活 性 炭 カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ ブ ィ ー に よ る水
飴 中 の グル コー ス と マ ル トー ス の分 別 定 量 法
黒 川 守 浩* 大 橋一二**
松 原 弘 道** 山 崎 智 津 子*
(昭和46年7月15日 受理)
Determination
of Glucose
and Maltose
in Starch
Syrups
by Carbon
Column
Chromatography
Morihiro Kurokawa*,
Kazuji Ohashi**, Hiromichi
Matsubara**
and Chizuko
Yamazaki*
* Sumire women's
Junior College. Miyade-cho,
Naka-ku,
Nagoya :
** Department
of Agricultural
Chemistry,
Faculty
of Agriculture,
Gifu University.
Nakacho,
Kagamihara,
Gifu.
We divised a simplified analytical method based on fractional quantitative determ ination proposed by Patterson and co-workers. While using commercial decolorizing
activated carbon, we established conditions for a carbon column which can be oper ated under pressure at room temperature and examined the accuracy of fractionation on this column. We then proposed GV (Glucose Value) and MV (Maltose Value) to be calculated from the amounts of glucose and maltose fractionated under the above-mentioned conditions as indicators of the quality of starch syrups.
(1) With the aid of a carbon column consisting of a mixture of 5 g of activated carbon and 5 g of celite (No. 535) as an adsorption layer, glucose was recovered in a fraction eluted with 150 ml of water and maltose in a fraction eluted with 200-250 ml of 5 % ethanol. The reproducibility of this method was within •}0.5 .
(2) The values of GV and MV were determined for a variety of starch syrups. Acid-hydrolyzed syrups and malt-hydrolyzed syrups gave roughly constant MV of 31.2 and 121.9 respectively on the average. On the other hand, GV increased in proportion to DE in the case of acid-hydrolyzed syrups but it remained in the range of 5-10 in the case of malt-hydrolyzed syrups.
緒
言
澱 粉 の加 水 分 解 産 物 で あ る水 飴 の糖 組 成 は,そ の分 解 方 法,分 解 の程 度 の差 異 に よ り種 々な 組 成 を 示 す 。 我 国 の商 習慣 で は水 飴 の糖 分 は 通 常DE(又 はME)によ っ て 示 され る が,こ れ は水 飴 中 の還 元 糖 を グ ル コー ス(又 は マル トース)と して表 示 す る も の で あ る の で,同 一 の DE(又 はME)を 示 す もの で も品 質 の全 く異 な った製 品 が 出来 る とい う不 合 理 な 面 を 有 して い る。 然 る に最 近 で は従 来 の酸 糖 化 水 飴,麦 芽 水 飴 に加 えて 各 種 の酵 素 剤 を使 用 して糖 化 した 水 飴 が 市 販 され る よ うにな り,多 様 化 す る水 飴 の性 質 をDE(又 はME)の み で 知 る事 は き わ め て 困難 で,水 飴 中 の グ ル コー ス と マル トー ス の 分 別 定 量 法 が 必 要 で あ ろ う と思わ れ る。 この 水 飴 中 の グル コ ー ス とマ ル トー ス の 分 別定 量 法 には,酵 母 に よ る発 酵 法 1)2)ペーパー ク ロマ トグ ラフ ィー3)4)カ ラム ク ロマ トグ ラ フ ィ―5),ガ ス ク ロマ トグ ラフ ィー法6)な どが あ るが, この うち カ ラム ク ロマ トグ ラ フ ィー法 で は活 性 炭7)8),イ オ ン交 換 樹 脂9),澱 粉10)な どを 用 い る報 告 が み られ る。 こ の カ ラム ク ロマ トグ ラフ ィー法 に よる分 別 定 量 法 は最 も正 確 で,操 作 も割 合 簡 単 で あ る が,こ の うち殊 に活 性 炭 を 用 い る活 性 炭 カ ラム ク ロマ トグ ラフ ィー法 は実 用性 の面 で も優 れ て い る と思 わ れ る の で,Pattersonら の方 法7)を 更 に簡 便 化 し,市 販 脱 色 用活 性 炭 を そ の ま ま 用 *す み れ女 子 短 期 大 学(名 古 屋 市 中 区宮 出町52) **岐 阜 大 学 農 学 部農 芸 化 学 科(岐 阜 県 各 務 原市 那 加 町)(2)
澱 粉 工 業 学 会 誌 第18巻 第4号(1971) い,室 温 で操 作 出来 る条 件 を 設 定 し,そ の分 別 精 度 な ど を 求 め た 。 又,こ の方 法 で得 た グル コ ー ス,マ ル トー ス の%をDEで 除 した 値 が 水 飴 の種 類 に よっ て特 徴 的 に表 わ れ る事 か ら,こ れ らの 値 をGV(Glucose Value), MV (Maltose Value)と して表 示 すれ ば,水 飴 の性 質 が 一 層 明 確 にな る と考 え られ るの で これ らの 値 を 新 指 標 と して 提 案 す る。実 験方法
1.実 験 装 置 活性 炭 カ ラム ク ロマ トグ ラ フ ィー の装 置 は 第1図 に示 した 。活 性 炭 は 白 鷺 印 脱 色 用 活 性 炭(武 田 薬 品 工 業 製) を前 処 理 を施 さず,そ の ま ま用 い,室 温 で 操 作 す る事 と し,吸 着層 の 上 に 直 接 試 料 溶 液 を 注 い で 吸 着 を 行 な わ せ た後,展 開 液 を注 加 す る方 法 を と った 。又,吸 引 ポ ン プ に よる吸 引法 に代 え て二 連 球 に よる加 圧 法 を 行 な っ た が,一 ケ の二 連 球 か ら2∼3本 の カ ラ ム の加 圧 が可 能 で,こ れ は非 常 に能 率 的 で あ っ た。 又,カ ラム は2.8× 25cmの もの を用 い,吸 着 層 は活 性 炭59と セ ラ イ ト (No.535)59と の等 量 混 合 物 を 用 い た 。 2.操 作 カ ラ ム の底 に脱 脂 綿 を つ め,水 で しめ らせ てお き,少 量 の セ ライ トを 水 に懸 濁 し て流 し込 み 排 水 す る。 次 に活 性 炭59と セ ラ イ トを5gよ く混 合 し,こ れ に水 を 加え てゆ るい 泥 状 に した もの を カ ラ ム に流 し込 む 。 二 連 球 を と りつ け て 静 か に加 圧 し,吸 着 層 を 沈 降 させ る。 この 際 ラカ ム に空 気 の間 隙 が 出来 な い よ うに均 一 に 充 填 し,カ ラム の水 が きれ な い よ うに注 意 す る。 上 層 部 に水 を約1mm残 した と ころ で,そ の上 に泝 紙 を お い て 静 か に お さ}つ け る。 下 部 に メ ス フ ラ ス コを お き,試 料 (水飴 を精 秤 した後,水 溶 液 と して用 い る)を 吸 着 層 上 に ピペッ トで入 れ る。 加 圧 し,液 が な くな る寸 前 に器 壁 を 少 量 の水 で洗 い流 す よ うに しなが ら吸 着 させ る。 吸 着 が 終 った ら所 定 量 に な る ま で水 で溶 出を 行 な い,グ ル コ ー ス を 回収 す る。 グル コ ー ス の 回収 が 終 った ら吸 着 層 上 に 残 った 水 を ピペ ッ トで と り除 き,5%エ タ ノー ル を 入 れ, 同 様 に加 圧 して 所 定 量 にな る ま で溶 出を 行 な い マル トー スを 回 収 す る。溶 出 速 度 は 毎 分 約3m1の 割 合 で 行 な う と操 作 し易 い 。水 お よび5%エ タ ノール 溶 出液 は一 定 量 に した後,そ の ま ま か,あ る い は適 当 に希 釈 して ソモ ジ ー法 に て定 量 を行 な う。実 験結果お よび考察
1.グ ル コー ス の 回 収 条 件 水 飴 中 に含 まれ る グル コ ー スを 回収 す る為 の条 件 と し て,活 性炭(59)に 対 す る試 料 水 飴 の割 合 と,展 開 に 用 い る溶 媒(水)の 量 の面 か ら検 討 を 行 な った 。 そ の結 果 は第1表 に示 した 。 尚,試 料 は市 販 酸 糖 化 水 飴(水 分 18.2%,DE39.9;水 分 は 済 紙 法11),DEは ソ モ ジ ー法 で定 量 した も の)を 使 用 し,表 中 の グル コー ス 量は 水 溶 出区 分 中 の 還 元 糖 を グル コー ス と して 表 わ し,試 料 固 形 分 に対 す る%に して 示 した もの で あ る。 こ の結 果 か ら,活 性 炭 に対 す る試 料 の割 合 が20∼30% の時 はい ず れ の 回収 量 で も他 に比 して過 大 な値 が得 られ た 。 又,こ れ らの 回収 液 を減 圧 濃 縮 後,ペ ーパー ク ロマ トグ ラ フ ィー(n一 プ ロ ピル アル コ ール:酢 酸 エ チル:水 =6:1:3で 上 昇 展 開 を 行 な いAHPで 発 色 した。 以 下 同 様,PPCと 略 す)に よ り糖 組 成 を み た と こ ろ,対 活 性 炭 が30%の 回 収 区 分 の 全 て と,20%一250m1,200m1 回 収 区 分 では グル コ ー ス の他,マ ル トー ス,マ ル ト トリ ー スの ス ポ ッ トが見 られ た 。更 に,回 収 を終 ったカ ラ 第1図 活 性 炭 カ ラム ク ロ マ トグ ラ フ ィー の 装 置 第1表 活 性 炭 カ ラ ムか らの 溶 出 還 元 糖(グ ル コ ー ス%)ム につ い て 展 開 溶 媒 を10%エ タ ノー ル に代 え,約150ml の溶 出を 行 なわ せ,こ の 回収 液 に つ い て同 様,減 圧 濃 縮 後 のPPCを 行 な った 結 果,対 活 性 炭10%,5%の そ れ ぞ れ100m1回 収 区 分 では グル コー スの スポ ッ トが現 わ れ, この 条 件 で は グル コ ー スの 回 収 が 不 完 全 な 事 が 明 らか に な った 。以 上 の 結 果 か ら グル コー スの 回 収条 件 は活 性 炭 に対 す る試 料 の割 合 が5∼10%(0,25∼0.5g)の 時, 又,水 によ る溶 出量 が150mlの 時 が 適 当 であ る と決 定 出来 た 。 2,マ ル トー ス の 回 収 条 件 Pattersonら は グ ル コ ー ス を 水 で 回 収 し た 後,7%エ タ ノ ー ル で マ ル トー ス の 溶 出 を 行 な わ せ,こ れ を 回 収 し て い る が,予 備 実 験 に お い て こ の 条 件 で は 水 飴 中 の マ ル トー ス の 回 収 が 終 ら な い 間 に マ ル ト ト リ オ ー ス の 溶 出 が み られ,両 者 の 分 離 が 困 難 で あ る こ と を 知 っ た の で,5 %エ タ ノ ー ル を 用 い て マ ル トー ス の 溶 出 を 行 な い,そ の 回 収 条 件 を 検 討 し た 。 予 じ め150mlの 水 で グ ル コ ー ス を 回 収 し 終 っ た カ ラ ム に,溶 媒 を5%エ タ ノ ー ル に 代 え,こ の 溶 出 量 に 対 す る マ ル トー ス の 回 収 の 割 合 を 調 べ た 。 回 収 液 中 の 糖 を ソ モ ジ ー 法 で 定 量 し,マ ル トー ス と し て 表 わ し た 結 果 は 第2表 に 示 す よ う で あ っ た 。 こ の結 果 か ら150∼250mlの 溶 出 で マル トー ス量 は ほ ぼ一 定 値 を示 し,こ の範 囲 で マ ル トー ス が 回収 し得 る と 思 わ れ る。しか し,5%エ タ ノ ール でそ れ ぞ れ 回収 を 終 っ た カ ラムか ら更 に10%エ タ ノ ール で 回収 を 行 な い,減 圧 濃 縮 後PPCを 試 み た結 果,150m1回 収 区分 で は マル ト ー ス の ス ポ ッ トが 明確 に検 出 され,150mlの 溶 出 で は ま だ マル トー ス は十 分 に 回収 し得 な い事 が 明 らか に な り, マル トー ス の 回収 条 件 は5%エ タ ノ ール によ る 溶 出 で 200∼250mlが 適 当 で あ る と結 論 出来 た 。 3,水 飴 中の グ ル コー ス とマ ル トー ス の 分別 定量 と そ の再 現 性 市 販 酸糖 化水 飴(DE39.9)で 設定 出 来 た1,2,に よ る分別 定 量 条 件 が,麦 芽 水 飴,酵 素水 飴 に適 用 し た 場 合,適 当 で あ るか ど うか を 検 討 した 。 同 一 条 件,即 ち水 150m1,5%エ タ ノ ール200m1で 溶 出 を 行 な い,そ れ ぞ れ の溶 出 区 分 を減 圧 濃縮 後,PPCで 展 開 させ,そ れ ら の含 有 糖 を み た 。 尚,回 収 終 了 後 の カ ラム に つ い て10% エ タ ノール を 用 い て溶 出 を行 っ た 区分 とあわ せ て結 果 は 第2表 活 性 炭 カ ラ ム か ら の マ ル トー ス の 回 収 但しA水150ml 溶 出 区 分 B:5%エ タノー ル200ml 溶 出 区 分 C:1O%エ タノー ル 約150ml 溶 出 区 分 第2図 各 種 水 飴 か ら回収 した溶 出 液 の ペ ー パ ー ク ロ マ トグ ラム 第2図 に 示 し た 。 こ の 結 果 か ら 酸 糖 化 水 飴,麦 芽 水 飴,酵 素 水 飴 の い ず れ に つ い て も,水150ml溶 出 区 分 に は グ ル コ ー ス の,又 5%エ タ ノ ー ル200ml溶 出 区 分 に は マ ル トー ス の,そ れ ぞ れ ほ ぼ 単 一 な ス ポ ッ トが 得 ら れ,10%エ タ ノ ー ル 溶出 第3表 酸 糖 化 水 齢 中 の グ ル コ ー ス と マ ル トー ス の 分 別 定量
(4)
澱 粉 工 業 学 会 誌 第18巻 第4号(1971) 区 分 には グル コ ー ス,マ ル トー スの 流 失 が み られ た が い ず れ もわ ず か であ り,1.2.で 設 定 した 条 件 は そ の まま で, 水 飴 の種 類 に関 係 な く適 用 出来 る事 が 明 らか にな った 。 又,こ の条 件 で市 販 の水 飴 につ い て グル コ ー ス と マル トー スを 分 別 し,ソ モ ジ ー法 で定 量 し,そ の 再 現 性 を 検 討 す る意 味 で,条 件 の 範 囲 内 で 試 料 の 採 取 量 を 変 え,各 三 回宛 実 験 を 行 な った 結 果 は 第3表,第4表,第5表 に 示 す 通 りであ った 。 尚,各 区 分 につ い て定 量後,減 圧 濃 縮 してPPCに か け,そ れ らの 純 粋 性 を 確 認 した 結果, いず れ もほ ぼ 単 一 な ス ポ ッ トを 得 た 。 又,回 収 の終 了 し た カ ラム に つ い て,10%エ タ ノー ル で溶 出 しPPCを 行 な った が,グ ル コー ス と マル トース の ス ポッ トは こ こに は ほ とん ど現 わ れず,い ず れ もほ ぼ完 全 に分 別 し得 た 。 これ らの 結 果,分 別定 量 法 の 再 現 性 は 酸 糖 化 水 飴(第 3表),麦 芽 水 飴(第4表),酵 素 水 飴(第5表)の い ず れ に つ い て も,そ の 定 量 値 の 差 は ±0.5%の 範 囲 であ った 。4.新 指 標GV(Glucose Value),MV (Maltose Value)の 提 案 水 飴 は 種々 複 雑 な 性 質 を あ わ せ 有 す るが 為,そ の 製 品 を 数 値 で規 格 づ け る事 は 不 可 能 であ る と さえ い え る。 然 る に我 国 の 商 習慣 で は水 分 とDEの 表 示 が通 例 と して行 なわ れ て い る にす ぎ な い。 そ こ で水 飴 のDEに 対 す る グ ル コー ス とマル トー ス の量 が,そ の水 飴 の種 類 に よ り特 徴 的 な数 値 を示 す 事 か ら,グ ル コ ー ス,マ ル トー ス のそ れ ぞ れ の%をDEで 除 した 値(グ ル コ ー ス%/DE,マ ル トー ス%/DE)を 求 め た 。 これ らの 値 は 糖 組 成,水 飴 の種 類,性 質 に関 し てお お よそ を知 る の に適 切 であ る と思 わ れ るの で,そ れ ぞ れGV,MVと して 表 示 す る事 を 提 案 す る。 市 販 の水 飴16種 につ い て 求 め たGV,MV は 第6表 に示 す よ うであ った 。No.1∼No.9は 酸 糖 化 水 飴 であ るがGVはDEの 上 昇 に と もな っ て増 加 す るが, MVは ほ ぼ 一 定 値(平 均31.2)を 与 え た 。 又,No.10∼No.13は 麦 芽 水 飴 で あ るがMVは 平 均121.9 で ほ ぼ一 定 値 を 示 し,GVは5∼10見 当 であ った 。No. 14∼No.16の 酵 素 水 飴 に つ い て は それ ぞ れ の水 飴 につ い て特 有 な組 成 を示 す が,No.14,No.15で は や や 麦 芽 水 飴 に似 た糖 組 成 を有 し,又No.16で はGV,MVが とも に 約50を 示 し,こ れ は 内藤 ら12)によ り試 作 され た 酵 素 水 飴 の 典 型 を 示 す 値 だ ろ う と思 わ れ る。 以 上 の よ うに酸 糖 化 水 飴,麦 芽 水 飴 な どそ の種 類 に よる違 い でそ れ ぞ れ 特 徴 を示 す の で そ の水 飴 の糖 組 成,性 質 を 知 る上 で役 立 つ も の で あ ろ う と思 わ れ る。
要
約
改 変 した 活 性 炭 カ ラム ク ロマ トグ ラフ ィー で水 飴 中 の 第4表 麦芽 水 飴 中 の グル コー ス とマ ル トー ス の 分 別 定 量 第5表 酵 素 水 飴 中 の グ ル コ ー ス と マ ル トー ス の 分 別 定 量 第6表 各 種 水 飴 のGVとMVグル コー ス とマル トー スを 分 別 定 量 す る際 の条 件 につ い て検 討 し,こ れ を各 種 水 飴 に適 用 した 。 又,得 られ た グ ル コー ス,マ ル トース量 とか ら算 出す るGV,MVを 新 指 標 と して提 案 した。 1.改 変 した 活 性 炭 カ ラムは,室 温 で操 作 し,加 圧 法 で行 な い,又,前 処 理 を行 なわ な い市 販 脱 色 用 活 性 炭5 9と セ ラ イ ト(No.535)59と の混 合 物 で吸 着 層 と し た 。 2.試 料 水 飴 の量 が活 性 炭 に対 し,5∼10%の 時,水 150m1の 溶 出区 分 で グル コ ー スが,又,5%エ タ ノー ル 200∼250m1溶 出区 分 で マ ル トー ス が 回収 出来 た 。 3.こ の方 法 は麦 芽 水 飴 を 含 む 全 て の水 飴 に 適 用 出 来,再 現 性 は ±0.5%の 範 囲 で行 な え た。 4.GV(グ ル コー ス%/DE),MV(マ ル トー ス %/DE)を 求 め る と酸 糖 化 水 飴,麦 芽 水 飴 のMVは そ れ ぞ れ 平 均31.2,121.9で ほ ぼ一 定 値 を 示 した 。 又,GV は酸 糖 化 水 飴 の場 合,DEに 比 例 して 増 加 した が,麦 芽 水 飴 で は5∼10の 間 で あ っ た 。 この事 か らGV,MVを 表 示 す れ ば,そ の水 飴 の 糖 組 成,性 質 の傾 向 を知 る事 が 出 来 る。
文
献
1) Somogyi, M.: J. Biol, Chem., 119, 741 (1937)
2) Stark,
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11) Association
of Official
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Chem
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of Analysis
of the
A. O. A. C.", 10 th ed., 513 (1965)
12) 内 藤 二 佐 男,井 上 雅 資,横 林 康 之,益 田 和 夫,杉 本 要:澱 粉 糖 技 研 報,27, 79(1963)