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JAIST Repository: 科学技術政策研究のフロンティア : 女性の科学技術関連専門職への進出をめぐって(研究人材・人材育成)

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Academic year: 2021

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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

科学技術政策研究のフロンティア : 女性の科学技術関

連専門職への進出をめぐって(研究人材・人材育成)

Author(s)

富澤, 宏之; 伊藤, 裕子; 三浦, 有紀子

Citation

年次学術大会講演要旨集, 18: 156-159

Issue Date

2003-11-07

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/6860

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

El0

科学技術政策研究のフロンテイア

:

女性の科学技術関連専門職への 進出をめぐって

0 富澤宏之,伊藤裕子,姉浦有紀子

( 文科 省 ・科学技術政策研 ) 要旨 知識社会を担 う 科学技術人材の 養成・確保という 問題を考えるとき、 科学技術関連専門職における 女性の 進出状況が重要な 要素となる。 女性の進出産が 高まれば、 人材確保の可能性が 飛躍的に高まるためであ る。 この問題が科学技術政策研究の 重要な研究課題であ ることを示すとともに、 フロンティア 研究領域として、 どのような研究が 必要であ り、 可能であ るかを論ずる。 「.知識社会を 担 う 人材と女性 知識社会を担 う 科学技術関連専門職の 養成・確保は、 今後、 重要な政策課題となると 考えられる。 我が国 だけでなく多くの 先進工業国において、 少子高齢化や 労働力人口の 減少が進むとともに 経済のサービス 化・ 知識集約化が 進展しており、 そのような " 知識社会化 " が必然的な流れとなるなかで、 知識社会を担 う 人材 の養成・確保が 国の競争力を 左右することが 明白なためであ る。 本稿では、 このような人材問題に 関して、 女性の進出・ 活躍に注目して 考察する。 その理由のひとっは、 科学技術関連専門職従事者に 占める女性の 比率が小さいため、 女性の進出塵が 高まれば人材確保の 可能性が 飛躍的に高まるという、 実際的な考えにょ る 。 しかし、 それだけでなく、 女性の活躍を 阻むものは何かを 深 く分析することが、 人材問題、 さらには日本の 科学技術システムに 内在する問題点の 解明に有益であ ると 考 えるためであ る。 言い換えれば、 本稿では人材問題の 一項目として「女性問題」を 扱 う のではなく、 人材 問 題 のあ らゆる面について、 女性の進出・ 活躍を切り口として 考察することを 試みる。 2. 科学技術人材の 枠組みについての 問題点 我が国の科学技術政策における 今後の最重要課題は 人材問題であ ると言われており、 そのため、 最近、 科 学技術関連の 人材に関する 議論は盛んになっている。 そのなかで、 本年 6 月に公表された「平成 14 年度科 学 技術の振興に 関する年次報告」Ⅲ ( 科学技術白書 ) 、 および、 本年、 総合科学技術会議に 設置された「科学 技術関係人材専門調査会」の 各種資料により、 我が国における 人材問題についての 議論の傾向を 知ることが できる。 科学技術関連人材に 関する政策的議論は、 世界の多くの 国においても 盛んになっている。 そのなかで、 多 くの国における 政策動向を反映している OECD における議論を 、 我が国における 議論と比較してみると、 我 が 国における科学技術人材の 捉え方には、 次のような偏りがあ ることがわかる。 第一に、 「研究人材」中心という 点であ る。 OECD の CanberraManual に示された「科学技術人材」は 、 科学技術関連の 専門職全般、 あ るいは科学技術関係の 高等教育 ( 理工系、 農学系、 保健系、 等の高等教育 ) を受けた人材全般を 指す広範な概俳であ る [2l 。 一方、 前述のような 日本における 議論は、 研究者に対象が 限定 されているわけではないものの、 研究者に関する 議論が大きな 割合を占め、 それ以外の人材についても「 研

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尭成果を社会に 流通させるために 重要な人材」といった 概念で捉えられており、 あ くまでも研究者中心とな っている。 このような研究者中心の 発想は 、 我が国における 科学技術政策上の 諸議論がリニアモデルに 強く 依存してきたことと 関係が深いと 考えられる。 第二は、 知識社会を担 う 人材としての 科学技術人材の 枠組みが、 かつての「理工系倍増計画」のモデル か ら 脱却しておらず、 現実と適合しなくなっている 点であ る。 例えば、 知識社会を支える 人材として、 情報処 理関係の専門的職業従事者が 重要であ ることは明らかであ るが、 最近では、 情報処理技術者の 多くが理工系 以外の学部 ( 人文社会系を 含む ) 卒業者であ り、 したがって、 従来の「科学技術人材受理工系学部卒業者」 という図式が 成立しなくなっている。 その上、 日本では「科学技術人材」の 概念が研究者中心であ ったため、 「科学技術人材」という 枠組みのなかで 情報処理関係の 人材についてとりあ げられることが 少なかった。 科学技術人材についての 研究を進めるにあ たっては、 このような我が 国における科学技術人材の 捉え方の 偏りに注意する 必要があ る。 3. 各種人材の女性比率と 統計分析の可能性 現在の科学技術政策研究では、 「女性」をめぐる 分析的研究は 盛んとは言えない。 今後、 どのような分析が 可能であ り、 必要であ るか、 検討してみよう。 重要性の高い 分析項目としては、 以下が考えられる。 (1) 各種専門的職業従事者に 占める女性比率 各種専門的職業職業別の 女性比率は、 現状認識の出発点となる。 各種職業の様々な「女性比率」データ は 、 日本の多くの 統計から得ることができるものの、 国際比較の際には、 日本の職業分類が 独自であ る ことが問題になる 場合があ る。 (2) アカデミックキャリアパスの 各段階における 女性比率 キャリアパスの 各段階に沿って 女性比率を調べることにより、 女性の進出の 障害が明らかになる ( 伊藤 によ る分析を参 魁 3l)0 (3) 職務従事状況に 表れた性差 女性の活躍状況を 示すデータは、 各種人数データの「女性比率」に 限らない。 個人を対象とする 各種統 計等は、 性別にデータを 集計することにょり 様々な性差が 分析できる。 例えば、 最近、 文部科学 省 科学 技術・学術政策局が 大学教員と大学院博士課程在籍者の 活動時間調査を 実施したが、 この調査結果より、 職務従事状況における 性差が分析可能であ る [41 。 例えば、 大学教員のうち、 女性教員の方が 男性教員に比 べて研究従事割合が 低く教育従事割合が 高い、 といった分析結果が 得られる。 4. 事例研究 : 薬学関連専門職 薬剤師をはじめとする 薬学関連専門職は 、 我が国における 科学技術関連専門職のなかで、 例外的に女性と ヒ 率が高い。 その理由や歴史的背景を 分析することは、 今後、 科学技術関連専門職への 女性の進出を 促進する 方策を考える 上で有用であ ろう。 薬剤師の女性比率が 高い理由を考察してみよう。 まず、 薬剤師の需要が 大きいこと、 国家資格であ り ステ 一 タスが確保されていること、 といった薬学関連専門職の 好条件を挙げておく 必要があ る。 次に、 女性が多 い理由自体を 明らかにすることは 容易でないが、 いくつかの仮説を 示す。 まず、 女性のライフサイクルに 薬 剤 師が適している、 と考えられる。 例えば、 出産・育児との 両立が必要な 時期にはパートタイムの 薬剤師と 一 157 一

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して働き、 それ以外の時期には 病院等でフルタイムの 薬剤師で働く、 あ るいは、 出産を期に薬学研究者から パートタイムの 薬剤師に転職する、 といった柔軟な 職業選択が可能であ ることは確かであ る。 全く別の理由 としては、 先行モデル、 すなわち既に 薬剤師として 働く女性が多いことも、 薬剤師を職業として 選択する、 あ るいは大学の 薬学部に進学する 女性が多い理由であ ると考えられる。 ただし、 より本質的な 理解のために は 、 薬剤師や薬学関係専門職を 対象とした歴史的分析および 社会制度、 社会意識の分析が 必要であ ろう。 詳しい分析は 今後の課題だが、 第一段階の分析結果を 以下に示す。 図 1 に、 薬剤師に占める 女性比率を従 事先 別に示した [5l 。 これに ょ れば、 薬局や病院・ 診療所に従事する 薬剤師の女性比率は 高いが、 大学や企業に 従事する薬剤師 ( 研究従事者を 含むと考えられる ) の女性比率は 低い。 この ょう な差異が生じる 要因として は 、 仮説的な解釈であ るが、 薬局や病院・ 診療所に従事する 薬剤師はパートタイムでの 勤務など柔軟な 勤務 形態を選択可能であ ることが、 女性比率の高さの 要因となっている 可能性が高い。 図 「 薬剤師の従事先別の 女性比率 l00 「

一 - 一 --

心臓

な土

歯ミ、が

欄調修

翻率

も門

どを加えて考察する

衛生行政機関又は保健 衛生施設の従事者

医薬品関係企業 の

従事者

大学の従事者

8 5

病院・診療所

の 従事者

薬局の従事者

︵ ざ ︶和南

e 坦轄

商況

程以保ぃ薬か例比

の状課学

高要

(5)

図 2 高等教育機関在籍者の 分野別女性比率 0 ・ 8

0 ・ 7 0 ・ 6 0 ・ 5 韓

0 . 3

"

千保健 ( 医学、 歯学以覚 )

十群

-- ㍗医学・歯学 0 ・ 2 - 理学

--I@ 0 .Ⅰ 大学学部 修士 Ⅰ善二土工 データ : 文部科学者,「平成 1 3 年度学校基本調査」 5, まとめ 薬学関連専門職 は ついての分析が 示唆するように、 女性のライフサイクルに 適していることが 専門的職業 への進出の促進要因であ る可能性があ る。 科学技術関連専門職における 女性の進出を 促進させるための 制度 設計等には、 この点についての 分析を深めることが 有用であ ろう。 様々な領域での「女性比率」のような 統計データの 分析は重要であ るが、 それだけでは、 科学技術政策研 究として不十分であ る。 女性の科学技術関連専門職への 進出を阻んでいるものを 明らかにする 必要あ る。 例 えぱ 、 本人 ( 女性 ) の職業に対する 意識、 親の価値観、 などが障害となっている 可能性もあ る。 個人の意識 や価値観は、 政策の対象とすべきではないかもしれないが、 その分析は、 政策立案の基礎資料として 極めて 重要であ る。 これらを踏まえると、 政府の役割は、 女性の進出に 関する制度的障害の 排除、 支援策などの 直 接 的な施策だけでなく、 ロール・モデルの 提示、 社会的なディベートの 喚起、 などが重要かもしれない。 参考文献 [11 文部科学 省 ,「平成 14 年度科学技術の 振興に関する 年次報告」

[2] OECD,Manualon the Measu,ementofHuman ResourcesDevoted t0 S&T "Canberra manuaI",The MeasurementofScientif6CandTechnolo め calActi ㎡ tiesSeries,Pa 「 iS, 1995.

[3] 伊藤裕子,「アカデミックキャリアパスにおける 女性の比率」,研究・ 技術計画学会第 18 回年次学術大 会, 2003 年 11 月 7 日,東京. [4] 富澤宏之,「大学等のフルタイム 換算データに 関する 2002 年調査の概要」,研究・ 技術計画学会第 18 回 年次学術大会, 2003 年 n1 月 8 日,東京. [5] 厚生労働省,「平成 12 年医師・歯科医師・ 薬剤師調査」 [6] 総務省統計局,「平成 14 年科学技術研究調査報告」 一 159 一

図  2   高等教育機関在籍者の 分野別女性比率  0 ・  8     0 ・  7  0 ・  6  0 ・  5  韓        0 .  3           Ⅰ "  千保健 ( 医学、 十群 ‑‑ ㍗医学・歯学  歯学以覚 )  0 ・  2              ‑ 理学     ‑‑I@  0  .Ⅰ           大学学部  修士  Ⅰ善二土工  データ  :  文部科学者,「平成 1  3 年度学校基本調査」  5,  まとめ  薬学関連専門職  は  ついての

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