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Academic year: 2021

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6 別紙3-3

厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)

(分担)研究年度終了報告書

新型コロナウイルスの小児への影響の解明のための研究 わが国における小児のCOVID-19症例の感染経路

研究分担者 勝田 友博 聖マリアンナ医科大学小児科学 講師

本研究は,国内における小児の新型コロナウイルス(Coronavirus Disease 2019: COVID-19)症例の疫学およ び臨床症状を専用のデータベースを用いて継続的に調査した結果のうち,発症日が2020年2月15日から12月29 日であった15歳以下の840名を対象として解析を行った.小児におけるCOVID-19の感染経路の72.5%が家族内 感染であることから,早期診断には家族歴の病歴聴取が重要であり,小児における感染予防には成人家族が 家庭内にsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2(SARS-CoV-2)を持ち込まないように注意する ことが最も重要な予防策と評価した.

A.研究目的

本研究では、本事業によって作成された専用の データベースを用いて集積された,わが国におけ る小児の新型コロナウイルス(Coronavirus Disea se 2019: COVID-19)症例の臨床情報を解析するこ とにより,主に小児COVID-19症例の感染経路を明 確にすることを目的とする.

B.研究方法

本事業によって作成された小児COVID-19症例の 臨床および疫学情報のうち,発症日が2020年2月15 日から12月29日であった15歳以下の840名を対象 として解析を行った.統計解析は,統計解析ソフト R version 3.6.2 (R Foundation for Statistic al Computing,Vienna,Austria)を用い, p<0.05 をもって統計学的有意差ありとした.データの比 較はFisherの直接確率法により評価した.

倫理面への配慮 臨床および疫学情報の収集に際しては,対象者 が入院中で同意取得が可能な場合は個別症例およ びその保護者から,インフォームド・アセントおよ びインフォームド・コンセントを取得した後に、退 院後で同意取得が困難な場合はオプトアウト方式 により参加拒否をしていないことを確認した後に データベースへの登録をすることとした.

C.研究結果

1.小児における先行感染者

小児COVID-19症例の先行感染者を表1に示す.全 体の92.6%を占める840例に先行感染者との接触 歴が確認されたが,72.5%は家族内感染であった.

家族における先行感染者は父親が最も多く (31.

8%),次いで母親からの感染 (21.7%) であった.

学校,幼稚園・保育所での感染はそれぞれ6.2%に 留まっており,両者を合わせても1割程度であった.

さらに調査対象を,国内において2020年3月2日 から導入された一斉休校とそれに続く夏休みによ

り登校・登園頻度が低下していた2020年8月までに 発症した449例 と,多くの地域で本格的に登校・登 園が再開された2020年9月以降に発症した391例に 分けて,先行感染者を比較することにより,小児に おける登校・登園がCOVID-19罹患に与える影響を 評価した.前者においては,家族内感染が70.9%を 占めており,学校,幼稚園・保育所での感染はそれ ぞれ4.2%,9.8%に留まっていた.登校・登園頻度が 上昇した時期にCOVID-19に罹患したと推定される 後者においても,家族内感染の割合は,74.5%を維 持しており,学校、幼稚園・保育所での感染はそれ ぞれ8.4%,2.0%であり,特に幼稚園・保育所での感 染は有意に低下していた.ただし,交絡因子に関す る評価がなされていない.

考察

小児におけるCOVID-19の感染経路の72.5%が家 族内感染であることから,早期診断には家族歴の 病歴聴取が重要であり,小児における感染予防に は成人家族が家庭内にsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2(SARS-CoV-2)を持ち込 まないように注意することが最も重要である.

国内においては,2020年3月2日から一斉休校が 導入され,その影響は,多くの地域で夏休みが終わ る8月前後まで残存したと想定される.一斉休校や 夏休みが学校,幼稚園・保育所での感染拡大防止に 一定の寄与をしたことが予想されるが,一方でこ の間,多くの子どもたちが家庭での隔離に対する ストレスや学習の遅れなどの影響を受けた.本研 究では,今後,COVID-19の感染が拡大した場合に,

再度広範囲にわたる休校措置を導入するべきかど うかを判断する指標として,登園・登校が本格的に 再開された夏休み以降,学校,幼稚園・保育所での 感染伝播が増加したかについて評価した.その結 果,学校,幼稚園・保育所の再開前後で学校関係者 からの伝播は増加せず,むしろ幼稚園・保育所関係 者からの伝播は有意に減少していた.

結論

(2)

7 小児におけるCOVID-19の感染経路の72.5%が家

族内感染であることから,早期診断には家族歴の 病歴聴取が重要であり,小児における感染予防に は成人家族が家庭内にSARS-CoV-2を持ち込まない ように注意することが最も重要な予防策と評価し た.

今後の計画

1)わが国における小児のCOVID-19症例の情報収集、

データベース作成、解析

本報告書に記載の通り,既に一定の解析結果が 得られたが、昨今のCOVID-19流行の拡大・遷延に伴 い,小児における罹患予防策に関する基礎資料を,

より多くの情報をもとに作成する必要が生じてい ることから,調査期間を延長して継続することし た.

2)小児とその保護者、母子保健関係者への適切な 行政支援提供のための基礎資料作成

3)小児の日常生活環境におけるCOVID-19罹患予 防策の策定

COVID-19に限らず,小児が日常的に診療,健診,

予防接種などの提供を受ける国内の診療所,クリ ニック,病院などにおいて実際に導入されている 感染予防策に関する調査を計画している.

D.研究発表

1. 論文発表 準備中 2. 学会発表

2021年 4月17日に京都で開催された第124回日 本小児科学会学術集会,分野別シンポジウム8にて 研究内容の一部を報告した.

E.知的財産権の出願・登録状況 1. 特許取得 なし

2. 実用新案登録 なし

3.その他

表1. 小児COVID-19患者の先行感染者

全期間 [n=840]

2020年 1-8月 [n=449]

2020年

9-12月 [n=391] p 先行感染者との接触

なし 62 (7.4) 28 (6.2) 34 (8.7) 0.42

あり 778 (92.6) 421 (93.8) 357 (91.3)

家族 609 (72.5) 318 (70.9) 291 (74.5) 0.25

父親 267 (31.8) 144 (32.1) 123 (31.5) 0.88

母親 182 (21.7) 82 (18.3) 100 (25.6) <0.05

両親 35 (4.2) 25 (5.6) 10 (2.6) 0.06

同胞 22 (2.6) 11 (2.4) 11 (2.8) 0.83

祖父 37 (4.4) 20 (4.5) 17 (4.3) 1.00

祖母 39 (4.6) 15 (3.3) 12 (3.1) 1.00

その他の家族 27 (3.2) 15 (3.3) 12 (3.1) 1.00 学校関係者 52 (6.2) 19 (4.2) 33 (8.4) <0.05 幼稚園・保育所関係者 52 (6.2) 44 (9.8) 8 (2.0) <0.05 家庭教師・塾関係者 8 (0.9) 3 (0.7) 5 (1.3) 0.48

その他 57 (6.8) 37 (8.2) 20 (5.1) 0.08

参照

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