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就学中の口唇裂口蓋裂児の QOL に関する研究

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Academic year: 2021

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455 *1 川崎医療福祉大学 保健看護学部 保健看護学科 *2 新見公立大学 健康科学部 地域福祉学科 (連絡先)香西早苗 〒701-0193 倉敷市松島288 川崎医療福祉大学      E-mail : s.kozai@mw.kawasaki-m.ac.jp 原 著 1.緒言  小児領域における看護の目標は,子どもが家族や 社会とのつながりの中で,身体的・精神的・社会的 な存在として,それぞれの健康レベルに応じて,健 やかな成長・発達をとげるよう支援することであ る1).看護師は,精神的・社会的側面をふまえ,子 どもの成長発達に合わせた支援をおこなう必要があ る.その支援は,先天性疾患の中でも発症頻度が高 く,外表異常を有するため美容的・機能的な問題が あり,長期に渡る治療を必要とする口唇裂口蓋裂児 に対しても重要であると考える.

 日本人において,口唇裂口蓋裂(Cleft Lip and/ or Palate:以下 CLP と記す)児は約600人に1人の 割合で出生2)しており,先天異常の中で心室中隔欠 損に次いで2番目に出生頻度の多い3)疾患とされて いる.CLP は,先天的に口唇・口蓋に披裂のある 状態をいい,美容的な問題以外にも,新生児期は哺 乳の問題,幼児期には発音・発語の問題などがみら れ,その治療は出生時から成人に至るまで,成長を 考慮しながら,手術・矯正歯科治療・言語訓練を組 み合わせた包括的な治療を必要とする.そのため, 長期に渡り定期的かつ継続的な通院と入院を余儀な くされ4),日常生活への影響が懸念される.先行研 究では,CLP 児の中には,顔貌に自分らしさを感 じ疾患を肯定的に捉えている児や,顔貌の可視的変 形や構音障害によりいじめやからかいを経験してい る児もいる5)ことが明らかとなっているが QOL に 関する実態は明らかにされていない.  本研究の目的は,CLP 児の生活全般の健康度や 満足度を捉えた指標である QOL の実態を明らかに し,今後の支援策を検討するための基礎資料とする ことである. 2.研究方法 2.1 研究デザイン  無記名自記式質問紙を用いた量的記述的研究であ る. 2.2 対象者  対象者は,① CLP 児は小学2年生から中学3年生 である,② CLP 児は本疾患以外の明らかな先天

就学中の口唇裂口蓋裂児の QOL に関する研究

香西早苗

*1

 中新美保子

*1

 井上信次

*2 要   約

 口唇裂口蓋裂(Cleft Lip and/or Palate:以下 CLP と記す)児の QOL の実態を明らかにすること を目的に,1府4県6施設の298組を対象に日本語版 KINDLRを用いた質問紙調査をおこなった.調査 は2019年3月~8月に実施し,回収は郵送法であった.CLP 児と保護者140組(回収率は47.0%)から 回答が得られ,分析対象となった CLP 児は132名であった.属性と QOL 得点については単純集計を おこない,QOL の校種別比較は Mann-Whitney の U 検定,裂型別比較は Kruskal-Wallis の検定を用 いて分析をおこなった.校種別比較では小学生は中学生より < 身体的健康 >< 自尊感情 > において QOL 得点が高く有意差がみられた.裂型別比較では,有意差はみられなかった.また,QOL 総得点 平均値の -1SD 以下の群を「低得点群」とし,属性や QOL 得点について概観した.「低得点群」27名 を裂型別にみると63%は口唇口蓋裂(顎裂含む)であった.また,中学生の男女比は女子が約8割を 占めた.QOL 得点については〈自尊感情〉が0点と著しく低い CLP 児が3名いた.今後,「低得点群」 に該当する CLP 児を早期に見つけることが課題といえる.

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的な異常や発達障害を有していない,③保護者は CLP 児と同居をしている,以上3点の条件に該当す る CLP 児,保護者とした. 2.3 調査期間  調査は,2019年3月から8月に実施した. 2.4 調査方法  日本矯正歯科学会のホームページに記載されてい る「保険適用される矯正歯科治療を行うことができ る医療機関リスト」から,機縁法にて選定された病 院,歯科・矯正歯科医院(以下,施設と記す)の診 療科部長または施設長に研究協力の依頼をした.研 究協力の同意を得られた施設のスタッフが質問紙を 対象者へ配布した.質問紙の回収は,対象者による 郵送とした. 2.5 調査内容 2. 5. 1 対象者の属性  CLP 児に対しては,年齢,学年,性別について 尋ねた.保護者に対しては,CLP 児の裂型につい て尋ねた. 2.5.2 QOL 調査  QOL に関する質問紙として,子どもの QOL を測 定するための尺度KINDLRの日本語版6,7)を使用した. 2.6 使用尺度について  KINDL8)は,1994年にドイツの Bullinger によっ て,子どもの自己報告による QOL 尺度として開発 さ れ た. さ ら に,Bullinger は Revens-Sieberer と ともに,KINDL を簡便化した KINDLR9)を発表し た.日本語版 KINDLRは,開発者の指示のもと, 翻訳過程のプロトコルすべてと,日本における信 頼性と妥当性の研究成果を開発元に送り認証され ている尺度である.本研究では,日本語版 KINDLR の小学生版 QOL 尺度と中学生版 QOL 尺度を使用 した.小学生版 QOL 尺度・中学生版 QOL 尺度は, < 身体的健康 >< 精神的健康 >< 自尊感情 >< 家族 > < 友だち >< 学校生活 > の6下位領域から成り,下 位領域はそれぞれ4項目ずつの計24項目で構成され ている.項目ごとに5段階のリッカートスケールの 選択肢で回答し,QOL 総得点ならびに6下位領域得 点は,すべて0~100点に換算10)して扱い,QOL 得 点は高いほど QOL の状態が良いことを示すもので ある.  尺度の使用については,尺度開発者(使用許可番 号1476)と日本語版翻訳者に許可を得た. 2.7 分析対象の選定基準とデータ分析方法  回収した質問紙のうち同意確認欄にチェックの記 載があるものを有効回答とした.分析対象の質問紙 の各質問項目の回答については一部に無回答による 欠損値がみられたが,回収標本数が少ないことから 分析ごとにペアワイズによって除去した.  対象者の属性については,CLP 児の性別・学年・ 年齢・裂型ついて単純集計を行った.校種別と裂型 別による比較をするために,QOL 総得点と6下位領 域得点データの正規性を確認したうえで,校種別の 比較は Mann-Whitney の U 検定,裂型別の比較は Kruskal-Wallis の検定を行った.また,対象者の QOL 総得点平均値の -1SD 以下の群を「低得点群」 とし,属性や QOL 得点について概観した.  分析における有意水準は0.05未満とし,0.05以上 から0.1未満は有意傾向があるとした.分析には, SPSS Statistics Ver.26 for Windows を用いた. 2.8 用語の操作的定義  本研究で使用する用語について,QOL とは生活 全般における健康度・満足度11)と定義した.低得点 群とは,QOL 総得点が平均値の -1SD 以下の群とし た. 2.9 倫理的配慮  本研究では,CLP 児・保護者それぞれに対して 研究協力依頼書を作成し,さらに CLP 児の研究協 力依頼書は小学生用と中学生用に分け,成長発達に 合わせた表現で記載することにより,子ども自身の 意思で調査への参加を決定できるようにした.質問 紙に研究協力に対する同意確認欄を設け,対象者が チェックの記載をすることによって同意を得たとみ なした.研究協力は対象者の自由意思によるもので あり,拒否した場合でも不利益を被らないこと,デー タの匿名化をはかるため質問紙は無記名とし,郵送 後の同意撤回はできないこと,得られたデータは研 究目的以外には使用しないこと,研究結果を学会発 表・論文投稿することを研究協力依頼書へ明記した. 対象者が回答をする際には,CLP 児・保護者がお 互いの回答を確認せず,回答後は対象者それぞれが 異なる封筒に入れて封をするよう依頼した.  得られたデータの入力・分析は,インターネット に接続していないパソコンでおこない,質問紙は施 錠可能な書棚に保管した.  本研究は,川崎医療福祉大学倫理委員会の承認(承 認番号18-092)を得て実施した. 3.結果 3.1 CLP 児の属性  8施設に研究協力の依頼を行い,同意の得られた6 施設(1府4県)において,対象者298組に質問紙を 配布した.回収は140組,回収率は47.0%であった. そのうち,分析対象とした CLP 児は132名であった.   表1に CLP 児 の 属 性 を 示 す. 性 別 は 男 子71名 (53.8%),女子61名(46.2%)であった.学年は小

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学2年生~中学3年生で,小学生が全体の60%以上を 占めていた.年齢は7~15歳で,平均年齢は10.87± 2.35歳であった.裂型は,口唇裂(単独)20名(15.2%), 口唇顎裂16名(12.1%),口蓋裂(単独)31名(23.5%), 口唇口蓋裂(顎裂含む)65名(49.2%)であった. 3.2 CLP 児の QOL の実態 3.2.1 QOL 総得点および6下位領域得点  表2に CLP 児の QOL 総得点および6下位領域得 点を示す.QOL 総得点は71.48(SD=12.95)点であり, 下位領域得点は < 身体的健康 >76.42(SD=16.21)点, < 精神的健康 >82.78(SD=15.96)点,< 自尊感情 > 54.26(SD=26.17)点,< 家族 >73.20(SD=17.87)点, < 友 だ ち >77.48(SD=19.28) 点,< 学 校 生 活 > 65.82(SD=19.13)点であった. 3.2.2  校種別 QOL 総得点および6下位領域得 点の比較  表3に校種別 QOL 総得点および6下位領域得点の 比較を示す.< 身体的健康 > において小学生は中学 生より有意に高く(p=0.02),< 自尊感情 > におい ても小学生は中学生より有意に高かった(p=0.04). < 友だち > において中学生は小学生より高く,有 意傾向を認め(p=0.08),< 学校生活 > において小 学生は中学生より高く,有意傾向を認めた(p=0.06). QOL 総得点,< 精神的健康 >,< 家族 > において は有意差を認めなかった. 3.2.3  裂型別 QOL 得点および6下位領域得点 の比較  裂型は,口唇裂(単独),口唇顎裂,口蓋裂(単 独),口唇口蓋裂(顎裂含む)の4つに分類した.表 4に裂型別 QOL 総得点および6下位領域得点の比較 を示す.< 学校生活 > において,裂型別による比 較をしたところ有意傾向を認めた(p=0.06).QOL 総得点と < 学校生活 > 以外の下位領域得点におい て,裂型別による有意差を認めなかった. 3.3 「低得点群」の QOL の属性と QOL の概要  「低得点群」に該当した CLP 児は27名であった. 属性を表5,概要については表6に示す.性別は,男 子14名(51.9%),女子13名(48.1%)であり,学年 表1 CLP 児の属性 表2  QOL 総得点および6下位領域 得点 ேᩘ ๭ྜ䠄䠂䠅 ᛶู 㻣㻝 㻡㻟㻚㻤 㻢㻝 㻠㻢㻚㻞 Ꮫᖺ ᑠᏛᰯ 㻞ᖺ⏕ 㻝㻞 㻥㻚㻝 㻟ᖺ⏕ 㻝㻤 㻝㻟㻚㻢 㻠ᖺ⏕ 㻝㻣 㻝㻞㻚㻥 㻡ᖺ⏕ 㻝㻠 㻝㻜㻚㻢 㻢ᖺ⏕ 㻞㻜 㻝㻡㻚㻞 ୰Ꮫᰯ 㻝ᖺ⏕ 㻞㻜 㻝㻡㻚㻞 㻞ᖺ⏕ 㻝㻞 㻥㻚㻝 㻟ᖺ⏕ 㻝㻥 㻝㻠㻚㻠 ᖹᆒᖺ㱋㻔ᖹᆒ್㼼㻿㻰㻕䚷 㻝㻜㻚㻤㻣㼼㻞㻚㻟㻡ṓ ⿣ᆺ ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕㻌 㻞㻜 㻝㻡㻚㻞 ཱྀ၁㢡⿣ 㻝㻢 㻝㻞㻚㻝 ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻟㻝 㻞㻟㻚㻡 ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻢㻡 㻠㻥㻚㻞 㡯┠ 䡊㻩㻝㻟㻞 ᖹᆒ್㻌㻌㻌㻔㻿㻰㻕 㻝㻞㻤 㻣㻝㻚㻠㻤㻌㻔㻝㻞㻚㻥㻡㻕 ㌟యⓗ೺ᗣ 㻝㻟㻞 㻣㻢㻚㻠㻞㻌㻔㻝㻢㻚㻞㻝㻕 ⢭⚄ⓗ೺ᗣ 㻝㻟㻝 㻤㻞㻚㻣㻤㻌㻔㻝㻡㻚㻥㻢㻕 ⮬ᑛឤ᝟ 㻝㻟㻞 㻡㻠㻚㻞㻢㻌㻔㻞㻢㻚㻝㻣㻕 ᐙ᪘ 㻝㻟㻞 㻣㻟㻚㻞㻜㻌㻔㻝㻣㻚㻤㻣㻕 ཭䛰䛱 㻝㻟㻜 㻣㻣㻚㻠㻤㻌㻔㻝㻥㻚㻞㻤㻕 Ꮫᰯ⏕ά 㻝㻞㻤 㻢㻡㻚㻤㻞㻌㻔㻝㻥㻚㻝㻟㻕 㻌㻽㻻㻸⥲ᚓⅬ

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表3 校種別 QOL 総得点および6下位領域得点比較 表4 裂型別 QOL 総得点および6下位領域得点比較 ᖹᆒ್㻌㻌㻔㻿㻰㻕 ୰ኸ್ ᖹᆒ್㻌㻌㻔㻿㻰㻕 ୰ኸ್ 㻣㻣 㻌㻣㻞㻚㻡㻣㻌㻔㻝㻟㻚㻤㻞㻕㻌 㻣㻟㻚㻥㻢 㻡㻝 㻢㻥㻚㻤㻟㻌㻔㻝㻝㻚㻠㻢㻕 㻣㻞㻚㻥㻞 㻜㻚㻞㻢 ㌟యⓗ೺ᗣ 㻤㻝 㻣㻥㻚㻟㻞㻌㻔㻝㻠㻚㻢㻝㻕 㻤㻝㻚㻞㻡 㻡㻝 㻣㻝㻚㻤㻝㻌㻔㻝㻣㻚㻢㻡㻕 㻣㻡㻚㻜㻜 㻜㻚㻜㻞 ⢭⚄ⓗ೺ᗣ 㻤㻜 㻤㻟㻚㻝㻟㻌㻔㻝㻣㻚㻞㻢㻕 㻤㻣㻚㻡㻜 㻡㻝 㻤㻞㻚㻞㻟㻌㻔㻝㻟㻚㻤㻤㻕 㻤㻝㻚㻞㻡 㻜㻚㻟㻤 ⮬ᑛឤ᝟ 㻤㻝 㻡㻤㻚㻟㻟㻌㻔㻞㻢㻚㻟㻡㻕 㻡㻢㻚㻞㻡 㻡㻝 㻠㻣㻚㻣㻥㻌㻔㻞㻠㻚㻣㻣㻕 㻠㻟㻚㻣㻡 㻜㻚㻜㻠 ᐙ᪘ 㻤㻝 㻣㻞㻚㻡㻟㻌㻔㻝㻤㻚㻞㻥㻕 㻣㻡㻚㻜㻜 㻡㻝 㻣㻠㻚㻞㻢㻌㻔㻝㻣㻚㻟㻜㻕 㻣㻡㻚㻜㻜 㻜㻚㻢㻜 ཭䛰䛱 㻤㻜 㻣㻡㻚㻝㻢㻌㻔㻝㻥㻚㻤㻢㻕 㻣㻡㻚㻜㻜 㻡㻝 㻤㻝㻚㻝㻟㻌㻔㻝㻣㻚㻥㻞㻕 㻤㻣㻚㻡㻜 㻜㻚㻜㻤 Ꮫᰯ⏕ά 㻣㻥 㻌㻢㻤㻚㻠㻟㻌㻔㻝㻤㻚㻤㻜㻕㻌 㻢㻤㻚㻣㻡 㻡㻝 㻢㻝㻚㻣㻢㻌㻔㻝㻥㻚㻝㻝㻕 㻢㻞㻚㻡㻜 㻜㻚㻜㻢 ὀ㻝䠅 㻹㼍㼚㼚㻙㼃㼔㼕㼠㼚㼑㼥䛾䠱᳨ᐃ ὀ㻞㻕䚷㻖䡌䠘㻜㻚㻜㻡䚷 㼜䠘㻜㻚㻝㻜 ὀ㻟㻕䚷䝨䜰䝽䜲䝈䛻䜘䜛㝖ཤ䜢⾜䛳䛯 㻌㻽㻻㻸⥲ᚓⅬ ୰Ꮫ⏕ ᑠᏛ⏕ ⿣ᆺ 㻌㻌㻌ᖹᆒ್㻌㻔㻿㻰㻕 ୰ኸ್ ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕 㻞㻜 㻣㻟㻚㻞㻟㻌㻔㻝㻝㻚㻡㻡㻕 㻣㻠㻚㻠㻤 ཱྀ၁㢡⿣ 㻝㻠 㻣㻠㻚㻣㻜㻌㻔㻝㻝㻚㻝㻟㻕 㻣㻤㻚㻝㻟 ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻟㻝 㻣㻝㻚㻤㻝㻌㻔㻝㻟㻚㻢㻝㻕 㻣㻞㻚㻥㻞 ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻢㻟 㻣㻜㻚㻜㻠㻌㻔㻝㻟㻚㻠㻤㻕 㻣㻝㻚㻤㻤 ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕 㻞㻜 㻣㻡㻚㻢㻟㻌㻔㻝㻠㻚㻢㻤㻕 㻤㻠㻚㻟㻤 ཱྀ၁㢡⿣ 㻝㻢 㻣㻤㻚㻝㻟㻌㻔㻝㻠㻚㻢㻝㻕 㻤㻝㻚㻞㻡 ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻟㻝 㻣㻢㻚㻢㻝㻌㻔㻝㻠㻚㻥㻢㻕 㻣㻡㻚㻜㻜 ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻢㻠 㻣㻢㻚㻝㻡㻌㻔㻝㻣㻚㻜㻠㻕 㻣㻡㻚㻜㻜 ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕 㻞㻜 㻤㻡㻚㻥㻠㻌㻔㻝㻠㻚㻣㻠㻕 㻤㻣㻚㻡㻜 ཱྀ၁㢡⿣ 㻝㻢 㻤㻞㻚㻠㻞㻌㻔㻝㻠㻚㻞㻥㻕 㻤㻝㻚㻞㻡 ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻟㻝 㻤㻟㻚㻠㻣㻌㻔㻝㻢㻚㻠㻞㻕 㻤㻣㻚㻡㻜 ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻢㻠 㻤㻝㻚㻡㻠㻌㻔㻝㻢㻚㻢㻤㻕 㻤㻣㻚㻡㻜 ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕 㻞㻜 㻠㻥㻚㻢㻥㻌㻔㻞㻟㻚㻜㻣㻕 㻠㻟㻚㻣㻡 ཱྀ၁㢡⿣ 㻝㻢 㻢㻣㻚㻝㻥㻌㻔㻞㻠㻚㻣㻠㻕 㻢㻤㻚㻣㻡 ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻟㻝 㻡㻡㻚㻠㻠㻌㻔㻞㻠㻚㻣㻞㻕 㻡㻢㻚㻞㻡 ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻢㻡 㻡㻝㻚㻥㻡㻌㻔㻞㻣㻚㻡㻡㻕 㻡㻜㻚㻜㻜 ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕 㻞㻜 㻣㻤㻚㻠㻠㻌㻔㻝㻡㻚㻥㻜㻕 㻤㻝㻚㻞㻡 ཱྀ၁㢡⿣ 㻝㻢 㻣㻞㻚㻞㻣㻌㻔㻝㻡㻚㻟㻜㻕 㻢㻤㻚㻣㻡 ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻟㻝 㻣㻡㻚㻜㻜㻌㻔㻝㻡㻚㻡㻢㻕 㻣㻡㻚㻜㻜 ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻢㻡 㻣㻜㻚㻥㻢㻌㻔㻝㻥㻚㻤㻣㻕 㻣㻡㻚㻜㻜 ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕 㻞㻜 㻤㻝㻚㻡㻢㻌㻔㻝㻢㻚㻞㻤㻕 㻤㻝㻚㻞㻡 ཱྀ၁㢡⿣ 㻝㻡 㻣㻥㻚㻝㻣㻌㻔㻝㻟㻚㻞㻥㻕 㻣㻡㻚㻜㻜 ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻟㻝 㻣㻥㻚㻢㻠㻌㻔㻞㻜㻚㻝㻡㻕 㻤㻣㻚㻡㻜 ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻢㻡 㻣㻠㻚㻤㻝㻌㻔㻞㻜㻚㻣㻥㻕 㻣㻡㻚㻜㻜 ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕 㻞㻜 㻢㻤㻚㻝㻟㻌㻔㻞㻟㻚㻠㻢㻕 㻢㻤㻚㻣㻡 ཱྀ၁㢡⿣ 㻝㻡 㻣㻠㻚㻡㻤㻌㻔㻝㻥㻚㻠㻜㻕 㻣㻡㻚㻜㻜 ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻟㻝 㻢㻜㻚㻢㻥㻌㻔㻝㻡㻚㻡㻤㻕 㻢㻞㻚㻡㻜 ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻢㻠 㻢㻡㻚㻡㻟㻌㻔㻝㻤㻚㻣㻟㻕 㻢㻞㻚㻡㻜 ὀ㻝䠅 㻷㼞㼡㼟㼗㼍㼘㻙㼃㼍㼘㼘㼕㼟᳨ᐃ ὀ㻞䠅 㼜㻨㻜㻚㻝㻜 ὀ㻟䠅㻌㻌䝨䜰䝽䜲䝈䛻䜘䜛㝖ཤ䜢⾜䛳䛯 㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻽㻻㻸ᚓⅬ 䚷㻌㻌㻌㻌㻌㻽㻻㻸⥲ᚓⅬ 䚷㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻔㼚㻩㻝㻞㻤㻕 ㌟యⓗ೺ᗣ 㻔㼚㻩㻝㻟㻝㻕 ⢭⚄ⓗ೺ᗣ 㻔㼚㻩㻝㻟㻝㻕 ⮬ᑛឤ᝟ 㻔㼚㻩㻝㻟㻞㻕 Ꮫᰯ⏕ά 㻔㼚㻩㻝㻟㻜㻕 ᐙ᪘ 㻔㼚㻩㻝㻟㻞㻕 ཭䛰䛱 㻔㼚㻩㻝㻟㻝㻕 㻜㻚㻥㻣 㻜㻚㻜㻢 㻜㻚㻥㻤 㻜㻚㻢㻤 㻜㻚㻝㻡 㻜㻚㻠㻞 㻜㻚㻡㻟

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表5 「低得点群」の QOL の属性 表6 「低得点群」の QOL の概要 ᛶู 㻝㻠 㻡㻝㻚㻥 㻝㻟 㻠㻤㻚㻝 Ꮫᖺ ᑠᏛᰯ 㻞ᖺ⏕ 㻣㻚㻠 㻟ᖺ⏕ 㻝㻤㻚㻡 㻠ᖺ⏕ 㻣㻚㻠 㻡ᖺ⏕ 㻞㻞㻚㻞 㻢ᖺ⏕ 㻝㻝㻚㻝 ୰Ꮫᰯ 㻝ᖺ⏕ 㻣㻚㻠 㻞ᖺ⏕ 㻝㻝㻚㻝 㻟ᖺ⏕ 㻝㻠㻚㻤 ⿣ᆺ ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕㻌 㻝㻝㻚㻝 ཱྀ၁㢡⿣ 㻟㻚㻣 ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻞㻞㻚㻞 ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻝㻣 㻢㻟㻚㻜 㡯┠ ேᩘ ๭ྜ䠄䠂䠅 䡊㻩㻞㻣 㼚㻩㻞㻣 Ꮫᖺ ᛶู ⿣ᆺ ⥲ᚓⅬ ㌟యⓗ೺ᗣ ⢭⚄ⓗ೺ᗣ ⮬ᑛឤ᝟ ᐙ᪘ ཭㐩 Ꮫᰯ⏕ά 㻝 ᑠᏛ㻞ᖺ⏕ ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕 㻡㻤㻚㻟㻟 㻤㻣㻚㻡㻜 㻢㻞㻚㻡㻜 㻟㻝㻚㻞㻡 㻡㻢㻚㻞㻡 㻡㻢㻚㻞㻡 㻡㻢㻚㻞㻡 㻞 ᑠᏛ㻞ᖺ⏕ ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕 㻡㻟㻚㻝㻟 㻢㻞㻚㻡㻜 㻣㻡㻚㻜㻜 㻟㻣㻚㻡㻜 㻟㻣㻚㻡㻜 㻥㻟㻚㻣㻡 㻝㻞㻚㻡㻜 㻟 ᑠᏛ㻟ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻠㻚㻝㻣 㻣㻡㻚㻜㻜 㻣㻡㻚㻜㻜 㻝㻞㻚㻡㻜 㻢㻤㻚㻣㻡 㻞㻡㻚㻜㻜 㻢㻤㻚㻣㻡 㻠 ᑠᏛ㻟ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻞㻚㻜㻤 㻢㻤㻚㻣㻡 㻡㻜㻚㻜㻜 㻢㻞㻚㻡㻜 㻟㻣㻚㻡㻜 㻡㻢㻚㻞㻡 㻟㻣㻚㻡㻜 㻡 ᑠᏛ㻟ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻢㻚㻞㻡 㻟㻣㻚㻡㻜 㻢㻤㻚㻣㻡 㻟㻝㻚㻞㻡 㻡㻢㻚㻞㻡 㻤㻣㻚㻡㻜 㻡㻢㻚㻞㻡 㻢 ᑠᏛ㻟ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻟㻚㻝㻟 㻣㻡㻚㻜㻜 㻤㻝㻚㻞㻡 㻜㻚㻜㻜 㻡㻜㻚㻜㻜 㻟㻣㻚㻡㻜 㻣㻡㻚㻜㻜 㻣 ᑠᏛ㻟ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻝㻚㻜㻠 㻢㻤㻚㻣㻡 㻣㻡㻚㻜㻜 㻞㻡㻚㻜㻜 㻠㻟㻚㻣㻡 㻟㻣㻚㻡㻜 㻡㻢㻚㻞㻡 㻤 ᑠᏛ㻠ᖺ⏕ ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻡㻡㻚㻞㻝 㻣㻡㻚㻜㻜 㻢㻞㻚㻡㻜 㻠㻟㻚㻣㻡 㻟㻣㻚㻡㻜 㻢㻤㻚㻣㻡 㻠㻟㻚㻣㻡 㻥 ᑠᏛ㻠ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻞㻚㻜㻤 㻢㻤㻚㻣㻡 㻠㻟㻚㻣㻡 㻟㻝㻚㻞㻡 㻢㻞㻚㻡㻜 㻡㻜㻚㻜㻜 㻡㻢㻚㻞㻡 㻝㻜 ᑠᏛ㻡ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻞㻚㻜㻤 㻢㻤㻚㻣㻡 㻟㻣㻚㻡㻜 㻞㻡㻚㻜㻜 㻡㻜㻚㻜㻜 㻡㻢㻚㻞㻡 㻣㻡㻚㻜㻜 㻝㻝 ᑠᏛ㻡ᖺ⏕ ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻠㻝㻚㻢㻣 㻡㻜㻚㻜㻜 㻡㻜㻚㻜㻜 㻞㻡㻚㻜㻜 㻠㻟㻚㻣㻡 㻟㻝㻚㻞㻡 㻡㻜㻚㻜㻜 㻝㻞 ᑠᏛ㻡ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻠㻚㻝㻣 㻡㻢㻚㻞㻡 㻡㻜㻚㻜㻜 㻞㻡㻚㻜㻜 㻤㻣㻚㻡㻜 㻢㻤㻚㻣㻡 㻟㻣㻚㻡㻜 㻝㻟 ᑠᏛ㻡ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻞㻚㻜㻤 㻢㻤㻚㻣㻡 㻣㻡㻚㻜㻜 㻞㻡㻚㻜㻜 㻡㻜㻚㻜㻜 㻠㻟㻚㻣㻡 㻡㻜㻚㻜㻜 㻝㻠 ᑠᏛ㻡ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻢㻚㻞㻡 㻡㻢㻚㻞㻡 㻢㻞㻚㻡㻜 㻟㻣㻚㻡㻜 㻡㻢㻚㻞㻡 㻢㻞㻚㻡㻜 㻢㻞㻚㻡㻜 㻝㻡 ᑠᏛ㻡ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻣㻚㻞㻥 㻤㻝㻚㻞㻡 㻝㻜㻜㻚㻜㻜 㻟㻝㻚㻞㻡 㻤㻝㻚㻞㻡 㻝㻤㻚㻣㻡 㻟㻝㻚㻞㻡 㻝㻢 ᑠᏛ㻢ᖺ⏕ ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻡㻣㻚㻞㻥 㻢㻞㻚㻡㻜 㻟㻣㻚㻡㻜 㻢㻤㻚㻣㻡 㻢㻞㻚㻡㻜 㻡㻜㻚㻜㻜 㻢㻞㻚㻡㻜 㻝㻣 ᑠᏛ㻢ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻞㻚㻜㻤 㻢㻞㻚㻡㻜 㻡㻜㻚㻜㻜 㻟㻝㻚㻞㻡 㻠㻟㻚㻣㻡 㻤㻝㻚㻞㻡 㻠㻟㻚㻣㻡 㻝㻤 ᑠᏛ㻢ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻡㻚㻞㻝 㻢㻤㻚㻣㻡 㻢㻤㻚㻣㻡 㻟㻣㻚㻡㻜 㻡㻢㻚㻞㻡 㻡㻢㻚㻞㻡 㻠㻟㻚㻣㻡 㻝㻥 ୰Ꮫ㻝ᖺ⏕ ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻡㻠㻚㻝㻣 㻢㻞㻚㻡㻜 㻢㻞㻚㻡㻜 㻟㻝㻚㻞㻡 㻢㻤㻚㻣㻡 㻡㻢㻚㻞㻡 㻠㻟㻚㻣㻡 㻞㻜 ୰Ꮫ㻝ᖺ⏕ ཱྀ၁㢡⿣ 㻡㻞㻚㻜㻤 㻡㻜㻚㻜㻜 㻡㻜㻚㻜㻜 㻡㻜㻚㻜㻜 㻢㻞㻚㻡㻜 㻣㻡㻚㻜㻜 㻞㻡㻚㻜㻜 㻞㻝 ୰Ꮫ㻞ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻠㻡㻚㻤㻟 㻠㻟㻚㻣㻡 㻡㻜㻚㻜㻜 㻞㻡㻚㻜㻜 㻢㻤㻚㻣㻡 㻠㻟㻚㻣㻡 㻠㻟㻚㻣㻡 㻞㻞 ୰Ꮫ㻞ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻠㻤㻚㻥㻢 㻟㻣㻚㻡㻜 㻣㻡㻚㻜㻜 㻠㻟㻚㻣㻡 㻟㻝㻚㻞㻡 㻡㻢㻚㻞㻡 㻡㻜㻚㻜㻜 㻞㻟 ୰Ꮫ㻞ᖺ⏕ ཱྀ၁⿣㻔༢⊂㻕 㻡㻠㻚㻝㻣 㻟㻝㻚㻞㻡 㻣㻡㻚㻜㻜 㻞㻡㻚㻜㻜 㻝㻜㻜㻚㻜㻜 㻢㻤㻚㻣㻡 㻞㻡㻚㻜㻜 㻞㻠 ୰Ꮫ㻟ᖺ⏕ ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻡㻠㻚㻝㻣 㻢㻤㻚㻣㻡 㻣㻡㻚㻜㻜 㻜㻚㻜㻜 㻡㻢㻚㻞㻡 㻤㻣㻚㻡㻜 㻟㻣㻚㻡㻜 㻞㻡 ୰Ꮫ㻟ᖺ⏕ ཱྀ⵹⿣㻔༢⊂㻕 㻠㻣㻚㻥㻞 㻣㻡㻚㻜㻜 㻢㻤㻚㻣㻡 㻞㻡㻚㻜㻜 㻢㻤㻚㻣㻡 㻞㻡㻚㻜㻜 㻞㻡㻚㻜㻜 㻞㻢 ୰Ꮫ㻟ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻝㻚㻜㻠 㻝㻜㻜㻚㻜㻜 㻤㻝㻚㻞㻡 㻜㻚㻜㻜 㻝㻞㻚㻡㻜 㻢㻞㻚㻡㻜 㻡㻜㻚㻜㻜 㻞㻣 ୰Ꮫ㻟ᖺ⏕ ཱྀ၁ཱྀ⵹⿣㻔㢡⿣ྵ䜐㻕 㻡㻞㻚㻜㻤 㻟㻝㻚㻞㻡 㻢㻤㻚㻣㻡 㻟㻝㻚㻞㻡 㻢㻞㻚㻡㻜 㻣㻡㻚㻜㻜 㻠㻟㻚㻣㻡 ᒓᛶ 㻽㻻㻸ᚓⅬ

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は小学2年生から中学3年生にわたっていた.校種別 にみると,中学生9名のうち7名は女子であった.裂 型は,口唇裂(単独)3名(11.1%),口唇顎裂1名 (3.7%),口蓋裂(単独)6名(22.2%),口唇口蓋裂(顎 裂含む)17名(63.0%)であり,口唇口蓋裂(顎裂 含む)が最も多かった.QOL 得点については,〈自 尊感情〉が0点の CLP 児が3名いた. 4.考察 4.1 CLP 児における QOL の特性  本研究における CLP 児の QOL 総得点および6下 位領域得点は,小学生・中学生ともに KINDLR 用いて QOL を調査した柴田と松嵜12)の先行研究の 健康児データ(表7に示す)と比べ CLP 児の方が高 い得点であった.この結果は,小児がんを経験し た小学生・中学生に対して調査した報告13)と同様で あった.CLP は出生時から複数回の入院や手術を 繰り返し,定期的な受診を必要とする疾患である. また,CLP 児は手術に対する不安や恐怖を感じ, 術後の痛みや制限の中で生活を送る不自由さを体験 している5).疾患を有する児は健康児が体験するこ とのない辛い体験や我慢をする経験を積み重ねるこ とで,生活全般の健康度や満足度に対する閾値が低 く,些細なことでも満たされていると感じることが できると推測され,QOL 得点が高くなったと考え る.また,口唇形成術前の CLP 児の母親は,哺乳 方法を試行錯誤しながら頻回な授乳をおこない,一 日のほとんどを哺乳に費やすことになり,CLP 児 とかかわる機会が増加する14).その後においても長 期間に渡り,入院や通院に付き添い,CLP 児と密 な時間を過ごすことになる.思春期の CLP 児は親 に対して,「出生時からの母親の苦労を慮る」,「治 療を一緒に頑張ってくれた親に感謝している」15) 述べている.これらのことから,出生時から CLP 児と向き合い,通院や入院に付き添い,一緒に治療 を乗り越えてきた親と CLP 児の結びつきは,健康 児より強固であると推測され,QOL 得点が高かっ たことも影響していると考える.また,調査を依 頼した施設は,多職種による専門外来がある16),親 の会活動を定期的におこなっている17),CLP に長 年携わり受容支援を行っている歯科医の存在18) ど,CLP 児が治療のみならず多くの心理的サポー トを実施している施設であったことから,CLP 児 の QOL 得点が高値であったと考えられた.  校種別 QOL 得点の比較では,< 身体的健康 > に ついては,小学生が中学生より有意に高く,健康児 データの小学生が中学生より高値であった結果と同 様であった.< 自尊感情 > については,健康児に おいても中学生が低値となっており同様の結果と言 えるが,CLP の特徴から校種別の得点に有意な差 がみられたと考える.思春期は,アイデンティティ の確立とともに,自分がどのように他人から見える のか気になるなど,ボディイメージに対しても敏感 になる時期である.中でも思春期を迎えた CLP 児 は,顔面の治療痕を目の当たりにしながら,CLP をもって生まれてきた自分を見つめ直し,将来を模 索している時期であるといえる.< 自尊感情 > が 低値である結果をみると,CLP をもつ自分に対し て低い自己評価がなされている19)と述べている先行 研究の結果と同様に,自身を肯定的に受け入れるこ とができていないことがわかる.学校では,疾患を もたない同級生と多くの時間を過ごす中で,時に同 級生と比較しながら CLP を有している自身の進学 や就職などの将来について不安を抱きながら過ごし ていると考えられる.アイデンティティの確立への 第一歩として,「この自分で良い」という自己肯定 感と「これからもこの自分でやっていける」という 自信20)をもてるような支援が必要と言える.< 友だ ち > については,エリクソンの心理社会的発達理 論において,青年期は自我同一性の確立,その先は 親密性の獲得が課題であり,同性との親密な仲間意 識を確立し,仲間集団における成員性を獲得するこ ᑠᏛ⏕ ୰Ꮫ⏕ ᖹᆒ್㻌㻌㻌㻔㻿㻰㻕 ᖹᆒ್㻌㻌㻌㻔㻿㻰㻕 㻢㻣㻚㻤㻤㻌㻔㻝㻟㻚㻟㻤㻕 㻢㻝㻚㻟㻞㻌㻔㻝㻞㻚㻢㻟㻕 ㌟యⓗ೺ᗣ 㻣㻞㻚㻞㻟㻌㻔㻝㻢㻚㻤㻤㻕 㻢㻡㻚㻥㻞㻌㻔㻝㻣㻚㻣㻢㻕 ⢭⚄ⓗ೺ᗣ 㻣㻥㻚㻞㻣㻌㻔㻝㻣㻚㻠㻡㻕 㻣㻢㻚㻞㻢㻌㻔㻝㻣㻚㻣㻟㻕 ⮬ᑛឤ᝟ 㻡㻟㻚㻢㻡㻌㻔㻞㻠㻚㻢㻜㻕 㻟㻡㻚㻠㻞㻌㻔㻞㻞㻚㻝㻟㻕 ᐙ᪘ 㻢㻤㻚㻥㻞㻌㻔㻝㻥㻚㻡㻡㻕 㻢㻢㻚㻢㻤㻌㻔㻞㻝㻚㻝㻟㻕 ཭䛰䛱 㻢㻥㻚㻤㻜㻌㻔㻝㻤㻚㻜㻜㻕 㻣㻝㻚㻜㻟㻌㻔㻝㻣㻚㻜㻠㻕 Ꮫᰯ⏕ά 㻡㻤㻚㻠㻟㻌㻔㻞㻜㻚㻜㻝㻕 㻡㻞㻚㻡㻥㻌㻔㻝㻤㻚㻞㻥㻕 䚷㻽㻻㻸⥲ᚓⅬ 表7 健康児の QOL 総得点および6下位領域得点

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と,そして異性との人間関係を形成することが重要 となる20).その中で,中学生は親よりも友だちとの 関係に意味を見出す時期であり,< 友だち > にお いて中学生が小学生よりに高い結果であったと考え る.  裂型による QOL 得点の比較では,< 学校生活 > において有意な差がみられる傾向にあった.裂型別 の得点では口唇顎裂が最も得点が高く,口蓋裂(単 独)が低かった.構音障害を有する可能性があるも のの,審美的な影響を受けにくく,手術回数も少な いと考えられる口蓋裂(単独)が裂型の中で最も低 い得点であった結果は実際上意義があるとは言い難 い.本研究では,裂型は口唇裂(単独)・口唇顎裂・ 口蓋裂(単独)・口唇口蓋裂(顎裂含む)の4つから 対象者に回答を求めた.口唇や口蓋の披裂の程度に よって完全・不完全に分かれ,また披裂が片側・両 側の違いにより,重症度が異なる.今後は,単純に 裂型のみでなく,完全・不完全,片側・両側を含め たうえで裂型による QOL 得点を検討する必要があ ると考える. 4.2 「低得点群」の CLP 児の特性  「低得点群」のうち,性別は男14名(51.9%),女 13名(48.1%)と本研究の対象者全体の男女の割合 と大きな変化はみられなかった.しかし,校種別に みると中学生は9名のうち女子が7名であったこと から,中学生は女子が「低得点群」の約8割を占め ていることが明らかとなった.裂型は,口唇口蓋裂 (蓋裂含む)が63.0%と最も高く,対象者全体にお ける口唇口蓋裂(蓋裂含む)の49.2%より,高い結 果であった.これは,顎顔面の外表異常に加え,手 術回数が多く,構音障害を有している可能性が高い など,口唇口蓋裂が裂型の中でも最も重症であり, CLP 児の QOL に与える影響が大きかったことが考 えられる.  QOL 得点に着目してみると,< 自尊感情 > にお いては,27名のうち3名が0点という結果であった. < 自尊感情 > が極端に低いということは,すなわ ち「価値ある私」として自己をとらえる21)ことがで きていないことを示している.看護者は CLP 児の 中には自尊感情が著しく低い子どもがいることを認 識したうえで関わることが重要であると考え,今後 は「低得点群」に該当する CLP 児を早期に見つけ ることが課題といえる. 5.結語  本研究における CLP 児の QOL 総得点および6下 位領域得点は,小学生・中学生ともに先行研究の健 康児と比べて高い結果であった.校種別の比較で は小学生は中学生より < 身体的健康 >< 自尊感情 > の下位領域において有意に高い結果であった.裂型 別の比較では,QOL 得点に有意差はみられなかっ た.「低得点群」27名を裂型別にみると,口唇口蓋 裂(顎裂含む)が63%と最も多かった.また,中学 生の男女比は女子が約8割を占めた.QOL 得点につ いては〈自尊感情〉が0点の CLP 児が3名いた.今 後は,「低得点群」に該当する CLP 児を早期に見つ けることが課題といえる. 謝  辞  本研究の調査にご協力いただきましたお子様と保護者の皆様に深謝いたします.また,質問紙の配布にご協力いただ きました施設の医療関係者の皆様に感謝申し上げます.  なお,本研究は令和元年度川崎医療福祉大学大学院修士論文の一部を加筆修正したものである. 文    献 1)奈良間美保:小児看護学1.第13版,医学書院,東京,2019. 2) 安村和則:口唇口蓋裂の発生.小林眞司編,胎児診断から始まる口唇口蓋裂―集学的治療のアプローチ―,メジカ ルビュー社,東京,16-23,2010. 3) 平原史樹:先天異常モニタリング―わが国と世界の取り組み―.日本産科婦人科学会誌,59(9),246-250,2007. 4) 早川昌弘:口唇口蓋裂.石黒彩子,浅野みどり編,発達段階からみた小児看護過程+病態関連図,医学書院,東京, 4-22,2008. 5) 松田美鈴,中新美保子,西尾善子,古郷幹彦:複数回の手術を受けた口唇裂・口蓋裂児の体験.日本口蓋裂学会雑 誌,41(1),17-23,2016. 6) 柴田玲子:小学生版 QOL 尺度.古荘純一,柴田玲子,根本芳子,松嵜くみ子編,子どもの QOL 尺度 その理解 と活用―心身の健康を評価する日本語版 KINDLR―,診断と治療社,東京,16-20,2014. 7) 松嵜くみ子:中学生版 QOL 尺度.古荘純一,柴田玲子,根本芳子,松嵜くみ子編,子どもの QOL 尺度 その理 解と活用―心身の健康を評価する日本語版 KINDLR―,診断と治療社,東京,21-25,2014.

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8) Bullinger M:KINDL a questionnaire for health–related quality of life assessment in children. Zeitschrift fur Gesundheits Psychologie,1,64-77,1994.

9) Ravens–Sieberer U and Bullinger M:Assessing health–related quality of life in chronically ill children with the German KINDL–First psychometric and content analytical results. Quality of Life Research,7(5),399-407, 1998. 10) 松嵜くみ子:「小学生版 QOL 尺度」「中学生版 QOL 尺度」の使い方.古荘純一,柴田玲子,根本芳子,松嵜くみ 子編,子どもの QOL 尺度 その理解と活用―心身の健康を評価する日本語版 KINDLR―,診断と治療社,東京, 1-2,2014. 11) 柴田玲子:序章.古荘純一,柴田玲子,根本芳子,松嵜くみ子編:子どもの QOL 尺度 その理解と活用―心身の 健康を評価する日本語版 KINDLR―,診断と治療社,東京,1-2,2014. 12) 柴田玲子,松嵜くみ子:QOL 尺度の実用化.古荘純一,柴田玲子,根本芳子,松嵜くみ子編,子どもの QOL 尺 度 その理解と活用―心身の健康を評価する日本語版 KINDLR―,診断と治療社,東京,29-37,2014. 13) 平賀紀子,古谷佳由理,小池秀子,涌水理恵:小児がんを経験した子どもの Quality of Life 評価―自己評価と代理 評価の分析から―.小児がん看護,8,7-16,2013. 14)坂梨左織,大池美也子:口唇形成術を受けた子どもの母親の経験.家族看護学研究,19(1),23-39,2013. 15) 松中枝理子,藤原千惠子,池美保,高野幸子,西尾善子,古郷幹彦:思春期における口唇裂・口蓋裂患者の疾患や 治療への認知の特徴.日本口蓋裂学会雑誌,41(3),181-191,2016. 16) 中新美保子,山内泰子,篠山美香,三村邦子,佐藤康守,森口隆彦,稲川喜一:口唇裂・口蓋裂における遺伝外来 受診の効果に関する検討.日本口蓋裂学会雑誌,38(1),120-127,2013. 17) 中村典史:口唇口蓋裂児と家族の心的支援のためのチーム医療体制の充実に向けて.鹿児島県母性衛生学会誌, 16,2-7,2011. 18) 武田康男,小池多賀子,竹辺千恵美,野中歩,石井光治:口唇口蓋裂の出生前診断と出生前カウンセリング.小児 歯科学雑誌,39(5),966-973,2001. 19)松本学:口唇裂口蓋裂者の自己の意味づけの特徴.発達心理学研究,20(3),234-242,2009. 20) 佐方哲彦:自分の生き方を見つける.中西信男編,人間形成の心理学―ライフサイクルを解明する―,ナカニシヤ 出版,京都,60-84,1989. 21)遠藤由美:「自尊感情」を関係性からとらえ直す.実験社会心理学研究,39(2),150-167,1999. (令和2年11月18日受理)

(9)

Study on QOL of School Children with Cleft Lip and/or Palate

Sanae KOZAI, Mihoko NAKANII and Shinji INOUE

(Accepted Nov. 18,2020)

Key words : cleft lip and/or palate,school children,QOL Abstract

 The purpose of this study was to clarify the QOL of children with Cleft Lip and/or Palate (CLP). We conducted a questionnaire survey, using Japanese KINDLR for 298 pairs of 6 facilities in 5 prefectures. The survey was conducted from March to August 2019, and collection was by mail. Responses were obtained from 140 pairs (recovery rate 47.0%), and 132 children with CLP were analyzed. The attributes and QOL scores were simply tabulated. Mann-Whitney U test was used for QOL school type comparison, and Kruskal-Wallis test was used for split type comparison. Elementary school students were significantly higher in the sub-region of <physical well–being> and <self-esteem >than junior high school students by school type. No significant difference was found in the comparison by cleft type. A group with an average QOL score of -1SD or less was defined as a“low score group”and its attributes and QOL scores were organized. Among the 27 children in the“low score group”, by cleft type, cleft lip and palate was 63%. About 80% of junior high school students were female. Regarding the QOL score, 3 children with CLP had 0 points for <self-esteem>. In the future, finding children with CLP who fall into the“low score group”early will be a task.

Correspondence to : Sanae KOZAI       Department of Nursing Faculty of Nursing

Kawasaki University of Medical Welfare Kurashiki, 701-0193, Japan

E-mail : s.kozai@mw.kawasaki-m.ac.jp

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