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1 アプローチカリキュラム 作 成 のポイント 2 活 動 の 工 夫 アプローチカリキュラムとは 就 学 前 の 幼 児 がスムーズに 小 学 校 の 生 活 や 学 習 に 適 応 できるようにすると ともに 幼 児 期 の 学 びを 小 学 校 教 育 につなげるために 作 成 する 幼 児

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(1)

アプローチカリキュラム

(2)

 アプローチカリキュラムとは、就学前の幼児がスムーズに小学校の生活や学習に適応できるようにすると

ともに、幼児期の学びを小学校教育につなげるために作成する、幼児期の教育終了前(5歳児の10月~3月)

のカリキュラムです。

 小学校のカリキュラムの先取りをするものではなく、就学前までの幼児期にふさわしいものにすることが

大切です。

 アプローチカリキュラムを作成する際「児童期のスタートにおける幼児の姿」を具体的にイメージし、「学

びの芽生えの時期(幼児期)」と「自覚的な学びの時期(児童期)」という発達の段階の違いからくる「遊びの中で

の学び」と「各教科などの授業を通した学習」という「学び方の違い」を理解し「幼児期の教育の特徴」を生かし

たカリキュラムにすることが重要です。

 18・19ページの「幼児期の教育において小学校の学びの基盤となる経験」は、アプローチカリキュラム(20・

21ページに例示)や短期の計画等を作成する際、幼児の実態に応じて、より具体的な活動を設定するための

参考資料としてください。ただし、ここに示した経験すべてを活動に取り入れるということではありません。

 また、「幼児期の教育において小学校の学びの基盤となる経験」を、次に示す6点の配慮や工夫に基づき、

幼児の実態に合わせて経験させることが、幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続につながります。

 小学校教育は、国語や算数、道徳などの各教科・領域中心の授業が組み立てられ、1時間毎にねらいを達

成するための学習活動があります。また、授業の間に休み時間があるという生活です。

 それに対し、幼児期の教育において、子どもの生活の基本的単位は1日です。朝、登園してから降園する

までの生活が充実したものになるように、環境を構成し時間を活動や幼児の興味・関心に応じて配分してい

ます。

 このような、幼児期の教育と小学校教育の違いから生じる子どもの戸惑いに対応するため、活動を行うに

あたって、次の3つの配慮や工夫が大切になります。

(1) 活動への見通しをもつ

 登降園時の活動や当番活動、昼食の準備・片付けなど、一日の生活の流れが分かり、一つ一つ

の活動に見通しと期待をもって取り組めるようにします。

 また、活動の切り替えと同時に、気持ちも切り替えられるよう支援します。

(2) 時間を意識した生活をする

 カレンダーや模型の時計などを活用し、月・日にち・曜日、時間の流れ、数字や文字に対する興

味・関心を高めます。

(3) 協同して遊ぶ

 修了近い時期には、小学校での生活に配慮して、学級の友達やグループの友達と同じ目的や挑

戦的な課題に向かい工夫したり、協力したりする活動を意図的に取り入れるようにします。

アプローチカリキュラム作成のポイント

1 1日の時間の工夫

 幼児期には、保育者や友達と生活する中で、次第に互いの心情や考え方などの特性に気付き、その特性に

応じて友達とかかわり、一緒に活動することを楽しむようになります。また、友達とかかわりながら体を動

かしたり、身の回りの物や材料、用具を遊びに取り入れたり、生活に生かそうとしたり、表現しようとした

りします。

 このことが、新しい環境(小学校生活)での友達と一緒に学習する楽しさや、学習意欲の向上につながります。

 そこで、次の5つの配慮や工夫が大切になります。

(1) 戸外で体を動かす

 運動会などをきっかけに、外で体を動かす気持ちよさや楽しさ、心地よさを味わうことができ

るようにします。併せて、大勢の友達との約束やきまりのある遊びを行い、その楽しさを経験で

きるようにします。

(2) 友達と一緒に遊ぶ

 就学時健康診断を境に小学校就学に向け、自分の思っていることを相手に伝えたり、相手の思っ

ていることに気付いたりしながら、何事にも意欲的に取り組むようになります。そのような経験

を通して、自己を発揮する姿や自己抑制する姿を支援します。

 また、友達と目的を共有し役割を分担して一緒に遊ぶことを通して、充実感や達成感を味わい、

意欲的に生活できるようにします。

(3) 自然の中で心を動かす出来事に触れる

 季節ごとの自然の素材やその性質、自然現象、物の仕組みなどを遊びに生かすことができるよ

うにします。

 「幼児期の姿」(24ページ「水によわいやつ」)に取り上げられているように失敗を通して学ぶ姿

も認めます。

(4) 興味や関心をもったものに取り組む

 友達と一緒に遊ぶ中で、考えたり試したり工夫したりする経験が十分できるようにします。

(5) 自分の思いを表現する

 友達と互いに表現し合いながら、歌や動き、描画、言葉など様々な表現をすることのおもしろ

さを感じることができるようにします。

2 活動の工夫

(3)

 幼児期の教育では、幼児の主体的な活動は「友達とのかかわりを通してより充実し、豊かなものとなる。(幼

稚園教育要領解説p45)」と考えられています。特に5歳児10月頃から人とのかかわりが急速に広がり、その

中で関係が深まり、友達の話を聞いて「自分の課題」として考えることなどができるようになります。

 こうした経験を豊かに重ねていくことが、小学校生活での人間関係づくりの基盤になります。

 このことから、次の3つの配慮や工夫が大切になります。

(1) 友達と共に生活する充実感を味わわせる

 親しい友達と考えを出し合いながら遊びを進め、一緒に心を通わせたりやり遂げたりする経験を

積み、人間関係を深められるようにします。

 さらに、友達と共に生活する中で、互いのよさを分かり合い、信頼関係を十分に築けるようにします。

(2) 幼稚園・保育園と小学校との交流

 就学時健康診断でかかわる高学年の児童や、生活科・総合的な学習の時間で低学年・中学年の児童

と積極的に交流を図り、自分の成長に見通しと期待をもち、小学生に対するあこがれの気持ちが高

まるようにします。

(3) 地域との交流

 行事などを通して、年少児や地域の人々とかかわる機会を設け、いろいろな人に親しみをもてる

ようにします。

 小1プロブレムなど,学校生活への適応を図ることが難しい児童の実態があることを受け,幼児期の教育

と小学校教育との教職員相互の連携や家庭との連携を図り、その課題をアプローチカリキュラムに取り入れ、

成果をスタートカリキュラムに生かしていくことが大切です。

 このことから、次の3つの配慮や工夫が大切になります。

(1)

自分のことは自分でする

 『もうすぐ一年生』や『子育ての目安「3つのめばえ」』を活用し、家庭と連携を図り、子どもの育ち

についての課題や今後の見通し、そのために必要な取組を共有します。

 また、就学前には、基本的な生活習慣を身に付け自分のことは自分でできるように、家庭との連

携をさらに密にし、子どもの育ちを確かめます。

(2)

生活に必要な活動を自分でする

 家庭との連携を図り、「家の仕事を任せる」など自己肯定感を味わわせる経験を積み重ねます。

(3)

保護者や小学校との連携

 保護者会や個人面談などで、保護者に小学校入学までの生活の見通しを伝えます。保護者の不安

に対しては、小学校と連絡を取り合って対応できるよう園の体制を整えます。

3 人間関係についての配慮

4 家庭や小学校との連携

 幼児期は、保育者や友達と共にする集団生活を通して、体験を重ねながら規範意識が形成されていきます。

 その際、幼児が保育者との信頼関係に支えられ、友達とのかかわりの中で、自分の思いが受け入れられな

いことがあったり、折り合いをつけて遊んだりする経験を重ねていくことが大切です。

 この経験が、生活科の「児童が身近な人々、社会及び自然と直接かかわり合う中で、必要な習慣やきまり

を身に付けること」につながります。

 このことから、次の2つの配慮や工夫が大切になります。

(1) 規範意識を高める

 友達と集団で生活する中で、共同で使うものを大切にすることや、順番を守るなど、きまりを守

ると友達と楽しく過ごせる体験を積み重ね、きまりやルールの必要性や大切さなどを感じて身に付

けられるようにします。

(2) 安全に気を付けて行動する

 遠足などで公共の施設を積極的に利用したり、交通ルールを守って歩いたりすることで、公共の

場での行動の仕方などを知らせます。

 幼児期の生活や経験が小学校でのどのような生活や学びにつながっているか、また、乗り越えなければな

らない段差や、解消しなければならない段差は何かなどを、見通すことが大切です。

 その際、幼児期の教育と小学校教育は、それぞれの発達段階を踏まえて教育を充実させることが重要です。

(一方が他方に合わせるものではないことに留意する必要があります。)

 このことから、次の3つの配慮や工夫が大切になります。

(1)

小学校の施設に慣れる

 園外保育の際、連携先の小学校にトイレ休憩に立ち寄ったり、交流の際、積極的に小学校に出か

けたりするなど、主体的に小学校にかかわるようにします。

 また、学校見学や学校体験を通して、小学校の施設や生活の様子を知り、入学への期待と自覚を

もてるようにします。

(2)

「目指す子ども像」を共有する

 幼稚園・保育園と小学校で「目指す子ども像」の共通理解を図ります。特に児童期のスタート時の子ども

の姿の具体的なイメージを共有します。

(3)

幼保小情報交換会を行う

 幼児期における指導の経過をまとめ、小学校へ確実に引き継ぎます。その際、「もうすぐ1年生」

や子育ての目安「3つのめばえ」を小学校と共有し、子どもの育ちを確かめます。

5 きまりへの適応と安全への配慮

6 小学校生活に向けての配慮

(4)

アプローチカリキュラムの作成の際、本プログラムのほか、次の資料を参考にしてください。

① 「もうすぐ1年生」

(平成25年 草加市)

② 「接続期プログラム」

(平成24年3月 埼玉県教育委員会)

③ 子育ての目安「3つのめばえ」

(平成23年3月 埼玉県教育委員会)

④ 幼稚園教育要領及び解説……

(平成20年10月 文部科学省)

⑤ 保育所保育指針……

(平成20年8月 厚生労働省)

⑥ 埼玉県幼稚園教育課程編成要領……

(平成21年3月 埼玉県教育委員会)

⑦ 埼玉県幼稚園教育課程指導資料……

(平成22年3月 埼玉県教育委員会)

⑧ 埼玉県幼稚園教育課程評価資料……

(平成23年3月 埼玉県教育委員会)

⑨ 埼玉県幼稚園教育課程指導実践事例集……

(平成24年3月 埼玉県教育委員会)

(5)

● 戸外で友達と一緒に十分に体を動かして活動する ● 危険な場所が分かり、安全に気を付けて行動する ● 栽培、収穫、簡単な調理を通して食べ物に関心をもつ ● 先を見通し、時間を意識しながら友達と声をかけ合って生活する ● 健康な生活や病気の予防に関心をもち、意識して行動する ● 生活に必要な活動を自分から進んでする ● 困った時は自分で考えたり、周りの人に聞いたりする ● 自分の所持品の整理や脱いだ服の始末を進んで行う ● 自分で必要性を感じながら、園やクラスのものを片付ける ● 共同で使う遊具を大切にする ● 活動の区切りや時間を意識しながら生活する ● 就学への期待をもち、自信をもって行動する ● 友達とルールを考えながら、十分に体を動かす遊びに取り組む ● 危険な遊び方や場所に気付き、自分で判断して安全に行動しようとする ● 健康な生活に興味をもち、生活に必要な習慣やリズムを身に付ける(※ハンカチの使用、午睡なしでの生活への切替) ● 自分の遊びや生活の場を整えようとする ● 自分たちの活動を振り返りながら、当番の仕事の引継ぎをする ● 自分の経験したことや考えたことを相手に分かるように話す ● 地域の人や高齢者、異年齢の子どもとふれ合い、人の役に立つ喜びなどを味わう ● 生活の場に応じた言葉の使い方や表現の仕方が分かる ● 問題が生じたとき、自分たちで解決しようとする ● 友達と話し合いながら、自分たちで遊びを進めていく ● 友達の話をよく聞き、相手に分かるように話す ● 友達と遊びのイメージを共有し、思いや考えを言葉で伝えようとする ● 遊びの中で友達のいろいろなよさを認め合う ● 友達とのかかわりや生活を通して、きまりの必要性や大切さが分かる ● 集団行動(運動会、遠足)を意識して、皆と一緒に行動する ● 公共施設を利用し関心をもつ ● 友達と役割を分担したり、交代したりしながら遊ぶ楽しさを味わう ● 活動に合わせてルールを考えたり、工夫したりしながら遊びを楽しむ ● 良いことと悪いことを自分で考えて行動する ● 大勢の友達と目的を共有し、保育者や友達と相談しながら見通しをもって進める ● 目的に向かって課題に根気強く取り組んだり、工夫したりしてやり遂げた喜びや充実感を味わう ● 友達と共有した目的を実現するために、言葉で伝える ● 友達とのかかわりを深め、思いやりをもつ ● 共通の課題に向けて挑戦したり、話し合ったり、役割を分担したりして、目的を果たす喜びを味わう ● クラス全体で一つの活動などに取り組んだり、共通のイメージをもってそれぞれの遊びをつなげたりする ● 遊びや活動の中で友達の意見を尊重したり、優先したり、折り合いをつけたりする ● 秋の自然物を積極的に遊びに取り入れたり、物の仕組みに関心をもって使ったりし、生活を豊かにする ● 飼育動物や昆虫等の世話を通して、生態や飼い方などを調べる。(絵本、図鑑、事典など) ● 季節の変化に関心をもち、遊びに取り入れたり興味をもって調べたりする ● 身近な環境に積極的にかかわり、生活の中に取り入れようとする ● 遊びに使う物の数、人数、数量を数えたり、比べたりする ● 遊びに使う簡単な標識や文字、数字に興味をもったり、読んだりする ● 文字や数を遊びの中に取り入れて遊ぶ ● 物語や話の続きに興味をもち、クラスの友達と楽しんで聞く ● 友達と一緒にリズミカルな動きを楽しむ ● 絵本や物語などを通して、イメージを豊かにする ● 絵本や物語に親しみ、イメージを膨らませて遊んだり、演じたりして遊ぶ ● 冬の自然現象に興味をもち、見たり試したりする ● 季節の移り変わりとともに生活にも変化があることを知る ● 文字を使うことの楽しさや意味に気付き、生活の中で文字を使って伝える喜びを味わう ● 生活の中で数の必要性や便利さに気付き、書いたり、読んだり、比べたり、分けたりする ● 伝承遊びに触れ、親しむ ● 就学することを喜び、自分の成長に自信と自覚をもつとともに、身近な人に感謝の気持ちをもつ ● 考えたこと、感じたことをいろいろな方法で表現する

幼児期の教育において小学校の学びの基盤となる経験

生活する力

人とかかわる力

自ら学ぶ力

5歳児

10月

11月

12月

1月

2月

3月

(6)

アプローチカリキュラム(中期の計画)の例

(幼稚園・保育園)

5歳児(10・11・12月)

5歳児(1・2・3月)

幼児の姿

⃝ 楽しそうな遊びをしている仲間に入ったり、共通の目的をもった友達にかかわったりするなど、交友関係の広がりが見られる。 ⃝ さまざまな行事に意欲的に取り組む中で、いろいろな意見を出しながら遊びを進めていくようになり、自分の力を発揮し、 友達と一緒にやり遂げる。 ⃝ 運動会を思い出し、練習などに意欲的に取り組む。チーム対抗に一喜一憂する。 ⃝ 「縄跳びを跳んだ回数」や「逆上がりができる」「うんていをわたる」など自分なりの課題に挑戦したり、友達と比較し て順位を競ったり、クラスのみんなができるようになるまで応援したりする。

ねらい

⃝ いろいろな遊びや全身を使う運動に興味をもって取り組み、最後までやり通そうとする。 ⃝ 自分の経験したことや考えたことを相手に分かるように言葉で表現する。 ⃝ 絵本や物語、音楽に親しみ、ごっこ遊びや表現遊びを通してイメージや創作活動を豊かにする。 ⃝ 身近な環境や自然に積極的にかかわり、生活に取り入れようとする。

経験させたい

内容

⃝ 戸外で友達と一緒に体を動かして遊んだり、危険な場所や危険な行動が分かり、意識して安全に行動したりする。(P18生活①②) ⃝ 遊びの場を整えたり、遊びに必要なものを工夫して作ったりする。(P18 自ら学ぶ⑤⑥) ⃝ 友達とのかかわりや生活を通して、きまりの必要性や大切さが分かり、約束したことを守ろうとする。(P18 人とかかわる⑨) ⃝ 自分で必要性を感じながら、園やクラスのものを片付ける。(共同で使う遊具を大切にする)(P18 生活⑨⑩) ⃝ 秋の自然物を積極的に遊びに取り入れたり、物の仕組みに関心をもって使ったりして生活を豊かにする。(P18 自ら学ぶ①) ⃝ 絵本や物語などに興味をもち、見たこと聞いたこと、感じたことを友達とともに、話したり、遊びの中に取り入れたりして、 心を通わせる。(P18 人とかかわる①⑦)(P18 自ら学ぶ⑧⑩⑪)

環境の構成と

援助

⃝ 今までの経験を生かして自分なりに目標を見出したり、試したり工夫したりすることができるような遊具や遊びを用意する。 ⃝ 運動会やお楽しみ会、などの行事を通してクラスの友達と話し合い、見通しをもって遊びを進めていく経験ができるようにする。 ⃝ ドッジボールや大縄跳びなど大勢の友達と一緒に全身を動かして遊ぶことへ誘う。 ⃝ 小学校や小学生に親しみの気持ちがもてるよう、積極的に小学校に出かけたり、小学生と交流の機会をもったりする。 ⃝ 木の実や木の葉、砂など使って遊んだり、紅葉を見たり、落ち葉を拾い集めたりする中で、季節の変化に気付き、自然 を楽しめるようにする。 ⃝ 就学に向けて、一人一人の育ちを確かめ家庭と課題を共有する。

幼児の姿

⃝ 友達と一緒に必要なきまりを自分たちでつくり、友達どうしで教え合うなどして、それを守って遊ぶようになる。 ⃝ 遊びの継続時間が長くなり、じっくりと取り組むようになる。これまで大勢での遊びに加わろうとしなかった幼児も、 自分から参加するようになる。 ⃝ 卒園を意識して生活発表会に意欲的に取り組み、自分の意見を出し合って、自分たちで劇の道具を作ったりセリフを考 えたりするようになる。 ⃝ クラスのみんなで一緒に活動し、力を合わせてやり遂げる喜びを味わえるような生活の中で、クラスの集団としての意 識が高まる。

ねらい

⃝ 保育者や友達と目的を共有し、保育者や友達と相談しながら見通しをもって進める。 ⃝ 目的や課題に向かい、根気強く取り組んだり、工夫したりしてやり遂げた喜びを味わう。 ⃝ 冬の自然現象に興味をもち、見たり試したりする。 ⃝ 小学校入学を喜び、自分の成長に自信と自覚をもつとともに、身近な人々への感謝の気持ちをもつ。

経験させたい

内容

⃝ 友達と一緒に同じ目的に向かって活動に取り組み、保育者や友達と相談したり工夫したりしてやり遂げる。(P19 人とかかわる①) ⃝ 生活の中で標識や文字の必要性に気付く。(P19 自ら学ぶ③④) ⃝ 音楽に親しみ、イメージを歌・楽器や体の動きなどで表現する。(P18 自ら学ぶ⑨) ⃝ 共同で使う遊具や用具を大切にする。(P18 生活⑩) ⃝ 生活に必要な物を工夫して描いたり作ったりする。(P19 自ら学ぶ⑦) ⃝ 感謝の気持ちを身近な人に伝えようとする。(P18 人とかかわる③)

環境の構成と

援助

⃝ 一日の生活の流れを意識して、活動できるようにする。 ⃝ 生活発表会など、友達とイメージを共有し見通しをもって取り組むことで、クラス全体でやり遂げた喜びと満足感が味 わえるようにする。 ⃝ 卒園の記念品づくりや卒園式までの準備などは、各自が思いを込めて取り組めるように計画し、園生活最後の時期を、 充実感をもって過ごせるようにする。 ⃝ 小学校を見学したり小学校の先生の話を聞いたりして、小学校入学への期待感と自覚を高める。 ⃝ 霜柱や氷、雪など冬の自然事象に気付かせ、触れて遊ぶ中で、不思議に思ったり、試したり調べたりする経験ができる ようにする。 ⃝ 就学に向けて、一人一人の育ちを確かめ、家庭や小学校との連携を図る。 1日の時間の工夫 ⃝活動の切り替えと同時に気持ちの切り替えができるよう一つ一つの活動に見通しと、期待をもって取り組めるようにします。 ⃝カレンダーや模型の時計等を活用し、月・日にち・曜日、時間の流れ、数字や文字に対する興味・関心を高めます。 活動の工夫 ⃝就学時健康診断を境に就学に向け、何事にも意欲的に取り組み、自己を発揮する姿や自己抑制する姿を支援 します。 ⃝季節ごとの自然の素材やその性質、ものの仕組みを遊びに生かすことができるようにします。 ⃝友達と互いに表現し合いながら、歌や動き、描画、言葉など様々な表現のおもしろさを感じることができる ようにします。 ⃝運動会をきっかけに、外で体を動かす気持ちよさや楽しさ、心地よさを味わうようにします。 人間関係に ついての配慮 ⃝親しい友達と考えを出し合いながら遊びを進め、一緒に心を通わせたりやり遂げたりする経験を積み、人 間関係を深められるようにします。 ⃝行事などを通して、仲間と協同して目的を達成したり、競ったりする経験を味わわせます。 家庭との連携 ⃝「もうすぐ1年生」や子育ての目安「3つのめばえ」を活用し、家庭と連携をとり、子どもの育ちについて課題 と見通しを共有します。 ⃝家庭との連携を図り、「家の仕事を任せる」など自己肯定感(自分は大切な存在であると思える心の状態)を味 わわせる経験を積み上げます。 きまりへの適応と 安全への配慮 ⃝公共の施設を積極的に利用し、あいさつの仕方や利用マナーについて考えます。 ⃝「良いことと悪いこと」「安全なことと危険なこと」について自分で考えて行動する気持ちを育てます。 ⃝用具の安全な使い方を身に付けます。 ⃝共同で使う物を大切にすることや、必要性を感じながら進んで整理整頓する気持ちを高めます。 小学校生活に 向けての配慮 ⃝園外保育の際、連携先の小学校にトイレ休憩に立ち寄ったり、交流の際、積極的に小学校に出かけたりす るなど、主体的に小学校にかかわるようにします。 ⃝園の懇談会に小学校教諭を招くなど保護者と小学校の「顔が見える関係」を築きます。 ⃝幼保小情報交換会などで「目指す子ども像」の共通理解を図ります。 1日の時間の工夫 ⃝卒園の近い時期には、小学校での生活に配慮して、クラス全員で活動することも意識的に取り入れるようにします。⃝登降園時の活動や当番活動、昼食の準備・片付けなど、一日の生活の流れが分かって、自分から進んで行動 できるようにします。 活動の工夫 ⃝保育者や友達と目的を共有し、役割を分担して一緒に遊ぶ中で、充実感や達成感を味わい、意欲的に生活で きるようにします。 ⃝季節ごとの自然の素材や自然現象などを遊びに取り入れ、自然の不思議さを十分に体験できるようにします。 ⃝友達と一緒に遊ぶ中で、考えたり試したり工夫したりする経験が十分できるようにします。 ⃝友達と互いに表現し合いながら、歌や動き、描画、言葉など様々な表現のおもしろさを感じることができる ようにします。 人間関係に ついての配慮 ⃝友達と共に生活する中で、互いのよさを分かり合い、信頼関係を十分に築くようにします。 ⃝小・中学生とかかわる中で、就学へのあこがれの気持ちをもてるようにします。 ⃝行事などを通して、年少児や地域の人々とかかわる機会を設け、いろいろな人に親しみをもてるようにします。 家庭との連携 ⃝基本的な生活習慣を身に付け自分でできるように、家庭と連携をとり、子どもの育ちを確かめます。⃝保護者会や個人面談などを行い、保護者に小学校入学までの生活の見通しを伝えます。保護者の不安に対し ては、小学校と連絡を取り合って対応できるよう園の体制を整えます。 きまりへの適応と 安全への配慮 ⃝友達と共に気持ちよく過ごすためにはルールが必要なことがわかり、守ろうとする気持ちを育みます。 ⃝友達と共に生活する中で、自分の気持ちを伝えたり、時には折り合いをつけ自分の気持ちを調整したりす ることを経験できるようにします。 ⃝お別れ遠足などの園外保育では、交通ルールを守って行動することや公共の場での行動の仕方などを知ら せます。 小学校生活に 向けての配慮 ⃝小学生と交流することを通して、あこがれの気持ちを抱き、小学校生活に期待をもてるようにします。 ⃝学校見学や学校体験を通して、小学校の施設や生活の様子を知り、入学への期待と自覚をもてるようにします。 ⃝幼児期における指導の経過を要録にまとめ、小学校へと引き継ぎます。「もうすぐ1年生」や子育ての目安「3 つのめばえ」を小学校と共有し、子どもの育ちを確かめます。 ※「経験させたい内容」の(P18生活①)は、P18の「生活する力」の1段目を指しています。(P18人とかかわる⑨)や(P18自ら学ぶ⑤)も同様です。

(7)

1 領域名・題材名 特別活動「かかりを きめよう」 2 目 標 自己の生活の充実と向上にかかわる問題に関心をもつ【関心・意欲・態度】 楽しく豊かな学級の生活をつくるために、これまでの経験をふり返り、自分たちの役割を考え る。【思考・判断・実践】 3 活動の様子   (1)学級会の様子       (2)係活動に取り組んでいる様子 1 領域名・主題名 道徳 自分のためにがんばろう 1-(2)勤勉・努力、忍耐  資料名「はたらけ せっせ」 2 目 標 自分がやらなければならないことは、くじけずやり通そうとする心情を育てる。 3 授業の様子   (1)きりぎりすは、どんな気持ちで、歌って遊んでいたのか。   (2)きりぎりすにさそわれても、ありたちはどんな気持ちで働き続けたのか。   (3)冬になって、ありたちは、心の中でどんなことをつぶやいていたか。 4 予想される児童の反応 ※(2)の問いに対して   A子…「冬になったら食べ物がなくなるのに、遊んでいるひまなんてないわ。」   B男…「きりぎりすさん、楽しそう。ぼくも本当は遊びたいなあ。」   C男…「今働かないと冬が大変になるのに、大丈夫なのかなあ、きりぎりすさん。」 1 教科名・単元名 算数 「あわせて いくつ ふえると いくつ」 2 本時の目標 日常の事象から合併の場面を見出して、ブロック操作を通して加法の式に表そうとしている。 【関心・意欲・態度】 合併の場合について、加法の意味や式の表し方を理解している。【知識】 3 主な学習活動   (1)自力解決をする       (2)各自の結果を発表する 1 教科名・単元名 算数 「どちらが ながい」 2 本時の目標 身の回りにあるものの長さに関心をもち、比較する方法を工夫しようとしている。【関心・意欲・態度】 ものの長さを直接比べるには、一方の端をそろえたり、曲がっているものはまっすぐに伸ばし たりすればよいことを理解している。【知識】 3 主な学習活動   (1)自力解決をする      (2)各自の結果を発表する

小学生(1年生)の姿

今年も「畑会議」がはじまる。 園児「大根」「ニンジン」「ブロッコリー」「ラディシュ」 …思い思いに栽培する野菜について意見を出す。 K児…「私は大根がいいな。ばなな組(年中)の時、大根 を植えて、いっぱいできたよ。」 H児…「ニンジンも作ったよ。でも苦いよね。」 A児…「ぼくも、苦いからちょっと得意じゃない。」 園児は友達の話を聞きながら、互いに顔を見合わせ笑っ たり、うなずいたりしている。

[言葉で伝える力を身に付ける]

 野菜の栽培は5歳児が4月と10月に「畑会議を開き」クラス全体で栽培する野菜を3つ決め、苗を植え、当番 が交代で世話をする。初めは、自分たちの思いで栽培する野菜を提案する。友達の思いや考えを受け止めて、 自分の思いや考えを伝える経験を通して、1つの話題について話し合う。  いよいよ、当番が交代で野菜の水やりがはじまる。 D児…「Nちゃん、ちゃんとダイコンに水をあげた。」  N児は「あげた。あげた」と返事をしながら、K児・M 児・S児を誘って園庭に出かけていく。  しばらくすると、D児は「ダイコンの葉がへんだよ。」 と畑に集まる。 C児…「なんだか、葉がシワシワになっている。」 A児…「水が足りないんだよ。」  騒ぎを知った、N児・K児・M児・S児はあわてて、「ぼ く、水をあげてなかった。」「ぼくも。」といいながらジョ ウロに水を汲み、水くれをする。 K児…「大丈夫かな。元気になるかな。」と心配そうに見 守る。

[生活を通して、きまりや約束したことを守る]

 「自分でできることは自分でする。」から「生活に必要なことは自分たちでする。」育ちが見られる。「皆で育て る」という目的を共有し、野菜の世話をするために声を掛け合い、協力して活動しようとする姿が見られる。  待ちに待った収穫の時期になり、 Y児…「今日のダイコンは、何本なっているかな。」 B児…「たくさんあるよ。1・2・3・・・10本ある。」 E児…「ここに2本あるよ。全部で・・・1・2・3…12本。」 D児…「太いのと…長いのも、短いのもあるよ、先っぽ にひげが生えてるよ。」 R児…「ほんとだ、太いのはツルツルしているね。」 A児…「こっちにあるのも長いよ。『にじ』みたい。」 N児…「ほんとだ。こっちには“し”みたいなダイコンが あるよ。」  収穫した大根に園児たちの会話が弾んでいた。

[数や長さを比べる]

 初めのうちは自分で見つけた、ダイコンの数を数えていた。そのうちに各自が収穫したダイコンをあわせ て全部で何本かを数えたり、ダイコンの長さを比べようとする姿が見られる。長さ比べでは曲がっているも のもあり、まっすぐに伸ばして比べようとするが、容易に比べられないことに気付く。

幼児期(5歳児)の姿

たくさん できたよ

5歳児 10月から12月

秋の自然を積極的に生活に取り入れ、生活を豊かにする。

植物の世話を通して成長や変化に気付き、生命の大切さに気付く。

時 期

ねらい

内 容

この絵はどんな場面ですか。 お話をしながら算数ブロックを 動かしてみましょう。 自分なりの表し方を工夫しながら、友達の 表現の仕方のよさを味わえるようにする。 式の意味の理解が深まるよう算数ブ ロックを操作する活動のあと操作を言 葉や式で表すようにする。 一番長いのはどれですか。 どのようにして比べればよ いか考えましょう。 直接比較ができるよう 全部をまっすぐにのばして 比べました。 実際にのばして長さを比べる活動を通して、 比べ方を話し合い、そのわけを相手に伝わ るように話す経験をさせる。 チョウの上に1つずつ ブロックをおくと、 1つと3つだからそれ をあわせます。 チョウが1ぴきと3びき お花に集まってきました。 式にすると 1と3をあわせるから 1+3=4 チョウはあわせて 4ひきです。 このままでは 比べられないね 全部をまっすぐにのばして比べました はしをそろえて 比べると どれが長いか よくわかります。

幼児期の教育と小学校教育のつながりのイメージ

(8)

 自然に興味をもち、登園途中や園庭で毎日のように発見をしたことを報告に来るA児。ある日、教材付録の「季節の図 鑑」を持ち、園庭の樹木や植え込み・プランター等を見て歩いていた。 A児…「先生、虫見つけたよ。ほら。」 保育者…「あ、ホントだ。何という虫かな。Aくんは知っているの。」 A児…「図鑑に載ってるかな。」と図鑑を広げて調べ始めた。そのことに気がついた数人の園児が集まってきた。 B児…「先生、何してるの。」 A児…「虫を見つけて、何という虫か調べているんだ。」 C児…「へぇ。そうなんだ。あっ、いた、いた。これじゃない。」 A児…「あっ、これかも。(広げたページを示しながら)先生、見て。」 保育者…「本当だ。似てるね。これかもしれないよ。Aくん、よく調べたね、すごいね。」 D児…「えっ、見せて見せて。本当だ!すごい、すごい。」 C児…「あっ、こっちにもいる。」 A児…「もっと、探しに行ってみようか。」  4人は、園庭の樹木を見に走っていった。それを見た他の園児も興味を示し、その仲間に入って木を見上げたりしている。  それから数日は、他の園児にも図鑑を持って、植え込みや園庭の隅の方を歩き回る姿が見られた。

[人とかかわる力を身に付ける]

 幼児は、生活の中で心を動かすような体験をしたときにそれを親しい人に言葉で伝えたくなる。自分なり の表現が保育者や友達、さらには異年齢の子どもや地域の人などに伝わる喜びを経験したり、自分の考えか ら新たなやり取りが生まれ、共有する満足感を味わったりすることで、人とかかわる力につながるものである。 1 教科名・単元名 生活 大単元「いきものと なかよし」小単元「むしを さがそう 2 目 標 校庭の草むらなどで虫を探し、それらの生息している場所の特徴に気付くとともに、捕まえた 虫を教室で飼育してみたいという思いをもつことができる。 3 活動の様子   (1)虫探しの様子       (2)虫を捕まえる様子      (3)新たな気付きの様子 1 教科名・単元名 理科 「虫を調べよう」(3年) 2 本時の目標 昆虫に興味を示し、進んで昆虫探しをして観察しようとする。【関心・意欲・態度】 昆虫と植物の関係を食べ物やすみかと関係付けて考察し表現する。【思考・表現】 3 主な学習活動   (1)昆虫をさがす       (2)各自の結果を発表する 1 教科名・単元名 生活 大単元「ふゆを たのしもう」小単元「ゆきやこおりであそぼう」 2 本時の目標 雪や氷に関心をもち、それらを利用して友達と楽しく遊ぼうとしている。[関・意・態] 雪や氷を使った遊びを考え、友達と相談しながら遊んでいる。[思考・表現] 雪や氷を使って遊ぶおもしろさや、溶けたり固まったりする雪や氷の性質のふしぎさに気付い ている。[気付き] 3 主な学習活動   (1)雪や氷、霜柱に触れる       (2)友達とお勧めの遊びを教え合う  草加市内に雪が降った日の翌日、園庭のすみの水たまりは、所々凍っていた。 A児…「氷だ。氷ができてるよ。ツルツルだよ。」 D児…「本当だ。すごい、大きいぞ。」  二人は「すごく大きいのが取れたぞ。」と喜び「冷たい。滑るよ。」と言いながら、手を赤くして泥を洗い流しながら、みんなに見せていた。 E児…「見せて、見せて。ほんとだ、キラキラしてきれい。」その声に誘われるように数人の園児が集まってきた。  氷の冷たさに我慢ができなくなったA児とD児は、バケツに入れて、嬉しそうに見せて歩いていた。 A児…「お母さんに見せるんだ。」と氷についた泥を水で洗い流した後、テラスにおいておいた。しかし、しばらくすると溶けてしまった。  数日後、園庭の植え込みの近くで霜柱を見付けた二人は、「バリバリ音がする。気持ちいい。」と言いながら踏みしめて歩いていた。 A児…「見て、キラキラしてきれいだ。これ、とれるぞ。」 E児…「本当だ。キラキラしてる。それにこいつ、土を持ち上げてるよ。」  他の園児を誘い「他の所にもあるかもしれないぞ。」と言いながら、霜柱をバケツ一杯に集め始めた。前回の氷と同様、ついた泥を水 で洗い流そうとすると、霜柱は溶けてしまった。  「これじゃ、持って帰れないな。こいつ、水に弱いんだ。」

[好奇心や探究心をもっていろいろなものにかかわる]

 幼児は様々な物に囲まれて生活し、それらに触れたり、確かめたりしながら、性質や仕組みなどを知る。初めは、 感触を試し、物とのかかわりを楽しんでいるが、興味をもって繰り返しかかわる中で次第にその性質や仕組み に気付き、幼児なりに理解をするようになる。また、仲間の存在は、幼児の多様な物とのかかわりを一層促す。 氷に比べて霜柱が、溶けやすいことは、今回の失敗を通しての気付きである。この経験が自ら学ぶ力の土台となる。

幼児期(5歳児)の姿

小学生(1年生)の姿

こん虫博士

水に よわいやつ

5歳児 10月から2月

身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中でさまざまな事象に興味や関心をもつ。

身近な自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く。

時 期

ねらい

内 容

(9)

 遊びの中で「こんな○○園があったらいいな。」という話が 子どもたちからあり、その思いや願いを受けて『楽しい○○ 園』づくりを始めることになった。 Y児…「ぼくは、トランポリンがある○○園があったらいい と思います。」 K児…「私は、お菓子の○○園を考えました。」 F児…「…」(言葉に詰まる)   保育者…「Fちゃんに質問がある人は?」 N児…「端に書いてあるのは、虹?」 F児(うなずいて)…「虹」 …園児達が、思い思いの「あった らいいな。」と思う○○園を発表した。  それぞれが思い思いに意見を出したが、なかなか決まらな いことを受けて、 S児…「まとめた方がいいよ。だって、くじゃく組の○○園 だから。」園児たちは、多数決によって話し合いをまとめよう とした。しかし候補が3つに絞られたが、なかなか決まらない。 S児…「もう、多数決はやりたくない。合体してつくろう。」 N児…「海や好きなキャラクターはみんな海賊っぽい仲間だ ね。」 R児…「『お菓子』は。みんなの中にもたくさんあったね。いっ ぱいかざろうよ。」 F児…「虹はどうする。」 E児…「海賊とお菓子の二つの場所に、うまく書いたらいい よ。」 Y児…「いいね、お部屋のどこかにかざろう!」 …「おかし・ かいぞく○○えん」に決定

[言葉で伝える力、人とかかわる力を身に付ける]

 周囲の人と言葉を交わすようになるには「保育者や友達との間に安心して話す雰囲気があること」「聞いて くれる相手がいること」が大切である。また、幼児は自分とは異なる個性をもった友達と接している。はじめ は、「○○ちゃんは、□□が上手。」など、といった表面的なものから、「○○君はいい考えをもっていると思う。」 など、次第に互いの心情や考え方ななどの特性に気付くようになる。友達と様々な心動かすできごとを共有 し、互いの感じ方や考え方に関心を寄せ、それらが行き交うことを通じて、それぞれの違いや多様性に気付く。 1 領域名・題材 特別活動「楽しい遠足にしよう」 2 目 標 遠足のめあて、目的地、コースを理解し、約束やゲーム(クラスレク)について話し合う。        【関心・意欲・態度】 決められた約束やきまりを守り、友達と助けあいながら楽しく活動している【思考・判断・表現】 3 活動の様子   (1)学級で約束やゲームについて話す        (2)実践する様子 1 教科名・題材名 図工 「うきうきボックス」 2 本時の目標 材料の特徴に気付き、「うきうきボックス」をつくることを楽しむ。【関心・意欲・態度】 お互いに見合い、楽しんだり、よさを話し合ったりする。【鑑賞】 3 主な学習活動   (1)材料の特徴に気付く      (2)作品を紹介する A児…「○○園の中にはおもちゃも遊具もあるよ。」 C児…「ぐるぐるあめのトランポリンはどうする。」 B児…「綿飴のメリーゴーランドもつくりたい。」 F児…「私も、トランポリンがいい。」 D児…「ぼくは、ターザンロープ。」 つくりたいもので、5 つのグループに自然に分かれた。 S児…「じゃあ、設計図をつくろう。」 それぞれのグループ が設計図をかき、みんなの前で発表した。 <○○でグルグル飴のトランポリンを作成中のグループ> C児…「私がかくから、みんなは塗って。Aちゃんは赤ね。」 A児…「わかった!」 …C児の指示で、 みんなで細かく色分 けして、ペロペロキャンディーの色を塗り始める。 <牛乳パックを積み上げて壁をつくっているグループ> 保育者…「ここの壁は、牛乳パックのまま?色を付ける?」 F児…(ちょっと、面倒くさくなって)「そのままだよ。」 保育者…「でも、設計図では青になってるね。」 F児…「じゃあ、青く塗る。」 保育者…「何で、色を付ける?」Y児…「おりがみ!えのぐ!」 R児…「折り紙で貼ろうよ。ここにはないから職員室に取り に行こう!」  (自分達で必要な枚数を考え、職員室の保育者に「青の折 り紙を○枚ください。」と伝えに行く。) <船の周りの海と魚をつくっているグループ> S児…「周りのソーダの海に、さかながいるよ!」 保育者…「何でつくりたいの?」 S児…「海は、リボン…シート?…でも踏まれちゃうよ。あ、 なんかこうワシャワシャしたやつ。運動会で、つかったや つ。」 保育者…「『スズランテープ』っていうんだ。」(実物を見せる) S児…「これでつくろう!」(○○園の周りにスズランテープ をくしゃくしゃに寄せながら、重ねていった。) N児…「魚は、金の折り紙でおよがせるよ。」(はりめぐらせ たスズランテープの上に、金色でつくった魚たちを貼り付 けていった。)

[自分の思いを表現する]

 生活経験に応じ、思ったことをかいたり、つくったり、飾ったりして楽しんでいる。この時期の幼児は、 形や色にこだわり、工夫してかいたりつくったりする。また、それと同時に、自分の思いを表したり、伝え たりして楽しんでいる。

幼児期(5歳児)の姿

小学生(1年生)の姿

みんなでつくる 楽しい○○園

5歳児 12月

大勢の友達と目的を共有し、保育者や友達と相談しながら見通しをもって進める。

クラスの友達と目的や課題に向かって活動に取り組み、相談したり工夫したりしてやり遂げる。

時 期

ねらい

内 容

(10)

 午睡前に電気を消してカーテンを閉めて、お化け屋敷ごっこを楽しんだ。子ども達はお化けに興味をもち、「怖い話し よう」と5、6人で集まり、話すようになった。 H児…「この前、お墓参りに行った時、お寺にね、お化けがいたの!」 Y児…「テレビでね・・・ドアの所からたくさんの手が出てきてたんだよ!」 H児…「パパがね、車を運転しているとき後に人が乗ってきたんだって、驚いて鏡見たら誰もいなかったんだって」  みんな「きゃ∼」と大騒ぎ、それでも「もう一度お化け屋敷やる?」と提案してみると「やりたい」という声が返ってくる。 保育者が「どんなお化けがいるのかな?」と尋ねると「一つ目小僧を知ってる」「ぼくは座敷わらし」「ろくろっくび」「か らかさおばけもいるよ」「雪女もいる」「ゆうれい・・・」「火の玉・・・」といろいろなお化けが提案された。 Y児…「お化けなんていやだよ∼」(部屋の隅っこに行ってしまう) 保育者…「みんなでお化け作ってみる?」  子ども「やるやる!」その声に誘われてY児は興味を示し、戻ってくる。

[言葉で伝える力を身に付ける]

 幼児は「楽しい」と感じられるようになると、自分の気持ちや思いを自然に言葉にして伝えるようになる。 相手に自分の思いが伝わり、その思いが共感できることで喜びを感じたり、自分の思いが伝わらないことで 伝える難しさを感じたりする。このような経験を積み重ねることで、次第に心を通わせることができるよう になっていく。この場面では「おばけやしきごっこ」を友達と一緒にやって楽しかったという共通の経験が言 葉で伝える姿につながっている。 1 教科名・単元名 国語「ふたりで おはなし」 2 目 標 絵を見て分かることを話そうとしたり、単語や文を書こうとしたりしている。【関心・意欲・態度】 提示された「問い」「答え」の話型で話している。 質問し、答えるというやり取りをしている。【話すこと・聞くこと】 3 活動の様子   (1)「問い」「答え」の話型で話す       (2)友達と質問,答えのやり取りをする 1 教科名・単元名 生活「あきの フェスティバル」 2 本時の目標 秋の自然に関心をもち,自然を利用してみんなで遊び楽しく生活しようとしている。  【関心・意欲・態度】 四季の変化やそれによって生活の様子が変わることについて自分なりに考えたり、身近な自然 物を利用した遊びを工夫したりする。【思考・表現】 夏から秋になって自然の様子が変わったり、季節によって生活の様子が変わったりしているこ とや、身近な自然を利用して遊びをつくりだすおもしろさに気付く。【気付き】 3 主な学習活動   (1)木の実や落ち葉などを利用したおもちゃ作り      (2)つくったおもちゃで遊びの店を開く 1 教科名・単元名 国語 ことばっておもしろいな「ものの名まえ・おみせやさんごっこをしよう」 2 本時の目標 「ものの名まえ」を読み, 内容の大体がわかる。【読むこと】 売る品物のよさが伝わるように, 宣伝のチラ紙の文章を考えて書く。【書くこと】 宣伝のちらしに必要な事項を集める。【書くこと】 客と店の人になって売り買いのやり取りをする。【話すこと・聞くこと】 3 主な学習活動   (1)おみせやさんごっこに必要なものについて考える  (2)店で売るものの名前や絵をカードにかく  子どもたちは、お化け屋敷のイメージについて話し始めた。 H児…「お寺にいたよ!」 Y児…「森にいるんだよね。」 K児…「玄関にもいるよ!」 保育者…「お墓や木は、自分たちで作れるかな?」  子ども「うん!出来るよ!」 Y児…「地図もあったらいいよね」 S児…「入口も!!」「しるし(⇒)も」 A児…「出口もないとね!」 H児…「小さい子は怖いから、『2人で手をつないでどうぞ』って(書く)。」 F児…「お化け屋敷の看板もつくろうよ!」

[文字や数字に興味・関心をもつ]

 幼児の日常生活の中にある文字、絵、標識等の記号には、名前などのように所属や所有を示すことや、看 板等のように内容を表示すること、さらに、手紙のように意思を伝達するなど、様々な機能がある。幼児期は、 大人と生活を共にする中で、文字のこのような機能に気付き、使用する意味を学んでいく時期である。  5歳児になるとある程度、平仮名は読めるようになってくる。しかし、書くことはまだ難しく、自分なり の書き方であることが多い。  遊びを通して、名前や標識、連絡や伝言、絵本や手紙などに触れながら、文字などの記号が果たす機能と 役割に対する関心と理解が自然に育っていく環境の構成に配慮が必要である。

幼児期(5歳児)の姿

小学生(1年生)の姿

もういちど おばけやしき やりたい

5歳児 10月

自分の思いや考えを友達に伝えたり、友達の思いや考えを聞いたりしながら遊ぶ楽しさを味わう。

自分の思いや考えを相手に話したり、友達の話に耳を傾けたりして一緒に遊ぶ。

時 期

ねらい

内 容

『おばけやしきのちず』

(11)

1 教科名・単元名 体育 「鉄棒遊び」 2 目 標 鉄棒を使って、支持しての上がり下り、ぶら下がりや易しい回転などをして、楽しく遊ぶこと ができる。【技能】 運動に進んで取り組み、順番やきまりを守り、仲よく運動したり、場の安全に気を付けたりす ることができる。【態度】 鉄棒を使って、簡単な遊び方を工夫することができる。【思考・判断】 3 活動の様子   (1)やってみる(めあて1)      (2)ひろげる(めあて2) 1 領域名・主題名 道徳 ぼく、できるようになったよ。1−(2)勤労・努力 資料名「りょうくんと一りん車」 2 本時のねらい 自分でやろうと決めたことは、最後まで粘り強くやり遂げようとする態度を育てる。 3 主な学習活動   (1)転んであざだらけのりょうくんの気持ち(展開)   (2)自分が頑張ろうと思ったことを発表する場面(終末) 1 領域名・主題名 道徳  ゆう気をもって 1−(3)   資料名「ろくちゃん」 2 本時のねらい 良いことと悪いことの区別をし、進んで行おうとする心情を育てる。 3 主な学習活動   (1) 「ろくちゃん」を勉強して、一番心に残り、生活に生かそうと思ったことを発表する。(終末)  土・日の休みに自分で編んだ手作り縄とびの縄のもち手を綺麗に保護者に作って貰った。 A児…「先生縄跳びできたー!!仕上げママが縫ってくれた!!」 保育者…「綺麗だねー!!」 B児…「手を広げて跳ぶと跳びやすいよ」「高く飛ぶと引っかからないんだよね。」と上手な子が教えたり、黙々と練習し たりしている子がいる。保育者が「がんばって練習してるね.」と声をかけると C児…「楽しいもん!!」 D児…「縄跳びおもしろいよね!」 E児…「いっぱい跳べるよ!」 C児…「一番上手になりたいんだ!」と返事がある。  毎年、年長の子どもが練習していたことを覚えていて、 F児…「前のすいか組さん みんなできたよね。いっぱい練習してた!」「もうすぐできる!」「がんばれば、できる。」  仲のよい友達に手本を見せてもらったり、上手な友達にコツを教えてもらったりしながら、繰り返し練習している。

[体を動かして遊ぶ]

 遊びを通じて体を思いきり動かす気持ちよさを繰り返し体験することが、次第にいろいろな場面で体を動 かそうとする意欲につながる。したがって保育者は幼児が自然に体を動かしたくなるような環境の構成をす ることが大切である。  この時期、できるようになったことを喜び、さらに目標をもち意欲的に活動する。保育者の見守りとともに、 友達の励ましや助言は、自分なりの課題に挑戦して繰り返す意欲の原動力になる。  園で「鉄棒がんばりカード」を用意する。子どもたちはそれを手に持ち、登園後、同じ目的をもった友達と数人で鉄棒 の練習を続けている。 A児…「Bちゃん、上手。ピュッてまわるね。」 B児…「大丈夫、Aちゃんもできるようになるよ。」「できると、空も見えてきもちいいよ。」 A児…「かっこいいなー、Bちゃん僕もできるようになりたい。」と手にまめをつくりながら、一所懸命練習を続けている。  B児が挑戦するが、背中がそれて鉄棒から体が離れてしまう。  B児はC児と並びながら「Aちゃん、手のひらを上に向けてギュッと握る。そうそう、そしてね、左足を出して思いっ きり鉄棒にくっつく・・・。」と言いながら逆上がりの手本を見せる。 A児…「よーし。」 B児…「さっきよりいいよ。」「Cちゃん、Dちゃんも応援してるよ。」と、3人でA児を見守る。 A児…「やるよ。」逆上がりに挑戦すると、正面に立っていたD児の手にB児の足があたる。 B児…「大丈夫Dちゃん。」「そこは危ないよ。足が来るから。こっちで見てて。」  B児はA児の動きを予測しながら安全なところに誘導する。

[危険なことが分かり、安全に行動しようとする]

 園の生活の中で、危険な遊び方や場所、遊具などについてその場に即して気付かせ、状況に応じて安全な 行動がとれるようにすることが重要である。園生活が幼児にとって安全であるように、施設設備の安全点検 の実施は欠かせないものである。その上で、幼児の遊びを想定して安全に遊ぶことができるよう環境を工夫 することや、幼児に安全に遊ぶためにはどうすればよいか気付かせていくことが大切である。  この事例のように環境に自らかかわり、十分体を動かして遊ぶ中で、幼児は次第に危険な場所や危険な遊 び方を知り、どう行動すればよいのかを身に付けていく。

幼児期(5歳児)の姿

小学生(1年生)の姿

もうすぐ できる

5歳児 10月から11月

体を動かす楽しさを味わいながら、友達と共通の目的をもって意欲的に取り組む。

戸外で友達と一緒に体を動かして遊んだり、危険な行動が分かり意識して安全に行動したりする。

時 期

ねらい

内 容

A男「いたくてもがまんだ} B子「もう、やめよう」 C子「やっぱり無理だよう」 D男「あきらめずに、練習しよう」

参照

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