高製品関与型バラエティ・シーキング : 探索行動
からの再検討
著者
西原 彰宏
学位名
博士(商学)
学位授与機関
関西学院大学
学位授与番号
34504甲第454号
URL
http://hdl.handle.net/10236/11383
2012年
:度
関西学院大学大学院商学研究科
博 士 学 位 論 文
学位
博士
(商
学
)論文提 出者
西
原
彰
宏
論 文 題 目
高製 品関与型バ ラエテ ィ・
―探索行動か らの再検討 ―
審査委員会
主査
和
田
充
夫
(関西学院大学商学部教授)副 査
藤
沢
武
史
(関西学院大学商学部教授)副 査
川
端
基
夫
(関西学院大学商学部教授)シーキング
目次
第
1章
問題の所在
(序論
).…
… …… … …… … … …
1 第1節
ブ ラ ン ド数 の 増 加 と予 想 され る 消 費 者 の 反 応 .…… … … …… 2 第2節
本 研 究 の構 成 .…… …… …… …… … … … …… … … …… … … … …… …… …3 第2章
消 費 者 行 動 研 究 ア プ ロ ー チ と 本 研 究 の 焦 点 .…… …… 6 第1節
消 費者 行 動研 究 の萌 芽 期 にお け る研 究 の変遷.…… … … …… 6 第2節
行 動 修 正 ア プ ロー チ`…… … … …… … … …7 第3節
情 報 処 理 ア プ ロー チ.…… … … …… … … … …… …… … … … 8 第4節
解 釈 (体験 主 義)ア
プ ロー チ.…… … … …… … …… … …… … …… … …9 第5節
消 費者 行 動研 究 ア プ ロー チ にお け るバ ラエ テ ィ・ シー キ ング研 究 の位 置 づ け 。……..….…………・…・…・………・……・…・………・………。……・………・……・………・………10 第3章
バ ラ エ テ ィ0シ
ー キ ン グ 研 究 。… …… …… ………12
第1節
消 費 者 行 動研 究 にお け る バ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ研 究 の 契 機 と探 索 行 動 と して の バ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ.……… …・13 第2節
マ ー ケテ ィ ン グ・ サ イ エ ン スの領 域 にお け る行 動 側 面 か ら捉 え た バ ラエ テ ィ0シ
ー キ ン グ .…… ………・………・………・…………17 第3節
バ ラエ テ ィ・ シー キ ング とブ ラ ン ド・ スイ ッチ ン グ の 関係.………‥…… ……19第
4節 McAlister and Pesseminer(1982)に
よ る多 様 性 行 動 の枠 組 み 。……….20第
5節 Hoyer and Ridgway(1984)に
よ る包 括 モ デ ル .…………・024第
6節
バ ラエ テ ィ0シ
ー キ ン グ研 究 の これ まで の 動 向.……… … …… ……… … … …29
第7節
バ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ研 究 の 問題 点 と新 た な 研 究 の方 向 性 。…… … ……31 第4章
消 費 者 行 動 研 究 に お け る 関 与 な ら び に 製 品 関 与 概 念 の 検 討 ………034
第1節
社 会 心 理 学 領 域 にお け る 自我 関 与 概 念.……… … …… …… …… … … …… ……34 第2節
消 費 者 行 動研 究 にお け る 関 与 概 念 の 適 用 .…… … … …… … … …372-1
低 関 与 行 動 へ の 着 目.…… … … ‥… … … … …… …… … … … …… …… 382-2
反 応 関 与 と して の 効 果 階 層.…… …… … … …… …… … … ……… … … …… … ……392-3
媒 体 関 与 ・ 広 告 関 与 ・ コ ミュ ニ ケー シ ョ ン関 与.…‥……… …… …… …… … …402-4
製 品 関 与.………… ……… ……… ……… ……412-5
購 買 関 与 ・ 購 買 重 要 性 と不 協 和.…… … … …… …… … … 42 第3節
関 与 概 念 の類 型.……… …… … … …… … … …… … … …… ……433-1
関 与 の対 象.…… … … …… … … …… … … …… … … ……… ……… …… … … …… … 433-2
持 続 性 (永続 的 関 与 ・ 状 況 的 関 与)。……… … … …… ……… … … … …… ……443-3
関 与 の タ イ プ (認知 に基 づ く関 与・ 状 態 関 与 。反 応 (プ ロセ ス)関
与)45
3-4
動 機 づ け の タ イ プ (感情 的 関 与 ・ 認 知 的 関 与).…
…… …… … … …… … ……49 第4節
関 与 概 念 の類 型 化 の枠 組 み の 提 不.…… … … …… … 504-1
認 知 に基 づ く関 与 .…… … …… … … …… … … …… … … … …514-2
購 買 状 況 下 にお け る 要 因.…… … …… …… … … … …… … … …… ……… ……524-3
非 購 買 状 況 下 にお け る 要 因.…… …… … …… … … …… … … … …… ……53 第5節
関 与 研 究 の 問 題 点 .………… … … …… … … … …… … … …… ……535-1
低 関 与行 動 と して の 試 用 (ト ライ アル)。……… ……… … … ……545-2
製 品 関 与 とブ ラ ン ド・ コ ミ ッ トメ ン トの 関 係 .……… ……… ……55 第5章
高 製 品 関 与 型 バ ラ エ テ ィ0シ
ー キ ン グ の 位 置 づ け56
第1節
バ ラエ テ ィ0シ
ー キ ング と製 品関与 .…… … … ……… ……… ……… ………58
第2節
情 報 探 索 行 動 と して のバ ラエ テ ィ・ シー キ ング.…… … …… … …… … …… 59 第6章
事 前 調 査 の 概 要 と 分 析 .… ……… … … …… … … … …61
第1節
調 査 の概 要 。… … … …… … … 61 第2節
分 析 デ ー タ と被 験 者 属 性 につ いて.……… ‥… … … 61 第3節
結 果 と考 察.…… … … …… … …… … …… …… … … …62 第4節
ま とめ.………… … … … …… …・…。… … …… ……… … … …… … … …… ……66 第7章
調 査1の
概 要 と 分 析 。…… … … …… … …67
第1節
仮 説 導 出.…… … … …… … … …… … …… …… … … …67 第3節
調 査1の
概 要 71 第3節
結 果 と考 察 。…… … … … …… … … …… … …… … … …… 73 第4節
ま とめ.………… … … … …… …… … ……… ……… ……… … ……… …… …… … ………・77第
8章
調 査
2の
概 要 と分 析
.…… …… …… … … …
79
第1節
仮 説 の導 出 79 第2節
調 査 の概 要 。… … … …… … … …… … … … …79 第3節
結 果 と考 察 。… … … …… … … … …… … … … …… … …… … … … …84 第4節
ま とめ … …… … … …100 第9章
調 査3の
概 要 と 分 析 .…… …… ……… …… …… …… …101
第1節
仮 説 の導 出.…… … …… … … … …… … … …… … … …… … … …… … … 101 第2節
調 査3の
概 要 .…… …… … …… …… … … … …… … …… … … ……101 第3節
結 果 と考 察.…… … … …… … … …… … … … 102 第4節
ま とめ.…… … … …127終 章
終 わ りに 。
… … … ……
………・129
第1節
本 研 究 の 要 約 .…… … … …… … …… …… … ‥129
第2節
本 研 究 の調 査 結 果 の 要 約 .…… …… … … …… …… … … …… …130 第3節
本 研 究 の 限 界 と今 後 の課 題.…… … … …… … … ‥… … … …… … … …130 参 考 文 献.…第
1章
問題 の所在
(序論
) 昨 今 の 成 熟 化 した 多 くの 市 場 で は 、 今 日 も ま た 新 た な 新 商 品 が 生 み 出 され 、 明 日の 店 頭 に 並 ぶ 新 商 品 が 列 を成 して 順 番 を待 つ 、 そ の よ うな 日々 が 続 く状 態 で あ る。 これ らの新 商 品 は既 存 の 商 品 と共 に店 頭 に並 び 、 消 費 者 に製 品 カ テ ゴ リー 内 の メ ンバ ー と して 認 識 され る 前 に 、 あ る い は 市 場 に定 着 す る よ りも前 に店 頭 か ら消 え て しま う場 合 も少 な くは な い。 こねンらの新 商 品 の 中 に は 、 革 新 性 の 高 い本 当 の意 味 で の 新 商 品 もあ る一 方 で 、既 存 の 商 品 に新 た な 機 能 や 属 性 が 付 け加 え られ た 商 品 、 あ る い は省 か れ た 商 品 、特 定 の属 性 の 程 度 が 変 更 され た 商 品 も含 まれ て い る 。 これ ら全 て を新 商 品 と呼 ぶ な らば 、 消 費 者 にそ れ が 新 商 品 で あ る と認 識 され るか は別 に して 、 非 常 に多 数 の新 商 品 が 目 ま く゛る し く出 て は 消 え 、 また 出 て は 消 え と い っ た こ との 繰 り返 しの毎 日で あ る。 これ ら新 商 品 の 全 て に共 通 す る の は 、 今 日の 新 商 品 は 明 日の 新 商 品 で は な い と い う こ とで あ り、 消 費 者 に と っ て 未 知 で あ っ た 新 商 品 も、 世 に 出 た 瞬 間 か ら遅 か れ 早 か れ 既 知 の 商 品 ヘ と移 行 して い く と い う こ とで あ る 。 製 品 カ テ ゴ リー に よ っ て 、 この よ うな 市 場 環 境 の 変 化 に対 す る 消 費 者 の 反 応 や 対 応 は 異 な る。 消 費 者 に して み れ ば 、 店 頭 に新 商 品 が 並 ん だ こ と に す ら気 づ か ぬ ま ま終 わ る製 品 カ テ ゴ リー が あ る 一 方 で 、新 商 品 が 店 頭 に並 ぶ 瞬 間 を今 か 今 か と待 ち わ び た り、 あ る い は 売 場 に新 商 謂│や新 奇 な 商 品 を含 む 自身 の 知 らな い商 品 が あ りは しな いか と期 待 しな が ら店 舗 内 を 回 遊 した りす る製 品 カ テ ゴ リー もあ る だ ろ う。 本 研 究 の 目的 は 、 以 上 の よ うな 一 時 点 な らび に時 系 列 的 に既 存 商 品 や 新 商 品!がひ し め く市 場 環 境 に お い て 、 消 費 者 が 多 様 性 を 追 求 す る行 動 、 す な わ ちバ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ (多様 性 追 求)を
これ ま で の 受 け 身 的 な 低 関 与 行 動 か ら高 関 与 行 動 と して 捉 え な お す こ とで 、 これ ま で に は な い新 しい視 点 を提 示 す る こ とで あ る。 これ まで 、 消 費 者 によ っ て な され る製 品 カ テ ゴ リー 内 で の 多 様 性 を求 め る行 動 と し て の バ ラエ テ ィ 。シー キ ン グ は 、 消 極 的 な 行 動 と して 捉 え られ て き た 。 つ ま り、 消 費 者 が 様 々 な ブ ラ ン ドを購 買 す る の は 、 製 品 カ テ ゴ リー 内 の ブ ラ ン ド選 択 に お け る評 価 軸 や 自身 の 選 好 が 確 立 して いな い 、 あ る い は 、 製 品 に対 す る興 味 関 心 が 低 く、購 買 も し くは購 買 を通 した 商 品 の 消 費 自体 が 重 要 で は な い と い った 理 由 の た め に刺 激 が 弱 く 飽 きや す い た め 、 異 な る ブ ラ ン ドを購 買 し刺 激 を増 や す こ とで 飽 き を解 消 す るた め に な され る とみ な され て き た 。 そ の 消 費 者 像 に は 、 消 極 的 な 消 費 者 が 仮 定 され て き た の で あ る。 しか しな が ら、 消 費 者 に よ っ て は 、 製 品 カ テ ゴ リー に対 して 高 関 与 で 、 こだ わ りを 持 ち な が ら様 々 な ブ ラ ン ドを購 買 し消 費 す る と い っ た 多 様 な 行 動 を取 る よ う に思 わ れ る。こ う した 現 象 は、先 行 研 究 にお け る低 製 品 関 与 型 のバ ラエ テ ィ・ シー キ ング研 究 で は捉 え きれ て お らず 、 この 消 費 者 の存 在 を確 認 し、そ の 実 態 を把 握 して い く こ とが 本研 究 の持 つ 問 題 意 識 で あ る。 以 上 を背 景 に、 本 研 究 の 目的 を よ り具 体 的 に述 べ る な らば 、 これ ま で 購 買や 製 品 に 対 す る低 関 与 状 態 で の 消 費 者 の 行 動 と して 捉 え られ て き た バ ラエ テ ィ 。シー キ ン グ と 呼 ばれ る多 様 性 追 求 行 動 を 、 本 研 究 で は製 品 に対 す る 高 関 与 状 態 で 行 わ れ る行 動 と し て 捉 え な お し、 そ の 実 態 や 特 性 を 明 らか に しな が ら、 そ の行 動 を導 く動 機 や 要 因 を明 らか にす る こ と を 目的 と して い る。 これ らに よ り、 バ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ概 念 の よ リー 層 の精 緻 化 を試 み 、そ の 結 果 と して 高 関 与 状 態 の 消 費 者 行 動 に対 す る
1つ
の 分 析 視 覚 を提 供 し、 これ まで 焦 点 の 当 て られ る こ との 少 な か っ た 高 関 与 状 態 で の 消 費 者 の 行 動 を 明 らか に して い く道 筋 の1つ
を提 示 す る こ とで あ る。 第1節
ブ ラ ン ド数 の 増 加 と予 想 され る 消 費 者 の 反 応1980年
代 以 降 、製 品 カ テ ゴ リー 内 に お け る競 争 は 、市 場 細 分 化 に伴 っ た 細 や か な ニ ー ズ ヘ の対 応 あ る い は他 社 との差 別 化 へ と向 か い 、 多 種 多 様 化 の 時 代 と も呼 ばれ るよ うな1つ
の製 品 カ テ ゴ リー 内 に多 くの ブ ラ ン ドが ひ しめ き合 う状 態 に あ る。 この 背 景 に あ る の は 、 成 熟 化 した 市 場 にお け る メー カ ー が 、 消 費 者 ニ ー ズ の 多 様 化 や 個 性 化1への対 応 は もち ろ ん の こ と、市 場 の 再 活 性 化 や 市 場 にお け る競 争環 境 の リセ ッ トの た め 、 チ ェー ン化 され た 小 売 業 の 要 請 へ の 対 応 等 の た め 、 次 々 と新 製 品 を導 入 す る と 同 時 に製 品や ブ ラ ン ドの ライ ン拡 張 な どを行 って い る こ とが 考 え られ る。 もち ろ ん 、他 社 が 行 う製 品 の 差 別 化 を打 ち 消 す た め に新 商 品 を導 入 す る場 合 もあ る2。 ぃず れ に しろ 、 企 業 は 競 争 を有 利 に展 開す るた め の 手 段 と して 新 商 品 を導 入 す る傾 向 に あ る。 そ の 結 果 、 次 々 と導 入 され る新 製 品 に加 え 、 多 品 日化 が 進 み 、 一 時 点 な らび に時 系 列 的 に多 数 の ブ ラ ン ドで 溢 れ か え る様 な 状 況 で あ る。 しか しな が ら、 昨 今 の 成 熟 化 した 多 くの製 品 カ テ ゴ リー で は 、 既 存 の 市 場 に投 入 さ れ た ブ ラ ン ドは 比 較 的 短 命 で 、 売 り場 か ら早期 に排 除 され る傾 向 に あ る。 もち ろ ん 、 この よ うな 新 商 品 の 繰 り返 され る導 入 に対 す る反 省 も多 い。 例 え ば 、 原 材 料 価 格 の 上 昇 に伴 う コ ス トの 増 加 、 マ ー ケテ ィ ン グ諸 活 動 に伴 う費 用 の分 散 等 の結 果 、 利 益 の圧 迫 に 繋 が り、 主 要 ブ ラ ン ドに投 入 す る資 源 を集 約 化 す る と い った 動 き も また 同様 に存 在 す る。 また 、 製 品 カ テ ゴ リー 内 にお け る競 争 もブ ラ ン ドの逐 次 的 な 投 入 か ら、サ ブ 0カ テ 1こ の点に関して、田村 (1989)で は、消費の多様化について、①消費多様化、②消費者間多様化、 ③時間的多様化を識別 している。 2本研 究 で は 、 以 上 の よ うな 市 場 環 境 の 生 成 メ カ ニ ズ ム に 関 して は 議 論 しな い。 例 え ば 、 特 定 の ブ ラ ン ド毎 の ラ イ フサ イ ク ル が 短 縮 化 され 、 短 サ イ クル で の モ デ ル ・ チ ェ ン ジ を繰 り返 す こ とで 、 結 果 と して 新 商 品 の 投 入 が 多 くな る と い っ た 現 象 1つ を と っ て み て も 、多 くの 場 合 、様 々 な 要 因 が 複 雑 に絡 み 合 っ て い る と考 え られ る た め で あ る 。 本 研 究 に お い て 重 要 な こ と は 、以 上 の よ うな 市 場 環 境 が 用 意 され る こ と に よ っ て は じめ て 、消 費 者 が 多 様 な ブ ラ ン ドを購 買 す る環 境 が 用 意 され る と い う こ と の 確 認 で あ る 。ゴ リー の 生 成 、そ して サ ブ・ カ テ ゴ リー 内 で の トップ (シェ ア
)争
い 、 そ して 、 製 品 カ テ ゴ リー 内 で のサ ブ・ カ テ ゴ リー 間 で の 争 いへ と変 化 す る様 相 を呈 して い る。 企 業 は 自社 製 品 を製 品 カ テ ゴ リー 内 の サ ブ 0カ テ ゴ リー に お け る 上 位 (ブ ラ ン ド)の
位 置 を獲 得 し、 そ して 維 持 して い く必 要 に迫 られ て い る。 そ れ で もな お 、依 然 と して 多 くの メー カ ー は 新 商 品 の導 入 を行 わ ざ る を得 な い状 況 で も あ る。 この よ うな 状 況 下 で は 、 これ らの 新 商 品 が 消 費 者 に よ って 購 買 ・ 採 用 され る か と い っ た 課 題 と と も に 、 他 社 ブ ラ ン ドで は な く 自社 ブ ラ ン ドが 消 費 者 に購 買 され る か 、 購 買 され 続 け る か と い っ た 課 題 に対 す る実 務 家 の 関 心 は 高 いだ ろ う。 メー カ ー 側 の 立 場 で は 、 顧 客 の 新 規 獲 得 は も ち ろ ん の こ と、 既 存 顧 客 の維 持 につ いて も多 大 な 努 力 が 必 要 と され る。 そ の た め 、 他 社 ブ ラ ン ドか らの ス イ ッチ ン グ を通 して 顧 客 を獲 得 し、自社 ブ ラ ン ド内 で の顧 客 の 囲 い込 み 戦 略 を立 案 す る た め に は 、消 費 者 が な ぜ 様 々 な ブ ラ ン ドを購 買 し、 あ る い は ブ ラ ン ド・ ス イ ッチ ン グ を行 うの か と い っ た 要 因 を 明 らか に して い く こ とが マ ー ケ テ ィ ン グ戦 略 を構 築 す る 上 で 非 常 に 重 要 で あ る。問 題 は 、 新 商 品 を導 入 す る こ とで 企 業 側 の 思 惑 通 り、 競 争 を有 利 に展 開 す る こ とが 可 能 にな る か で あ る。 一 方 、 消 費者 側 に立 って み れ ば 、 この よ うな 環 境 で は 消 費 者 が 自分 の意 思 で た く さ ん の ブ ラ ン ドの 中 か ら 自 由 に選 択 で き る こ と を意 味 す る。 企 業 に よ る新 商 品 の め ま く゛ る しい導 入 に よ って 、 消 費 者 の 製 品 カ テ ゴ リー に対 す る興 味 や 関 心 は 高 ま る の か 。 あ る い は 、 新 商 品 の み に しか 興 味 を示 さな くな る の で あ ろ うか 。 もち ろ ん 、 消 費 者 に よ っ て は 、 選 択 肢 の 増 加 も し くは 新 商 品 の 登 場 に よ る既 存 商 品 との 入 れ 替 え に よ って 知 覚 リス クが 高 ま り、 普 段 購 買 して い る 商 品 の 継 続 購 買 が よ り強 化 され る と い っ た 可 能 性 は 否 定 で き な い。 そ の 一 方 で 多 様 な ブ ラ ン ドを購 買す る 消 費 者 も存 在 す る だ ろ う。 この よ う に消 費 者 に よ っ て 、 一 時 点 あ る い は 時 系列 的 に多 様 な ブ ラ ン ドが 存 在 す る こ と に対 す る反 応 は 異 な る で あ ろ う。 以 上 、 本 研 究 が 焦 点 を あ て る 消 費 者 の 購 買 ブ ラ ン ドが 多 様 で あ る と い った 現 象 に対 し、「多 様 性 が 消 費 に と っ て 本 来 的 な の か 、企 業 の働 き か け に よ る もの か (石原2007
p.35)」 の 議 論 は別 と して 、 この よ うな 消 費 者 が 多 様 性 を求 め る行 動 が 生 起 す る 前提 に は 、 特 定 の 製 品 カ テ ゴ リー 内 にお いて 一 時 点 に、 また は製 品 が 入 れ 替 わ る等 の結 果 と して 時 系 列 的 に 、 多 数 の 製 品 や ブ ラ ン ドが 存 在 して い る こ とが 前 提 とな る。 第2節
本 研 究 の 構 成 以 上 の よ うな研 究 目的 な らび に市 場 環 境 を受 け て 、 本 研 究 の 次 章 以 降 の構 成 は 下 記 の よ う にな る。 まず 第2章
で は 消 費 者 行 動 研 究 が 採 用 して き た 研 究 ア プ ロー チ を取 り 上 げ 、 そ れ らの ア プ ロー チ の 中 で の バ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ研 究 の 立 ち位 置 を確 認 す る。 第3章
で は 、 マ ー ケ テ ィ ン グ領 域 にお け るバ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ研 究 の2つ
の異 な る研 究 契 機 を概 観 す る。 こ こで は 、 探 索 行 動 と して の バ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ 、
行 動 側 面 (ブ ラ ン ド0スイ ッチ ン グ
)か
ら捉 え た バ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ を取 り上 げる。 次 に 、 そ れ らを ま とめ よ う と試 み た
McAlister and Pessemier(1982)の
枠 組 みを 批 判 的 に検 討 し、
Hoyer and Ridgway(1984)に
よ るバ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ の 包括 的 モ デ ル を取 り上 げ た 後 、 これ ま で の バ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ研 究 の 整 理 を行 う。 そ の 際 、 特 に消 費 者 行 動 研 究 にお け るバ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ概 念 の源 流 で あ る心 理 学 領 域 の 探 索 行 動 とそ の 動 機 づ け に 関 わ る研 究 の 消 費 者 行 動 研 究 へ の適 用 過 程 あ る い は研 究 の 変 遷 を取 り上 げ る。 第
4章
で は 、 本 研 究 が 取 り上 げ る製 品 に対 す る 消 費 者 の 高 関 与 状 態 につ い て 考 察 す る た め 、 消 費 者 行 動 研 究 にお け る 関 与 概 念 の レ ビ ュ ー を行 う。 そ こで は 関 与 概 念 が 社 会 心 理 学 領 域 か ら消 費 者 行 動 研 究 に適 用 され た 背 景 な らび にそ の 経 緯 を示 した 上 で 、 関 与 概 念 の類 型 化 の枠 組 み を提 示 す る。 そ して 、 本 研 究 が 高 製 品 関 与 型 バ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ と呼 ぶ 、 消 費 者 の 高 製 品 関 与 状 態 で 行 わ れ るバ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ が これ まで の研 究 にお いて 見 過 ご され て き た 理 由 を先 行 研 究 に お け る 問 題 点 を指 摘 しな が ら議 論 す る。 第5章
で は 、 高 関 与 状 態 にお け る 消 費 者 の 多 様 な 行 動 を対 象 に した 研 究 を取 り上 げ 、 高 製 品 関 与 型 バ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ の 位 置 づ け に 関 して 、 これ まで の研 究 の 知 見 を ま とめ る。 第6章
以 降 で は 、 高 製 品 関 与 型 の バ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ の 実 態 を 明 らか にす る た め の4つ
の調 査 が 行 わ れ る。 まず 第6章
で 、 高 製 謂I関与 型 バ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ を 行 っ て い る 可能 性 の あ る 消 費 者 の 存 在 を確 認 す るた め 、 質 問 票 を用 いた 探 索 的 な 調 査 を行 う。 第7章
で は 、 消 費 者 行 動 研 究 へ の 関 与 概 念 の 適 用 過 程 にお け る派 生 的 な 関 連 領 域 で あ る ブ ラ ン ド・ カ テ ゴ ラ イ ゼ ー シ ョ ン研 究 に お い て 、 製 品 関 与水 準 と想 起 集 合 サ イ ズ との 関 係 につ いて 調 査 を行 う。 これ は 高 製 品 関 与 型 バ ラエ テ ィ 0シー キ ン グが 見 過 ご され て き た 原 因 の1つ
で あ る コ ミ ッ トメ ン トを 前 提 と した 関 与 概 念 を 再 検 討 す る た め で あ る。 第8章
で は 、 高 製 品 関 与 型 バ ラエ テ ィ・ シー キ ング の 実 態 を 明 らか に す る た めWebを
使 っ た 調 査 を行 う。 第9章
で は 、 第8章
で 実 施 した 調 査 に修 正 を加 え 、 ブ ラ ン ド・ ス イ ッチ ン グ (ブラ ン ドの 購 買)だ
け で は 捉 え き る こ との で き な い探 索 行 動 と して の バ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ を捉 え る た め に 、 情 報 探 索 との 関 係 を 明 らか にす るた め の 調 査 を行 う。 終 章 で は 、 本 研 究 の 要 約 と調 査 結 果 の 要 約 に加 え 、 本 研 究 にお け る課 題 と今 後 の 課 題 を提 示 す る。 以 上 に よ り、 本 研 究 で は 、 バ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ と製 品 関 与 との 関 係 を明 らか に す る こ と を通 し、 高 製 品 関 与 型 バ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ を行 って い る消 費 者 の存 在 を 確 認 し、 そ の 実 態 を探 索 的 に 明 らか にす る こ と を 目的 と して い る。 本 研 究 の構 成 を 図 式 化 した もの が 以 下 で あ る。本研 究 の構 成 問題 の所在(序論) 第2章 ,肖費者行動研究アプローチ 第3章 バラエティ・シーキング研究 第4章 (製品)関与研究 第 5章 高 製 品関与 型バラエテイロシーキング 第6章 事 前 調 査 の概 要 と分析 第 7章 調 査1の概 要 と分析 第8章 調 査 2の 概 要 と分析 第9章 調査 3の 概 要 と分析
第
2章
消 費 者 行 動 研 究 ア プ ロ ー チ と 本 研 究 の 焦 点20世
紀 初 頭 か ら今 日ま で にお いて 、様 々 な 学 問 領 域 を背 景 に消 費者 行 動 を捉 え よ う とす る試 み が 多 くの研 究 者 に よ って 行 わ れ て き た 。 消 費 者 行 動研 究 で 取 り扱 わ ね/る ト ピ ッ ク は年 々 増 加 す る一 方 で あ るが 、 「衰 退 期 に あ る と 言わ れ た研 究 にお いて も細 々 とで は あ るが 続 け られ 、 新 た な 切 り 口を 、 消 費 者 行 動研 究 に提 供 して い る場 合 もあ る (清水1999p.29)」
こ と等 か ら、 現 在 の 消 費 者 行 動 研 究 にお いて 主 流 と され る情 報 処 理 ア プ ロー チ ゃ そ の 批 判 的 な 立 場 か ら生 じた ポ ス トモ ダ ン研 究 にお け る解 釈 (体験 主 義)ア
プ ロー チ を概 観 す る だ け で は 不 十 分 で あ る。 そ の た め 萌 芽 期 に行 わ れ た 消 費 者 行 動 に 関 す る研 究 を含 め 、 そ れ らが どの よ う に発 展 し、 現 在 どの よ うな 形 にな り存 在 して い る の か と い う面 ま で を も考 慮 す る必 要 が あ る。 本 章 で は 、 まず は 長 年 に渡 り蓄 積 され て き た 消 費 者 行 動 研 究 の変 遷 を踏 ま え る こ と で 、 個 人 の 消 費 者 を捉 え る分 析 枠 組 み を確 認 し、 本 研 究 が 取 り扱 うバ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ研 究 の 消 費 者 行 動 研 究 にお け る位 置 づ け を 明 らか にす る こ とが 目的 で あ る。 第1節
消 費 者 行 動 研 究 の 萌 芽 期 に お け る 研 究 の 変 遷これ まで 消 費 者 行 動 を扱 う研 究 にお いて 、古 くはGale、 Scott、Hollingworth、
Adams
な ど に代 表 され る広 告 効 果 に 焦 点 が あ て られ た 心 理 学 的広 告 研 究 、
Copeland等
に よ る購 買 動 機 に 関 す る研 究 に 消 費 者 行 動研 究 の 源 流 を見 る こ とが で き る。 けれ ど も、 こ れ らの研 究 は 散 発 的 で あ り、 特 に戦 前 にお いて は 、 基 本 的 に ミク ロ経 済 学 にお け る消 費 者 選 好 理 論 な ど に み られ る経 済 学 をベ ー ス と した 市場 中心 の研 究 が 行 わ れ て いた 。 そ の後 、 戦 後 の1950年
代 にお い て 、 特 に ア メ リカ と い った 先 進 国 で は 高 度 経 済 成 長 を迎 え て いた 。 「『消 費 は 収 入 の 関 数 で あ る 』 と い う古 典 経 済 学 の 理 論 が ま さ に適 用 で き た (飽戸 編1994p.18)」
時 代 とは 異 な り、 豊 な 生 活 を む か え た 消 費 者 は 収 入 増 加 等 を理 由 とす る 自 由裁 量 支 出 の 増 大 や 、 月 賦 払 い等 の新 た な 支 払 い方 法 の 登 場 も 後 押 しす る形 で 、 非 必 需 耐 久 財 へ の 支 出 が 増 加 して い く。 この よ うな 消 費 者 の行 動 を 従 来 の古 典 的 経 済 学 で は 捉 え きれ な くな っ た こ と に対 し、 新 た な研 究 ア プ ロー チ が 生 まれ る こ と とな る。Katonaの
経 済 心 理 学 (心理 経 済 学 的研 究)や
、Lazarsfeldの
対 人 的影 響 、Martineauの
社 会 階 層 、Bourneの
準 拠 集 団 に 関 す る研 究 が 代 表 的 な 経 済 社 会 学 と も呼 ばれ る ア プ ロー チ にみ られ る よ う に 、 経 済 学 だ けで は 欠 如 す る視 点 を補 足 す る形 で 心 理 学 、 社 会 学 と い った 領 域 の 理 論 が 適 用 され る こ と にな る。 しか しな が ら、 これ らの研 究 は あ く ま で 経 済 学 と して の 市 場 に焦 点 が あて られ て い る。 また 、 時 を 同 じ く して 、 主 に1960年
代 に お いて は 、19世
紀 に登 場 した 行 動 科 学 が 学 問 的 に飛 躍 して き た 結 果 、以 降 の 消 費 者 行 動 研 究 に も様 々 な 影 響 を 与え た 。つ ま り、た
Dichterに
よ るモ チ ベ ー シ ョン・ リサ ー チ(motivation research)や
Koponenの
パ ー ソナ リテ ィ 、
Katzと
Lazarsfeldの
パ ー ソナ ル ・ イ ン フル エ ンス (personalinttuence)、 Ballerの 知覚 リス ク (perceived risk)等 に関す る研 究 が行われ た。
この ほ ぼ同時期 に、本研 究 で取 り上 げ るバ ラエテ ィ 0シ ー キ ングがノ心理 学領域 か ら 探 索 行 動
(exploratOry behaviOr)と
そ の動機 づ け に関連 した研 究 か ら適 用 され て い る。 同様 に、 関与概 念 も社 会心 理学 の社 会 的判 断理 論お よび認知 的不協和 の研 究 か ら 適 用 され る に至 った 。 また 、1960年
代 を通 し、個 人 の消 費者 にお け る購 買前、購 買、購 買後 といった 一連 の行 動 を結 び付 け、大 きな枠 組 み の 中で捉 えよ うとす る包 括 的な研 究 がな され て い く ことにな る。 第2節
行 動 修 正 ア プ ロー チ 消 費者 行 動研 究 にお いて 、心 理学や 社 会学 の理 論 を援 用 しなが らも主 に経済 学 をそ の基 礎 と した研 究や これ まで包括 的な枠 組 み を持 たず に行 われ て きた様 々な研 究 が、 行 動科 学 の発展 を背 景 に、1960年
代 を通 して個 人 の消 費者 行 動 を捉 え る包 括 的意 思 決 定 モ デル とい った 大 きな枠 組 み の 中で位 置 づ け られ るよ うにな る。 この包 括 的モデルの 中で も代 表 的な もの と して 、HOward、 Nicosia、
Engel,Kollat and Blackwell等
のモデル が あ げ られ 、 この包 括 的モデル は Howard―
Shethモ
デル(Howard and Sheth
1969)に
よ って 一応 の集 大成 が な され て い る。 これ らは刺 激 ―反応 型 モデル と も呼 ばれ 、心 理学 にお け る新 行動主義 の立 場 に依 拠 して い る。 従 来 の行 動 主 義 が 刺 激 と反 応 間 の関係 を捉 え る 「刺 激 ―反応 型 (S―R)」
の枠 組 み で あ った ことに対 し、新行 動 主義 は人 の行 動 を、主 に外 部 か らの刺激 、それ´ を受 ける人 間 の生活体 内 の条件 、そ してそ の反応 で説 明す る、 いわ1/Qる 「刺激 一生体 ―反応 型 (S-0…R)」 とい う考 え方 で あ った。 そ のS-0‐R型
を代 表 す るモデル と して 先 の Howard…Shethモ
デル が あ げ られ る。 このHOward_Shethモ
デ ル で は 、購 買行 動 が 反 復 的 に行 われ て い る点 に着 目 し、Hullの
学 習 理 論 を援 用 しな が ら製 品 ライ フサ イ クル の段 階 に沿 って 、各 消費者 の購 買 にお け る意 思 決定 が単純 化 され る ことを想 定 して いる。つ ま り、情 報探索活 動 に重点をお く拡 大 (包括 的
)問
題解 決 (extensive problem sOlving)か ら始 ま り、製 品 カテゴ リー に関す る情報 が既 知 の状態 で あ るた め に個別 ブ ラ ン ドにつ いて の情報 を用 いる 限定 的 問題 解 決 (limited prOblem sOlving)を 通 して 、最終 的 には、 ほ とん ど情 報 を
必 要 と しな い反 復 的 (日 常 反 応 的
)問
題 解 決 (rOutine prOblem solving)│こ 至 る という もので あ る。 この よ うな 消 費者 の経験 の累積 によ り消費者 の購 買行 動 に影 響 を及 ぼ す とい う視 点 は、そ のモデル の 中 に行 動 の結 果 が次 の行動 にフィー ドバ ック され る と い う想 定 が な され て い る ことか らも窺 う ことが で き る。
HOward_Shethモ
デ ル は仮 説 的 な 概 念 モ デ ル で あ り、 イ ン プ ッ トと して の 刺 激 と ア ウ トプ ッ トと して の 反 応 (購買)の
関 係 を 、 知 覚 お よ び 学 習 構 成 概 念 か らな る媒 介 変 数 に よ っ て 説 明 す る も の で あ る 。 ま た 、Howard¨Shethモ
デ ル が 提 起 され た 書 籍 が 『 劉物θr/θFFり
/θr″
θ力′力'θ r』 だ っ た こ とか ら も散 見 され る よ う に 、 当 時 は 、 消 費 者 行 動 の 中 で も主 に購 買 行 動 を想 定 した もの で あ っ た と考 え られ る。 この よ うな 刺 激 ―反 応 型 モ デ ル に対 して 、 次 の よ うな 批 判 が 生 まれ た 。 そ れ は 、Howard_Shethモ
デ ル の 有 効 性 に対 し、 説 明 力 は 辛 う じて あ る もの の 、 そ の 当 て は ま りが よ くな い こ とや 知 覚 構 成 概 念 と学 習 構 成 概 念 と い う消 費 者 の 内 面 の 変 数 だ け で は モ デ ル の 説 明 力 が 上 が らな い こ とで あ った 。 また 、1960年
代 以 降 、刺 激 ―反 応 型 モ デ ル に お け る 中核 概 念 と して の 態 度 概 念 に 関 す る研 究 が 取 り組 まれ 、 そ の 中 で も、Rosenbergや
Fishbeinに
よ る多 属 性 態 度 モ デ ル に 関 す る研 究 が 盛 ん に行 わ れ た 。 この うち 、Fisnbeinに
よ れ ば 、個 人 の あ る対 象 に 対 す る態 度 は 、 あ る対 象 が 持 つ 属 性 に対 す る信 念 とそ の 属 性 を評 価 した もの の総 和 で あ る。 けれ ど も、 形 成 され た 態 度 が 購 買 行 動 との結 び つ き が 十 分 で は な い こ とか ら、 そ の後 、 拡 張 型Fishbeinモ
デ ル が 提 唱 され 、 これ まで の 対 象 に対 す る態 度 だ け で な く、 対 象 に対 す る態 度 や 特 定 の 行 動 を規 定 す る規 範 的 信 念 を加 え 、 これ らが 購 買 意 図 を形 成 す る と い うモ デ ル を提 唱 した 。 この よ うな 期 待 ―価 値 型 の 多 属 性 態 度 に 関 す る 研 究 は 、1970年
代 前 半 に お い て も精 力 的 に行 わ れ た 。この 時 に行 わ れ た「期 待 ―価 値 」 型 の 多 属 性 態 度 モ デ ル な ど にみ られ る 全 体 的 評価 と して の 態 度 研 究 は 、 そ の後 、 消 費 者 が 常 に全 体 的 評 価 と して の 態 度 を 前 提 と して い るわ け で は な い こ とが 示 され る に至 って い る。 第3節
情 報 処 理 ア プ ロ ー チ 消 費者 の態 度 形成 にお け る差 異 の説 明 を行 う上 で 、情報処 理能 力 をそ の解 決策 と し て扱 った代 表 的な モ デル と してBettman(1979)が
あ げ られ る。Bettmanモ
デ ル に お いて 、認 知科 学 にお け るNewell―Simon流
の 人 間 の 問題解 決行 動 モデルや 、上述 の 態 度研 究 の成 果 を応 用 した 消 費者 の意 思 決定 過 程 モデ ルが提 唱 され た。そ こで は、 日 標 を 自 ら設定 し、そ の 目標 に向か って情 報 探 索 を行 うが 自身 の情 報処 理能 力 に限界が あ るた め に、そ の情 報 処 理能 力 の範 囲 内で 商品 を選択 す る能 動 的な情 報処 理者 と して の消 費者 が 前提 とされ た。Bettmanモ
デ ル で は、目標 によ り動機 づ け られ た 消費者 が能 動 的 に、自身 の情 報処 理 能 力 の範 囲 内で 、記 憶 の内部 に蓄積 され た 内部 情報や 、必 要 に応 じ感 覚 レジス ター を通 して得 た外 部情 報 を作 業記 憶 と も呼 ばれ る短期記憶 にお いて統合 し、そ の結 果 を も とに購 買行 動 を起 こす とい うモデル で あ る。ル で あ り、モ デ ル の検 証 はで きな い ことが指 摘 され て いる。そ して 、
Bettmanモ
デ ル以 降 、
Mitchellモ
デ ルやHowardの
ニ ュー・モ デル に見 られ るよ うに、刺 激 ―反応 型モ デル に情 報 処 理概 念 を組 み込 んだ研 究 が な され る こととな る。
この よ うな 消 費者 を情 報処 理者 と捉 え る研 究 の流れ の 中で、社会心 理学 にお け る説
得 的 コ ミュニ ケー シ ョン研 究 お よび態 度研 究 の知見 を も とに、
Petty and CacioppOに
よ って精 緻化 見 込 み モデル
(ELM:Elaboraiton Likelihood Model)が
提 唱 され た 。この精 緻化 見 込 モデ ル は、情 報処 理 ア プ ロー チ の流れ を踏襲 し、態 度形成 に至 る処 理 プ ロセ ス を規 定 す る要 因 と して 関 与概 念 を取 りあ げて い る。 このモ デル の前提 と して 、広 告等 にお ける他 者 か らの説得 的 コ ミュニ ケー シ ョンに 対 して 、 消 費者 は常 に真 剣 に考 え るわ けで はな い とい う指 摘 が あ る。 す な わ ち、 あ る 対 象 に関す る情 報 へ の関与 の度 合 い によ り、 中心 的態 度 変容 と周 辺 的態 度 変容 といっ た態 度 変容 (ある い は態 度 形成
)に
至 るル ー トが 異な り、そ の どち らのル ー トを通 し て態 度 変容 が起 こるか によ り形成 され た態 度 に違 い (例え ば、強 度)が
生 じる と して い る。 この結 果 、見 か け上 は 同 じ態度変容 が 生 じた と思 われ る場合 で も、 この差 異 に よ り、そ の後 の意 思 決定 に差 異が 生 じる ことが 明 らか にな った ので あ る。 た だ し、精 緻 化 見 込 み モ デル は 、説得 的 コ ミュニ ケー シ ョンによ る刺激 をそ の前提 と してお り、 か つ 、情 報処 理 か ら態 度 形成 に至 る まで の プ ロセ ス を示 して いる にす ぎず 、包 括 的モ デ ル にみ られ る情 報 処 理 よ り前 の情 報探 索や 、態 度 形成後 の選択 お よび フィー ドバ ッ クな どは組 み込 まれ て いな い。そ の後 、意 思 決定過 程 にお け る感 情 の効 果 に も言 及 し た モ デル が提 唱 され て いる。 この よ うに、認 知心 理 学 に強 い影 響 を受 けた 消費者行動 は、情報処 理 モデル の登 場 後 、購 買意 思 決定 過 程 にお け る情 報処 理 、記憶 、知識 に関す る研 究 が盛 ん に行 われ 、 そ の後 、個 人差 を規 定 す る要 因 と して の関 与概 念 に関心 が移 って い く。 この関与概念 につ いて は、バ ラエ テ ィ 0シ ー キ ング と共 に本研 究 が取 り上 げる重要な概 念 の1つ
で あ り、第4章
にお いて取 り上 げ られ る。加 えて 、消 費者情 報処 理 モデル に対す る批判 と して 、 認知 的お よ び分 析 的な側 面 に関心 が もたれ 過 ぎて いる とい う批判 か ら、感情 的 で非 合 理 的 な 消 費 者 を想 定 し、消 費 の意 味 の解釈 を行 うな どのポ ス トモ ダ ンの消費 者行 動研 究 が提 示 され 始 めた。 第4節
解 釈 (体験 主 義)ア
プ ロー チ 認 知心 理学 を基 盤 と した 消 費者情 報処 理 モデル に対 し、従 来 の「客観 」、「一般化」、 「実 証」 といった ものか ら 「主観」 、 「個別」 、 「解釈」 を重視 して消費者行動 を捉 え て い こ う とす る研 究 に ポ ス トモ ダ ン の 消 費 者 行 動 研 究 が あ げ られ る (cf。 清 水 1999)。 ポ ス トモ ダ ン の 消 費 者 行 動 に つ い て 、清 水(1999)で
は 消 費 者 行 動 研 究 内 に お け る地位 の確 立 お よび理 論 の構 築 の面で まだ不 十 分 で あ る とい う見解 が示 され 、 「消 費者 の態 度 形 成 プ ロセ ス 内 の 、 感 情 面 の研 究 の 一 部 と捉 え る こ とが で き る (清水
1999
p.28)」 と言及 して いる。 こ こか ら読 み取 れ るの は、態 度概 念 にお け る感 情 的側 面 の 拡 張 で あ り、Chaudhuri等
の研 究 に見 られ るよ うに今後 の感 情側 面 を も含 んだ態 度概 念 の拡 張 が期待 され る。 しか しなが ら、和 田(2002)が
述 べ るよ うに、情 報 処 理 モ デ ル に情 動 性 (emOtion) を取 り込 む研 究 に対 し、体 験 主義 ア プ ロー チ のパ ラダイム を理解 して いな い不毛 な努 力で あ る とい う指 摘 もあ る。 ここで の問題 は、認 知 モデ ル で感 情 を捉 え る ことが で き るのか とい う根 本 的 な 問題 で あ り、情 報処 理 ア プ ローチ を採 用 して い る研 究者 に とっ て 、 消 費者行 動 にお け る感 情 の扱 い に関す る この種 の 問題 は、非 常 に重 要 で あ る。 第5節
消 費 者 行 動 研 究 ア プ ロー チ に お け るバ ラエ テ ィ 位 置 づ け シー キ ング研 究 の 本 節 で は 、 消 費 者 行 動 研 究 ア プ ロー チ にお け るバ ラエ テ ィ 。シー キ ン グ の位 置 づ け を 明 らか にす る。 バ ラエ テ ィ 。シー キ ン グ は心 理 学 領 域 にお け る探 索 行 動 の 内 の1つ
で あ る が 、 この 心 理 学 領 域 にお け る探 索 行 動 は 、 当初 、第2節
で 取 り上 げ られ た 行 動修 正 ア プ ロー チ にお け る
Howard and Sheth(1969)に
よ る S-0…R型
の モ デ ル に組み 込 まれ た 。
S-0-R型
の モ デ ル で 仮 定 され た の は あ くまで ア プ リオ リに提 示 され た 刺 激 に対 して 受 身 的 に 反 応 す る 消 費 者 で あ る とみ な され て い る。 しか し、 一 方 の探 索 行 動 そ れ 自体 は 刺 激 を 求 め る能 動 的 な 行 動 で あ り、 ノベ ル テ ィや 複 雑 さな どの 刺 激 の特 徴 を他 の環 境 刺 激 と の 比 較 な ど を通 して 知 覚 す る と い う点 で 、 認 知 的 な 行 動 で あ る と 考 え られ る (cf.Berlyne 1960)。 そ の た め 、探 索 行 動 と して の バ ラエ テ ィ・ シー キ ン グは、 あ くまで 認 知 的な行 動 で あ り、第3節
で 取 り上 げ られ た情 報処 理 モ デ ル の枠 組 み で捉 え る必 要 が あ る と考 え られ る。 けれ ど も、 この よ うな探 索行 動 と して のバ ラエ テ ィ 。シー キ ングは、消 費者 情 報処 理 モ デル にお いて は説 明 で きな い行 動 で あ る と指 摘 され る (Van Trijp et al.1996)。 そ して 、消 費 の効 用側 面 よ りも経験 的 (experiential)ま た は快 楽動機 (hedOnic mOtives)によ って 説 明 され るべ きで あ る とみ な され て いる
(Holbrook and Hirschman 1982)。
これ はバ ラエ テ ィ・ シー キ ングが第
4節
で取 り上 げ られ た解釈 (体験 主 義)ア
プ ロー チ で取 り上 げ る必 要 が あ る ことが指 摘 され て い る もので あ る。 しか しな が ら、以 上 の よ うな認識 は、識別 が容 易 で あ る “合理 的な"動
機 に対 して 、 バ ラエ テ ィ・ シー キ ング をは じめ とす る探 索行 動 は簡 単 に識別 で き る動機 を持 たな い(Raju 1981)と
み な され て い るた め で あ り、そ の動機 の識別 の難 しさあ る いは非 合 理 的な動機 か らな され る行 動 で あ る とい う理 由 によ って 、情 報処 理 アプ ローチ か ら立 場 を異 にす る とい うよ りも、む しろ情 報処 理 ア プ ロー チ の立 場 にお いて 、そ の非 合理あ る い は 動 機 の 識 別 の 難 しさ を認 め つ つ も動 機 の 識 別 に 向 けて ヨ リー 層 の精 緻 化 を行 つ て い く方 が 建 設 的 で あ る。 そ の 為 、本 研 究 にお いて は 、 バ ラエ テ ィ
0シ
ー キ ン グ研 究 を情 報 処 理 ア プ ロー チ か ら捉 え て い く。 以 上 の よ う に 、 探 索 行 動 と して の バ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ は 、 そ の 探 索 行 動 や 消 費 を通 して 情 報 処 理 を行 って い る と思 わ れ る が 、 そ れ は購 買 動 機 が 合 理 的 で は な い と考 え られ て き た た め 、 情 報 処 理 ア プ ロー チ が 見 過 ご して き た 行 動 で あ る。第
3章
バ ラエ テ ィ
シー キ ン グ研 究
バ ラエ テ ィ0シー キ ング とは、消費者 が特 定 の製 品カテ ゴ リー 内 にお いて多様性 (バ ラエ テ ィ)を
求 め る行 動 で あ り3、 一 般 的 には、飽 きの解 消や 新奇 性 を求 めて行われ る ブ ラ ン ド・ ス イ ッチ ング と して捉 え られ て きた 。 探 索 行 動 と して のバ ラエ テ ィ 0シ ー キ ング を標 榜 す る本研 究 の視 点 に立 つ場合 、 こ の消 費者 の多 様 性 を求 め る行 動 は、製 品カテ ゴ リー お よび特定 ブ ラ ン ドに関連 した情 報 の獲 得 行 動 、あ る いは ブ ラ ン ドの獲 得行 動 と して顕在化 す る とみ なせ る。そ のた め、 バ ラエ テ ィ 。シー キ ングは雑誌や イ ンター ネ ッ トまた は他者 との会話 を通 した情報探 索 、 ウ ィ ン ドウ シ ョ ッ ピング、そ して 、 ブ ラ ン ド・ スイ ッチ ング といった 目に見 え る 行 動 と して現 れ る。 バ ラエ テ ィ 。シー キ ングは、心 理学 領 域 にお ける探 索行 動 (exploratOry behavior) や そ の動機 づ け を説 明す る研 究 にそ の端 緒 をみ る ことが で き る。 マ ー ケテ ィ ング領域 にお いて は、1960年
頃 に適 用 され 始 め 、消 費者 文脈 にお け る探 索 行 動 を対 象 に した研 究 と関わ りを持 ちな が らも、バ ラエ テ ィ 。シー キ ング研 究 といった独 立 した研 究 テー マ と して 、マー ケテ ィ ング・ サ イエ ンス研 究 と消費者行動研 究 の2つ
の領 域 で研 究 が 蓄積 され て い る4。 本 章 で は、 まず 第1節
にお いて 、心 理 学 領域 にお け る探 索 行 動やそ の動機 づ け に関 す る研 究 を整 理 した 上 で 、消 費者行 動研 究 へ の適 用過 程 を見 な が ら探 索行 動 と して の バ ラエ テ ィ 。シー キ ングを明 らか にす る。第2節
で は、マ ー ケテ ィ ング0サ
イエ ンス 研 究 にて行 わ れ た行 動側 面 か ら捉 えたバ ラエ テ ィ・ シーキ ング を確 認 す る。第3節
で は、 先行研 究 にお いて混 乱 な らび に誤解 の多 いバ ラエテ ィ0シ
ー キ ング とブ ラ ン ド・ ス イ ッチ ングの関係 につ いて示 す 。 こ こで は、特 にブ ラ ン ド購 買 に則 して 、バ ラエテ イ 0シ ー キ ングの対 象 範 囲 を明 らか にす る。第4節
で は、消 費者行 動研 究 にお け るバラエ テ ィ・ シー キ ングの代表 的な
McAlister and Pessemier(1982)の
枠 組 み とそ の位 置 づ け を批 半J的に検 討 し、続 いて 、第
5節
で はHoyer and Ridgway(1984)に
よるバ ラエ テ ィ 0シ ー キ ングの包 括 的 モデル を示 す。第
6節
で は 、バ ラエ テ ィ 0シ ーキ ング研 究 の動 向 を押 さえ るた め、 これ まで の研 究 の レビュー を行 う。第7節
で は、特 に消 費者 行 動研 究 にお けるバ ラエ テ ィ0シ
ー キ ング研 究 の視 点 とそ の問題 点 をあ げ、 そ の後 、今後 有望 で あ る と思 われ る高 関与 型 のバ ラエ テ ィ0シ
ー キ ング研 究 の方 向性 を示 す 。 3この 行 動 は 、 消 費 者 が あ る 一 時 点 で 多 様 性 を 求 め る行 動 と時 間 の 経 過 と と も に逐 次 的 に多 様 性 を 求 め る 行 動 と い う2つの 視 点 が あ る 。 こ の 点 に 関 して は 、和 田 (1989)に よ っ て 、特 定 の 一 時 点 に お い て バ ラ エ テ ィ を求 め る 「横 の 多 様 性 」 と時 系 列 的 に バ ラエ テ ィ を求 め る 「縦 の 多 様 性 」 が 識 別 され て い る 。42つ
の 研 究 の 始 ま りは どち ら も ブ ラ ン ド・ ロイ ヤ ル テ ィ研 究 か ら派 生 す る 形 で な され た こ と もあ り、 バ ラエ テ ィ0シー キ ン グ は 、 ブ ラ ン ド・ ロイ ヤ ル テ ィ と は 反 対 の 概 念 あ る い は 両 極 に位 置 す る 概 念 と して 認 識 され て い る 。以 上 を通 して 、バ ラエ テ ィ 0シ ー キ ングは、 ブ ラ ン ド 。ス イ ッチ ング とい う顕 在 的 行 動 のみ な らず 、最 適 刺 激水準
(OSL)を
理 論 的背 景 と した 動機 づ けの観 点 まで を含 んだ枠 組 み の 中で捉 え る必 要性 が あ る ことが示 され る。 第1節
消 費 者 行 動 研 究 に お け る バ ラ エ テ ィ・ シ ー キ ン グ研 究 の 契 機 と探 索 行 動 と して の バ ラ エ テ ィ・ シ ー キ ン グ 消 費 者 行 動 研 究 にお い て バ ラエ テ ィ0シ
ー キ ン グ は心 理 学 領 域 にお け る探 索 行 動 の1つ
と して 捉 え られ 、 そ の 動 機 づ け を説 明 す る理 論 と して 最 適 刺 激 水 準(OSL)が
用 い られ て い る。 本 節 で は 、 最 初 に心 理 学 領 域 にお け る議 論 を整 理 した 後 、 消 費 者 行 動 研 究 へ の 適 用 過 程 を み て い く。 心 理 学 領 域 にお け る探 索 行 動 とは 、 生 活 体 が 新 た な 環 境 に置 か れ た 際 にそ の環 境 を 見 回 し、 か ぎ まわ り、 歩 き まわ っ て 調 べ る こ とで環 境 につ いて の 情 報 を積 極 的 に収 集 す る こ と をl旨す(cf.外
林 健L 1981;deCatanzaro 1999)。
この 探 索 行 動 は 、学 習 ′い 理 学 にお け る学 習 実 験 にお いて 示 され た 、学 習 され た 行 動 を取 らな い行 動 の1つ
5でぁ る。 この行 動 は外 的 な 報 酬 が 無 く と も行 わ れ る こ とか ら、 内 発 的 に動 機 づ け られ た 行 動6と して そ の 行 動 を導 く動 機 づ け に 関 す る 理 論 が 数 多 く提 示 され る こ と にな る。 そ こで 、後 に 動 因命 名 ア プ ロー チ と呼 ばれ る 、 動 因低 減 説 が 仮 定 され て いた 当 時 の ホ メ オ ス タ シス 性 の 動 因 とは 異 な る動 因 (例え ば 、Montgomery(1954)に
よ る探 索 動 因 等)力
ヽ ゝくつ か 提 示 され た 。 動 因命 名 ア プ ロー チ にお け る動 因 で は 、 行 動 に よ っ て 動 因 が 低 減 され る と い うよ りむ しろ増 加 され る と考 え られ る。 そ の後 、 この 動 因命 名 ア プ ロー チ にお け る動 因 は 、 欠 乏 状 態 と して の 生 理 的 欲 求 を持 た な い と い った 点 で 批 判 され (Deci 1975)、 生 理 的 欲 求 を伴 わ な い動 因 が な ぜ 生 起 す る の か につ いて 新 た な 説 明 が 求 め られ た 。そ こで 、動 因低 減 説 にお いて は最 適 と され る刺 激 の状 態 が “ゼ ロ水 準"であ る の に対 して 、刺 激 の “最 適 な 水 準"と い う も の が 仮 定 され た(cf.Weiner
1980)。 そ の 最 適 水 準 を示 す い くつ か の 理 論 が 提 示 され 、そ の 内 の1つ
が 最 適 刺 激 水 準(OSL)で
あ る。最 適 刺 激 水 準 (optimal stimulatiOn level;以下
OSL)7と
は個 人 の環 境 刺 激 に対 する反 応 を特 徴 づ け る特 性 で あ り
(Raju 1980;1981)、
人 は 刺 激 に対 す る最 適 な も しく は 選 好 され る水 準 を持 つ と され る。 環 境 刺 激 が そ の最 適 水 準 を下 回れ ば飽 きや 退 屈
(bored)の
状 態 とな り、 新 奇 な 刺 激 や 複 雑 な 刺 激 を求 め る行 動 が と られ 、 上 回 る と過 飽 和 の 状 態 とな る た め 刺 激 を減 らす よ う試 み られ る(cf.Hoyer and Ridgway 1984)。
5こ の学習された行動を取 らない行動 として、探索行動以外にも操作行動や好奇行動があげられる
(Dember and Earl 1957;Deci 1975)。
6内発 的 に 動 機 づ け られ た 行 動 と は 、「当 の 活 動 (行 動 :著者 注)以外 に は 明 白 な 報 酬 が ま った くな
い よ うな 活 動 (行 動 :著者 注
)の
こ とで あ る (Deci 1975(訳 p。25))」。7この 概 念 は 、心 理 学 の 領 域 に お い て ほ ぼ 同 時 に 提 示 され た
Leuba(1955)や Hebb(1955)に
よそ のた め 、理想 的な刺 激 の水準 を維 持 す るた め、人 はバ ラエ テ ィ また は ノベル テ ィ
(novelty)を
探 し求 め る動 因や 動機 を持 って い る と想 定 され た ので あ る(Raju and
Venkatesan 1980)。
消 費 者 行 動 研 究 にお い て 、 心 理 学 領 域 にお け る これ らの研 究 を取 り入 れ る こ と の 重
要 性 を最 初 に示 した の は 、
HOward and Sheth(1969)89で
ぁ る (cfe Raju 1977)。彼 らの研 究 の後 、特 に
1970年
代 を通 じて 探 索 行 動 やOSLを
消 費 者 文 脈 に適 用 した 研 究 が 数 多 くな され た10。 この 当初 、 探 索 行 動 と同義 また は 関連 が あ る と指 摘 され た ノ ベ ル テ ィ0シ
ー キ ン グ (新奇 性 追 求)や
バ ラエ テ ィ0シ
ー キ ン グ 、 また 、 好 奇 心 と い っ た 概 念 が 消 費 者 に よ る探 索 行 動 の 理 解 の た め に、 消 費 者 行 動研 究 の 中 で も情 報 探 索 に 関 わ る研 究 や ブ ラ ン ド0ロイ ヤ ル テ ィ研 究 等 に導 入 され る よ う にな っ た11。 この 起 点 とな る研 究 と して 、例 え ば 、Tucker(1964)で
は探 索 行 動 を ブ ラ ン ド0ロ イ ヤ ル テ ィが 形 成 され る 前 の行 動 と して 位 置 づ け 、 探 索 行 動 が 行 わ れ る 間 は 同 じブ ラン ドが 購 買 され る確 率 が 低 下 す る と指 摘 して い る。また 、
Howard and Sheth(1969)
は探 索 行 動 を情 報 追 求 行 動 (infOrmation seeking behavior)と して 見 な し、 自身 ら
の 消 費 者 行 動 の包 括 的 モ デ ル に組 み こん で い る。
以 上 を 背 景 に行 わ れ た の は 、 ノベ ル テ ィ
0シ
ー キ ン グや バ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ の消 費 者 文 脈 へ の 適 用 の検 討
(eog.Venkatesan 1973)、
バ ラエ テ ィ動 因 の 提 示 (e.g.Faison 1977)、 広 告 に対 す るバ ラエ テ ィ0シー キ ン グ の 知 見 の 応 用
(e.g.Hirschman
and WallendOrf 1980)、 好 奇 心 と広 告 との 関 係 (e.go Ma10ney 1962;Hewett 1975)、
刺 激 の 特 徴 と消 費 者 の 反 応 との 関 係 (eog.Copley and Ca1lom 1971;Miller et al.
1971;Goodwin 1980;Morrison and Dainoff 1972)、
OSI」 と新 製 品 や 小 売 店 の 採 用との 関 係 (e.g.Deering and Jacoby 1972;Mittelstaedt et al。 1976;Grossbart et al.
1976)、 探索行 動 の消費者 文脈へ の適用 の検 討
(Raju and Venkatesan 1980;Raju
1981)、 外 部環 境 お よび選好 の変化 に対す る不確 実性 と リス クの関係
(Pessemier
1978)、 消費者 革新性 とノベル テ ィ・ シー キ ングや他 の関連概 念 の関係 の整理(Hirschman 1980)等
に関す る研 究 で あ る。 これ らの研 究 の背 景 には、 消 費者 はなぜ 新製 品 を欲 す るのか といった 問題 につ いて 十分 な 説 明が 出来 て いな か った ことが あげ られ る。 当時 、消 費者 行 動研 究 にお いて は 知覚 リス ク研 究 、新 製 品 の採 用 に関わ る研 究 が広 く進 め られ る中で 、 同様 に広 く利 用 8確認 出来 た 範 囲 で は 、 彼 らよ り先 にTucker(1964)が
ブ ラ ン ド・ ロイ ヤ ル テ ィ研 究 にお いて 探 索 行 動 に関す る記 述 を行 って い る。9彼
らは 、S‐O_R型
の 包 括 的 な 消 費 者 行 動 モ デル に、心 理 学 領 域 にお け るBerlyneの 探 索 行 動 を適 用 し、特 に、刺 激 の特 徴 で あ る刺 激 の曖 味性 と消 費者 の 反応 で あ る注 日や 、覚 醒 との 関係 につ いて 示 した 。 10こ の 時 、 当 時 か ら消 費 者 行 動 研 究 にお い て 研 究 が 蓄 積 され て いた 知 覚 リス ク (Bauer 1960)、 Rogersによ る 普 及 理 論 か ら派 生 した 革 新 行 動 や 消 費 者 革 新 性 の 研 究 と 関 わ りな が ら研 究 が 進 め ら れ た 。 11例え ば 、広 告 へ の 反 応 、 刺 激 (広告)の
繰 り返 しの 効 果 、 情 報 探 索 、 新 製 品 の 採 用 、 ブ ラ ン ド 。 スイ ッチ ングにおける文脈で議論がなされている (cfo Raju 1980;1981)。 14され て いた バ ラ ンス 理 論 を は じめ とす る 認 知 的 一 貫 性 理 論 で は 、 不 確 実 な 対 象 は心 的
緊 張 を 生 む た め 消 費 者 は 不 確 実 な 対 象 で あ る 新 製 品 を避 け る と考 え られ て い た (cf.
Venkatesan 1973)。
けれ ど も、 新 製 品 だ か ら と い う理 由 で 新 製 品 を購 買 す る 消 費 者の 存 在 が 提 示 され て お り (eogo Haines 1966)、 探 索 行 動 や
OSLに
そ の 説 明 を求 め る形 で 消 費 者 行 動 研 究 に適 用 され て い っ た と考 え られ る。
消 費 者 文 脈 にお いて これ らの概 念 が 適 用 され る に至 る と、 バ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ
は ブ ラ ン ド・ ス イ ッチ ン グ を 説 明 す る概 念 と して 用 い られ る こ と にな る。 この 背 景 と
して 、
Howard and Sheth(1969)に
よ る研 究 あ る い は 知 覚 リス ク研 究(e.go Cox 1967;Deering and Jacoby 1972)に
お いて 購 買 意 思 決 定 や ブ ラ ン ドに対 す る 「飽 き」 の解消 の た め に ブ ラ ン ド・ ス イ ッチ ン グ12が行 わ れ る こ とが 指 摘 され て いた こ とが あ げ ら れ る。これ は 心 理 学 領 域 にお け る
OSLを
基 盤 と した 想 定 、つ ま り、実 際 の 刺 激 がOSL
を下 回 っ た 際 に「飽 き」の 状 態 とな り、OSLの
水 準 まで 刺 激 を増 や す た め に ブ ラ ン ド0 ス イ ッチ ン グ が な され る と い う想 定 と親 和 性 が 高 い と考 え られ る。1970年
代 を通 して 行 わ れ た 消 費 者 文 脈 に適 用 され た 研 究 で 、後 の バ ラエ テ ィ0シー キ ン グ の基 礎 とな っ た 研 究 にお いて 、 バ ラエ テ ィ動 因 (variety drive)を 提 示 したFaison(1977)で
は 、 どん な に好 き な 食 べ 物 で も毎 日の よ うに 出 され る と 「飽 き」 が 発 生 し、 行 動 を変 え る と う い う こ とが 示 唆 され て い る13。 彼 は 、 この 飽 き に よ っ て 動 機 づ け られ た 行 動 は 、 “気 分 転 換(change Of pace)"を
求 め る もの で あ る と指 摘 し、 好 奇 心 また は新 奇 性 を求 め る だ け で は な い と して い る。 このFaison(1977)の
“気 分 転 換"を
基 に した バ ラエ テ ィ動 因 は 、 後 の研 究 に対 して 、 バ ラエ テ ィ 。シー キ ン グ は既 知 の 対 象 間 で の ブ ラ ン ド・ ス イ ッチ ン グ と い う認 識 に影 響 を与 え た (e.g.Steenkamp and Baumgartner 1992;Ratner et al.1999)。
また 、一 方 でHirschman
and Wallendorf(1980)で
は 、バ ラエ テ ィ 0シー キ ン グ を2つ
の タ イ プ に分 け 、既 知の ブ ラ ン ド間 で の ス イ ッチ ン グ を示 す 刺 激 変 化 追 求(stimulus variation seeking)と 、
未 知 また は 新 奇 な ブ ラ ン ドの購 買 を示 す ノベ ル テ ィ 0シー キ ング に識 別 して い る14。
そ の後 、
1970年
代 を通 して 蓄 積 され た 研 究 は 、Raju(1980)に
よ っ て 消 費 者 文 脈に お け る 一 般 的 な 探 索 行 動 を示 す 枠 組 み が 提 示 され た 。 特 に、 消 費 者 文 脈 にお け る探
索 行 動 は
OSLを
理 論 的 背 景 に3つ
の 行 動 と して 位 置 づ け られ て い る。 この枠 組 み にお い て 、 探 索 行 動 は
(1)好
奇 心 に 動 機 づ け られ´た 行 動 、(2)リ
ス ク・ テ イ キ ン グ 、12例え ば 、
Howard and Sheth(1969)は
、 消 費者 が 購 買意 思 決 定 に対 す る単 調 さ (mOnotony)や 退 屈 (boredom)の解 消 の た め に、最 も選好 度 の高 い ブ ラ ン ドか ら何 か 新 しい物 を探 し求 め る と 指 摘 して い る。加 えて 、同様 の指 摘 が 、知覚 リス クの観 点 か ら
Cox(1967)や
Deering and Jacoby(1972)によ って 、不確 実 また は リス クの 高 い購 買 を行 う ことを通 して 退 屈 (boredom)を解 消 す
る との指 摘 が な され て い る。
13同様 の指 摘 は
MenOn and Kahn(1995)に
お いて もみ られ る。14刺激 変 化 追 求 は、製 品カテゴリー 内 にお いてすでに経 験 した製 品および既 知 のブランド間でスイッチする、
または、例 えば、スパゲティ・ソースを変 えることでパスタのタイプを変 えるように製 品カテゴリー 内のタイプを変 えることである。一 方 のノベルティ・シーキングは、既 知 の製 品から他 の製 品ヘスイッチするというよりも、新奇 性 あるいはリスクの高 いブランドを探 し求 めることである。
(3)バ
ラエ テ ィ0シー キ ン グ が 識 別 され 、そ れ ぞ れ 顕 在 的 行 動 で あ る(1)情
報 探 索 、(2)革
新 行 動 、(3)ブ
ラ ン ド 。ス イ ッチ ン グ を説 明 す る概 念 と して 位 置 づ け られ て い る15。 この枠組みの中でバ ラエティ・ シーキ ングは、特 にブラン ド・ スイ ッチ ングを内的 に説明す る概念 として用 い られ る ことにな る。また、Raju(1980)が
バ ラエティ・ シ ーキ ングを動機 として扱 ったために、バ ラエティ0シ
ーキ ングを単独で扱 った研究 に お いて、バ ラエテ ィ 0シ ーキ ングを動機 として扱 って いる研究が多 い(e.g.Hoyer and
Ridgway 1984;Van Trijp et al。
1996;Inman 2001;Arikan 2010)。
しか しなが ら、この
Raju(1980)に
よって示 され た3つ
の動機 は、以降の研究で行動傾向 として扱われて いる
16(e.go Steenkamp and Baumgartner 1992;Helm and Landschulze
2009)。
1980年
代 以 降 、 この探 索 行 動やOSLを
基 に した バ ラエ テ ィ 0シ ー キ ング研 究 は大き く
2つ
の ア プ ロー チ に大別 され る。1つ
は、Raju(1980)に
よ って 提 示 され た 消 費者 によ る一 般 的な探 索行 動 の枠 組 み 内でバ ラエ テ ィ 0シ ー キ ング を扱 う研 究 (eog.
Steenkamp and Baumgartner 1992;Helm and Landschulze 2009)と
、バ ラエ:升ィ 。シー キ ングのみ を対 象 に して いる研 究 で あ る。
前者 に関 して は、
Raju(1980)の
枠 組 み を基 本枠 組 み と し、OSLや
3つ
の探 索行動 との関係 を示 す 形 で研 究 が進 め られ て い る17。 この枠 組 み にお いて 、革新行 動 を内
的 に説 明す る リス ク
0テ
イ キ ング との対 比 か ら、バ ラエ テ ィ0シ
ー キ ングは既 知 の製品 間 で の ブ ラ ン ド 0ス イ ッチ ング と して位 置 づ け られ て いる
(eog.Steenkamp and
Baumgartner 1992;Helm and Landschulze 2009)。
後 者 のバ ラエ テ ィ・ シー キ ング を単 独 で扱 った研 究 で は、既 知 の製 品 を対 象 に した 研 究(eeg.Ratner et al。
1999)以
外 に も、新 製 品 のみ を対 象 に した研 究(e.g.Hoyer and
Ridgway 1984)や
、そ れ ら両 方 を扱 った研 究 (e.g.McAlister and Pessemier 1982)もあ るな ど、製 品カ テ ゴ リー 内 の対 象 とす る製 品 の新 しさの程度 といった面 で差 異が み られ る。 また 、多 くの研 究 でバ ラエ テ ィ 0シ ー キ ングが 生起 され る理 論 的背 景 と し
て
OSLが
一般 的 に用 い られ て いる18(e.ge Hoyer and Ridgway 1984;Raju 1984;
Menon and Kahn 1995;Roehm and ROehm 2004;Inman 2001;Van Trijp et al.
1996)。
15こ の 枠 組 み の 内 、革 新 行 動 や ブ ラ ン ド・ ス イ ッチ ン グ と い っ た 製 品 の 獲 得 行 動 は 探 索 的 購 買 行 動
と呼 ば れ て い る 。
16例え ば 、3つの 行 動 傾 向 と して 、(1)好奇 心 に 動 機 づ け られ た 行 動 、(2)リ ス ク・ テ イ キ ン グ 、
(3)バラエ テ ィ0シー キ ン グ が 識 別 され て い る (Steenkamp and Baumgartner 1992;Helm and
Landschulze 2009)。
17こ の 枠 組 み に 沿 っ た 研 究 に お い て は 、バ ラエ テ ィ・ シー キ ン グ を単 独 で 扱 った 多 くの研 究 と は 異
な り、
OSLの
測 定 が 行 わ れ て い る (e.go Steenkamp and Baumgartner 1992;Helm andLandschulze 2009)。
18 osLとバ ラエ テ ィ 0シ ー キ ン グ の 関 係 に つ い て 、例 え ば 、高 い