産業連関表の粗付加価値と単位構造分析
藤岡 明房
【要旨】
本論文は,産業連関表の粗付加価値部門に単位構造分析を適用するための条件 を明らかにすることを目的としている.単位構造分析では,ある特定の産業の最 終需要だけが与えられ,それ以外の産業の最終需要はゼロになるという条件の時,
中間需要の連関構造がどのようになっているのかを明らかにするものである.し かし,これまで,粗付加価値部門については,単位構造分析はほとんど適用され てこなかった. これは, 単位構造分析の一般化がなされていなかったためである.
しかしながら,藤岡 [ 10 ] において単位構造分析の一般化がなされている.その 結果,これまで単位構造分析が適用されてこなかった分野へも,適用を図ること が可能になった.そこで,単位構造分析を粗付加価値部門に適用することによっ て,各産業ごとに粗付加価値を求めることが可能になる.これにより,産業連関 表を各部門ごとの産業連関表に分割し,個別の産業連関表に基づいて,その産業 の特徴を明らかにすることができるようになる.
このように単位構造分析を粗付加価値部門に適用することによって, 1 つの産 業連関表を産業ごとの新しい産業連関表に分割できることを,数値例に基づいて 確認することにする.数値例では, 3 部門の産業連関表を取り上げたが,単位構 造分析を適用することによって, 3 つの産業連関表を作成することができた.し たがって,今後,産業ごとの新しい産業連関表を作成し,それによって各産業の 特徴や,他の産業との連結状況を明らかにすることが期待できることになる.
【キーワード】 産業連関表,単位構造分析,粗付加価値,産業連関表の分割
1. はじめに
産業連関表において,ある産業の最終需要を 1 単位だけ与え,それ以外の産業 の最終需要はゼロとする場合,その産業の中間取引構造を明らかにすることがで きる.これが単位構造分析である.単位構造分析は,慶応義塾大学の尾崎巌教授 によってはじめられ,その後も研究が行われてきた
1.しかし,特定産業への単位 構造分析の適用は行われていたが,一般化はなされていなかった.そのため,単 位構造分析の利用方法についての理解が限定されてしまった.しかし,単位構造 分析は,本来,もっと利用されても良いはずの優れた分析方法である.単位構造 分析の利用は広がらなかった理由は,単位構造分析の一般化が行われてこなかっ たからである.そこで,拙稿 [ 10 ] では,単位構造分析をある特定産業だけに限 定するのではなく,すべての産業についての単位構造分析へと一般化した.これ により, 単位構造分析の利用方法についての見通しが立てやすくなった.さらに,
拙稿 [ 11 ] では,単位構造分析によってある産業の最終需要を 1 単位生産するた めの産業間の連鎖構造を図で示すことを試みた.しかし,これまでは,単位構造 分析を適用した場合の粗付加価値についての検討はほとんどなされてこなかった
2. そこで,本論文では単位構造分析を用いる場合の粗付加価値の扱いについて検討 してみることにする.
1 尾崎は,単位構造分析あるいはユニット・ストラクチュアという言葉を用いている.そ の代表が尾崎
[ 3 ],[ 7 ]
である.特に,[3 ]
では,「まとめ」の個所でユニット・スト ラクチュアについて詳しく説明を行っている.2 尾崎
[ 3 ]
において,粗付加価値額を計算している.その方法は,本論文の( 22 )
式の適 用である.尾崎は論文の中で,ある産業の粗付加価値の求め方を説明し,その適用を表1
の第1
財の生産の基本構造系(ユニットシステム)
の中で示している.しかしながら,尾崎が示したのは,ある特定産業への単位構造分析の適用方法であった.そのため,得 られた結果の解釈が限定されることになった.
また,横倉
[ 12 ]
は,尾崎[ 3 ]
を引用し,単位構造分析の利用の方法について説明し ている.しかし,横倉の説明は尾崎の説明を超えるものにはなっていない.しかも,説 明は分かりにくくなっていることに注意する必要がある.以下, 2 章では産業連関分析の基礎理論について確認する. 3 章で,単位構造 分析について説明し, 単位構造分析における粗付加価値の扱いについて検討する.
4 章では, 3 部門の産業連関表の数値例に基づいて.粗付加価値について具体的 な計算を行う.その後,この産業連関表を, 3 つの部門ごとの産業連関表に分割 する.これにより,単位構造分析を産業連関表に適用すれば,産業ごとの新しい 産業連関表を作成することが可能であることを示したことになる.
2. 産業連関分析の基礎
2‒1. 物量表示の産業連関表
ある国あるいはある地域の経済が n 部門から構成されており,各部門 i ( i = 1, 2, … , n ) が単一の財である第 i 財を生産しているものとする.ある一定期間に各 部門間で行われた財の取り引きをまとめたものが,「産業連関表」(あるいは「投 入産出表」) である.
産業連関表には,「物量表示」の産業連関表と「金額表示」の産業連関表があ る.経済統計で発表されている産業連関表は金額表示の産業連関表が主である.
しかし,第 i 財の物量だけでなく,価格の役割についても検討する場合は,物量 表示の産業連関表の方が適切である.産業連関分析を発見したワシリー・レオン テェフ ( Wassily W. Leontief ) は,物量表示の産業連関表から議論を始めてい る
3.そこで,初めに物量表示の産業連関表について確認しておく
4.
第 i 部門から第 j 部門に販売された量を x
ij,第 i 部門から最終需要部門に販売 された量を f
iとすると,第 i 部門の総産出量 x
iは,中間需要に最終需要を合計し たものになる.ここで用いられる各財の量は,各財の単位で表示される.例えば,
鉄鉱製品はトン ( t ),電力はキロワット ( kW ),工業製品 (台) などである.した
3 ワシリー・レオンテェフの議論は,
Leontief. W. W. [ 13 ],[ 14 ]
を参照.また,新飯 田[ 9 ]
の第2
章でもレオンテェフ行列をはじめ産業連関表の基本理論について説明さ れている.4 物量表示の産業連関表については新飯田
[ 9 ]
の第2
章を参照.また,Miller, R. E. And
P. D. Blair [ 15 ]
の第2
章も参照.がって,第 i 部門の需給均衡条件は次のようになる.
x
i= x
i1+ x
i2+…+ x
ij+…+ x
in+ f
i( 1 )
( i = 1, 2, … , n )
物量表示の投入係数 a
*ij= x
ij/ x
jを導入すると, ( x
i1/ x
1, x
i2/ x
2, … , x
ij/ x
j, … , x
in/ x
n) は,( a
*i1, a
*i2, … , a
*ij, … , a
*in) と表せるので,( 1 ) 式は,
x
i= a
*i1・ x
1+ a
*i2・ x
2+…+ a
*ijx
j+…+ a
*in・x
n+ f
i( 2 )
( i = 1, 2, … , n )
となる.( 2 ) 式を行列表示に変更すると,
となる.( 3 ) 式は, 総生産量=中間需要+最終需要 という関係式である.
( 3 ) 式の左辺は x
iを第 i 成分とする n 次元列ベクトルであり,太字の x と表記 することにする (以下,同様). ( 3 ) 式の右辺の第 1 項は, a
*ijを ( i, j ) 成分とする n 次正方行列 A
*に, x
iを第 i 成分とする n 次元列ベクトル x をかけたものであ る.第 2 項は f
iを第 i 成分とする n 次元列ベクトル f である.
x
1a
11*a
12*… a
*1j… a
1n*x
1f
1x
2a
21*a
22*… a
*2j… a
2n*x
2f
2… = … … … … …
+ … x
ia
i1*
a
i2*
… a
ij*
… a
in*
x
if
i… … … … … … …
x
na
*n1a
*n2… a
*nj… a
*nnx
nf
nここで, n 次正方行列 A
*は,投入産出行列,またはレオンテェフ ( Leontief ) 行列という.したがって,( 3 ) 式は,
x = A
*x + f ( 4 )
となる.
( 4 ) 式の右辺の第 1 項を左辺に移項すると,
x – A
*x = f ( 5 )
となる. I を単位行列とすると,
( I – A
*) x = f ( 6 )
となる.この連立 1 次方程式は,レオンテェフの基本方程式と呼ばれる.
( 6 ) 式の両辺の前に ( I – A
*)
–1をかけると,
x =( I – A
*)
–1・ f ( 7 )
x
1a
11*
a
12*
… a
1j*
… a
1n*
f
1x
2a
21*a
22*… a
2j*… a
2n*f
2x = …
A
*= … … … …
f = … x
ia
*i1a
*i2… a
*ij… a
*inf
i… … … … … …
x
na
n1*a
n2*… a
nj*… a
nn*f
nとなる
5.この式は,物量表示の最終需要量と生産量の関係式である.
2‒2. 金額表示の産業連関表
次に,金額表示による産業連関表を見てみる.価格単位を, 「円」あるいは「ド ル」などを用いることにする.価格単位はすべて正であるとする.
第 i 部門から第 j 部門に販売された取引量が x
ijのとき,第 i 財の価格を p (
ii = 1, 2, … , n ) とする.この販売された取引額 X
ijは p
ix
ijのことである.第 i 部門の 最終需要 F
iは p
if
iを意味する.したがって,総生産額 X (=
ip
ix
i) は,金額表示の pixi のことである.総生産額は,中間財需要と最終需要を合計した額に等しくな る.
X
i= X
i1+ X
i2+…+ X
ij+…+ X
in+ F
i( 8 )
( i = 1, 2, … , n )
となる.
この式を変形すると,次のようになる.
X
i=( X
i1/X
1) X
1+( X
i2/X
2) X
2+…+( X
ij/X
j) X
j+…+( X
in/X
n) X
n+ F
i( 9 )
( i, j = 1, 2, … , n )
ここで,金額表示の投入係数 a
ijを導入する
6.
a
ij= X
ij/ X
j( i, j = 1, 2, … , n )
この投入係数は, j 産業部門が 1 単位の生産物を生産するために必要とされる i 部
5
I–A
の逆行列が存在するためには,I–A
の各列が互いに一次独立であることが必要であ る.しかし,単純化のため,ここでは逆行列が存在するものと仮定する.新飯田[ 9 ],
68
ページ参照.6 金額表示の投入係数と,物量表示の投入係数の関係を確認しておく.
門からの投入額を示す係数である.金額表示の投入係数を用いると,( 9 ) 式は次 のようになる.
X
i= a
i1X
i+ a
i2X
i+…+ a
ijX
i+…+ a
inX
i+ F
i( 10 )
( i = 1, 2, … , n )
となる.この ( 10 ) 式を行列形式で表示すると,
a
ij= X
j= =
X
ijp
jx
jp
ix
ija
*ijp
j= p
i⎛⎜
⎝
⎛ ⎜
⎝
p
jp
i⎛⎜
⎝
⎛ ⎜
x
j ⎝x
ij⎛⎜
⎝
⎛ ⎜
⎝
この係数を行列表示にすると,
となる.したがって,
⎛
⎜
⎝
⎞
⎜
A = p ˆ A
*/ 1 ˆ p⎠
となる.この式は,行列
A
と行列A
*とが,「相似」関係にあることを示している.な
お,「相似」については津野[ 8 ]
の123
ページを参照.a
11a
12… a
1na
21a
22… a
2n… … … … = a
n1a
n2… a
nnp
1a
*11p
1a
*12… p
1a
1np
1p
2p
np
2a
*21p
1p
2a
*22p
2a
2np
2p
n=
… … … … p
na
*n1… p
na
*nnp
1p
np
10 … 0 0 p
2… 0
… … … … 0 0 … p
na
*11a
*12… a
*1na
*21a
*22… a
*2n… … … … a
*n1a
*n2… a
*nn1 0 … 0 p
10 1
… 0 p
2… … … …
0 0 … 1
p
n( 11 )
となる.したがって,
X = AX + F ( 12 )
である.
ここで,
である.
( 12 ) 式から,
X =( I – A )
–1F ( 13 )
という式が得られる.この式は,生産額と最終需要額の関係を表す式である.
また,第 j 財については,数量表示の生産関数を想定すると,
X
1a
11a
12… a
1i… a
1nX
1F
1X
2a
21a
22… a
2j… a
2nX
2F
2… = … … … … …
+ … X
ia
i1a
i2… a
ij… a
inX
iF
i… … … … … … … X
na
n1a
n2… a
nj… a
nnX
nF
nx
1a
11a
12… a
1j… a
1nF
1x
2a
21a
22… a
2j… a
2nF
2X = …
A = … … … …
F = … x
ia
i1a
i2… a
ij… a
inF
i… … … … … …
x
na
n1a
n2… a
nj… a
nnF
nx
j= x (
jx
1j, x
2j, … , x
ij, … , x
nj; L, K ) ( 14 )
( j = 1, 2, … , n )
となる.ここで, x
1j, x
2j, … , x
ij, … , x
njは,数量表示の中間財の投入であり, L , K は労働と資本の投入である.そのため,中間財への支払額は,中間財 i の価格 を p
iとすると, p
1x
1j+ p
2x
2j+…+ p
ix
ij+…+ p
nx
njである.労働と資本に対する支 払は賃金と利子であるが,これらの支払い額は粗付加価値 V
jの中に含まれるた め,労働や資本への支払額は単純化のため粗付加価値 V
jで表すことにする.粗付 加価値 V
jは,企業の収入 p
jx
jから中間財への支払額 (=費用) を引いた粗利潤 π
jに等しくなる.
π
j= p
jx
j– ( p
1x
1j+ p
2x
2j+…+ p
ix
ij+…+ p
nx
nj)
= V
j( 15 )
( j = 1, 2, … , n )
したがって,生産額は中間財への支払額に粗付加価値額を加えたものになる.
p
jx
j= p
1x
1j+ p
2x
2j+…+ p
ix
ij+…+ p
nx
nj+ V
j( 16 )
( j = 1, 2, … , n )
この生産額は,金額表示では,次のようになる.
X
j= X
1j+ X
2j+…+ X
ij+…+ X
nj+ V
j( 17 )
( j = 1, 2, … , n )
この式を変形すると,次のようになる.
X
j=( X
1j/ X
1) X
1+( X
2j/ X
2) X
2+…+( X
ij/ X
j) X
j+…+( X
nj/ X
n) X
n+ v
jX
j( 18 )
( j = 1, 2, … , n )
ここで, v
jは, j 財の粗付加価値額を生産額 X
jで割った値であり,粗付加価値率 と呼ぶことにする.
v
j= V
j/ X
jしたがって,金額表示の投入係数 a
ij= X
ij/ X
jを利用すると,
X
j= a
1jX
1+ a
2jX
2+…+ a
ijX
j+…+ a
njX
n+ v
j・ X
j( 19 )
( j = 1, 2, … , n )
となる.
この式を行列形式で表示すると,
( 20 )
となる.
この行列形式の式は,次のように置き換えられる.
X = A
t・ X + V ( 21 )
ここで, A
tは A の転置行列である.この式から,
X
1a
11a
21… a
1j… a
n1X
1V
1X
2a
12a
22… a
i2… a
n2X
2V
2… = … … … … …
+ … X
ja
1ja
2j… a
ij… a
njX
jV
j… … … … … … …
X
na
1na
2n… a
in… a
nnX
nV
nV =( I – A
t)・ X ( 22 )
という式が得られる.この式は,生産額 X から中間投入額 A
tX を引いたものが 粗付加価値額 V に等しいことを示している.
また,粗付加価値額を求めには別の方法もある.それは, ( 19 ) 式を用いる方法 である. V
jは, v
j= V
j/ X
jであるから.粗付加価値率を対角要素とする対角行列 を用いると,
V = v ˆ・ X ( 23 )
となる.
行列表示では,
( 24 )
である.したがって,( 22 ) 式と ( 23 ) 式から,
I – A
t= v ˆ ( 25 )
となる.このことから,粗付加価値額の列ベクトルを求めるためには, ( 22 ) 式を 用いても ( 23 ) 式を用いても良いことになる.通常,( 23 ) 式の方が計算が単純な ので,本論では,( 23 ) 式を用いることにする.
V
1v
10 … 0 … 0 X
1V
20 v
2… 0 … 0 X
2… = … … … … … V
j0 0 … v
j… 0 X
j… … … … … …
V
n0 0 … 0 … v
nX
n3. 単位構造分析と粗付加価値
3.1 単位構造分析
7産業連関表の粗付加価値に単位構造分析を適用するために,閉鎖経済型の金額 表示の産業連関表を用いることにする.
はじめに,総生産額=中間需要額+最終需要額という式を定義する.これは,
前述の ( 12 ) 式に対応する.
X = A ・ X + F ( 12 )
この ( 12 ) 式から,
X =( I – A )
–1・ F ( 13 )
という式が得られる.
この式の右辺の逆行列を行列表示すると,
( 26 )
となる.したがって,( 13 ) 式は,
b
11b
12… b
1j… b
1nb
21b
22… b
2i… b
2nB = … … … … b
i1b
i2… b
ij… b
in… … … … b
n1b
n2… b
nj… b
nn7 単位構造分析の一般化については,藤岡
[ 10 ]
の中で示している.X = B ・ F ( 27 )
である.
この ( 27 ) 式を,改めて ( 12 ) 式に代入すると,
X = A ・ B ・ F + F ( 28 )
となる.
( 28 ) 式を行列表示にすると,
( 29 )
となる.この ( 29 ) 式の中の B 行列と F 列ベクトルとをかけると,
X
1a
11a
12… a
1j… a
1nX
2a
21a
22… a
2j… a
2n… = … … … … X
ia
i1a
i2… a
ij… a
in・
… … … … … X
na
n1a
n2… a
nj… a
nnb
11b
12… b
1j… b
1nF
1F
1b
21b
22… b
2i… b
2nF
2F
2… … … … …
+ … b
i1b
i2… b
ij… b
inF
iF
i… … … … … … b
n1b
n2… b
nj… b
nnF
nF
nX
1a
11a
12… a
1j… a
1nX
2a
21a
22… a
2j… a
2n… = … … … … X
ia
i1a
i2… a
ij… a
in・
… … … … … X
na
n1a
n2… a
nj… a
nnb
11F
1+ b
12F
2+ … + b
1jF
j+ … + b
1nF
nb
21F
1+ b
22F
2+ … + b
2iF
j+ … + b
2nF
n…
b
i1F
1+ b
i2F
2+ … + b
ijF
j+ … + b
inF
n…
b
n1F
1+ b
n2F
2+ … + b
njF
j+ … + b
nnF
n…
a
11a
12… a
1j… a
1nb
i1F
ia
21a
22… a
2j… a
2nb
i2F
i+ … … … … … a
i1a
i2… a
ij… a
inb
iiF
i+… +
… … … … … a
n1a
n2… a
nj… a
nnb
niF
ia
11a
12… a
1j… a
1nb
n1F
na
21a
22… a
2j… a
2nb
n2F
n… … … … … a
i1a
i2… a
ij… a
inb
niF
n+
… … … … … a
n1a
n2… a
nj… a
nnb
nnF
na
11a
12… a
1j… a
1nb
11F
1a
21a
22… a
2j… a
2nb
21F
1= … … … …
・ … a
i1a
i2… a
ij… a
inb
i1F
1+
… … … … … a
n1a
n2… a
nj… a
nnb
n1F
1a
11a
12… a
1j… a
1nb
12F
2a
21a
22… a
2j… a
2nb
22F
2… … … … … a
i1a
i2… a
ij… a
inb
i2F
2+
… … … … … a
n1a
n2… a
nj… a
nnb
n2F
2F
1F
2+ … F
i… F
na
11a
12… a
1j… a
1na
21a
22… a
2j… a
2n= … … … … a
i1a
i2… a
ij… a
in… … … … a
n1a
n2… a
nj… a
nnb
110 … 0 … 0 F
10 b
21… 0 … 0 F
1… … … … … 0 0 … b
i1… 0 F
1+
… … … 0 … … … 0 0 … 0 … b
n1F
1F
1F
2… F
i… F
na
11a
12… a
1j… a
1na
21a
22… a
2j… a
2n… … … … a
i1a
i2… a
ij… a
in… … … … a
n1a
n2… a
nj… a
nnb
120 … 0 … 0 F
20 b
22… 0 … 0 F
2… … … … … 0 0 … b
i2… 0 F
2+… +
… … … … …
0 0 … 0 0 b
niF
2( 30 )
となる.
ここで,
である.
したがって,
b
1ib
1i0 … 0 … 0 F
ib
2i0 b
2i… 0 … 0 F
iB
i= …
B ˆ
i= … … … …
F
i= …
b
ii0 0 … b
ii… 0 F
i… … … … … …
b
ni0 0 … 0 … b
niF
ia
11a
12… a
1j… a
1na
21a
22… a
2j… a
2n+ … … … … a
i1a
i2… a
ij… a
in… … … … a
n1a
n2… a
nj… a
nnb
n10 … 0 … 0 F
nF
10 b
n2… 0 … 0 F
nF
2… … … … …
+ … 0 0 … b
ni… 0 F
nF
i… … … … … … 0 0 … 0 … b
nnF
nF
na
11a
12… a
1j… a
1na
21a
22… a
2j… a
2n… … … … a
i1a
i2… a
ij… a
in… … … … a
n1a
n2… a
nj… a
nnb
i10 … 0 … 0 F
i0 b
i2… 0 … 0 F
i… … … … … 0 0 … b
ii… 0 F
i+…
… … … … …
0 0 … 0 … b
niF
iX = AB ˆ
1F
1+ AB ˆ
2F
2+…+ AB ˆ
iF
i+…+ AB ˆ
nF
n+ F ( 31 )
である.
( 31 ) 式において,最終需要 F
i=( F
i, F
i, … , F
i)
tが与えられた時の単位構造係 数 u
iij= a
ijb
ijを用いると,以下のように変形できる.
X
1X
2… = X
i… X
na
11b
11a
12b
21… a
1ib
i1… a
1nb
n1F
1a
21b
11a
22b
21… a
2ib
i1… a
2nb
n1F
1… … … … … … …
a
i1b
11a
i2b
21… a
iib
i1… a
inb
n1F
1+
… … … … … … …
a
n1b
11a
n2b
21… a
nib
i1… a
nnb
n1F
1a
11b
12a
12b
22… a
1ib
i2… a
1nb
n2F
2a
21b
12a
22b
22… a
2ib
i2… a
2nb
n2F
2… … … … … … …
a
i1b
12a
i2b
22… a
iib
i2… a
inb
n2F
2… … … … … … …
a
n1b
12a
n2b
22… a
nib
i2… a
nnb
n2F
2a
11b
1ia
12b
2i… a
1ib
ii… a
1nb
niF
ia
21b
1ia
22b
2i… a
2ib
ii… a
2nb
niF
i+ … … … … … … … a
i1b
1ia
i2b
2i… a
iib
ii… a
inb
niF
i+…+
… … … … … … …
a
n1b
1ia
n2b
2i… a
nib
ii… a
nnb
niF
i( 32 ) a
11b
1na
12b
2n… a
1ib
in… a
1nb
nnF
na
21b
1na
22b
2n… a
2ib
in… a
2nb
nnF
n… … … … … … …
a
i1b
1na
i2b
2n… a
iib
in… a
inb
nnF
n… … … … … … …
a
n1b
1na
n2b
2n… a
nib
in… a
nnb
nnF
nF
1F
2+ … F
i… F
nu
111u
112… u
11i… u
11nF
1u
211u
212… u
21i… u
21nF
2u
121u
122… u
12i… u
12nF
1u
221u
222… u
22i… u
22nF
2= … … … … …
+ … … … … … u
1i1u
1i2… u
1ii… u
1inF
1u
2i1u
2i2… u
2ii… u
2inF
2… … … … … … … … … … u
1n1u
1n2… u
1ni… u
1nnF
1u
2n1u
2n2… u
2ni… u
2nnF
2u
i11u
12i… u
1ii… u
1niF
iu
i21u
22i… u
2ii… u
2niF
i+ …+ … … … … … u
ii1u
ii2… u
iii… u
iinF
i… … … … … u
in1u
in2… u
ini… u
innF
iu
n11u
n12… u
n1i… u
n1nF
nF
1u
121u
122… u
12i… u
12nF
nF
2+ …+ … … … … …
+ … u
ni1u
ni2… u
nii… u
ninF
nF
i… … … … … …
u
nn1u
nn2… u
nni… u
nnnF
nF
nこのように,
X = U
1F
1+ U
2F
2+…+ U
iF
i+…+ U
nF
n+ F ( 33 )
になる.
したがって,( 12 ) 式は ( 13 ) 式のように変形され,( 13 ) 式は ( 28 ) 式を経て,
( 33 ) 式に至った.この ( 33 ) 式が,単位構造分析の一般式である.
3.2 金額表示の粗付加価値額
( 22 ) 式,あるいは ( 23 ) 式は,粗付加価値額を導出する式である.したがって,
( 33 ) 式と結合させると,粗付加価値額と最終需要額との関係が得られる.
V =( I – A
t) X
=( I – A
t) ( U
1F
1+ U
2F
2+…+ U
iF
i+…+ U
nF
n+ F ) ( 34 )
V = v ˆ X ( 35 )
この ( 34 ) 式,あるいは ( 35 ) 式から,ある i 産業の最終需要 F
iが与えられた時の 粗付加価値額の列ベクトルは,次のようにして求めることができる.
V
i=( I – A
t)・( U
iF
i+ F
i) ( 36 ) あるいは,
V
i= v ˆ・( U
iF
i+ F
i) ( 37 ) である.ここで, F
i=( 0, 0, … , F
i, … , 0 ) である.
通常は,( 37 ) 式を用いる方が計算上は容易である.
4. 数値例
閉鎖経済型の産業連関表についての単位構造分析を数値例でみてみる.そこで,
次のような数値例を取り上げることにする.ここで,最終需要は消費需要,投資 需要さらに政府支出需要などから成り立つが,単純化のため統合して示している.
例 1. 閉鎖経済型産業連関表
閉鎖経済型の産業構造を取り上げる.一国あるいは一地域の産業連関表は,表 1 のようになっているものとする.このとき次の関係が成立する.
産業連関表において,一般的には,生産額=中間需要+最終需要という関係が ある.
ここで, x =[ x
1, x
2, x
3]
tは,生産額の列ベクトル, F =[ F
1, F
2, F
3]
tは最終需 要額の列ベクトルである. A は投入係数行列である.
1
次産業2
次産業3
次産業 中間需要計 最終需要額 生産額1
次産業100 500 50 650 250 900
2
次産業300 4000 600 4900 2100 7000
3
次産業80 1000 400 1480 820 2300
中間投入計
480 5500 1050
粗付加価値額420 1500 1250
生産額900 7000 2300
表 1 産業連関表
(数値例)
x
1a
11a
12a
13x
1F
1x
2= a
21a
22a
23x
2+ F
2x
2a
31a
32a
33x
2F
3a
11a
12a
13A = a
21a
22a
23a
31a
32a
33表 1 の場合,投入係数行列は,次のようになる
8.
A = ( 38 )
したがって,( I – A ) の逆行列 ( I – A )
–1= B は,次のようになる.
B = ( 39 )
この行列から, 3 つの単位構造行列 U
1, U
2, U
3を作成する.
U
1= AB
1U
1=
( 39 ) U
2= AB
2U
2=
( 40 ) U
3= AB
3U
3=
( 41 ) 0.111 0.071 0.021
0.333 0.571 0.261 0.089 0.143 0.174
1.226 0.240 0.108 1.155 2.834 0.925 0.332 0.516 1.382
0.111 0.071 0.022 1.226 0 0 0.136086 0.082005 0.007304 0.333 0.571 0.261 0 1.155 0 = 0.408258 0.659505 0.086652 0.089 0.143 0.174 0 0 0.332 0.109114 0.165165 0.057768
0.111 0.071 0.022 0.240 0 0 0.02664 0.201214 0.011352 0.333 0.571 0.261 0 2.834 0 = 0.07992 1.618214 0.134676 0.089 0.143 0.174 0 0 0.516 0.02136 0.405262 0.089784
0.111 0.071 0.022 0.108 0 0 0.011988 0.065675 0.030404 0.333 0.571 0.261 0 0.925 0 = 0.035964 0.528175 0.360702 0.089 0.143 0.174 0 0 1.382 0.009612 0.132275 0.240468
8 数値例の計算結果については,丸めの数字が用いられている.計算では,例えば,小数 点以下
10
桁,あるいはそれ以上の桁数で計算されている.以下,同様である.これらの i 財の単位構造行列 U
iにそれぞれの最終需要額 F
iをかけることによっ て中間需要額を求め,さらに個別の最終需要 F
iを加えることによって,生産額を 求めることができる.
U
1・ F
1=
( 42 )
X
1=
U
2・ F
2=
( 43 )
X
2=
U
3・ U
3=
( 44 )
X
3=
これらの X
1, X
2, X
3に基づいた 3 つの生産額を合計すると,
( 45 )
となる.
0.136 0.083 0.007 250 56.5 0.409 0.660 0.087 250 = 288.9 0.109 0.165 0.058 250 82.9
56.5 250 306.5
288.9 + 0 = 288.9
82.9 0 82.9
0.027 0.202 0.011 2100 504.8 0.080 1.620 0.134 2100 = 2852.2 0.021 0.405 0.090 2100 1083.7
504.8 0 504.8
3852.2 + 2100 = 5952.2
1083.7 0 1083.7
0.012 0.066 0.030 820 88.7 0.036 0.529 0.361 820 = 758.9 0.010 0.132 0.240 820 313.4
88.7 0 88.7
758.9 + 0 = 758.9
313.4 820 1133.4
306.5 504.8 88.7 900
288.9 + 5952.2 + 758.9 = 7000
82.9 1083.7 1133.4 2300
このように,各部門の単位構造行列についての生産額の値を合計すると,各部 門の生産額 ( 900, 7000, 2300 ) と等しくなる.
次に,粗付加価値率を用いて,各部門の単位構造行列についての粗付加価値額 を求めてみる.
3 つの部門の粗付加価値率を対角要素とする対角行列を作成すると,
V = ( 46 )
となる.
3 つの部門の単位構造行列の生産額 X
iを粗付加価値の対角行列にかけてみる.
V
1= ( 47 )
V
2= ( 48 )
V
3= ( 49 )
これら 3 種類の粗付加価値額 V
1+ V
2+ V
3を合計すると,
( 50 )
このように,単位構造分析の手法を用いることによって,特定の産業 i につい ての最終需要 F
iが与えられた時の粗付加価値額 V
iを導出することができた.ま た,特定の産業 i についての単位構造分析により生産額 X
iも 3 つに分けることが できた.したがって,特定の産業 i についての産業間の生産物の取引額を求める
0.467 0 0
0 0.214 0
0 0 0.543
0.467 0 0 306.5 143.0
0 0.214 0 288.9 = 61.8
0 0 0.543 82.9 45.1
0.467 0 0 504.8 235.6
0 0.214 0 5952.2 = 1275.5
0 0 0.543 1083.7 588.9
0.467 0 0 88.7 41.4
0 0.214 0 758.9 = 162.9
0 0 0.543 1133.4 616.0
143.0 235.6 41.4 420
61.9 + 1275.5 + 162.6 = 1500
45.1 588.9 616.0 1250
ことができれば,特定の産業 i についての産業連関表を作成できることになる.
そこで,特定の産業 i についての単位構造分析を適用すると,単位構造行列 U
iを得ることができる.この単位構造行列に,第 i 産業の最終需要 F
i=( F
i, F
i, … , F
i) を対角要素とする対角行列を作成し,その対角行列を単位構造行列にかける ことによって,産業間の取り引き行列を得ることができる.
そこで, 1 次産業の単位構造行列 U
1と 1 次産業の最終需要 F
1から 1 次産業の 単位構造の取り引き行列を作成する
9.
U
1・ F ˆ
1( 51 )
単位構造分析によって中間財の取り引き行列と粗付加価値額,さらに生産額を 得ることができるので,表 2 のような 1 次産業の産業連関表が得られる.
X
11iX
i12… X
1niX
21iX
i22… X
2ni… … … … = X
in1X
in2… X
innu
11iu
i12… u
i1nu
21iu
i22… u
i2n… … … … u
in1u
in2… u
innF
i0 … 0 0 F
i… 0
… … … … … 0 0 … F
i0.136 0.083 0.007 250 0 0 34.1 20.6 1.8 0.409 0.660 0.087 0 250 0 = 102.2 165.1 21.6 0.109 0.165 0.058 0 0 250 27.2 41.3 14.4
9
1
次産業の単位構造 行列U
1は小数点以下3
ケタだけ表示したが,実際の計算ではそ れ以上のケタ数で計算している.中間投入計および中間需要計の数値は正確度は高く なっている.それに対し,取引額X
iijは構度が低くなっている.この表 2 において,最終需要額は 1 次産業に 250 単位だけ生じており,他の産 業の最終需要はゼロとなっている.
また,単位構造行列 U
1は,表 3 のようになる.
となっている.この単位構造行列から,列和と行和を求め,列和を横軸に,行和 を縦軸にとって散布図を描くと図 1 のようになる.
表 3 1 次産業の単位構造行列の投入係数行列
U1 1
次産業2
次産業3
次産業 行和1
次産業0.136 0.083 0.007 0.226
2
次産業0.409 0.66 0.087 1.156
3
次産業0.109 0.165 0.058 0.332
列和
0.654 0.908 0.152
表 2 1 次産業の産業連関表
U1 1
次産業2
次産業3
次産業 中間需要計 最終需要額 生産額1
次産業34.1 20.6 1.8 56.5 250 306.5
2
次産業102.2 165.1 21.6 288.9 0 288.9
3
次産業27.2 41.3 14.4 82.9 0 82.9
中間投入計
163.5 227.0 37.8
粗付加価値額143 61.9 45.1
生産額
306.5 288.9 82.9
図 1 は, 1 次産業にのみ最終需要が与えられているときの 1 次産業, 2 次産業,
3 次産業の関係を表している.
列和は,ある財を生産するための投入財についての関係を表す.行和は,ある 財がどのように販売されるのかを表している.
この国あるいは地域の経済は, 1 次産業の生産物を生産するのに 2 次産業産業 から多く購入し,生産物を 2 次産業に販売している. 1 次産業については, 2 次 産業から多く購入し続いて 1 次産業から購入している. 3 次産業からは相対的に 少ない購入になっている.しかし,販売に関しては 2 次産業に一番多く販売し,
続いて 3 次産業に販売している. 1 次産業への販売は相対的に一番少なくなって いる.
次に, 2 次産業に単位構造分析を適用すると, 2 次産業の産業連関表は表 4 の ようになる.
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4
䠏
䠎
䠍
ิ
⾜
図 1 1 次産業の列和と行和
この表 4 を作成するにあたって, 2 次産業の単位構造行列 U
2と 2 次産業の最 終需要 F
2から 2 次産業の単位構造の取り引き行列を作成する.
U
2・ F
2( 52 )
また,単位構造分析の列和と行和は,表 5 のようになる.
表 5 の列和と行和を用いて横軸に列和,縦軸に行和を取り, 3 つの産業の散布 図を描くと図 2 のようになる.
表 4 2 次産業の産業連関表
U2 1
次産業2
次産業3
次産業 中間需要計 最終需要額 生産額1
次産業56.1 425.1 23.6 504.8 0 504.8
2
次産業168.2 3401.3 282.7 3852.2 2100 5952.2
3
次産業44.9 850.3 188.5 1083.7 0 1083.7
中間投入計
269.2 4676.7 494.8
粗付加価値額235.6 1275.5 588.9
生産額
504.8 5952.2 1083.7
0.027 0.202 0.011 2100 0 0 56.1 425.1 23.6 0.080 1.620 0.134 0 2100 0 = 168.2 3401.3 282.7 0.021 0.405 0.090 0 0 2100 44.9 850.3 188.5
表 5 2 次産業の単位構造分析の係数行列
U2 1
次産業2
次産業3
次産業 行和産業
1 0.027 0.202 0.011 0.24
産業
2 0.08 1.62 0.135 1.835
産業
3 0.0214 0.405 0.09 0.516
列和
0.128 2.227 0.236 2.591
図 2 から, 2 次産業への投入は 2 次産業が一番多く,販売も 2 次産業が一番多 くなっている. 1 次産業と 3 次産業は, 2 次産業に比べて,投入と販売について かなり少なくなっている.
さらに, 3 次産業に単位構造分析を適用すると, 3 次産業の産業連関表が得ら れる.
この表 6 を作成するにあたって, 3 次産業の単位構造行列 U
3と 3 次産業の最 終需要 F
3から 3 次産業の単位構造の取り引き行列を作成する.
0 0.5 1 1.5 2 2.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2
䠍 䠏
䠎
ิ
⾜
図 2 2 次産業の列和と行和表 6 3 次産業の産業連関表
U3 1
次産業2
次産業3
次産業 中間需要計 最終需要額 生産額1
次産業9.9 54.2 24.6 88.7 0 88.7
2
次産業29.5 433.7 295.7 758.9 0 758.9
3
次産業7.9 108.4 197.1 313.4 820 1133.4
中間投入計
47.3 596.3 517.4
粗付加価値額41.4 162.6 616
生産額
88.7 758.9 1133.4
U
3・ F
3( 53 )
単位構造分析の行和と列和は,表 7 のようになる.
表 7 に基づいて,横軸に列和,縦軸に行和を取ると,図 3 のような散布図が描 ける.この散布図に基づくと, 3 次産業への投入は 2 次産業が一番多く,販売も 2 次産業が一番多い. 3 次産業は投入についても,販売についても 2 次産業より も少なくなっている. 1 次産業は, 2 次産業や 3 次産業に比べると,投入でも販 売でもかなり少なくなっている.
0.012 0.066 0.030 820 0 0 9.9 54.2 24.6 0.036 0.529 0.361 0 820 0 = 29.5 433.7 295.7 0.010 0.132 0.240 0 0 820 7.9 108.4 197.1
表 7 3 次産業の単位構造分析の係数行列
U3 1
次産業2
次産業3
次産業 行和産業
1 0.012 0.066 0.03 0.108
産業
2 0.036 0.529 0.361 0.926
産業
3 0.01 0.132 0.24 0.382
列和
0.058 0.727 0.631 1.416
このように,単位構造分析を適用すると,産業連関表で採用された産業の数だ け個別の産業連関表を得ることが可能になる.言い換えれば,これまでは産業の 数だけ産業連関表が存在していたにもかかわらず, 1 つの産業連関表に統合して いたことになる.そのため,産業ごとの特徴を産業連関表から得ることは極めて 困難になっていた.
数値例では, 3 つの産業を取り上げたが,単位構造分析を適用することによっ て,表 2 ,表 4 ,表 6 の 3 つの産業連関表が得られた.これら 3 つの産業連関表 の生産額や粗付加価値額,そして産業間の取引額を合計すると,表 1 の生産額,
粗付加価値額,産業間取引額に等しくなる.したがって,個別の産業連関表は 1 つの産業連関表を 3 つに分割したものといえる.
5. まとめ
産業連関表の粗付加価値に単位構造分析を適用することによって,個別産業ご との粗付加価値額を求めることができた.これにより,これまでに得られていた
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1
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図 3 3 次産業の列和と行和産業ごとの生産額や中間取引の総額に加えて,粗付加価値額も得られたので,産 業ごとの産業連関表を作成することが可能になった.したがって, 1 つの産業連 関表から産業の数だけ新しい産業連関表を分離することができることになる.そ れによって, 1 つの産業連関表では見えにくかった,各産業ごとの特徴をより明 確にすることができるようになった.
今回は,これまで部分的にしか検討されてこなかった,個別の産業連関表にお ける粗付加価値額を導出することができた.これにより,単位構造分析を,個別 産業の粗付加価値だけでなく,労働力や廃棄物,あるいはエネルギーの利用量な どの分野に適用することも可能になった.しかし,そのような応用例についての 単位構造分析の適用については今後の課題としたい.
【参考文献】