「話し合い」を通して主体的に読みを深める国語科授業の工夫-小学校高学年文学的文章の学習を事例として-
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(2) 女子は男子に比べてr自己との関連性」を男. 第4章では,第2章及び第3章で得られた. 子は女子に比べて「許容的雰囲気」やr話し. 知見に基づき,話し合いを通して読みを深め. 合いに対する気分」を重視する傾向が認めら. る授業実践を実施した。具体的には,大阪府. れた。これらのことから,授業において話し. 下の公立小学校6年生67名を対象に文学的文. 合い活動を活性化させるためにはr話題のお. 章r海のいのち」を教材とし,単元の展開に. もしろさ」や「自己との関連性」に対応する. 応じてペア,グループ,全体などの話し合い. 『課題の設定』,「許容的雰囲気」や「話し合. 活動の各形態を組み合わせ,児童の積極的な. いに対する気分」に対応する『話し合いの場. 発言を促すことにした。. や学級集団の醸成』,r表現交流の欲求」やr話. その結果,本実践において,ペアからグル. し合いに対する肯定感」に対応する『コミュ. ープ,全体へと話し合いの形態を推移させた. ニケーション支援』等の手立てが重要である. ことによって,男子では積極的な発言が,女. と示唆された。. 子では話し合いの楽しさや有用感が,それぞ. 3.2r話し合い」活動がr読み」の深まリ. れ促されていたことが示唆された。また,初. に及ぼす影響. 発時と事後どの間で,r情報の取り出し」,r解. 第3章では,国語科文学的文章の学習にお. 釈」,「価値づけ」の各観点で「読み」が有意. いて,児童の話し合いが読みの深まりにどの. に深まった。さらに,本実践における話し合. ような影響を与えうるかについて検討した。. い活動は,少なくとも,作品に対するr解釈」. 大阪府下の公立小学校6年生67名を対象に. の深まりに効果のあることが示唆された。. 文学的文章rヒロシマのうた」で授業実践を 行い,話し合いの質と読みの深まりとの関連. 4.まとめと今後の課題. 性を把握した。. 以上,本研究では,小学校国語科文学的文. その結果,話し合い活動において男子は自. 章の学習において,児童相互の効果的な「話. 己の意見を主張することに,女子は自他の考. し合い」によって,読みの深化を図る学習指. えの協調点を見出そうとすることに,それぞ. 導のあり方を,実践を通して検討した。その. れの意識が向きやすい傾向が示唆された。ま. 結果,「課題の設定」,「場や集団の醸成」,「コ. た,重回帰分析の結果,話し合いを楽しいと. ミュニケーション支援」等に留意したr話し. 感じるためには発言の積極性が,話し合いが. 合い」活動を導入することによって,文学的. 役立つと感じるためには,相互作用による新. 文章に対する児童のr読み」を深めることが. しい考えへの気づきがそれぞれ重要な役割を. できた。. 果たしていることが示唆された。さらに,話. 今後は,本研究で得られた各知見に対する. し合い活動の状況に基づいて設定した上・下. 追試と共に, r話し合い活動」の質を左右す. 位群問において,事後の感想文の評価得点に. る要因として,一. 有意な差が認められた。これらのことから,. 学習の場合の検討,学級集団の凝集性等につ. 国語科文学的文章の学習にr話し合い」活動. いて検討を続ける必要があろう。. w年間の差異,説明的文章の. を導入することは,作品に対する児童のr読 み」を深める効果があることが示唆された。. 主任指導教員 米田 豊. 3,3r話し合い』によってr読み」を深める. 指導教員 森山 潤. 授業の実践. 一555一.
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