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講演内容 平成27年度県外研修:熊谷市ホームページ

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Academic year: 2018

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平成27年10月15日~16日 ・習志野市民会館

・旭市いいおかユートピアセンター

にて

習志野市民会館での研修風景

平成27年10月15日~16日、自治会長179名が参加し、熊谷市自治 会連合会県外研修が行われました。今回の研修は「習志野市の先進的な自主防 災活動と旭市の震災からの復興状況に学ぶ」をテーマに、

<習志野市>

Ⅰ「自主防災組織の現状について」

習志野市 危機管理監 太田 清彦 様

Ⅱ「ITを活用した災害に強いまちづくり」

本大久保ホームタウン自治会自主防災会 副会長 徳野 勤 様 企画部長 川谷 聡 様

<旭市>

Ⅲ「旭市東日本大震災後の復興状況について」

旭市総務課 主査 江戸 義尚 様

の御講演をいただきました。

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講演内容

Ⅰ 自主防災組織の現状について 習志野市 危機管理監

太田 清彦 様 による講演

はじめに

皆さんは、なぜ、初めに市役所の危機管理監が出て来て、20分間も話をする のかが分からないと思います。実は、私もよく分からないのです!

多分、初めから「本大久保ホームタウン自主防災会」の話を聞くと、如何に、 川谷さんのプレゼンテーション能力が高いのかが分からないからだと思いま す。素晴らしさを理解するためには、誰かと比較する必要があります。まぁ、 落語で云えば前座が私で、真打が川谷さんだと理解してください。ですから、 私の話はそれほど真剣に聞かなくて結構です。

IT技術を防災に活用するという考え方は先進的な取り組みです。そして、 皆さんが「凄いなぁ!」と感心される点もたくさんあると思います。その際、 どうか表面的な部分に囚われないで、本質的な部分に注目して聞いていただき たいと思います。そして、取り入れられる部分は是非参考にしていただければ と思います。

熊谷市と習志野市の比較

熊 谷 市 は 習 志 野 市 の 人 口 の 約 1.2 倍、面積約7.6倍の規模があります。 習志野市は熊谷市の中央地区くらい の面積で、そこに習志野市民約17 万人が住んでいるというイメージです。

防災の観点で比較すると、熊谷市の想定避難者数は 2万人、習志野市は6万人です。避難所数は熊谷が1 38ヶ所、習志野が27ヶ所です。避難する人にとっ ては、熊谷の方が優れているように思えますが、物を 届けるという観点で考えると、状況は変わります。避 難所の数が多く、面積も広いところで物を届けるのは

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一般的な自治体

自助共助公助の考え方

習志野市では、まずは自助が重要 であるとしています。右の図は、 災 害 が 発 生 し た 直 後 の 住 民 の 働 き の こ と を 説 明 し た も の で す 。 災害発生から時間が経つと、共 助・公助の部分はどんどん膨ら んできますが、災害発生直後は市

のできることは限られています。災害から身を守るには、まずは自分自身が備 えないとどうしようもないのです。地域がまとまって何かをしないと助からな いということから、図のような説明をしています。

本大久保ホームタウン自治会自主防災会について

この自主防災会は、内閣総理大臣賞、総務大臣賞、千葉県知事賞の3冠を獲 得しました。この組織には、3つの特徴があります。①ITを活用していること、 ②スタッフが固定されていてスマホも使えること(使えない人も講習会等で使 えるようになった)、③自分たちの成果を披露しない奥ゆかしさを持っているこ とです。今日の講演では、IT技術だけに注目せず、IT技術の活用までのプロセ スに注目してください。

将来関東で大きな地震が発生することは、すでに皆さんが理解していること だと思います。皆さんは準備をしているでしょうか?準備をしていないことは いざという時にはできません。今日の講演をヒントに、何か自分たちでできる 準備を見つけてほしいと思います。

Ⅱ ITを活用した災害に強いまちづくり 本大久保ホームタウン自治会自主防災会

副会長 徳野 勤 様

企画部長 川谷 聡 様 による講演

本大久保ホームタウンについて

本大久保ホームタウンは大手ハウスメーカーが開発・販売して誕生した42 0棟余りの一戸建て団地です。昭和55年頃から入居が始まりました。

もともとは低湿地の田畑の埋め立て地で、販売開始後は不等沈下の問題に悩 まされました。自治会が発足したのは平成3年、自主防災組織が発足したのは 平成10年です。当時は災害に対する漠然とした不安があり、消火器訓練、救 急救命訓練等の一般的な断片的活動を実施していました。

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専任制の自主防災組織の発足

自主防災組織の結成から10年後、地域住民自身による自助・共助の具現化 と、より実践的な活動を目指して、自治会役員とは別の専任制自主防災会を組 織しました。

体制を構築するにあたっては、次のことを考慮しました。 ・専任の防災委員:日常的に活動するコアメンバーです ・協力委員:緊急時に出動、女性が70%です。

・4つの地域ブロック制を導入:自治会役員、班長を含めた統制が可能です。

防災センターの設置

活動の拠点として、自治会内で最も強固な基礎構造を持つ自治会館内に防災 センターを設置しました。防災センターには、発電機、情報機器、予備照明等 を整備しました。防災センターが果たす役割は主に次の5つです。

①全体の指揮、情報収集と発信 ②ブロックの支援

③市の地区対策支部窓口 ④避難所設営・運営対応 ⑤要配慮者対応⇒医療救護所対応

また、自治会内のことを細か く把握するため、地域を4つの ブロックに分けて、それぞれに ブロック長を設けています。各 ブロックで集まった情報は防災 センターに集約されます。

防災センターは緊急時に開設 されるものですが、緊急時とは、 震度5強以上の地震が発生した とき・時間当たり50mm以上の 雨量があったとき・防災会会長 が開設の必要があると判断した 時に開設されます。

(5)

ITの活用

防災センター、4つの地域ブロック、防災委員を正確・迅速につなぐため、IT を活用しています。

具体的には、まず防災委員間の緊急メーリングリストを整備しました。災害 時には防災会会長が緊急招集メールを発信するとともに、防災委員の配置状況 確認と情報交換を行います。また、簡易無線機(トランシーバー)を6台(地 域ブロック4台、防災センター1台、スクーター担当1台)導入し、携帯電話 が不通になっても通信手段を確保しています。

これらによって、被災状況の早期把握と早期支援の指示ができる体制を構築 しています。

◎「防災ネット」の設置

自主防災会では、住民向けに「防災ネット」を設置しました。防災ネットに は、3つの機能があります。

①緊急防災情報…………防災センターに集まった災害情報を取捨選択し、防災 ネット内の掲示板に書き込みます。住民は書き込まれ た情報を閲覧し、近所で何が起こり、どう行動すべき か知ることができます。

②災害用伝言板の入り口……各携帯電話会社が災害時に設置する「災害用伝言 板」へのリンクをつく り、防災ネットからも アク セスできるようにします。

③助けて!メール……住民から防災センターへ助けを求める緊急メールを機能 させます。

◎ITの啓発と訓練

防災の仕組みを作っただけでは、不十分です。自治会 員が IT を使いこなせるようになって初めて機能します。 そこで、当自主防災会では、ITの啓発と訓練を行ってい ます。

防災委員向けには、月次定例自主防災会時に、簡易無 線機を使用し、防災センターとブロック担当が交信訓練を 行います。また、防災訓練時には、緊急メーリングリスト で防災委員の招集・交信を行います。

自治会員向けには、毎年防災 IT 講習会を実施していま す。各自の携帯電話・スマートフォンを持参し、「防災ネ ット」の使い方や安否確認の具体的な方法を学習します。

簡易無線機で情報を交信

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その他の取組み

・専任防災委員(33名)をコア人材に

⇒外部講習会への参加、外部視察、災害図上演習などを実施し、専門的な 知識を身に着けます。

・協力委員(42名)の現場対応力強化

⇒協力委員は普段の活動が難しいが、緊急時に協力してくれる人材です。 女性が多いので救援・救護訓練、備蓄食品利用訓練などを実施します。 ・全戸に「安否確認プレート」を配布

⇒災害時に安全確認できた住戸はこれを門扉に掲示します。 ⇒ブロック担当の指示で班長等が全戸を確認し、簡易無線機

で情報を防災センターに提供します。短時間で情報収集が できます。

緊急時の対応

左の 図は 、講習 会 等で説 明及 び自治 会内に全戸配布しているものです。

地震 発生 が発生 し たら、 各自 まず身 を守る こと が重要 で す。そ の後 、初期 消火や 近所 への声 掛 け、安 否確 認プレ ートの掲示を行います。

自主 防災 会とし て は、地 震発 生後に 自主防 災会 を緊急 招 集し、 防災 センタ ーを立 ち上 げます 。 さらに 、各 ブロッ クから の情 報を収 集 整理し 、情 報提供 や避難所設営の協力も行います。

東日 本大 震災の 時 には、 図の ような 流れで 活動 しまし た 。簡易 無線 機が活 躍するなど うまく 活動 ができまし たが、 課題も あり ました 。 メール の返 信がな い防災 委員 がいた こ と、被 害が 軽微だ ったた めか 「防災 ネ ット」 の掲 示板に 書き込 みが なく地 区 の様子 が分 からな かった こと 、災害 用 伝言板 の利 用が低 かった こと です。 メ ールの 強制 読込み 操作や被害が軽微でも書込むことが教訓となりました。

(7)

火災対策

火災対策も継続して取組んでいます。まずは、自助が重要であるということ で、家庭での備えとして、①消火器設置の呼びかけ、②火災報知器設置の促進 を行っています。①・②については、自治会で共同購入しています。さらに、 ③基本動作の啓発(火災発生後の基本動作の徹底と通電火災防止の啓発)をし ています。これは習志野市総合防災訓練において実践しています。

自主防災会による火災対策の取組みとしては、 ①ゴミ集積所に消火器を設置、②今年度よりスタ ンドパイプを導入しました。これは、排水栓につ ないで消火活動を行うものです。地域防災カルテ によると、この地区は延焼率の高い地区なので、 火災対策に力を入れています。

集中豪雨(内水氾濫)対策

火災対策とともに、集中豪雨対策にも取組んでい ます。この地域は周囲の土地より低地で、南北に1 0mの高低差があります。

自主防災会ができることは限られますが、住民の 意識の啓発として13箇所のゴミ集積所に海抜を表 示しています。また、基本動作の周知として、想定

内雨量予測時は家に留まること(必需品と2階へ)、想定を超える予測時は情報 周知徹底と避難を行うことを啓発しています。

防災委員の装備・携行資料

・防災委員の装備は次のとおりです。

①携帯電話またはスマートフォン(自前) ②簡易無線機(貸与)

⇒携行者は会長、ブロック担当、スクーター担当

③ヘルメット、訓練帽子、ベスト(貸与) ・防災委員が持ち歩く資料は次のとおりです。

①防災委員・協力委員名簿

②自治会マップ(全所帯主名、役員・班長明記) ③被害状況集計表(所帯主名、安否確認プレート

確認欄、被災状況欄等)

④緊急連絡先電話番号表(行政・医療機関・学校他)

⑤緊急水源マップ(消火栓、消火用貯水槽、使用可能排水栓位置)

スタンドパイプ

浸水予測図

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自主防災組織による備蓄

本大久保ホームタウンは420世帯あり、全ての世帯分の備蓄をすることは 不可能です。世帯では準備しづらいものを自主防災会として備蓄します。 <場所別備蓄内容>

防災センター

(コミュニティハウス内)

懐中電灯、予備電池、紙食器、炊飯袋

第1防災倉庫

(コミュニティハウス敷地内)

発電機と燃料、緊急用照明、炊き出し用機材、担架、作業用

資機材、車椅子、リヤカー、テント、救急セット、石油スト

ーブと燃料、簡易トイレとテント、食料品、飲料水等

第2防災倉庫

(本大久保保育所南緑道脇)

担架、作業用資機材、リヤカー、車椅子、簡易トイレ、救急

セット、食料品、飲料水等、スタンドパイプセット一式

食料・飲料水については、家庭での 1 週間分の蓄えを基本としています。緊 急用として、全住民の2割(約240人)の2日分を備蓄(煮炊き用も含め) します。

年間活動計画(防災リーダー育成と住民啓発)

自主防災会は年間を通して多岐に渡る活動を実施していますが、ここでは全 住民向けの活動を紹介します。

◎啓発と訓練(自主防災会活動の柱)

啓発・訓練 主な内容 本年度の目標

防災講習会

年1回

・各家庭での備えの徹底(自助)

・所属班とブロック体制の徹底(共助)

・災害別防災対策と対応基本動作

・火災対策

・集中豪雨(浸水)対策

防災IT講習会

年1回

・災害に強いITの活用啓発

・「防災ネット」の解説と普及

・自主防災会HP整備

・使い易い「防災ネット」

防災訓練

年1回

・初期消火、救出・搬送、応急手当、

心肺蘇生など

・市総合訓練に合わせて平

素の訓練を実践

自主防災便り

年1回発行

・家庭での備え(毎年基本を反復)

・本年度の目標に関する特集

・自助が基本を徹底

・各家庭の訪問検討

⇒備蓄品・数量の状況

支援の希望等

特別啓発 ・海抜表示板設置(ゴミ集積所13ヶ所)

(9)

習志野市総合防災訓練 市内全域一斉

左 の 図 は 市 の 総 合防 災 訓 練 に 合 わ せ て 、 独 自の 防 災 訓 練 を 実 施 し た 時 の流 れ で す 。 市 の 訓 練 実 施 スケ ジ ュ ー ル に 合 わ せ て 、 自主 防 災 会の動きを実践しました。

避 難 所 運 営 訓 練 では 、 他 の 自 治 会 と 合 同 で 訓練 を 行 い ま し た 。 ま た 、 土の う 作 り で は 、 自 衛 隊 の 指導 を 得 て訓練を行いました。

ブロック別集合場所へ

避難所で受付

習志野市地区対策支部 防災センター内

土のう作り訓練 避難所の様子

避難所へ避難 避難所運営委員会

給食訓練

資機材使用訓練

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これまでの工夫・苦労

自主防災会は退職者が中心で高齢者が多い状況です。簡易無線機や携帯電話 の緊急メーリングリスト等のなじみの薄いものを活用するために、使いこなせ るまで繰り返し訓練を行いました。また、活動を続けていく中で、徐々にスマ ートフォンの所有率も高くなりました。スマートフォンは Wi-Fi を使用できる という強みがあるので、現在もスマートフォンの所有を推奨しています。

また、防災啓発資料の配布、回覧板の反復実施、防災講習会、防災訓練など 全自治会員に対して様々な角度から数多くの取組みを実施し、防災意識の啓発 に努めました。

活動の中で、協力委員制度が構築できたことは良かったと思います。普段の 活動は難しいけれども手伝いたいという人はたくさんいます。そのような人た ちを協力委員として取り込めたことは大きな成果です。

IT活用の成果と課題

ITを活用しなくても自主防災活動は可能です。しかし、ITを活用すると情報

の収集・伝達のスピードと精度が飛躍的に高まります。実際に、東日本大震災 の時も短時間で正確に自治会内の情報を収集することができました。また、IT を活用することで、情報の優先度の判断を容易に行うことができました。住民 の防災意識も高まり、防災訓練では、8割の方が安否確認プレートを掲げてく れました。ITがあることによって組織が動き出したと言えるでしょう。

しかし、課題もあります。例えば、専任防災委員へのIT活用は浸透し始めま したが、一般の自治会員は知識レベルで留まっている方が多いようです。引き 続き啓蒙活動をしなければなりません。また、携帯電話の電波の利用ができて こそ活動できる部分があります。今後は Wi-Fi を活用した防災センター周辺の 通信の確保が必要だと思います。さらに、音声報告だけでは被災状況の把握に 限界があることも事実です。写真・動画の送受信システム導入を検討している ところです。

受賞「ITを活用した実践的自主防災活動」

本大久保ホームタウン自主防災会の活動に対して、 第18回防災まちづくり大賞総務大臣賞、平成25年 度千葉県地域防災力向上知事表彰、平成26年防災功 労者内閣総理大臣表彰、習志野市制施行60周年記念

市制功労者表彰を受賞しました。総務大臣賞を受賞できた背景には、これだけ

ITが普及した日本で、ITで人を救えていないという現実があるからだと思いま

(11)

まとめ

IT の活用によって、情報の収集・伝達のスピードと精度が飛躍的に高まり、

情報の集約と指示を効果的に行えるようになりました。しかし、ITは手段です。 これを活用するためには、組織・体制の構築と実践的な訓練、啓発・普及活動 を通じて、防災委員をはじめとした全住民の意識向上が欠かせません。

訓練以上のことは本番ではできません。今後も工夫を重ね、安心して暮らせ る街づくりを目指したいです。

質疑応答

質問:自主防災会の運営費用は?

回答:自主防災会の活動は自治会活動の一部であり、 その運営経費は自治会の予算で賄われています。当 自治会は、構成する 420 世帯から得る 1 世帯年間

4800円の自治会費約200万円を原資として活動しています。このうちの半分

は、自治会館の運営経費に充てられており、残りの半分の約100万円が自治 会活動の年間予算となっています。自治会予算で自主防災会に割り当てられ ている額は、これの4分の1の25万円であり、これと市からの補助金5万円 の計30万円が自主防災会の年間予算となっています。

質問:ITを活用する時の個人情報の取扱いは?

回答:ITの運用システム(サーバー)には防災委員のメールアドレスしか預か っていませんので、一般的には個人と結びつきません。

質問:自主防災組織と自治会とで、何かうまくいかないことはあるか?

回答:自主防災会は、自治会の中の組織として作られており、また、自主防災 会の会長は、自治会の役員でもあります。自主防災会を構成する防災委員に は、自治会長経験者も含まれています。このように自治会と自主防災会は一 心同体であり、自主防災会と自治会が対立するようなことはありません。

質問:自主防災会の基本コンセプトを考えたのは、専門知識を持った人なのか? 回答:自主防災会の基本コンセプトは防災委員会で策定しました。防災委員の 中にITに詳しい人、IT関連会社に勤務している人がおり、これらの人が自 主防災活動に IT を導入することを考えたものであり、コンサル会社等外部 の力は借りていません。

質問:スクーター担当の実際の活動内容は?

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講演内容

Ⅲ 旭市東日本大震災後の復興状況について

旭市総務課 主査 江戸 義尚 様

◎東日本大震災当日

平成23年3月11日、旭市では震度5強の揺れを観測しました。地震発生 約1時間の午後3時55分頃、第一波の津波が旭市を襲いました。さらに、午 後5時過ぎに潮位が急激に上昇し、午後5時20分頃に最大波と思われる大津 波(高さ7.6m)が旭市を襲いました。これらの津波により、市内の約380ヘ クタールの土地が浸水被害を受けました。避難所には多くの人が避難しました が、断水が続き、余震も収まらず、眠れぬ夜を過ごしました。

◎被害状況

地震により、市内の道路が陥没したほか、ひび割れや瓦の落下などの住宅被 害が発生しました。具体的な数値としては、平成27年8月24日現在で建物全 壊336世帯、大規模半壊434世帯、半壊511世帯、一部損壊2538世帯、床上 浸水677世帯、床下浸水277 世帯となっています。また、市内では液状化の被 害を受けた場所もありました。液状化は埋め立て地で発生するイメージがあり ますが、市内では過去に砂鉄を採掘していた場所で液状化被害が発生したよう です。774世帯が液状化の被害を受けています。

旭市は千葉県内で最も人的被害を受けた場所でもあります。14 名の方がお亡 くなりになり、未だ2名の方が行方不明です。

ライフラインも寸断されました。その間は不自由な生活を強いられることと なりました。震災後、関東地方を中心に計画停電が行われたことを覚えている 方もいると思いますが、旭市は被災地ということを考慮され、計画停電の実施 は1回で済みました。

◎全国からの励まし

(13)

◎復興への取組みと災害への備え

震災からの復興をするためには、大量の瓦礫の処理が課題のひとつでした。 瓦礫の量は市内の一年間のゴミ排出量の約4.6倍でしたが、まずは道路を中心に 片付けを始めました。

津波対策にも力を入れています。海岸の防潮堤は 4.5m から6.00mにかさ上げし、コンクリートの防潮堤の上に土 を盛り、植栽を整備しています。津波避難ビルは現在9カ 所指定しています。鉄筋コンクリづくりの高いビルで、小 中学校、かんぽの宿等を指定しています。さらに、津波避

難タワー(高さ8~10m)を市内4カ所に整備しました。被

災地では初めての整備でした。普段は鍵がかかっています

が、いざという時は扉を壊して進入することができる仕組みです。なお、タワ ーはあくまでも避難が遅れた人のための施設であり、定員100名です。(構造 的には400名まで耐えられる)タワーに全住民が避難することは想定してい ません。

災害時の情報伝達にも力を入れています。従来の防災無線スピーカーを活用 するほか、全世帯に戸別の受信機を配布しています。防災無線とは別に、高性 能スピーカーも整備しました。さらに、海岸沿いにはデジタルサイネージ(電 光掲示板など)も整備しました。その他、緊急速報メール(エリアメール)の 活用、スマホ用防災アプリの活用、津波警報等と小学校の校内放送との連動(津 波警報が流れると同時に同じ内容が校内放送でも流れる)など、様々な取組み を実施しています。

旭市は、復興への歩みを一歩一歩進めています。

質疑応答

質問:小学校の校内放送と津波警報等が連動しているようだが、福祉施設でも 同じような仕組みはあるのか?

回答:老人ホーム等の福祉施設では、戸別受信機を活用して、リアルタイムで 警報等を知ることができる。学校では、今までの場合は警報を受けてから、 その情報を校内放送で周知しており、タイムラグがあった。

質問:震災で発生した瓦礫は、旭市だけで処理できたのか?

参照

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