販売会社と販売金融会社
瀬 戸 贋 明
Ⅰ資本と流通過程 1.信用の必然性
(1)
信用の必鰍陸は資本の流通時間の止揚に求められる。こ.の信用の必然性が信 用の基本規定である。信用の基本規定は資本の再生産過程での資本の運動との
(2) 関連で展開される。信用の基本規定ほ1■資本・一一般」の論理段階に.ある。この点
を以下の
「『経済学批判要綱』紅・おける信用への関説ほ,まず「資本一般」の範囲内での,資本の 直接的生産過程だけでなく流通過程をもそ・の必然的契機とするものとしで措定されること
把・よる,資本の内在的諸規定の開展として:その特殊な諸規定に対応しで,そこに内的紅措定されてくる資本運動に・たいするもろもろの制限を止揚することを要請する「資本の必然 的傾向」としてあたえられるというべきであろう。資本の特殊な諸規定の開展として諮制 限が措定されるとともに・,それの止紛への契機としてこの信用もあたえられるのである。だ
からそれはまだ資本運動のうちに資本の傾向としての信用の契機,・その必熱性があたえら れるという段階に・とどまって∴おり,自立した信用の諸形態あるいはその諸機能,その具体的態様ということに及んでいるというべきではないであろう。後者はこの『要楓』の段階
でほ,まさしく「資本」の「Ⅰ一般性」=「資本一・般」をと.える「ⅠⅠⅠ個別性」の諮項 目の固有の対象領域とされたと考えなければならない。これ紅たいして前者,いわば信用
の必然睦は,以上紅明らかなようにイ資本一般」の範囲内で論じられて:いるこ.と紅なり,
(3) 信用の「基本規定」とよばれるものが,それに該当すると考えられる。」
流通時間の止揚とほ(1)「商品資本」の「貨幣資本」への姿態変換が行わ
(1)〔3〕244克,253真。
(2)〔3〕231貢。
(3)〔3〕241・242貰。
貨52巻 弟1・2号
− 2 −
れ,(2)後者が】 ̄生産条件」としての資本に姿態変換する,この(1)と(2)
に.要する継続時間を止扱するこ.とにはかならない。「だが問題はまさにイ商品資
貨︶ム 幣
ト=−つ
の ろ
﹂ あ 本 で
ここで(1)から商業信用,(−2)から銀行信用が生ずる。商業信用ほ.き ̄再生
(5)
産にたずさわっている資本家たちが互いにあたえあう信用」であり,「諸資本 の相互的行動把ノより,資本の要請する価値増殖の最大化をはかるその再生産過
(6)
程の流動・連続性を実現するものに.はかならない」。これに対し銀行信用は商業 信用を基礎として1「「生産諸条件_トに変態するt ̄貨幣資本_lが,本来,流通で
ヽ
の変態局面に拘束されざるをえない本源的資本とは別に,追加的にあたえられ るという方向においてム「諸機能資本家から分離された貨幣資本家を想定し,
(Jl
行信用についても,「現実には銀行信用と′してあらわれる貨幣信用の形態もそれ
(8)
のである。
販売会社と販売金融会社は寡占的産業資本の商品資本,貨幣資本のl ̄ 自立」
形態であり,目的はどちらも親メこ・カ−(寡占的産業資本)の資本の流通時間 の短縮にある。
2.産業資本と商業資本一商業資本の自立化−
(9) 販売会社と販売金融会社のl ̄自立」を論ずる前に.,商品取扱資本(商業資本)
と貨幣取扱資本(銀行資本)の自立化紅ふれておくことが必要である。ただし,
貨幣取扱資本の自立化についてほ,販売金融会社の! ̄自立化」が次小節でみる
(4)〔3〕253貴。
(5)〔9〕ⅠⅠⅠ原審Sひ523,邦訳⑨679貢,〔3〕254貢。
(6)〔3〕256茸。
(7)〔3〕253・254亘。
(8)〔3〕27碩,本文につづいて,つぎのことが述べられる,すなわち,「個別資本紅と って:の所有資本量の限界止場ということは,このようにして措定された貨幣信用一銀
行信用一の機能のもう一つの側面として「実現される」のである。
(9)販売会社を親メ−れ−が国内市場紅おいて自社製品をそこを通じて販売させる目的 で出資・設立した.商事会社と属義する。販売金融会社についてほⅠⅠⅠ節を女られたk、。
販売会社と販売金融会社
【− 3・−・
よう軋商品取扱資本の自立化の現実的条件にもとづいて,なされる形態である ので,商品取扱資本の自立化に.ついてのみ論じられる。
(10) ! ̄商品取扱資本にたいし,自立して機能する1資本たる性格を与える」2つ
のモー・メソトがある。第1のモ−メソトほ価値実現機能であり,第2のモ−メ
(11)
ソトほ資本投下機能である。
産業資本はGd・W・…P…W′1−G′と,貨幣資本一商品資本‥1・生産資本…価 値増殖された商品資本−−増殖された貨幣資本という姿態変換を行う。この姿 態変換のくりかえしは回転である。価値実現機能ほW′−−G′すなわち資本の「舞
(12)
1の姿態変換_l機能を商品取扱資本が行うことである。しかしこの機能のみで あれば産業資本の販売部でも能くこれを果たし得る。したがってなお第2のモ
−メソトである資本投下機能が加わるのでなければならない。商品取扱資本が みずからの責任で(onitsownaccount)産業資本の商品資本を買取る,すな わち商品取扱資本はW′−・G′のために.その前段階G−Wを実現する。すなわち 貨幣資本(自分の,またほ借りた)をこの位眉で投下することによって一策2の
t13\
モーメントが入ってくる。
本小節の意義は商業資本の資本投下機能に関連して−,つぎの点に.ある。産業 資本の生産物の価値実現のためには流通過程が存在しなければならない。しか し流通過程が存在するが故に.,生産過程紅追下役下しなければならない資本慮 が存在する。この資本ほ商業資本(商品取扱資本)とし七自立している。した がって一産業資本は商業資本を排除して流通過程を支配しようとしても,この追 加投下すべき資本を商業資本が握っているので,できない。
3.寡占資本の流通過程一商業資本の排除一
本小節では商業資本の排除があって,しかるのち販売会社,販売金融会社の 成立がとかれる。
(10)〔.9〕ⅠⅠIs.302,邦訳④391頁、。
(11)資本投下機能は資本前貸(advance)機能とも称されるが,本稿では資本投下機能
に統一・する。
(12)〔9.〕ⅠⅠIs.303邦訳④391・392員。
(13)この資本投下機能の決定的恵義については〔21二j参照。
第52巻 第1・2号
− 4 −
一一方に.おいて,寡占資本の成立ほ商業資本の排除を論理的に.ともなう。寡占
資本の主要特徴紅参入障壁が存在することが含まれ,このことは流通部面の統
(14)
合,市場配給組織の所有・掌握を含意サーる。勿論こうほい・つてもこのことほ
生産部面での寡占化が流通部面での市場配給組織の所有・掌握に向わせ,また 逆把流通部面の支配が寡占資本の成立を完成させるという関係を否定するもの ではなく,むしろこのような関係こそ上の主要特徴とな?てあらわれるのであ
(16)
ろうが。寡占資本の成立は,そ・のようなわけで,商業資本の排除をともなう。
商業資本の排除ほ同時に商業資本のもつ資本投下機能,すなわち寡占的産業資 本の生産物をみずからの責任で買取る機能の寡占的産業資本による草受をも排 除する。
(16)(17) 他方,生産期間ほ短縮し流通期間は長くなるという20世紀の資本主義の傾向
の下で寡占的産業資本の投下資本(生産部面,流通部面を問わず)のうら剰余 価値の生産に参加しない部分が相対的に増大する。
結果として,寡占資本のうちの商品資本が増大する。この商品資本部分を分
離・独立させること、把.より寡占資本ほ商業資水のもつ資本投下扱能を享受しようとする。こ.の分離・独立把.際して,商業資本自立の2つのモ嶋・メソトがやほ
り生きている。
(14)〔2)
(15)排除には既存の商業資本の排除のみなら・ず,商業資本が存在しない部門での流通径 路の構築をも含む。後者め身近な例として1965年前後の日本のサッシメーカ−・の流通 過程への進出があげられる。このとき,年間売上の何倍もの投資を地区販売会社網の 構築紅あてた後発メー′カ−が現在のマノーケツトレェア1位企業である。このときの流 通径路はメー一九ー・一版売会社一地区販売会社−−こ1−ザーー(建具屋)であり,これほ現
在も変らない。
(16)生産期闇は原材料の生産過程への投入から製品として:の完成までの時間的長さをい う。生産時間には2種あり,生産期間の意味で用いられる場合とある製品の生産に.要
する給時間の意味紅用いられる場合がある。この総時間の意味での生産時間は生産期
間に.等しいか大きい。流通時間と流通期間は同じ長さである。何故ならば生産過程における並列した工程のようなものほないからである。本稿紅おいて,生産期闇と生産 時間は区別して用いられるが,流通時間と流通期間は文脈濫.より適宜用いられる。詳 細は別稿イ生産期間と流通期間」把.委ねられる。
(17)生産期間の短縮,流通期間の延長に.ついて:は別稿「生産期間と流通期間」を用意し でいる。
販売会社と販売金融会社 ー ざ −−
(18) 第1に価値実現機能。すで紅『資本論』でも指摘されている通り,価値実現
機能ほメーカ−(ここでほ寡占資本)の販売部でもこ.れを果たすこ.とができる。
したがって販売部を分離・独立させることによる商業資本の機能の擬制は第2 のモ−メソトの擬制によっで現実のものとなる。
第2に資本投下機能。メ、一カーの販売部の分離・独立紅より,親メ−カーと この商品取扱資本の間に商業信用の授受が行われる,すなわち掛売買とこの商
(19)
品取扱資本振出手形による決済の形がとられる。
(20)
この商業信用に.もとづいて親メーカーは銀行信用を受ける。すなわち商業信 用とそれにもとづく銀行信用という形をとるのは信用の必然性の論理段階を擬 制することによってはじめて信用の取得が可能となることを意味する。信用を 受けることによって一得る貨幣資本は他の資本の資金である。すなわち社会的資 本の利用である以上,こ.れら他の資本の納得を得る形態として一産業資本主義段 階の信用形態を擬制せざるを得ない。
前小節で販売金融会社のl ̄自立化」は商品取扱資本の自立化の現実的条件に もとづいてなされると述べたが,これ紅ついて考察しよう。
商業資本を排除してみずから流通過程に乗り出す以上,販売部を分離・独立 させると否とにかかわらず,この寡占資本の商品を回転させるぺき商業資本紅 あたる商品資本部分が必要となる。したがって寡占資本の生産物が貨幣形態で 還流するのに・この商品糞本部分に・あたる時間だけ経過しなければならない。す なわち現金決済というわけにほいかなくなる。しかるにアメリカ資本主義にお
(18)〔9)ⅠⅠI16章s.302・303邦訳④392貢二。
(19)「掛売り・掛買い関係は,当然一定期限ののち紅,商品価格=債務金額の支払い契
約を確認するための債務証番たる商業手形−documentofdeferred payment(延払
証番)を生成せしめる」〔4〕167頁二。(20)「手形期限ほ信用をあたえる資本家の事情,その販売時間によって規定される」
(〔4〕)ので,この商業信用のみによって二親メ−カーの流通時間の止場は実現され得な いのである。分離・独立した商品取扱資本が親メー「カ−の商品資本を回転させるため 把.,不足の資本を調達するといってこも,そこ紅は自ら魂ずからの販売時間,魂ずから の資本の還流状態に.よる制限が厳として二存在するのである。なお,商業信用が銀行信 用の基礎であることについては「4〕第3章「銀行信用」参照。
第52巻 寛1・2号
ー 6 −
(21)
いてほ,その寡占資本確立期に.おいて現金決済が支配的であった。
寡占資本に.とっての流通時間の止揚がすでに実現している場合には,この寡
占資本にとってもほや信用鵬商発信用,銀行信用の擬制⊥〜を受ける必要ほ 全くない。しかしながら,信用は再生産過程への資本投下の効率の最大化を求
めての流通時間の止揚にその必然性の根拠が求められる。しかるに.,生産期間 の短縮,流通期間の長期化は再生産過程において「流通時間の延長を必然化し,
(22)
したがって所要流通資本量の増大を結果する。ここまでくると,流通時間の止 扮を寡占資本にとっての流通時間の止揚と修正しなければならなくなる。
流通時間の止扱がすでに.実現している資本主義経済においては,商業信用 に基礎をおいて一成立すべき銀行信用ほやはり存在し得ない。このような条件の
経済に.おいて,寡占資本の商品資本が商品取扱資本として自立するとしよう。この自立紅よって親メーーカ−・(寡占資本)とこの商品取扱資本の間に.現金決済
を維持するためにほ,この商品取扱資本の投下すべき資本が親メ」−カ−から全 員予め供給されているか,あるいほこの商品取扱資本に社会的資本を集めるこ
とが条件である。自立した商品取扱資本紅予め親メ−カ−・との間の取引の決済に用いるべき資本が全鼠供給されているならば,商品資本の商品取扱資本とし ての自立の第2のモ−一メソトが失われ,したがって自立は無意味となる,した がってこ.の商品取扱資本に社会的資本を集める場合に意味があ商業信用が
)なく,したがって−それを基礎とした銀行信用もないので,この商品取扱資本が 振出した手形を親メ−か−が銀行割引に.付するという信用形態はとられ得な
(弘) (25) い。残るのほ.商品取扱資本として尊名で銀行よりあるいは金融市場より資本を
動員する方法である。こ.れは商業資本自立化の擬制ではない。何故ならば,取
(21)アメリカ資本主義における現金決済紅ついてはⅠⅠ飾で詳説される。
(22)流通資本は商品資本と貨幣資本から成る。
(23)これは抽象の段階の議論であり,実際紅ほこの欝2のモーメントを期待せず,租税 対策,事業部制の徹底(生産と販売の茸任の明確化)等の視点より,分離・独立させ
ることはあり得るのであるが。
(24)銀行より単名借入。これで手形割引より,論理段階として,より現象紅近づく。
(25)Open market。ここでは信用が生産過程より離れる。〔4〕籍5章の3「金融市場 の完成としての証券市場」参照。
販売会社と販売金融会社 ー・7・−
引としては商品取扱資本とそ・の次の間でも手形決済は行われていないので,こ の受取手形を担保紅商品取扱資本が学名で借入れることはできないからであ る。手形決済の支配的な資本主義経済の下で寡占資本から分離・独立した商品 取扱資本が独自に.資本を調達する場合に.は,取引を基礎に.おいた資本調達が可
(2¢) 能である。
商業資本を排除してみずから流通過程に.乗り出し,その生産物を回転させる 寡占資本。しかし,流通期間が資本主義の発展につれて長期化する.以上,寡占
(27)
資本の資本のうち商品資本形態にある部分が生産資本形態にある部分に対して 増大する。しかし,寡占資本に.とっての流通時間の止揚がすでに実現している 経済に透ってこは,寡占資本の定在は生産資本と貨幣資本である。したがって貨 幣資本が貨幣取扱資本として自史・し,寡占資本にとっての流通時間の止扮を維 持継続するのが自賂である。すなわち再生産過程全体からは商品取扱資本とし て自立すべき資本部分が個別の資本の観点からほ貨幣取扱資本として自立す る。そして貨幣取扱資本に.とっての自立の形態の1つが販売金融会社である。
この貨幣取扱資本に.よって親メーカ−の流通時間の止揚が維持されるという とき,所謂卸売金融が想定される。すなわち貨幣取扱資本は小売商等(ディ−
ラ−)に.金融し,ディーーラ−・はこれによって得た貨幣資凍で寡占資本の商品を 買取る。寡占資本の流通時間は依然として止揚されている。
自立した商品取扱資本も小売商業資本もともに信用を与えられる側にある。
生産期間が短縮するのに蘭し流通期間が長くなることはこの与えられるべき信 用を増大させるが,与えられた信用に.対する支払利息という負担から,これら 商品取扱資本あるいほ小売商英資本が流通期間の延長に・対して信用を受ける能 力に限界がある。商品取扱資本を自立させた寡占資本(親メ」−か−)はこの商 品取扱資本の負担できない分を,商品取扱資本が振出した手形を銀行割引する
(26)もっとも,この商品取扱資本の取引先もまた同一・の寡占資本の支配下にあるとき,
この取引先の振出した手形を担保に.この商品取扱資本が資本調達するのは商業信用,
銀行信用の擬制である。
(27)資本が生産過程に.おいて採る形態を生産資本と呼ぶ。
算52巻 繹1・2号
ー β・−
ことに.よって受けること紅なる。これ紅よって流通時間は止扮される。すなわ
ち親メ−カーとその商品取扱資本が負担を分つことに・よって流通時間ほ止揚さ
れる。
ところが,貨幣取扱資本を自立させた寡占資本にとっては,小売商菓資本振 出の手形を銀行割引札付するという形での流通時間の止揚は,現金決済なので このような割引制度が存在せず,不可能である。この親メ−カーが受けるぺき
(負担すべき)信用が消費者信用の態形を採ることとなる。ここでほ,手形決済 が支配的な経済に.おいて寡占資本とその商品資本の自立した商品取扱資本が流 通時間の止揚を実現するため紅分担すべき負担が,小売商業資本と消費者に・帰 属することになる。
消費者は寡占資本の再生産過程に,寡占資本の支配的な経済全体の再生産過 程紅消費者としてあるという意味でほ組込まれているが,特定の寡占資本から
は自由である。そ・こ.で,現金決済の前提の下では,使用価値を購買した特定の 寡占資本の貨幣取扱資本から信用を受けるこ・ともできるし,それ以外の貨幣取 扱資本から受けるこ.ともできる。しかしこの点は本小節の主題では・ない0「メ−
カーと販売金融金木L】という主題に催せられ
前小節本小節の論理は矛盾してV、る。前小節では産業資本は商業資本を排除 して流通過程を支配しようとしても,流通時間が存在するため追下投下すべき 資本を商業資本が握っているので出来ないことが示された。これに・反し本小節 は商業資本の排除があって,しかるのち寡占資本の商品資本,貨幣資本の自立 形態の成立という論理が展開された。この矛盾が販売会社,販売金融会社を生 む。すなわち販売会社,販売金融会社はこの矛眉の解決である。
4.商品取扱資本の資本投下機能について
本小節でほ産業資本の価値実現牢・おける矛盾が商品取扱資本を自立させるこ
とが示される。商業資本の自立化に関する学説の主流は泊立化の根拠論であ
る。商業資本が自立することに.より社会的平均利潤率が上昇する。したがって
商業資本を排除することに.より寡占的産業がより大きな利潤,より高い利潤率
をあげることができれば,商業資本自立の根拠は失われるわけで,商業資本は
販売会社と販売金融会社 − 9・−
排除されることに・なる。こ・れは論理的に・整然とした理論である。しかし商米資 本の有サーる資本投下機能を論理の中に・どのように組入れようとするのかという 点に・疑問が残る。ところが筆者の販売会社,販売金融会社論では資本投下機能 が中心的位置を占めている。販売会社,販売金融会社の自立化紅際してもこの
ことはあてほまることほ前2,3小節で展開した通りである。諸商品ほ,みずからを諸使用価値として実現しうる(産業的消費者であれ,
個人的消費者であれ,消費者が購買してはじめて使用価値が実現される)前に,
みずからを諸価値として実現しなければならない。他方において諸商品は,み ずからを諸価値として実現しうる前に諸使用価値たる実を示さなければならな
(2$)
い。これほ矛盾である。
『資本論』第1巻ではこの矛盾の解決として\貨幣商品が現われる。貨幣が貨 幣資本として現われるとき,G′を見込めるときGとして投下される商品取扱資
(29) 本として産業資本の生産した諸商品の価値を実現する。
産業資本の共同行為によって商品取扱資本を独立させ,この商品取扱資本に
『資本論』第1巻の貨幣の役割を果たさせる。商品取扱資本ほG′を見込めるも
(30) のに対してしかGを投下しない,すなわち産業資本の生産した諸商品を買取ら
ない。商品取扱資本に眉取らせることができれば,産業資本はみずからの生産 した諸商品の価値を実現したのである。
商品取扱資本がG′を見込んで,その昔任において,産業資本の生産した諸藩 品を買取ることほ,諸価値として実現される前払諸使用価値たる実を示したこ
と紅なる。
この商品取扱資本のG′を見込んでGを投下する機能,すなわち資本投下機能 のおかげで,産業資本ほその生産した諸商品の価値を実現する,すなわち貨幣
(28)〔9〕Is.91,邦訳①163頁。
(29)「産業資本の単なる1実存形態としての商品資本紅射する,この商品取扱資本の関 係はどうか?亜麻布製造共著についていえば,彼は,商人の貨幣で自分の亜麻布の価
値を実現し」たのである。〔9二〕ⅠⅠI16章s.299,邦訳④388真。(30)「消費者に.声いしてはその共同購買機関として役立っている」(〔11〕65真)がこれ
にあてはまろう。価値実現機能に・よって二裳打ちされる資本投下機能。第5芦巻 算1・2号 10
−−Jβ−
形態での資本の回収を実現する。こ.の回収された貨幣資本は直ちに生産過程に
再投下される。産業資本の価値実現における矛盾が商品取扱資本を自立させるのである。
商品取扱資本が産業資本の生産した諸商品を買取ること紅よって流通過程を
担当するや,①産業資本ほ「いまや,彼の資本のより大きな部分を挺えず本来
(31) 的な生産過程に.充用し,より僅かの部分を貨幣準備として−充用しうる」し, ⑧
商人資本が必要な比率を超過しなければ,(イ)流通費用の節約,(ロ)流通時
(32)
間の節約,(ハ)流通資本そ・のものの節約が考えられ得る。④の議論は「いずれ も,平均利潤率の上昇ということを大前提に.し,その上に立って商業資本自立
(83) 化の根拠を求めているように理解される」。「この平均利潤率上昇に・対する商業
資本の役割というメカニズムの問題紅ついても,なお問題がないわけではな
(84) い」煎,我国における自立化論争の有力な流れであることは否定できない0『資
(85)
本論』の著者もたしか紅この平均利潤率の上昇については触れているが,この ことをもって商業資本自立化の根拠となす指摘はしていない。
l ̄自立化の根拠−1の意味が,それがなくなれば商業資本が自立して−は存在し
なくなるという意味紅用いられているとすれば,商業資本の排除は.この根拠がt361 なくなるとき紅行われること鱒・なる。
商業資本自立の根拠を社会的流通糞用の節約に求めるとき,得られる流通費
し37,− の節約効果を独占利潤が上まわるならば,商業資本の排除が必然化する。この
(88) 論理ほ独占以前の資本主義商業の自立化と独占段階の商業排除とを矛盾なく説
(39)
明してはいるが,矛眉なきが放紅.,販売会社,販売金融会社の資本投下機能を
(31)〔9〕ⅠⅠIs.305,邦訳④395。
(32)〔9〕ⅠⅠIs.306,邦訳④396。
(亭3)〔7〕15見。この立場にたつ学説として,例えば〔1〕,〔11〕があるふ
(34)〔7〕15貢。
(35)〔9〕ⅠⅠIs.311,邦訳④402頁。
(36)「根拠の喪失ほ資本制社会における独立商業資本の存在の否定を招来するものと解 される。(〔り218頁)。
(37)〔6〕205・206京,〔11〕249貰。
(38)〔11〕68−70頁。
(39)販売会社は「資本投下を節約しつつ支配を強化する手段として独立中間媒介者の従 属化,系列イヒ」(〔1〕230頁)という場合の会社とは異なる。
販売会社と販売金融会社
−ヱJ■−
11
そ・の論理の中に位置づけることができない。
ⅠⅠ商品資本,貨幣資本の【 ̄自立」と取引の決済方法
Ⅰ節でほ,販売会社,販売金融会社ほ寡占資本が信用によるその流通時間の 止.揚をめざして自己の商品資本,貨幣資本を自立させたものであること,また 販売会社,販売金融会社に.よる流通時間の止揚がなければ寡占資本は存立し得 ないことを,できるだけ抽象的,一般的に.論じた。この自立形態の差違ほ取引 の決済方法の差違紅対応する。さらに.,寡占資本の生産期間は短くなり,流通 期間ほ長くなるという基本的視点からすれば,実質ほ.商品資本であるべきもの が貨幣取扱資本という形態で自立するのである。
流通時間の長期化ほ20世紀に入っての資本主義の傾向である。取引の決済方 法を与件とすれば,Ⅰ節におけるように寡占資本の流通時間を止湯するための 相異なる自立形態がある。でほ何故取引の決済方法が異なるのか。
現金決済の支配的な経済においても,寡占資本の生産期間が短くなるのに.射 し,流通期間は長期化するという基本的現点からすれば,実質は商品資本であ るべきものが貨幣取扱資本として自立するのである。したがって,取引の決済 方法のうちでも現金決済をとくに.問題としなければならないであろう。この間 題に対する回答は,我々の視点よりすれは,現金決済の成立の事情はどすであ れ,/流通期間の長期化が傾向であるかぎり,この決済の維持は信用によってほ
じめて可能となるということ.である。さて,この問題を現金決済の支配的なア メリカ合衆国の経済について考察することにしよラ。
アメリカでも内戦(所謂南北戦争)以前に.は手形(COmmerCialpaper)によ
(40) る決済が支配的であったし,したがって製造業でほ割引紅よる資本回収が行わ
(41)
れていた。こ.の時代商業資本は産業資本に対してfinanCierとしての機能を果
l 4巴1
し,これが価値実現機能と並ぶ商業資本の2大磯能の1つであった。
(40)〔頼〕p.129。
(41)〔14.〕p.74。
(42)商業資本が産業資本の生産物をみずからの費任で買取る資本投下機能は商業資本の
第52巻 第1・2号
12
−ヱ2−
しかるに.内戦軋よって蓄積された産業資本における莫大な利潤ほ商業資本の 産業資本に対するfinancierとしての存在を不要なものとした。また内戦中の
(43)
需給関係から現金決済が初めて実現し,これが内戦後もつずいた。
内戦以来の現金決済またほそれに近小短期決済ほ商業資本の負担の上に・20世
紀初頭まで基本的に維持。継続されて釆た。
実際には2つの流れがあった。(1)「内戦,それは現金割引を広範な企業実践たらしめ,
(44)
その結果銀行からのpersonalloansの利用を惹起した」。(2)内戦後金く手形による決 済がなかったというわけではない。billofe7 Change声tradeacceptance(後者ほ前者 の1種)に.よる決済も行われていた(1部現金,1部手形という場合もある)ようである
く47)
極5) (46) が,19世紀末より,企業間取引の決済で買手が単名(Singlenamepaper)で鍛行より資
¢8) (49)
金の融通を受け,現金で決済するという方法が広く利用されるようになった0
(50)
決済把手形(notes)を用いる割合は,もっとも古い統計のある1925年で金製造業で0・168
(notesreceivable/notesandaccountsreceivable)と小さい。それ以降のデータでは売
掛金(accountsreceivable)と受取手形(notesreceivable)を合算した数値しか発表さ(51) れてこいないので分らないが,大きな割合を占めて.いると考えられる根拠は全くない。
20世紀初頭の大患生産方式の確立に僻う大畠販売の出現とともに・,現金決済 のまたはそれに.近い短期決済の維持ほ困難となった。商業資本の負担力に限界
産業資本K.対する手形(commercialpaper)の振出し,この手形を産業資本が割引 紅付す(必しも銀行割引とほかぎらず,むしろnotesbI・OkeIとしての商業資本から の割引が目立った,すなわち商業資本は商品取扱資本であると同時に・貨幣取扱資本で もあった)という形で存在したが,同時に商業資本は産業資本紅対する長期資本の貸
与者,運転資本の貸与者でもあった。なお,運転資本を貸与する見返りとして,産業 資本の生産物ほこの商業資本が取扱うのである(〔141〕)。Porter&Livesayほこの2 つの機能をdualI・01eと表現している(〔14二〕p・128)。
(43)〔14〕pp.125−129。
(44)〔12〕p.8。
(45)〔12二〕p.6,p.8。なおtrade acceptanceは日本の商取引の結果として:の為替手 形紅最も近い。これ紅ついての詳細は〔13〕をみよ。
(46)〔12〕p.7。
(47)〔13〕p.錮5。
(48)振出したnotesを銀行に仲介するのがnotesbroker(〔:13〕p・699)0
(49)〔10〕75貫。
(50)〔20〕
(51)アメリカで手形取引が発達しなかったことほ〔8〕と〔.13〕のそれぞれのtIade
acceptanceの項に詳述されている。販売会社と販売金融会社
ーJβ−
13
(52) があるからである。大畠生産方式の確立以後(就中自動車産業把おける)の現
金決済の維持はそれまでの商業資本の負担紅よる現金決済とほ.質的に.異なる。
商業資本の負担の形態が,そ・れまでの自己資本あるいほ不足部分の金融市場よ りの借入れから,卸売金融の利子負担庭.変化する。
問題は,このような質的に.異なった現金決済の維持が何故可能であるか,と いうことである。
販売金融会社の資本調速は販売会社の資本調達に.相当し(前者がOpenmaI・
ketよりで,後者が金融機関よりというちがいぼあるが),資本調達で補えない 部分(これは回転によって規定されることほⅠ節でみた)を,日本でほ販売会 社振出手形の親メ−・カーに.よる銀行割引でまかない,アメリカでほ消費者信用
でまかなう。
寡占資本確立後のアメリカ経済に.おいて,メーカ−から個人消虫者に至る各 段階で現金決済が維持されるのほ卸金融,消費者金融によって:である。経済の 規模との相対的関係という視点からは信用ほ必然的であったのであり,ただそ れが,それまで再生産過程と信用という視点からは考えられなかった消費者信 用という形をとるところが日本経済とは異なるのである。
アメリカに.おける消費者信用ほ.1930年代の生産金融の停滞,政府の財政スぺ
(53)
ンディング紅よる過剰資本運用分野として発達し.第2次大戦後! ̄政府の財政
スペンディングとともに」 ̄市場創造」・有効需要創出の手段として資本主義的(馳) 再生産=蓄積機構のうち比定著していくこ・とになった」甲であるが.こうした
ことは現金決済の維持との関連で必然的であったのである。
(52)割賦販売(消蟄者信用)の未だ盛んでなかった1925年において,メL−・カーの売掛債 権回転期間は1.99ケ月(notesand accounts receivable/売上高1ケ月分)であり,
商業(T工ade,卸売業と小売業の和)のそれほ3.41ケ月と長かった。この後剖威販売
の普及により,10年後の1935年に.は,メ」−・カ−の売掛債権回転期間は1.92ケ月と殆ん
ど変らないのに対し,商業のそれは1.42ケ月と著しい変化をみせている。商業の1925 年の資本負担を1.42ケ月(3.4け月−1。99ケ月)とみなせば,これは商業の資本力の 限界を示すものとなってこいる〔20.〕。なお,統計の詳細に.ついては用意レでいる別格「生産期間と流通期間」参照。
(53)〔5二〕,(15〕,〔19.〕。
(54)〔5〕305貫。
貨52巻 第1・2号
14 ー・エ4−−
ⅠⅠIl ̄自立」と資本投下機能
販売会社,販売金融会社がその生産した商品をみずからの資本に眉取らせて も,すなわちみずからの商品資本をみずからの貨幣準本と交換して−も,その価 値を実現したこと紅」はならない。価値の実現は,みずからの資本以外の,.社会 的資本牢・よって行われなけれほならない。
販売金融会社の自立によるシステムの主要なケ・−スほ.図1紅み・る通りであ る。①メ−・カ−はディラ一紅製品を現金決済で売り渡す。④ディ−・ラーほこの
図1 販売金融会社システム
製 品 ① 製 品 ⑧
.ユーザー
親メ−カー・
ディー・ラ−
←■ 項.t
.二 さ・
販 売 金 融 会 社
返済に.要する現金をこのメ−カ−が出資・設立した販売金融会社から調達す る。⑧つぎに・こ
決済で売り渡す。④ニL−ザーはこの返済に身する現金を販売金融会社から調達
する。この際.ユ・−ザ^−はメーか−の出資。設立した販売金融(salesfinance)会社ではなく消費者信用専門の機関(COnSumer financecompany)から調達 することもある。そして,ディ・−サーは受取った代金を販売金融会社に・返済す
る。最後に.残るものほ販売金融会社の手許に.ある・ユ−ザーー振出しの割戚手形で ある。こうした資本の回転運動の機構でメ−カ∵。ディ・−ラ・−・。Jコ・・−ザー一間の 現金決済が維持される。
販売金融会社の親メ−カーー・紅対する役割について−。①メーーカ−が販売金融会 社の所要資本鼠を全額調達する場合。
産物を貨幣資本に・よ・つて価値実現したことにならないが,販売金融会社を利用
販売会社と販売金融会社 一ヱ∂−
15
(55) してでもディーラ−,.ユノーザー・に.現金決済を継続させるとこ.ろ紅意味がある。
⑧しかし,メ−か−の生産過程へ投下すべき資本遍の増大のテンポに・よって ほ,販売金融会社の資本すなわち販売金融資金にまで手がまわらない。販売金 融会社が独自に.調達する,すなわち生産金融と販売金融の分離。・ユーザーみず から資本調達する,すなわち資本の再生産過程に・ユーザーも組み込まれた信用 関係の成立。ユ・−ザーがメ−カー・の商品を買ってしまっているので,販売金融 会社が独自にOpenmarketで資本調達できるのである。すなわち社会的資本 の利用。しかし,ディ−ラ−への金融はディーーラ−からユーザーへの販売の実 現していない在席金融なので,このための販売金融会社の資本調達ほ無条件で ほ行い難V、。親メー・か−の債務保証等の信用保証が裏付けとなるが,しかし法 的保証のない場合もあるこすなわちメ−カ−の流通過程に.対する支配力が信用
となるら
販売金融会社ほ金融業としての資本構成,収益。費用構成をもつことに.な る。
販売金融会社に.ついてはこれまでとし,つぎに販売会社の資本投下機能に.移 ることにしよう。
販売会社が自立した場合の典型的チャネルはメーカー一版売会社一地 区販売会社一云−ザーである。販売会社は.メ−カ一の宮業部の分離したもの であり,地区販売会社は国内のそれ・ぞれの地方における地元資本との共同出資 紅よるものである。
販売会社の親メ−か−・に対する役割
メ−カ一の宮業部が分離。独立した時に.引渡した貨幣資本愚でメL−か−・の商 品資本の全盛を販売会社が引取る場合。メ−カ−から製品を引取るや,販売会 一社ほ地区販売会社に.これを引渡す(売上げる)前に.現金で決済するが,この場
合ほみずからの商品資本とみずからの貨幣資本の交換であり,メーか−・にとっ てほその商品価値の実現ではない。
(55)日本紅・おけるメ′−カーとその販売会社の閑係紅潤する筆者の謁李の過程で明阜かに
なった一q
−ヱ6−−
第52巻 第1・2号16
しかし,販売会社の所有する資本鼠を越える取引においては,現金での決済 はできなくなる。販売会社振出手形で決済する。そしてメ−・カ−は満期日に販 売会社より現金を受取る。販売会社のこの現金は地区販売会社に売り渡した当 該商品の回収代金である。とこまでは販売会社に資本投下機能があるとほい卑 ない。
① この販売会社振出手形は商業手形とは認められない。何故なら,親子間の 取引の決済に使われるものであるからである。ところがこの販社振出手形が商 業手形として−認められ,親メーーカ−の手で銀行割引に付されるならば,親メ−
か−の資本め回収ほ早まる。親メ」−カ−は社会的資本を利用してみずからの商
(58) 品の価値を実現したことに・なる。販売会社に.資本投下機能が生ずる。更に,こ
の手形が中央銀行の再割引適格手形と認められるならば,割引率が極めて有利 紅扱われる。
(57)
⑧ 更に,販売会社が独自に.社会的資本を調達し,メ−カー・販売会社間と販
(SS) 売会社・地区販売会社間との流動資本の回収期間の差を販売会社が負担すると
く59) すれば,とれまた販売会社の資本投下機階である。すなわち社会的資本の利用。
販売会社の独自の資本調達にほ親メ−カ−の債務保証のある場合もあるが,な
い場合もある。すなわち,メ・−カ−の流通過程紅対する支配力,その定在として−の安定した流動資本回収のためのマ−ケティングチャネルの構築が信用とな
る。
上の2つの種類の資本投下機能を有する販売会社は商業資本と同じ資本投下 機能を親メ−カ−・紅対して果すこととなり,親メーカ−の商品の価値を社会的 資本牢・よって実現するのである。
販売会社の資産・負債・資本,収益・費用構成は.商業資本のそれに等しいか
(¢0) 近いものとなる。
(56)〔18〕ではこれを第2種の資本投下機能と呼んでいる。
(57)具体的紅は銀行よりの短期債入金。
(58)すなわち回収期間は後者が長い。
(59)〔18〕ではこれを第1種の資本投下機能と呼んでいる。
(60)分析と数値についてこは〔16.〕,〔.17〕参照。
販売会社と販売金融会社
−・ヱ7−
17
「商人資本が【.社会的〕資本のうち貨幣資本として流通部面に緊縛される部 分を減少させるかぎりでほ,それほ.,直接に.生産に充用させる資本部分を増加
(61)
させる」。
販売会社,販売金融会社の「自立」により,寡占資本のうちのより多くの部
分が生産過程虹投下される。分離・独立した商品取扱資本が親メ−・れ−の商品 資本を回転させる際に.不足する資本は,これを独自紅調達することは上軋みた通りである。すなわち,これほ産業資本に対する商業資本の自立の社会的再生
産に.及ぼす役割の個別の寡占資本に.よる擬制である。版発会社の価値実現機能を販売会社システムとしてとらえたのが図2であ る。
図2 販売会社システム
(D製品 ⑧製品 ⑥製品
→地区販社 +
−、→販社 ・→ユ・−ザ−
親メ−カーー・
⑧尊名手形⑧販社振出手形
2ケ月 ⑥割賦手形
5ケ月
現
金 A銀行
資†再1
い∵1 .
→ − 1 日 資金
←銀
H 銀
√
①親メ−か−−は販売会社に製品を引渡す。
⑧販売会社ほ.それと引換え.に.自社手形を振出す。手形紅ほ.2つの種類があり,
−親メ′−か−振出しで受取り,販売会社引受の為替手形紅よる決済と,販売会社 振出しの約束手形での決済とがある。親メ−・カーーほ必要軋応じてこの手形を銀
(82)
行割引に付する。手形に一定の資格があれば,この手形は銀行の資金上の都合
(61)〔−9〕ⅠⅠIs.311,邦訳④402克。
(62)日銀再割適格の条件は,現在では,資本金1億円以上の会社が振出したか引受けた 90日以内の手形となっている。
第52巻 第1・2号 1名
−・Jざ一
で日銀再割を受け得る。なお,1950年に償じまった日本銀行に・よる販売会社振 出手形の再割を一般の優良商業手形と全く同じ条件で行うことになったのほ 1970年である。販売会社振出あるいは引受の手形の日銀再割は産業資金を供給 する(都市)銀行側の要請に.よる。
⑨販売会社は平均期間在庫の後,製品を地区販売会社に引渡す。
④地区販売会社は約束手形を振出して決済する。
⑤地区販売会社は平均期間在庫の後,製品を・ユ−ザ一に売上げる。
⑥ユーーヂ−は引換えに.割賦手形を振出す。
⑦地区販売会社はこの割賦手形を受取り,販売会社に持込み,④の自社振出 手形と交換する。
⑧販売会社はこの割賦手形を担保に尊名で(すなわち約束手形を振出して)
銀行より借入をする。この手形が有資格のものであれば!必要紅応じて銀行は これを担保に日本銀行より資金を借入れる。
参 考 文 献
〔1〕荒川祐吉『現代配給理論』千倉書房,1960。
〔2〕北原 勇「市場構造と価格支配」慶応義塾大学「経済学年報」5,89−195,1961年
度。〔3〕深町郁弥「信用の必然性について・」『経済学研究』第33巻3・4合併号,1967年,
225−278。
〔4〕深町郁弥『所有と信用』日本評論社,1971。
〔5〕深町郁弥「消費者信用の展開」,森下二次也監修『商業の経済理凱,ミネルヴァ沓
房,1976,305−324。〔6〕風呂 勉「産業における独占の形成と商業」森下二次也編『商業経済論体系恥1959 年,185−220。
〔7〕橋本 勲『商業資本と流通問題.』ミネルヴァ沓房1970年。
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〔9〕Marx,K.Das、Kapital,Dietz、Verlag,Berlin,1956,長谷部文雄訳『蟄本観
音木書店,1962年。
〔10〕森 実「米国に.おける生成期の監査報告書についで」『香川大学経済論叢』第32
巻第2号,1959年,62一別。第52巻 算1・2号
19 ーユタ−
〔11〕森下二次也『現代商業経済論』〔改訂版〕有斐閣,1977年。
〔121〕Moyer,C.A.りEarly developmentin American Auditing ,The Accomiing 斤β〝査β紺,VOl.XXVIねn11aI・y,1951,3−8.
〔13〕Munn,Glenn C.and Garcia,F.L.Enc.ycloPedia of Banking and Finance,
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1二15〕Nugent,Rolf ConSumer Credit and Economic Stabilit.y,RusselSage Foun・
dation,New YoIk,1939.
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398。
〔.18〕瀬戸贋明「販売会社と地区販売会社」『香川大学経済論叢』第51巻第5号,1978,
21−44。
〔19.〕下川浩一イ米国自動車産業における販売金融問題の史的考察」『経営志林』算13巻 第2号,1976年,1…21。
〔20二〕U.S.Treasury Department Statistics ofZncome.
〔21 〕渡辺公観「商業資本の自立化についで」『経済理論』第114号,1970年,79−−102。
謝 辞
本稿は,1977年度文部省内地研究員として,神戸大学経営学部で松田和久教授の御指導 の下に行った研究の一部である。