• 検索結果がありません。

「話し合い」を通して主体的に読みを深める国語科授業の工夫-小学校高学年文学的文章の学習を事例として-

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「話し合い」を通して主体的に読みを深める国語科授業の工夫-小学校高学年文学的文章の学習を事例として-"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)「話し合い」を通して主体的に読みを深める国語科授業の工夫     一小学校高学年文学的文章の学晋を事例として一      兵庫教育大学   教育実践高度化専攻 授業実践リーダーコース. M07274H浦耕太郎 1.はじめに. 第3章.  本研究の目的は,小学校国語科文学的文章. 「話し合い」活動が「読み」の深ま りに及ぼす影響. の学習において,児童相互の効果的なr話し. 第4章. 合い」によって,読みの深化を図る学習指導. 「話し合い」によって「読み」を深 める授業の実践. 第5章. のあり方を,実践を通して検討することであ. 結論及び今後の課題. る。.  従来,文学的文章の学習では児童に,①文. 3研究の概要. 学の読みに対して結論としての主題を求める.  第1章では,本研究の目的を踏まえ,研究. ことを急ぎ,文学作品における虚構空間の中. の背景,先行研究の整理,問題の所在から研. に生きる楽しさを求めようとはしない,②作. 究課題を抽出し,本研究の計画と構造を示し. 品を読むよりは主題を記憶することを優先さ. た。. せるため,多様な見方や考え方に発展しない,. 3.1児童のr話し合い」活酬二対する意識の. 等の課題が指摘されている。.  分析.  また,読みを深める児童相互のr話し合い」.  第2章では,児童の「話し合い」活動に対. 活動の実践には,話し合いに対する児童の意. する意識の実態を探索的に把握し,学習支援. 識や情意,課題設定の方策などが十分に検討. の方策の方向性を検討した。. されておらず,話し合い成立のための具体的.  大阪府下の公立小学校5,6年生計150名を. な学習指導の手立ては定かではない。. 対象に,「話し合いに参加したいときの理由」.  そこで本研究では,①児童の話し合いに対. を自由記述させ,テキストマイニングを行っ. する意識の探索的な実態把握,②話し合い活. た。その結果,「許容的雰囲気」,「表現交流の. 動が読みの深まり及ぼす影響,③話し合いに. 欲求」,r話題の面白さ」,r話し合いに対する. よって読みを深める授業の実践の3つの課題. 気分」,r自己との関連性」,r話し合いに対す. に取り組み,今後の授業改善に向けた基礎的. る肯定感」の6主題が抽出された。各主題の. 知見を得ることにした。. 出現頻度を集計したところ,全体としては, r話し合いに対する気分」31.3%,r自己との. 2研究報告書の構成. 関連性」28.7%が多くなった。学年間では,5.  本報告書は,次の5章で構成した。. 年生は6年生に比べてr許容的雰囲気」を重. 第1章 緒論. 視する傾向があり,6年生は5年生に比べて. 第2章 児童のr話し合い」活動に対する意. r話し合いに対する気分」を重視する傾向が.     識の分析. あることが示唆された。また,性別間では,. 一554一.

(2) 女子は男子に比べてr自己との関連性」を男.  第4章では,第2章及び第3章で得られた. 子は女子に比べて「許容的雰囲気」やr話し. 知見に基づき,話し合いを通して読みを深め. 合いに対する気分」を重視する傾向が認めら. る授業実践を実施した。具体的には,大阪府. れた。これらのことから,授業において話し. 下の公立小学校6年生67名を対象に文学的文. 合い活動を活性化させるためにはr話題のお. 章r海のいのち」を教材とし,単元の展開に. もしろさ」や「自己との関連性」に対応する. 応じてペア,グループ,全体などの話し合い. 『課題の設定』,「許容的雰囲気」や「話し合. 活動の各形態を組み合わせ,児童の積極的な. いに対する気分」に対応する『話し合いの場. 発言を促すことにした。. や学級集団の醸成』,r表現交流の欲求」やr話.  その結果,本実践において,ペアからグル. し合いに対する肯定感」に対応する『コミュ. ープ,全体へと話し合いの形態を推移させた. ニケーション支援』等の手立てが重要である. ことによって,男子では積極的な発言が,女. と示唆された。. 子では話し合いの楽しさや有用感が,それぞ. 3.2r話し合い」活動がr読み」の深まリ. れ促されていたことが示唆された。また,初.   に及ぼす影響. 発時と事後どの間で,r情報の取り出し」,r解.  第3章では,国語科文学的文章の学習にお. 釈」,「価値づけ」の各観点で「読み」が有意. いて,児童の話し合いが読みの深まりにどの. に深まった。さらに,本実践における話し合. ような影響を与えうるかについて検討した。. い活動は,少なくとも,作品に対するr解釈」.  大阪府下の公立小学校6年生67名を対象に. の深まりに効果のあることが示唆された。. 文学的文章rヒロシマのうた」で授業実践を 行い,話し合いの質と読みの深まりとの関連. 4.まとめと今後の課題. 性を把握した。.  以上,本研究では,小学校国語科文学的文.  その結果,話し合い活動において男子は自. 章の学習において,児童相互の効果的な「話. 己の意見を主張することに,女子は自他の考. し合い」によって,読みの深化を図る学習指. えの協調点を見出そうとすることに,それぞ. 導のあり方を,実践を通して検討した。その. れの意識が向きやすい傾向が示唆された。ま. 結果,「課題の設定」,「場や集団の醸成」,「コ. た,重回帰分析の結果,話し合いを楽しいと. ミュニケーション支援」等に留意したr話し. 感じるためには発言の積極性が,話し合いが. 合い」活動を導入することによって,文学的. 役立つと感じるためには,相互作用による新. 文章に対する児童のr読み」を深めることが. しい考えへの気づきがそれぞれ重要な役割を. できた。. 果たしていることが示唆された。さらに,話.  今後は,本研究で得られた各知見に対する. し合い活動の状況に基づいて設定した上・下. 追試と共に, r話し合い活動」の質を左右す. 位群問において,事後の感想文の評価得点に. る要因として,一. 有意な差が認められた。これらのことから,. 学習の場合の検討,学級集団の凝集性等につ. 国語科文学的文章の学習にr話し合い」活動. いて検討を続ける必要があろう。. w年間の差異,説明的文章の. を導入することは,作品に対する児童のr読 み」を深める効果があることが示唆された。. 主任指導教員  米田 豊. 3,3r話し合い』によってr読み」を深める.   指導教員  森山 潤.   授業の実践. 一555一.

(3)

参照

関連したドキュメント

いない」と述べている。(『韓国文学の比較文学的研究』、

明治33年8月,小学校令が改正され,それま で,国語科関係では,読書,作文,習字の三教

「主体的・対話的で深い学び」が求められる背景 2030 年の社会を見据えて 平成 28(2016)年

指導をしている学校も見られた。たとえば中学校の家庭科の授業では、事前に3R(reduce, reuse, recycle)や5 R(refuse, reduce, reuse,

英国のギルドホール音楽学校を卒業。1972

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

関西学院大学社会学部は、1960 年にそれまでの文学部社会学科、社会事業学科が文学部 から独立して創設された。2009 年は創設 50

「学部・学年を超えた参加型ディスカッションアクティビティ」の事例として、With café