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第VI報 魚肉に対するFission Productの挙動

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Academic year: 2021

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(1)

第VI報 魚肉に対するFission Productの挙動

著者

高田 幸二, 西元 諄一

雑誌名

鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of

Fisheries Kagoshima University

5

ページ

190-195

別言語のタイトル

VI. The behaviour of fission product for the

fish meat

(2)

190

第VI報魚肉に対するFissionProductの挙動*

高 田 幸 二 ・ 西 元 誇 一

VLTheBehaviourofFissionProductfortheFishMeat KojiTAKADA,Jun-ichiNIsHImoTo 緒 言 放射性物質によって汚染せられた魚肉を摂取した場合の人体に対する影響については,医学 方面から種煮論議せられている.その許容量は未だに確定した値が示されていないが,何れに してもこれを摂取することは出来る限り避ける事が望ましい.従って汚染肉より放射能の除去 については原子力産業の発達と共に一応考慮を要する問題である.その除去については,煮熟 水晒,凍結,解凍等の手段方法が実験的に試象'〕られて,各方面から検討せられている.何れの 方法を行うにしても魚肉蛋白に対する各種の放射性物質の理化学的‘作用から検討した基礎的結 果 に ま た ね ば な ら ぬ こ と は 当 然 の よ う に 思 わ れ る . この基礎的実験結果は更に魚肉加工処理中に於ける特定成分の品質その他におよぼす影響並 びに魚の死後体内に於ける特定成分の移動等の観察追究の場合に利用し得るのではないかとの 、見地から,余等はF・P、を用いて実験を試みた. 実 験 Ⅱ 測 定 方 法 当実験の結果は試料・を灰化叉は乾物としたものをNet-countで表わし,自己吸収,、その他の 影響は特に考慮しなかったものが大部分である.使用したGM・計数器は科研製Model32 で雲母板と検体との距離は10mm,35mmの何れかである. 1 1 実 験 そ の 一 魚 肉 蛋 白 に 対 す る F ・ P ・ の 作 用 A ・ 試 料 の 調 製 新鮮なサバ(SCO"Z6gγfapg”OCg”α"S)を試料に用い,これを三枚におろし,皮,血合を取 り除き精肉の染となし,ミキサーで均一化し,Xanthoprotein反応で蛋白量を測定2〕したが蛋 白量23.2.%であった. B・魚肉のTCA(CCl3COOH)処理による放射能の吸着 試料を0.1,0.5,1.0%の蛋白質量となるように採取し,これに汚染水20cc(5士2cpm/cc) を加え5分間よくかき混ぜた後50ccとなし遠心分離する(3,000r,p.m.10分).その上澄液 と充分に洗った残澄について試験した.上澄液は20%TCAの5ccを加え.10分後遠心分 離して沈澱を取り去ったものである。その結果はTablelに示した.この実験では上澄液の 蛋白質の濃度は判らないが既に湾:藤,鮫島は既知濃度の水溶性蛋白についての実験結果を発表 している.その事から生の魚肉に加えられたF・P・が肉蛋白は勿論水溶性でTCAによって 沈澱する区分りこも可なり吸着せられるものであると考えられる. *昭和31年4月,日本水産学会年次大会(シンポジウム)にて発表.

(3)

これをTCA処理のものと比較すればTCA沈澱部の灰分は熱凝固区より明かにCount数が 少い,もしF・P・の吸着が蛋白量に比例して多くなるものであるとするならば,この場重合も当 然Count数が多くなる筈であるのに,かえって少ない傾向となっている.これはTCA処理

のものが酸性になっているためではないかと考え,これを同程度の酸度となるように5%酢酸

液を加えて加熱処理したところTable2ノ11のような結果を得た.これにより酸性の水溶性

蛋白溶液の沈澱部に吸着せられる放射性物質は少ない傾向がわかり,酸性とすればF・P.の吸

着が少なくなるのではないかと考えられる. D,熱凝固(変性)蛋白のF・P・の吸着

上記の実験結果から生蛋白については相当量の放射能が吸着される傾向にあることを知った

のであるが,更に熱変性蛋白について実験を試みた.すなわち魚肉蛋白は0,1,0.5%の魚肉に

30ccの水を加え沸騰後10分間加熱し,冷却後その凝固区(凝固区蛋白量は測定していない)

に汚染水5cc(51士2cpm/cc)を加え,ガラス棒にてよく細砕し,かき混ぜ,水で50ccと

なし10分後,凝固区分を取り充分洗った後灰化しCountを測った.その結果はTable3に

示した.変性した魚肉蛋白は生蛋白ほどではないが,やはり或る程度の吸着があるように思

われる.すなわちF、P.は自然状態の蛋白によく吸着せられるが変性した蛋白に対しての吸着

は減少するのではないかと考えられる. 191 高田幸二・西元諒一:魚肉に対すFissionProductの挙動 4.5 5.2 109士251。5☆ 88士141.5☆☆ 1 1 Table1.Changeincountsoffishmeat. ☆5%CH3COOII ☆☆20%TCA(Trich1oroaceticacid) 7士2 24-'-2 Trace Trace 3,3 11.3 96士145.3 100士447.2 0.1 0-1 Solid(Musclestroma) Supernatantliquid Fishmeat protein% Table2−I(Addcountl60c/、) Table2-II(Addcount255c/、) Solid(Musclestroma) Ash Ppt・byTCA,ash Filt・ash Yield(mg)c/、

Nol脇鰯

I Yield(mg)c/、%lYield(mg)c/、% % Supernatantliquid 55±1 41士4 33+2

277

L2Ⅵ

0.1 0.5 1.0 30士1 31士2 35士4 36.5 39.2 47.2 Trace 0.6 .1.2 17±1 16±1 ]4+2 20.7 20.2 18.9 35士3 32士2 35士1 4.4 25.4 53.4 42.6 40.5 33.7 Ash Ppt・byheatinRash 36.0 42.0 51.5 C ・ 魚 肉 水 溶 性 蛋 白 部 分 の 熱 処 理 に よ る 放 射 能 の 吸 着 上記と同様に処理した上澄液を沸騰後10分間力'1熱を続け凝固区分と非凝固区分とに分ち凝 固区は充分に水洗して夫,々灰化した.その結果はTable2ノIのようである. Table2,(1,11)Changeincountsoffishmeat, 30土3 34士2 41+4 Filt,ash

966

L28

150

■■■

001

1,5 1.6 48+5 55±2 68士3 41.4 31.5 25.0 5命3 28.4 42.0 % 22.5 26.2 31.1 Yield(mg)c/、%lYield(mg)c/、 Trace 0.3 1.1 Yield(mg)c/、%

(4)

︵唾︶・日ロ。 192

,川川,││●願│リlWlnlIIlMlnlII

Table3.Fissionproductadsorptionofheatcoagulatedfishmeat. 9 、 一 ー - ( h r 5 。 ) 6 2 4 6 2 4 −回 6 2 4 Stiユユ 一 一 6 2 4 Stiユエ Ⅲesentery Inotreatmentj (Same) Ⅲesentery (treatment) (Same) Fig.1.Chang onthe Coagulatedpartash

……。%|通.…‘,.

Fish ofradioactivitybytreatedwithdialysis variousmembrane. % 巴− 6 2 4 6 . 2 4 S t i u S t i ユ ユ 20.8 28.2 53土4 72±1 1.1 5.8 0.1 0.5 Stiユユ Celユophan m 実 験 そ の 二 汚 染 魚 の 透 析 に よ る 放 射 能 の 変 化

前述のようにFoP・は自然或は変性状態の何れの蛋白に対しても程度の差はあるが吸着せら

れることを知った.ところで吸着せられた放射能がその処理方法によって如何なる挙動をなす

かを知ることは重要なことである.そこで余等は,動物膜及び人工透析膜を.用いて実験を行っ

た.動物膜としてはサバ表皮,サメ腸間膜,人工膜は硫酸紙とセロファンを選んだ. A、透析に使用せる膜の種類によるF・P・の移動の差異

内径28mmのガラス管を適宜の長さに切り円筒を作りその一端に透析膜を張り管内に汚染

水を充たし50ccの水中及び流水中で透析し,干燥した後Countを測定した.尚動物膜は

5%ホルマリン液に浸漬して処理せるもの及び未処理のものにつき実施した.(腸間膜は20時 間,魚皮は18時間浸漬固定)透析時間は6時間及び24時間でその間の温度は10∼15℃であ

った.管内の液,透析膜自体及び水中で行ったものはその水の部分について計算した.結果は

Fig.1に示したようである.これを見ると硫酸紙はセロファンに比べてよく透析しセロファ 100 80 6o 40 20 6 2 4 鹿兇島大学水産学部紀要第5巻創基十周年記念号 ー ー 6 2 4 − Stream

'

1

1

1

,

1

,

'

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エnSide Membrane OutEide(water)

10Ⅱ

E1Shskin (treBLtment) (Saba) S t i ユ ユ S t r e a m 100 80 60 40 20 PerclmlentPaper FiShskin (notreatmenも) (Saba)

(5)

21 193 4.8130士388.5 4.2108士173.5

ンでは膜自体に硫酸紙の約2倍の放射能吸着が見られた.動物膜では何れも大体同じ程度の透

析をなす傾向を示すが腸間膜のホルマリン液で固定のものは透析時間の経過と共に透析により

残存放射能が最も小となっている.こ』で注目せられる事にホルマリン処理をしたものと然ら

ざるもの,すなわち蛋白が変化したものとしないものとの間において未処理の膜自体に放射能

が多く吸着されるのではないかと推測されたがそれ程大きくなく透析率は,むしろ大きくなっ

ているものもある.勿論この場合未処理のものは透析中に組織が軟化膨潤したために透析率が

増加したとも考えられるが,サメの腸間膜ではホルマリン液処理のものより未処理のものが膜

自体に吸着せられた放射能が多い事実も認められた。

B、汚染魚の透析

前述の実,験結果から硫酸紙がよい透析率であったのでそれを.用いて透析を行った.すなわち

均一乳剤化したサバ精肉の一定量に汚染水5cc(51士2cpm/cc),水30ccを加えて5分間よ

くかき混ぜ10分間遠心分離(3,000r・p.m.)を行い上澄液を除き残置をよく水洗してこれを適

当量の水に懸濁して管内に入れ50ccの静水及び流水中で透析して夫為灰化し,その放射能を

測った結果がTable4である. Table4.Changeincountsofcontaminatedfshmeatbydialysis. 汚染魚肉中のF、P.は約10%程度が透析によって水に移行し魚肉量により透析率が著しく 異なる事はない様である.叉静水と流水とは流水で透析したものが,透析率はよいのではない かと思われたが,甚だしい差異は認められなかった.これは試料が少量のためであって,もつ と多量を.用い透析水と試料・の量の割合を変えて実験を:行わなければ確かな事は言えない. 1 V 実 ‘ 験 そ の 三 魚 類 の 死 後 体 内 に 注 入 せ ら れ た F ・ P ・ の 移 動 に つ い て 活魚について放射性物質含有汚染水中で飼育しその放射能の体内移動についての実験3〕はあ るが死後の汚染水注入による移動の実験は殆んどない.魚類死後に於ける体液特に内臓液の 移動又それの魚肉中への浸透が鮮度に如何に影響を及ぼすかと云う事は一つの重要な問題であ

る.そこでこの体液の移動を追究する一つの方法として放射能で「マーク」した内臓液を使用

して実験をした.すなわちサバ(体長約30cm)の腹腔内(H工門上方約5cm)に放射能汚染

水0.4cc叉は0.8cc(Ca、70cpm/0.1cc)を注入して背立して室温(8。∼13℃),冷蔵庫(−6. 士1℃)及び-25.士3℃の室に放置し魚体各部の放射能を検した結果はTable5に示した様 に,殆んど注射部位より移動していない様である.これは前述の様にF・P・は組織蛋白によく 吸着せられるためであろう.F・P・は生活時は新陳代謝により吸収排世に伴い放射能の生理的 移動は既に明かに認められているが,この実験では生活機能を失った魚体に於ける理化学的移 動は殆んど認められぬ様に思われる. 10.9 11.5 1.8112士1 6 24 1,3107士195.5 0.997士196.6 8.0 13.4 0.4 ”叩一叩迦 91‘0 85.6 Stillwater Runningwater Contaminated meatash Timeof

g・ hr. 高田幸二・西元諒一;魚肉に対・すFissionProductの挙動 9士2 15士3 16士1 17+1 lnsideashlOutsideashllnsideash Yieldc/、 Yieldc/r 1.2102士1 0.996士1

‘‘…|淵幸淵

6 24 c/m%lYieldc/m%lYieldc/1,%

(6)

11.5士113士21131士1 194 3士3 3士2 Table5.Thetransitionoftheradioactivityinthefishmeatwhich isinjectedinthepostmortem. 10士2 5士3 [君o y d O m︵・軸Ho 鮎弓ロ淵且貝 響自の。x国︶ f OロOHm①僧 Countonpart

'

:

〔-‘能員

四 く 閏日日①ロ日の僧 淵ご○望昌○○一の ①員○P望Q画国 [侭口隅①響口増 [両口掲①碧口胃 ﹃HO 門の口冨︼ ①○面﹄消口⑱ ①口面切消○ の己弔切 ・切凋○ ①一両︾ぬ 本報は昭和30年度文部省総合研究(水産物に関する放射化学的研究)による業績の一部で, 御支援を賜った当局並に同研究班委員長,東京大学教授森高次郎先生に深謝の意を表する 要 約 1)生魚肉蛋白及び水溶性蛋白に放射能(F・P.)は吸着せられるが,殊に熱凝固の水溶性蛋 白との吸着が最も強く,酢酸添加のものは最も弱い.同じ酸度の三塩化酢酸で沈澱する部分は 中間で酸性の場・合は吸着が減少する傾向がある. 2)熱変性(凝固)せる魚肉蛋白は生蛋白に比べ放射能の吸着は少ない.

3)硫酸紙,セロファン,及び動物性膜等の透析膜の中F、P、に対しては,硫酸紙が最も透析

し易く汚染魚肉中の放射能は透析により或る程度除去せられるが,F、P・は魚肉組織に非常に 吸着せられ易い性質がある様に思われる. 4)死後の魚体腹腔内にF、P・を注入し内臓液の移動を検したがその理化学的移動は殆んど 認められなかった. *0.8cc、contaminatewateradded、 700cmp/cc.

錨│…│…│鶏

4士413士2184士4 2士1 3士3 6士1 43士4 meat soften・ putre− fied odor・ meat Soften、 brown, putre− fied odor. 3+2 104-t2 鹿 兄 島 大 学 水 産 学 部 紀 要 第 5 巷 創 基 十 周 年 記 念 ・ 妙 3days at0℃ after stockin 72hrs. 2士1 slimy brown・ rancidity

5。∼7℃55dayslittle

putre且ed odor. 72hrs. 8。∼13.C 23士2173士2 28士4122士31284士4* 10士1 89士1

(7)

高田幸二・西元諒一:魚肉に対すFissionProductの挙動 R 6 s u m eF 195 TheworkinginHuenceofthefissionproductonfishmeatwasexaminedwith thefollowingresults’ 1)Aradioactivityadsorbingpropensitywasseeninfishproteinandotherwater solubleprotein・

Inthebothcases,thepropensitywas‘‘strongest',insomeoftheheatcoagula‐

tiveamongthewatersolubleprotein;andwas‘‘weakest,,intheoneaddedwith aceticacid,whileitwas‘‘middle,,intheonewhichwastobedepositedby trichloroaceticacidoftheequivalentacidity:andincaseoftheonewithacertain acidityasomewhatdecreasingtendencywasobservedinthepropensity、 2)Theheatcoagulatedproteinofafishmeatshowedthelessradioactivity adsorbingpropensitythantheordinaryproteinintheliveone、 3)Amongthevariousmembranesofdialysis,eogparchmentpaper,cellophan andanimalmembrane,tothefissionproductthefirstoneshowedthemoststrong dialyticpropensity, And,byusingthemeasof“dialysis,,,itwasnotimpossibletoremovesome oftheradioactivityfromthecontaminatednshmeat;but,asmighthavebeen supposed,thetenaciousadsorbingpropensityoffishmeatpreventedustocleanse throughlythecontaminationfromit. 4)Thetransferringoffissionproductinjectedintotheabdominalcavityoffish bodywasexamined,buthardlyanytransferencewasperceptible. 文 献 1)商藤要,鮫島宗雄:本誌,4,124,(1955) 2)高田幸二,西元諒一:昭和30年,日本水産学会秋季大会発表. 3)森高次郎,佐伯誠道:昭和31年,日本水産学会シンポジウム‘

参照

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