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著者 成田 忍

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Academic year: 2022

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バウシンガー効果を考慮した冷間鍛造シミュレーシ ョンの高精度化に関する研究

著者 成田 忍

発行年 2017‑12

出版者 静岡大学

URL http://doi.org/10.14945/00025245

(2)

( 課程博士・様式7)(Doctoral qualification by coursework,Form

7)

学位論文要

Abstract of Doctoral Thesis

専 攻:環境・エネルギーシステム 氏 名:成田 忍 ヒ2

論文題目:パウシンガー効果を考慮した冷問鍛造シミュレーションの高精度化に関する 研究

論文要旨.

近年, 金属の塑性加工における生産現場では, 有限要素法(FEM)による数値シミュレ ーションを用いた工程・型治工具設計が欠かせない状況になっており, より正確かっ現実 的な計算結果が求められている. 板成形の分野では, 材料構成則に移動硬化則あるいは複 合硬化則を用いたシミュレーションによりパウシンガー効果を表現することで, 特に高張 力鋼板のスプリンク、、パックの予測精度の向上が積極的に行われている.

一方, 鍛造加工に代表されるバルク成形の分野で、は,多工程で行われることも多くあり,

一連の加工によって付与される塑性ひずみの累積値は1. 0を超えることが通常である. その ようなことから, バルク成形シミュレーションでは, 岡Ij塑性材料あるいは弾塑性材料を用 いた等方硬化則(IH model)がギに用いられているのが現状である.

しかし, 近年では, バルク成形シミュレーションに対してもより高精度な計算結果が求 められている. また, 成形工程だけではなく, 成形前後の材料特性の変化の考慮や, バル ク成形工程後に続く接合等のシミュレーションとの連成など いわゆるマルチプロセスシ ミュレーションへの要求も高まっている.

さて,熱処理を施さない非調質の状態で使用される鍛造品の場合,その供用時の強度は,

成形工程によって付与される残留応力や塑性ひずみなどの加工履歴に大きく影響を受ける.

前述の通り, バルク成形シミュレーションは主に等方硬化則を用いて計算を行うため, 加 工硬化によって拡大した降伏曲面は縮小することはない. したがって, 成形中および型・

治工具の除荷の際, 負荷応力方向の反転によって起こり得る再降伏時のパウシンガー効果 を表現することはできない. そのため, 成形後の残留応力は加工硬化と弾性変形による除 荷を繰り返しただけであり, 塑性変形が大きいほど成形後の残留応力は高くなる傾向にあ る. このことから, 非調質の成形品に対してIH modelを用いた強度評価を単純に適用する ことはできない.

このような状況に対して, 板成形シミュレーションと同様にバルク成形シミュレーシヨ ンに対しても移動硬化則あるいは複合硬化則を適用することが有効であると考えられる.

しかし, 従来の枠組みの場合, 鍛造加工のように累積される塑性ひずみが1.0 を超えるよ

(3)

うな大ひずみに対して対応できていない あるいは想定していないと言う問題がある.

そこで, 本研究では冷間鍛造を主な対象として, パウシンガー効果を考慮したバルク成 形シミュレーションを行うために材料構成則の改良とその実践を行い, その有効性の評 価・検討した.

最初に板成形シミュレーションとバルク成形シミュレーションの比較を行いながら, バ ルク成形シミュレーションにおけるバウシンガー効果の考慮に対する現状の課題を挙げた.

次にこの課題に対する解決として, 板成形シミュレーションにおいて多くの適用事例が 報告されているYoshida-Uemori model (YU model)を 鍛造成形のような大ひずみへ適 用するための改良を行った. 改良されたYU modelは, ユーザーサブルーチンを介して商 用のバルク成形用有限要素コードへ組み込み バルク成形シミュレーションへ適用できる ようにした.

改良されたYU model を用いた実際の鍛造成形への適用として, 前方押出し成形におけ る除荷時の弾性変形( スプリングパック)の評価・検討を行った. この前方押出し成形で は改良されたYU modelとIH modelを使用した有限要素解析ならびに実験を行い,加工硬 化則によるスプリングパックの影響を評価した. 実験および有限要素解析 ともに, 押出し 軸径は, スプリングパックによって金型の成形部直径よりも増加し, その後に続く取り出 しによって減少することが確認された. また, 有限要素解析の結果から, 改良された YU modelを用いた方がIH modelよりも実験結果に近い結果となり,パウシンガー効果を表現 できる移動硬化則を適用することでより正確な材料挙動を計算できることが確認された.

しかし材料硬化則によらず有限要素解析では軸俸の拡大を過大に評価した.

次に, 実際に製造されている冷間多段鍛造による非調質ボ、ルトの成形工程ならびに供用 時の強度評価について, パウシンガー効果の考慮、の影響を調査した. すなわち、 改良され たYU modelとIH modelを使用した多段鍛造工程ブ。ロセスならびに強度評価の有限要素解 析を行い, 多段成形において付与されるひずみと応力の履歴, ならびに最終工程後の計算 結果を引き継し、だボルトの軸荷重負荷挙動の有限要素解析を行った. 多段鍛造工程の有限 要素解析では, 供用時強度の主たる成分である軸方向の応力成分に対し, 改良された YU modelの方がIH modelよりも大きく反転することがわかった. また, 成形中に付与される 相当塑性ひずみおよび軸方向応力成分も, 改良されたYU model の方が大きく, 移動硬化 則の適用の効果が明確に表現された. 多段鍛造の有限要素解析を引き高齢、だ軸荷重負荷の 有限要素解析では, 改良されたYU modelを適用したプロセスでは, IH modelを適用した ブρロセスよりも早期に降伏が起こることが確認され, パウシンガー効果による降伏応力の 低下が明確に表現された. また, IH modelは移動硬化則を適用した場合よりも強度が過大 に評価されていることも明らかになった. さらに, 多段鍛造工程の違いによって生じる部 品の強度差も表現され, バルク成形シミュレーションに対して移動硬化則を適用すること が有効であることが示された.

参照

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