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ダイズの高

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) マ リ ア ス テ フ ァ ニ    ド ゥ イ ヤ ン テ イ

学 位 論 文 題 名

ダイズの高d ートコフェロール含量形質の 遺伝的作用機序に関する研究

学位論文内容の要旨

  q‐トコフェロール(ビタミンE)は脂溶性の機能性成分であり、動脈硬化やガンなどの生 活習慣病の予防効果が認められる。さら に、食品、化粧品の抗酸化物質、飼料の栄養添加 物として幅広く利用される。一般的なダイズ種子にはq‐トコフェロールの前駆体であるナ トコフェロールが多いため、高d‐トコフェロールダイズの育種が試みられている。以前の 研究で、Ujiieら(2005)がダイズ遺伝資源より高n‐トコフェロールダイズを複数品種同定 した。また、Dwiyantiら(2007)は高d‐トコフェロールダイズのーつ KAS について、その 高小トコフェロール含有性は後代に強く 遺伝することを明らかにした。本研究は、ダイズ における高q―トコフェロール含量形質の遺伝的機序を明らかにすることを目的に研究を行 った。

  第1章では、ダイズおよぴ他の作物における高也−トコフェロール含有化の育種の試み、

ま たダ イズ の叶 トコ フェ ロ ール 含量 の遺 伝的 制御 機構 解明 の重要性につ いて論じた。

  第2章では、高a‐トコフェロール含有ダイズ KAS と普通品種 いちひめ との交雑後代を 用いて、高a‐トコフェロール含有性に関連する遺伝子の同定を試みた。 いちひめ x KAS のF2種子集団 を用いたQTL解析結果から、 分子マーカーSat1 243とKSC13 8‑17間のゲノム 領域(連鎖群K、染色体9)に効果が大きいQTLを検出した(LOD値23.25、寄与率56.0%)。

このQTLはY. トコフェロール含有率および6・トコフェロール含有率にも関連性を示した。

さらに、 い ちひめ x KAS のF2個体集団を用いたQTL解析から、F2種子集団の結果と同 様に、a‐トコフェロール含有率に関連するQTLがSat.243−KSC13 8‑17間に同定された(LOD 値20.62、寄与率55.6%)。さらに、このQTLはa−トコフェロール含量(LOD値21.44)とY ‑ ト コフ ェロ ール 含量(LOD値5.24)に も強 い関 連性 を示 し た。 同定したQTL領域内に新た なSSRマーカーをマッピングし、QTL領域を物理的距離で約75‑kbpのゲノム領域に狭めた。

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ゲ ノ ム デ ー タ ベ ー スPhytozomeの情 報 から 、こ のQTL領 域内 にY.ト コフ ェ ロー ルを 伍‐ トコ フ ェ ロ ー ル に 変 換 す る 酵 素y‑TMTを コ ー ド す る 遺 伝 子y‑TMT3が 存 在 す る こ と が 予 測 さ れ た。

  第3章 で は 、yーTMT3遺 伝 子 を 含 む ゲ ノ ム 領 域 が へ テ ロ 型 の 個 体(RHL)を 自 殖 さ せ 、 そ の個 体の 後 代の 中で 、 い ちひ め 型y‑TMT3を 持っ 個体 ( いち ひ め 型個体)と KAS 型 y‑TMT3を 持 っ 個 体 ( KAS 型 個体 ) を解 析に 用い た。 開 花後30日 およ び40日 の種 子で は、

KAS 型個 体のyーTMT3発 現量 は いち ひめ 型より2〜3倍 高かった。一方、すべての 種子登 熟段 階に お いて 、 KAS 型 個体 の丗 ト コフ ェロ ール 含 有率 が いち ひめ 型より1.5〜3倍高 いこ とを 明 らか にし た。 総 トコ フェ ロー ル含 量 には 有意 な差 異が 認 められず、n‐トコ フェロ ール 含量 が 常に KAS 型個 体の ほう が 高い こと から 、q|ト コフ ェ ロール含有率の増加 はa− トコフェロール含量 の増加に由来すると考えられ た。

  高n_トコフェロー ルダイズ( KAS 、Dobrogeance 、 Dobrudza 14 Pancevo )および い ちひめ 、 Williams82 ヽ トヨコマチ にお けるy‑TMT3プロモーターの 塩基配列を比較した と こ ろ 、 高n― ト コ フ ェ ロ ー ル 含 有 性 と 強 い 関 連 を 示 す塩 基置 換 が存 在し た。1つ の塩 基置 換 は 転 写 の 促 進 に 関 わ るCAAT box内 に 存 在 し 、 も う1つ の 塩 基 置 換 で は KAS のy‑TMT3 プ ロ モ ー タ ー にMYB転 写 因 子 結 合 部 位 が 加 わ っ た 。 いち ひめ と KAS のy‑TMT3プ ロモ ー タ ー を り ポ ー タ ー 遺 伝 子intron‑GUSに っ な ぎ 、 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ ヘ 導 入 し た 。GUS活 性測 定 の結 果か ら、 KAS 型のy‑TMT3プロ モー タ ー活 性は い ちひ め 型 より おお よそ3.8倍高 いこ とを 明 らか にし た。 こ の結 果は ,'y‑TMT3プロモーター の変異が KAS の高也 ̄ト コフェ ロール含有性に関わ ることを強く支持した。

    登 熟 種 子 お よ び 葉 に お け る'y‑TMT1、y‑TMT2、y‑TMT3の 発 現 パ タ ー ン を 解析 した 。す べて の遺 伝 子が 発現 する こ とを 明ら かに し、 いち ひめ 型 個体 と KAS 型個体のy‑TMT1と y‑TMT2の 発 現 量 に 有 意 な 差 が な か っ た 。 種 子 登 熟 期間 中 に、 それ ぞれ の 遺伝 子が 異な る発 現 パ タ ー ン を 示 し た 。 そ の う え 、 葉 で はy‑TMT2の 発現 量 が最 も高 く、 種 子の 肥大 時期 には yーTMT1が 最 も 高 い 発 現 量 を示 した 。 これ らの 結果 から 、 それ ぞれ の遺 伝 子が 異な る役 割を 持 っ こ と が 示 唆 さ れ た 。 さ ら に 、 輸 送 シ グ ナ ル ペ プチ ド の有 無か ら、y‑TMT2はプ ラス チド に 局 在 す る と 予 測 さ れ 、y‑TMTlとY‑TMT3は プ ラ ス チ ド 外 に 局 在 す る と 予 測 さ れ た 。 そ の 結 果、 いト コフ ェ ロー ル生 合成 はプ ラ スチ ド内 およ びプ ラ スチ ド外 で行 わ れる 可能 性が ある ことが示唆された。

    第4章 で は 、 本 研 究 で 得 ら れ た ダ イ ズ の 高 洳 ト コ フ ェ ロ ー ル 含 有 性 の 遺 伝的 作用 機序 に 関 す る 知 見 を 用 い て 、 今 後 の 高 眦 ト コ フ ェ ロ ー ルダ イ ズ育 種へ の利 用 の可 能性 につ いて 述べた。

    −1341―

(3)

学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 准教授 助教

喜多村 三上 阿部 山田

学 位 論 文 題 名

啓介 哲夫     純 哲也

ダイズの高ばートコフェロール含量形質の 遺 伝的作用 機序に 関する研究

本 論文は4章76頁か らなる 和文論文 であり 、図19、表5を 含む。

  a‐ト コ フ ェロ ー ル はビ タ ミ ンEの 一 種で あり、 脂溶性抗 酸化作 用を持ち 、動脈硬 化やガ ン な ど の生 活 習 慣病 の 予 防効 果 が 認め ら れる。 さらに 、食品、 化粧品 の抗酸化 物質、 飼料 の 栄養添加 物として 幅広く 利用され る。一 般的なダ イズ種 子には也 ‐トコフ ェロールの前駆 体 であるY ‑トコフ ェロー ルが多い ため、 高a. トコフェ ロール ダイズの 育種が 試みられてい る 。以前の 研究で、 Uj iieら(2005) がダイズ 遺伝資 源より高a‐トコフェロールダイズを複 数 品 種 同定 し た 。ま た 、Dwiyantiら(2007)は 高a‐ ト コ フェ ロ ー ルダ イズのー つ「KAS」 に つ い て、 そ の高a ̄ト コフェ ロール含 有性が後 代に強 く遺伝す ること を明らか にした 。本 研 究 は 、ダ イ ズに おける高n− トコフェ ロール含 量形質 の遺伝的 機序を 明らかに するこ とを 目 的に研究 を行った 。

1. 高a‑ト コ フ ェ ロ ー ル 含 有 率 を 支 配 す る QTLマ ッ ピ ン グ お よ ぴ 遺 伝 子 の 同 定   遺伝 資 源 から 同 定 された品 種「KAS」にお ける高q|ト コフェロ ール含 有性を支 配するQTL の マ ッピ ン グ およ び 支配遺 伝子の 同定を試 みた。「KAS」 と普通品 種「い ちひめ」 の交配 後 代 で あ るF2種 子 集 団 、F2個 体 集 団 を 用 い てQTLマ ッピ ン グ を行 っ た 。そ の 結 果 、連 鎖 群 KのSatー243とKSC138‑17マ ー カ ー 間 の ゲ ノ ム 領 域に 効 果 が大 き いQTLが 検 出さ れ た 。そ のQTLのLOD値 は20.62、 寄 与 率55.6% 、 相 加 効 果‑&.067で あ っ た。 こ のQTLはY− ト コ フ ェ ロ ー ル 含 有 率 お よぴ6‐ ト コフ ェ ロ ール 含 有 率に も 関 与す る こ とがQTL解 析 か ら 明ら か にな った。Y―トコ フェロ ール含有 率に関 しては寄 与率48.9%、相加効果‑6.815であった。一 方 、6‐ ト コ フェ ロ ール 含有率は 寄与率12.2%、相 加効果‑1.669で あった 。今回の 研究で 検 出さ れたQTLは説‐ トコフェ ロール含 有率を 増やし、Y‐ トコフェ ロール含 有率を 減らす効果     ‑ 1342ー

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を 持 つ 。Y ‑トコ フ ェ ロー ル はY‐ト コフェ ロールメ チルト ランスフ ェラー ゼ(‑y‑TMT)によ っ てuー ト コ フ ェ ロ ー ル に 変 換 さ れ る ため 、 本 研究 で 検 出さ れ たQTLはy‑TMTに 関 連 す る ことが考えられる。

  同 定 し たQTL領 域 内 に 新 た なSSRマ ー カ ー を マ ッ ピ ン グ し 、QTL領 域 を 物 理 的 距 離 で 約75‑kbpの ゲ ノ ム 領 域 に 狭 め た 。 ゲ ノ ム デ ー タ ベ ー スPhytozomeの情 報 か ら 、こ のQTL 領 域 内 にY‐ ト コ フェ ロ ー ルをa‑ト コフ ェ ロ ール に 変 換す る 酵 素y‑TMTを コ ード す る 遺 伝 子 が 存 在 す る こ と が 予 測 さ れ た 。 ダ イ ズ 、y‑TMTを コ ー ド す る 遺 伝 子y‑TMT1とy‑TMT2 は す で に単 離 さ れた た め 、今 回 同 定 され た 遺 伝子 はy‑TMT3と 名 づけら れた。高a‐ト コフ ェロールダイズ(「KAS」、「Dobrogeance」および「Dobrudza 14 Pancevo」)と普通品種(「い ち ひめ」、 「Williams82」および「トヨコマチ」),におけるy‑TMT3プロモーターの塩基配列 を 比 較 した と こ ろ、 高a・ト コ フ ェ ロール含 有性と強 い関連 を示す塩 基置換 が存在し た。1 つ の 塩 基置 換 は 転写 の 促 進に 関 わ るCAAT box内 に存在 し、もう1つの 塩基置 換では KAS のy‑TMT3プロモーターにMYB転写因子結合部位が加わった。

2.  y‑TMT3遺 伝 子 の 転 写 制 御 と 旺 ‐ ト コ フ ェ ロ ー ル 含 量 変 動 と の 関 連 性   yーTMT3遺 伝 子を 含 む ゲ ノム 領 域 がへ テロ型の 個体(RHL)を自殖 させ、 交雑後代 の中で 、

「 い ち ひ め 」型 のy‑TMT3を 持 っ 個 体( 「 い ちひ め 」 型個 体 ) と「KAS」 型 の'y‑TMT3を 持 つ 個 体( 「KAS」 型 個体 ) を 解 析に 用 いた。 すべての 種子登 熟段階に おいて 、「KAS」型と

「いちひめ」型に関係なく、登熟に伴いq・トコフェロール含有率が増加した。しかし、「KAS」 型個 体のq―トコ フェロー ル含有 率が「い ちひめ 」゛型より1.5〜3倍高いことを明らかになっ た 。 一 方 、 開 花 後30日 か ら40日 に か けてy ‑TMT3の 発 現 量が 増 加 した 。 開 花後30日 およ ぴ40日 の 種 子 で は 、 「KAS」 型 個 体 のy‑TMT3発 現量 は 「 いち ひ め 」型 よ り2〜3倍 高 かっ た 。yTMT3遺 伝 子の 転 写 量 とn− ト コフ ェロール 含有率 の変動は 類似す るため、yーTMT3の 発 現 変化 はq‐ トコフ ェロール 含有率 の変化と 強い関連 性を持 つ。総ト コフェ ロール含 量に は 有 意な 差 異 が認 め ら れず 、n‐ トコ フ ェ ロー ル 含 量が 常 に 「KASJ型個 体のほう が高いこ とか ら、a‐トコ フェロー ル含有 率の増加 はa− トコフ ェロール 含量の 増加に由来すると考え られた。

  旺‐ ト コ フェ ロ ー ル含 有 率 に 関連 す る 変異 を 含 む1.3‑kbpのy‑TMT3プロ モーター 部位を

「 い ちひ め 」 と「KAS」 か ら 単 離し 、 リ ポー タ ー 遺伝 子intron‑GUSにっ なぎ、シ ロイヌ ナ ズ ナ ヘ 形 質 転 換 を し た 。 葉 を 用 い たGUS活 性 測 定 か ら 、 「KAS」 型 のy‑TMT3プ ロ モ ータ ー 活 性は 「 い ちひ め 」 型のy‑TMT3プ ロモ ー タ ーよ り お およ そ2.8倍高 いこと が明らか にな っ た 。こ の 結果は ,y‑TMT3プロ モータ ーの変異 が「KAS」の高 旺‐トコ フェロ ール含有 性に 関わることを強く支持する。

本研 究は、 ダイズ種 子の高d‐ト コフェロ ール含 量の遺伝 的作用機 構を解 明し、高 ビタミ

‑ 1343

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ンEダイ ズ育種へ の応用に重要な道筋を立てるものであり、学術的に高く評価できる。

  よって、審査員一同は、Maria Stefanie Dwiyantiが博士(農学)の学位を受けるに十分な 資格を有するものと認めた。

‑ 1344

参照

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