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我 が 国 の 家 事 調 停 制 度 の 基 本 構 造

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(1)

我 が 国 の 家 事 調 停 制 度 の 基 本 構 造

松 原 正 明

調

negotiation

論 説

(2)

調

mediation

arbitration

nonbinding arbitration

binding arbitration

adjudication

調 調 調

調 調

調

調

調 調

調 調 調 調

(法政研究 79‑3‑550 758)

(3)

は じ め に

現在 の家 事調 停 制度 は六

○年 を 経て

︑確 固た る 制度 とし て確 立 され てい る︒ し かし

︑ 社会 的経 済的 変 化に 伴う 国民 の 家 庭生 活の 変容

︑ 中で も︑ 高齢 化 およ び少 子化 の 急激 な進 展︑ 価 値観 の多 様化

︑ 家族 間 にお ける 権利 意 識の 高揚 等の 諸 要 因が

︑家 庭に 関 する 紛争 を増 加 させ

︑解 決困 難 なも のに して い る︒ とり わけ

︑ 子の 養 育費 や面 接交 渉 など 子を めぐ る 紛 争︑ 遺留 分減 殺 請求 や遺 産分 割 など 遺産 をめ ぐ る紛 争が 今後 ま すま す増 加す る こと が 予想 され る︒ 他 方︑ 国家 や社 会 が 果た すべ き役 割 につ いて 国民 の 考え 方の 変化 な どか ら︑ これ ら の紛 争を 解決 す る手 段 とし ての 調停 制 度に 対す る国 民 の 意識 もま た変 化 して いる

︒ この よう な︑ 調 停制 度を 取り 巻 く状 況の 変化 に 対し

︑家 庭裁 判 所に おけ る家 事 調停 制 度が 充分 に紛 争 解決 の機 能を 果 た して いる か︑ 将 来も 果た し得 る かが 問わ れて い る︒ そし て︑ 近 時︑ 調停 制度 の 紛争 解 決機 能を 一層 促 進さ せる ため に

︑ 家 庭裁 判所 内部 に おい て適 切な 事 件処 理の ため に 種々 の取 り組 み がな され

︑さ ら には

︑ 人事 訴訟 法︑ 家 事事 件手 続法 な ど の立 法が なさ れ てい る︒ そこ で

︑本 稿で は︑ こ れら の問 題意 識 のも とに

︑と り わけ 家 事事 件手 続法 が 制定 され たこ と を 契機 に︑ 家事 調 停制 度の 基本 構 造を 考え つつ

︑ 家事 調停 の現 状 と課 題に つい て 考え て みた い︒

一 家 庭 裁 判 所 の 事 件 処 理 に つ い て の 取 り 組 み

︶ 遺 産 分 割部 の 設 置 遺産

分割 事件 の 事件 数の 増加 や その 困難 性の 増 大に 対し て︑ 遺 産分 割の 調停

・ 審判 事 件を 専門 的に 取 り扱 う専 門部 が

我が国の家事調停制度の基本構造(松原)

(4)

設 置さ れ︑ 処理 基 準が 確立 され て

︑遺 産分 割の 対 象財 産性 など 遺 産を 巡る 紛争 に 関す る 法律 問題 につ い ても 確立 した 解 釈 が定 着し つつ あ る︒ 二

︶ 養 育 費 及び 婚 姻 費 用 の 簡 易迅 速 な 算 定 養育

費及 び婚 姻 費用 の算 定に つ いて は︑ 裁判 官 及び 家庭 裁判 所 調査 官ら によ る 東京

・ 大阪 養育 費等 研 究会 が︑ 判例 タ イ ムス 一一 一一 号

︵平 成一 五年 四 月一 日︶ で︑ 簡 易迅 速な 養育 費 等の 算定 を目 指 して

︑ 養育 費・ 婚姻 費 用の 算定 方式 と 算 定表 を提 案し

︑ 現在 では

︑こ の 基準 が家 庭裁 判 所の 実務 に定 着 して いる 状況 に ある

︒ また

︑こ れら 養 育費 等の 金銭 債 務 の強 制執 行に つ いて は︑ 民事 執 行法 の改 正︵ 平 成一 六年 四月 一 日施 行︶ によ り

︑給 料 等に 対す る差 押 の範 囲が

︑従 来 の 四分 の一 から 二 分の 一へ 拡大 し たの みな らず

︑ 過去 の滞 納分 だ けで なく

︑将 来 給付 に つい ても

︑給 料 等に 対し て強 制 執 行が でき るこ と とさ れた こと も 注目 され る︒

二 家 庭 裁 判 所 を め ぐ る 法 制 度 の 改 正

平成 一一 年頃 か ら司 法制 度改 革 が行 われ 始め

︑民 事 裁 判に おい ては

︑計 画 審 理な どの 裁判 の充 実 迅速 化︑ 知的 財産 高 等裁 判所 の設 置

︑専 門委 員制 度 など の専 門的 事 件へ の対 応強 化 など の制 度改 革 が実 施 され たが

︑家 庭 裁判 所プ ロパ ー の 制度 改革 は行 わ れな かっ たと い えよ う︒ しか し

︑近 時︑ 家庭 裁 判所 をめ ぐる 状 況に つ いて は︑ 法制 度 の面 で大 きな 変 化 がみ られ る︒

① AD R促 進法 の 施行

︑② 人事 訴 訟法 の施 行に 基 づく 人事 訴訟 事 件の 家 庭裁 判所 への 移 管︑

③家 事事 件 手 続法 の制 定で あ る︒ これ らは

︑ 家庭 裁判 所の 調 停実 務に 大き な 影響 を及 ぼす も のと 思 われ る︒

(法政研究 79‑3‑552 760)

(5)

︶ A D R 促進 法 裁判

外紛 争解 決 手続 の利 用の 促 進に 関す る法 律

︵い わゆ る﹁ A DR 促進 法﹂

︶が

︑ 平成 一九 年四 月 一日 から 施行 さ れ︑ 民 間の 機関 が仲 裁

︑調 停︑ 斡旋 の AD Rを 行う よ うに なっ た︒ 紛 争の 当事 者が そ の解 決 を図 るの にふ さ わし い手 続を 選 択 する こと を容 易 にし

︑国 民の 権 利利 益の 適切 な 実現 に資 する こ とを 目的 とす る もの で ある

︒同 法に 基 づい て行 われ る 仲 裁︑ 調停

︑斡 旋 のA DR は︑ 家 事調 停が 有す る 執行 力な どの 法 的効 力を 持た な いこ と から

︑同 法の 施 行が 直ち に家 庭 裁 判所 にお ける 家 事調 停制 度に 影 響を 及ぼ すも の では ない と思 わ れる

︒し かし

︑ 民間 に よる AD Rは

︑ 特定 の紛 争の 解 決 に有 用な 知識 経 験を 有す る専 門 家に よっ て行 わ れる と思 われ

︑ 他方

︑家 庭裁 判 所の 家 事調 停の 運営 は

︑そ の多 くが 一 般 から 選任 され る 家事 調停 委員 に よっ てな され る ので あり

︑両 者 の対 比が 今後 問 題と な るこ とが 十分 予 想さ れる

︒こ の よ うに

︑民 間に よ るA DR の存 在 は︑ 家事 調停 の 特色 を際 だた せ るこ とに なる と とも に

︑そ のあ り方 に 対す る問 題提 起 を する もの とい え よう

︒ 二

︶ 人 事 訴 訟事 件 の 家 庭 裁 判 所へ の 移 管 家庭

に関 する 紛 争は 調停 前置 事 件で ある が︑ 従 来︑ 調停 事件 は 家庭 裁判 所に

︑ 訴訟 事 件は 地方 裁判 所 にお いて 処理 さ れ てお り︑ 同一 の 紛争 が異 なる 裁 判所 で処 理さ れ るこ との 不都 合

︑不 便さ が問 題 とさ れ てい た︒ そこ で

︑平 成一 六年 四 月 一日 から

︑家 庭 裁判 所の 機能 を 拡充 させ るこ と によ って 人事 訴 訟の 充実

・迅 速 化を 図 り︑ 民事 司法 制 度を より 国民 に 利 用し やす くす る こと を目 的と す る人 事訴 訟法 が 施行 され

︑家 庭 裁判 所に 人事 訴 訟事 件 が移 管さ れた

︒ これ によ り︑ 家 庭 裁判 所は

︑調 停 を実 施す るほ か

︑そ れに よっ て も解 決に 至ら な かっ た紛 争を 司 法判 断 によ って 決着 さ せる 職責 を有 す

我が国の家事調停制度の基本構造(松原)

(6)

る こと にな った

︒ 家庭 裁判 所と い う単 一の 裁判 所 で︑ 調停 手続 と 訴訟 手続 が行 わ れる こ とに なる ので あ るか ら︑ 両手 続 そ のも のあ り方 及 びそ の関 係な ど が問 われ るこ と にな る︒ もと よ り両 手続 は︑ 紛 争解 決 を目 的と する 点 では 共通 であ っ て も︑ いわ ゆる 乙 類審 判手 続に お ける 調停 手続 と 審判 手続 のよ う な連 続性 はな い こと か らす れば

︑家 庭 裁判 所へ の訴 訟 手 続の 移管 によ っ て︑ 両手 続の 本 質的 な面 に変 化 を来 すこ とは な いと 思わ れる

︒ しか し

︑紛 争解 決手 続 とし ては

︑両 手 続 に効 率的 な運 営 や訴 訟手 続か ら みた 調停 手続 に おけ る問 題点 の 指摘 など

︑検 討 すべ き 点は 多々 ある と 思わ れる

︒ 三

︶ 家 事 事 件手 続 法 の 制 定 家庭

裁判 所に お ける 家事 事件

︵ 家事 審判 事件 及 び家 事調 停事 件

︶は

︑昭 和二 二 年に 制 定さ れた 家事 審 判法 及び 同規 則 に 規律 され てい た

︒し かし

︑そ の 後︑ 我が 国の 家 族を めぐ る社 会 状況 の変 化︑ 国 民の 法 意識 の高 揚︑ 複 雑困 難な 家族 紛 争 の増 加等 の事 情 の変 化に 一層 適 切に 対処 する べ く︑ 平成 二三 年 五月 一九 日家 事 事件 手 続法 が成 立し

︑ 同月 二五 日︑ 非 訟 事件 手続 法と と もに 公布 され た

︒ その 後︑ 家事 事 件手 続規 則も 非 訟事 件手 続規 則 とと もに 平成 二 四年 七月 一七 日 に公 布 され た︒ そし て

︑家 事事 件手 続 法 及び 家事 事件 手 続規 則は 平成 二 五年 一月 一日 か ら施 行さ れる

︒ 家事 事件 手続 法 の制 定 は︑ 家事 審判 及 び家 事調 停手 続 を 国民 にと って 利 用し やす く︑ 現 代社 会の 要請 に 合致 した 内容 に する ため

︑手 続 の見 直 しを 図る もの で ある

︒そ の要 点 は

︑① 当事 者等 の 手続 保障 を図 る ため の制 度の 拡 充︑

②国 民が 家 事事 件の 手続 を 利用 し やす くす るた め の制 度の 創設

・ 見 直し

︑③ 管轄

・ 代理

・不 服申 立 て等 の手 続の 基 本事 項に 関す る 規定 の整 備で あ る︒

(法政研究 79‑3‑554 762)

(7)

三 我 が 国 の 調 停 制 度 の 実 際

調停 制度 の目 的 は︑ 当事 者間 に 調停 合意 を形 成 する こと によ っ て︑ 当事 者間 の 紛争 を 解決 する ので あ るが

︑我 が国 の 調 停実 務で は︑ 調 停委 員会 は︑ 調 停合 意を 形成 す るた めに

︑ど の よう な調 停活 動 をし て いる ので あろ う か︒ 調停 委員 会 を 構成 する 個々 の 調停 委員 の個 性 によ る違 いは あ るが

︑一 般的 に は︑ 調停 委員 会 が行 う べき 調停 活動 は

︑当 事者 間に お け る任 意の 合意 形 成を 促進 する こ とに ある と理 解 され てい るよ う に思 われ る︒ す なわ ち

︑調 停委 員会 が 行う 調停 活動 は

︑ 当 事者 に対 して

︑ 合意 を形 成す る べく

︑種 々さ ま ざま な働 きか け をす るこ とで あ って

︑ 当事 者の 主張 の 当否

・適 否を 判 断 する べき では な いと いう もの で ある

︒こ のよ う に︑ 我が 国の 調 停委 員が 当事 者 の主 張 の当 否を 判断 す るこ とに 謙抑 的 で あり

︑ま た︑ 調 停委 員は その 価 値観 を当 事者 に押 し 付け ては なら ない とさ れ てい るこ とも この こ とを 示 して い る︒ も っと も︑ 実際 の 調停 実務 にお い ては

︑調 停委 員 が当 事者 に対 し

︑評 価的 ある い は指 示 的で ある こと は 少な くな く︑ 調 停 委員 の価 値観 を 押し つけ るこ と は許 され ない こ とは 当然 であ る が︑ 当事 者間 の 公平 に 配慮 して なさ れ る適 切な 調停 活 動 であ れば

︑紛 争 解決 に資 する も ので あっ て︑ 調 停の 制度 趣旨 に しな いで あろ う

︒ま た

︑家 庭に 関す る 紛争 は︑ 過去 の 一 事件 の存 否を 確 定す るこ とに よ って では なく

︑ 当事 者及 び関 係 人の 将来 の生 活 のあ り 方を 模索 する こ とに よっ て解 決 さ れる こと も少 な くな い︒ その よ うな 場合 には

︑ 調停 委員 会は

︑ 当事 者に 対し

︑ 選択 可 能な 将来 の行 動 ない し生 活あ り 方 を提 示す るこ と も家 事調 停制 度 の趣 旨に 合致 す ると いえ よう

︒ とこ ろで

︑家 事 事件 手続 法の 制 定に より

︑家 事 調停 手続 にお い ては

︑原 則と し て調 停 申立 書を 相手 方 へ送 付す る︵ 家 事 事件 手続 法二 五 六条 一項

など

︑家 庭裁 判所 に おけ る調 停の 事 件処 理に は大 き な変 化 が生 ずる もの と 思わ れる

︒そ こ で

︑こ れを 契機 に

︑我 が国 の調 停 制度 の基 本構 造 を検 討し たい

︒ これ まで

︑我 が 国の 調 停制 度を どの よ うに 考え るか に つ いて は︑ 家事 調 停に おけ る本 質 的契 機を 調 停機 関の 判断 によ り 多く 求め る説

︵い わ ば 調停

判断 説︶

︑と

︑ これ を当

我が国の家事調停制度の基本構造(松原)

(8)

事 者間 の合 意に よ り多 くを 求め る 説︵ いわ ば調 停

合意 説

︶と が 対立 して いる と され る

︒こ の両 説は 調 停裁 判説 及び 調 停 合意 説と 呼ば れ るこ とも ある

︒ 前述 の調 停委 員 の意 識は

︑当 事 者間 に任 意の 合 意を 形 成す ると いう も ので あり

︑後 者 の 調停 合意 説に 近 いも のと いえ よ う︒ 我が 国の 調 停制 度で は裁 判 官が その 構成 員 であ る 調停 委員 会が 調 停機 関で ある こ と から すれ ば︑ 調 停判 断説 が我 が 国に 調停 制度 に 親和 性を 有す る とも いえ よう

︒ 他方

︑ 調停 合意 説は

︑ 当事 者自 身が 自 分 の紛 争を 解決 す るこ とに は意 義 があ り︑ かつ 現 在の 国民 の意 識 ない し能 力も こ れに 答 えう るも ので あ ると もい えよ う

︒ こ のよ うに

︑両 説 はい ずれ も自 説 によ る紛 争解 決 の妥 当性 を主 張 する けれ ども

︑ 実定 法 上の 根拠 につ い て論 じら れる こ と も少 ない よう に 思わ れる

︒の み なら ず︑ 我が 国 で調 停を 論述 す るも のは

︑調 停 技法 論 が中 心で あっ て

︑こ れま で家 事 審 判法 及び 規則 等 の実 定法 との 関 わり に触 れる も のは 少な い︒ し かし

︑家 事事 件 手続 法 や家 事審 判法 及 び規 則に はい く つ かの 規律 があ り

︑こ れら は調 停 の基 本構 造に 関 わる と思 われ る

︒少 なく とも

︑ 調停 の 基本 構造 を確 定 した 上で なけ れ ば

︑こ れら の規 律 を適 切に 理解 す るこ とは 困難 で あろ う︒ とこ ろで

︑我 が 国の 調停 制度 が 論ぜ られ る際

︑ 他の AD Rす な わち 代替 的紛 争 解決 手 段と の関 係に 触 れら れる とこ ろ が 少な いよ うに 感 ぜら れる

︒我 が 国の 調停 制度 も 裁判 所が 関与 す るA DR の一 つ であ っ て︑ それ 以外 に も種 々の AD R が 存在 する

︒そ こ で︑ まず

︑我 が 国の 調停 制度 の 基本 構造 を考 え る前 提と して

︑ AD R 一般 につ いて 考 察す るこ とが 必 要 であ ると 思わ れ る︒

四 A D R の 類 型

AD Rは

︑種 々 の類 型が ある が

︑一 般的

・概 括 的に は以 下の よ うに 分類 され る

(法政研究 79‑3‑556 764)

(9)

① 当 事者 に よる 交渉

n eg o tia tio n

︶ a 当事 者 間の 直接 交渉 b 代理 人 を介 在さ せて の 間接 交渉

② 第 三者 を 介在 させ てす る 交渉

⎜調 停︵

m ed ia tio n

③ 第 三者 に よる 裁定

⎜仲 裁

a rb it ra tio n

︶ a 裁定 結 果に 当事 者が 拘 束さ れな い仲 裁

n o n b in d in g  a rb it ra tio n

︶ b 裁定 結 果に 当事 者を 拘 束さ れる 仲裁

b in d in g  a rb it ra tio n

④ 強 制力 を 有す る裁 定⎜ 訴 訟︵

a d ju d ic a tio n

︶ とこ ろで

︑ア メ リカ にお いて は

︑こ のA DR

︵ 代替 的紛 争解 決 手段

︶と いう 用 語は 適 切で ない とす る 異論 もあ るよ う で ある

︒ア メリ カに おけ る初 期 の

m ed ia tio n

とし て︑ 労使 紛争 にお ける それ が 挙げ られ るが

︑労 使 の 紛 争 にお い て︑

m ed ia tio n

を訴 訟に 対 する 代替 的紛 争 解決 手段 と考 え てい るわ けで は ない

︒労 使と も に︑ 時間 と費 用 がか か る 訴訟 など そ もそ も視 野に 入 れて いな い︒ 訴 訟と 同じ 程度 に

︑労 使双 方に 破 壊的 な結 果を も たら す のは スト ライ キ であ り︑ その 回 避 が問 題 なの であ っ て︑ こ こに お ける

m ed ia tio n

︑ス トラ イキ に対 する 代 替的 紛争 解決 手 段な の で あ る と︒ ま た︑ 訴 訟に 対す る代 替 的紛 争解 決手 段 とい うと

︑訴 訟 を首 座に おい て

︑そ れと の差 異 を問 題 にす るこ とに な ろう が︑ 強制 的 契 機の もっ とも 強 い訴 訟と の比 較 では

︑必 ずし も

︑個 々の 代替 的 紛争 解決 手段 の 理解 に 資す ると も思 わ れな い︒ さら に

︑ 訴 訟は

︑他 の紛 争 解決 手段 と比 較 して も︑ 最も 多 く紛 争を 解決 し てい るわ けで も ない

︒ 結局

︑訴 訟は 紛 争解 決手 段の 最 終 に位 置し てい る に過 ぎな い︒ そ の意 味で

︑代 替 的紛 争解 決手 段と 呼 ぶよ りは

︑ 紛 争 解決 の連 続体

﹂と 呼 ぶ べき であ る と︒ 根本 的な 理 論上 の対 立で は ない と思 われ る が︑ 各紛 争解 決 手段 の連 続性 を 指摘 す る点 が興 味深 く

︑後 に述 べる よ う に︑ 我が 国の 調 停制 度を 理解 す るう えで

︑有 益 な視 点を 提供 す るよ うに 思わ れ る︒

我が国の家事調停制度の基本構造(松原)

(10)

これ らA DR 相 互間 の関 係に つ いて いえ ば︑ 紛 争の 深刻 度に お いて

︑① から

④ へと 順 次増 大し

︑こ れ に従 って

︑紛 争 解 決手 段に おけ る 強制 の程 度が 強 まっ てい る︒

② がい わゆ る調 停︵

m ed ia tio n

︶で あっ て︑

① とは 第三 者が 介 在す るか 否 かに よ り︑

③ の仲 裁︵

a rb it ra tio n

︶と は判 断作 用を 伴 うか 否か によ って 区 別 され る︒

③ は

︑判 断 作用 を 伴 う こと か ら

︑事 実の 確定 手 続を 有す る︒ も っと も︑ 事実 の 確定 手続 とい っ ても

︑仲 裁は 判 決手 続 にお ける よう な 強制 力を 有す る 手 続で はな いか ら

︑当 事者 の仲 裁 者に 対す るプ レ ゼン テー ショ ン と理 解す べき で あろ う

︒④ には 家庭 裁 判所 の審 判も 含 ま れる

︒ 次に

︑我 が国 の 調停 制度 をこ れ らの AD Rの い ずれ に該 当す る かを 家事 事件 手 続法 に 照ら して 検討 す る︒

五 調 停 に 代 わ る 審 判

︵ 家 事 事 件 手 続 法 二 八 四 条

︑ 参 照

︑ 家 事 審 判 法 二 四 条

家事 事件 手続 法 二八 四条 は︑

﹁ 家庭 裁判 所は

︑ 調停 が成 立し な い場 合に おい て 相当 と 認め ると きは

︑ 当事 者双 方の た め に衡 平 に考 慮し

︑ 一切 の事 情 を考 慮し て︑ 職 権で

︑事 件の 解決 のた め必 要 な審 判︵ 以 下﹁ 調 停 に 代わ る 審 判﹂ と い う

︒︶ をす るこ とが で きる

︒﹂ とし

︑同 法二 八五 条 によ れば

︑同 審 判は

︑異 議の 申 立て が なけ れば

︑確 定 判決 と同 一の 効 力 を有 する とさ れ てい る︒ とこ ろ で︑ 家事 事件 手 続法 二八 四条 に 定め る調 停に 代 わる 審 判は

︑家 事事 件 手続 法二 四条 の 定 める それ

︵同 法 上で は二 四条 審 判と 呼 ば れて いた

︒︶ と は︑ 次の 点で 異な る︒ す な わち

① 家 事審 判法 二 四条 二項 は

︑い わゆ る乙 類 調停 事件 につ い ては 調停 に代 わ る審 判を なし 得 ない もの とし て いた が

︑家 事事 件手 続 法二 八四 条は こ の 制限 をな くし

② 家事 事件 手 続法 二八 六条 二 項に おい て準 用 する 二七 九条 四 項に よ り︑ 異議 申立 権 の放 棄が 認め ら れ

︑③

家 事審 判 法二 四条 一項 は

︑調 停に 代わ る 審判 の前 提と な る家 事調 停の 手 続は

︑ 調停 委員 会が 行 うこ とを 想定 し て いた 規定 であ っ たが

︑家 事事 件 手続 法二 八四 条 一項 は︑ 家事 事 件手 続法 にお い ては

︑ 家事 審判 官の み のい わゆ る単 独

(法政研究 79‑3‑558 766)

(11)

調 停に おい ても

︑ 条文 上こ れを 認 める こと とさ れ た︒ この 調停 に代 わ る審 判は

︑調 停 手続 が不 成立 と なっ た場 合に

︑ 裁判 官が 当事 者 に対 し

︑当 該事 案に お ける 一定 の判 断 を 審判 とし て示 す こと によ って

︑ 紛争 解決 をは か るも ので ある

︒ した がっ て︑ 調 停に 代 わる 審判 とは

︑ 一連 のA DR 手 続 にお いて は︑ 調 停が 成立 しな い 場合 にな され る 仲裁 案の 提示 と 考え るべ きで あ ろう

︒ 調停 に代 わる 審 判は

︑当 事者 か ら の異 議に よっ て 効力 を失 うの で あっ て︑ 当事 者 双方 が審 判の 判 断内 容を 受け 入 れる こ とに より 効力 が 生ず るの であ る か ら︑ 当事 者を 拘 束し ない 仲裁 手 続と 解す べき で ある

︒家 事事 件 手続 法に より

︑ 当事 者 が事 前に 異議 申 立権 を放 棄す る こ とが 認め られ た ので ある から

︑ 異議 申立 権が 放 棄さ れて いる 場 合に は︑ 当事 者 を拘 束 する 仲裁 と解 さ れる

︒同 様に

︑ 審 判手 続に 移行 す る家 事事 件手 続 法別 表第 二に 掲 げる 事項 につ い ての 調停 事件

︵ 家事 審 判法 上の 乙類 調 停事 件︶ につ い て も調 停に 代わ る 審判 をな し得 る とさ れた ので あ るか ら︑ 調停 に 代わ る審 判は

︑ 一連 の AD R手 続に お いて

︑確 固た る 位 置を 占め たと 言 い得 よう

︒調 停 に代 わる 審判 に 関し ては

︑こ れ を﹁ 事後 和解

﹂ と呼 ぶ こと もあ るが

︑ その 表現 する と こ ろが 不明 確で あ る上

︑一 連の A DR 手続 のい ず れに 位置 する か を明 らか にし な いも の であ って

︑適 切 な呼 称と は言 い 難 いで あろ う︒ 調停 に代 わる 審 判の 存在 によ っ て︑ 我が 国の 調 停制 度は

︑仲 裁 手続 の機 能を 有 する こ とに なる

︒し か し︑ 我が 国の 調 停 制度 は︑ この 仲 裁的 機能 のみ を 有す るの では ない

︒ なぜ なら

︑調 停に 代わ る審 判は

︑ 調停 委員 会の 調停 が 成立 しな い 場合 にお いて 相 当と 認め ると き

﹂に なさ れる の であ って

︑調 停 の不 成立 を前 提 にし て いる ので ある か ら︑ 調停 が不 成 立 に至 るま での 間 に調 停機 関に よ る調 停活 動の 存 在が 肯定 され な けれ ばな らな ら ず︑ こ の調 停活 動は

︑ 調停 機関 によ る 調 停判 断の 提示 を 目的 とす るは ず はな いか らで あ る︒ 調停 判断 の 提示 が調 停活 動 の目 的 であ るな らば

︑ 調停 の不 成立 を 条 件と する 必要 は ない から であ る

︒こ の調 停活 動は

②の 調停

m ed ia tio n

︶の 趣 旨︑ すな わち

︑当 事 者間 に おけ る合 意 形成 を促 進す る こと を目 的と す るも のと 解す べ きで あろ う︒ 従 って

︑我 が国 の 調停 制 度は 調停 手続 と 仲裁 手続 とが 連

我が国の家事調停制度の基本構造(松原)

(12)

続 した 一連 の手 続 をな して いる と いう べき であ る

︒ この 調停 手続 と 仲裁 手続 と連 続 した 一連 の手 続 は︑ それ ぞれ の AD Rと が併 存 して い るの では なく

︑ それ ぞれ のA D R とは 別種 のA DR と 理解 すべ きで あろ う︒ これ は︑ ア メリ カに お ける

M ed /A rb

︵ミ ー ダブ

︶と 呼 ばれ る AD Rと 同 様な もの と思 わ れる

M ed rb /A

︵ミ ー ダブ

︶と は︑

m ed ia tio n

a rb it ra tio n

が 連続 的に 一体 とな って い る AD Rで あ って

m ed ia tio n

に よっ て 合 意が 成立 しな い場 合︑ 引き 続い て︑

a rb it ra tio n

が 行わ れる と い う 特 徴を 有 す る︒ 両 手 続 の良 さを 兼ね 備 えて いる 上︑

m ed ia to r

a rb it ra to r

と同 一 人 であ るこ とか ら︑ 両 手 続を 別個 に行 うよ り︑ 時間 的経 済 的に 効率 的で あ ると され てい る

調停 に代 わる 審 判が 認め られ て いる 趣旨 から し て︑ 調停 委員 会 によ る調 停案 の 提示 を 同一 の機 能を 有 する もの とし て 肯 定さ れよ う︒ す なわ ち︑ 調停 案 の提 示は

︑調 停 に代 わる 審判 と 同様 に︑ 調停 手 続に よ る合 意成 立が 見 込め ない とき

︑ 調 停手 続が 尽き た 後に おけ る紛 争 解決 手段 と位 置 づけ るこ とが で きる

︒の みな ら ず︑ 調 停に 代わ る審 判 は裁 判官 が行 う も ので ある のに 対 し︑ 調停 案の 提 示は 調停 委員 会 が行 うも ので あ るこ と︑ 調停 案 の提 示 は調 停に 代わ る 審判 と比 較し て 事 案に 即し たよ り 柔軟 な内 容を 含 みう るこ とな ど

︑調 停案 の提 示 には 二四 条審 判 とは 異 なる 意義 が認 め られ るこ とを 考 慮 する と︑ 独自 の 存在 意義 を有 す るも のと いえ よ う︒

六 事 実 認 定 手 続

家庭 裁判 所は 家 事調 停事 件の ほ か︑ 家事 審判 事 件及 び人 事訴 訟 事件 を処 理し て いる

︒ 家事 審判 及び 人 事訴 訟手 続に お い ては

︑裁 判官 が 事実 を認 定し

︑ 認定 され た事 実 に法 規範 を適 用 して

︑権 利義 務 ない し 法律 関係 を形 成 する こと によ っ て

︑紛 争事 件及 び 非紛 争事 件を 処 理す る

両手 続 は職 権主 義が 支 配す るか

︑当 事 者主 義 の余 地が ある か

よっ て 多少 の

(法政研究 79‑3‑560 768)

(13)

差 異は ある が︑ と もに 司法 判断 手 続で あっ て︑ 判 断の 主体 であ る 裁判 官が

︑事 実 を調 査 し証 拠を 取り 調 べ︑ 心証 を形 成 す るこ とに よっ て 事実 を認 定す る 手続 がそ の本 質 をな し てい る︒ 家 事事 件手 続 法五 六条 にお いて も︑

家 庭裁 判所 は︑ 職 権で 事実 の調 査 をし

︑か つ︑ 申 立て によ り又 は 職権 で︑ 必要 が ある と認 める 証 拠調 を しな けれ ばな ら ない

﹂と さ れ︑ 職 権主 義に よる 必 要的 な事 実認 定 の資 料の 収集 が 定め られ てお り

︑こ れが

︑司 法 判断 手 続で ある 家事 審 判に 妥当 する こ と は当 然で ある

︒ この よう に︑ 司 法判 断作 用は

︑ 認定 の基 礎と な る資 料の 収集 方 法の あ り方 に差 はあ る もの の︑ 事実 認 定 手続 を必 須の 手 続と して 要求 す ると いわ なけ れ ばな らな い︒ 事 実の 確定 手続 を 持た な い司 法判 断作 用 はあ り得 ない

︒ これ に対 し︑ 家 事調 停の 本質 を どの よう に解 す るか につ いて 見 解は 分か れて い るこ と は前 述の とお り であ るが

︑少 な く とも 家事 調停 手 続が 司法 判断 機 能を 有す ると は 解さ れて いな い と思 われ る︒ も っと も

︑家 事審 判法 上 の乙 類に 相当 す る 家事 事件 手続 法 別表 第二 に掲 げ る事 項に つい て の調 停事 件は

︑ 調停 が不 成立 と なっ た 場合 に︑ 当然 に 審判 手続 に移 行 す るか ら︑ いわ ば 司法 判断 が予 定 され てい る手 続 であ ると いっ て よい と思 われ る が︑ そ れ以 外の 調停 事 件︵ 以下

﹁一 般 調 停﹂ とい う︒

︶は 調 停不 成立 によ り 事件 は終 了し

︑ 審判 手 続 へ移 行す るこ とは ない の であ るか ら︑ 司 法判 断 機能 を有 し ない

︒し たが っ て︑ 一般 調停 に おい ては

︑事 実 の確 定が 要請 さ れる こと はな い よう に 思わ れる

︒し か し︑ 家事 事件 手 続 法は

︑調 停に お ける 事実 認定 手 続を 予定 して い る︒ すな わち

︑ 調停 委員 会は

︑ 職権 探 知の 方法 とし て 事実 の調 査又 は 証 拠調

以 下︑

事実 の調 査﹂ とい う

︒︶ を 行う 権 限及 び義 務を 有 して おり

︑調 停 委員 会 が調 停の ため に 事実 の調 査及 び 証 拠調 を必 要と 認 めた とき は︑ そ の決 議に よっ て

︑当 該調 停委 員 会を 組織 する 裁 判官 が これ をす るこ と がで きる

︵家 事 事 件手 続法 二六 一 条一 項︶

︒そ して

︑ 家事 事件 手続 法 二六 一 条 一項 では 調停 に限 定を 加 えて いな いか ら︑ 調 停 が不 成立 に なっ た場 合に 当 然に 審判 に移 行 する 家事 事件 手 続法 別表 第二 に 掲げ る事 項に つ いて の 調停 事件 及び 家 事事 件手 続法 二 七 七条 によ る合 意 に相 当す る審 判 事件

︵家 事審 判 法二 三条

︶の み なら ず︑ 夫婦 関 係調 整 に代 表さ れる よ うな 調停 不成 立 に よっ て手 続が 終 了す る一 般調 停 にお いて も︑ 事 実の 調査 及び 証 拠調 が認 めら れ る︒

我が国の家事調停制度の基本構造(松原)

(14)

事実 の確 定は 争 訟裁 断的 手続 に 必須 のも ので あ るけ れど も︑ 当 事者 間に 任意 の 合意 を 形成 する こと を 目的 とす る調 停 手 続に おい て事 実 の確 定手 続が 認 めら れる 目的 は どこ にあ るの で あろ うか

︒一 つ には

︑ 前述 のよ うに

︑ 調停 手続 にお い て 調停 に代 わる 審 判が なさ れる 前 提と して の事 実 の確 定の ため で ある

︒し かし

︑ 事実 の 確定 手続 の意 義 はそ れに とど ま ら ない

︒ これ は︑ 調停 手 続つ いて

︑事 実 の存 否に つい て の認 識が 異な っ てい るた めに 当 事者 の 主張 が対 立し て いる 場合 に︑ そ の 事実 の存 否を 調 査し

︑そ の結 果 を前 提に して

︑ さら に︑ 合意 を 形成 する ため の 調停 活 動を 行う こと を 可能 にす るも の と 理解 すべ きで あ る︒ 例え ば︑ 家 事調 停の 実務 に おい て︑ 親権 者 の指 定・ 変更 が 争い と なり

︑子 の意 向 につ いて 当事 者 の 認識 に食 い違 い があ る場 合に

︑ 家 裁調 査官 によ る 子の 意 向 を確 認す る事 実の 調査 が 行わ れる こと は少 な くな い︒ そ の 後︑ 実施 され た 調査 結果 に基 づ いて

︑さ らに

︑ 調停 が続 行さ れ る︒ わが 国の 調 停手 続 と同 様に 当事 者 間の 合意 形成 を 促 進す る目 的を 有 する 手続 であ っ ても

︑事 実を 調 査す る手 段を 有 して いな い場 合 には

︑ 事実 の有 無が 中 心的 な争 点と な る と︑ 手続 を終 了 させ ざる を得 な い場 合も あろ う

︒そ の意 味で

︑ 事実 を調 査す る 手段 を 持た ない 調停 手 続と は調 停活 動 に 違い があ ると 言 わざ るを 得な い

︒ この 事実 の調 査 は事 実の 確定 を 目的 とす るも の であ って

︑審 判 手続 など の司 法 判断 を 行う 手続 には 必 須で あり

︑内 容 と して は同 一で あ るが

︑調 停手 続 で行 われ る場 合 には

︑次 のよ う な点 が問 題と な る︒ 調 停は 当事 者間 の 合意 によ って 紛 争 を解 決す るも の であ るか ら︑ 事 実の 調査 を実 施 する こと につ い ても

︑当 事者 の 合意 を 得る こと が必 要 であ ろう

︒当 事 者 が納 得し てい な いに もか かわ ら ず︑ 事実 の調 査 を実 施し ても

︑ その 結果 を調 停 に活 か すこ とは 困難 で あろ うと 思わ れ る

︒ま た︑ 事実 の 調査 の結 果に 基 づい て調 停活 動 を行 うと いう こ とは

︑調 査の 結 果収 集 され た資 料そ の もの を当 事者 に 提 示す るこ とを 意 味す るの であ っ て︑ 調停 委員 会 が︑ 収集 され た 資料 から 認定 さ れる と 考え る事 実を 当 事者 に伝 える こ と では ない

︒資 料 から 当然 に認 め られ る事 実に つ いて は問 題な い

︒し かし

︑親 権 者の 指 定・ 変更 の事 案 にお いて

︑子 の

(法政研究 79‑3‑562 770)

(15)

意 向が 問題 とな る 場合 に︑ 家裁 調 査官 によ る事 実 の調 査が 行わ れ るが

︑こ こに お ける 事 実の 調査 の結 果 とは

︑子 が家 裁 調 査官 に話 した 言 葉︑ その とき の 様子

︑第 三者 か らみ た子 の言 動 など

︑家 裁調 査 官が 収 集し た資 料が そ れで あっ て︑ こ れ を当 事者 双方 に 提示 して

︑そ の 資料 価値 につ い ての 当事 者の 意 見を 聞い て調 停 を進 行 させ るこ とに な る︒ もっ とも

︑ 家 裁調 査官 は︑ 専 門的 知識 経験 を 有し てい るの で ある から

︑事 実 の調 査の 結果 に 基づ い て意 見を 述べ る こと が一 般で あ る

︒調 停委 員会 は

︑こ の家 裁調 査 官の 意見 を受 け て︑ これ らの 資 料か ら推 認さ れ る子 の 意向 につ いて の 意見 を当 事者 に 伝 える こと もあ ろ う︒ 事実 の調 査の 結 果と 調停 手続 と の関 係に つい て は︑ 家庭 裁判 所 にお ける 事実 の 調査 の 一つ であ り︑ 重 要性 を有 する 家 裁 調査 官に よる 事 実の 調査 にお い て︑ 以下 に検 討 する こと とす る

七 家 裁 調 査 官 に よ る 事 実 の 調 査

︶ 家 裁 調 査官 に よ る 事 実 の 調査 の 重 要 性 家裁

調査 官に よ る事 実の 調査 は

︑家 庭裁 判所 が 行う 事実 の調 査 の一 つで ある が

︑家 庭 裁判 所の 実務 に おい て︑ 極め て 重 要な 機能 を果 た して いる こと は いう まで もな い

︒家 庭裁 判所 は 訴訟 裁判 所と 異 なり

︑ 専門 性科 学性 を 有し つつ

︑事 件 処 理に あた るの で ある が︑ その 最 も重 要な 制度 が 家庭 裁判 所調 査 官制 度で ある

︒ 平成 一 六年 四月 の人 事 訴訟 法の 施行 に よ り︑ 人事 訴訟 事 件が 家庭 裁判 所 に移 管さ れた が

︑そ の趣 旨の 一 つに

︑人 事訴 訟 事件 に おい ても 家裁 調 査官 によ る事 実 の 調査 を可 能に す る点 があ った こ とも この こと を 示し てい る︒ 家裁 調査 官に よ る事 実の 調査 は

︑事 実の 調査 一 般と 同様 に︑ 自 由の 証明 のた め の資 料 収集 手続 であ り

︑具 体的 方法 も

我が国の家事調停制度の基本構造(松原)

(16)

同 様で ある

︒し か し︑ 家裁 調査 官 は人 間関 係諸 科 学に つい ての 専 門的 知識 を有 し てい る ので ある から

︑ 家裁 調査 官に よ る 事実 の調 査は

︑ 事 実の 調査 は︑ 必 要に 応 じ︑ 事 件の 関係 人 の性 格︑ 経 歴︑ 生 活状 況︑ 財産 状態 及び 家庭 環 境そ の他 の 環境 等に つい て

︑医 学︑ 心理 学

︑社 会学

︑経 済 学そ の他 の専 門 的知 識を 活用 し て行 う よう に努 めな け れば なら ない

﹂ と され てい る︵ 家 事事 件手 続規 則 四四 条一 項︶

︒こ れ は︑ 家 裁 調査 官の 専門 性の 問題 と され てき たも ので あ るが

︑ ここ で は︑ この 家裁 調 査官 の専 門性 が

︑事 実の 調査 の 実施 にお いて ど のよ うな 形で 発 現さ れ るべ きか を分 析 して みた い︒ 家 裁 調査 官は

︑事 実 の調 査の 報告 に 意見 を付 する こ とが で きる とさ れて いる の で︵ 家 事事 件手 続法 五 八条 四項

︶︑ ま ず︑ 事 実の 調査

︑次 い で︑ これ に付 さ れる 家裁 調査 官 の意 見の 法的 性 質に つい て検 討 する

︒ 二

︶ 事 実 の 調査 の 基 本 構 造 家裁

調査 官に よ る事 実の 調査 は 専門 性科 学性 を 有す るも ので は ある が︑ 事実 の 調査 で ある 以上

︑事 実 認定 の基 礎と な る 資料 収集 を目 的 とす るも ので あ るこ とを まず 確 認し てお かな け れば なら ない

︒ 調査 報 告に 付さ れる 家 裁調 査官 の意 見 が 重視 され

︑家 裁 実務 の上 では

︑ 家裁 調査 官に よ る事 実の 調査 が あた かも 鑑定 の よう な 役割 を果 たし て いる こと から

︑ 事 実認 定の 一方 法 であ るこ とを 見 失い がち であ る こと に留 意す る 必要 があ る︒ 家裁 調査 官に よ る事 実の 調査 は 事実 認定 を目 的 とす るも ので あ る以 上︑ いか な る事 実 を認 定の ため の 資料 を収 集す べ き かが まず 問題 と なる

︒調 査対 象 とな るべ き 事実 の問 題で あっ て

︑事 実の 調査 にお ける

﹁事 実﹂

︵家 事 事件 手 続法 五六 条 一項

︑五 八条 四 項︶ とは これ を さし

︑例 えば

︑ 子の 監護 状況

︑ ある いは 子の 意 向︑ 成 年後 見事 件に お ける 後見 人候 補 者 の後 見人 とし て の適 格性 など が これ に該 当し

︑ 調査 事項 とも 呼 ばれ るこ とも あ る︒ こ れに 関し

︑こ の

﹁事 実﹂ を︑ 家 裁 調査 官が 収集 す べき 対象 その も のを いう と理 解 され てい る場 合 があ るが 正当 で はな い

︒事 実の 調査 と は︑ 事実 を収 集

(法政研究 79‑3‑564 772)

(17)

す る手 続で はな く

︑事 実に 関す る 資料 を収 集す る もの であ ると い うべ きで あろ う

︒ 調査 事項 が特 定 され ると

︑次 に

︑ど のよ うな 調 査方 法に よる べ きか が問 題と な る︒ 例 えば

︑子 の監 護 状況 が調 査事 項 で ある 場合

︑両 親 のい ずれ かあ る いは 双方 から 事 情を 聴取 する か

︑子 から 意向 を 確認 す るか

︑子 の監 護 され てい る居 宅 の 現況 を見 分す る かな ど︑ どの よ うな 調査 方法 を 採用 すべ きか の 問題 であ る︒ 調査 事項 及び 調 査方 法の 特定 の 問題 は︑ 裁判 所 によ る事 実の 調 査の 場合 にも 起 こり う るが

︑裁 判所 は

︑こ れら を特 定 せ ずに

︑事 実の 調 査を 行う こと は でき ない から

︑ 問題 とな るこ と は少 ない

︒し か し︑ 調 査官 によ る事 実 の調 査の 場合 に は

︑こ の特 定性 の 問題 が生 ずる

︒ 調査 事項 につ い ては

︑家 事事 件 手続 にお いて 家 裁調 査 官に 事実 の調 査 が命 ぜら れる 際 に

︑家 裁調 査官 が 有す る専 門的 知 見の 活用 をは か る趣 旨か ら︑ 調 査事 項が 包括 的 にな る 場合 があ る︒ 例 えば

︑両 親の い ず れが 親権 者に ふ さわ しい かと い う事 実を 確定 す るた めに は︑ 現 在の 子の 監護 状 況︑ 過 去の 監護 状況

︑ 子と 親と の親 和 性

︑親 の経 済状 況 など の諸 事実 を 確定 させ

︑各 事 実を 比較 考量 し て︑ 判断 しな け れば な らな い︒ 前者 が

︑事 実認 定に お け る主 要事 実に あ たり

︑後 者が こ れを 推認 させ る 間接 事実 にあ た る︒ 親権 者の 適 格性 の 判断 にお いて

︑ これ らの 間接 事 実 のう ち︑ いず れ を調 査の 対象 と して 確定 すべ き かは 事案 にお け る具 体的 事情 に よる こ とに なる

︒し た がっ て︑ 親権 者 と して いず れが ふ さわ しい かと い う主 要事 実が 調 査事 項と され た 場合

︑こ れら の 間接 事 実を すべ て調 査 すべ きか

︑あ る い はど の事 実を 調 査す れば 足り る かが 重要 な問 題 とな ろう

︒ 三

︶ 家 裁 調 査官 の 意 見 家裁

調査 官は

︑ 事実 の調 査の 報 告に

︑意 見を 付 する こと がで きる と され てお り︵ 家 事事 件 手続 法五 六条 四項

︶︑ この 家 裁調 査官 の意 見 は︑ 前述 のと お り︑ その 専門 性 から して 重要 な 意義 を有 する

︒ しか し

︑こ の家 裁調 査 官の 意見 の位 置

我が国の家事調停制度の基本構造(松原)

(18)

づ け︑ 調査 の結 果 との 関係 など に つい て︑ 必ず し も明 確で はな い

︒ 家裁 調査 官の 意 見と はど のよ う な内 容を 含む も のが 予定 され て いる ので あろ う か︒ 家 裁調 査官 が︑ 事 実の 調査 の結 果 得 られ た﹁ 事実

﹂ の分 析あ るい は 評価 が︑ その 意見 と呼 ばれ るこ と が少 なく ない よう に 思わ れる

︒こ れ は︑

事 実﹂ と い う言 葉の 社会 科 学的 な用 法と し ては

︑十 分理 解 でき ると ころ で ある

︒し かし

︑ この 理 解は

︑家 裁調 査 官に よる 事実 の 調 査が

︑裁 判所 に よる それ と同 様 に︑ 資料 収集 手 続で ある こと の 意味 を弱 めて い るよ う に思 われ る︒ 家 裁調 査官 が収 集 し たも のは

︑そ れ が︑ 関係 人の 陳 述で あれ

︑監 護 者宅 の現 況に 関 して 家裁 調査 官 が五 感 の作 用に よっ て 認識 した 結果

あ れ︑ いず れも

︑ 調査 対象 とな っ た事 実を 認定 す るた めに 必要 と され る資 料で あ り︑

事実

﹂ と呼 ぶ のは 正確 性を 欠 く︒ 事 実の 調査 の報 告 とは

︑事 実の 調 査の 結果 を報 告 する こと に他 な らな いが

︑報 告 の内 容 は︑ 調査 官活 動 によ って 収集 さ れ た資 料と いう こ とに なる

︒し た がっ て︑ これ に 付さ れる 家裁 調 査官 の意 見は

︑ 当然

︑ その 資料 が調 査 対象 とさ れた 事 実 を認 定す るこ と がで きる か否 か に関 する 見解 と いう こと にな る

︒ど ちら の親 が 親権 者 とし て適 格で あ るか とい う調 査 事 項の 場合

︑収 集 され た資 料か ら 特定 の親 が親 権 者と して 適格 で ある と認 定で き ると す る意 見を 付す る こと にな る︒ ま た

︑子 の意 向が 調 査事 項で ある 場 合︑ 子か ら事 情 を聴 取し たと す ると

︑得 た陳 述 が調 査 の結 果で あり

︑ その 資料 に基 づ い て︑ 子の 意向 が どの よう に認 定 でき るか につ い ての 調査 官の 見 解が その 意見 と いう こ とに なる

︒し た がっ て︑ 家裁 調 査 官の

﹁意 見﹂ は 事実 認定 に関 す る意 見︵

F in d in g

︶と され る

︒ とこ ろで

︑少 年 保護 事件 にお け る調 査報 告書 に 家裁 調査 官が 付 ける 意見

︵少 年 審判 規 則一 三条 二項

︶ は︑ 要保 護性 と い う事 実を 認定 す る意 見︵

F in d in g

︶と

︑そ れを 前提 にす る処 遇に 関す る 意見

R ec o m m en d a tio n

︶と を含 む もの と解 さ れて いる が︑ こ れは

︑少 年保 護 事件 にお ける 調 査が 原則 とし て 事件 全般 にわ た る包 括 的な 調査 であ る ため

︑調 査結 果 に 関す る意 見か ら 必然 的に 処遇 に 関す る意 見が 引 き出 され るか ら であ る︒ 家事 審 判手 続 にお いて も︑ 包 括的 に調 査が 命 ぜ られ た場 合に は

︑事 実認 定に 関 する 意見 から 必 然的 に事 件処 理 に関 する 意見 が 導き 出 させ る場 合も 想 定さ れる ので

(法政研究 79‑3‑566 774)

(19)

こ のよ う な場 合に は︑ 事 件処 理 全体 に対 する 意見

R ec o m m en d a tio n

︶ を付 して も 差 し 支え な い︒ 例え ば

︑親 権者 変 更 の事 件に おい て

︑包 括的 に事 実 の調 査が 命ぜ ら れた 場合

︑い ず れが 親権 者と し てふ さ わし いか とい う 事実 の認 定に 関 す る意 見を 付し

︑ それ を前 提に

︑ さら に︑ 審判 を すべ きか ある い は調 停に よる べ きか な ど事 件処 理に つ いて の意 見を 付 す るこ とが でき る と解 され てい る ので ある

︒ 調査 報告 書に 意 見を 付す かど う かは

︑調 査を 担 当し た家 裁調 査 官の 判断 に委 ね られ て いる

︒少 年保 護 事件 にお いて は

︑ 家 裁調 査官 は︑ 調 査報 告書 に意 見 をつ ける よう 義 務づ けら れて い る︵ 少年 審判 規 則一 三 条二 項︶ のに 対 し︑ 家事 事件 手 続 法五 八条 四項 は

︑ 家庭 裁判 所調 査 官は

︑前 項の 規 定に よる 報 告に 意見 を付 する こ とが でき る﹂ と 規定 し てお り︑ こ れ は家 事事 件の 調 査の 場合 には 部 分調 査が 行わ れ る場 合が あり

︑ その 場合 には 調 査事 項 が部 分調 査で あ るた めに 意見 を 付 すこ とが でき な い場 合や

︑調 査 の結 果得 られ た 資料 の性 質か ら

︑当 然に 事実 が 認定 で きる こと から

︑ 特に 意見 を付 す 必 要が ない 場合 が 考え られ るた め であ る︒ 四

︶ 事 実 の 調査 の 結 果 と 調 査 官意 見

① 事実 の 調査 の 結果 事実 の調 査は

︑ 家裁 調査 官に よ る調 査事 項に 該 当す る事 実を 認 定す るた めの 資 料収 集 活動 であ る︒ そ こに おけ る家 裁 調 査官 の専 門性 の 意義 は︑ 調査 事 項で ある 事実 認 定の ため の信 用 性の 高い 資料 の 獲得 に ある とい えよ う

︒年 齢の 低い 子 の 意向 の確 認の 調 査の 場合

︑児 童 心理 学な どの 専 門的 知見 を有 す る家 裁調 査官 な らば

︑ 適切 な面 接技 法 の選 択や 心理 テ ス トな どの 補助 的 技法 の採 用な ど によ って

︑信 用 性の 高い 資料 を 獲得 する こと が 可能 に なる

︒こ れに 対 し︑ 家庭 裁判 所 に よる 事実 の調 査 の方 法と して は

︑家 事審 判官 が 子に 面接 する こ とな どが 考え ら れる が

︑こ の方 法に よ って 得ら れる の

我が国の家事調停制度の基本構造(松原)

(20)

は 子の 供述 であ る が︑ それ のみ で は必 ずし も子 の 意向 を十 分に 確 認す るこ とは で きな い と思 われ る︒ こ のよ うな 意味 で

︑ 家 裁調 査官 の有 す る専 門的 知見 は 調査 活動 にお い て有 意義 であ る

② 調査 報 告に 付 され る意 見 調査 報告 に付 さ れる 家裁 調査 官 の意 見は

︑収 集 され た資 料か ら 調査 事項 とさ れ た事 実 が認 定で きる か 否か につ いて の も ので ある こと は 前述 のと おり で ある

︒調 査活 動 によ って 収集 さ れた 資料 の証 拠 価値 に つい ての 意見 と いう こと にな る

︒ と ころ で︑ 獲得 さ れた 資料

︵証 拠 資料

︶か らあ る 事実 が認 定で き るか 否か の判 断 は︑ 事 実認 定に 関す る 経験 則︵ 経験 法 則

︶を 適用 する こ とに よっ て行 わ れる

︒経 験則 と は︑ 一般 的に は

︑経 験か ら帰 納 され た 事物 に関 する 知 識や 法則 をい う と され

︑民 事紛 争 にお ける 経験 則 は︑ 経済 活動 に おい て︑ 人は 経 済的 合理 性を 追 求す る とい う事 情を 基 礎に して いる

︒ し かし

︑親 権者

・ 監護 者の 指定

・ 変更 など の紛 争 にお いて は︑ 人 間の 心情 など 非 合理 的 な問 題が 背景 に ある 以上

︑事 件 関 係人 が経 済活 動 にお ける よう に 合理 的に 行動 す ると は言 い難 い

︒子 の意 向の 確 認調 査 にお いて

︑一 方 の親 と会 いた く な いと いう

︑未 成 年の 子の 供述 を

︑そ れの みで

︑ 直ち に︑ その 子 の意 向で ある と する こ とが でき ない 場 合も あろ う︒ こ の よう な事 案で は 人間 の心 情な ど 非合 理な 問題 に おい て有 用な 経 験法 則の 存在 が 欠か せ ない が︑ これ は

︑民 事紛 争に お け る経 済的 合理 性 を基 礎に する 前 述の 経験 法則 と は異 なり

︑家 裁 調査 官の 有す る 専門 的 な知 識経 験を 基 礎に して 生み 出 さ れる 必要 があ る とい わな けれ ば なら ない

︒ すな わち

︑事 実 の調 査に おけ る 家裁 調査 官の 調 査活 動は

︑未 成 年子 など の証 拠 方法 か ら証 明力 の高 い 証拠 資料 を得 る こ とを 目的 とす る もの であ り︑ そ れに より 得ら れ た資 料は 調査 報 告書 の﹁ 調査 の 結果

﹂ 欄に 記載 され

︑ 調査 によ り得 ら れ た資 料か らど の よう な事 実が 認 定し うる かに つ いて の家 裁調 査 官の 意見 が︑ 調 査報 告 書の 意見 欄に 記 載さ れて

︑併 せ て 調停 委員 会に 報 告さ れる ので あ る︒

(法政研究 79‑3‑568 776)

(21)

調査 事項 によ っ ては

︑収 集さ れ た資 料か ら直 接 に調 査事 項た る 事実 を認 定す る こと が でき ず︑ 複数 の 間接 事実 から 主 要 事実 を推 認す る こと によ って

︑ 事実 を認 定し な けれ ばな らな い 場合 があ る︒ 親 権者 の 適格 性と いう 事 実は これ を直 接 証 拠に よっ て認 定 する こと はで き ない

︒過 去の 子 の監 護状 況︑ 現 在の 子の 監護 状 況︑ 経 済的 状況

︑子 の 意向 や子 との 親 和 性な どの 間接 事 実を 認定 した う え︑ これ らを 比 較考 量す るこ と によ って

︑い ず れの 親 が親 権者 とし て 適切 であ るか と い う事 実を 推認 す るこ とに なる

︒ この 推認 も︑ 経 験則 によ って 行 うこ とに なる が

︑複 数 の間 接事 実が そ れぞ れ異 なる 主 要 事実 を推 認さ せ るよ うな 場合 に は︑ 収集 され た 資料 から 子の 意 向な どの 間接 事 実を 認 定す る場 合と 比 較し てよ り高 度 の 経験 則が 必要 と なる

︒監 護の 継 続性 の原 則︑ 母 性優 先の 原則

︑ 子の 意思 尊重 の 原則

︑ 兄弟 同一 監護 の 原則 など とい わ れ る親 権者 の適 格 性に 関す る準 則 がこ の経 験則 に 当た るも ので あ るが

︑問 題は

︑ これ ら が具 体的 な事 案 にお いて 妥当 性 を 持ち うる かを 検 証す る必 要が あ り︑ これ には 困 難な 判断 が要 求 され るか らで あ る︒ そ して

︑当 該事 案 にお いて 採用 さ れ た経 験法 則は 調 査報 告書 の意 見 欄に 記載 され

︑ 調査 事項 の認 定 につ いて の結 論 を導 き 出す こと にな る ので ある

︒ 五

︶ 家 裁 調 査官 に よ る 事 実 の 調査 の 意 義 以上

は︑ 家裁 調 査官 によ る事 実 の調 査そ のも の の意 義に つい て であ る︒ しか し

︑調 停 手続 にお ける 家 裁調 査官 によ る 事 実の 調査 につ い ては

︑前 述の と おり

︑調 停手 続 の手 続構 造を 視 野に 入れ ての 検 討が 必 要で ある よう に 思わ れる

︒ 調停 手続 にお い て︑ 子の 意向 あ るい は子 の監 護 状況 につ いて の 事実 の調 査命 令 がな さ れる こと があ る

︒そ の調 査の 結 果 は調 停手 続で ど のよ うに 利用 さ れる べき であ ろ うか

︒通 常︑ こ のよ うな 命令 が なさ れ るの は︑ 夫婦 関 係調 整調 停事 件 等 にお ける 親権 者 の指 定に つい て

︑当 事者 が子 の 意向 や子 の監 護 状況 に関 して 意 見が 対 立し て︑ 手続 進 行が 困難 とな っ た 場合 に︑ その 事 実を 確認 する た めで あり

︑調 査 の結 果す なわ ち 調査 官が 得た 資 料そ の もの を︑ 当事 者 に伝 え︑ その 証

我が国の家事調停制度の基本構造(松原)

参照

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