【報 文 】
ラー ドの 水 煮 に お け る レ モ ン添 加 シ ョ ウ ガ の
抗 酸 化 効 力 に つい て
Antioxidative
Effect
of Ginger
with
Lemon
on the
Oxidation of Lard in Boiled Water
河 村 フジ 子
中村 ま ゆ み
(Fujiko Kawamura) (Mayumi Nakamura)
The antioxidative effects of aromatic components and eluted components on the boiling lard with
the equal amounts of ginger and lemon were examined, assuming the use of vegetables and fruits in
addition to ginger when cooking pork. The results obtained are as follows.
1. Limonene accounts for 75% of the aromatic components of boiled lemon and small amounts of
γ-terpinene, citral andβ-pinene are detected. The aromatic components of boiled ginger and lemon
consist primarily of limonene followed by citral andβ-phellandrene and also contain sesquiterpenes
such as zingiberene and farnesene.
2. The antioxidative effects of the aromatic components of boiled ginger and lemon wiih respect to lard were the same as in the case of ginger alone.
3. Antioxidative effects of the eluted components in the case of boiling lard with ginger and lemon were much more prominent than in the case of ginger alone and effects resulting from the addition of lemon were observed.
4. The effects of addition of lemon were considered to be resulting from the synergistic action of ascorbic acid and citric acid on the antioxidative components of ginger.
緒 言 著 者 の一 人 は,す で に 中 国料 理 の湯 菜 や 隈 菜 の調 理 過 程 で加 え る シ 召ウ ガは,抑 臭 効 果 のみ な らず 脂 質 酸 化 防 止 効 果 があ り,そ れ に 関与 す る成 分 に は,シ トラ ー ル, ゲ ラ ニ オ ー ル,ゲ ラニ ル ア セ テ ー トな ど の香 気 成 分 と シ 蕊ウ ガ オ ー ル,ジ ン ゲ ロー ル な ど の辛 味 成 分 お よび トコ フ ェ ロー ル,リ ン脂 質 が あ る こと を 明 らか に した1∼4)。 こ の うち,辛 味 成 分 は4一 ヒ ドロキ シー3一メ トキ シフ ェニ ル基 に2個 の メチ レ ン基 を もつ フ ェノ ー ル系 化 合 物 であ る4)。 一 方,ア ス コル ビ ン酸 と クエ ン酸 お よび クエ ン酸 の 熱 分 解物 は フ ェノ ール 系 酸 化 防 止 剤 に 対 して シ ネル ギ ス トとな る こ とが 知 られ て い る5)。 また ア ス コル ビ ン酸 は,ト コ フ ェ ロー ル の酸 化 で 生 ず る トコ フ ェ ロキ シル ラ ジ カル を還 元 して,ト コ フ ェ ロー ル を 再 生 す る可 能 性 が *東 京家政大学家政学部 高 い といわ れ て い る6)。 しか し,こ の よ うな フ ェノ ー ル 系 酸 化 防止 剤 や トコフ ェ ロー ル に対 す る シ ネ ル ギ ス ト効 果 に つ い て調 理 の実 用 条 件 で検 討 した 報 告 は見 当た らな い 。 そ こで,著 者 らは,豚 肉等 の調 理 にお い て シ ョウ ガ と と もに野 菜 や 果 物 を 用 い る場 合 を 想 定 して,本 研 究 で は ラー ドに シ ョウ ガ と レモ ンを 加 え て 水 煮 し,両 者 の併 用 で 生ず る香 気 成 分 お よび 水 中 溶 出成 分 の脂 質 酸 化 防 止 効 果 に つ い て検 討 した の で報 告 す る。 実 験 方 法 1.試 料 調 製 1)水 煮 香 気 成 分 分 析 用 試 料 シ ョウ ガ(市 販 の古 シ ョウ ガ)は 皮 つ きの ま まス ライ ス し,レ モ ンは 輪 切 りに して そ れ ぞ れ1009に 対 して 蒸 留 水(水)lt800mlず つ 加 え た もの を 対 照 と し て,両 者 を 混合 した も の に 水800mlを 加 え て連 続 水 蒸 気 蒸 留
抽 出装 置 にか け て98。Cで1時 間 蒸 留 して,揮 発 性 成 分 を エ ー テ ル中 に 捕 集 し,脱 水後 工 一 テ ルを 留 去 した も の を 水 煮 香 気 成 分 分 析 用試 料 と した 。 2)水 煮 に 伴 う脂 質酸 化 度 測 定 用 試 料 300mlの ビ ー カー(ガ ラ ス製)に,未 加 熱 ラー ド(雪 印 乳 業K,K製,抗 酸 化 剤 無 添 加 の もの)309と 水150 mlを 加 えた も のを 対 照 と して,ラ ー ド309に1)と 同 様 に した シStウ ガ,レ モ ンをそ れ ぞ れ30g(豚 肉に 加 え る シ ョウ ガ,野 菜,果 物 の実 用 値 を 考 慮 して 設 定 した) ず つ 加 え た もの とシ ョウ ガ30gと レモ ン30gを 加 え た も の お よ び ラー ド30gに ア ス コ ル ビ ン酸(和 光純 薬工 業K,K製,特 級L一 ア ス コ ル ビ ン酸)15mg,ま た は ク エ ン酸(関 東 化 学K.K製,特 級)15mgを 加 え た も の, さ らに 同量 の ア ス コル ビ ン酸,ま た は クエ ン酸 に シ ョウ ガ309を 加 え た も の にそ れ ぞ れ 水150mJを 加 え た。 次 に,こ れ らの 各 ビー カ ーを 電 熱 器(300W)に か け,沸 騰 後10分 毎 に蒸 発 分 を 補 な い10回 撹 伴 して4時 間水 煮 し,1時 間毎 に表 面 の油 層 を定 量 ず つ 採 取 して 冷 却 後, 分 液 ロー トに 移 して エ ーテ ル 抽 出 を行 い,エ ー テ ル を留 去 し て得 た ラ ー ドを 脂 質酸 化度 測 定 用 試 料 と した 。 3)AOM試 験 用試 料 ラ ー ド209を 対 照 と して,ラ ー ド209に シ ョウ ガ20 g分 の水 煮 香 気 成 分 を加 えた も の お よ び,2)で4時 間 水 煮 した後 工 一 テ ル抽 出 を 行 って得 た シ ョ ウガ ま た は レ モ ン添 加 ラー ドお よ び シ ョウガ と レ モ ン添 加 ラ ー ドを 209ず つ 分 取 してAOM試 験 用 試 料 と した 。 2.ガ ス ク ロマ グ ラ フ ィ(GC)に よる 分 析 水 素 炎 イ オ ン化 型 検 出器 を備 え た 島 津 製 作 所 製,島 津 GC-14A型 を 用 いて 次 の条 件 で測 定 した 。カ ラ ム:OV-1(GLサ イエ ン ス製)0.25mm×50m,キ ャ リア ガ ス; N2,注 入 部 検 出部 温 度:330◎C,カ ラ ム オ ー ブ ン温 度: 60。Cよ り30C/min昇 温 で300。Cま で と した。 3.GC直 結 質 量 分 析 計 に よ る 分析 日立 製 作 所 製,日 立G-3000に 直結 したM-80B型 質 量 分 析 計(GC-MS)を 用 いて 次 の 条 件 で測 定 し た 。 カ ラ ム:Ultra-1(HP社 製,OV-1相 当)0。2mm×25m, キ ャ リア ガス:He,イ オ ン化 方 式 お よび 電 子 電 圧:電 子 衝 撃 法,70eV,イ オ ン源 温 度:200℃,カ ラ ムオ ー ブ ン温 度:600cよ り3。c/min昇 温 で300。cま で と した 。 4.過 酸 化 物 価(POV)の 測 定 脂 質0.5∼19を 精 秤 してWheeler法7)に よ り遊 離 さ れ た ヨ ウ素 を チ オ硫 酸 ナ ト リ ウ ム溶 液 で滴 定 し,試 料 1k9あ た りの ミ リ当量 数 で示 した 。 5.AOM試 験 常 法 に よ り行 った 。 す なわ ち,試 料20gを 試験 管 に と り,97.8±0.1◎Cの 温 度 条 件下 で空 気(2.33ml/sec) を 吹 き込 み,生 じ た 過 酸 化物 をWheeler法 に よ り測 定 し,POVが100に 達 す る ま で の酸 化 時 間 を み た 。 6.ア ス コル ビン 酸 の定 量 ヒ ドラ ジ ン比 色 法8)に よ り,総 ア ス コル ビ ン酸 量 を測 定 し て,煮 汁(水)100mlあ た りのmgで 示 した 。 実 験 結 果 お よ び 考 察 1.レ モ ン添 加 シ ョウ ガ水 煮 香 気 成 分 の 同 定 レモ ン単 独 お よび シ ョウ ガに 同 量 の レモ ンを 添 加 して 1時 間 水煮 して得 た 香 気 の ガス ク ロマ トグ ラ ムを 図1に 示 した。 ピー クの同 定 は,GC-MSに よ る マ ス スペ ク ト ル 解 析 お よび標 準 物 質 と の保 持 時 間 の 一・致 に よ り行 った 。 図1レ モ ソ及 び レモ ン添 加 シ ョウ ガ水 煮 香 気 成 分 の ガス ク 鐸マ トグ ラム.○ レモ ソ の成 分,ロ シ ョ ウガ の 成 分 ピ ー クNo.:① α一ピネ ン,回 カ ソ フ ェソ,③ β一ピ ネ ソ,④ β一 ミル セ ソ,⑤ リモ ネ ソ,囹 焼 フ ェラ ソ ド レン,⑦ た テ ル ピネ ソ,⑧ リナ 旗 一 ル,回 ボ ル ネ オ ール,⑩ リナ リル プ ロ ピネ ー ト,⑪ α一テル ピ ネ ナ ール,⑫ α一シ トラー ル,⑬ ゲ ラ ニ オ ール, ⑭ β一シ トラー ル,囮2一 ウ ソ デ カ ノ ソ,⑯ ゲ ラ ニル アセ テ ー ト, 國 α一クベ ベ ソ,⑱ ジソ ギ ベ レソ,国 フ ァル ネ セ ソ,図 β一ピサ ボ レソ,國 β一セ ス キ フ ェ ラン ドレン 図1よ り,レ モ ン の 香 気 成 分 は,α 一ピ ネ ン,β 一ピ ネ ン,ミ ル セ ン,リ モ ネ ン,γ 一テ ル ピ ネ ン,α 一テ ル ピ ネ オ ー ル,シ トラ ー ル,な ど の モ ノ テ ル ペ ン 類 で,こ れ ら の 多 く は シ ョ ウ ガ の 香 気 成 分3>で も あ る 。 シ ョ ウ ガ に レ モ ン を 添 加 す る と,シ ョ ウ ガ 特 有 の ジ ン ギ ベ レ ン,フ ァ ル ネ セ ン,α 一ク ベ ベ ン,β 一セ ス キ フ ェ ラ ン ド レ ン な ど の セ ス キ テ ル ペ ン類 が 加 わ る。 そ こ で,こ の レモ ン 添 加 に よ る 成 分 の 変 化 を 数 量 で と ら え る た め に,水 煮 香 気 成 分 の 全 収 量 と 主 要 成 分 量 を 表1に 示 し た 。 表1よ り,シ ョ ウ ガ に レモ ン を 添 加 す る と,多 量 の リ モ ネ ン が 加 わ り,シ ョ ウ ガ の 水 煮 香 気 成 分 中 脂 質 酸 化 防 止 効 果 が 認 め ら れ た シ トラ ー ル3)が わ ず か に 増 加 す る 。 そ こ で,こ の 変 化 が ラ ー ドの 脂 質 酸 化 防 止 効 果 に 及 ぼ す 影 響 を み る た め に,ラ ー ド20gに20g分 の シ ョ ウ ガ
調 理 科 学Vo1.27No.4(1994) 表1.レ モ ン添 加 シ ョウ ガの 水 煮 香 気 成 分 の 全 収 量 と主 要 成 分 量 図2.レ モ ソ 添 加 シ ョウ ガ の水 煮 香 気 成 分 の ラ ー ド に 対 す る抗 酸 化 力(AOM法) 勧 ⑱ ラー ド単 独(対 照) oOラ ー ド十 シ ョ ウガ 水 煮 香 気 成 分 △ ム ラ ー ド+レ モ ソ水 煮 香 気 成 分 A-一 一Aラ ー ド十 シ ョ ウガ と レモ ソ の水 煮 香気 成 分 *シ ョウ ガ お よび レ モ ソは ラ ー ドと等 量 また は レモ ンの水 煮 香 気 成 分(シ ョ ウガ は20.6mg,レ モ ンは30mg)お よび シ ョウ ガ と レモ ンの水 煮 香 気 成 分 (50.6mg)を 加 え てAOM試 験 を 行 っ た結 果 を 図2に 示 した 。 図2よ り,脂 質 酸 化 防 止 効 果 は,シ ョウ ガお よび レモ ンの水 煮 香 気 成 分 には ほ とん ど認 め られ ず,シ ョウ ガに レモ ンを添 加 した 場 合 も シ ョ ウガ 単独 の場 合 と同程 度 で あ った 。 い ず れ に して も,水 煮 香 気 成 分 の脂 質 酸 化 防 止 効 果 は,余 り期 待 で き な い。 そ こ で,次 に水 煮 中 の溶 出 成 分 の効 果 に つ い て検 討 した 。 2.ラ ー ドの 水煮 に伴 う脂 質 酸 化 度 の 変 化 ラ ー ド単 独 を対 照 と し て,ラ ー ドに 同 量 の シ ョウ ガ, レモ ン,シ ョ ウガ と レモ ンを 加 え て4時 間 水 煮 した 場 合 図3.レ モ ソ添 加 シ ョ ウガ の ラー ドの 水 煮 に伴 うPOV の 経 時 変 化 ⑧一 ⑳ ラ ー ド単 独(対 照) ○一 〇 ラー ド十 シ ョウ ガ ムー ム ラー ド十 レモ ソ 《一 一塩 ラ ー ド十 シ ョウ ガ と レモ ソ *添 加 量 は 図2と 同 じ 図4.レ モ ソ添 加 シ ョウ ガの ラ ー ドに 対 す る 抗 酸 化 力(AOM法) ㊥ ⑳4時 間 水 煮 ラー ド(対 照) OOシ ョ ウガ添 加 水 煮 ラー ド ム ム レモ ソ添 加 水 煮 ラー ド 《一 噛 シ ョ ウガ と レモ ソ の 同 時添 加 水 煮 ラ ー ド *添 加 量 は 図2と 同 じ
のPOVの 経 時 変 化 を 図3に 示 した。 図3よ り,ラ ー ドの水 煮 に対 して,レ モ ン添 加 はわ ず か に,シ 湿 ウガ お よび シ ョ ウガ と レモ ンの 同時 添 加 は い ず れ も顕 著 に脂 質 酸 化 防 止 効 果 が認 め られた 。 この効 果 を さ らに確 認 す るた め に,次 に4時 間水 煮 の試 料 に つ い てAOM試 験 を行 って 図4に 示 した。 図5.ア ス コル ビソ酸,ク エ ン酸 添 加 シ ョウ ガの 水 煮 に伴 うPOVの 経 時 変 化 幽一一 ⑧ ラー ド単 独(対 照) 0-○ ラー ド十 シ ョ ウ ガ ムー ム ラ ー ド十 ア ス コル ビソ酸 ロー ロ ラー噌ド十 クエ ソ酸 ムー一 ム ラ ー ド十 シ ョ ウ ガ と アス ロル ビ ソ酸 國一一一翻 ラ ー ド十 シ ョ ウ ガ と クエ ン酸 *添 加量 は ショウ ガ は ラー ドと等 量,ア ス コル ビン酸 お よび クェ ソ酸 は ラ ー ドに対 し て50mg%と した 図6.ア ス コル ピ ン酸,ク エ ソ酸 添 加 シ ョ ウ ガの ラー ドに 対 す る抗 酸 化 力(AOM法) ⑱一一 ⑧4時 間 水 煮 ラー一ド(対 照) 0-○ シ ョ ウ ガ添 加 水 煮 ラ ー ド ムー ム ア ス コル ビン酸 添 加 水 煮 ラー ド ロー ロ クエ ソ酸 添 加 水 煮 ラ ー ド A-… 一・Aシ ョ ウガ と アス コル ピ ソ酸 の 同時 添 加 水 煮 ラー ド 跡 一 圃 シ ョ ウガ と クエ ン酸 の 同時 添 加 水 煮 ラー ド *添 加 量 は 図5と 同 じ 図4よ り,脂 質 酸 化 防 止 効 果 は シ ョ ウ ガ単 独 で も顕 著 であ るが,レ モ ンを添 加 す る と加 算 的 よ りは や や 相 乗 的 に高 くな る。 こ の現 象 に レモ ンの 成分 が どの よ うに 関 わ るか をみ る た め に,次 に ラ ー一ド309に 対 して ア ス コル ビン酸,ク エ ン酸 を そ れ ぞ れ15mg(調 理 の実 用 値 に近 い値)ず つ 加 え た も の,お よ び これ らに そ れ ぞ れ30g の シ ョウ ガを 加 え た も の を4時 間水 煮 し て,POVの 経 時 変 化 を 図5に,4時 間 水煮 の試 料 につ い て行 っ たAO M試 験 の結 果 を 図6に 示 した 。 図5,6よ り,脂 質 酸 化 防 止 効 果 は ア ス コル ビ ン酸, クエ ン酸 は単 独 で は ほ とん ど認 め られ な い が,シ ョ ウガ と併 用 す る と顕 著 と な る。 この こ とか ら,シ ョウ ガに レ モ ンを 添 加 す る こ と は,ア ス コル ビ ン酸 ,ク エ ン酸が シ ョウ ガ の フ ェノ ー ル系 化 合 物 や トコ フ ェ ロー ル に対 して シ ネ ルギ ス トと し て作 用 す る と推 定 さ れ た。 この 際 ,ア ス コ ル ビ ン酸 は 酸 化 され る と考 え られ る が,そ の 程 度 を み るた め に ラ ー ド20gに アス コル ビ ン酸10mg,水100 mlを 加 え た も のお よび ア ス コル ビ ン酸10mg,シ ョ ウ ガ(ス ライ ス状)209に 水100mlを 加 え た もの を対 照 と して,ラ ー ド209に ア ス コル ビ ン酸10mg,シ ョ ウガ 209,水100mlを 加 え て,4時 間 水煮 した場 合 の総 ア ス コ ル ビン酸 量 の変 化 を 調 べ,そ の結 果 を 図7に 示 した。 図7.ラ ー ドの 水煮 に伴 う総 ア ス コル ビン酸 の 経 時 変化 △一 ム ラー ド+ア ス コル ビン酸+水(対 照) ○一 〇 シ ョウ ガ+ア ン コル ビン酸+水(対 照) ムー 一一Aラ ー ド十 シ ョウ ガ 十 アス コル ビン酸 十水 *添 加 量 は ラー ド209 ,ア ス コル ビ ン酸10mg,シ ョウ ガ 20g,ガ く100ml 図7よ り,ア ス コ ル ビ ン酸 の 水 煮 に 伴 う変 化 は,ラ ー ド+水 系 で は 漸 次 減 少 し,4時 間 後 で も2mg位 残 存 す る が シ ョ ウ ガ+水 系 で は,そ れ よ りは 減 少 速 度 が 早 く3 時 間 で ほ ぼ0に な る の に 対 し て,ラ ー ド 十 シ ョ ウ ガ+水 系 で は 急 速 に 減 少 し て1時 間 で ほ ぼ0に な る こ と が わ か っ た 。 こ の こ と か ら ア ス コ ル ビ ン 酸 の 一 部 は,加 熱 に よ
調 理 科 学Vo1.27No.4(1994) る シ 蕊 ウガ 中 の フ ェノ ー ル系 化合 物 や トコフ ェロ ール の 酸 化 防 止 に消 費 さ れ,こ れ らの物 質 が脂 質 に 対 して,ラ ジ カ ル捕 捉 剤 と な る と き,さ らに そ の再 生 に 消 費 され る と考 え られ る。 した が っ て,実 際 の調 理 では,豚 肉 等 に シ 蕊 ウガ と と もに 野 菜 や 果 物 を加 えて 水 煮 す る と,溶 出 し て くる ア ス コ ル ビン酸 は急 速 に減 少 す るが,脂 質 の酸 化 は,顕 著 に 抑 制 され る と い え る。 要 旨 豚 肉 の調 理 に シ ョウ ガ と と も に野 菜,果 物 を 用 い る こ と を想 定 して,ラ ー ドに シ ョウ ガ と レモ ンを 同量 ず つ加 え て水 煮 した 場 合 の香 気 成 分 と 溶 出成 分 の脂 質 酸 化 防 止 効 果 につ い て 実験 を 行 った 。 結 果 は次 の通 りで あ る。 1.レ モ ン の水 煮 香 気 成 分 は,75%が リ モ ネ ンで, そ の他 少 量 の γ一テ ル ピ ネ ン,シ トラー ル,β 一ピネ ンを 含 む 。 シ ョウ ガ と レモ ンの水 煮 香 気 成 分 は,リ モ ネ ンに っ い で シ トラ ール,β 一フ ェ ラ ン ドレ ンが 多 く,ジ ンギ ベ レ ン,フ ァル ネセ ン等 の セ スキ テ ルペ ン類 を含 む。 2.シHウ ガ と レモ ンの 水 煮 香 気 成 分 の ラー ドに対 す る脂 質 酸 化 防 止効 果 は,シ ョウ ガ単 独 の場 合 と同程 度 で あ った 。 3.シ ョウ ガ と レモ ンを ラ ー ドに 加 え て水 煮 した 場 合 の溶 出成 分 の 脂 質 酸 化 防 止 効 果 は,シ ョウガ単 独 の場 合 よ り顕 著 とな り,レ モ ン添 加 の 効 果 が 認 め られ た。 4.こ の レモ ン添 加 の 効 果 は,シ ョウ ガの抗 酸 化 性 成 分 に対 し て,ア ス コル ビ ン酸 お よび クエ ン酸 が シ ネル ギ ス トと し て作 用 す る こ とに よ る と考 え られ る 。 終 りに,本 研究 で使 用 した ラ ー ドを ご提 供 い た だ い た 雪 印乳 業KK並 び にGC-MSの 解 析 に ご協 力 いた だ い た 日立 テ クノ リサ ー チ セ ンタ ーの 千 田直 人 氏 に 深 謝 す る。 なお,本 研 究 の大 要 は,日 本 調 理 科 学 会 平成4年 度 大 会 で発 表 した こ とを 付 記 す る。 文 献 1)河 村 フ ジ子,加 藤 和 子:家 政誌,39,653(1988) 2)河 村 フ ジ子,岡 田真 美:東 京 家政 大学 研 究 紀 要, 31,23(1991) 3)河 村 フ ジ子,岡 田真 美:家 政誌,43,31(1992) 4)河 村 フ ジ子,岡 田真 美,二 見 文,福 場 博 保:家 政 誌,44,459(1993) 5)太 田静 行:油 脂 食 品 の劣 化 とそ の防 止,P.136, 幸 書 房,東 京(1985) 6)五 十 嵐 脩,金 田 尚 志,福 場 博 保,美 濃 真:過 酸 化 脂 質 と栄 養,P.83,光 生 館,東 京(1986) 7)山 西 貞:食 品学 実 験,P.112,産 業 図 書,東 京 (1969) 8)小 原 哲二 郎,岩 尾裕 之,鈴 木 隆 雄 編:食 品分 析 ハ ン ドブ ヅ ク,p.303,建 畠社,東 京(1973) (平 成5年12月10日 受 理)