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森林散策カウンセリングについての研究

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Academic year: 2021

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氏 名 学位(専攻分野の名称) 博 士(林学) 学 位 記 番 号 甲 第 740 号 学 位 授 与 の 日 付 平成 29 年 3 月 20 日 学 位 論 文 題 目 森林散策カウンセリングについての研究 論 文 審 査 委 員 主査 教 授・博 士(農 学) 上 原 巌 教 授・博 士(農 学) 宮 林 茂 幸 教 授・学 術 博 士 杉 原 たまえ 博士(農学)・博士(心身健康科学) 高 山 範 理* 博 士(医 学) 住 友 和 弘** 論 文 内 容 の 要 旨 第 1 章 はじめに 現在の日本は,「ストレス社会」と言われるほど,日 常生活における様々なストレスが大きな社会問題となっ ている。その「ストレス」という用語とともに「メンタ ルヘルス」という用語も,一般的に知られるようになっ てきた。世界保健機関(WHO)では,「人が自身の能 力を発揮し,日常生活におけるストレスに対処でき,生 産的に働くことができ,かつ地域に貢献できるような満 たされた状態である」ことを,メンタルヘルスとして定 義している。 2014 年厚生労働省の「健康意識に関する調査」によ ると,不安や悩みを「全く感じない」人は 4.1% に過ぎ ず,「いつも感じる」人と「ときどき感じる」人が合わ せて 70.2% にも上ることが報告された。また,厚生労 働省が 5 年ごとに実施している労働者健康状況調査によ ると,職業生活上で強い不安・悩み・ストレスを感じて いる労働者の割合は 60% を超え,その割合は調査毎に 上昇している。さらに 2015 年中における日本の自殺者 数の最も多い原因・動機は,「健康問題」となり,なか でも「うつ病」を原因とする人は,全体の 2 割以上を占 めていたことが報告されている。労働の有無に関わら ず,不安や悩みを抱えている人が多いことや,「うつ病」 を動機とする自殺者数の増加など,「メンタルヘルス対 策」への取り組みは,現代社会の大きな課題となってい る。 現在,様々な分野において「メンタルヘルス」や「心 身の健康づくり」の研究がなされてきている。なかでも 近年,森林の保健休養効果を利用した研究は注目される ようになり,その数が増えてきた。しかしながら,それ らは大勢の人を対象にした森林内での散策やランニング などの運動,植物や樹木を利用した活動,森林の風致な ど,一部に特化した研究が多く,一人の被験者を対象 に,継続的かつ臨床的に行った事例研究は,いまだに数 が少ない。 第 2 章 研究の特徴・目的 自然科学の分野での研究は,個別のプロセスを説明す る質的研究より,実験的で統計的なアプローチの量的研 究に基づいたものが圧倒的に多い。事例研究は,その普 遍 性 に 関 連 し て 多 く の 批 判 が 指 摘 さ れ る が,河 合 (1976)は,「一個人の全体性を損なうことなく,その個 人の世界を探求した結果は,臨床家が他の個人に接する ときに共通のパターン,あるいは型を与えるものとして の普遍性をもつとして,「個」の明確化が普遍性を持つ という逆説が事実である」と述べている。 本研究では,森林環境の要素を利用した新たなカウン セリング(傾聴散策カウンセリング)の実践として,森 林の保健休養効果を享受しながら 18 名の被験者を対象 に事例研究を行った。その結果から,傾聴散策カウンセ リングの効果を明らかにし,今後の日本社会にメンタル ヘルス対策の一つの方法としての森林活用が,貢献する 可能性を呈示することが目的である。 第 3 章 調査方法 1. 傾聴散策カウンセリング手法 傾聴散策カウンセリングとは,森林療法を基礎とする 森林環境を利用したカウンセリングの手法である。被験 者とカウンセラーが自然環境下で散策しながら,被験者 *国立研究開発法人 森林総合研究所 主任研究員 **東北医科薬科大学 准教授

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の気分が改善することを目的としている。散策過程にお いてのカウンセラーは,被験者が話したくない場合はそ の状況を受容し,沈黙のまま自然環境下で一緒に過ご す。また,カウンセラーは被験者に直接的にアドバイス をするのではなく,被験者が自然を通して,自ら被験者 自身の気持ちや感情に気づき,それらの整理がつくよう に見守るものとする。そのためカウンセラーは,被験者 の状況を常に観察,察知し,被験者の状況に応じて適 宜,樹木や植物を紹介することを基本とする。カウンセ ラーは,林学の知識,傾聴,カウンセリング技術を基礎 として学んでいる者である。本研究のカウンセラーは著 者が行い,傾聴散策カウンセリングの経験数は約 200 回 であった。なお,本調査研究は,東京農業大学の倫理委 員会と全被験者の承諾を受け,行った。 2. 被験者と調査地 2012 年 2 月∼2016 年 11 月の期間,各 1 名の被験者に つき,1 名のカウンセラーと約 1 年間(1 回/月)の傾 聴散策カウンセリングを行った。被験者の条件を,①自 然が好きであること,②重度な精神疾患ではなく,健康 な範囲にいる女性,③年齢は 20 歳から 60 歳,と設定し た。インターネット等で公募を行い,応募のあった中か ら 18 名の被験者を対象とした(50 代 6 名,40 代 6 名, 30 代 6 名)。 傾聴散策カウンセリングで利用した調査地は,①都市 近郊からのアクセスが良い立地,②四季の変化を体感で きる樹種から構成される森林地区が複数あること,を条 件に,青梅の森(東京都青梅市),代々木公園(東京都 渋谷区),馬事公苑(東京都世田谷区),服部緑地(大阪 府豊中市)の 4 箇所を選択した。 3. 調査プロセス 各被験者とそれぞれの時間に集合し,生理的ストレス 反応の測定,気分評価とワークシートの記入(約 15 分) を行った。その後,傾聴しながら,散策(約 1 時間)を 行い,傾聴散策カウンセリング後に生理的ストレス反応 の測定,気分評価の記入(約 15 分)を行った。そして 傾聴散策カウンセリングの比較調査を 4 形式設定し,そ れぞれの被験者が 1 回ずつ行った。 比較調査は,①森林環境の対照として,街中散策カウ ンセリング(以下,街中散策),②野外環境の対照とし て,室内傾聴カウンセリング(以下,室内傾聴),③カ ウンセラーの同行の対照として,被験者が単独で散策す る単独散策(以下,単独散策),④森林内散策の対照と して,林内で座って行う形式の林内傾聴カウンセリング (以下,林内傾聴)とした。なお,研究過程において上 記の比較調査を適宜増やしていったため,それぞれの被 験者が行った比較調査は異なった。 生理的ストレス反応の測定は,唾液アミラーゼモニ ター(ニプロ株式会社)を用いて,ストレス指標とする 唾液中に含まれる消化酵素の一つである唾液アミラーゼ を測定した。気分評価には,65 項目から質問が構成さ れる日本版 POMS(Profile Of Mood States)を用い, 「緊張-不安」,「抑うつ-落込み」,「怒り-敵意」,「活気」, 「疲労」,「混乱」の 6 つの気分尺度を同時に測定した。 採点は,年齢別の換算表を利用した。ワークシートは, 「自分のなかのいろんな自分」という自己表現ワーク シートを使用し,面談をする際に,被験者が自分の気持 ちを簡易的に整理出来るように利用した。調査日におい て,毎回生理的ストレス反応と気分評価の測定時に,気 温,湿度,天気を記録した。さらに被験者の外見,表 情,話の内容,行動の変容を,傾聴散策カウンセリング の面談後,毎回記録した。調査を開始する際に「事前ア ンケート」を,比較調査後に「各比較調査後のアンケー ト」を,そして調査終了後に「調査終了後アンケート」 を記入していただいた。そして各被験者の職場において も,調査日と同数回,被験者の勤務中の午前と午後に, 生理的ストレス反応の測定,気分評価の記入,ワーク シートの記入を行っていただいた。 第 4 章 結果と考察 1. 被験者の変容 ここでは,調査期間を完結した 14 名の被験者の表情, 姿勢,行動の変容のみを示す。 A さんは,緊張した表情で,カウンセラーとあまり視 線を合わせず,小さな声で職場の問題を語っていた。し かし,繰り返しカウンセラーに話すことによって,自身 を振り返るようになり,問題への取り組みに積極的に関 わるようになっていった。それに伴い,A さんはカウン セラーと視線を合わせながら大きな声で話すようにも なった。 B さんは,自然に馴染みのない生活だったため,はじ めは緊張した表情で,落ち着かない様子であった。しか し,カウンセラーから自然の知識を得るにつれ,周囲を 見回し,自然の変化を探すようになった。さらに,カウ ンセラーに話すことにより,自己肯定感の向上がみら れ,仕事中心の生活から自分を大切にする生活へと生活 様式にも変化がみられるようになった。 C さんは,散策することや自然環境を好んだため,森 林散策を行うだけでリフレッシュする様子がみられた。 しかし,時々職場の問題や自身の生活を小さな声で自信 なく話す様子から,混沌とした気持を常に抱えているこ

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とがうかがえた。カウンセラーが C さんの話の整理や 気持の確認を繰り返し行うことで,C さんの声に張りが 現れるようになった。最終回では自分がやりたかったこ とを発見し,人生における方向転換をしたことを報告す るまでになった。 D さんは,初回から落ち着きがみられた。「公園を散 策することでリラックス効果が得られるか」を自分自身 で検証する目的で参加した。はじめは沈黙のまま,前を 向いて歩く時間が多かったが,自然の知識をカウンセ ラーから得るにつれ,自発的に上を向きながら自然の変 化を発見するようになった。さらに D さんは,傾聴散 策カウンセリング中,能動的に自分の思いをカウンセ ラーに話すようになるなど,リラックスした様子がみら れるようになった。最終回では,「傾聴散策は自分だけ の貴重な時間であった」と D さんは,語った。 E さんは,はじめ緊張した様子だったものの,面談中 は終始,能動的にカウンセラーに話す姿がみられた。し かし,半年が経過した頃より沈黙のまま散策し,自然を 楽しむ時間が増えていくようになった。また仕事につい て,はじめは現状維持を推進する発言がみられたが,最 終回に近づくにつれ,意欲のある発言が増えるように なった。 F さんは,顔色が悪く,常に疲れた様子があった。初 回から「仕事を辞めたい」という気持ちが強く,忙しい 職場の問題や不満を能動的に話した。しかし,カウンセ ラーに自分の気持ちを発散し,森林散策での気分転換を 繰り返すことによって,散策中の F さんに沈黙の時間 がみられ,内省する姿が増えていった。結果,F さんは 仕事の取り組み方を工夫し,退職を回避した。 G さんは,自然が好きで,森林散策を楽しみに参加 した。調査期間中に結婚し,配偶者について語ることが 多くなると,イライラした様子も現れるようになった。 しかし,G さんは自然の風致でリフレッシュしながら, 繰り返しカウンセラーが傾聴することで,G さんは自 身の気持を整理し,感情の起伏に気づくようになった。 最終回では,すっきりとした表情で「自分を大事にする ようになった」と振り返った。 H さんは,自信のない暗い表情で,下を向いたまま 散策し,後ろ向きな発言をすることが多かった。自然の 知識を得るつれ,樹木の変化を発見することを楽しみに 参加するようになると,H さんの姿勢は良くなり,前 向きな発言も多くみられるようになった。最終回では, 明るい表情で,「社会復帰のためのリハビリテーション 期間となった」と自身を振り返るまでになった。 I さんは,明るく,活発であったが,いつも忙しく, 何かに追われている様子だった。しかし毎月 1 回,ゆっ くりと散策しながら自分のことを話すことが,I さんに とって自分自身をふりかえる唯一の場所と気分転換の時 間になっていることに気づくようになった。最終回で は,「以前より,落ち着いて自分のことを考えるように なった」と,振り返った。 J さんは,はじめ緊張した様子であった。親の介護 で,イライラすることが多かったものの,それらを抑制 していたためか,J さんの表情は乏しかった。しかし, J さんはカウンセラーに話すことで自身のストレスを発 散し,そこから少しずつ自分の気持を素直に語るように なった。そして「無理して頑張ることをしなくなった」 と自分の変化を認識するまでになった。 K さんは,常に緊張感とイライラ感があり,その表 情は硬いことが多かった。しかし,森林環境下では,自 身の幼少時代の自然体験を想起することが多く,能動的 に,笑顔で話す姿になった。K さんに沈黙の時間がみ られるようになると,K さんは無理なく,気分転換し つつ,内省する姿勢がうかがえた。K さんは,徐々に 落ち着いた様子が現れ,最終回では,「周りを気にしな くなった」と自分の変化を語った。 L さんは,「話すことが得意ではない」ということか ら,はじめは沈黙のまま森林散策を行った。表情は硬 く,カウンセラーや仕事に対する嫌悪感が強い様子が あった。しかしカウンセラーの受容的姿勢や L さんが 傾聴散策カウンセリング毎に体験する気分転換から,L さんは散策中にリラックスするようになり,徐々に自己 開示もするようになった。そして,L さんは積極的に仕 事に取り組む姿勢もみられるようになった。 M さんは,静かで落ち着きがあった。はじめはカウ ンセラーに気遣い,無理して多弁になる傾向がみられ た。自己評価は低く,自分のために何かをしたいという よりも,しなければいけないという思いの方が強かっ た。しかし M さんは,季節変化を感じることやカウン セラーに話すことを楽しみに参加するようになり,最終 回では「自然と自分のことを人に話すようになり,人と の関わり方が変わった」と自身の変化を語った。 N さんは,はじめは傾聴散策カウンセリングとカウ ンセラーに嫌悪感があり,沈黙したまま散策する時間が 多くみられた。しかし,カウンセラーの受容的態度,散 策中に想起する幼少期や配偶者との思い出,散策後に味 わう気分転換などから,徐々に自己開示するようになっ ていった。半年経過後,N さんは仕事への意欲が向上 し,さらに「もう少し人と関わっていこうと思った」と 言い,その表情は柔和であった。そして最終回では,

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「自分を振り返ることができ,前向きな思考になった」 と自身の変化を言うまでになった。 以上,14 名の被験者は,傾聴散策カウンセリグの過 程において,それぞれの変化を示した。主に,森林の風 致作用による心理的な効果と,カウンセラーの傾聴によ る心理的な変化(行動の変容)が現れ,それらの変化が さらに表情や姿勢の変化につながったものと推察され た。 2. カウンセラーの役割 本研究の被験者は,傾聴散策カウンセリングを行う調 査地(森林)を訪れたことが初めてであった。そのた め,自然が好きな被験者らでさえ,調査地である森林に 対し,緊張や不安を感じながら散策する様子がみられ た。そこでカウンセラーは,被験者が安心して散策しな がら気分転換できるように,居心地の良い空間作りを 行った。被験者の表情や視線の方向を観察し,興味のあ りそうな樹木について適宜説明を行うなど,自然の風致 作用を利用し,能動的に行動した(①森林と被験者との 橋渡し)。被験者がその森林環境を安全であると認識し, カウンセラーと共に身を置くことに安心し始めると,自 分の思いをカウンセラーに語り始める自己開示の傾向が みられていった。一方,カウンセラーは,被験者の安全 を常に確認しながら,被験者の気持ちを受け止め,被験 者の問題意識,感情の認識化,思考の整理に重点を置く ようにした(②被験者とカウンセラーとのリレーション づくり)。そして,傾聴散策カウンセリング中,被験者 が沈黙する時間が多く見られると,森林は,被験者自身 で自己のふりかえりや自分自身について考える空間と なった。さらに,被験者が森林の風景を見て気分転換を 行うことや,その場で感じた思いをカンセラーに語るこ となど,被験者が主となって森林環境を利用する姿勢と なった。その際のカウンセラーは,被験者に付随し,あ たかも森林環境の一部であったかのような存在であり, 終結の徴候になることが推測された(③終結)。 これらのことから,カウンセラーは被験者に森林環境 を意義あるものとするために,傾聴散策カウンセリング を行う環境を選定し,適切な散策ルートを決定できる必 要性があるとされる。そして毎回の面談においては常に 被験者の体力,自然に対する認識や興味を察知し,被験 者の安全を心掛けなければならない。その上で,被験者 の行動変容(気づき)を支援するために,限られた時間 内でのカウンセリングを組み立てる必要があるものと考 えられる。 3. 傾聴散策カウンセリングの意義 上原(1997)の「自然散策とカウンセリング」の特徴 は,「①開放的で,②場の移動,場面変化,③身体運動 を伴う。④自然の風致作用を味わい,⑤自己認識をす る。また,⑥自然が被験者に応え,働きかけることや, ⑦意識の変化の指標となるが,⑧天候に左右されやす い,⑨落ち着かない,⑩初心者には抵抗感がある,⑪選 定する散策場所には個人差があり,カウンセリングの効 果にも影響する,⑫カウンセリングと散策の関係が曖 昧,⑬被験者が異性の場合,信頼関係が変容したものに なりやすい,⑭都会では,適当な自然や散策場所を見つ けること自体が難しい」の長短所であった。傾聴散策カ ウンセリングにおいても,上記の結果から重なる点が多 く,再確認する結果となった。しかしながら,⑧から⑫ の欠点においては,カウンセラーの調節によってスムー ズに行うことが可能だとも考えられる。さらに⑬におい ては,本研究の被験者とカウンセラーは同性であったた め,信頼関係は変容したものならなかったと推測され る。 まとめ 本研究により,傾聴散策カウンセリングにおける森林 環境の意義は,被験者にとって,①保健休養効果が得ら れ,②非日常空間を味わい,その中で③気分転換ができ ること,そして時に④カウンセラーとしての役割を持 ち,⑤心の拠り所や,⑥問題,自己を考える場所,とな ることが明らかになった。以上のことから,森林環境の 要素を活用した新たなカウンセリング手法である「傾聴 散策カウンセリング」は,日本のストレス社会における メンタルヘルス対策につながる可能性が示された。 なお,研究結果から「傾聴散策カウンセリング」の呼 称を明快にするため,「森林散策カウンセリング」の呼 称に変更した。 審 査 報 告 概 要 現在,森林の保健休養機能の研究においては,単発的 かつ短時間における生理的,心理的アプローチによる研 究手法が中心となっており,個々の抱える問題,悩みの 変容についての調査研究は少ないのが現状である。社会 生活や日常生活における女性を対象とした森林利用の研 究はさらに少なく,特に女性のメンタルヘルスのための

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調査研究は数少ない。本研究は女性にとってアクセスの しやすい都市部近郊の森林公園を活用し,傾聴を中心と したカウンセリングである「森林散策カウンセリング」 を長期的に実施し,その結果,被験者には,不安感や抑 うつ感の減少,爽快感の向上などのほか,室内のカウン セリングではみられなかった自己受容や自己肯定感の表 出などの効果が得られることが明らかになった。森林環 境の要素を活用した新たなカウンセリング手法の一つと して「森林散策カウンセリング」は,女性のメンタルヘ ルスに寄与できる可能性を持つことも示された。これら の研究結果を詳細に検討した結果,審査員一同は,博士 (林学)の学位を授与する価値があると判断した。

参照

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