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地方自治体における障害者の生活
一障害者の就業の実態を中心に一
井 上 英 夫
様,つまり生活問題の構造を明らかにし,生活の
・一@はじめに 場において克服されるべき対象としての「特別な 1981年,国際障害者年は何をもたらしたであろ 困難」を明確にするということである。そのうえ うか。連日のマスコミを始めとするキャンペーン にたってこそ,社会保障・社会福祉をはじめとす の中で,「完全参加と平等」=国際障害者年にっ る障害者関係の施策によって,この「特別な困難1 いては比較的よく知られてきたようではある。例 を除去することが可能となり・「完全参加と平等」
えば総理府の調査によれば,80年9月段階で,「81 が実質あるものとなるのである。国連は,また,国 年が国際障害者卑となっていることについて知っ 際障害者年を少くとも今後10年にわたる長期の行 ている者」は,23%に過ぎなかった(80年8月の 動と位置付け,各国に長期行動計画の策定を求め 高知県県民世論調査でも16.2%である)。とこ ている。それは,単に国レベルのみでなく,各地 うが,半年後の昨年3月のNHK世論調査では, 方自治体においても策定されなければならない。
「今年が国際障害者年であること」を嶺;ている そして,この「長期行動計画」に盛られるべき施 者は,79%にのぼっている。一挙にその周知度は 策の内容も,何よりも地域における障害者の生活 高まったといえよう。また障害者問題に関心を示 実態に即したものでなければならない。くり返し す人も66%と相当高い率を示している。 になるが,障害者一人一人の生活上のニーズ・そ しかし,国際障害者年のめざす具体的内容,さ してその実現をはばむ諸困難を正確に把握すると らには障害者,そしてその生活についての理解は, ころから始められなければならない・そのことに さほど進んでいないように思われる。そもそも国 よってこそ,人間の尊厳に値する障害者施策が可 際障害者年の重要目的の一つは,「国際障害者年 能となるのである。もちろん,「調査」に名をか 行動計画」のいうように,障害とは何か,それはど りた,障害者のプライヴァシーの侵害等は許され のような問題をもたらすかについての公衆の理解 ない。そのためには,障害者・家族自身の,調査 を促進することにあり,「国際障害者年」の名前 の決定から実施に至る全段階への参加こそが必要 を広めること自体が目的ではない。したがって, である。「完全参加」は,平等と並ぶ国際障害者
「障害者は,その社会の他の者と異なったニーズ 年の重要なテーマである。
を持つ特別の集団と考えられるべきでなく,その このような観点から,われわれは・今回国際障 通常の人間的ニーズを充たすのに特別な困難を持 害者年を契機に,地方自治体における障害者施策
つ普通の市民と考えられるべきなのである」(「行 の動向を調査するにあたり,生活実態調査の有無 (3)
ョ計画」),との障害者像をふまえ,その「特別 及びその内容を調査項目に含めたのである。
の困難i」を明らかにし,その解消の方向を見出し 全都道府県と指定都市の国際障害者年担当部局 ていかなければならない。 課に資料の送付を依頼し(昨年,4月〜7月),
すなわち,社会における障害者の生活のあり 回答のなかったのは,東京都,三重県,滋賀県,
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井 上:地方自治体における障害者の生活 35 奈良県,岡山県,徳島県,香川県,福岡県,長崎 ことを目ざしている。秋田県,山口県では調査結 県,鹿児島県,京都市,大阪市,福岡市であった。 果を「長期行動計画」に生かすことを目指し,高 障害者の実態について回答のあったものの多く 知県の,80年精神薄弱児・者実態調査は,「精神 は,障害者数(手帳交付数),程度,種類等簡単 薄弱児・者福祉施設入所者実態調査」とともに「精 なものであったが,表1に掲げた諸調査は内容的 神薄弱者福祉対策総合調査」として実施され,国 に詳しいものであった。総じて,近年調査を実施 際障害者年の要請に応えることを目指している。
し,あるいは実施しようとしている地方自治体は, 和歌山県,愛知県の調査は,障害者の意識調査 国際障害者年の取組にあたっても熱心なようであ であり,高知県「県民世論調査」 (昭和55年度)
る。 は20才以上の県民の障害者問題への理解度を問う ここでは,障害者数の問題と,障害の原因,就 ものである。
業の状況,収入状況等にしぼり,しかもできるだ 調査対象については後述するが,身体障害者に けなまの形で各調査を紹介しながら,若干の検討 ついては,ほぼ身体障害者手帳交付者,精神薄弱者 を加えてみたい。障害者の他の生活分野の詳しい については療育手帳交付者数が基礎とされ,その 分析と,これらの調査が,具体的にどのように施 他親の会会員名簿等により対象者の確定が行われ 策に反映しているかについても重要な問題である ている。いずれの場合も,実数把握は困難であ が,今回調査した他の資料の分析との関係もあ り,遺漏,欠落が多く,この調査結果のみで障害 り,他日を期したい。 者行政上の基礎調査というには限界のあることを
指摘しなければならない。例えば,北九州市の75二 地方自治体の障害者実態調査に 年調査によれば,身体障害者手帳交付台帳に登録
ついて している住所に居住が確認されるものは62%にと 政府の障害者生活実態解明への努力は積極的と どまり,登載されていない者については,別途確 はいえない。障害者のうち身体障害者については, 認の方法を講じる必要が指摘されている。また調 80年2月に10年ぶりの全国調査を行ったが(厚生 査方法も異るため,各県ごとの比較にも一定の限 省「第6回身体障害者実態調査」80年2月現在), 界が存することも前提としなければならない。
サの対象自体限定され(全国18才以上の,視覚障 以上のことを踏まえて,本稿では,各調査鴇う 害,聴覚,内部,肢体不自由者),また調査事項 ちいくつかの項目について,国の調査結果を対比
もごく簡単なものにすぎない。さらに精神薄弱者 させ,次に,各自治体(非常に限定された数では にっいては,71年の厚生省児童家庭局調査報告以 あるが)相互の比較を行うことによって,県・市 来調査はなく,同調査も,「厚生省としての調査 レペルで捉えられた障害者の生活をうかびあがら
結果の公表がなされていないに等しい」と評され せてみたい。その際,特に,従来不十分だった精 (4)る。また,国連の提起する障害者に含まれる,精 神薄弱者の状況を重視していきたい。
神障害者,難病患者等についての実態はほとんど
三 障害者数障害原因について把握されていない。
したがって,これら実態調査の欠落をうめるも ←う障害者数
のとしても,地方自治体による総合的な実態調査 国連では,現在・世界におよそ4億5千万人(住 が重要な役割を果たすのであるが,今回調査に回 民10人に1人)の機能障害者がいると推定してい 答があったものの中で,総合的といえるのは前に る。その内容は1978年6月の国連資料によれば,
掲載したものに限られる。参考までに,調査実施 事故,交通事故,病気と栄養失調による者,精神 要綱から一・覧表を作った。調査の目的はいずれも 病,視覚障害(1,000万〜1,500万人),難聴人(7,000 障害者の実態を適確に把握し,福祉行政に資する 万人),悩性マヒ(1,500万人),てんかん(1,500
表2 障害者数の国際比較
国 名 全人口に占める障害者の割合(%)
被調査人口 障害(Disability)の定義 調査年
ペルギー 8.6 0−65歳
身体的及び精神的なhandicap
1967
・a7 1 65歳 1 〃
カナダ 精神薄弱,精神病,聴力
20.0 障害,視力障害,神経症 1969
関節炎,糖尿病 デンマーク 6.9 60歳以下全人口
身体的及び精神的handicap
1969 社会福祉施設事務所 視力障害,精神病,運動
5.0 保健所・障害者団体 失調(話すこと,聴力を
ハンガリー からの数字 除く) 1970
2・ 障諸年鍛儲1
香港 匹8 1・L・講 1D沁・b㎏d 197・
5 厚生省の指定 Disabled 1975
インドネシァ
9 WHO調査 Handicapped 1975 日 本 1:1 蹴塑募蟷魎㎞蜘 P9801970
視力障害,聴力障害,身
マレーシア 1 福祉省 体的handicap,精神薄 1969
弱
フィリピン 25 国連調査 外部的ないし内部的障害によるhandicap
1965
・a・ 1齪数字 Handicap ポーランド
3 瞬数字 重度のhandicap 1969
p
スウェーデン
10 エーテボリの16−66
ホの人 身体的handicap 1964
6 スウェーデン全体 16−66歳の障害年金受給者 1974
イギリス 1 乞8 116翻上の在宅者1饒の㎞d㎞P 197・
8.8 在宅の全市民 主要な活動に慢性的な制 タ(精神的障害を除く) 1965 いずれかの活動に慢性的
12.1 〃 な制限(精神的障害を除 1965
アメリカ く)
精神薄弱,情緒障害,話
10.0 5−19歳の学齢児童 すことと聴力のimpair−
高?獅 1968
視力impairment
(注)RI「The Rehabilitation Decade」:国際連合広報センター, Dateline U凡M52より.
井 上:地方自治体における障害者の生活 37 万人),脳血管障害,戦傷による者があげられてい 1・身体障害者
る。表2にみるように,各国によって,障害の定 厚生省の80年調査によれば,18才以上の在宅の 義はまちまちであるが,日本のそれがあまりに狭 身体障害者総数は1,977,000人(人口比a4%)と すぎることは,既に各方面から指摘されている 推計されている。前回(70年10月)調査から50・5 ところである。 %の増加である。10年間に663,000人の障害者が
(6)
増加している(表3)。これだけをみても,障害 (サ掘蝿
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エ鍛 口口含婁 の理由を探るためにも,全世帯実数調査が,不可欠 ナある。国際障害者年を契機として高知市が全市 詮伍 『く『く『『−o 訪問調査を実施するとのことであるが,こうした
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U6年の厚生省調査は,在宅精神薄弱者数(全年
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i表5)。ところが,71年の厚生省児童家庭局調査
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ネ置 1口1器§ 報告では,精神薄弱者総数31万2,600人,人口千 l比3.0人と大幅に減少した数を報告している。
榊 一一一ッ{丑 血 呂曾器918爲N「曽寸㊤卜瓢
71年調査は,前述のように調査の対象規定が不明
卸 軽旨 囲 であることを始めとして,真頼度は疑わしい。
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詮 て精神薄弱者数を算定しているものもある。例え
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¥鴇iをi謬8扁& 弱の判定基準が未確定であり,調査の設計自体一
憲 輿 F→@F噂病 一軸 層の困難が付随する。愛知,千葉,新潟,山口の
母母姻一増一暗母
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事例では,推定とはいえ数が確実に増大してい 驍アとを示している。また非常に高出現率を示し
表4 障害者数
1)身体障害者数(人) 2)精神薄弱者数(人)
対人口干人比 対人口千人比 備 考
北 海 道 137,878
i24。8) 手帳交付台帳登載数
青 森 34,313 5,146 1)80年3月31日現在手帳交付者数
23.0 (a3) 2)77・78年調査 精神障害者7,300人
41,715 岩 手 27,918(70年)
@29.6 79年度,70年度手帳交付者数
20.4(70年)
宮 城 44,267 22,314 1)80年3.月31日現在手帳交付者数
(21.5) (1α9) 2)推計
秋 田 19,196 80年7月1日実態調査
(15.1) 65歳未満の手帳保持者
山 形
28,950 Q0,521(70年)
@31.3
@16.7(70年)
2,369 Q.56
79年9月1日実態調査 P)18才以上の在宅身体障害者 Q)在宅精神薄弱児・者
福 島 54,880
i27.0) 80年3月31日現在手帳交付台帳登載者
茨 城 48,648
i19.0) 80年3.月31日現在手帳交付台帳登載者
栃 木 44,831
i24.9) 80年10.月1日現在手帳所持者
群 馬 40,162
i21.8). 80年4.月1日現在手帳交付状況
埼 玉
71,376 7,408 1)80年12月31日現在手帳所持者数
Q)80年12月31日現在療育手帳所持者数
(13.2) (1.3) 精神障害者 69,000人
63年全国調査より推計
56,551 9,839
千 葉 27,538(70年) 3,327(70年) 1)81年3月31日現在手帳所持者
(12.0)
@8.5(70年)
(2.0)
P.0(70年) 2)81年4月1日現在精神薄弱者名簿登載者数
P
神 奈 川 97,532
@14.2
14,116
@2.1 80年4月1日現在民生関係機関把握人員
53,353 9,798 80年3月31日現在
新 潟
(21.7)
9,576(79年)
i4.0)
1)手帳所持者
Q)精神薄弱児・者調査数
井上:地方自治体における障害者の生活 39
山 梨 17,204 1,144 1)81年1月1日現在 手帳交付数
(21.4) (1.4) 2)81年1月1日現在療育手帳交付数
長 野 53,543 80年3.月3:日現在 手帳所持者数
25.8
6.1662 16,900 1)79年度手帳交付状況
静 岡 2)推計
(17.9) (4.9)
精神障害者 29.700人(8.6)推計 富 山 30,075 3,716 精神障害者9,554人(8.7)
27.5 3.4
石 川 26,491 31年3月31日現在 手帳所持者数
(23.8) ㌔
福 井 23β41 4,000 1)81年3.月31日現在手帳交付台帳登載者数
(29.5) (5.0) 2)推定
62,369 12,371
愛 知 47,692(75年) 11,020(75年) 80年4月1日現在
⑲9) (L9)
45,235 8]年3月末現在手帳交付状況
岐 阜 30,253(77年) 77年10月1日 実態調査児・者数
(23.2) 77年出現率市部13.8
16.2(77年) 郡部19.9(男26.7)
大 阪 149,633 80年12月末現在手帳交付台帳登載数
(17.5)
和 歌 山 29,710 1,739
(27.0) (1.5)
13,735 77年8.月1日 実態調査児・者数
12,460(72年) 72年7.月,67年1{〕月調査児・者数
鳥 取 10,842(67年) 手帳所持者 77年 97.3%
(23.6) 72年88.3%
67年85.5%
28,632 3,129 1)70・79年度末手帳所持者数
島 根 21,799(70年) (3.9) 2)推定
(36.3) 精神障害者 8,737人(11.0)
広 島 59,686 8,300 1)81年4月1日現在手帳交付台帳登載者
(21.7) 2)80年4月現在推計
41,110 7,000 1)70.75.80年実態調査児・者数
35,411(75年) 手帳所持者数
山 口 25,068(70年) 2,738(70年) 2)80年推定
25.9 4.4 療育手帳所持者
22.8(75年) 75年度 1,949人
16.0(70年) 2.0(70年) 80年度 2,945人
33,374 3,458 78年8月1日 実態調査児・者数
愛 媛 1)手帳不所持者6.0%
(22.2) (2.2)
2)療育手帳所持者 2,286人
21,560 1,192 77年実態調査児・者数
1)手帳所持者
高 知
26.7 1.47
2)在宅精神薄弱者数 市部出現率 1.57人 郡部出現率 1.30人 精神薄弱者 2,489人(推定)
41,580 3,412 1)75.79年度末手帳保持者
佐 賀 34,537(75年) 4.1 2)76年1月1日現在児・者数
48.4 療育手帳保持者 76年 1,977人
41.0(75年) 79年 2,438人
46,943 12,000 1)79年度末手帳所持者
大 分 (38.8) (9.7) 2)推定
精神障害者 16,690人(13.5人)
38,221 80年3.月31日現在 手帳所持者
宮 崎 33,016(77年) 77年7月1日 実態調査児・者数
(33.1)
29.8(77年)
14,768 80年3月10日 実態調査
沖 縄 13.5 18才以上の在宅障害者
11.7(73年) 出現率郡部 22.1福祉事務所最高55.6
市部 9.3 最低 4.7 札 幌 市 28,964 81年3月31日現在 手帳交付台帳登載数
20.6
川 崎 市 10,493 1,850 80年3月現在 手帳交付数
(10.1) (1.7)
横 浜 市 36,908 80年11月末現在手帳交付数
(13.3)
神 戸 市 28,799 2,503 81年3月31.月現在 手帳交付数
(21.2) (1.8)
北九州市 29,643 2,764 81年3、月31日現在手帳交付状況
(27.4)
注D山形(1970年),千葉(1970年),は『障害者問題研究』17山田明「戦後障害者の生活問題と障害者実態
調査の発展(2)」より。
2)人口千人比出現率の()内の数値は,厚生省「人口動態統計月報(概数)昭和55年12.月分」の人口で障害 者数を除したものであり,参考までに掲げた。
井 上:地方自治体における障害者の生活 41
表5 年齢階級別精神薄弱者数
推計数年鯨)1総数1・−5}6−ul12−17118−23124−293・−35[36−41142−49148歳以上
全国推計数(人) 484,700 49,400 84,400 87,300 52,000 49,700 33,300 33,500 26,100 69,000 構成 比(%) 100.0 10.2 17.4 18.0 10.7 10.3 6.9 6.9 5.4 14.2
人口千人対 4.90 4.98 9.42 7.20 4.43 4.67 3.34 3.82 3.95 3.42
(1966年厚生省調査)
表6 大分県精神薄弱者(児)の状況 区 分 総 数
@ (推定) 施設希望者
@ (推定)
施設収容人員
@( )定員 充 足 率 備 考 児 童 人7,560
人1,570 330(380)人 21.0 % 4施設
成 人 4,440 1,969 954(966) 48.5 17施設
計 12,000 3,539 1,284(1,346) 36.4 21施設
(注)調査暁点は不明であるが80年3月の数値と思われる。
図1 宮城県知恵遅れの方の数(推計)
在宅99.1%
施設 0.9%
軽度
16,714(74.9%ン
在宅
?@ 91・2%中度
在宅
R3.7% 施設
@ 66.3%
4,217 i18.9%)
d度 22,314人
1,383人(6.2%)
ている大分(人口千人比9.72),宮城(同10.85)の 確な数字を決定しがたいことが県当局者をも悩ま 場合は,その内容は表6,図1の示すとおりであ している。愛媛県では,精神薄弱者数を3,458人
る。いずれも施設入所者を含む推定であるが,国 ととらえているが,その際S.50.6.30厚生省児童 の71年調査の30人は少なすぎよう。そして,厚 家庭局「精神薄弱の程度に関する判定資料」を参 生省自身,80年身体障害者実態調査報告「日本の 考にしながら,「生活能力」を勘案して総合的に 身体障害者」の中で,参考として,在宅と施設入 とらえようとしている。同様の方向は愛媛県にも 所の精神薄弱児・者356,000人という,70年10月 みられる。
の数値をあげていることも,このことを物語るも これに対し高知県調査では,IQ重視の観点を のといえよう。 とっている。調査方式の統一も,行政の効率化の さらに調査方法では,先に述べたように対象を 観点からは不可欠であろうが,むしろ個人の個性 どう捉えるか,現在の判定方法,調査方法では正 をいかに適確にとらえられるかの視点こそ必要で
あろう。その意味では,もともと統計的処理には 表9 国際障害者年の対象となる障害者数
限界があるのである。ここでは,具体的な精神薄 (和歌山県)
弱者の捉え方として,山形県の例を参考として掲 対象者1国 1 県
げておく(表7)。 身体障害児 人110,000 人1,222
表7 山形県の精神薄弱児・者把握方法 身体障害者 2,027,000 28,488
精神薄弱児・者とは・精神発育の遅滞又は知的能 精神薄弱児者 356,000 1,739
力のおくれにより,自己の身辺の処理又は社会生活
重症心身障害児 20,000 (157)
への適応がいちじるしく困難な者で,次に掲げる者
をいう。 精神障害者 1,000,000 (入院2, 935通院1,121)街・56
ω療育手帳の所持者。
戦 傷 病 者 150,000 (1,774)
(21障害年金又は障害福祉年金の受給者。
(3)特別児童扶養手当の受給者が看護している者。 ねたきり老人一一 一__ 386,000 4,707
〔4)心身障害者扶養保険の被保険者。 (
}
特定疾患治療研究
ホ象者 100,000 895
1:耀灘蕪神縮甦相談所の判定1. 小児漫性疾患研究
ホ象者一一 50,000 334
おいて精神薄弱者と診断された者。 結 核 患 者 310,000 (入院545通院1,867)乞412
(7}福祉事務所,町村において従来から精神薄弱者 として指導してきた者。
3.精神障害者の状況
総ロ障害者年という 合 計
4,510,000
(】,931)45,784
ことで,身体障害者,精神
薄弱者に加え,精神障害者の数を回答してきた県 ()内・重複していると考えられる人員であるが,
ねたきり老人中に重複者がいると推測出来る。もいくつか存在する。この場合,精神薄弱者より
もさらに実態は不明確である。特に,埼玉(表8 表9にかかげるような4万5,784人という数を推定 参照)・静岡,富山は,63年の精神衛生実態調査 している。正確さに疑問はあるにしても,行政施 の結果の人口千対有病率8・7・あるいは・精神薄弱 策の対象として障害者概念を拡大しようとの意欲 者を含んだ12.9を人口に乗じて推計するという安 はうかがえよう。現在は,それぞれの対象者を適 易な方法を用いている。その他,和歌山県では, 確に把握することから,全自治体は出発しなけれ 一応国際障害者年の対象となる障害者数として, ばならない時点にあるといえるであろう。
表8 埼玉県精神障害者推計数
i 精 神 病
精神 その他
総 数 分裂病
そうう
ツ 病
て ん ゥ ん
脳器質
ォ精神瘧Q
姦2精神病
計
薄 弱s 愚
秩@痴 精神病
埼玉県推計数
人69,000
12,300 1,100 5,600 11,500 1,300 31,800 22β00 14,900 実昭
ヤ和 全国推計数
万人124
22 2 10 21 2 57 40 27
調38
ク年 人口千対有病率 12.9 2.3 0.2 1.0 2.2 0.2 5.9 4.2 2.8
結全ハ国 百 分 率
1。彩
17.8 1.6 8.1 16.7 1.9 46.1 32.3 21.6
(注)昭和38年に行った,厚生省の精神衛生実態調査結果に基づき,55年3月31日現在の県人口をもって推計
した。
井上:地方自治体における障害者の生活 43 なお,障害者の態様,程度等につき多くの問題 査では10%程度が先天性障害に分類されている があるが紙数の関係で割愛する。 (表10)。この領域での障害発生の防止はもちろん,
口 障害の原因 90%を占める疾病。事故による後天的障害こそ根 1・身体障害者 絶可能なはずである。国連「行動計画」は,国際 厚生省80年調査によると,疾病を原因とするも 障害者年の問に行なわれる活動は実質的なものを の63.8%,事故を原因とする者24.5%となってい 指向すべきで,活動の焦点はプライマリー・ヘル る。特に前回に比較して,脳卒中等その他疾患と, ス・ケア,リハビリテーション,疾病予防事業に 交通事故の増加が目立っていると指摘されている あてられるべきだとする(64項)。それは,社会が が,労働災害の増加率も交通事故に劣らず51.3% 障害者の数と障害の程度を軽減することができる
と大きな伸びをみせていること,戦傷病,戦災が ようになったことを前提に,これらの活動は,社会 29.3%の増加をみせていることに注目したい。こ 的・人道的観点から重要だとするものである。さ
うした状況は,障害者が現在の生産体制,社会制 らに,国際障害者年が,世界平和のための諸国民 度の仕組みによって,まさに作り出されているこ の,継続的で強い協力の必要性を強調する一つの
とを意味している。と同時に,戦争の後遺症が障 機会とされていることにも留意しなければならな 害者に集中的に表われて,いまだに苦しめている い(60項)。障害者のうち多数の者は,戦争及び
といえよう。 他の形態の暴力の犠牲者である。
国際障害者年において,もっとも重視されなけ ここでは,沖縄県の場合をみてみよう(表11)。
ればならないのは障害発生の予防である。各県調 73年調査との比較では,全体数では,1.23倍であ
表10 障 害 の 原 因 別状 況
①先天1生 ②交通
@事 故 ③労働
@災害 ④その他@事 故 ⑤疾病 ⑥戦争 ⑦薬害 ⑧その他 ⑨不明 ⑩分類
@不能 秋 田
i1980年)
4.2% 122 4.5 76.3 2.8
山 形
i1979年) 12.4 3.0 10.0 66.6 8.0
栃木i1980年) 11.6 3.3 4.6 7.2 71.2 2.0
新 潟
i1980年) {2.9 3.1 8.5 58.8 3.9 7.2 5.6
一長野 (1979年)
11.0 2.6 6.5 0.7 73.7 3.2 2.3
静 岡
i1979年) 13.2 3.9 8.4 5.5 63.8 3.1 2.1
岐 阜
i1977年) 8.1 a・la・ 1a 4 65.5 4.0 0.5
愛知 一 9.7 1 (事故)31.6 1 38.6 16.3 3.8
(1980年) (うち労働災害によるもの592%)
高 知
i1977年) 10.0 4.3 1α3 6.5 19.1 6.4 0.9 25.6 16.8 鳥 取
i1977年) 4.1 8.9 58.3 5.0 i 23.7
宮崎i1977年) 11.5 2.8 7.5 8.7 39.0 4.2 26.3
沖 縄
i1980年) 6.3 6.7 45.2 13.4 15.4 9.9
北九州
i1974年) 14.4 3.8 9.8 9.4 49.4 3.1 10.1
(注)分類基準は統一されていないので単純比較は困難である。