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重・中度精神遅滞児の社会生活能力

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Academic year: 2021

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(1)Title. 重・中度精神遅滞児の社会生活能力. Author(s). 木村, 健一郎. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 40(2): 75-85. Issue Date. 1990-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5129. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . . 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第40巻 第2号 i i i ty ofEducat Journalof Hokkaido Univers I t on(Sec onIC)VO .40 .2 ,No. 平成2年3月 March ,1990. 重・中度精神遅滞児の社会生活能力. 1. 村. ● ● ● ●. ●● ●. ・ .・ ・ ‘. ,. ・ ● ● ● . ・ ● ●. 木. 健 一 郎. 問 題 と 目的. 社会生活能力の育成は, 時代とともに考え方の変遷があるが, 障害児教育における中核的な課題 であることに変わりはない. だが, 障害の重度化の進行している今日, 養護学校におけ る9ないし 1 2年間の生活力育成について, その質が問われている. 養護学校卒業後の進路は, 多くは社会福祉 施設 (授産・厚生施設) や民間の小規模作業所になって来つつある. そのような福祉サイ ドから, 学校教育に対して 疑問が出されている. 生活自立の基礎が育成されていないというのである 今日 . ) ノーマライゼイ ショ ンの理念に立ち施設処遇から地域処遇へと大きく動いて の障害福祉の動向は6 , いる. 障害が重くても, 地域社会の中で, 通常の社会生活が営まれるような援助体制 を整えようと している. 中でも グループホーム (生活寮) の名称で知られている生活援助形態が地域福祉の立場 から注目され, 厚生省も精神薄弱者生活寮の制度化に向かって動いている. 今後養護学校卒業後は, 地域社会の中の生活寮が彼らの生活の拠点になることは間違い無いと思われる 学校教育もそのよ . うな障害者福祉の動向を視野に いれて取り組むことが求められている. 養護学校教育において社会生活能力の 重要性 が認識されていないわけ ではない. 社会生活能力の 内容については, 教科 「生活」 のなかで細かに洗いだされている. しかし社会生活能力の全体的な 構造や相互関連, 指導方法についての理論的検討は十分 でないように思われる. 次の文章は, ある障害児教育関係の雑誌にのせ られていた養護学校教師 (経験年数9年) の悩み であ る.. 「知恵遅れの教育を始めて9年たっ た今でも引っかかりを持 って仕事をしています . それは教えるべき内容と子供の知的成熟の度合についてなの です. ……社会的能力の学習 は子 供の知的な内部構造の発達にかか わらず, もっと目先の 『社会からの要求に答える』 といっ た 目的のために行われます. そして知的成熟に目をつぶって訓練を進めて行きますから, 出来上 がった能力は, ケ パート達の言う遊離技能に似たものになってしまうのです」 重・中度精神遅滞児の社会生活能力の指導に於ける最大のネ ックは, 認 識能力が低いために なぜ , そのような行動をしなければならないのかということについての理解をさせ ることが困難であり, 反復による行動形成は可能だが, 形だけのものになり, 真の生活力にならないというところにある . 現場の教師はこのようなジレンマに陥って, 社会生活力の指導に引 っかかりをもちながら取り組ん でいるのが正直なところであろう. 他方福祉の領域 では, 施設生 活よりも地域社会で生活すること が自然であり, 彼らにとって幸せな生活であるとの考えに立ち, 社会生活に必要な知識・技能につ いて強力な指導体制を取っている. この両者のギャッ プを克服しない限り, 障害児のライフステー ジを見通した指導は成立しない. 福祉との連携を作り上げるための基本課題と考える . 75.

(3) . 木 村 健一郎. 本研究は, 以上の課題意識のもとに, 学校教育の側から社会生 活能力の再検討とその育成の指 導 理論の確立を目指すもの である. 研究を進めていく視点として, 社会生活能力を 「社会化」 と 「個 )「社会への適応を考えるとき いわゆる社 性化」 の両過程の周期的発達として捉 えること. 村井は4 , 会化といわれる社会との関係を持つ方向と共に, 社会と独立 した自己自身の世界を構築する方向と しての個性化の二つの過程が問題にされなければならない」 ことを指摘している 本来社会生活能 . 力は, 個性化の過程と社会化の過程の表面的には相反す る過程がぶつかり合いながら 相互作用的 , に統合されて発達して行くもの である. 従来の社会生活能力は, この不可分の過程を分けて考えら れ, しかも社会化の側面が強調されてきたように思う. 第二の視点は, 社会生活能力の発達は, 知 的能力の他に どの様な要因が関係するかを明らかにすることである. 社会生活能力の発達が知能程 度と必ずしも一致しないことが知られているが, 社会生活上の行動が自己にとって意味ある行動で あるとの認識や, 社会についての認識能力に強く規定される側面を持つことは否定しがたい この . 観点に立つと 重度障害児の社会生活能力の発達は多く・ を望めない. だが私達の環境刺激や自 己の行 動の意味についての認識にはいく つかのレベ ルが有り得る. 知的レベ ルの他に最も基本的なレベ ル は情緒的な認識のレベ ルであろう. その環境や自己の行動が自己にとっ て快であるか不快なもの で あるかの感覚である. このような情緒的認識は, 知的な認識や判断に先立っ て生じ, われわれの知 的活動を方向づけ・ る. 重度障害児と いえ どもこのレベ ルの認識力は所有して いる. 以上の視点に立ち, 本研究はその出発点として, 従来社会生活能力の測定に用い・ られている, 三 木の 「新版S-M社会生活能力検査」 を用い, 重・中度精神遅滞児の社会生活能力の実態を把握 し, 社会生活の捉え方や指導方法と関連させ て検討し, 今後の研究の具体的方向を明らかにす ることを 目的とする.. 2. 方. 法. 1) 被験児 被験児は, H市近 郊の精神遅滞児養護学校の小学部・中学部の児童・生徒86名 である. 近年精神 遅滞児養護学校には, 自閉症及び自閉的傾向を強く持つものが含まれているが, 精神遅滞児として 被験児に含めた, 被験児の生活年齢, 性別, 人数等の詳細は, 表1に示 した通りである.: 2) 検査 }の 「新 版 S - M 社 会 生 活 能 力 検 査 を 用 い た こ れ は ド ル E A の 開 発 し た”Vine lande 三 木3 」 . . , i Socia I Matur lざ をもとに作成された 「S一M社会生活能力検査」 を今日の社会生活状況に ty Sca. 合わせて改訂されたもの である. そこでは社会生活能力を 「児童が自分自身の生活を処理し, やが て成人として独立にいたる色々 な活動に参加する能力」 と定義し, 社会生活能力の構成領域につい て, 下記の6領域が設定さ れている. Se l l f ①身辺自立:SH ( ) ‐He p 衣服の着脱, 食事, 排せつなどの身辺自立に関する生活能力. i ; L(Locomot ) ② 移 動, on. 自分の行きたいところへ移動するための生活行動能力.. 76.

(4) . . 重・中度精神遅滞児の社会生活能力. 表1 被験児の学年・年齢・性別・障害別人数 CA. 学年. 6. 7: 7. 4. 3. 9:1. 6. 4. 9: 9. 5. 5. 10:10. 2. 6. 11:10. 11. 中学部1. 12:10. 10. 2. 13:11. 10. 3. 14: 9. 8. 計. 人数. 62. 8 7 7 5 .. 3 13 11 16 16. 24. 86. 自閉的 ーn U^ ‘ .1r o ^’ ^ = VnV1 ‘^. 6:9. 2. 女 十 ▲○ h UO X U .IQリー▲^ = VI ム ー←ハ. 小学部1年. 男. 15. 精遅 8 7 6 3 3 11 10 11 12 71. ion) ③ 作 業:○(occupat. 道具の扱いなどの作業遂行に関する生活能力. i ④ 意 志交 換:C(Communi ) cat on 言 葉や 文 字 な どに よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力.. i i l i Soc ⑤集団参加:S( ) t za on a. 社会生活への参加の具合いを示す生活行動能力 i Se l f ⑥自己統制:SD( ) t on ‐Di r ec 我がままを抑え, 自己の行動を責任を持って目的に方向づける能力.. 3) 手続き 上記の検査, 6領域1 30項目について, 担任教師に評定していただいた. そのほか, 対象児の生 活年齢, 知能検査の結果, 障害の特徴, 寄宿舎生活の有無, 等についての調査を行っ た. ●.. ‐. 4) 実施期間 22 で あ る, 1989 . 7.・ . 7. 6 ~1989. 3. 結. 果. 1) 重・中度精神遅 滞児の社会生活能力の プロフィ ール 全被験児86名から,IQ50以上の軽度遅滞児6名 及び知能検査未実施の者3名を除いた77名を 整理の対象とした. 図1は対象児を小学部低学年 (1~3年) , 小学部高学年 (4~6年) , 中学部 (1~3年) の3 グループに分けて平均社会生活年齢 (月数) をもとに プロフィ ールを示したもの である. 小学部低学年の平均CAは7才9カ月, 高学年は1 0才1 0カ月, 中学部は1 3才1 0カ月 で ある. ノ 」 ・学部低学年の平均SAは2才6カ月, 高学年は3才8カ月, 中学部は4才6カ月と, 生活 ● 低学年で 年齢が3年開くと社会生活年齢が1年の割合で発達している. 下位能力の発達を見ると , は 「生活習慣」 「移動」 「作業」 が比較的高く, 「意志交換」 「集団参加」 「自己統制」 が低いが, ほぼ 平均化したプロフィ ールを示している. 高学年になると「身辺自立」 「作業」の発達が著しいが, 「意 77.

(5) . 木 村 健一郎. 志交換」 「集団参加」 の伸びは小さい. 「移動」 と 「自己統制」 はその中間の発達がみられる. 中学 部になると, 「身辺自立」 「作業“こ加えて 「自己統制」 の発達が著しく, 又「意志交換」 「集団参加」 の伸 びも幾分大きくなる. だが他の領域の差はますます大きくなっている. 生活年齢が進むにした がっ て, 平均化している プロフィ ールから, 「身辺自立」 「作業」 が高く, 「自己統制」 「移動」 が次 に高く, 「集団参加」 「意志交換」 が低いという プロフィ ールに変化していくことが認められる. 表2 目閉児群と遅滞児群の平均社会生活年齢 遅滞児群. 目閉児群 N. 15. 15. CA. 158.4. 168.I. MA. 45.3. 45.8. 工Q. 30.O. 32.6. SA. 51.O. 56.O. SH. 66.6. 67.8. L. 49.4. 55.7. 0. 71.3. 67.I. C. 39.8. 42.8. S. 32.5. 46.6. 48.6. 59.O. SD. ,. 80. 80. 60. 60. 40. 40. 20. 20. .÷÷一 目閉児群 ロー--口 中学部. ( 月数). △--- △ 小学部高学年 .÷ 一 小学部低学年 SA SH. L. O. C. S. 図1 学年別社会生活能力 78. △---△ 遅滞児群. SD. SA. SH. L. O. C. S. 図2 障害別社会生活能力. SD.

(6) . 重・中度精神遅滞児の社会生活能力. 2) 目閉児と精神遅滞児の社会生活能力プロフィ ール 被験児の中には自閉症及び自閉的傾向を強く示すものが15名含まれている.自閉的傾向を持つ精 神遅滞児とその他の遅滞児の間に社会生活能力のプロフィ ールの差が認められるか どうか 比較 し た. 目閉児15名の平均CAは1 3才2カ月, 平均MAは3才9カ月, 平均IQは30であ った. 被験 児は, これらの条件にほぼ対応する遅滞児15名を選び, 両群の プロフィ ールを示したものが表2及 び図2である. 図2から, 平均社各領域の生活年齢は両群ともほぼ等しいが, プロフィ ールに若干 の相違が認められる. 「身辺自立」 「移動」 「作業」 「意志交換」 は両群ともに大きな違いはないが, 「集団参加」 「自己統制」 に関して目閉児群が低いことが認められる .. 3) 知能程度と社会生活能力 対象児86名の中, 知能検査の実施されている69名を整理の対象とした. 知能検査は鈴木ビネー が用い・ られ, この1~2年の間に測定されたものである. 表3は知能程度を4段階 (工Q25以下, 2 6~35 , 36~49 , 50以上) に分け, 各グループの平均社会生活年齢 (月数) を示したもの である. 表3 知能程度と社会生活能力 SD. N. CA. C. S. 不能~2 5. 27. 159.2. 34.O. 44.3. 35.5. 42.1. 21.4. 21.2. 37.O. 26~35. 17. 144.O. 52.2. 62.5. 49.9. 42.I. 43.2. 36~49. 19. 151.5. 77.I. 67.2. 55.5. 61.6. 52.7 67.8. 0以上 5. 6. 139.8. 66.3 72.3. 63.2 81.I. 79.3. 74.3. 80.5. 72.5. 66.7. 68.3. SA. SH. L. ,0. 「 IQ25以下の重度精神遅滞児は,,総合生活年齢 (SA) 平均は, 2:6であり, 「身辺自立」 , 作 業」 が高く, 「意志交換」 「集団参加」 が低い. 「移動」 「自己統制」 はSAに等しい. IQ35以下の 中度精神遅滞児の場合, SAの平均4:4 であり, 各領域のプロフィ ールは重度の遅滞児の場合と 同じである. しかし, 「意志交換」 「集団参加」 の伸びが大きく, 他の領域との差が小さくな ってい る. IQ49以下の場合, 平均SAは 5:6であり,「作業」「集団参加」の伸びが大きい. 前2 グルー プと異なり, 「意志交換」 と 「集団参加」 に差がみられる IQ50以上の場合, 平均SAは6:0 . . 「意志交換」 が高くなり 他の領域の伸 びはほとんどなく 平均化されて来る 全体にIQが高く , , . なるにともない, 社会生活能力も高くなる. だが, IQ50以上の場合, 意志交換が高くなるにもか かわらず, 他の領域はIQ36~49の グルー プと変わりが無いのが目につく. 知能程度と社会生活能 力は必ずしも一致しないが, 知能が大きくかかわっていることも確か である,. 4) 精神年齢と社会生活能力 精神年齢が測定されている73名を対象とした. 表4及び図3は, MAを5 グループに分け, それ ぞれの社会生活年齢の平均月数を示したものである.. 79.

(7) . 木 村 健一郎 表4. MAと社会生活年 齢 N. SA. 2:0未満. 10. 20.5. SH. L. 0. C. S. 26.O 36.3. 18.9 44.7. 15.5 20.3. 13.2 22.O. SD 14.5 53.5 56.1. 2 :0 ~ 3 : O. 20. 34.2. 24.2 44.3. 3 :0 ~ 4 : O. 18. 49.7. 61.I. 47.5. 57.9. 37.8. 41.9. 4 :0 ~ 5 : O. 7. 73.6. 59.I. 78.7. 5 :0 ~ 6 : O. 12. 61.0 73.2. 83.2. 73.5. 89.7. 56.1 62.5. 47.O 66.8. 6. 80.7. 89.5. 81.7. 89.3. 76.3. 78.7. 6:0以上. 36.1. 77.9 79.7. MA2才 未満では, 「身辺自立」 「移動」 が2才 台だが, 他の 「作業」 「自己統制」 「意志交換」 集 団参加」 はすべて2才未満である. 平均SAは1 .才6 才9カ月 である. MA2~. 3才 (平均MA2 「 「 「 カ月) では, 身辺自立」 作業」 自己統制」 が高 い伸 びを示しMAを上回る. 「自己統制」も3才台 に入る. だが 「意志交換」 「集団参加」 は2才台に とどまり, 精神遅滞児に特徴的なプロフィ ールを 示す. 平均SAは2:IQである. MAとの差は4 カ月 である. MA3・ ~4才 (平均MA3才4カ月) では, 平 均SAは4才2カ月 でMAとの差は10カ月 であ る. MA2才台の プロフィ ールを維持しながら全 体的に 発達がみられるが, 特に「意志交換」 「集団 参加」 ●の発達が目だち, その発達はほぼMA段階 と一致する.. MA2歳未満. M A 4 ~ 5才段階以降,この傾向は維持される. . MA5~6才段階の 「集団参加」 「自己統制」の不 規則性は, 対象児7名の中3名 が目閉傾向を示す ものが含まれていることによ る.. SA SH. L. O. C. S. SD. 図3 精神年令 (MA) と社会生活能力. 5) 社会生活能力にた いする精神年齢と生活年齢の関係 ここ では, 結果の整理の対象として, 中・重度に限定した67名を対象とした. MAとCAのクロ ス集計を表5に示 した. 精神年齢による グループ内を 高CA群と低CA群とに分けた. データの関係でCAを共通な基準 で分けることが出来ず, その グルー プ内 での分け方が異なっている. MA2才未満では小学部低学 年と高学年, 2 ~ 3才及び3~4才 では小学部と中学部, 4 ~ 5才 では小学部低学年と中学部, 5 ~6才は中学部を二分 した. 図5~9は, 各MA段階においてCAがどの様な効果を示すかを詳し くみるために図示したもの である.. 80.

(8) . . ● ・ 1 . . . ・ 1 .・1 . ・ . . ● . ・ .. 1 . ・●. . .・ 1. ●● ー. 重・中度精神遅滞児の社会生活能力 表5. 社 会生 活年 齢とMA・CAとの関係 ~ 2 歳. 3~4歳. 5 ~ 6歳. 4 ~ 5歳. 11 123.9. 111.0. 6 159.5. 50.8. 53.5. 68.5. 60,9. 68.O. L‐ 0. 52.8 56.0. 61.5. 77.8 72.5. 群. 31.2 . 37 5 18.0 . , 34.7 22.2 44.O 10.6. 70.0. C. 15.0 ご. 20.9. S. 10.0. 21.O. 39.0 47.O. 48.O 34.O. 86.2 59.7 59.3. SD. 8.O. 27.7. 49.7. 37.5. 70.8. 低. 6 127.7. A. N. ,2 ~3歳. C. CA . SA SH. 5 90.6 16.6. 2. A 群. N 帆 触 紺 Lo c s 抑. 局. C. 14. 7. 5. 6. 136.8. 170.7. 165.9. 170.0. 174.O. 24.4. 35.4 47.2. 48.O 61.4. 64.O 75.8. 77.8. 37.O 45.O. 39.1 60.7. 58.2 82.2. 74.5 93.2. 20.O. 36.0. 59.4. 65.3. 22.4. 33.9. 52.2. 74.2. 39.6. 59.4. 6 3′ 6. 85.O. 5. 30.4 29.8 1 27.2 16.O 16.4 21.O. 図4, MA2才未満では, 「意志交換」を除いて 生活年齢の効果が認められる. 特に 「身辺自立」 「作業」「自己統制」においてその効果が大きいが , 生活年齢の開き が3才10カ月に対して平均SA は7 カ 月●の 上 昇 であ る. 図 5, M A 2 ~ 3 才 では, 生活年齢3才7 カ月 の 開 き に 対 して 平 均 S A は 4. 8 0. .. 0 6. カ 月 の 伸 び しか 示 して い な い. ほ と ん ど生 活 年 齢. ~4才段階では, 生活年齢3才6カ月の開きに対. ・ △ 高cA群 (CA, ,:5). △. の効果が認められない. その中でも特に 「身辺自 立」 「自 己統制」の 発 達 が 目 に つ く. 図 6, M A 3. 88.5. 4 0. ,. 低CA群(CA7・. ‐‐÷ →. ) ・ 二. してマイナス3カ月の低下がみられ ,生活年齢の 効果は認められない. 各領域を見ると,「移動」「集 団参加」 の低下がみられ, 「自己統制」の伸びが認. 2 0 ,. め ら れ る. 図 7, M A 4 ~ 5才段階では, 生活年. r. 齢4才1 1カ月の開きに対して, 平均SAは10カ 月の伸 びを示している. 各領域を見ると, 「移動」 を除いて社会生活能力の伸 びが認められる. 特に 「自 己統制」「集 団 参加」の 伸 び が 著 しい ま た「意 . 志交 換」 の 発 達 も 伸 びて い る. 図 8, M A 5 ~ 6. く. い. 数 SA SH. L. 図4. O. C. S. SD. MA2 歳未満. 才段階では,生活年齢の開きは1才2カ月 である. それにもかかわらず平均SAは9カ月の伸びを示している. 各領域を見ると, MA4~5才段階と 同じく, 「移動」 の伸 びが小さく, ,「集団参加」 「自己統制」 の伸 びが大きい. 「意志交換」 も伸 びて 81.

(9) . 木 村 健一郎. ム---△ 高CA群(CA1 4:3) O:8) ←÷‐ ‐一 低CA群(CAI. △ --△ 高CA群. A13:1 0). ←‐‐÷・ 低CA群(CAI O:4). 「 sA. s日. S. 図5. SD. SA. M A2~3歳. 図6. 8 0. 8 0. 60. 60. 40. 40. 20. △. △. 高CA群 (CA14:2). ÷ ▼. ▲. 低CA群 (CA9:3). L. O. MA3~4歳. △---△ 高CA群 (CA1 4:6) 20. ●÷÷÷÷. 低CA群 (CA1 3:4). ( 月数). ( 月数) SA. SH. L. 図7 82. SH. O. C. MA4~5歳. S. SD. SA. SH. 図8. S. M A5歳~6歳群. SD.

(10) . 重・中度精神遅滞児の社会生活能力. いる. MA4才までの水準では, 「自己統制」に生活年齢の効果が認められるが, 他の面については その効果はほとんど認められない. 一方, MA4才を過 ぎると, 「移動」を除いて社会生活能力の発 達が認められ, 特に 「自己統制」 「集団参加」 に 生活年齢の効果が著しい, .. 4. 考. 察. 1) 重・中度精神遅滞児の社会生活能力プロフィ ール 重・ ・中度精神遅滞児の中には, 自閉症, 自閉的傾向, ダウン症, 運動障害等の障害を合併してい るものが多い. 本研究では自閉症, 並びに自閉的傾向とその他の遅滞児とに分けて, その社会生活 能力の プロフィ ールを比較した. 遅滞児群の特徴は, 「身辺自立」 「作業」 が高く “「意志交換」 「集 団参加」 が低く, 「移動」 「自己統制」 がその中間に位置するという先行研究の結果と一致している. 身辺自立や作業は, 比較的パターン化された行動で, 手先の運動の発達と経験, 練習の量や質に規 定される面を強く持つ. また, この領域は, 家庭や学校 で繰り返し経験する機会が多く, その能力 が高くなる. 他方意志交換は言語発達に規定される面が強く, 精神遅滞児にとって困難なことは十 分予想される. 集団参加能力は, 決まりきった行動の様式がなく, 臨機応変な行動が要求されると 共に, 対人関係や社会の理解などの知的能力の 発達に規定される面が強い. 移動能力については全 身運動の発達を基盤として, 自分一人でどこかに行くことや交通機関の利用といった経験が少ない ため, またより高次な移動には, 目標志向的な見通しの力も必要とされる. その意味では知的能力 にも規 定さ れれことになる. 自己統制は, 「待つ」 「我慢する」 「我がままを自制する」 「自分 で判断 する」 「計画的に行動する」といった自分で自己の行動を律する力 である. 自己確立, 自我の発達と いった人格の発達が基盤となり, 社会化された行動に 主体性を与える重要な力 である. この能力は, 集団参加と共に低くなるものと予想していたが, 比較的高いことは以外であった. この問題は, 後 のMA・CAとの関連のところで検討する事にしたい. 他方, 目閉児群の プロフィ ールは, 「身辺自立」 「移動」 「作業」 「意志交換」 については遅滞児群 のそれとほとんど等しい. だが遅滞児群と特徴的に異なるところは 「集団参加」 能力が最も落ち込 )は 年長目閉児・者の社会生活能力について 「身辺自立 移動 19 )1 88 んでいる点である. 後藤ら( , , , , 作業が高く, 意志交換, 集団参加 で低い, 自己統制はその中間にある. これが目閉児の一貫したプ ロフィ ールの特徴である」 と報告しているが, 本研究の結果では 「移動」 の落込みがみられた. こ の違いは対象児の生活年齢や精神発達の差によるものと考えられ, 発達と共にプロフィ ールも変化 していくものと考えられる. 2) 社会生活能力の発達と生活年齢・精神年齢 生活年齢の変化にともなって社会生活能力の どの面が影響を受けるかを調べた. その結果 「身辺 自立」 「作業」の発達に生活年齢の効果が強く示された. 「自己統制」 「移動」 も若干その効果が小さ いが, 生活年齢が高くなるにつれて発達していく. 一方 「意志交換」 「集団参加」は小学部 低学年と 高学年においては 生活年齢の効果が認められず, 中学部段階に入ってやっと効果を持って来る. そ れは中学部と小学部の生活経験の量と質の違いによるものであろう. 次に精神年齢の効果を .見てみると, MA2才未満では社会生活能力の全ての領域に精神年齢が効 果を持っているよう である. その精神発達のレベ ルでは, 社会生活能力が各領域に分化しておらず, 社会生活能力の発達の基盤となるものの発達が課題となっており, それは精神発達に規定さ れると 83.

(11) . 木 村 健一郎. 1 考えられる ・ . その基盤となるものとは運動発達 であ ), 社会性, 情緒, 知的発達 である. MA3才 ・も分化しは じめ, 「身辺自立」 「作業」 はMAを上回り, 精神年齢の影響が になると, 社会生活能力 「 小さくなる. だが 意志交換」 は強く ,精神年齢の規定を受け続ける. 今回の研究の中心は, 社会生活能力の発達にたいして生活年齢 (経験の量と質) と精神年齢 (精 神発達の水準) とがどの様に影響し合っているかを明らかにすることにあった. その結果は精神年 齢4才の前後で生活年齢の効果が異なっ ていることが見いだされた. 精神年齢4才を過 ぎると生活 年齢の効果が 「作業」 「集団参加」 「自己統制」 の発達に大きな効果を持ち, 更に 「意志交換」 の発 達をも促す. 他方, 精神年齢4才 未満では生活年齢の効果は 「自己統制」 のみに見られ, 他の領域 , にはほとん ど効果が認められなかっ た. }は 15 1961 )7 田中 ( , 知能年齢と生活年齢の , 0名の精神薄弱 児に ドルの社会成熟度検査を実施し, 関係を明らかに している. そこ・ではMA3才以下の場合年長 ( 16才) と年少 (9才) との間に社会 生活年齢にほとんど開きがなく, MA4才を境に生活年齢の開きによる社会生活年齢の開きがみい )はこの結果をも● )2 1986 とに 「このことは, 4才の節を越えることが社会的経験 だされている. 泰 ( を受け止める基礎力のついていることを意味する」とし 「他の集団や社会とかかわる力が形成され, 社会的経験が効果を持ち, 生活年齢としての意味を持って来る」 と推測している. 本研究においても精神年齢4才以上が社会生活能力の発達に対する生活年齢の効果を生みだす条 件 であることが確かめられた. おそらくこの精神発達のレベ ルでは対人関係, 社会的関係の理解が 経験的・行動的に行われるの であろう. それ故この発達段階の遅滞児には, 彼らの生活年齢にふさ わしい社会的経験を与えていくことが大きな課題となる. 養護学校の義務教育段階の児童・生徒と係わ っているものにと って, MA4才以下の遅滞児の社 会生活能力をいかに育成していくかがもっと大きな問題である. つまり, この段階の遅滞児に取っ て生活年齢が効果を持たないということは現在彼らに与えられている社会的経験がほとんど意味を なさないということを示しているからである. 3) 社会生活能力の指導理論への手がかり MA4才以下の3 グループに共通している特徴は, 「自己統制」のみに若干の生活年齢の効果がみ ある. 「自己統制」は, 文字通り自己が関与した主体的な行動である. 社会的行動, 適応 られる点で・ 行動の中核をなすものであり, 対人, 対集団, 対社会との係わりの中で形成さ れていくものである. そのような観点に立つと当然社会生活能力の他の領域の発達に影響を及ぼすと考えるのか妥当であ ろう. その影響が認められないということは, 「自己統制」 が本来の意味からはなれて「自己が関与 していない社会化さ れた行動」 となっており, それが逆に他の社会生活能力の発達を抑止している のではないかと推定される. MA4才以上の グループにおいては, 自己の関与し, た 「自己統制」 の 「 発達が, 他の領域, 特に 集団参加」 の大きな伸びを伴っていることが, 上記の推定をより確かな ものにしているように思える. それ故, MA4才レベ ル以上の遅滞児と同 じ様な指導を行っ ても意 味がなく, 逆に マイナスの影響を及ぼす可能性が強いと考えられる. 今回は対象児も限られており統計的な手続きも踏ん でいない. それ故, さらに対象児を拡大し確 かめていく 必要がある. その中で, 社会生活能力, 自己統制とは何かについての理論と実証的な検 討を深めていかねばならない. と同時に, 具体的な指導に結びつく 学習理論の検討が必要であ, このような人格理論の検討. る. 指 導理論の確立には, この両者が不可欠である. 84.

(12) . 重・中度精神遅滞児の社会生活能力. さて, MA4才以下の遅滞児達が 「自己の関与した社 会化された行動」 をどの様にして形成して いくのかという問題である. 問題と目的のところで引用した文章は, 自己の関与した社会的行動の 学習には, 社会についての理解が可能な知的水準が前提であるとの考えが示されている. おそらく 現場の教師達の一般的な考え方を示しているものと思われる. その点について 「知的認識レベ ル」. 5 ) ・情緒 的 認 識 の レ ベ ル」 で の 自 己の 関 与 が あ り う る こ と を 述 べ た. Mussen の他に 「 .al (1963) .et. は, 子供が生来の強い衝動の 抑制を伴う様な成人のする行動をなぜだんだんに取り入れるようにな るのかについて同一視, 模倣, 報酬, 不安の動機の4つの 理由をあげている. そして排せつのしつ けを例に上げ, 次のように述べている. 「排せつのしつけを親子の間の 〈物々交換〉としてみるなら る. その ばよく理解 できよう, 母親は子供に快 をもたらす反応を放棄することを要求するわけ であ, 親が子供に 対して愛情 ならない この場合母 何か価値あるものを提供してやらなくては かわりに, . があり, 優しい世話を与えているならば, この物々 交換は公正なものであり, 子供は進ん で反射的 な排せつを放棄するだろう. ……行為を抑制することに対して十分な報酬が, 子供に与えられない 事態において, しつけを完成させるために 罰に訴えるならば, 母親を避けるべき人物と見なすよう に な ろ う.」. 社会化されていない子供は, 本来自己の思うまま, 欲求のままに行動することカャ決につながって いる. そのような行動を抑制 し, 意味のわからない行動様式に変えるためには, その快に変わる快 がなければならない. つまり, 直面している環境や, 行動を変えることの意味について 「快・不快」 といった情緒的レベ ルで自己を関与させ, 主体的行動を維持することができる. より高次の社会的 行動においても, 例えば 「一生懸命仕事をする」 という行動も, 知的レベ ルでは労働の 意義や意味 を理解することによ って自己が関与する. だがそのような理解が出来なくて も, 働くこと力も決に結 びつき, 社会的欲求の形成に進み, 主体的な社会的行動が可能ではなかろうか. )に求めようとしている. 更に検討を MA4才以下の遅滞児の具体的な指導の枠組みをこのあた1 深める必要がある.. 謝辞 学期末のお忙しいときに, 快く検査を引き受けてく れたN養護学校の 諸先生がたに深く感謝申 し上げます.. 引用文献 9 ):年長目閉児・者の教育的処遇状況と社会生活能力. 発達 19 8 1) 後藤 弘・中塚善次郎・蓮郷さなえ・原田和幸 ( ) - 1( 1 4 9 5 7 障害研究, 1 , . 3 1-2 1 ):青年期・成人期障害者の発達をめぐる諸問題. 障害者問題研究, 46 98 6 2) 奏 安雄 ( ,1 . 日本文化小学社 19 0 ):新版 「S一M社会生活能力検査」 8 3) 三木安正 ( . 8-3 1 ):障害児の早期教育. ミネルヴァ書房. 2 1 9 72 4) 村井潤一 ( . l i i l l 6 3 C h dD t d K 1 9 P H C ) ( e e o a n J : v e r j J a n a y (三 宅和 夫 訳 : 発達 心理 5) Ms o n pmentandParsona g sen g ,. ,. ,. . , ) 48 46一2 学1. 誠信書房, 2 . 45 ):精神薄弱問題白書. 日本文化科学社, 142一1 19 8 8 6) 日本精神薄弱者福祉連盟 ( . ): 「精神薄弱児」 研究の方法論的検討. 心身障害者福祉問題研究叢書2, 66-67 1 96 1 7) 田中昌人 ( . (本学助 教 授. 木 村健 一 郎). 85.

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参照

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