﹁
ゆ
ゑ
.
ト
デ
ー
ν
﹂ 目 次 序 本論 第一章﹁ゆゑ﹂と﹁よし﹂の概観ω
使用例数ω
語形 第二章用法の考察と比較︵大意のみ︶ω
事物K
見られる﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂ω
人間関係に見られる﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂ 問﹁由緒﹂という面から見た﹁ゆゑ﹂と 格︵略︶ 第三章身分による﹁ゆゑ﹂ 結び考
﹁ よ し ﹂ の 性 ﹁よし﹂の使い分け 序 上古から現代まで幅広く用例のみられる名詞﹁ゆゑ﹂﹁よ し﹂は、それぞれ多様念意味・用法を持つが、その中で、 平安朝文学K
沿いて﹁由緒ある趣﹂などと訳されて、趣の二十九回生
緒
方
弘
子
世界を意味する用法は、﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂に共通して見ら れるものである。との用法の﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂は、平安朝 の美意識と関係する諾語とよく並立使用されてb
り、その 意味・用法の把握は、中古の文学のより深い理解のために 必要であると思われる。 また、との用法の﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂は、同義であるとす るのが通説であり、注釈書などでもそのようK
訳されてい るが、はたして完全な同義語であるだろうか。本稿では、 事物と人間関係の二つの面から﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂の見られ る対象を考察して﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂の用法を分析し、その 意味や性格K
ついて考え、さらK
両者の違いを明らかK
し て み た い 。 」 10一
第一章 ﹃ゆゑ﹄と﹃よし﹄の概観 名詞﹁ゆゑ︵故︶﹂K
は大別すると、ω
原 因 ・ 理 由 、ω
理 由 宏 一 示 す 形 式 名 詞 、H
ω
逆接を示す形式名詞、ω
さしさ わり、間縁故、凶由緒ある趣、の用法があり、名詞﹁よし︵ 由 ︶ ﹂
K
は、①原因・理向、¢事の趣旨を示す形式名詞、 ②手段・方法、¢口実・機会、③よりどとる、④由緒ある 趣、⑤見せかけ、などの用法がある。本稿で考察の対象と するのは、﹁ゆゑ﹂の川問、﹁よし﹂の④の、﹁なもむき﹂ の世界K
使われる用法であり、調査した却作品の﹁ゆゑ﹂ ﹁ よ し ﹂ 計 鵬 の 用 例 中 、 ζ の用法の﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂はロ 作品K
見られ、計舗の用例がある。 表 1 は、用法川聞と④の使用例の数を、時代を沿って作品 別κ
記したものである。﹁趣﹂などを意味する﹁ゆゑ﹂﹁よ し﹂はどちらも平安中期、﹃落窪物語﹄ゐたりからその用 例が見られ始め、平安時代K
最も多く使われたと色が表ー や グ ラ 7 2 念 ど か ら わ か る 。 ﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂は名調であるが、単独で使われるのは ﹁ゆゑ﹂が叩例、﹁よし﹂が 3 例であり、ほとんどが形容 詞・動詞・名詞の派生語である。大別すると、 ①あり・づく・び、が下接した語形 ゆゑあり・よしあり・ゆゑづく・よしづく・ゆゑぶ ②めく・ばむ・だつが下接した語形 よしめく・よしばむ・ゆゑばむ・ゆゑだっ ③ゆゑなからず・よしなからず ④ゆゑゆゑし・よしょしし ⑤その他 ゆゑ深し・よし深し・よし過ぐ な どK
分 け ら れ る 。 i r i i i ’1
3
5
− 第二章 用法の考察と比較 / ﹁ゆゑ﹂系の語と﹁よし﹂系の語を、人間関係に使われ るか事物関係K
使われるかに大別して、使用例数を調べた のが表4であり、それらの内訳をもう少し詳しく記したも のが表5と表ロである。 ﹁ゆゑ﹂系の語と﹁よし﹂系の語の違いを調べるためK
、 さらにその細かい項目別の﹁ゆゑ﹂と﹁よし﹂の使われ方 を比較してみると、いくつかの事が明らかにたってくる。 事物関係K
使われる﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂は、新しい物より は古い由緒のある物K
多く見出される、しみじみとした情 感のある趣である。それもととさらに酒落た風情というよ りは、さりげなく無意識的にあらわれる趣をいう。対象物K
よる使い分けはあまり念いが、やはり﹁ゆゑ﹂と﹁よし﹂K
は若干の性格の違いが見られる。ひとつは趣の度合いK
ついてで、宮中の催L
や儀式の調度類などK
﹁ ゆ ゑ ﹂ 系 の 語だけが使われ、﹁よし﹂系の語は日常的な道具類K
使わ れ る ζ とや、同じ対象物︵建物︶K
対 す る ﹁ よ し ﹂ か ら ﹁ ゆ ゑ﹂への変化などから、﹁ゆゑ﹂は﹁よし﹂よりも重々し い、あるいは深い趣を意味するととがわかった。また、も うひとつ趣の質というものK
ついて、﹁言葉﹂K
ついての 用例から、﹁ゆゑ﹂は表面的な趣ではなく、本質的な趣を 意味するととがわかる。 一方、人間関係に見られる﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂も事物関係K
使われる﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂と同様K
、一言で言えば﹁由 唱 E E a 噌 目 − 晶(グラフ 1) 全使用例
K
対する「趣j
の意の「ゆゑJ
「よしj
の割合 1.9'}も (3)その他 1.3% 3.8%を
(
401 301 201 1.1% (ゆゑ)八
/, \て I /ノペ
\ \ 1.5%_②@
(lj ‘ ~ 1.8% (よし) \\、\、、\,,、,,4ー・v一
一
−
』
Jー『下/ーーーー /..‘ A Bc
D E F ※ グラ 72のパーセンテージは 「ゆゑ」用樹4)の使用例数×
1 0 0 「ゆゑ」の全使用例法 「よし」用出@の使用例数×
1 0 0 「よし」の全使用例数 ※ ABC DEF Gは表 1の時代の近い 作品グループをさす -12一
G 〆 胸 、 グ フ フ 2 通 時 的 』乙 み fこ 使 用 度(表1) 全 使 用 例K対する「趣
j
の意味の「ゆゑ」 「よし」の数 作 . 品 名 年 代 よし よし④ ゆゑ ゆゑ(4) 区分 よLc
ゆゑ(4) 万 葉 集 720 ∼900 56 85 竹 取 物 語 ∼ 800 8 2 古4
-
集 905 10 3 ∼ 伊 勢 物 語 ∼ 935 905 6 2 土 佐 日 記 935 1。
落 窪 物 語 ∼1000 950 15 2 4 1 (132 劫 (251 .0) 枕 草 子 ∼1001 995 10 4 1 源 氏 物 語 頃∼1002 186 89 127 67 B (497 6.4 (76 日.5) 紫 式 部 日 記 頃∼1002 10 8 10 9 和泉式部日記 ,, 3 1 更 級 日 記 1060 11 1 4 堤中納言物語 後 半1 1c
9 6 5 (14.8 0) (27 1.9) とりかへばや霊
童
37 7 22 2 物語 方 丈 記 1212 1 5。
2 宇治拾遺物語 ∼1221 1216 92 20 2 ( 0) (8.0) 平 家 物 語 鎌初 期倉 81 4 20 1 4 1 十 六 夜 日 記 頃1279 3 3 ( 4.7) (4.3) 徒 然 草 ∼1331 1330 22 37 1 2 4 増 鏡 ∼1376 1333 53 2 11 3 (2.7) (8.3) 雨 月 物 語 1768 2 7 1 ( 0。
) (11 4.3) 計 616 112 373 93 (112 路.2)&~)
っ 。
唱 E A(表2 ) 作品別・語形別使用例数 ゆ ゆ ゆ ゆ ゆ ゑ づ づゆゑ ゆ ゆ ゆ ゆ よ よ しよしよ 深ししよ よ よ よ よ よ
史
l
ゑ ゑ ゑ ゑe
,
.
ゑ ゑ ゑ し し し し し し し あ な ゆ 深 だ ば 』Z あ な づ Iiめ 過 名 言f り し ゑ し く く つ む 名 り し く む く ぎ し 四 下 ) し客
)富
落 1 2 3 枕 1 1 源 28 8 1 2 2 1 7 2 51 5 7 10 5 8 1 1 1 156 紫 2 4 3 1 1 1 1 2 2 17 更 1 1 堤 1 2 1 1 5 と 1 1 4 1 2 9 宇 2 2 平 1 4 5 徒 1 1 増 2 1 1 1 5 雨 1 1 計 38 8 17 3 9 2 2 1 1 10 2 62 6 10 1 11 6 12 1 3 206 (表 3) 活 用 別 使 用 例 数 ゆ ゆ ゆ ゆ ゆ ゆ ゆ よ よ よ よ よ よ よ よ ゆ よ ゆ よ ゆe
,
.
ゑ ゑ ゑ ゑ ゑ ゑ し し し し レレ し ゑ レゑ し ゑ あ づ コー ゆ 深 な ば 立」 あ づ 深 な ば め 過 だ ば ゆ 計 り く く ゑ し し む り く し し む く ぐ つ み ゑ し し し 形 自事
形 形 形 自i
形 自 形 形 形 自 白i
自 名 シ シ 名 名 名 ク 四 ク ク ク 四 ク 四 り ク ク 四 四 四 未然 1 7 1 6 15 連用 11 9 2 2 1 14 11 1 3 7 1 83 終止 5 5 連 体 25 7 1 1 42 1 3 81 己然 1 1 メμ斗μβTl入 1 2 2 5 10 3 1 2 16 言十 38 9 2 17 3 8 1 1 62 1110 1 6 6 12 1 10 3 2 1 2 20614-(表12) (表5) (表4) 人間関係の「ゆゑJ
r
よし」 「ゆゑl
「よU
にみられる「物」 「ゆゑJ
「よしJ
の対象 対 象 ゆゑ よし系 系 計 対 象 物 ゆゑ系 よし 計系 対象 ゆ ゑ よ し系 系 計 人.
男 3 9 自 自 然 2。
自 然 7 7 14 人 女 10 23 65 然 庭園の自然 5 7 14 建物類 8 3 11 柄 そ の 他 10 10 趣 乙 と 1 2 方 3 2 垣・簸 1 1 建 廊 物 2。
類 邸 3 2 事 調 度 類 8 5 13 | 衣 類 3 3 6 手紙類 12 8 20 味 11 と と ろ。
1 寺・僧庵 2 0 11 物|書物類 3。
3 そ の 他 2。
調 道具・調度 7 3 催 事 2。
2 ’し、 1。
心おきて 1。
度 類 鱒物 1 1 網代車。
1 13 飲食物 1 3 4 言 葉 1。
1 ’L' ありSま。
1 7 衣 装束全体 3 1 その他 2 2 4 心 ば せ 1 2 類 装束の一部。
2 6 計 計 47 31 78 用 意。
1 歌 2。
人・λ
J
丙 23 42 65 拘廿同 n 廿−
姿 3 13 姿.
H 廿~ 貌。
3 22 廿H情 貌 声。
3 消息(文) 3。
手 紙 1。
紙 類 筆跡 6 8 20 趣 味 6 5 11 人 ’し、 3 4 7 ・容姿 3 19 22 暮らしぶり 3 1 態 ものとし 1 2 ものいい 4 3 24 漢詩集 1。
書 物 歌 集 1。
類 物 語 1。
3 間 態 度 11 13 24 その他 2。
2 計 計 48 83 131 度 ふ る ま い 2 6 催 宮中の催事 1。
計 95 114 209 そ の 他 1 1 そ¢他 下 二 段 の 2。
ゆゑづく 事 六条院の催事 1。
2 飲 くだもの。
3 食 肴 1。
物 4 銭』計が206例を数上をまわ るのはのベ使用 出 したため 計 48 83 131 言 葉 1。
そ 所。
1 の 規 則。
1 他 形式種司「事」。
2 5 言 十 47 31 78 /-15-緒ある趣﹂を意味する。気品と教養の感じられる情趣をレ うのである。ただし、﹁ゆゑ﹂は人聞を全体的・客観的
K
とらえた時K
使われ、﹁よし﹂はより部分的・具体的K
と らえた場合K
よく使われる傾向を持つ。容姿・容貌といっ た表面的念趣K
はほとんど﹁よし﹂が使われ、対象も﹁ま み﹂﹁かんざし﹂﹁かたはら目﹂と具体的である。趣味の 方面や態度K
沿いても、表面的で技巧的な﹁風情﹂K
は ﹁ よ し﹂が、それを生み出す本質的な﹁資性﹂には﹁ゆゑ﹂が 使われる。よって、﹁よし﹂は後天的な教養と、﹁ゆゑ﹂ は先天的念由緒・血統とより深くかかわる趣だといえる。 そしてとの違いが、﹁ゆゑ﹂で表される趣と﹁よし﹂で表 される趣の、深さや品性k
h
v
ける差の原因であると思われ る。﹁ゆゑ﹂が﹁よし﹂より、深さや品性K
沿いて一段程 度の高い趣合意味するととは、事物の場合と同様である。 また、﹁よし﹂は、もの慣れた人聞に見られる趣で、記 ゑ ﹂K
は見られない﹁女性的ななよやかさ﹂や﹁好色性﹂ という性格を持ち、﹁明るさ﹂とも協調する。 第三章 身分による﹁ゆゑ﹂と﹁よし﹂の使い分甘 第二章では﹁ゆゑ﹂と﹁よし﹂の使われ方を項目別に比 較していき、それK
よって﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂の意味用法と 相違を考察してきた。その結果、﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂は、自 然についての 2 例を除けば、すべての用例が人間K
何らか のかかわりがあり、人間の属性に集約できる概念であると とがわかった o r すべての用例を人聞を基準として見た場合、﹁ゆゑ﹂と ﹁よし﹂の聞にどのような関係があるのだろうか。 第二章での考察によって﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂は比較的高い 身分というものに結びつく傾向があり、特K
人間関係にや いては﹁ゆゑ﹂が﹁よし﹂より、より高い身分の人聞に使 われるらしいという ζ とがわかっている。とこでは﹁ゆゑ﹂ ﹁よし﹂を身分という面から計量的K
とらえ、実際K
、 身 分によって﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂が使い分けされているのかど うかを明らかにしてみたい。 ﹁ゆゑ﹂系の語と﹁よし﹂系の語で描写されている人間 で、一般名詞ではなく、名前︵呼び名も含める︶がわかり、 身分がわかるのは、﹁ゆゑ﹂系加入、﹁よし﹂系白人であ り事物の描写はそれκ
かかわる人間の間接描写であるとい う考え方から、事物K
関係する人閉まで含めると、﹁ゆゑ﹂ 系何人、﹁よし﹂系卯人になる。表問は﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂ の使われる人物の一覧表である。身分を、上流・中流・下 流K
A
H
け、さらK
上流と中流をそれぞれ四つの段階に分け て、計九つの階級K
分けて示してある。 人物がどの階級K
属するかは、その人物の官位と家柄に よるが、だいたい上流は三位以上、中流は六位以上の者と した。細かい分け方は次の通りである。 ①上流の上←天皇・上皇・東宮K
準じる親王・皇族出身 の中宮・中宮なよび藤壷女御腹の皇女 冷泉帝・後鳥羽上皇・陽成院・後深草院・朱雀院・藤壷-16-(表18) 身 分 的K見た「ゆゑ
J
「よしJ
⑤
朝 顔 斎 院 1 対象となる ゆゑ系 よし系 の 玉 霊 1 1 人 物 人 物 人 物 続!
,
落葉の宮の母更衣 1 冷泉惰 1 桜の宿の姫君(掛 2 1 ① 後鳥羽院(増) 1 大 君 4 陽 成 院 1 吉野の姉宮(と) 1 3 上 後深草院(増) 1 ④ 相 木 1 流 朱 雀 院 2 上 の 嘉 黒 大 将 1 藤 牽 中 宮 1 流 上 右大将(と) 1 秋 好 中 宮 1 2 1 1 の 宰相中将(と) 1 明石中宮 2 下 中将(落) 1 匂 宮 1 麗景勘η
女街め妹(と 1 冷泉院D女'−−(})宮 1 源中将(枕) 1 今上帝の女二の宮 1 桐 壷 更 衣 の 母 1 源 氏 3 1 北 山 尼 君 1② 紫 上 3 末 摘 花 1 頭 中 将 1 横 川 僧 都 1 上 薫 1 北 山 僧 都 1 1 1 流 落葉の宮 1 の ⑤ 明石上 4 3 3 中 中宮徳子(平) 1 2 中 夕顔 1 膿 月 夜 2 1 流 浮 舟 1 玉量の中の宮 1 の 中宮女房(紫) 1 大斎院(紫) 1 上 上 の 女 房 1 落窪の君(落) 1 小 宰 相 の 君 1 1 式部卿宮(増) 1 赤染衛門(紫) 1 2 ③ 宇 治 の 八 宮 4 1 1 源 典 侍 1 常陸の親王 1 1 上 兵 部 卿 宮 近 江 の 君 2 1 明石入道 流 盤 宮電
流 1 1 . 1 3 3 の 小 野 の 尼 君 2 1 藤原道長(紫) 1 中 タ霧 の 明石の尼君 1 2 2 中 弁 の 尼 4 1 2 下 六 条 御 息 所 1 5 2 -17-F U L B U T A − − V 王 J 4 耳 d J E J z a 鴨 , A 正 T 4 7 4 と 民円長脅・判官馬手止皇・陵戚院・後深草院・朱雀院・藤章(ゆ人ゑ) (ゆ物ゑ) (よ人し) よ(物し) 計 ① 6 6 4 1山 17
@
8 6 2 4 20 ③ 3 7 14 .5 29 ④ 4 1 14 2 21 ⑤。
10 9 ,.7,- 26 ⑥ 7 4 11 4 26 ⑦ 2 2 5 1 10@
。 。
4。
4@
。
一O 5。
5 計 30 36 68 24 158 人 物 の み 人 物 + 物 ゆゑ系 よし系 ゆゑ系 よし系 ① 6 4 12 5 (20) (5幻 (18) (5.4) ② (268 .7) (22 .9) (14 21) (66 .5) ③ 3 14 10 19 (10) (20.6) (15) (20.7) ④ 4 14 5 16 (13) (20.6) (7.6) (17.6) ⑤。
9 10 16 ( 0) (13.2) (15) ( 17.6) ⑥ 7 11 11 15 (23.3) ( 16.1) (16.7) (16.3) ⑦ 2 5 4 6 (6.6) (7.4) ( 6) (6.5)@
(。
0) (54 .9) ( 0。
) (44 .3) ⑨。
5。
5 ( O) (7.4) ( 0) (5.4)@
少納言の君 1 の 中将のお‘もと 1警
中将の君 2 、._,, 紫上の女房 2 侍 従 1 尾張守(紫) 1 ① 播磨守(紫) 1 中 流 空蝉 1 の 久貴(増) 1 中 正秋(増) 1 下 斎宮の女房(更) 1 侍従の君(落) 1 典侍の君(落) 1 大決のなもと(落; 1軍
事
伊予介受領 2 1 童 女 1@
地 方 豪 族 1 下 官 人 1 下仕知まるや(落) 1 流 下仕の女 1 遊 女 1 計 30 36 68 24J
れ 持 す 房 一 入 。 記 。 女 は す を す の の 記 主 示宮
も
0・ を ち を 。 ﹁すく主持ヅいれ し 指 除 り は 一 な だ を は 作 の テ し た 物 者 、 う ン 慮 ・人い主違セ考 く る な ら が 一 は 除 あ ら 持 主 パ 差 は で か ‘ り は る 詞 類 わ 合 作 内 よ 名 の の 場 と コK
般ど。分の主 y 形 一なる身物ちカ語 0 0 0 0 0-18-中宮・秋好中宮・明石中宮・匂宮・冷泉院の女一の宮・今 上帝の女二の宮 ②上流の中←皇子または皇統で大臣になった者︵あるい はそれ
K
準じる者︶・皇族で大臣の北の方・更衣腹の皇女 大臣家出身の后 源氏・紫上・頭中将・薫・落葉の宮・中宮徳子・麟月夜 玉量の娘の中の君・大斎院︵選子内親王︶・落窪の君 ③上流の中の下←親王・皇統以外の大臣・大臣家出身の 東宮妃・皇統以外の大臣の北の方・更衣・皇女K
準じる姫宮 式部郷宮・宇治の八の宮・常陸の親王・紫上の父兵部卿 宮・鐙兵部卿宮・藤原道長・タ霧・六条御息所・朝顔斎 院・玉量・落葉宮の母更衣 ④上流の下←大臣以外の公卿︵三位以上﹀・公卿の北の 方と子女・親王の子女 桜の宿の姫君・大君・吉野の姉宮・柏木・彊黒大将・右 大将・宰相中将・中将・麗景殿の女御の妹・源中将・桐 登更衣の母・北山の尼君・末摘花 ⑤中流の上←四位相当の官を持つ者・大臣クラスの者の 正妻以外の妻妾・宮中などの上薦女房 横川の僧都・北山の僧都・明石上・夕顔・浮舟・・中宮女 房・上の女房・小宰相の君・赤染衛門・源典侍・近江の 君 ⑥中流の中←正五位相当の官会持つ者で、家柄のよい者 その北の方・宮家や権門家の女一房︵小上蘭︶ 明石入道・小野の尼君・明石の尼君・弁の尼・小納言の 君・中将のなもと・中将の君︵浮舟の母︶ 侍徒︵末摘花の乳母子︶ ⑦中流の中の下←従五位相当の国守階級・公卿の家の女 房︵中璃︶ 、 、 尾張守・播磨守・空蝿・久資・正秋・斎宮の老女房・侍 従の君・典侍の君・大夫のなもと ⑨中流の下←六位クラスの受領階級・下薦女房・女童 伊予介・受領・女童 ⑨下流←六位未満の宮を持つ者・地方豪族・下仕・その 他 地方豪族・左の衛府の官人︵将監・将曹︶・まろや︵下仕︶ 下仕の女・遊女 ζ のようK
人物の身分的分類全してみると、表団でわかる ように、①②などの高い身分の人物K
は﹁ゆゑ﹂系の語の 方が多く使われ、﹁よし﹂系の語が使われる ζ とは少いよ うである。また逆に⑦⑥⑨などの比較的低い身分の人物K
使われるのはほとんど﹁よし﹂であり、﹁ゆゑ﹂はあまり 使われてい念い。 とれをわかりやすくグラアに描いたのが、グラフ 3 で あ る。それぞれの身分での﹁ゆゑ﹂﹁よし﹂の使用例数の、 全体の使用例数にむける割合を示してあるロ太い線が﹁ゆ ゑ﹂の割合を表し、細い線が﹁よし﹂の割合を表す。また、 実線は人間だけを対象とした場合の値であり、破線はそれK
﹁物﹂についての使用数も加えた場合の値である。 ζ の グラフは左へいくほど身分が高くなるのだが、①②の最高 − 紫 上 の 女 房 ・ A W ︾ 句E A「よし」 (グラフ 3)’身分別Kみた「ゆゑ」 一一一一一一ゆゑ(人) ~o 10
︵ % ︶
① ⑤ 級の身分の部分は﹁ゆゑ﹂が高い割合を占め、さらに⑥⑨ の 最 も 低 い 身 分 に は 全 く 使 わ ﹂ い て い 念 い 。 そ れK
対して﹁よ し﹂は①②の最高の身分の人聞にはあまり使われず、⑥④ ⑤の上流の下から中流の上あたりの人聞によく使われるが、 もっと低い身分の人聞にも使われるというととがわかる。 結果として、一流・二流といった、はっきりした区別は 見られないが、﹁ゆゑ﹂は最高級の人物に使われるととが 多く、下流の人間K
は全く使われず、対して﹁よし﹂は最 高級の人物にはあまり使われず、中流の人間K
使われると とが多いが、下流の人聞にも使われるととから、やはり﹁が ゑ﹂と﹁よし﹂の間K
は、身分K
よる、使われ方の差異が あるといっていいだろう。﹁ゆゑ﹂は﹁よし﹂より、より 高い身分の人閣の﹁由緒﹂を意味し、その人閣の﹁趣﹂あ るいはその人聞にかかわる事物の持つ﹁由緒﹂と﹁趣﹂を 意味するのである。 ﹁ ゆ ゑ ﹂ ﹁ よ し ﹂K
、このような使い分けが生じるのは、 やはり両者の性格と、価値的な差異が原因だと思われる。 第二章での考察によって﹁ゆゑ﹂が本質的危趣で﹁よし﹂ が表面的念趣であり、前者は先天的な血筋・由緒が、後者 は後天的念教養がより深くかかわっているという結果が得 られた。いわば﹁ゆゑ﹂は、高貴な品性が自然K
表われた 趣であり、﹁よし﹂は、洗練され、もの慣れた、教養の身 についている態度から感じられる趣といえよう。﹁ゆゑ﹂ が最も身分の高い人間K
用例が多く、﹁よし﹂が程度の差 はあるがすべての階級の人間K
使われているのは、とうい -20一
⑨@
⑦ ⑥ ④@
@
う ﹁ ゆ ゑ ﹂ あ る 。 ﹁よし﹂の性格の違いのためだと思われるので 結び ﹁ゆゑ﹂と﹁よし﹂は、共