感染と防御・第2回
病原体の概要と分類
病原体(プリオン・ウイルス・細菌・真 菌・原虫・寄生虫)の特徴と分類、およ び疾患との関連について解説する。
感染症と病原微生物の理解
現在人類が感染症として認識している病的状態 は、太古の時代から経験されており、その原因 を明らかにするための努力がなされてきた。
医学の父:ヒポクラテス
紀元前5世紀頃、感染症を含む様々な病気につ いて書き記した。
感染症に対する古代からの認識 マラリアは、蚊が媒介するマラリア原虫によっ て引き起こされる。
蚊は沼地などで発生しやすい。
感染症に対する古代からの認識 感染症には、ミアズマや天体運行の異常が関与 するという考えが近世まで信じられていた。
ミアズマ(miasma)説:疫病は何らかの悪い空気=ミアズ マの吸入によるとする説。
マラリア(malaria):「悪い空気・悪魔の空気(bad air)」が語源。
インフルエンザ(influenza):「星の影響(influence ofthestar)」が語源。
ジロラーモ・フラカストロの説 16世紀、フラカストロは、感染症が何らかの生 きた感染性因子によると唱えた。
接触伝播、媒介物伝播、空気伝播などの伝播様式を提唱したが、
病原体の証明がない時代にあって、ミアズマ説を駆逐できな かった。
微生物の発見
レーウェンフックは単レンズ式の顕微鏡を用い て水や口腔内など環境の微生物を観察した。
パスツールVSコッホ
パスツールとコッホは近代細菌学の開祖と呼ば れている。
ルイ・パスツールは、自然発生説を否定し、低 温殺菌法やワクチンの開発を行った。
パスツールの業績
自然発生説の否定
白鳥の首フラスコを用いて、沸騰させた肉汁が腐らな いことを示した。
低温殺菌法の開発
ワインを55-60℃で30分加熱することにより、風味を失 わず殺菌できることを発見した。
ワクチンの開発
ワクチンの名付け親。狂犬病ワクチン開発。
コッホの業績
ロベルト・コッホは、細菌培養法とコッホの原 則を確立した。また、優秀な弟子を輩出し、多 くの病原性細菌を発見した。
細菌培養法の確立:寒天培地やシャーレの開発 病原性細菌の発見:炭疽菌、結核菌、コレラ菌 優秀な弟子を輩出:北里柴三郎など
コッホの原則を確立
コッホの原則の重要性
宗教や迷信、経験などに基づく憶 測・類推。
理論と実験に基づく科学的論証
ロバート・コッホは、ある微生物が特定の感染 症の原因であることを証明する原則論を打ち立 てた(コッホの法則)。
病原体の大きさ
最大級の病原体 最小の病原体
プリオン(245アミノ酸残基) 条虫(十メートル)
多細胞生物である寄生虫を除いて、病原体のほ
とんどは肉眼で確認できない微生物である。
微生物と病原体
ごく一部の微生物が病原体としてヒトや家畜に 感染する。
感染条件
微生物&宿主 双方の要因
地球上には100万種以上の微生物が存在し、それ ぞれ生存や増殖のための条件が異なる。
微生物学の範囲
プリオン ウイルス
細菌 真菌 原虫 寄生虫
性質
人間との かかわりあい コントロール
診断
形態、構造、分類 増殖の条件 培養法 病原性 宿主の防御機構 免疫 消毒、滅菌 化学療法 予防 検査法
微生物の分類
微生物には、ウイルスと細菌の他、微小な真核 生物が含まれる。
微生物
非生物 生物
ウイルス
原核生物 真核生物 細菌
単細胞 多細胞
真菌 原虫 真菌 寄生虫
*大型の寄生虫は微生物に含まれない。
微生物の分類
ウイルス 生物
遺伝物質(核酸) 有 有
タンパク質 有 有
脂質 一部有 有
細胞構造 無 有
ウイルスはタンパク質と核酸など、限られた種 類の分子から構成される微小な感染性粒子。
微生物の分類
ウイルスは偏性細胞内寄生性の病原体であり、
宿主細胞内でのみ増殖可能。
真核生物のDNAは核膜で覆われている。
原核細胞
真核細胞 DNA
核膜