法の評価及び改 善を図っ t:。
.
障 害 児の レ ク リエー
シ ョ ン が 主 目的であっ たハ リ ヴィ ヅ ク法が積 極 的に リハ
ビリ テ 写 章 9 は じめ て の泳 ぎ 最 も泳 ぎやすい肢 位で泳がせ る のがまず 第一
歩。
し か し,
平泳 ぎ 等,
腹臥 位で の泳 ぎは腰部前彎を増 強させ腰 痛を持つ入に は勧 め られ ない。
障 害 者は背 臥位で上
肢を体側で軽く内・
外転,
下 肢を軽く伸 ば して 同じ く内・
外 転の動 きを し ている。 こ の泳 ぎ方 で は下肢が 沈 む傾向に あ る。
下 肢全体の動き を さぜ ず,
大 腿 を水 面に保た せ,
膝の屈伸,
内 外 旋の動き を させ るとよ い。
(膝 を 屈 曲する時,
両 足 を 開 ぎ, 伸展する時両足を閉じ る。) 力を抜き,
全 身 をリ ラ ッ クスさ せ て泳ぐこ とが重要である。
一
シ ョ ン の治 療・
訓練に使 用さ れ,
片 麻 瘰 患 者に 応 用さ れる よ うにな ったの もこ の 期間に である。ProjectTeam
の評 価で は,
筋 力 強 化,
関節可動 域の拡 大,
一
般 的健康状 態の改善,
痛みの軽減,
痙性の軽 減,
バ ラ ン ス の改 善 及び姿 勢 反応の改 善,
精 神 的順応性の改 善等に効 果がある事 を 示し て い る5}。
精 神 的順 応 性の改 善は,
障 害者が泳ぐ事が 出 来る様になっ た事で 自分の殼 から抜 け 出し て 自信 を持つ。
こ の 自信が陸上で の動 作を 活 発に し,
人 との交 流 をス ムー
ズ にする。
ク リニ ッ ク ヴァ レ ン スではハ リ ヴィッ ク 法 を 霊形 外科 的疾 患,
中 枢神経系疾患 を問わず,
ほ と ん どあら ゆる疾 患に応 用してい る。
症 状に合わせ,
マ ンツー
マ ン,
もし くはグルー
プ 訓練を 選択す る。
とか く無 味 乾 燥になりが ち な訓 練に楽し み を ! そ して障害者に もス ポー
ツの機 会を ! と願っ て稿を終りたい。
参考 文献
1)圦「ater Research Prolect; Developlnent of human
balasce and movement
,
Research nQte No,
31,
2)
,
5)J.
McMill :Water research project Bad Ragaz/Valens 5
.
S弓pte 早ber 1974.
3)」
.
McMillan : The rolc of water in rehabllitationVGIu皿 1;Mhdicalcenter Bad Ragaz /Valens
,
p.
34 4)Wate Res蜘 己h Project ;Development of exercise and movemen ピ water,
Research note No.
4.
S.
.
290
.
ee\asta\
ig13tsgg4P
<Abstract>
'
TheHalliwick
Method
'
-A
Teaching
Swimming
Method
asWell
as PoolMasao TOMITA, RPT
KANAGAWA
REHABILITATIONHOSPITAL
(Klinth
Vdgens
CH-7311 Vdlens,Swit=ertand)
The Halliwick method isa method
for
teachingswimming, and wasdeveloped
by
J.
MCMILLANforhandicapped children, He
began
the workip
1949
at theHALLIWICK
SCHOOL
in
LONDON.
This method
integrated
scintificknowledge
of physiology and hydrodynamics. We can use themethod not only
for
teaching swimmipg,but
alsoior
pool exercise inrehabilitation of various typesof
handicaps.
This
methcd consist of 4 phases and 10 stages.Phase1 Adjustment towater
Mental
adjustment StagelDisengagrnent
Stage2Phase 2
Balance
restoration
Vertical
rotationStage
3Lateralrotation Stage4
Combined rotation Stage s
Upthrust'
(Buoyancy)
Stage 6Phase
3Ihhibitien
of movement
Quiet
balancing
in
onePosition Stage7 Turbulent gliding
Stage8
Phase 4 Facilitationof swirnmingSimple progressin
'
Stage 9Basic movement
'
Stage
10J.
MCMILLAN
studiecl the effectiveness of this method in a loyear research project(1965-v
1974)
in
Bad
Ragaz,
Switzerland.He concluded that the method
is
useful in thefollowin.e
ways:-For
the strengthening of weak muscle groups
-For
increasingrange of movement
-For
improvement
ef general physicalcondition
-For
reduction of pain