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高齢人工骨頭置換術患者に対する脱臼危険肢位理解の為の脱臼予防パンフレットを用いた指導の評価

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Academic year: 2021

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1-1 高齢人工骨頭置換術患者に対する脱臼危険肢位理解の為の

脱臼予防パンフレットを用いた指導の評価

○川端 翠(赤穂市民病院) Ⅰ. はじめに 人工骨頭置換術の術後合併症の 1 つに、人工骨頭の脱臼がある。当院では過去 3 年間で 2 例発 生しており、退院後の脱臼予防・危険肢位についての指導は重要である。 高齢患者は、記銘力の低下、新しいことへの適応力の低下に伴い、理解を得るために繰り返し の指導が必要となる。従って、本研究は、対象者が脱臼危険肢位を認識するための指導にはパン フレットのみで可能であるか明らかにすることを目的とする。結果、高齢者に対する退院指導は 術後早期から繰り返し指導する必要があること、パンフレットによる指導だけでは限界があるこ とが明らかとなったので報告する。 Ⅱ. 研究方法 1.研究対象者:A 氏 76 歳 自宅で、自転車に乗ろうとして転倒による大腿骨頚部骨折のため、人工骨頭置換術を受けた。 2.研究方法:事例研究 脱臼予防の図説パンフレットと口頭説明用パンフレットの 2 種類を用いて 3 回の指導を行い、 その後インタビュー用紙を用いて 3 度質問(術後 20 日目、退院後 7 日目、退院後 21 日目)。 3.データ分析方法 1~3 回の指導前後の対象者の肢位・動作・言動からパンフレットの効果を解析。 4.倫理的配慮 本研究は A 病院看護研究倫理審査の承諾後、対象者に口頭及び文書を用いて研究目的、方法、 個人情報の守秘や研究への自由意思での参加、不利益がないこと、研究発表文の承諾を得た。 Ⅲ. 結果 A 氏は、入院時より物忘れがみられ、さらに術後のせん妄状態により安静度を守れず、危険肢 位をとっていた。脱臼危険肢位について口頭説明を行ったが、A 氏は具体的な危険肢位のイメー ジができず、動作の修正とならなかった。その為、視覚的な指導として脱臼危険肢位の図版パン フレットを用作成した。パンフレットは、文字数を最小限にし、可能な限り絵を用いて作成して 指導を行ったが修正困難であった。 次に、脱臼予防動作を実演し、危険肢位を指導した。具体例として、初回入浴時に正しい更衣・ 入浴方法の実演を行ったが、患側からの更衣や転倒の危険が考えられた。ゆっくりとした動作を 促し、正しい方法を実演しながら指導を行った。入浴方法については、2 回目の指導で動作修正 となった。しかし、更衣は 2・3 回目の指導後も患側から行っており、正しい方法を理解できなか った。退院後も危険防止のために家族の見守りが必要と考え、妻にも指導を行った。家族の協力 のもと、退院後も目に付くところにパンフレットを置いてもらい、指導の継続を図った。 Ⅳ. 結論 A 氏に対する脱臼予防の指導を通して、高齢患者へのパンフレットを用いた視覚的指導・口頭 指導だけでは限界があり、脱臼危険肢位の具体的なイメージの想像ができず、理解の限界がある ことが分かった。1 つ目の理由に対しては、動作実演を合わせて指導することで口頭とパンフレ ットを用いた視覚的な指導より効果が得られ、パンフレットを目につく場所に置くことで指導効 果が継続し、認識を深めることができたのではないかと考える。A 氏が脱臼予防のための正しい 方法を十分に理解できず、行動に移せなかった 2 つ目の理由として、70 数年間の生活習慣を変更 できなかったこと、術後せん妄状態により術後早期からの指導を行うことができなかったことが 考えられる。2 つ目の理由に対しては、退院が決定してから指導を行うのではなく、術後早期か ら自宅での生活習慣や環境を知り、退院後の生活を見据えた具体的な指導を行うことが重要であ ると考える。それにより、入院中に指導する回数は増え、指導効果はより高まり、退院後の問題 や課題が明確になると思われる。高齢患者に指導を行う場合は、家族も含めて指導することで退 院後より安全に生活でき、患者家族の不安軽減につながるのではないかと考える。 18

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