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北方の白き少女 Heart of the admiral ID:53652

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Academic year: 2021

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(1)

北方の白き少女 Heart of the admiral

(2)

︻注意事項︼

  この PDFファイル は ﹁ハーメルン﹂ で 掲載 中の作 品を自動的 に P DF化 した も のです 。  小説 の作 者、 ﹁ハーメルン﹂ の 運営者 に無 断 で PDFファイル及 び作 品を引 用の 範囲を超 え る 形で 転載 ・ 改 変 ・ 再配布 ・ 販売 す る こと を禁 じます 。    

すじ

  あ る 海のど 真ん 中に 小 さい 純 白が 現れ た   そ れ は何 処 へ 行 き 、 何 を す る べきなのか  知 ってい る のは 小 さな 勇気・・・       別 サイト での 小説投 稿の経 験 はあ り ますが 、 二 次創作 品 はこ れ が 初 め てです 。   し か も 本 家 が ま だ し た こ と が な い 初 心 者 ?で 〝 艦 隊 こ れ く し ょ ん 〟   すぐさま 資料を購 入し 、 wiki で 調査 す る などして 始め て み まし た 。  菊月 ︵ 偽 ︶ さ ん の活 躍 でこ ん なに影 響受 け る とは 思 いませ ん でした 。  更新 は 不定期 にな り ますが 、更新状況 は活 動 報告で 知ら せます 。

(3)

  目   

  

本 編 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.01 メザメテマッシロ  1 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.02 デアッテドカン  5 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.03 トバシテタスケル  11 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.04 シマデキョテン  20 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.05 シズンジャダメ !! 33 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.06 ツイテコナイデ  49 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.07 ワナデオイカケッコ  67 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.08 タスケタアトシマツ  80 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.09 ダレカウワサシタ ?  98 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.10 ヘンタイハキライ !  114 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.11 ホゴサレテイマス  134 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.12 ナニカキタ・・・アッ !  147 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.13  ここはどこ ?  169 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.14 よん でい る ?  181 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.15 タダイマ !! 196 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No.16 チャクニンシマシタ !  211 番 外編 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No. 05.3 オーイ !  221 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No. 05.6 イタカッタヒ  226 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No. 15.5 ソレハデキナイ !  235 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No. 17 ジュース ?  252 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No. 18 ウィ∼ヒック !  267 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No. 19 ヨビダサレタ  287

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│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No. 20 アイエエエエ !? 306 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  No. 21 カエシテッ !  317 │ │ │ │ │ │ │ │  No. 22 センスイカン ハッケン !  328

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No.01 メザメテマッシロ

   身 体全体で 感 じ 取 った 揺れる感覚。   ま る で プール の水 面 で浮か ん でい るよ うな 心 地 良 さに 、 あ る意識 が 目を覚 ました 。 ︵・・・ん・・・ ?︶   その 意識 が 目を覚 ますと 、 視 界に 日 が 落 ちて 夕闇 の 星 空が 目 に入っ た 。   そ れ は 仰向 け 状 態のまま 、 五感 で 自身 の 状況を確認 す る。顔や胸 の 辺り以外、 身 体の全てが 冷 たさのあ る 水に浸かってい る こと 。 その水 が 波立 つことで 自身 が 揺ら さ れ てい る こと 。 そして 、 その水か ら 潮の 香り が 漂 ってい る ことに 気付 いた 。 ︵・・・・・・ 海 ・・・ ?︶  徐々 に 覚醒 さ れ た 思考 が 身 の 回り の 状況を確認 して 、 そ れ に 対 す る 動 作へと 身 体に 指 示す る。  星 空 を 眺 める顔を持 ち 上 げて 、 頭を右往左往 に 動 かし 、 そこか ら見 え る 周 辺を見回 した 。 ︵ 何に も・・・ ない ・・・・・・ 海 、 だけ ・・・︶  今度 は 身 体全体 を動 かし 、 体 勢を 整え られる か 試み た 。 ︵ !?   す る と 、 そ れ は海 面辺り で 不思議 な 現象を 体 験 す る ことにな る。 ︵ な 、 何こ れ・・・︶  通 常 、 水の 上 には 人間 は 立 てない 。 そ れ はその常 識を知 っていた 。   け れ ど も、 何 気 なく 立 ち 上 が るよ うな 仕草を したことで 、 そ れ は海 面 の 上 に 立 ったのだ 。   何 も 履 い て い な い 素 足 が 海 水 に 少 し 浸 か っ て い る。 そ の 事 実 だ け は 認める しかなかった 。  唐突 な 不思議現象 に 、 そ れ は 目をパチパチ とさせ る。 ︵ん ?︶

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  そ れ は 揺れる 海 面 に 目を向 けたことで 、 よ う や く 自分自身 の 姿を目 にした 。 ﹁・・・・・・・・・ンゥ ?﹂  疑 問の 声を上 げ る と 同 時に 、 その 声 の 違和感 に も気付 いた 。   そ れ は 自身 の 知る 地 声 ではなく 、可愛ら しい幼子の よ うな女 声。   そして ・ ・ ・ 海 面 に映 る自分 の 姿 は 、驚 くほど 真 っ白な 身 体 を した 姿。  身 に着けた ワンピース と ミトン の手 袋も 白く 、 所 々 に 黒 い 装飾 が 付 いてい る。  純 白の 長髪 で 頭 には 鬼 ?の よ うな 三角 形 を した 角 が 二 つあ り、 瞳 は 赤 く光っていた 。 ﹁・・・エッ ?・・・コレッテ・・・﹂   ﹁ナンデ・・・﹂   北方棲姫 ほ っ ぽ う せ い き ︵〝 〟 になって る の ?︶           ︵ 何故 、自分 はこ ん な 姿 になった ん だ ろ う ・・・︶   海 面 に 映 る 自 分 の 姿 を 見 つ め 続 け る 白 き 少 女 。 彼 女 は 夜 が 更 け て も、満月 の光で照 ら さ れ た海のど 真ん 中にずっと佇 ん でいた 。 北方棲姫 ほ っ ぽ う せ い き ︵ どう 見 て も・・・ ・・・ だ よ ね ?︶   ま る で 自分 の 姿 が別物へ 変化 したことに 小 さく 驚 いていた 。   その 理 由は ・・・。 ︵ な ん で 、〝 男 〟 の 自分 が女の子に ?︶     そ れ の本当の 姿。人間 であ り、 20代 の男性だった 。 普 段 は 会 社 勤 め の普 通 の社 会人 だが 、パソコン で 趣 味の ネットゲームを してい る。

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﹃ こ れ ? アイドルゲーム か何か ?﹄   あ る日、 彼は 友人 に 勧められ た ブラウザゲームを始める ことになっ た 。     そ れ が ﹃艦隊 こ れ くし ょん﹄通称:艦 こ れ    始め たばか り でまだそ ん なに 詳 しくはなかったが 、 ゲーム の流 れや 有名 な も のはあ る程度知識 として 取り 入 れ た 。提 督とな り、 艦娘を率 いて 、人類 の敵であ る深 海 棲艦 と戦う シミュレーションゲーム。   そ ん な彼の 目 の前に 、 その 実 物た るも のが 目 に入ってく る。   ﹃北方棲姫﹄通称: ほっぽち ゃん     元は イベント で 出現 した敵側の 深 海 棲艦 の 姫級 と 言われる 存在 。   幼 く 可 愛 い 姿 で 凄 ま じ い 強 敵 と い う ギ ャ ッ プ に よ り 人 気 の 高 い キャラ とな る。 ︵確 かに ・・・傍 か ら見 て も・・・可愛 い ・・・︶   彼 自身 そ れ程やり込ん でいなかったので 、 その存在は 情 報だけ 知 っ ていた 。   その結 果、 今 の 自分自身 がその キャラクター の 容姿 になってい る の だと 瞬 時に 理解 できた 。   そ れ で も 彼にとって 、 唯 一理解 できないことがあった 。   何故 自分 が 艦 こ れ の キャラクター になったのか ?   神 様 の イタズラ か 、気 まぐ れ か ?  転生 か 、憑依 か ?   そ も そ も自分 は 生 きていたのか 、 死 ん でしまったのか ?   その答え を 教えてく れる者 は 、 周 り に 誰も いなかった 。   ﹁・・・・・・ウーーーン・・・﹂   唸 るよ うに 悩む 子 供 の 声を出 して 、 彼 ?はこ れ か ら すべきこと を 模 索し 始める。

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︵ こ う い う 場 合、 何 か と 物 語 に 巻 き 込 ま れ る 主 人 公 が 多 い ん だ け ど ・・・︶  頭脳 は大 人、 身 体は幼子という何 処 かの 少 年 探 偵ではないが 、 彼 ? は慌てて も仕方 ないと 自分自身 に 言 い 聞 かせた 。 ﹁・・・ドコヘ、イコウ ?﹂   幸い 、 深 海 棲艦 としての特 徴 が 生 かさ れ てい る た め、 海 上を立 って 移動 す る のは歩くことと 同 じく ら い簡単だった 。 ︵ ほっぽとして ・・・行 って みる しかない ︶   特 に 方 向 も 決 め ず 、〝 白 き 少 女 〟 と な っ た 彼 は 海 の 上 を 歩 き 始 め る。

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No.02 デアッテドカン

  ﹁・・・フゥ・・・・・・﹂   時 間 にして数十 分程度。  少 女は 通 常の歩 行 だけでなく 、 滑る、 駆 け 足 などで 移動 す る が 、 特 に 変わら ない 移動 だと 知る。 ︵ ・ ・ ・ 深 海 棲艦 というだけあって 、艦娘 と 同 じ よ うに 航行 でき る だけ ?︶   次に 、 彼女は 立 ち止まってか ら四 つ ん這 いにな り、 顔 だけ海中に潜 り込 ませた 。 ﹁オオー !?・・・ミエル !﹂  人 間 だ っ た 時 に 水 中 メ ガ ネ 無 し で 見 え な か っ た 海 中 が 鮮 明 に 見 え た の だ 。夜 間 に 活 動 す る 魚 た ち の 姿 に 言 葉 が 出 な く な る。 さ ら に そ こ で 知 っ た の は 呼 吸 が 問 題 な く 続 い て い る こ と 。深 海 棲 艦 と 言 え る だけあって 、 息 継 ぎ無しで潜 れるら しい 。 こ れ は彼女にとって 嬉 しい ことで も あった 。 ︵暇 が 出 来た ら・・・ 海中散歩とか や って みよ うかな ・・・︶   次 々 と 少 女は 人間 にはできない 能力 に 目覚め ていく 。   そのとき 、 彼女の 顔 に 赤 白い 小 振 り の イカ が ペタッ と 足 か ら 張 り付 いてきた 。 ﹁ンプッ !?   慌てた彼女は海中か ら顔を出 し 、 両手で張 り付 いた イカを引 き剥が す 。 ﹁ン∼∼∼∼ !!  少 し イラ ついた ら しく 、 彼女はその イカを斜め上 に 向 けて 投 げ 飛 ば した 。  投擲 さ れ た イカ 弾は放物 線を描 かず 、 そのまま空の彼 方 へと 飛ん で 行 ってしまう 。 ︵ ち ょ っとびっく り した ・・・︶   張 り付 か れ た 肌 の 部分を 摩 り なが ら、 再 び当て も なく海 上を 歩き 出 した 。

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          ﹁・・・・・・・・・オッ ?﹂   さ ら に数十 分 経った 頃、少 女にとって 初め ての 出会 いが 訪れる。  少 女 が 向 か う 方 向 に 少 し 黒 っ ぽ い も の が い く つ か 見 え た の だ 。 真 っ 暗 な 夜 に も関わら ず 、 そ れ は 近付 くにつ れ て 、 形がはっき り と 見 え るよ うにな る。  一 つは 、 少 女と 同 じ白い 肌を持 つ女性の 姿。ショートヘア に 青 白く 光 る 眼で 、 服装 は 露出度 が 高 い ビキニ姿。 両手には 口付 きの砲 身 があ る黒 い機 械 な も の を持 ってい る。   そ の 周 り に 黒 く 細 長 い 魚 雷 の よ う な 物 体 が 4 体 。 先 程 の ビ キ ニ 姿 の女性 を四方囲むよ うに 泳 いでいた 。 ﹁クチクイキュウ、ト・・・リキュウ ?﹂  少 女の 知識 か ら引 き 出 さ れ た 名称〝駆逐イ級〟 と 〝重巡リ級〟   どち らも定 番でかな り名 の 知れ た 深 海 棲艦 であ る。  人型 の リ級 と周 り の イ級 たちに よる5隻 だけの 艦隊。   何 処 かに 向 かってい るら しく 、 少 女か ら見 て 左 側の 方 へ ゆ っく り と 航行 し 続 けていた 。   そ ん な 艦 隊 に ど う 接 触 す る べ き か 。少 女 は 立 ち 止 ま っ て か ら 考 え た 。 ︵同 じ 深 海 棲艦 だし ・ ・ ・ こち ら は 姫級 という 上 だか ら、友 好 的 かな ?︶   そう判 断 した彼女は 、リ級 たちの 艦隊 へと 徐々 に 接近 していった 。 ﹁ッ !?  艦隊 と 少 女の 間 の 距離 があと 100m近 くになったとき 、 突 然 、 艦 隊 が 航行を 停 め た 。人型 の リ級 が 左 側へ 顔を向 け 、 白き 少 女の 姿を目 視 す る。見られ た 少 女 も びっく り して 再度立 ち止まった 。 ﹁・・・﹂ ﹁・・・エ、エット・・・﹂

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  どう 声を かけ る か 混 乱す る少 女 。   な ん とか 考 えた末に 、 ひ ょ いひ ょ いと 右 手 を 振って み せた 。 ﹁コ、コンニチハ ?﹂ ﹁・・・﹂ ﹁・・・﹂ ﹁・・・ニィィ ♪ ﹂ ﹁ッ !?  少 女の 身 体に戦慄が 走る。 そ れ は 今 まで経 験 したことのない 感覚。  少 女に 対 して 、微笑ん だ リ級 の 顔 はどう み て も〝 歪 ん だ 笑顔〟   ま る で 、 捕 食者 が獲物 を見 つけた 喜 びの 顔 だったか ら だ 。 ﹁ヒッ !?  少 女は本 能 に 従 って 、 右 側へと 転 が り滑る。 その 瞬間、 彼女の居た 海 面 が 爆音 とと も に水 柱 が吹き 上 がった 。 ︵ な 、 な ん で ・・・撃 ってきたの !?   そ れ は先 程 の リ級 が 左腕 の砲 身 で 少 女 を撃 ったか ら であ る。  リ級 の周 り に居た 駆逐イ級も 海 面 か ら顔を出 し 、 口 か ら 砲 身を出 し て 少 女へ照 準を合わ せた 。 ﹁ヒィィ !?  リ 級 を 含 め た 駆 逐 イ 級 た ち の 砲 撃 が 始 ま る。狙 い は 正 確 で は な かったが 、広範囲 で 激 しい も のだった 。  少 女 は 右 往 左 往 と 移 動 し て 回 避 す る。頭 の 中 は す で に 混 乱 状 態 だ が 、 ﹃逃 げ ろ !﹄ という本 能 の 指 示に 従 っていた 。   そ ん な 逃走 す ら読ん でいたのか 、 リ級 の 指 示で 駆逐イ級 たちが 左右 に 移動 し 始める。 あっという 間 に周 りを取り囲 ま れ、 少 女は 逃 げ場 を 失ってしまう 。 ︵ か 、囲 ま れ た !?  キ ョ ロ キ ョ ロ と 見 回 す 少 女 に 、一 体 の 駆 逐 イ 級 が 突 っ 込 ん で い っ た 。 そ れ は 少 女の手前で 飛 び 上 が り、 砲 身を引 っ 込め た 巨 大な 口 で噛 み付 こうとす る。 ﹁アッ・・・﹂ ︵ こ 、 ここで ・・・ 死ぬの ?︶

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 少 女 は 初 め て 味 わ う 絶 望 に 涙 を 流 す 。走 馬 灯 の よ う な 感 覚 で 今 ま での 記憶を鮮明 に 思 い浮かべた 。 ︵ こ ん な ・・・ 女の子になってまで ・・・︶ ︵ しか も・・・同 じ 深 海 棲艦 に ・・・︶ ︵・・・・・・・・・︶ ︵・・・・・・︶ ︵・・・イヤ︶ ︵提 督になって ・・・ 戦いたかったのに ・・・︶ ︵ ここで ・・・ 終 わる な ん て ・・・︶ ﹁ソンナノ・・・イヤダッ !!  少 女 の 怒 っ た 目 が 光 り、 強 く 握 り 締 め た 右 手 で 駆 逐 イ 級 の 鼻 先 を 殴 った 。 ﹁グォ !?  殴られ た 駆逐イ級 の 装 甲にひびが入 り、 数百 メートル 先まで吹き 飛 ぶ 。殴り飛 ばさ れ た 駆逐イ級 は 目 の光 を 失い 、 そのまま物 言わ ぬ 遺骸 となった 。 ﹁ !?  思 わ ぬ 反 撃 で 仲 間 を 失 っ た リ 級 た ち は 再 び 砲 撃 を 開 始 す る。 吹 き 上 が る 水しぶきで 少 女の 怒り がさ ら に ヒートアップ した 。 ﹁チョウシニ・・・ノルナッ !﹂   その 言葉を 発した 直後、 少 女の スカート後ろ の中か ら赤黒 い機 械 の よ うな 蛇 が 出現 した 。   そ れ は 左 側に 小 さ 目 の 口 か らクレーン が 出 て 、 右 側の大き め の 頭 に は 口 だけでなく 、 目 の 部分 に 二門 の砲塔 、 左 側に 取 っ手 、 右 側に 飛行 甲 板 が 付 いていた 。  少 女は 右 手で砲塔の 頭 の 取 っ手 を持 ち 、 駆逐イ級 の 一隻 へ 向 けて発 砲した 。 ﹁ガ・・・﹂  叫 ぶ 暇も なく 、 そ れ は 爆音 とと も に木 端微 塵に吹き 飛ん だ 。  少 女 の 放 っ た 砲 撃 は 、明 ら か に リ 級 た ち の 砲 撃 と は 段 違 い の 轟 音 だった 。

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﹁ッ !!  リ級 が 驚 いてい る隙 に 、 残る二隻 の 駆逐イ級も 砲 撃 さ れる。気付 け ば あ れ だ け い た 艦 隊 が 壊 滅 状 態 と な っ て い た 。追 い 込 ん だ は ず の 獲 物に よ って 、 逆 に手 痛 いしっぺ 返 し を受 けたことに彼女は歯 軋りを立 て る。  少 女と 同 じ よ うに 怒 った リ級 は無 謀 な特攻 を かけた 。   しかし 、少 女の 怒り の 方 がさ ら に格 上 だった 。 ﹁エイッ !﹂  少 女 は 左 側 の 頭 ク レ ー ン を 伸 ば し 投 げ る。リ 級 の 右 腕 の 砲 身 に ク レ ー ン の フ ッ ク が 引 っ か か り、 そ の 身 体 ご と 海 上 か ら 釣 り 上 げ ら れ た 。 ﹁ッ !?   体 勢 が整え られ ず 引 き 寄 せ られるリ級 に 、 少 女は 取 っ手 を離 した 右 手に 力を溜める。   砲 身 で 狙 うことす ら できない リ級 は 、 左腕 で 身を庇 うことしかでき なかった 。 ﹁カエ、レッ !!  少 女の ストレートパンチ が リ級 の 左腕を砕 き 、 鳩 尾まで 衝撃を与 え る。 渾 身 の 一撃を まと も に 受 けた リ級 が 青 い 血を吐 き 、 駆逐イ級より 遥 か 遠 くまで 殴り飛 ばさ れ た 。 ﹁ハァ、ハァ、ハァ、ハァァァ・・・﹂   戦い を 終えた 少 女が 荒 ぶ る 息 を 整え る。  初め て経 験 した戦い 。 命が 刈り取られる感覚 に恐 怖 し 、 理不 尽な死 に 怒りを覚 えた 。  少 女 ・ ・ ・ そして 、 彼にとって も困惑 す る ほどの体 験を してしまう 。 ︵ こ れ が ・・・ 戦い ・・・︶  少 女 は お 尻 辺 り か ら 出 現 し た 武 装 に 目 を 向 け る。右 側 の 砲 塔 と 左 側 の ク レ ー ン。 こ れ と 自 分 自 身 の 異 常 な 力 が な け れ ば 死 ん で い た で あ ろ う 。 何故か 、少 女はそ れ に 向 かって 感謝 した 。 ﹁アリガトウ・・・﹂  少 女の 言葉 が 伝わ ったのか 、 そ れら は 頷 く 仕草を して 、 縮 む かの よ

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うに 消 失した 。   また 一人 となった彼女は海の 向 こうへと歩 みを進める。 ︵ あ れ は ・ ・ ・ 仲間 じ ゃ ない ・ ・ ・ こ れ か ら は 不 用 意 に 近付 かない よ う にし よ う ︶

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No.03 トバシテタスケル

   初め て 深 海 棲艦 との 交 戦 を 終えてか ら お よ そ 一 時 間 が経 過。 ﹁・・・ンー﹂  少 女は未だに当てのない海 を 彷 徨 っていた 。   そ ん な彼女に 新 たな問 題 が発 生 す る。 ﹁・・・・・・オナカ・・・チョット、ヘッタ﹂   どう やら少 女の 身 体には 生 き物と 同 じ よ うに 食 欲があ る そうだ 。   ここで彼女はあ る ことに 疑 問 を持 ち 始める。 ︵艦娘 は 燃料 で 腹を満 たしてたのかな ?・ ・ ・ じ ゃ あ 深 海 棲艦 は 、 何 を 食 べ る ?︶  少 し前に 投 げ 飛 ばした イカ など 、 海 鮮類を食 すか 。 そ れ と も艦娘 と 同 じ よ う に 燃 料 補 給 す る の か 。少 女 は 新 た な 疑 問 を 作 り 出 し て し ま う 。 ﹁ナマ・・・ナマハ、コワイ・・・・・・・・・ン ?﹂   その時 、少 女の 耳 にあ る音 が入ってきた 。   大 気 を 揺 る が す 砲 撃 し た 際 の 音。リ 級 と の 戦 い で 聞 き 覚 え た あ の 砲 撃音 がどこか ら と も なく 聞 こえてきたのだ 。 ﹁ドッチ ?・・・アッチ ?﹂  少 女は ミトン 手 袋 の両手 を耳 の横に当てて 、 音 のす る方角を探 し 始 める。   す る と 、 正 面 の 斜め右 側か ら 砲 撃音 が 響 いてい る ことに 気付 いた 。 ︵誰 か戦ってい るん だ よ ね ?・・・も しかした ら・・・︶  少 女はすぐに 音 のす る方向 へ 走り出 す 。 ﹁カンムスニ・・・アエル ?﹂            月明 か り で照 ら さ れ たあ る 海 域 にて 、 6人 の 艦娘 が 深 海 棲艦 との戦

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闘を行 っていた 。   しかし 、 旗艦 であ る軽 空 母 が大破し 、 そ れを庇 いなが ら の 不 利な戦 闘。   止 む 無く 撤退 す る ことになったが 、 相 手の 深 海 棲艦 たちが 追撃を し てきたのだ 。   彼女たちは 必 死で敵の 追 手か ら逃れよ うとしていた 。 ﹁ こ れ はち ょ っち 、ピンチ すぎ や・・・﹂ ﹁龍驤 !  そ ん な弱 気 になっち ゃ駄目よ ぉ !﹂ ﹁響 ! 電 !  そっちに イ級 が 2隻行 った わ !﹂ ﹁了解﹂ ﹁魚雷装 填です !﹂ ﹁ ここまで 追 い 詰められる とはね ・・・﹂  旗艦 であ る龍驤 の 左 側か ら肩を貸 す 雷。   その周 りを暁、 響、 電、 時 雨 の 駆逐艦 たちが 向 かってく る 敵 を迎撃 す る。   本来 、 彼女 ら は 遠征 の帰 還途 中であ り、 いきな り後方 か ら の 魚雷 に よる不意 打ち を さ れ た 。   そ れを まと も に 受 けた 龍驤 は大破し 、自力 での 航行 が 不能 とな る。  魚雷を 放った潜水 カ級 は 、 響 に よる爆雷投下 で 速や かに 撃沈 さ れ た が 、 さ ら な る追 手が や ってく る。 ﹁ まずいね ・・・後ろ か ら3隻も 来て る﹂   時 雨 が 後方 に 目を向 けてい る と 、 さ ら に 3隻 の影が 見 えてく る。 ﹁ くっ 、 ご めん。ウチ が 油断 したせいで ・・・﹂ ﹁ あなたのせいじ ゃ ない わ !  ほ ら、 しっか り 捕まって !﹂  自ら の失態だと 言 う 龍驤 に 励 ましの 言葉を 放つ 雷。 ﹁雷 の 言 うとお りよ。 さぁ 、 全 員生 きて帰 るわよ !﹂  暁 がそう 言 い放つ も、 彼女 ら の 後方 にい る3隻 の 内、 あ る1隻 が絶 望を吐 き 出 し 始める。      

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      あ れ か ら 白き 少 女は 小腹 が空いたこと も あ り、 航行速度 が 落 ちてい た 。 そ れ で も音 のあ る方向 へ 足を動 かし 続 け る。 ﹁カンムス、アエル ♪  アエル ♪ ﹂  以 前の 姿 だった時と 違 い 、 彼女は 目 の前で本物の 艦娘 と 会 え る こと に 嬉 しくなっていた 。 ﹁カンムス、アエタラ・・・・・・アエタラ ?﹂   そこで 少 女はあ る ことに 気付 く 。 ︵今、私 は ・ ・ ・ 深 海 棲艦 ・ ・ ・ しか も 格 上 の 姫級 ・ ・ ・ も し 艦娘 と 対 面 した ら・・・︶ ﹃ し 、深 海 棲艦 !? ﹃ 敵 よ ! 撃 って !﹄ ﹃撃滅 !﹄ ﹃サーチアンドデストロイ なのです !﹄   彼女の 脳裏 に 最悪 の結末が浮かび 上 が り、 あ れ だけ 心 が弾 ん でいた 歩 みを 止 め てしまう 。   ついさっきは 、同族 なはずの 深 海 棲艦 たちに攻 撃 さ れ たばか り。   でき れ ば 、憧れ の 艦娘 たちにまで敵 対 さ れ たくなかった 。 ﹁ウーーーン﹂   彼 女 は 、 何 と か 自 分 の 姿 が 見 つ か ら ず に 艦 娘 と 会 え る 方 法 を 考 え た 。 ︵ 何かないか ・・・・・ う ん ?︶   そのとき 、 少 女は 自身 が 纏 う ワンピース の ポケット の存在に 気付 い た 。 ふ と も も よ り 上 辺 り に あ る 左 右 の ポ ケ ッ ト。 何 も 入 っ て な さ そ うに 見 え る が 、 彼女は 右 側 ポケット に手 を 入 れ て み た 。 ︵・・・ん !?   その ポケット は入 れ た 瞬間 か ら不自 然だった 。 まず 、 肌 との 間 はそ ん な に 無 い は ず が 、 奥 深 く 入 れ て も 自 身 の 肌 に 届 か な か っ た 。 そ し て 、 弄 ってい る うちに 、 自身 の手 よりも 大きい 謎 の物体 を掴ん でしま う 。

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︵ こ れ、 なに ?︶  少 女は 躊躇 なくその物体 を引 っ張 り出 す 。  出 て き た の は 手 の ひ ら よ り 大 き い 黒 い 球 体 の よ う な も の 。 猫 耳 み た い な と ん が り が 二 つ あ り、少 し 大 き め の 歯 が 剥 き 出 し の 口 も あ っ た 。 ﹁ミャ ?﹂ ﹁フエッ !?  少 女はその物体が ネコ の よ うな 鳴 き 声を出 したことで 、 驚 きの余 り に そ れ か ら 手 を 離 し て し ま う 。 と こ ろ が そ れ は 真 下 へ 落 下 す る こ と なく 、少 女の 目 の前で浮 遊 し 始め た 。謎 の 球 体に彼女は 唖 然とす る。 ﹁ミャ !﹂ ﹁・・・・・・エッ ?﹂   そ れ の 言葉 は 解ら ないが 、 ま る で ﹃任 せ ろ !﹄ み たいな 仕草を見 せ てく る。 ここで彼女はあ る こと を思 い 出 す 。  北 方 棲 姫 の 姿 を 調 べ た と き に 見 つ け た も の 。 彼 女 の 周 り で 浮 遊 す る黒 い 球 体 ら しき も の 。 そ れ は ネコヤキ さ ん などと 言われ、 艦娘 の扱 う 艦載 機と 同 じ よ うに 運 用さ れ てい るら しい 。 ﹁モシカシテ・・・ミテキテ、クレルノ ?﹂ ﹁ミャ !﹂  自分 の 代わり に 見 てきてく れる のは 嬉 しかったが 、 そ れ だと 少 女 自 身 が 視る ことができない 。 彼女は 少 し 残念 そうに 目を瞑る と 、 いきな り自分自身 の 姿 が 目 に映った 。 ﹁エエッ !? ﹁ミャ ?﹂  少 女が慌てて 目を開 け る と 、黒 い 球 体が居 る視 界に戻 る。 ︵ こ れ って 、も しかして ・・・︶   彼女はあ る ことに 気付 き 、 目を瞑 ってか ら目 の前にい る黒 い 球 体に 意識を集 中させた 。   す る と 、 また 同 じ よ うに 自身 の 視 界に 自分 の 姿 が映ったのだ 。 ︵視 界 を 共 有 でき る ?︶   さ ら に 右 と 左 へ 向 いてく れる か 思 い浮かべ る と 、 対面 に映 る自分 の

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姿 の 右 側か ら左 側へと 視 界が 移動 す る。 ﹁コレデ、ミルノ ?﹂ ﹁ミャ !﹂   こ れ に よ って 、 問 題 の 一 つが 解 決した 少 女は 目を開 けて 、 黒 い 球 体 を 両手で支え 持 った 。 ﹁ジャア !・・・エート・・・﹂ ﹁ミャ ?﹂ ﹁イッテキテ ! タマ !﹂ ﹁ミャアアア !!   即席で 黒 い 球 体に 名付 け る とと も に 、 少 女はそ れを斜め上 に 向 けて 投 げ 飛 ばす 。   彼女は 黒 い 球 体が 飛ん で 行 ったの を確認 し 、 目を瞑 ってか ら視 界 を 共 有 し 始め た 。 ︵ すごい ・・・︶   そ れ はま る で 鳥 の 視 界 を見 てい る かの よ うな 、 海 よりも高 く 飛行 す る 光景 。   しば ら くその光景に 見惚れる 彼女に 、 あ る 海 上 の 一瞬 だけ灯った光 が 目 に入った 。 ︵ あっ ・・・ あ れ かな ?︶ ﹃モウスコシ、ミエルトコロマデ、イッテ !﹄ ﹁ミャ !﹂  少 女の 指 示で タマ が 返事 し 、 光が 見 えた場所まで 飛ん でいく 。     ﹃アレハ・・・﹄  少 女が 目撃 したその光景に 、期待 した 艦娘 の 姿 が映っていた 。  見通 しの 悪 い 夜間 に 、 後方 か ら迫 ってく る深 海 棲艦 たちと戦う 6人 の 艦娘 たち 。 ︵確 か 、電 と ・・・ボロボロ な 状 態なのは 龍驤 だっけ ?︶   彼女の 記憶 した 知識 では 、 残念 なが ら二人 しか 名 前が 思 い浮かばな かった 。

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 他 の 艦娘 の 名 前 を思 い 出 そうとしてい る と 、 事 態が急 変 す る ことに 気付 く 。  艦娘 たち を追 いかけ る3隻 の 深 海 棲艦。   その 内 の 一 番 後ろ にい る1隻 が 巨 大な 口 か ら 何か を飛 ばし 始める。 ︵ まさか ・・・ 空 母ヲ級 ?  で も 女の 人 じ ゃ ない 。 別の タイプ ?︶   彼女が 知ら ない 艦 種 。   そ れ は 軽 母 ヌ 級 と 言 わ れ る 艦 載 機 を 飛 ば し て 航 空 攻 撃 を 行 う 深 海 棲艦。   前に居 る2隻 は 馴染み の 駆逐イ級 たちだった 。  口 か ら飛 ばさ れ た 6 機の 艦載 機が 艦娘 の 上 空へと 向 かっていく 。   その 様 子 を見 ていた 少 女はすぐに タマ へあ る指 示 を飛 ばした 。 ﹃タマ ! アレ、オトシテ !! ﹁ミャ !!     ﹁対 空 電探 に 感 あ り !?   時 雨 の 言葉 に 、 暁 たちが 青 ざ める。 彼女 ら の唯 一 の 対 空手 段 は 龍驤 の 艦 載 機 し か な か っ た か ら だ 。 し か し 、 彼 女 が 大 破 し て し ま っ た 以 上、 敵の 艦載 機への 対抗 手 段 は 限られ てしまう 。 ﹁ 時 雨 !  本当なの !?  嘘 であってほしいと 願 う 暁 に 、 時 雨 は無 情 な答え を出 す 。 ﹁ 数は六 。も うすぐ 僕 たちの 上 空に や ってく るよ﹂ ﹁ そ ん な ・・・﹂  電 が 不安 の 言葉を漏ら す中 、暁 と 響 が 上 空へ砲 身を向 けた 。 ﹁ こうなった ら 何が何で も撃 ち 落 として やるわ !﹂ ﹁暁、 手 伝 う よ﹂ ﹁ あ 、 あか ん ! 皆逃 げ るんや ! ウチ が 囮 に ・・・﹂ ﹁ だ か ら 駄 目 っ て 言 っ て る で し ょ う が !  何 が 何 で も 連 れ て 帰 る わ !﹂  雷 が 龍驤 の 提 案 を 否 定 し 、 彼女の 腕を 強く 握り締める。   時 雨 と 電も 敵機のい る真 っ 暗 な空へ主砲 を構 えた 。

(21)

﹁ 来 るよ !﹂   時 雨 がそう 言 った 瞬間、 彼女の 電探 にさ ら な る反応 が 出現 す る。   そ れ はたった 一 機の 艦載 機 ら しき も の 。 け れ ど も、 追 手とは 違 う 右 側の 方向 か らや ってきた 。 ﹁ なっ !? 二 時の 方向 か ら艦載 機 !? ﹁ ち ょ っと 、 まだ来 る の !?  暁 の 質 問に彼女は答え られ なかった 。 ︵ 数は 1・・・ い や、 こ れ は ・・・︶   何故な ら、 そ れ は 自分 たち を 攻 撃 し よ うとす る複 数の敵機に 向 かっ ていたか ら だ 。     ﹃タマ、キジュウハッシャ !﹄ ﹁ミャ !﹂  タマ の 口 の中か ら銃 弾が 連続 で発 射 さ れ、 菱 形に 近 い 黒 い 艦載 機た ち が 次 々 と 撃 ち 落 と さ れ て い く 。 た っ た 数 秒 で 全 機 が タ マ の 容 赦 な い 射撃 で 爆 散した 。 ﹁嘘・・・ 敵機が全 滅 した ?﹂ ﹁ な 、 何が 、 どうなって る の よ !? ﹁ガァァァ !?   時 雨や暁 だけでなく 、 出 した全て を落 とさ れ た 軽母ヌ級 です ら驚 き の 声を上 げ る。  再度、 新 たな 艦載 機 を 発 艦 させ よ うとす る が 、 いち 早 く 気付 いた 少 女に先手 を取られ てしまう 。 ﹃ツギハ、バクダンオトス !﹄ ﹁ミャ !﹂  ヌ 級 た ち の 上 空 へ 向 か う タ マ の 口 か ら 真 っ 黒 な 爆 弾 が 出 現 す る。 彼 ら の手前 辺り でそ れ は バラバラ と 撒 き 吐 か れ、 軽母ヌ級 に 降り注 が れ た 。   次 々 と 落 ちてきた 爆 弾が 炸裂 し 、 ヌ級 の 頭 が 粉々 に吹き 飛 ばさ れ て しまう 。

(22)

 駆逐イ級 たち も いくつかの 爆 弾の 被害 に 遭 い 、 煙 を上 げなが ら逃 げ 去 った 。 ﹁ ﹁ ﹁・・・・・・﹂ ﹂ ﹂  目 の前で 起 きた光景に 、艦娘 たちは 言葉を 失う 。  突如現れ た 謎 の 艦載 機が敵の 航 空機 を 全 滅 させ 、 さ ら に 追 手であ る 空 母 たちに大打 撃を与 えたか ら だ 。 ︵助 けてく れ たの ?・・・ そ 、 そ れより、 こ れ は好機だね ︶  静 かになった海で佇 むも、 いつ敵が来 る か 分 か ら ない 状 態のままで 居 るわ けにはいかなかった 。 ﹁今 の 内 だ よ。早 くこの海 域 か ら離脱 し よ う ﹂   いち 早 く 行動を開始 した時 雨 が 電探 で索敵しなが ら、 まだ 動 かない 艦娘 たちに 離脱準備を促 す 。 ﹁ そ 、 そうね 。雷、龍驤、動 け る ?﹂ ﹁ 問 題 ない わ、暁﹂ ﹁ ち ょ っち 疲れ たけど 、 まだいけ るわ・・・﹂ ﹁電も 手 伝 うのです ﹂  電 が 雷 と は 反 対 側 で あ る 龍 驤 の 右 手 を 持 っ て 肩 を 貸 し た 。暁 を 先 頭 に 、龍驤を 支え る二人 と 、 その 後方 に 響、殿 が時 雨 とな る。 ﹁・・・﹂ ﹁・・・ 時 雨、 どうしたの ?﹂ ﹁ 何で も ない よ﹂  響 に呼ば れ た時 雨 はずっと 後方を気 にしていた 。   あの 謎 の 艦載 機が敵 を 強 襲 した 後、 しば ら く 遠 くの 方 で留ま り、 そ れ か ら すぐに 消 え 去 ったこと 。   そのことは唯 一 彼女だけが 知 っていた 。     ﹁・・・アレガ・・・カンムス・・・﹂  タマ の 視 界 を見 終えた 少 女は 目を輝 かせていた 。 ﹁カンムス・・・ホンモノ・・・スゴイ !﹂  自分自身 が や ったことの 凄 さに 気付 かず 、 彼女は海 上 で ピョンピョ

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ン と 跳 ねて 喜ん でいた 。 ︵ 本当に 、私・・・ゲーム の 世 界へ来ち ゃ った ん だ ・・・︶  少 女が 以 前の 姿 で 見 てきた 記憶 の中には 、 物 語 に 現実 として入 り込 ん だ主 人 公の 話 があった 。架 空の も のばか り で 、 現実 に 起 き る ことは まずあ り えないはずであ る。   とこ ろ が 、 先 程 の 艦娘 の 姿を見 たことで 、 少 女は別 世 界へ や って来 たことに 確信 した 。  興 奮が 冷め ないまま 、新 たに 会 う 艦娘 に 期待 す る少 女 。 ﹁モット、チガウバショニ、イケバ・・・タクサン、アエルカナ ?﹂   戻ってきた タマを右ポケット に 仕舞 い 込ん でか ら、 再 び 夜 の海 を 歩 き 出 す 。

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No.04 シマデキョテン

   月 の光で照 ら さ れる夜 の海 上。   そこへ 真 っ白い素 足 が ゆ っく り と 現れ、 踏 ま れ た場所か ら荒 い 波紋 が発 生 す る。 ﹁・・・ツカレタ・・・﹂  今 まで元 気 だったはずの 少 女に 疲労 の 色 が 見 えてく る。     あ れ か ら 彼 女 は ず っ と 歩 き 続 け た 後、 ま た も 深 海 棲 艦 か ら 襲 わ れ た 。  少 女か ら見 て 、 そ れ は 駆逐イ級 の 一 つ 目バージョン の 深 海 棲艦 だと 思われ た 。  実際 は 駆逐 の 一 つで ハ級 と呼ば れる深 海 棲艦。   数は 6隻 と 多 くな り、 そ れら は砲 撃 だけでなく 、 魚雷 まで放ってき た 。 ﹁コノ・・・カエレッ !﹂  少 女は リ級 たちとの戦 闘 で 使 った 艤装を取り出 し 、 砲塔 付 きの 頭 で 砲 撃 し 始める。   そ ん な戦 闘 中に彼女はあ る 問 題 に 直面 した 。 ﹁テイッ !・・・・・・アレ ?﹂  逃 げ 去る最後 の 6隻目を狙 い 、 撃 ったつ もり がいつまで経って も 砲 身 か ら 弾が発 射 さ れ なかった 。少 女が砲塔の 頭 に 目を向 け る と 、 そ れ は息 切れ の よ うな 仕草を していた 。 ﹁ホウダン、ナクナッタ ?﹂   彼女の問いに砲塔の 頭 が 頷 く 。  仕方 なく 最後 の敵 を見逃 し 、再 び 夜 の 航行を続 け る。       そ れ か ら 数時 間 経った 頃、少 女にとって 一 番の問 題 が発 生 した 。 ﹁・・・・・・オナカ、ヘッタ・・・﹂   その空 腹感 は彼女の 身 体に影 響 が 出 ていた 。

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  彼女の 航行速度 が みるみる落 ちていく 。  初 め は 最 高 速 度 の 走 り か ら 最 低 速 度 の 歩 き ま で 自 在 に 移 動 可 能 だった 。   そ れ が 今 では 最 低 速度 の歩きしかできない 状 態に 陥 ってい る。 ︵ 何 処 か ・・・休める 場所とかないかな ?︶           ﹁・・・・・・ンゥ ?﹂   しば ら く 重 い 足取り で 進ん でいた 少 女の 目 に 小 さな 島 影が映 る。   彼 女 は 右 手 で 両 目 を 擦 り、夜 の 闇 に 浮 か ぶ 幻 で な い こ と を 確 認 し た 。 ﹁イッテミヨウ・・・﹂   そのまま 島 影に 向 かって 少 女は ゆ っく り と 進ん だ 。  や がて 、 はっき り と 島 全体が 見 えてく る。  砂 浜に 囲 ま れ、 背 の 高 い木 々 が 生 い 茂り、 前 方 か ら見る と 島 全体が 平べったい 饅頭 の形に 見 えた 。 ︵や っと ・・・陸 地 を見 つけた ・・・ あっ !︶  砂 浜へ 足を付 けた 少 女の 目 にあ るも のが 釘付 けとな る。   そ れ は南 国 などに 自生 す る植 物の 一 種で 、 そ れ の 実 は 食料 として扱 われ ていた 。 ﹁ヤシノミ !!  少 女 は 駆 け 足 で ヤ シ の 木 に 近 付 く 。 そ の 手 前 で 立 ち 止 ま り、右 ポ ケット か らタマを取り出 した 。 ﹁タマ、アレ、ウチオトシテ﹂ ﹁ミャ !﹂  少 女の 背丈 では届かないた め、艦載 機の タマ で 採取 し よ うとす る。  実 の根本 辺り に来た タマ は 、口 か ら銃 弾 を一 発放った 。  狙 い 通り に 実 の支えが失い 、 そ れ は 少 女の元へと 落 ちていく 。

(26)

﹁ヤッタ !・・・アイタッ !?  受 け止 めよ うと両手 を差 し 出 すが 、 実 は 少 女の 額 に 直撃 した 。 そ れ 程痛 くはなかった ら しく 、左 手で 額を 摩 り なが らヤシ の 実を拾 う 。 ﹁ムゥゥゥ・・・﹂ ﹁ミャ ?﹂  心配 そうに 見 つ めるタマを 余所に 、 少 女は ヤシ の 実を どう割 ろ うか 考 えた 。 ﹁ウーーーン・・・﹂ ﹁・・・﹂ ﹁タマ、カジレル ?﹂ ﹁ミャ !﹂   結局 、 も う 一度タマ に 頼る ことにな り、 その大きな 口 で ヤシ の 実を 齧り切る。  実 の 上部分 が噛 み切られ て 、 果肉 と 果 汁がたっぷ り 入った中 身 が 見 え るよ うになった 。  少 女は 口を付 けて 、果 汁 を飲み始める。 ﹁ン・・・ンクッ、ンクッ、ンクッ、ンクッ・・・プフゥ∼ ♪ ﹂   数時 間 振 り の 喉 の潤い 。 そ れ と 同 時に 少 女の 疲労 が 少 し 治 ま り、 空 腹も少量緩和 さ れ た 。 ﹁タマ、モットオトシテキテ﹂ ﹁ミャ !﹂   そうお 願 いさ れ た タマ は 近 場の ヤシ の木に 向 かい 、 実を 次 々 と 撃 ち 落 としていく 。  実 がいくつか 落 とさ れる間、 少 女は 砂 浜へあ るも の を探 しに 向 かっ た 。 ﹁・・・・・・アッタ﹂  少 女 が 見 つ け た も の 。 そ れ は 砂 浜 に 打 ち 上 げ ら れ た 貝 殻 だ っ た 。 彼女はそ れを 海水で十 分 に 洗 った 後、 その 貝殻をスプーン代わり にし て 、ヤシ の 実 の 果肉を食 べ 始める。 ﹁ウ∼ン、ナタデココアジ・・・﹂   その 言葉 の 原 材 料 であ る果肉を食 べてい る と 、 実を落 としに 行 った

(27)

タマ が戻ってきた 。 ﹁ミャ !﹂ ﹁ン・・・タベテカラ﹂  少 女は 食 べた 実を砂 浜に 埋め て 、 落 とさ れ た ヤシ の 実を拾 いに 向 か う 。     数 分後、一 か所に 集められ た ヤシ の 実 は山積 み になっていた 。 ︵ ち ょ っと 多 いかな ?︶  少 女は先 程 の 一個 で 心身 の 疲れ が 落 ち着き 、 続 けて 食 すつ もり はな かった 。   だ が 、 こ れ だ け 拾 い 集 め た 実 を こ の ま ま 放 っ て お く こ と も で き な かった 。 ﹁アッ・・・ソウダ﹂   ふと彼女はあ る こと を思 い 出 す 。   異次元の よ うな 右ポケット に入っていた タマ のこと 。  も しかした ら と 思 い 、 左 側の ポケット に 左 手 を突 っ 込ん で 弄 って み た 。 ︵ あ れ ?・・・︶   そ れ は 右 側と 同 じ よ うにかな り 奥 深 く手が入 るも、 タマ の よ うに何 かが入っていなかった 。   空っぽであ る こと 確認 し 、少 女は ヤシ の 実を一個 手に 取る。 ︵タマ と 同 じく ら いな ら・・・ 入 る かな ?︶   彼女は 左ポケット に ヤシ の 実を 恐 る 恐 る近付 けた 。   す る と 、ス ポ ッ と ま る で 消 失 す る か の よ う に 実 が ポ ケ ッ ト の 中 に 入っていった 。 ﹁オオー・・・﹂  試 しに 少 女が も う 一個 入 る か や って みる と 、 同 じ よ うに吸い 込 ま れ ていく 。   そ ん な ギミック に 面 白くなったのか 、 次 々 と 実をポケット に入 れ て い っ た 。気 付 け ば 少 女 の 前 に あ っ た 山 積 み の ヤ シ の 実 が 全 て 消 え て いた 。

(28)

︵ じ ゃ あ 、 こ れも・・・︶  最後 に スプーン代わり の 貝殻を 入 れ て みる。  や は り 異次元な ポケットら しく 、 少 女の 身 体にそ れ ほど 重量 が 感 じ られ なかった 。 ︵取り出 しは ・・・ ?︶  今度 は入 れ た も の を取り出 せ る か 確認 し 始める。 ︵ えっと ・・・ヤシ の 実 は ・・・ あった !︶  少 女は 一個 の ヤシ の 実を取り出 し 、 右 手で 持 ちなが ら 空いてい る左 手で 左ポケットを探る。 ︵今度 は 貝殻・・・ おっ ?︶  最 後 に 入 れ た 貝 殻 を 思 い 浮 か べ た 瞬 間、 そ れ は す ぐ に 手 元 に 現 れ、 即 座 に 取り出 すことが  出 来た 。 ︵思 い浮かべた ら取り出 せ る ?︶  某ドラ 猫 ロボット の ポケットより便 利に 思 えてしまうほど 、 謎 すぎ る 機 能 であ る。 ﹁チョット、ミテマワロウカナ ?﹂  少 女は 取り出 した も のと タマをポケット に 仕舞 い 込ん でか ら、 島 の 周 り にあ る 海 岸を 歩き 始め た 。           ﹁・・・・・・オオー﹂  少 女が 島を反 時 計回り に歩いてい る と 、 島 の中 心 へと流 れる 入 り 江 の入 口を 発 見 した 。   海水でできた 道 は 曲 が り くねってい る た め、 その先 を見る ことがで きなかった 。 ﹁ナニカ、アルノ ?﹂   彼女は 島 の 内部 へ流 れる その海 面を 歩き 始める。

(29)

    数 分も しない 内 に 、少 女は 島 の中 心ら しき場所へと や って来た 。   そこはま る で 島 の シークレットビーチ の よ うな 静 かな場所だった 。   そ ん な場所に 不釣り合 いの 〝モノ〟 がそこにはあった 。 ﹁・・・フネ ?﹂   そ れ はただの 船 ではなく 、 大 量 の物 資を輸送 でき る貨 物 船 だった 。   かな り の大 型船ら しく 、 少 女が 見上 げて も その全体 を見る ことがで きない 。   そ れ はま る で 砂 浜に打ち 上 げ られ たかの よ うに 、 船 の先 頭 か ら島 の 奥 深 くへと乗 り上 げていた 。 ﹁タマ、ウエカラミテ﹂ ﹁ミャ !﹂  再 び 取り出 した タマを投擲 発 艦 させて 、 上 空か ら その 様 子 を確認 す る。  少 女の居 るビーチ か ら は 船 の 後ろ が 見 えていた 。 しかし 、 その 他 の 船 体 は 高 い 木 々 に よ っ て 隠 さ れ て い る。真 上 や 島 の 周 り か ら も 見 え ない 状 態だった 。   戻ってきた タマ とと も に 、少 女はその 船 に 近付 いて 行 った 。  船 の 下部 はあ る程度埋 まっていたが 、 そ れ で も 甲 板 へは 上 が れ ない 高 さであ る。 ﹁タマ﹂ ﹁ミャ ?﹂ ﹁ワタシヲ、モチアゲラレル ?﹂ ﹁ミャ !?・・・・・・ミャ !﹂   彼女の 願 いに 、タマ は 一瞬 戸 惑 うが 了承 した 。   両手で タマ の 左右を挟み込むよ うに 掴み、 少 女の 身 体が地 面 か ら離 れ た 。 ﹁ガンバレ、タマ﹂ ﹁ミャアアア !﹂  タマ の 必 死の 頑 張 り で 少 女は 船 の 船 橋の 真後ろ へと や って来 る。 ﹁ヨット・・・ナカニ、ハイレルカナ ?﹂

(30)

  彼女は 近 場にあった 鉄 の扉 を開 けて 、船 の 内部 へと入っていった 。   入ってすぐに 船室や調理室、備品 だ ら けの 部 屋があった 。   あ る程度埃 が 溜 まってい る た め、誰も いないことは 明 白であ る。   次に 、 下 へと 向 かう 階段を下り ていくと 、 〝貨 物 室〟 と 書 か れ た 少 し大き め の 引 き戸があった 。  鉄製 で 重 そうな扉だったが 、少 女の 持 つ怪 力 で簡単に 開 け られ た 。 ﹁・・・・・・・・・・・・ウワーーーーーー !?   そこは 少 女にとって 、目を輝 かせ る ほどの光景だった 。 ﹁コレゼンブ・・・シザイ !?   この 船 が 運ん でいた物 資 の 保管 さ れ ていた場所 。   そこにあったのは 、 少 女の 以 前の 記憶 に 覚 えのあ る 形の も のばか り だった 。  燃料 と 書 か れ た 緑色 の ドラム缶。  銀色 に 輝 く 鉄 の 延 べ 棒 が入った木 箱。  重 そうな 黄銅色 の砲弾が 収納 さ れ た 赤茶色 の弾 薬箱。   木 箱 か ら零れ落 ちてい る赤 灰 色 の 鉱石。 ﹃復修﹄ と 書 か れ た 蓋 の 付 いた 黄緑色 の バケツ。   ど れも艦娘 にとって大 事 な も のであ り、 大半が 建造、 開 発 、 補 給 、 修 理 に 使われ てい る資源 物 。 ﹁コンナニ、イッパイ・・・﹂  少 女は中央の 通路 に 沿 って歩き 、置 か れ た 資 材 を見 て 回る。   奥の 方 に も同 じ よ うな 巨 大な扉があったが 、 その先 も同 じ よ うに 資 材がず らり と並 ん でいた 。 ︵貨 物 船 な ら・・・ この先 も同 じ よ うな 構造 になって るよ ね ?︶  少 女はさ ら に奥へと 向 かうこと を 止 め、 扉の 近 くにあった木 箱を開 けて みる。   その中には 赤 灰 色 の 鉱石 が 沢 山入っていた 。  右 手で 鉱石 の 一個を 手に 取り、 まじまじと 見 つ める。 ﹁エート、ボー・・・ナンダッケ ?﹂  少 女は 鉱石 の 名称を思 い 出 そうとす るも、 なかなか 記憶 の中か ら思 い 出 せなかった 。

(31)

﹁ウーン・・・イイヤ。〝アカギノエサ〟ニシヨウ﹂   結局 、解ら ず 仕舞 いとな り、適 当な 名を つけてしまう 。      同 時刻 、 どこかの 鎮守府 の 営倉。 ﹁ はっ ! 誰 かが 私 にご 飯を く れるよ うな 気 が ・・・﹂ ﹁明日 まで何 も食 べさせない 予定 です よ、赤城 さ ん﹂ ﹁ そ ん な ∼ !﹂  営倉内 にぐ る ぐ る巻 きで正 座 してい る赤城 へ 、 通り掛 かった 加賀 が 無 表情 で告げ る。   彼女の 罪状 は 、 遠征 の戦利 品 であ る3箱 の ボーキサイトを 無 断 で全 て 食 したこと 。     ﹁オイシイ、ノカナ ?﹂  少 女は空 母 の 艦娘 たちがこの 鉱石を食 べ るイメージを思 い 出 す 。  自分自身も艦載 機 を 扱う 深 海 棲艦。 な ら食 べ られる と 予想 し 、 不 用 心 のまま 口 にした 。 ﹁アム・・・ッ !?・・・・・・モグモグ・・・﹂   こ こ で も 自 身 の 不 思 議 に 直 面 し た 。石 こ ろ 並 み に 硬 い 鉱 石 が 歯 で 噛 み砕 けたのであ る。  鉱石 は 徐々 に細かくなっていき 、 最 終 的 に 少 女の 口 の中で 溶 け るよ うに 消 失した 。 ﹁・・・・・・ショッパイ﹂   彼女が味 わ った 食感。例 え る な ら ば 、 塩の塊 を食 べた よ うな も ので あ る。  注意 : ボーキサイト には塵 肺 という 肺疾患 にな る人 体に 有害 な 粉 塵 があ り ます 。     決して 食 べてはいけませ ん。 ︵ こ れ が 美 味しいのだ ろ うか ・・・ん ?︶  少 女 の 右 ポ ケ ッ ト が も ぞ も ぞ と 蠢 き だ す 。タ マ が 出 た が っ て い る

(32)

のだ ろ うかと 思 い 、ポケット に手 を 入 れよ うとした 。   す る と 、 入 れる直 前で ポケット か らタマ と別の 黒 い 球 体が 二 つ 飛 び 出 してく る。 ﹁エエッ !? ﹁ミャ !﹂ ﹁ミャフ !﹂ ﹁ミ゛ャ !﹂ ﹁・・・フ、フエタ ?﹂   その 二 つは タマ と 同 じ 姿 だが 、若 干 鳴 き 声 が 違 っていた 。   ど う や ら 先 程 食 べ た 鉱 石 の お か げ で 、 扱 え る 艦 載 機 が 増 え た ら し い 。  取り あえず 、少 女は タマ以外 の 球 体に 名 前 を付 け る。 ﹁コッチガ、ミケ﹂ ﹁ミャフ !﹂ ﹁コッチハ、クロ﹂ ﹁ミ゛ャ !﹂   な ん となく 名付 けてか ら、 彼女は 3 機まと め て 右ポケット に 仕舞 い 込む。   次に 、少 女は弾 薬 と 書 か れ た 赤茶色 の 鉄箱 の 蓋を開 けた 。   中に入ってい る 砲弾は 消 火器と 同 じく ら いの大きさであ る。 ﹁ソウダッ﹂  少 女 は 砲 弾 の 一 つ を 取 り 出 し 、 お 尻 辺 り か ら 砲 塔 の 頭 を 出 現 さ せ た 。  駆逐ハ級 たちとの戦 闘 で弾 切れ なったこと を思 い 出 したか ら だ 。   彼女は砲塔の 頭 にあ る口 の中へ砲弾 を 放 り込む。 ﹁・・・モットホシイ ?﹂   彼 女 が そ う 言 う と 、 砲 塔 の 頭 が 頷 い た 。箱 か ら 二 個 目 の 砲 弾 を 取 り、 砲塔の 頭 に 食 べさせてか ら、 さ ら に 続 けて 三個目 の砲弾 も食 べさ せた 。   そこで よ う や く砲塔の 頭 が 満足 そうに ゲップを吐 き 出 す 。 ﹁ゲプッ﹂

(33)

﹁ダンヤク、ホキュウデキタ ?﹂  頷 く砲塔の 頭 に 少 女は 笑みを こぼす 。  一撫 でしてか ら その 艤装を消 失させ 、 反対 側に 陳列 さ れ てい るドラ ム缶 に 向 かった 。 ﹁クンクン・・・﹂  近付 いてか ら分 か る油独 特の 匂 い 。  少 女は 自分より一回り 大きい ドラム缶 の 一 つ を 両手で 掴ん だ 。  少 し 傾 けて 、ドラム缶 の 上 にあ る注 入 口 の 蓋を開 け る。 ﹁・・・・・・アッ、アレガナイ﹂  少 女は も う 一度蓋を閉め て 、 ドラム缶を置 いてか ら あ る 場所へと 走 り去 った 。     数 分後、少 女は 右 手に 金 属 製 の コップを持 って戻ってきた 。 ﹁ココニオイテ・・・ヨイショ﹂  床 に コップを置 き 、 先 程 の ドラム缶 の 蓋を開 けて 、 再 び 持 ち 上 げ る。   彼女は 見 た 目100kg以上 の 重 さの ドラム缶を苦も 無く 、 ゆ っく り と コップ の 方 へ 傾 けた 。  黒 い ドロリ とした 液 体が 垂れ落 ち 、 すぐに コップ の中がいっぱいに な る。  少 女 は 傾 け て い た ド ラ ム 缶 を す ぐ に 戻 し 、注 が れ た コ ッ プ を 手 に 取 った 。 ﹁・・・イッキデ !﹂  躊躇 うことなく 少 女はその 液 体 をゴクゴク と 飲み 干していく 。 ﹁ケプッ・・・ゲンキハツラツ !﹂  飲み 終えた 少 女は 身 体が火照 る ほどの 満足感を得 ていた 。   海の 上を 歩き 続 けた 際 の 疲労 が 回復 し 、 も うしば ら く 動 き 回れるよ うにな る。 ︵や っぱ り、燃料飲め た 。少 し 目 が 冴 え る・・・︶   その 他 の 鉄 の 延 べ 棒やバケツも見 て 回り、 数十 分後 に 少 女は 貨 物 室 を後 にした 。  

(34)

   続 いて や ってきた場所は 船 の 操舵室。  少 女はそこか ら船 の正 面 にな る窓ガラス の 外を見る。 ﹁・・・ダメダッタ﹂  船 体が 見られる と 期待 していた ら しいが 、 木 々 に 覆われ ていて全体 が 見 えない 状 態だった 。  仕方 なく 目 ぼしい も のがないか 、 少 女が 探 し 回 ってい る と 、 あ る雑 音 の よ うな も のが 聞 こえてきた 。 ﹁ンゥ ?﹂  音 の発 生源 に 向 かって みる と 、 部 屋の 端 の 棚 に 置 か れ た物か ら音 が 発 生 していた 。   そ れ の全体は ビデオレコーダー の よ うな 長方 形の 立方 体で 、 正 面 に 摘 みやスイッチ などがあ り、 左端 に 螺旋コード で繋が れ た スイッチ付 きの マイク があ る。   どう やら船 などで 使われる〝 無 線 機 〟ら しい 。 ﹁ナニカ・・・キコエル ?﹂ ﹃ザザ ・ ・ ・ ﹄ という 音 に 紛れ て 、 何 やら人 の 声ら しき も のが 聞 こえて く る。  微 かな 音 なた め、 何 を言 ってい る のか 分 か り づ ら かった 。 ︵ 此 処 じ ゃ電波 が 遮られ て繋が り にくい ?︶  少 女 は そ の 無 線 機 を 抱 え て 、電 波 が 届 き や す い 場 所 を 探 し に 向 か う 。   ﹁ン ?・・・ココカナ ?﹂   無 線 機の 音 に 変化 があ り、や って来た場所は 沢 山あ る船室 の 一 つ 。   そこは 6 畳 間 ぐ ら いの 広 さがあ り、 床 は畳張 り になってい る。ドア のあ る 入 口 とは 反対 の 壁 に大き め の 窓 が張ってあった ら しく 、 何故か 綺麗 に無くなっていた 。  少 女がその 窓 の 外を覗 くと 、 そこか ら船 の 後ろ にあった ビーチ が 見 下ろ せた 。 ﹁スゴイバショ・・・オット・・・﹂

(35)

  彼 女 は そ の 光 景 よ り 無 線 機 を 優 先 し 、部 屋 の 右 端 に 置 い て 操 作 す る。   とは 言 って も、 彼女はお ろ か 以 前の 記憶 で も 無 線 機 を 扱った経 験 は 皆 無 。   摘 みやスイッチを でた らめ に 操 作す る ことしかできなかった 。 ﹁ンーーー・・・﹂ ﹃・・・・・・ザザ・・・・・・・・・﹄ ﹁ンーーー・・・﹂ ﹃ザザ・・・・・・ こ ・・・・・・﹄ ﹁ン ?﹂ ﹃・・・ ち ら・・・艦隊・・・﹄  途切れ途切れ に 聞 こえ る が 、 音量 が 小 さい ら しく 、 再度 摘 みを弄 っ て みる。 ﹃・・・・・・ース ! ワタ・・・ の敵ではない ネー !﹄ ﹁オオッ !?  よ う や くあ る程度聞 こえ るよ うにな る と 、 そこには 聞 き 覚 えのあ る 女性の 口調 が 耳 に入ってきた 。  外人口調 が特 徴 の 艦娘。高速 戦 艦 の 〝金 剛 〟 の 声 であ る。 ﹃ こ れ でほ ・ ・ ・ うの Finish !・ ・ ・ さぁ 、 かえ ・ ・ ・ デース !﹄ ﹁スゴイ、エイゴシャベル﹂ ﹃金 剛 姉 さ ・・・ すがです !  は る・・・激 です !﹄ ﹃・・・ たしが 一 番に決まって る・・・ ない !  ねぇ ?﹄   彼女の 声以外 に も 別の 艦娘 たちの 声 が 聞 こえてく る。   そ ん な彼女たちの 声 に 少 女は居て も 経って も 居 られ ず 、 無 線 機に 付 いてい るマイク に手 を 伸ばした 。 ﹁アノ・・・ゼ、ゼ・・・・・・﹂  緊 張でなかなか 声 が 出 ないが 、 な ん とか 勇気を 振 り 絞って 叫 ぶ 。 ﹁ゼロ、オイテケ !﹂  少 女が 叫 ぶと 同 時に 、 手に 力 が入ったせいで マイク の 線 が根本か ら ブチッ と 切れ てしまう 。 ﹁アッ・・・﹂

(36)

 思 わ ず 冷 や 汗 を 流 す 少 女 。 そ う し て い る 間 に 艦 娘 た ち の 声 は し な くな り、部 屋に 静寂 が 訪れる。 ﹁・・・﹂  窓 か ら見 え る星 空の 満月 に 少 女は 目を向 けた 。 ﹁ツキガ・・・キレイ・・・﹂  今日目覚め てか ら ずっと 驚 きの 連続 ばか り。  静 けさと 艦娘 たちと 話 せない 落胆 に 、自 然と眠 気 が 襲 ってく る。 ﹁・・・ネヨウ﹂  外れ た マイクを 無 線 機の 近 くに 置 いて 、部 屋の中 心 へと 移動 した 。   その場で横にな り、 白き 少 女は 安ら ぎの眠 り についた 。     ﹁スゥ・・・﹂ ﹃・・・ か ・・・﹄  少 女 が 深 い 眠 り に 落 ち た 頃、 無 線 機 に 新 た な 女 性 の 声 が 響 い て き た 。 ﹃・・・れ か 、聞 こえま ・・・ か ?﹄ ﹃ こち ら ・ ・ ・ と 。・ ・ ・ ・ ・ ・ 型 せ ・ ・ ・ 艦、や ・ ・ ・ です 。誰 か 、 応 答 を・・・﹄

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No.05 シズンジャダメ

!!

    太 陽 が 昇り始め、日 の光 を 浴び 始める 南 国 の よ うな 島。   そこには 軍 の 施設 がいくつかあ り、 空には 哨戒 機が 旋回 していた 。     ここは ﹃トラック鎮守府﹄ と 言われる対深 海 棲艦 の前 線基 地の 一 つ 。  司令部 の 執務室 で白い 軍服を 着た女性が 書類 整 理を していた 。  軍 帽 を被り、 長 い 髪を一 束にした ポニーテール。長袖 の 軍服 に ミニ スカート と 黒 い ニーソックス という 身 な り の女性だ 。   彼女は簡 易 な木 造 の机の 椅 子に 座り、 足を 組 み なが ら置 か れ た 書類 に 目を通 していく 。 ﹁ またあいつか ら・・・許可 しないに決まって る でし ょ う ﹂  不 機 嫌 な 顔 で手にした 書類を くし ゃ くし ゃ にして 、 机の横にあ るゴ ミ箱 へ 投 げ入 れ た 。  再 び別の 書類 に 目を向 けてい る と 、 執務室 の ドア か らノック がさ れ る。 ﹁許可 す るわ。 入って ﹂   彼女の 返事 で 一人 の 艦娘 が ドアを開 けて入ってきた 。 山 岸 や まぎし ﹁ 失礼す る。 提 督 ﹂   入ってきたのは 黒 い 長髪 の大 人 びた 艦娘。 戦 艦〝長門〟   彼女は 秘書艦及 び第 1艦隊 の 旗艦 として 、 この 鎮守府 の主 力 の 一人 で も あった 。   そ ん な彼女はお 盆 に乗せた 冷 たい 麦茶 の コップを持 って 、 軍服 の女 性の机へと歩き 寄る。 里 子 さと こ ﹁ で も構わ ないって 、許可 したでし ょ ?﹂ ﹁む っ 、 そ 、 そ れ は ・・・ まだ慣 れ ないのだが ・・・﹂ ﹁他 の 娘 た ち も 何 人 か は そ う 呼 ん で く れ て い る の よ。 あ な た か ら も そ う呼ば れ たい わ﹂ ﹁む、む ぅ ・・・﹂  少 し 顔 を 赤 ら め る 長 門 は 、 ぎ こ ち な い 動 き で 麦 茶 を 机 の 上 に 置 い た 。

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 軍服 の女性の 名 は 〝 山 岸 里 子 〟階級 は中佐 。   この トラック鎮守府 で 艦娘 たち を指揮 す る 女性 提 督であ る。   彼女は テーブル に 置 か れ た 麦茶を 手にし 、 一口飲ん でか らコップを 置 いた 。 ﹁龍驤 の具 合 はどう ?﹂ ﹁ かな り疲弊 していたが 、 艤装も 含 めれ ば 、 本 日 の 12 : 00 ︵ ひとふ たま る ま る︶ までには 復 帰でき る そうだ ﹂ ﹁ そう ・・・ 大 事 に 至ら ないで よ かった わ﹂   先 日 の 夜、 遠征 に 出 したはずの第 3艦隊 の 旗艦〝龍驤〟 が敵の 不意 打ちに より、 大破 。   そ れを聞 いた山 岸提 督は 一瞬青 ざ めるも、 時 雨や暁 たちのおかげで 無 事 帰 還 したことに 胸を撫 で 下ろ した 。 ﹁ しかし ・・・謎 の 艦載 機か ・・・﹂ ﹁ そ れ について 調査 してい る けど 、 まだ 詳 細が 分 か ら ない わ﹂  長 門 が 言 っ た 謎 の 艦 載 機 。 そ れ は 時 雨 の 報 告 で 知 っ た 謎 の 深 海 棲 艦ら しき も の 。   彼女が 言 うには 、 そ れ は何故か敵の 艦載 機 を 全 滅 させ 、 さ ら に敵の 軽 空 母を撃沈 させたという 。 ﹁ いず れ にして も、 その 艦載 機の 持 ち主にはお礼がしたい わ ね ﹂ ﹁ 敵か も し れ ないのだぞ ?﹂ ﹁ あ ら、 危 機 に 瀕 し た 第 3 艦 隊 を 助 け て く れ た の よ ?  そ れ に 敵 の 深 海 棲艦を撃沈 までしてく れ て ・・・ 礼 を しない 理 由がない わ﹂ ﹁ そ れも そうだが ・・・﹂  イマイチ納得 のいかない 長門 に 、 山 岸提 督は 気 にせず 書類 に 目を向 けた 。   彼女は 資 材 関係 の 書類 に 目を通 しなが ら、 長門 に 今日 の 予定を尋 ね る。 ﹁ 本 日 の 艦隊 への 指 示は ?﹂ ﹁今回も編成 し 直 して 、 第 1、 第 2艦隊 と も に 哨戒任務 に 行 って もら っ た ﹂ ﹁助 か るわ。 第 3 はしば ら く 待 機ね 。 あとは ・・・﹂

(39)

﹁む っ ? 通信 だ ﹂  長門 が 右 手 を耳 に当てて 、通信内容を聞 き 取り始め た 。   ﹁・・・ すぐに全 艦隊を 帰 還 させなさい ﹂ ﹁ なっ !? 山 岸提 督 !  そ れ だと ・・・﹂ ﹁落 ち着きなさい 、長門﹂   山 岸 は 自 分 の 出 し た 指 示 に 異 議 を 申 し 立 て よ う と す る 長 門 を 宥 め た 。 ﹁ 山 城 と 蒼 龍、飛 龍 が 中 破 し た 状 態 で 捜 索 す る の は 自 殺 行 為 よ。許 可 しない わ﹂ ﹁む っ ・・・﹂ ﹁ 幸 い に も 負 傷 し た 第 2 艦 隊 の 近 く に 第 1 艦 隊 が い る。 彼 女 ら に 運 ん で もら った 方 が帰 還速度も速 くな るわ﹂ ﹁ しかし ・・・ い や、迷 ってい る 時 間も惜 しいな ﹂ ﹁ そういうこと よ﹂  長門 はすぐに無 線 で 出撃 した 艦 に 撤退 命 令を下 す 。  一方 の山 岸 は 後ろ にあった放 送端 末の スイッチを 入 れ た 。 ﹁ 第六 駆逐隊、執務室 に 緊 急 集合 せ よ﹂   放 送端 末の マイク にそう告げたあと 、 長門 にこ れ か ら行 うこと を指 示す る。 ﹁ 第 1、 第 2 が戻 り 次第 、 補 給 及 び 修理を。 無 傷 の第 1 な ら すぐに 出 港 でき る﹂ ﹁ 第 3 はどうす る ?﹂ ﹁龍 驤 が 復 帰 し た ら、暁 た ち と 一 緒 に 行 か せ る わ。長 門 は 帰 還 す る 艦 隊を迎 えに 行 って ﹂ ﹁了解 だ ﹂  長門 が 退室 した 後、 山 岸 は 椅 子に 座 って 腕を 組 ん だ 。 ﹁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 確実 に救うにはこ れ しかない わ。鬼級 に嵐 ・ ・ ・ リスク が 多過 ぎ る この 状況 で ・・・﹂   ﹁ 無 事 でいて ・・・・・・ 大 和・・・﹂

(40)

          ﹁ウ∼ン・・・﹂  日 の光が 窓 か ら侵 入し 、寝 ていた白き 少 女 を 照 ら し 出 す 。   彼女は 思わ ず 暑 いと 言 いそうにな るも、 気 怠さのせいで 言 えなかっ た 。 ﹁・・・・・・アサ ?﹂   まだ 寝惚 けてい る状 態で 上 半 身を起 こす 。   時 計 がないた め、少 女には 今 の時 間 帯が 分 か ら なかった 。  実際 の時刻は 12:00 手前であ る。 ﹁ファ∼ア・・・ゴハン・・・﹂  少 女はお もむろ に 左ポケット か らヤシ の 実を取り出 し 、 さ ら に 取り 出 した タマ で 実 の中 身 が 見られる ぐ ら い 齧り取 って もら った 。 ﹁ンキュ、ンキュ、ンキュ・・・プハァ∼﹂  続 いて 取り出 した 貝殻 で 実 の 果肉を食 べ 始める。 ﹁ハムッ・・・モキュ、モキュ・・・オイシイ・・・﹂  少 女が 果肉を 半 分近 く 食 べてい る ときに 、 無 線 機か ら﹃ザザ ・ ・ ・ ﹄ という 音 が 鳴り響 く 。 ﹁ッ !?  音 に 気 付 い た 彼 女 は 俊 敏 な 這 い 這 い で ト タ タ タ ッ と 無 線 機 の 傍 へ 向 かった 。   無 線 機の摘 みを弄り、聞 こえ る音量を操 作す る。 ﹃・・・ら、加賀。 そっちの 方・・・ うですか ? 島風﹄ ﹃みん な 、 おっ ・・・ い !  先 行 ってい ・・・﹄ ﹁シマカゼ ? バニコスノ ?﹂  少 女 自身も知る有名 な 最速 の 艦娘〝島風〟 ﹃駄目 で ・・・級も い る はずなので 、 単 独 での 行動 は ・・・ です ﹄ ﹁キュウ ? ヒメキュウガ、イル ?﹂

(41)

 加賀 の 途切れ た 言葉 か ら、 少 女は 自分 の存在がば れ たのかと 一瞬 だ け 思 った 。 ﹃ で も、 か ・ ・ ・ さ ん。 本当に ・ ・ ・ がここに ・ ・ ・ る のでし ょ うか ?﹄ ﹃最 ・ ・ ・ に 確認 さ れ た場所 。 あなたの 妹、 山 城 ・ ・ ・ こだと教えてく れ・・・﹄ ﹁ナニカ、サガシテル ?﹂   いくつかの 言葉 が 聞 こえないが 、 そ れ で も な ん とか 分 か る ぐ ら いの 会話 か ら少 女は 話 の 内容を予想 す る。 ﹃Bad ・ ・ ・ れ か ら ・ ・ ・ 時 間 は経って るネー !  本当に ・ ・ ・ デー ス ?﹄ ﹃加賀 さ ん。 偵さ ・・・ か ら は何 も見 当た ら な ・・・ です ﹄ ﹃ つ ・・・ けて捜索して 頂 戴 、赤城 さ ・・・﹄ ﹃ ねぇ 、 本 ・・・ に 〝 大 和〟 がいたの ?﹄ ﹁ッ !?  少 女は 島風 の 言葉 に 耳を疑 った 。  〝 大 和〟   そ れ は 現実 に も 存在した 世 界 最 大の戦 艦。   無 論、艦娘 として 最高クラス の戦 闘力を誇る 戦 艦 の 一人 で も あ る。   数 多 く の 提 督 た ち が 彼 女 を 入 手 し よ う と 頑 張 っ て い る と も 聞 い て いた 。 ︵ あの大 和 が ・・・ い る の ?︶  提 督たちの 憧れ であ る 戦 艦 の存在に 、 少 女は無 線 の 声を集 中して 聞 き 取る。 ﹃私 の山 城 と ・ ・ ・ う 龍 さ ん、飛龍 さ んを助 け ・ ・ ・ め にお 一人 で ・ ・ ・ ﹄ ﹃仕方・・・ です 。相 手は南 ・・・ き 。加 えて嵐に も ま ・・・﹄ ﹃加賀 さ ん の 言 うあ ・・・ って 、 あの ・・・ にあ る暗 い 雲 ですか ?﹄ ﹃ ええ 、赤・・・ さ ん。 偵 察 機 ・・・ けますか ?﹄ ﹃Wait ! 対 空 ・・・探 に 感 あ り !  て ・・・ネー !﹄ ﹃榛名 !・・・り ます ! 金 ご ・・・ さま 、三式 弾 を・・・﹄   そこか ら 先は 艦娘 たちが戦 闘を開始 したた め か 、 無 線 機か ら 何 も聞 こえなくなった 。

(42)

 少 女は 聞 こえた 内容を頭 の中で整 理 し 始める。 ︵ つま り、 山 城 っていう 艦娘 たち を 救うた め に 、 大 和 が 自ら囮 になった ?︶ ︵・・・ 嵐とか も言 ってたか ら・・・ そこでまだ戦って る ?︶   彼女はそう 予想 した 後、ゆ っく り と 立 ち 上 がった 。 ﹁・・・ヤマト・・・タスケル !!  少 女は 部 屋か ら飛 び 出 し 、貨 物 室 へと 走り出 した 。    資 材 の 宝 庫 へ や っ て 来 た 少 女 は 、左 ポ ケ ッ ト に 燃 料 の ド ラ ム 缶 6 個、 弾 薬 であ る 砲弾 を10個、黄緑色 の バケツを5個 入 れ込ん だ 。 ﹁ンショ !﹂   そして 、 近 くにあった ドラム缶を持 ち 上 げて 、 その中 身を豪快 に 飲 み始める。 ﹁ングッ、ングッ、ングッ・・・・・・ケハァー !!  少 女の体 内 で 凄 まじい 熱量 が湧き 上 が り、 あ る程度残 った ドラム缶 が ゴトン と 置 か れ た 。 ﹁ホッポ ! シュツゲキ !!   彼女は 貨 物 室を後 にし 、 船 の甲 板 へ 出 てか らビーチ へ 高々 と ジャン プ す る。   海 面 へ 一直線 に着地 後、凄 まじい 速度 で 航行 し 始め た 。 ︵目指 すは ・・・加賀 の 言 っていた嵐 !︶  島 か ら出 た 少 女は 成り行 きに 任 せて 、青 い海の 上を走り続 けた 。      島 が 見 えなくな る ほど 走り続 けた 少 女は 、 その場で 立 ち止ま り、 タ マ達を取り出 した 。 ﹁ミャ !﹂ ﹁ミャフ !﹂ ﹁ミ゛ャ !﹂ ﹁イッテキテ﹂   彼女は タマ達を 前 方 か ら三方向 へ 投擲 発 艦 させ る。

(43)

  空 高 く 飛ん で 行 った 艦載 機の 視 界 を交換 しなが ら、 目的 の嵐 を探 し 始め た 。 ﹁ウ∼ン・・・・・・・・・・・・﹂     数 分後、 少 女が中 々見 つけ られ ないと 思 ったその時 、 あ る視 界に 黒 い 雲 が映 り込ん だ 。 ﹁アッタ !﹂ ﹃ミ゛ャ !﹄  見 つけたのは前 方 か ら右斜め に 飛 ばした クロ。  少 女 は 他 の 艦 載 機 に 戻 る よ う 指 示 し 、ク ロ の 居 る 方 向 へ 走 り 出 し た 。           ﹁ はぁ 、 はぁ 、 はぁ ・・・﹂ ﹁フフフフフ・・・﹂  日 が 遮られる暗闇、激 しい 雨、荒れ狂 う 波。   そ ん な 悪 天 候 な海 上 に 二 つの 人 影が 立 っていた 。  一 つは 赤 い セーラー服を 着た ポニーテール の女性 。  腰 回 り に 付 い た 艤 装 は 巨 大 な 三 連 装 砲 と そ れ よ り 小 さ 目 の 副 砲 が 装備 さ れ てい る。   強 力 そうな彼女の 装備 だが 、 右 側の主砲 以外 が 使 用 不可能 なほど 傷 付 いていた 。  も う 一 つ は 全 身 が 白 い 肌 で 長 い 白 髪 を ツ イ ン テ ー ル に し て い る 女 性 。   こち ら は手が 鉤 爪で 二門 の砲 身 があ り、 両ふと もも の 外 側には 口 か ら出 てい る巨 大な 三連装 砲と副砲の 艤装 が 付 いていた 。 ﹁ダイブ、ガンバッタワネ・・・ダガ・・・﹂ ﹁ っ !?

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