ー論文 ‑ 高 岡 短 期 大学紀要 第1 巻 平 成2 年3 月 Bull. T aka oka Natio n al College, Vol.1, M a r ch 1 9 9 0
ハ イパ ー メ ディ ア ・ シス テム の構築と その教育に お ける利用
小郷 直言 ・ 米川 覚
( 平成元年1 2月2 0 日受理)
要 旨
本稿では, 学生の教 育, 学習 ‑ の応用を 中 心に据えて, ワ ー クス テ ー ショ ン上に構 築 した 一 つ の
ハ イ パ ー メディア・ シス テムにつ い て述べ るo シス テム の持つ べき 特性と して, 1) マ ルチメディ ア の取り込み, 2) インタ ー フ ェ ー ス へ の配慮, 3) ネッ トワ ー クによ る拡 大, 4) 知 識の増 幅 を 目指 す, 5) 協 調 的な作 業環境 を提 供 する な どにつ いて特に注意を払った。 さ らに‑ イパ ー メディア・
シス テム の応用例と して, 電子教科最 案 内嵐 テレ ビ講座, 双方 向遠 隔授 業シス テムに つ いて考 察する。
キ ー ワ ー ド
ハイパ ー メディア, ハイ パ「 テ キス ト, マ ルチメディ ア, グル ー プ ウエ ア, 双方 向遠 隔教 育
I . (ま じ めに
近 年, 文字, 図 形, 音声, イメ ー ジ, 映像 などの各種の メディ ア形態が, 情 報のデジタ
ル化によっ て, コ ン ピ ュ ー タによ り 表 示, 伝 達さ れ, 処 理できるようになっ てきた。 さ ら に, 高性能なウ ‑ クステ ‑ シ ョ ン (以下W S
と略記する) や コ ン ピ ュ ー タ ・ ネ;、 トワ ー ク
の普及によ り‑ イパ 「 メディ ア ・ システム と
呼ばれる 一 つ の応 用 分 野, あるい は利 用 環 境 が注 目 さ れるようになっ てきた。 ハ イパ ー メ
ディ ア の応 用範 囲は非 常に広く, 電子 テ キス
ト, 電子 辞書, 文書 作 成 ・ 支 援, 各嘩ソ フト
ウ ェ ア へ の ユ ー ザ ー ・ インタ ー フェ ー ス, テレ
コ ン ファ レ ン シン グ, マ ル チメディ ア ・ デ ー
1)
タベ ー スなど多岐に わ た る。 こ の ハ イパ ー メ ディア という言 葉は, ‑ イパ ー テキストから
2)
派 生 した概 念である と考 え られ て い る。
ハ イパ ー テキス トの着 想は Ⅴー B. u sh の
産 業 情 報 学科
3)
M em ex にあると 言 わ れて い る。 これは大量
の文書へ のアクセ ス と 任意の情畢間のリン ク
が とれるように考 え ら れた, 人 間の知的活 動 を 支 援する仮 想の機 械であっ た。 その後, こ
の B u sb の考え方に触発 さ れて, D .Engel bar‑
t らは, 専門家集 団 (K n o wledge w orkers,
K n o wledge W o rkshop と呼ばれ る)を対 象に した N L S (後に A ugu m ent) とい う知 識 支 援シろテム を, すで に 1 9 6 0年代という 早い時
4)
期に開発 してい た。 N L S は今日の ハ イ パ ー テ キストで いうノ ー ドとリン ク を 構成要 素と し, 編集, 移 動, 保存, 呼び 出 し などを指 向 して い た (現 在e)ディ スプレ イ装置, ワ ー ド プ ロセ ッ サ の先駆 け) 。 さ らに コ ン ピュ ー タ を 使 っ て専 門家 集団による会議や 共 同 編集 作 業の支 援にも 使 用された。 これは最近 よ く 話 題になる, グル ー プ ウエ アある いは C S C 噛 (C o m p uter‑ S up p o rted C oop e r ative
5,6)
W o rk) の先駆 的 な研 究でも あっ た。 T . N eュ̲
4 8 小 郷 直 言 ・ 米 川 覚
so n の Ⅹanadu プロ ジ ェ クトの着想 もこ の時 期である。
‑ イパ ー テ キストという名 前は彼
による。 ‑ イパ ー テ キスト と して 一 般に関心 を もたれるようになっ て来たのは1 9 8 0年代に 入っ て からであ り, 技 術 的 な 可能性から研 究
と 開発 が 進ん だ。 代 表的 な も の と して,
7) 8) 9)
N oteC a rds, N ep tu ne, gI B I S, Inter m ed ia,
1 0) 1 1)
K M S , Gui de, H y perC a rd など多( の もの
lコ、、 が米国を中心に開発 さ れ, 利 用 され てい る。
19 8 0 年代に入 り, ‑ イパ ー メディ ア という言 葉 も新た に使われるようになっ た。
現 在, 我が国で は, 一 般に利 用できる ハ イ
パ ー メディア ・ シ ステムはまだ ほ と ん ど開 発 さ れ ていないo そこ で, 学生の教 育と学 習 を 支 援する コ ン ピ ュ ー タシス テム の 一 つ とし
て, 今 後 大き な 影響を与え ると思わ れる ハ イ
パ ー メディア ・ シ ステム の 一 つ を わ れわれの 手で設計し, その有効 性と応 用 可能性に つ い て検 討 を 開始 すること は重 要 なこと である と
1 3)
考 えた。 さらに, 本来‑ イ パ ー メディ ア は N L S や Ⅹa n adu の 目 的から 見ても, ネッ トワ
ー クによる知 識の伝 達や交換, 協 同作業 を 支
1 4)
接 する という性 格が強い。 こ の意 味から も,
ネ ットワ ー ク 性 を充分に考慮した 一 つ の ハ イ
パ ー メディア ・ シ ステムを構築 すること にし た。
本 稿で は, 次章で ‑ イパ ー メディア ・ シス テム の 開 発 指 針 を明らか にし, 第3 章で は シ ステム構 成につ いて述べ, 第4 章で はハ イパ
ー メディ ア ・ システム の機能面につ いての説
明 を 行う. 第5 章で は, われ わ れのハ イパ ー
メディ ア ・ シス テム を 応用 した いくつか の シ ステム例 を 簡 単に述べ る。
2 。 ハイパ ー メディア ・ システム の開 発 指 針 わ れ わ れが開 発 した ‑ イ パ ー メディ ア ・ シ ステムは, ま ず 第 一 に教育‑ の応 用 を 中 心に 据 えて い る。 そこ で シ ス テム の持つ べき 特 性 として以 下のよ う な5 つ の指 針 を 採 用 するこ とに した。
1) マ ルチメディ アの取 り 込み
人 間 対 人 間の対 話, す なわち, fa c e‑ to ‑ fa ce な 会 話から, 印 刷機, 書籍, 放送, テ レ
ビなどの発 明によっ て, 人 間は時間 的, 空 間 的 壁 を 乗 り 越 えてメディアの力 を 借 りたよ り 広い コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 可能とな っ た。
我々 は, メッ セ ー ジ の物 理 的 表 現の形 態とし
て, 文字(te xt), 音声(v oice および s o u nd), 図 形(graph), 画 像 (i m age) , 映 像 (動 画)
のすべ てを高速に, 1 台の コ ン ピ ュ ー タで表 示, 処 理 し, でき れば統 一 的に取 り 扱うとい
1 5)
う方 針 を立 て たo これは 「 コ ン ピュ ー タの メ ディア化」 へ の 一 つ の試み であ る。
2) イン タ ー フ ェ ー ス ‑ の配慮
提 示される情報は できる だけ多様な もので ある こと が望 ま れ るが, 同時にメディア は最 終 的に は人 間に届かな け れば意味がなく, そ れゆえ 認 知 的 な 存 在でも ある。 これ がコ ン ピ
ュ ー タ を介して である場合に は, 特に人 間と
コ ン ピュ ー タとの接 点であるイン タ ー フ ェ ー
スは, 受 取 り 側の人 間の思 考の洗れ に できる 限 り 忠 実であるように, 十 分 な 注 意と配慮が 払われ な けれ ばな ら ない。 こ のた めに マ ル チ ウイ ン ドウ, アイコ ン, 選 択メ ニ ュ ー , ツリ
ー による全 体 図 などを 取 り 入 れた。 操作のほ
と ん ど はマ ウスを使っ て行 えるように設計さ れた。
3) ネ ットワ ー クによる拡 大
通 信 技 術と コ ン ピ ュ ー タの融 合 で, よ り高 度なメッ セ ー ジ の伝達 (衛 星 通 信, コ ン ピュ
ー タ ・ ネッ トワ ー ク, 電 子 会議 など),加工 が可 能と な っ た。 これに よ り,
い ろい ろなメ ディ
アを 用 いて の, 遠 隔地 との 「双 方 向 な対 話」
の可能性が出てきて, 教育にも 大 き な イン パ クト を 与 え ようとして いる。 ‑ イ パ ー メディ
ア ・ シ ステム は他の多くの コ ン ピ ュ ー タ と接 続 する こと によっ て, ネッ トワ ー クを 拡 大 し て いくことを 目 指 す。
4) 知 識の増 幅 を 目指 す
ハ イ パ ー メディ アを 利用 する最 大の目 標
‑ イパ ー メ ディア ・ システム の構築 と その教 育に おけ る 利 用
は, 人 間が情報を利用 したり, 獲得 する際に,
そ れ を高い レ ベ ル で支援し, 人 間が知 識 を増 幅 してい けること に貴 献 すること である。 こ れ は教育の目 指 す もの と同 じである。 その た め に, い ろい ろなメディ アの利 用, 優れたイ
ンタ ー フ ェ ー ス が必 要になるのである. さ ら に, ネ ットワ ー ク を 介 して, 獲 得 さ れた情報 ある いは知 識 を, グル ー プの他の多くの人々 と交換, 伝達し 合うことによっ て, さ らに知 識の増 幅が期待できることも見逃すこと は で き ない。
5) 協調的な作業 環 境 を 提供 する
グル ー プに お いて協 同 して何かの仕事を遂 行していくた めの支 援 環 境が コ ン ピュ ー タに よ り提供 さ れる。 これ
′
によ り, 教 育分 野 への
コ ン ピュ ー タの新しい応 用 分 野が開拓 さ れ る。 例えば, 複 数の人々 による文章の添削,
コ メン ト付け, 共 同執 筆作 業, 電子 会議など
い ろい ろな ものが 考 え られ る。
3 . ハ イパ ー メディ ア ・ システム の構 成 前章の開発 指 針 を もと に, わ れ わ れは 一 つ のハ イパ ー メディ ア ・ システム を構築した。
こ こで は システム の ‑ ‑ ドゥェ アとソ フトウ
ェ アの各構 成に つ いて述べ る。
3 .1 ハ ー ドウ ェ ア構成
われ わ れの要 求 する‑ ‑ ドゥ ェ ア は, い ろ
いろ なメディア が嘩合的に扱 えること, 個別
にそ れ 一 台でいくつ もの メディ アを 扱 え, 処 理でき, しかも他の コ ン ピュ ー タとも 柔軟な
コミ ュ ニ ケ ー ショ ン が行える機 能を 備 えたも
? が望 ま しい。 こ のよ うな ものと して, W S を中心としたシ ステムを構成 した。 W S と周 辺 機 器は図1 の ように配 置さ れて い る。
シ ステム構 成は W S を中心とし, ビッ トマ
ッ プ ・ ディ ス プレイ, マ ウス, カ ラ ー イメ ー
ジ . スキャナ, ビデ オ情報 処 理 装 置, T S S の 分散端 末, パ ー ソナル コ ン ピ ュ ー タ等の周 辺 装 置から なっ てい る。 さらに, 学 内のC A T
4 9
Ⅴ網の施設 とホ ストコ ン ピュ ー タも 利用す
る。
ビデオ情 報処 理装置は, 映像 (N T S C 信 号) をデジタル化 して ビッ トマ ッ プ ディ スプ
レイ 上に表 示する。 2 つ の映像入 力端子 を持 ち, C A T V , ビデオ, レ ー ザ ー ディ スク等
からの映像を 入 力できる。 T S S の分散 端 末
l
は, W S からホストコ ン ピュ ー タへ の接 続に 用いら れ る ( 最終的に は L A N 接 続を考えて
い る が, こ の時は端末 用の エ ミ ュ レ ー タが使 える)0
パ ー ソナ ル コ ン ピ ュ ー タは R S 2 3 2 C を介 してW S と接 続さ れ, 中 継機と しての役 割を
1 6)
果たす. パ ー ソナル コ ン ピュ ー タに は, カラ
ー イメ ー ジ・ スキャナ, 音声 合 成装置, C D ‑ R O M 装 置, 光ディ ス ク装 嵐 ビデオ等の周 辺装置が接 続され, 次の仕事を 行う。
・ イメ ー ジデ ー タの保 存と取 り 込み
現 在, まだ W S に はイ メ ー ジ保存用の光
ディ ス ク装 置 を 接 続 して い な い た め, イメ
ー ジデ ー タの大 量保 存に は パ ー ソナルコ ン ピ
ュ ー タに接 続さ れた光磁気ディ スク装置 を 用
い てい る。 また パ ー ソナルコ ン ピュ ー タ 側の カラ ー イメ ー ジ ・ ス キャ ナで読み取 ら れ る イ
メ ー ジデ ー タは, W S 側のイメ ー ジデ ー タ ・
フ ォ ー マ ッ ト と完 全な互換性 を持っ て い る。
・ 音声出 力
音声 合 成装置は, か な漢 字に変 換さ れたテ キス ト を音 声に変えて出力する もので, シリ アル ポー ト をつか っ て声 を 出 力する ものと,
専用の ボ ー ドを使 うものと q)2 種 類が用意さ
1 7)
れて い る。 使い 方と して は, W S 側から 送 ら れた 日本語の文章を音声に変換 してス ピ ー カ よ り 出 力 す る。
・ C D ‑ R O M 装 置からの辞 書 検 索
1 8)
辞書が記 憶された C D 一 女o M から デ ー タ を 検 索 し, 結果 をW S ‑ 転 送する。 た とえば,
C D ‑ R O M をひらがな やカ タ カナ 読みある
い は漢字のま まで検 索 する と, 語句の意 味 内 容 (同 音 異義語のように複 数 ある時は, その
・ト郷 直 言 ・ 米 川 覚 5 0
(
唱 輩 糖 蜜
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野
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