• 検索結果がありません。

        共同研究者:矢野俊介

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "        共同研究者:矢野俊介"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

91

厚生科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業) 

分担研究報告書 

 

キアリ奇形1型手術例における術後増悪についての考察と  脊髄空洞症素因遺伝子解析研究の進捗 

 

       分担研究者 矢部一郎 北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野神経内科   

        共同研究者:矢野俊介

1)

、濱内祝嗣

2)

、関  俊隆

2)

、白井慎一

3)

、松島理明

3)

、  岩田育子

3)

、松本直通

4)

、寶金清博

2)

、佐々木秀直

3)

 

       所属:1)札幌麻生脳神経外科病院、2)北海道大学脳神経外科、 

3)北海道大学神経内科、4)横浜市立大学遺伝学   

研究要旨 

脊髄空洞症は 2015 年より指定難病に認定されているが、外科治療が可能な疾患であり、外科治 療後の残存症状の頻度や、継続治療の必要な患者の割合などが把握されておらず、治療後の医療 依存度がよくわかっていない。とくに本症に併発するキアリ1型奇形においては、大孔減圧術後 の小脳扁桃の高さと空洞径の変化が多様であり、一過性の空洞拡大や小脳扁桃下垂も出現するこ とがあり、そのような術後の悪化が起こることは残存症状に直結する。今回さらに検討を加え、

術後増悪を予防する方策について考察する。加えて、本症の病態を解明するために実施中である 素因遺伝子解析研究の進捗について報告した。2007 年から 2016 年の間でキアリ  I  型奇形に対 して大孔部減圧術および硬膜外層切除を行い、1 年以上の画像 follow‑up が可能であった 24 例 を対象とした。素因遺伝子解析については家族内発症例に加えて、発症者と家系内非発症者の5 組(うち2組はトリオ)を対象に解析中した。術後髄液腔狭窄について、統計学的に検討したと ころ、術前において後頭蓋‑C1‑C2 角度(O‑C1‑C2)が 160 度未満の症例や環椎後弓腹側偏位が 4mm 以上のもので術後狭窄をきたしやすい傾向があった。素因遺伝子解析については、家族例に加え て発症者と家系内非発症者の 5 組を対象に解析中であるが、現時点で素因遺伝子は同定できてい ない。 

A.研究目的と背景 

  脊髄空洞症は脊髄内部に脳脊髄液が貯留し  た空洞を形成することで感覚障害や疼痛を呈 する疾患で、キアリ奇形、脊髄損傷、脊髄感 染症、腫瘍などと関連して生じることが多 い。 

主に神経所見と脊髄MRIにて診断がなされ

る。本邦では2008年8月から2009年7月の1年

間における全国疫学調査が実施され、その有

病率は人口10万人あたり1.94人程度であろう

と推定されている。脊髄空洞症の発症素因は

解明されていないが、家族歴症例が報告され

(2)

92

ていること、キアリ奇形などの後頭蓋窩や脊 椎の奇形を合併する症例も多いことから、脊 髄空洞症の発症には何らかの遺伝素因が関与 するものと考えられている。そこでわれわれ は本研究班において家族性脊髄空洞症の疫学 調査を実施し、本邦において家族例は極めて まれながら少数例存在することを報告した。

これらのことは、病態には遺伝要因が関与す ることを推定させるものであるので、素因遺 伝子解析を実施中である。 

  また、本症は2015年より指定難病に認定さ れているが、外科治療が可能な疾患であり、

外科治療後の残存症状の頻度や、継続治療の 必要な患者の割合などが把握されておらず、

治療後の医療依存度がよくわかっていない。

とくにキアリ1型奇形においては、大孔減圧 術後の小脳扁桃の高さと空洞径の変化が多様 であり、一過性の空洞拡大や小脳扁桃下垂も 出現することがあり、そのような術後の悪化 が起こることは残存症状に直結する。今回さ らに検討を加え、術後増悪を予防する方策に ついて考察する。 

B.方法 

2007 年から 2016 年の間でキアリ I 型奇 形に対して大孔部減圧術および硬膜外層 切除を行い、1 年以上の画像 follow‑up が 可能であった 24 例を対象とした。  

素因遺伝子解析については家族発症例(キア リ奇形1型に脊髄空洞を伴う姉妹例とキアリ 1型奇形のみの母)に加えて、発症者と家系内 非発症者の 5 組(うち2組はトリオ)を対象に

解析した。 

  この研究は北海道大学倫理委員会で承認さ れている。 

C.研究結果 

  対象とした患者は 24 名(男性 4 名、女性 20 名)で、手術を受けた時点の年齢は平均 31.8 歳であった。そのうち 19 例で脊髄空洞 を伴っていた。術後の髄液腔狭窄を惹起す る可能性が高い術後の硬膜内層くびれにつ いては、有り群が 14 例、無し群が 10 例で あった。今回の対象中には術後に空洞が拡 大した例は無かったが、空洞径が改善しな かった例は各群それぞれ1例づつ存在し た。有り群では4例で術後に髄液腔狭窄を 認めたが、無し群では認められなかった。

術後髄液腔狭窄について、統計学的に検討 したところ、術前において後頭蓋‑C1‑C2 角 度(O‑C1‑C2)が 160 度未満の症例や環椎後弓 腹側偏位が 4mm 以上のもので術後狭窄をき たしやすい傾向があった(Mann‑Whitney U  test)。この結果から考察すると、術後の空 洞増悪を予防するためには、環椎後弓腹側 偏位が 4mm 以上あり、O‑C1‑C2 が 160 度未満 の症例の場合には、硬膜外層切除よりも全 層切除を選択したほうがより良い可能性を 示している(図)。 

  素因遺伝子解析研究については、家系例

については、表現型は異なるものの母も罹

患者である可能性も考慮し、母を患者とし

た場合としなかった場合の両パターンでフ

ィルタリングを行ったが、明瞭な原因遺伝

子変化は見出されていない。CNV について

(3)

93

は,XHMM (eXome Hidden Markov Model, エ クソーム隠れマルコフモデル) による解析 を行ったが、現時点で明瞭な結果は得られ ていない。既知の神経疾患および代謝性疾 患や骨系統疾患の責任遺伝子を特に候補遺 伝子として注意を払いつつ,SureSelect  Human All Exon v6 (Agilent) でカバーさ れる全ての遺伝子について検討している が、現時点で明瞭な結果は得られていな い。

図. 第一椎体後弓の前方偏位が 4mm 以上あり、後頭蓋―

C1‑C2 角度が 160 度以下の症例の場合には硬膜切除およ び硬膜痙性を考慮したほうが良いかもしれない。 

 

D. 考察 

  今までの結果は、キアリ奇形術後の髄液循 環変化は一様ではなく、慎重な経過観察が必 要であることを示唆している。 

症例を詳細に検討すると、術後早期の空洞 拡大については、不十分な硬膜外層の摘出が 主な原因であり、それに軽度の硬膜外浸出液 による圧迫が加わることが髄液還流障害を引 き起こす可能性が考えられた。術後長期経過 後の空洞拡大については、硬膜を一部残存さ せる本手術法に特有の合併症であると考えら れた。今回の検討により、後者については術後 の空洞増悪を予防するためには、環椎後弓腹 側偏位が 4mm 以上あり、O‑C1‑C2 が 160 度未満

の症例の場合には、硬膜外層切除よりも全層 切除を選択したほうがより良い可能性を示し ている。 

素因遺伝子解析については、現時点で明確 結果は得られていない。素因遺伝子が複数存 在する可能性も十分にあり、トリオを中心と してさらに症例を蓄積した上で、解析を進め る必要がある。 

  E.結論 

1. 第一椎体後弓の前方偏位が 4mm 以上あり、

後頭蓋―C1‑C2 角度が 160 度以下の症例の場 合には硬膜切除および硬膜形成をしたほうが 術後の増悪を予防できる可能性がある。 

 

2.素因遺伝子解析研究は進捗中であり、トリ オを中心とした今後のさらなる症例蓄積が必 要である。 

 

F.健康危険情報    特記事項なし   

G.研究発表  1.論文発表    該当なし  2.学会発表 

1) Yabe I: Identification of a gene 

associated  with  progressive 

supranuclear  palsy.  Newly  emerging 

concepts on PSP and CBD, 60

th

 Annual 

Meeting  of  Japanese  Neurological 

Association, Osaka, Japan, 2019 

(4)

94

 

H.知的財産の出願・登録状況(予定を含む)  1.特許取得;該当なし 

2.実用新案登録;該当なし 

3.その他; 該当なし 

参照

関連したドキュメント

採用基準を満たす 18 名の ALS 患者に、ALS-HELP を指導した(ALS-HELP 実施群)。 ALS-HELP 実施群の基本属性は、年齢 62.8±10.5

現行の UC の重症度分類における検査値の項目に 赤沈値の他に CRP を付け加える改訂を行うことに

(25%) 、C 群 2 名(50%) 、D 群 5 名(45.5%) 、F 群 5 名(83%) 、バリアント型 29 名(76.3%)であっ た。皮膚がんの中では基底細胞癌の発症頻度が最

骨髄バンクと協力して、現在のコーディネートの問題点を検証し、採取認定施設へ個別に確認し

本稿で紹介した例では p16 実行下で 50 GB 程度のメモリを使ったものが多かったが,その他の 事例ではメモリ 500 GB というものもあった.

①OPLL患者の頚髄損傷に関するランダム 化比較試験(OSCIS study)を開始した(H23

Synchrotron Rad., 2010) 、初めてタンパク質の 気液界面吸着過程の時分割測定に成功した (Yano et al., Langmuir, 2009) 。これにより、 これまで 2 次構造が変化しないと報告されて

内部がそれぞれアナログ信号処理用ブロックとデジタル信