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海洋 音 響研 究 会誌16巻 第2号
研
究
多 目的 計 量 魚 探 シ ス テ ム*
(昭 和63年10月17日
受 理).
古 澤 昌 彦
鈴 木 秀 彌
宮 野 鼻 洋 一**
A multipurpose quantitative echo sounding system is developed. The sounder operates at two frequencies of 25 kHz and 100 kHz. The echoes by the two frequencies are effectively combined to give estimation techniques such as the quasi-dual-beam method, frequency difference observation of target strength and volume backscattering strength, and school contour observation. Further, the echo trace analysis and two-step echo integration method are applicable to give behaviour-associated target strength values and accurate abundance estimates, respectively. The designing is performed under the principle of the minimum error and high practicality. The paper recorder and color display can show absolute echo levels enabling direct reading of the target strength and volume backscatter-ing strength in school. The echo integrator simultaneously integrates echoes in medium and large scale integration meshes. The integrator outputs are fed to personal computer to store data and draw abundance map online. We show several field applications using this system.
1. は じめ に 計 量 用魚 群 探 知 機(計 量 魚 探 機)は,今 や 水 産 資 源 の 調 査 に欠 か せ な い 手 段 とな った 。計 量 魚 探 機 の 原 理 は 通 常 の魚 探 機 と同 じで あ り,パ ル ス エ コ ー法 を 用 い る。 し か し,定 量性 を 重 ん じ る こ と,エ コー を 表 示 す るだ け で な く推 定 方 法 に 応 じた 処 理 を 要 す る こ と,勘 に頼 らず 一 般 的 に す る必 要 が あ る こ とな ど か ら,通 常 の 魚 探 機 とは 大 幅 に 異 な る。 これ ま で の計 量 魚探(シ ス テ ム)は,特 に積 分 方 式 を 主 体 と した単 能 の もの が 多 く,体 積 散 乱 強 度 の み な らず, タ ー ゲ ッ トス ト レン グス,魚 群 構造,行 動 生 態,魚 種 に 関 す る情 報 な どを 多 岐 に わ た って知 る こ とが む ず か しか った。 従 って,対 象 選 別 や総 合 的 推 定 が む ず か し く,推 定 誤 差 も大 き い 。 ま た,計 量 魚 探 機 特 有 の 設 計 方 法 が 適 用 され て い る とは 言 い 難 く,例 え ば,表 示 方 法 な ど も通 常 の魚 探 機 と ほぼ 同 じで あ る。 そ こで,筆 者 らは,下 記 の 特 長 を持 った 多 目的 で 正確 な 推 定 の で き る計 量 魚 探 シス テ ムを 開 発 して き た。 (1) 生 の 情 報 を 重 視 し,記 録 や カ ラ ー表 示 で エ コ ー強 度 の 絶 対 レベ ルを 読 み 取 れ る。 (2) 2周 波 を 有 効 に結 合 す る。 (3) 計 量 魚 探 機 特 有 の 設 計 方 法 を 適 用 し,推 定 誤 差 を 少 な く,ま た,使 い 易 くす る。 (4) 新 た に開 発 した推 定 方 法 も含 め,多 くの推 定 方 法 を 適 用 で き る。 これ に よ り生 態 的 調 査 も可 能 とす る。 (5) デ ー タ の収 録,保 存,読 み 取 り方 法 を工 夫 し,後 処 理 を容 易 とす る。 (6) 簡 便 に使 え る装 置 とす る た め,小 型 ・軽 量 と し, 最 小 構 成 を少 な く,か つ,シ ス テ ム化 を容 易 とす る。 本 シ ス テ ム に つ い て は,こ れ まで 開 発 段 階 に応 じて 部 分 的 に発 表 して きた1)2)3)が,こ の度 シス テ ム と して完 成 した の で,全 容 を述 べ る。 以 下,簡 単 の た め次 の表 記 法 を用 い る 。実 際 の変 数 と そ のdB変 数 とを 混 用 す るが,TS=20logTsの よ うに, dB変 数 は英 字2字 を 大 文 字 と して 区別 す る。 タ ー ゲ ッ トス トレ ン グス はTS,体 積 散 乱 強度 はSVと 略 記 す る。 2. 原 理 以 下 の説 明 に 最小 限 必 要 な計 量 魚 探 機 の 原 理 を 述 べ る。 魚 か らの エ コ ーは,個 々 の エ コ ーが 分 離 され る場 合 の
* A multipurpose quantitative echo sounding system **水 産工学 研究所
Masahiko FURUSAWA, Hideya SUZUKI, Yoichi MIYANOHANA (National Research Institute of Fisheries Engineering)
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83 単体 エ コ ー,合 成 され る場 合 の群 体 エ コ ー,そ れ らの 中 間 的 エ コ ー と に分 か れ る。 単 体 エ コ ー に対 す る推 定 を個 体 推 定 と言 う。TSや 体 長 の 推 定,エ コ ー計 数 方 式 に よ る分 布 密 度 の 推 定 な ど が含 まれ る。 群 体 エ コー に対 す る 推 定 を 個 群 推 定 と い う。 群 れ の体 積 推 定,群 内密 度 の推 定,群 構 造 の 観 察 な どが あ る。 すべ て の エ コー を 対 象 と し,広 域 の資 源 現 存 量 を推 定 す る方 法を 広 域 推定 又 は積 分 方 式 と呼 ぶ 。 図1に,計 量 魚 探 機 の ブ ロ ック図 を 変 数 の定 義 と共 に 示 した 。 単 体 エ コ ー音 圧.PFは (1) と あ らわ せ る 。 こゝ に,.P0は 送 波 音 圧,r,θ,φ,は 魚 の 位 置 の 球 座 標,Dは 指 向 性 関 数,α は 吸 収 減 衰 係 数,Ts はTSの 値 で あ る 。 群 体 エ コ ー は,(2)
とあ らわ せ る。cは 音 速,τ は等 価 パ ル ス 幅,ψ は等 価 指 向 角,nMは 群 内 密 度 で あ る。 これ らの信 号 は,前 置 増 幅 器 に よ り増 幅 され (3) と な る。 こ ゝに,Pは 上 記 のPF,PM,そ れ らの 中 間 的 エ コ ー,及 び ノ イ ズ の音 圧 で あ る。Mは 受 波 感度,GRは ゲ イ ンで あ る。 このHに は,(1),(2)式 に見 られ る距 離 項 が 含 ま れ るの で,後 処 理 を 容 易 にす るた めTVG増 幅 器 に よ りそ れ を 消 去 す る 。単 体 エ コ ー に対 して は,「40logr」 のTVG(4)
群 体 エ コ ー に 対 して は,「20logr」 のTVG (5) が ふ さ わ し い 。GTF,GTMをTVG係 数 と 呼 ぶ 。 こ の 処 理 に よ り,単 体 エ コ ー の4010grのTVG出 力 は,(6)
(7)
群 体 エ コ ー の2010grのTVG出 力 は,(8)
(9)
と な る。Sv=nMTsは 群群 内 の体 積 散 乱 強度 で あ る。 個 体 推 定 は普 通ETF,個 群 推 定 はETMに 対 して処 理 を 施 して 行 う。 積 分 方 式 で は,多 くの ピ ング に対 す る エ コー を重 ね 合 わ せ る積 分 操 作 に よ り,全 ての エ コ ー を見 掛 け上 群 体 エ コ ー と等 価 とす る。 した が っ て,TVG関 数 は,(5)式 の 2010gr特 性 で あ る。 単 体 エ コ ーに 対 す るTVG出 力(10)
と,(8)式 のETMな ど に 対 し, (11) の処 理 を 行 う。 〈8v>を 平 均 体 積 散 乱 強 度 と呼ぶ 。Qは ピ ン グに つ い て の積 分 周 期,rwは 積 分 層 幅 で あ る。 E2Tと 、して(10)式を代 入 す る と (12) が得 られ る。nFは 分 散 した魚 の 分 布 密度 で あ る。(8)式を 用 い る と, (13) が 得 られ る。 こ ゝに,S=rwQ,SMはSの う ち 群 体 エ コ ーが 現 わ れ た 範 囲 で あ る。 3. 推 定 方 法 本 シ ス テ ムの た め に い くつ か の 新 た な 推 定 方 法 を 開 発 した。 ま た,従 来 か らの 方 法 につ い て は 高 度 化 も し くは 使 い易 く した。 表1に 推 定 方 法 の 一 覧 を 示 す。 便 宜 の た め,各 方 法 を英 大 文 字3字 の 略号 で呼 ぶ 。このよ うに 多 く の 方 法 を 適 用 で き る と こ ろか ら,本 シ ス テ ムを 多 目的 計 量 魚 探 シス テ ム と呼 ぶ 。 以 下 この 表 に従 い,新 た に開 発 した方 法 を主 と して説 明す る。 図1 計 量 魚 探 機 の ブ ロ ック 図84
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3.1 個 体 推 定 (6)式に お け るKFは 校 正 に よ り決 め る こ とが で き る か ら,D4Tsの レベ ル を 表 示 す る こ と に よ って,簡単 なTS 推 定 が 行 え る(TSS法)。TSを 知 るた め に は,指 向性D の 影 響 を除 か な けれ ば な らな いが,表 示 上 の魚 の分 布 状 況 か らほ ぼ体 長 の そ ろ っ た魚 が 一 様 に分 布 して い る と判 断 で きれ ば,大 き い エ コー レベ ル を読 む こ とに よ り,大 体 のTSを 知 る こ とが で き る。 正 確 にDの 影 響 を 除 くた め に,同 一 周 波 の広 ・狭2ビ ー ムの レベル 差 を用 い る デ ュアル ビーム法,4)受波 の際 に 2対 の2ビ ー ム間 の位 相 差 か ら角 度 を 求 め る ス プ リ ッ ト ビー ム法5}が 用 い られて い る。 本 シス テ ムで は ,2周 波 を 有 効 に用 い る こ とを 特 長 とす るの で,こ れ らの方 法 を 適 用 す る に は複 雑 に な り過 ぎ る。 そ こで,高 周 波 ・狭 ビ ー ムの エ コ ーが 設 定 した レベル 以 上 の と こ ろ で,低 周波 ・広 ビー ム の エ コ ー レベ ル を読 む 又 は表 示 す る こ と に よ り,デ ュ アル ビー ム法 に近 い方 法(準 デ ュ ア ル ビー ム法, TSD法)が 使 え るよ う に した。 この 場 合,高 周 波 ・狭 ビ ー ムは ,低 周波 ・広 ビームの指向性主軸を検知す るため に使 わ れ る。 TSの 値 は,体 長Djの2乗 に ほぼ 比 例 す る。 従 って (14) とあ らわ せ る。6)7)TScmは,Lにcm単 位 を用 い た場 合 の 規 準 化TSで あ る。図2に,こ のTscmの 値 を 体 長 と波 長 の 比L/λ に対 して 示 した 。 この 図 は 理 論 と実 測 とに よ ひよう って 得 た8)。有標 魚(浮 き袋 を 有 す る魚)のL/λ が 小 さ い 所 で は,標 の 共 振 特 性 が あ らわ れ,そ の ピー クは 深 度 によ って 異 る。L/λ が 大 き い と,魚 の姿 勢(ピ ッチ角) の影 響 でTSが 変 動 す る。図 中MAXと したの は最 大TS , (-5,15)と した の は,ピ ッチ角 が5° 頭 を 下 げ た 状 態 を平 均 と し,標 準 偏 差15。 で あ ば れ る場 合 の平 均TSで あ る。 無 標 魚 に っ い て は,L/λ 〓2が レ イ リー領域 と幾 何 領 域 の 境 に な る。 上 記 の方 法 で 得 られ たTSの 推 定 値 を,TScmを 与 え る ことによ り体 長 に変 換 す る こ とが で き る。 記 録 又 は 表 示 上 に三 日月 形 にあ らわ れ る エ コ ー トレー ス の 長 さを も と に,エ コ ー ト レー スが 出 始 め る ス レ ッ シ ョル ドビ ー ム角 を 求 め れ ば,(6)式 に よ り平 均TSを 推 定 で き る(TSL法)9)1)。 ま た,こ の ビー ム角 か ら サ ンプ ル体 積 を 求 め る こ とが で き るか ら,エ コ ー ト レー スの あ る範 囲 で の計 数 値 を この体 積 で 割 る こ とに よ り,分 布 密 度 を 知 る こ とが で き る(CTR法)9)1)。CraigとForbes10)は, TSの 大 き さ ご と に 密 度 を 推定 す る方 法 を 考 案 した。 こ の方 法 で は,あ らか じめ指 向特 性 の レベ ル ご とに サ ンプ 表1 推 定 方 法 一覧図2 海洋生物 の広 域散乱特性
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85 ル 体 積 を 求 め て お き,そ れ と(6)式のD4Tsの 頻 度分 布 を 利 用 す る(CFR法)。 これ らは従 来 か らの方 法 で あ るが, 本 シ ス テ ム で は,指 向 特 性 を 軸 対称 とす る こ と,表 示 を ス テ ップ 化 す る こ と,ロ グマ ー ク(距 離 マ ー ク)を 付与 す る こ とな ど に よ って,こ れ らの方 法 を 使 い 易 く した。 図2か ら,推 定 対 象 が有 魚票魚 の 成 魚 の 場 合,魚 探 周 波 数 で はL/λ>1と な る(25kHzでL=6cmの 場 合 が L/λ=1)か ら,TSの 周 波 数差 が 少 な く,そ の 意 味 で は幸 い で あ る。 しか し,小 魚 や プ ラ ン ク トン等 も対 象 と した い か ら比 較 的 高 い 周 波 数 が必 要 に な る。 ま た,成 魚 に対 す る推 定 で も,そ れ らが 混 入 す る場 合 が 多 い の で, それ らの識 別 も重 要 で あ る。 よ って,2周 波 の 比 を4倍 と大 き く し,TSの 周 波 数 特性 を積 極 的 に 利 用 す る方 法11) (2周 波 測 定)を 簡 単 に使 え る よ うに した。 簡単 に は, (6)式のKFを2周 波 で 同一 に設 計 ・調 整 し,TSS法 でTS を求 あ,比 較 す る。 ま た,TSD法 と 同 様 に,高 周 波 に よ る エ コー の 大 き い所 で 両 周波 の エコ ー レベ ル の 差 を 表 示 す れ ば良 い(TSF法)。 図2に よ っ て,そ の差 か ら大 体 の 体 長 が 分 か る。 図2に 示 した よ うに,TSは 魚 の 姿 勢 に よ って 大 き く 変 動 す る。 ま た,魚 の行 動 は魚 種 判 定 の上 で も有 用 な情 報 で あ る。 そ こで,筆 者 らは エ コー トレー ス の型 と トレ ー ス上 の 各 点 で の エ コー レベ ル とか ら,TSの 姿 勢 特 性 や 魚 の行 動 を 推 定 す る方 法 を 開発 した(ETA法)。 詳 し く は既 に報 告 した 。12) 3.2 個 群 推 定 (8)式で,KMは 校 正 に よ り求 ま るか ら,群 内 のSVが 測 定 で き る(SVS法)。(8)式 は,エ コー 合 成 が十 分 に行 わ れて い る とき の み 成立 す る。 従 って,エ コ ー合 成 に寄 与 す る魚 の数 が大 き い 時 に可 能 で あ る か ら,ビ ー ム を広 く,パ ル ス 幅 は大 き くす る。 等 価 指 向角 は,実 際 に は 魚 の分 布 の 関数 で あ り,D4を 魚 の 存 在 す る立 体 角 範 囲 ω に つ いて 積 分 し (15) で 得 られ る13)。一般 に は,ω=2π と して全 域 に魚 が い る と した値 を用 い ざ る を得 な い。 従 って,正 確 な群 内 の SVを 推 定 す る ため に は,寄 与 率 (16) が 例 えば0.9と な る ビ ー ム 角(90%ビ ー ム 角 θ90)より大 き い魚 群 に つ い て測 定 を行 う。 しか し,実 際 の魚 群 像 は ビー ム の 開 き に よ り水 平 方 向 に拡 大 さ れ る の で,正 確 な魚 群 の輪 郭 は分 か らな い。 そ こで,高 周 波 ・狭 ビー ム の エ コー が あ る設 定 レベ ル以 上 で,低 周 波 ・広 ビ ー ムの エ コー レ ベ ル を 表 示 す る 方 法 (SVR法)に よ り,レ ベ ル と輪 郭 の 両者 が よ り正確 に読 み 取 れ るよ う にす る。 ・ 高 周 波 ・狭 ビ ー ムの エ コー 又 は 上記 のSVR法 に よ る 魚 群 の 輪 郭 か ら,魚 群 の 大 体 の 体積 が 推定 で きる(VLE 法)。 魚 群群の 幅Wと 高 さHを 読 み,円 筒 近 似 の 場 合 は (17) に よ り体 積 を 推 定 す る9)。SVSやSVR法 で 得 られ た 群 内 のSVを,TSで 割 り,こ の体 積 を 乗 ずれ ば 群 れ の魚 量 が 分 か る。 高低 両 周波 に よ るSVの 差 を表 示 すれ ば,密 度 は 同 じ で あ るか ら,TSの 差 が 分 か る(SVF法)。TSF法 と 同 様 に魚 種 の判 別 や小 魚 の体 長 推 定 に用 い られ る。 ま た, この 両方 法 に よ り,ほ とん どす べ て の 場 合 の 分 布 につ い て TSの 周 波 数 差 が 分 か る。 3.3 広 域 推 定 積 分方 式(EIS法)は,魚 群 の分 布 状態 に か か わ らず 適 用 で き るか ら,広 域 の能 率 の良 い 推定 に 向 く。 しか し, この方 法特 有 の 問 題 点 もあ るの で,い くつ か の工 夫 を行 った。 (11)式の 積 分 結 果 を 概 念 的 に 書 け ば, (18) とな る。 最 初 の2項 は,(12,(13式 で 示 され る 平 均SVで あ り,〈Sγ〉FMは 中 間 的分 布 を す る魚 のSV,〈Sγ〉s は,プ ランク トン層 などの不 要 散 乱 体 によ る寄 与,〈Sv〉N は雑 音 に よ る寄 与 で あ る。 雑 音音 圧 をPNと すれば,TVG 出 力 は,(3),(5)式 か ら (19) とな り,こ れ と(11)式に よ り 〈Sv〉.が 得 られ る。8)積分 方 式 で は広 域 に積 分 す る ため,い か に 〈Sv〉sと 〈Sv〉N とを 除 くか が 重 要 と な る。 これ を 行 うの が,ス レ ッシ ョ ル ド処 理 と選 別 処 理 で あ る。 本 シ ステ ムで は,こ れ らの 処 理 を 正 確 に行 え る よ う に した 。 ス レ ッ シ ョル ド処 理 は,TVG電 圧 に対 して 行 わ れ る。 TVG電 圧 は,距 離rに 対 して,(8)式 の 群 体 エ コ ーで は 平 坦,(10)式 の単 体 エ コ ーで はr-1,(191式の雑 音 で はrexp (2αr)の 特 性 とな る。そ こで,ス レ ッシ ョル ド電 圧 を 関 数 と して 与 え,プ ラ ンク トン層 な どの 散 乱 層 を 切 る ため に は平 坦,単 体 エ コ ーを 極 力 取 り入 れ る ため に はr-1, 雑 音 の 寄 与 が 大 き い場 合 に はrの 特 性 を 選 べ る よ う に し た。86
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選 別 処 理 を 有 効 に行 え る よ う にす る た め,2段 階 積 分 方 式(EI2法)を 開 発 し た。3)図3にそ の 概 念 図 を示 す 。 1段 階 目の 積 分 で は積 分 メ ッ シュ((11)式のrw×Q)を 小 さ 目 に し,2段 階 目で は その 結 果 に取 捨 選 択 又 は重 み 付 けを 行 って 平 均 す る。2段 階 目で は,記 録 な ど と照 合す る必 要 が あ る ので,後 処 理 と な る。 しか し,現 場 で大 体 の 量 の 分 布 を把 握 した い。 そ こで,大 メ ッ シ ュ と2段 階 積 分 用 の 中 メ ッ シュの 積 分 が 並 行 して行 え る よ うに,2 重 に積 分 が 行 え る方 式 と した。 魚 の大 体 の分 布 を即 時 に把 握 で き る よ うに,上 記 の大 メ ッ シュ積 分 結 果 を オ ンラ イ ンで 資 源 量 マ ップ と して表 示 す る方 法(MAP)を 開 発 した 。(11)式をrw〈8v〉 と し, す べ て の 積 分 層 につ いて この 和 を 取 る と,こ れ は 単 位 海 面 当 りの 分 布 密 度 に比 例 す る。 これ を カ ラ ム散 乱 強 度 又 は 面 積 散 乱 強 度9)(SA)と 呼 び,魚 の 分 布 を 見 るの に有 効 に使 う。 マ ップ上 に は,こ のSA,SVの 深 度 分 布, 時 刻,水 温 な どが 航 跡 上 に逐 次 プ ロ ッ トされ る。 4. 計 量 魚 探 シス テ ム 計 量 魚 探 機 の一 般 的 設 計 方 法 は別 に報 告 す る8)。ま た, 本 シス テ ム の 具 体 的 設 計方 法 は既 に 報 告 した1)。こ こで は, 設計 の 要 点 を 示 す 。 図4は 計 量 魚 探 機 の 基 本設 計 の た め の 汎 用 図 で あ る。 こ れ に よ り,周 波 数 と送 受 波器 の径 な どを 決 め る。 単 体 エ コー に 対 す るSN比(SNF)を ,送 受 波 器 の直 径(2 a)と レ ンジ(aは100m,bは200m)を パ ラメ ー タ と し,周 波 数 に 対 して プ ロ ッ トす る。 他 の変 数 は典 型 的 な 値 を用 い る。 ま た,一 定 ビー ム 幅(Bw)曲 線 を 点 線 の よ う に重 ね描 き す る。 図 の影 を施 した部 分 は,誤 差 や 実 用 性 を考 え た場 合 に,本 シス テ ム に適 当 な範 囲 で あ る。 2周 波 に対 す る設 計 点 を 図 中 の丸 印 の所 に決 め た。 高 周 波(100kHz)は 誤 差 の 面 で は問 題 が あ るが,周 波数 間 比 較 や プ ラ ンク トン等 の 推 定 も行 え るよ うに 高 め に選 ん だ。 低 周波(25kHz)は,誤 差 が 極 力小 さ くな る点 に 選 ん だ。 小型 ・軽 量 化 し,高 周 波 と の ビー ム 幅 の差 を大 き く取 らな けれ ば な らな い の で,設 計 点 はSN比 の低 い 所 に な る が,200mま で は測 定 で き る。 (7)式のKFを 両 周 波 数 で そ ろえ る た め,KTRとGTFを 両 周波 で 同 じ とす る。 ま た,(9)式 のKMを 両 周 波 で そ ろ え る た め,添 字Hを 高 周 波,Lを 低 周 波 と して図3
2段 階積分方式の概念
図4 設 計 の 汎 用 図 。 影 の 部 分 が 適 当 な 範 囲 。 ○ 印 が 設 計 点 。海 洋音 響研 究会 誌16巻 第2号
87 (20) とす る。ETM〓ETFと し,GTFとGTMを 適 切 に選 ん で, 受 信 系 の 直線 範 囲 が有 効 に使 え,オ ーバ レ ンジの 心 配 を 少 な く した1も 表2に,以 上 の 議 論 を 基 に した 設 計 例 を 他 の 諸 元 と共 に示 した 。 図5に 本計 量 魚 探 シ ス テ ムの ブ ロ ッ ク図 を 示 した。 以 下 各 ブ ロ ッ クを 説 明 す る。 送 受 信 器 は,融 通 性 を 持 たせ る ため,記 録 機 と独 立 に 送 受 信 を 行 う。2周 波2種 合 計4種 のTVG出 力 が,各 表 示 処 理 装 置 に送 られ る。 PCM録 音 機 は,4種 のTVG出 力 を 魚 探 機 の設 定 パ ラ メ ー タ と と もに収 録 し,そ の 再 生 出 力 は後 口の 詳細 な 分 析 に用 い ら れ る。 段 階 式 記 録 機 は,300mm幅 の 乾 式 記 録 紙 を 用 い,大 容 量 メ モ リを 用 い る こ とに よ り,精 細 な表 示 を 行 う。 定 量 的 推 定 に 必 要 な 設 定 感 度 やTVGモ ー ドな ど の す べ て のパ ラメ ー タは,余 白 に マ ー カ と して 示 され る。 エ コ ー積分 器 か らの 積 分 デ ー タや位 置情 報 な ど も書 き込 ま れ る(図6参 照)。 絶 対 レベ ル の読 み取 りは, (21) に よ って 行 う。 この 式 は,(6),(8)式 を 変 形 し,機 器 係 数 KAを10dB単 位 に な る よ うTVG係 数 に補 正 を行 って 得 られ る。SSは 設 定 感 度 で あ り,マ ー カ ー に よって分 か る。 ELは エ コ ー レベ ル で あ り,6又 は3dBス テ ップ で,濃 度 パ タ ー ン との 比 較 に よ って読 め る。 従 って,記 録 か ら 容 易 にTS(但 し(6)式のD4Tsの 値)及 び群 内 のSVが 暗 算 で 求 ま る。 カ ラ ー エ コ ー画 像 処 理 装 置 は,記 録 機 の 機能 を,高 精 細 度 カ ラ ーCRTと 大 容 量 メモ リを 用 い る こ と によ って 高 度 化 した もの で あ る2)。図7に 示 した よ う に,管 面 左部 に使 用 モ ー ドと,レ ベ ル又 は 値 の 読 み 取 り用 の カ ラ ーパ タ ー ンが 表 示 され る。 例 え ば,図7の 例 で は,L1.0,l,表2 設
計
例
図5 多 目 的計 量 魚 探 シス テ ム の ブ ロ ッ ク図 図6 記 録 例 。200mレ ンジ で20logr出 力 を 表 示 して い る。 上 は 低 周 波,下 は高 周 波 。-SA,-SVな ど も 表示 して い る。88
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cmと な って い る が,こ れ は低 周波,パ ル ス 幅1msで TSSモ ー ドで体 長 表 示 を 行 って い る こ とを 示 す 。TSD, TSF, SVR (VLE), SVF法 用 の モ ー ドで は,2周 波 の信 号 に 自動 処 理 を 行 うの で,直 接 最 終 的 な 画 像 が 得 ら れ る。 ま た,各 種 の 拡 大 モ ー ドを 持 つ 。 特 に 「ウ ィ ン ド ゥ拡 大 」 で 部 分 的 に拡 大 した画 像 は,ETA法 に 有 効 に 活 用 で き る12)。これ らの 画 像 は,熱 転 写 型 の カ ラー プ リ ン タ に よ って ハ ー ドコ ピーで き るの で,記 録 機 の代 替 とな る。 エ コ ー積 分 器 に は,3.3で 説 明 した特 長 を持 た せ た。 図8に ブ ロ ック図 を示 す。 ス レ ッ シ ョル ドをSV値 を 使 って 掛 け られ る よ うに す る た め,ETのAD変 換 直 後 に (11)式にお け る係 数 処 理 を行 い,ス レッショル ド処理 を行 った, 後,再 度 アナ ログ信号 に戻 して生信 号 と比 較 す る。図9に 内 蔵 プ リ ンタ に よ っ て打 出 され た設 定 パ ラメ ー タ(左)と 積 分 周期 ご との結 果(右)を 示 した。 ス レッ シ ョル ド関 数 はTHR.MODEで,そ のSV値 は100mで の値 が THR.SVで 設 定 で き る。2重2段 階 積 分 方 式 を 実 現 す るた め,積 分 層 と積 分 周 期 は 多 重 に 設 定 す る。INT. PERIODは 中 メ ッ シ ュ積 分 用 で あ り,こ の 例 で は0.5nm に 選 ば れ て い る。 中 メ ッシ ュ用 積 分 層 は,レ ン ジを50分 割 した 値 に 自動 的 に取 られ る。 中 メ ッシ ュ積 分 結 果 は, パ ー ソ ナル コ ン ピュ ー タの フ ロ ッ ピー デ ィス ク に収 録 さ れ,後 日の2段 目の 積 分 に用 い られ る。 一 方,INT. PERIOD-1∼3は 大 メ ッ シ ュ 用 にINT.PERIODの 倍 数 で 与 え る。1は,内 蔵 プ リン タ(図9右),2は 魚 探 記 録(図6),3は 資 源 量 マ ップ(図10)用 で あ る。 大 メ ッ シ ュ用 の 積 分 層 は,LAYERで10層 ま で設 定 で き る。 図10に オ ン ラ イ ンで 得 られ た資 源 量 マ ップ の例 を示 し た 。 実 際 には カ ラ ーで 表 示 され る。 低 高 両 周波 に つ い て のSA値 の 円 の 大 き さで,SV値 の 深 度 分 布 が 棒 グ ラ フ で,船 の 速 度 が ベ ク トルで,水 深 と レ ン ジが マ ー カ で, 時 刻 と水 温 とが 数 字 で 示 され る。 この マ ップ に よ って, 大 把 み な 分 布 の 把 握 が 行 え,調 査 コ ー ス の決 定 に も有 効 に使 え る。 5. 応 用 本 計 量 魚 探 シ ス テ ム を用 い た推 定 例 を示 す 。 文献1, 2,12,14に もい くつ か の応 用 例 を示 した。 5.1 個 体 推 定 図11は,魚 群 上 に停 船 して 得 たTSSモ ー ドの 記 録 で あ る。 第1記 録(200mレ ン ジ)を 海底 拡 大(20m幅) して 第2記 録 と して い る。 釣 獲 を した と ころ,多 数 の ウ 図7 カ ラ ー 表 示 の 例 。TSSモ ー ドで 部 分 拡 大 を 行 って い る 。 図8 エ コ ー イ ン テグ レ ータ の ブ ロ ッ ク図海洋 音響 研 究会誌16巻 第2号
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海洋 音響 研 究会誌16巻 第2号
ル メ イ ワ シ が 釣 れ,50尾 平 均 の 尾 又 体 長 は18.9cm(標 準 偏 差0.93cm),平 均 体 重 は74.2g(標 準 偏 差11.5g) で あ っ た 。 拡 大 部 分 を 見 る と,複 雑 な 軌 跡 を 描 く反 射 の 大 き い 魚 と,き れ い な 三 日 月 型 を 示 す 反 射 の 弱 い 魚 が 混 在 して い る こ と が 分 か る 。 前 者 のTSは,(21)式 に よ り, TS= -20 (Kj4)- 20 (SS)+ 0= -40dBと な り,図2 か らTScm= -65dBと す る と(14)式か ら体 長 が18cmと な り,釣 獲 結 果 と 良 く合 っ た 。 後 者 は,-55dB,3cm と な る の で,た ぶ ん ウ ル メ イ ワ シの 餌 と な る シ ラ ス の 類 と 考 え ら れ る 。 図7は カ ラ ー に よ るTSSモ ー ドの 表 示 例 で あ る 。 部 分 拡 大 を 行 っ て い る 範 囲 で は ほ ぼ 同 一 の 魚 が 分 布 し て い る と 考 え ら れ る か ら,大 き い レ ベ ル を 読 ん で,体 長 が32∼ 45cmと 推 定 で き る 。 図12は,TSD (上 側)とTSF (下 側)の 例 で,カ ー ソ ル の 左 下 の エ コ ー を 「ウ ィ ン ド ゥ 拡 大 」 で4倍 に して い る 。 体 長 は10∼12cmで,TSの 周 波 数 差 は ±1.5dB以 内 な の で,図2か ら イ ワ シ 等 の 有 鰾 魚 と 考 え られ る(L /λ は25kHzに 対 し約2,100kHzに 対 し約8で あ る)。 図10 資 源量 マ ップ の 例 図11 単 体 エ コ一 の 記 録 例 。 上 は200mレ ン ジ,下 は 20m幅 の 海底 固 定 拡 大。海 洋音 響研 究 会誌16巻 第2号
91 5.2 個 群 推 定 図13に 個 群 記 録 の例 を示 す。 この 例で は,VLE, SVR, SVFの 各 方 法 が 使 え る。 上 部 が25kHz,下 部 が100 kHzに よ る記 録 で,レ ン ジは 左部100m,右 部50mで あ る。 表3に 記 録 中 に ラベ ル を付 した各 魚 群 につ いて の デ ー タ を ま とめ た 。Wと しては高周波 の値を用い る。群内 のSVは 誤 差 の 少 ない低 周 波 の 値 を 用 い るが,そ の場 合, 3.2で 述 べ た よ う に ビー ムの 開 き2rθ90Lよ り 小 さい 魚 群 のSVは 測 定 で き な い が,体 積 の値 か ら見 て こ れ を無 視 す る誤 差 は ご く僅 か で あ る。 魚 種 及 び魚 体 長 は不 明 で あ るが,こ の記 録 は図11を 得 た付 近 で 得 られ た か ら,そ こで の サ ンプ ル体 長 を 用 いて(14)式か らTSを 求 め,分 布 密 度 に換 算 した。 個 群 の エ コ ー レベ ル は両 周波 で ほ ぼ等 しい が,小 魚 群 で は 高 周波 がや ゝ高 い。 こ れ は,寄 与 率 が低 周波 で低 くな るた め で あ ろ う。 プ ラ ン ク トン層 又 は 躍層 の 出方 が 周 波 数 に よ って大 き く異 な る。 図14は,カ ラー によ る個 群 及 び 散乱 層 の 例 で あ る。(a) はSVSモ ー ドで,上 部 が 低 周 波,下 部 が 高 周 波 で あ る。 前 図 同 様 両 周 波 のKMを(20)式 に よ りそ ろえ て い るの で, 周 波 数 差 が 分 か る。 低 周 波 で は,30m付 近 と2つ の 魚 群群 の 下 部 と に単 体 エ コ ーが あ らわ れ て い る。 高 周 波 で は, 低 周 波 に は な い層 状 の エ コ ーの 方 が 強 くあ らわ れ て い る。 塊 状 の魚 群群 のSVは,低 周波 で 一50dB程 度,高 周 波 で -32dB程 度 と読 め る(SVS法)。(b)は 同 じ対 象 に対 し て,SVRモ ー ド(上)とSVFモ ー ドを 適 用 して 得 た 。 図12 TSDモ ー ド(上)とTSFモ ー ド(下)の 表 示 例 。 カー ソ ル の左 下 が4倍 に ウ ィ ン ドウ拡 大 さ れ て い る。 図13 個 群 記 録 の 例 。 左100mレ ン ジ,右50mレ ン ジ 。表3 個群推定の結果
2rθ90L=14m SS= 30 dB KA= -20 dB 体 長18.9cm 体 重74.2g TS = -39.5 dB 図14 SVSモ ー ド(a),SVRモ ー ド(b上),SVFモ ー ド(b下)の 表 示 例92
海 洋音 響研 究 会誌16巻 第2号
SVRモ ー ドで は,魚 群 周 辺 部 が 明確 とな り,体 積 推 定 やSV推 定 が 行 い 易 い。SVFモ ー ドに よ る と,塊 状 の 群 れ で は18dB高 周 波 が 高 く,層 状 の 分 布 で は 差 が30dB に も及 ぶ こ とが 分 か る。 図2か ら2周 波 の 差18dBは, 無鰾 の 特 性 に しか な く,高 周 波 に 対 す るL/λ が ほぼ2の 所 で あ る。100kHzの 波 長 は1.5cmで あ る か ら,体 長 は 約3cmと 計 算 さ れ る。 も し,レ ー リー散 乱 す る散 乱 体 で あ れ ば,2周 波 の 差 は44=24dBと な るは ず で あ る。 層 状 の 分 布 で は,こ の 差 以 上 の 差 が あ るか ら,図2の 有 鰾 の 特 性 で 高 周 波 に 対 す るL/λ が0.1よ り若 干 小 さい 所 で あ る。 上 記 と同 様 に大 体 の 体 長 を 求 め る と0.15cmと な る。 この よ う に,散 乱 の 周 波 数 差 か ら魚 種 推 定 の 情 報, 大 体 の 体 長 等 が 分 か る。 5.3 広 域 推 定 犬 吠 崎 近 海 は,三 陸 ・常 磐 の 沿 岸 あ るい は沖 合 域 を 南 下 回 遊 して き た マサ バ が,主 産 卵 場 で あ る伊 豆 諸 島 海 域 へ と移 動 す るま で の 一 時 期 に滞 泳 も し くは越 冬 す る場 所 と して 重 要 で あ る。 そ こで,毎 年,本 計 量 魚 探 シ ス テ ム を 用 い て,こ の海 域 を通 過 す るマ サ バ の 資 源量 や組 成 を 推 定 し,そ の変 動 を 予測 して い る 。 こ ゝで は,1985年11 月29日 か ら12月1日 に か け て 行 った 資 源 量 の 推 定 結 果 に つ い て述 べ る14)。 方 法 は次 の 通 りで あ る。(1)2段 階 積分 方 式 とす る ため, 中 メ ッ シ ュ用 の 積 分 周 期 は0.5nm,積 分 層 幅 は10m(10 ∼100mま で)と 20m (100∼200mま で)と 比 較 的小 さ く と る。(2)図15に 示 した よ うに,ス テ ー シ ョ ン(・印) を 決 め,グ リッ ド走 航 す る。 魚 の 多 い 所 で は停 船 し,主 にTSD法 に よ るTS推 定 と釣 によ るサ ン プ リ ン グ を 行 う。(3)積分 結 果 のSV値 を記 録 と照 合 しつ つ 選別 す る。 す な わ ち,明 確 に魚 と判 断 され る も の(塊 状,記 号M), たぶ ん魚 と考 え られ る もの(不 定 形,F),プ ラ ンク トン 等 の散 乱 層(P),い ず れ か不 明 の もの(X)に ふ る い分 け る。(4)各積 分 周 期jご との 面 積 散 乱 強 度 を (22) に よ って 求 め る。i=1∼1は 積 分 層 番 号,rwiはi層 の 積分 層 幅,Svijはj周 期i層 のSV値 で あ る。Wijは 選 別 によ る 重 み で あ り,上 記 のMの み1(M型), MとF で1(MF型), Mと Fと Xで 1(MFX)の3種 と し,こ れ 以 外 は0と す る。(5)ステ ーション間 の 全 周 期 に対 し この SAjを 平 均 し8Aと し,図 の よ うに8Aの 分 布 図 を 作 る。この 図 はMFX型 の 例 で あ る。(6)全域 につ いて,8Aを 平 均 しSIAを 得 る。(7)TSの 推 定 結 果 と,サ ンプ ル の体 長 を (14)式でTS値 に 換 算(TScm=-66dB7))し た結 果 と を総 合 的 に判 断 して,使 用 す るTS値 を 決 め る 。 今 の 場 合 TS=-40dBと な った。(8)SAをTS値 で 割 り平 均 面 積 密 度naを 得 る。(9)図の 枠 内 の 調 査 海 面 面 積 を π、に乗 じ, 資 源 尾 数 を 求 め る。 ま た一 尾 当 りの 平 均 体 重 を乗 じて総 トン数 を 求 め る。 な お,図 中 のSA値 は上 段 が 低 周 波, 図15 犬 吠 沖 に お け る 面 積 散 乱 強 の 分 布 。 -SA〔dB〕 を 示 し,上 段低周波,下 段高周波。
表4 現存量推 定結果
海洋 音響 研 究会誌16巻 第2号
93 下 段 が 高 周 波 に対 す る値 で,負 号 を略 した。 ま た,大 き さ に応 じて○ 印等 を 付 した。 表4に 推 定 結 果 を 示 した。 この 表 と図 か ら以 下 の こ と が 分 か る。200m等 深線 に 沿 った ス テ ー シ ョン3∼4, 7∼8,10∼11に 魚 量 が 多 い 。 高 周 波 と低 周 波 とを 比 べ る と,高 周 波 が 約2割(1dB)低 く,こ れ は 図2の TSの 周 波 数 特 性 と符 合 して い る。 選 別 方 法を 変 え る と, 結 果 も2∼6万 トンと大 き く変 る。 船 舶 騒 音 に よ る魚 の 逃 避 や ス レ ッシ ョル ド効 果 に よ る過 小 評 価 を考 え る と, MFX型 を選 ぶべ きで あ ろ う。.また,前 述 した よ う に,低 周 波 の方 が 正確 な推 定 が行 え る こ と,TSD法 に よ るTS の推 定 結 果 は低 周 波 に よ る もの で あ る こ とか ら,低 周 波 に よ る値 を 採 用 すべ き で あ る。 よ って,現 存 量 は6万 ト ン と推 定 で き る。 6. お わ り に 以 上,多 目的 計 量 魚 探 シス テ ム の全 容 に つ い て述 べ た。 この シス テ ム は既 に数 台 実 用 に供 され,調 査 や研 究 に 用 い られ て い る。 ま た,こ の シス テ ム を 基 に デ ュア ル ビ ー ム 法 も取 り入 れ た 大 規模 な計 量 魚 探 シ ス テ ムは,現 在 ア リュー シ ャ ンの スケ ソ ウ ダ ラの 日米 共 同 音 響 調 査 で 用 い られ て い る15)。 これ か らの音 響 資 源 調 査 は,漁 獲 対 象 とな る 成魚 の現 存 量 調 査 か ら,プ ラ ンク トン調 査 や 生 態 調 査 を含 む ダ イ ナ ミ ック な も のへ と移 行 す る と思 われ る。 そ の 際 に は, 本 シス テ ム の よ うな多 目 的 な計 量 魚 探 シス テ ム が不 可欠 とな ろ う。 本 シス テ ム の 送 受 信 部 と記 録 表 示 部 は 海 上 電 機(株) に製 作 して 頂 い た。 同 社 の 大 久 保 輝,山 谷 恭 三,根 本 喜 久 郎 の 各 氏 に感 謝 致 します 。 ま た,積 分 部 は 日 本 無 線 (株)に 製 作 して 頂 い た。 同社 の 河 口真 一 郎 氏 に 感謝 致 しま す。 元 鹿 児 島大 学 の間 庭 愛 信 教 授,東 海 区水 研 蒼 鷹 丸 の山 中完 一 船 長以 下 船 員 の方 々,南 西 海 区水 研 の花 岡 藤 男,古 藤 力 の各 氏 か ら御 支 援 を頂 い た 。 記 して 感 謝 致 しま す 。 参 考 文 献 1) 古 澤 昌 彦,宮 野 鼻 洋 一,"多 目的 計 量 魚 群 探 知 機", 水 工 研 報 告6,253-266(1985). 2) 古 澤 昌彦,大 久 保 輝,山 谷 恭 三,根 本喜 久 郎,"計 量 魚 探 エ コー の 画 像処 理",信 学 校 報US87-26,35 -42(1987) . 3) 古 澤 昌彦,宮 野鼻 洋 一,高 尾 芳 三,河 口真 一 郎"魚 量 推 定 に お け る2段 階 エ コ ー積 分 方 式",海 音 研 講 論 集,13-16(1988).4) J. E. Ehrenberg,
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5) K. G. Foote, E. H. Kristensen,
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7) 宮 野 鼻 洋 一,石 井 憲,古 澤 昌 彦,"魚 体 の 背 方 向 タ ー ゲ ッ ト ス ト レ ン グ ス の 測 定 と 解 析",海 音 研 誌13 (4),169-175(1986).