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(1)

日本企業のクロスボーダーM&AにおけるPMIに関する 一考察

著者 杉浦 慶一

著者別名 SUGIURA Keiichi

雑誌名 東洋大学大学院紀要

巻 54

ページ 97‑115

発行年 2017

URL http://id.nii.ac.jp/1060/00009662/

(2)

要旨

近年、日本企業のクロスボーダーM&A(cross-border mergers and acquisitions)の案 件が増加している。増加の背景としては、国内市場の成熟化に伴い、日本企業の経営者の海 外戦略に対する意識が高まっていることや、他の企業のクロスボーダーM&Aの取り組みに 触発される、などの要因があげられるが、クロスボーダーM&Aを支援するファイナンシャ ル・アドバイザー(financial advisor)の役割も大きい。そして、昨今、M&A後の経営や統 合がうまくいくように、PMI(post-merger integration)の重要性が注目されるようになっ てきた。

本稿では、「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編)」および

「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(プロフェッショナル編)」の結 果を分析し、日本企業のクロスボーダーM&AにおけるPMIに関する実態や当事者の意識に ついて明らかにした。そして、PMIに関与する人材が不足していることが課題であることや 人材の流動化が進展する可能性などを指摘した。

キーワード

クロスボーダーM&A(cross-border mergers and acquisitions)

PMI(post-merger integration)

ファイナンシャル・アドバイザー(financial advisor)

PMO(project management office)

経営人材(executive)

目次 はじめに

日本企業のクロスボーダーM&Aにおける PMIに関する一考察

経営学研究科経営学専攻博士後期課程修了

杉浦 慶一

(3)

1.日本企業のクロスボーダーM&AにおけるPMIの研究の潮流 2.クロスボーダーM&AにおけるPMIに関する諸問題

3.アンケート調査結果の分析 4.若干の考察

おわりに

はじめに

近年、日本企業のクロスボーダーM&A(cross-border mergers and acquisitions)の案 件が増加している(1)。増加の背景としては、国内市場の成熟化に伴い、日本企業の経営者の 海外戦略に対する意識が高まっていることや、他の企業のクロスボーダーM&Aの取り組み に触発される、などの要因があげられるが、クロスボーダーM&Aを支援するファイナンシ ャル・アドバイザー(financial advisor)の役割も大きい。そして、昨今、M&A後の経営や 組織統合がうまくいくように、PMI(post-merger integration)の重要性が注目されるよう になってきた。

これまで日本においても、クロスボーダーM&Aに関する研究が行われてきたが、日本企 業のクロスボーダーM&AにおけるPMIに焦点をあてた研究は少ないのが現状である。そこ で、本稿では、クロスボーダーM&Aを実施したことのある日本企業に対して筆者が実施し たアンケート調査の結果を分析し、日本企業のクロスボーダーM&AにおけるPMIに関する 実態や当事者の意識について明らかにする。まず、日本企業のクロスボーダーM&Aにおけ るPMIの研究の潮流と諸問題について述べる。次に、筆者が実施した「日本企業のクロスボ ーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編)」および「日本企業のクロスボーダーM&A に関するアンケート調査(プロフェッショナル編)」の結果を分析し、実情を踏まえた上で 若干の考察を行うこととする。

1.日本企業のクロスボーダーM&AにおけるPMIの研究の潮流

これまで日本においても、日本企業のクロスボーダーM&AやM&AにおけるPMIに関す る調査・研究が行われてきたが、「日本企業」、「クロスボーダーM&A」、「PMI」という三つ をキーワードとした研究は少ないのが現状である。

日本企業のクロスボーダーM&AにおけるPMIの先行研究としては、鈴木(1993)があげ られる。当時は、「クロスボーダーM&A」や「PMI」という用語は浸透していなかったが、

鈴木(1993)は、日本企業による欧米企業の買収における価値創造過程について、日本の親 会社および現地の被買収企業の関係者へのインタビューを通じて明らかにすることを試みて いる。M&A後の経営やPMIに関しては、被買収企業の買収後評価、被買収企業の再構築策、

被買収企業内における現地人社員の行動様式、被買収企業におけるトップ経営者と派遣日本

(4)

人社員、被買収企業に対する日本親会社の対応、被買収企業内での予算管理・人事管理・生 産管理・販売管理の実態について明らかにしており、本領域の先駆的研究と位置づけられる。

近年では、実務家による著書も刊行されるようになってきている(2)。また、各種の雑誌に おいても、クロスボーダーM&Aの特集が組まれるケースが出てきており(3)、一部にはPMI に関する諸問題がとり上げられるケースも存在する。その他には、M&Aアドバイザリー・

ファームなどがクライアント向けにPMIの論点を含めたアンケート調査を実施して、公表し たケースが存在する。さらに、経済産業省の「平成25年度産業金融システムの構築及び整備 調査委託事業」の成果として、「買収後の統合作業を見据えたM&A業務プロセスの調査・

研究とM&A疑似体験研修プログラムの作成報告書」が公表されている。

2.クロスボーダーM&AにおけるPMIに関する諸問題

(1)PMIに対する意識と検討時期

まず、M&A後に成功を収めるためには、企業がPMIに対する意識を持つことが大切であ る。M&Aを成立させることを最終目的とするのではなく、M&A後の経営や組織統合をう まく行って成功に導くという視点が重要である。

また、M&Aプロセスのなるべく早い段階でPMIの具体的な検討や計画の立案を行い、そ の後の実行に備える準備を行うことが重要である。

(2)外部コンサルタントの活用

M&A戦略の立案やM&A取引の実行(エグゼキューション)において、外部のファイナ ンシャル・アドバイザー(M&Aアドバイザー)を起用する局面があるように、PMIにおい ても、外部のコンサルタントを起用することがある。PMIコンサルタントを起用する際に必 要な視点としては、ファイナンシャル・アドバイザーと同様に、何を期待して起用するのか を明確にした上で起用するという視点が重要である。また、PMIコンサルタントの助言・サ ポートを得ると効果が出やすい施策というものが事前に把握できれば、それも踏まえての起 用を検討するということもできるであろう。

なお、PMIの主な施策としては、ビジョン・基本方針の策定・浸透、企業文化・企業風土 の融合、買収先に対するモニタリング体制の構築、既存の経営者のアセスメント、経営者・

キーパーソンの引き留め策、買収先の従業員に対するコミュニケーション、Day1プランの 策定、100日プランの策定、人事制度・報酬制度の統合、業務プロセスの統合、統合の効果 の測定などがあげられる。また、PMIを推進する上で主体的役割を演じるPMO(project management office)の運営も含めプロジェクト全体のコーディネートを外部コンサルタン トに頼るというパターンもあり得る。

(5)

(3)PMIに関与する人材

PMIに関与する日本企業側の人材でまず重要なポストは、日本企業から現地の買収先企業 に派遣される常駐経営人材である。常駐経営人材を派遣する場合には、日本本社より派遣す るケース、現地法人や地域統括会社より派遣するケース、プロフェッショナル経営者を外部 から招聘するケースなどがあり得るが、M&Aの際に派遣できる経営人材の層を厚くしてお くことは日本企業にとって重要な課題である。また、常駐経営者として派遣される人材は、

M&A前より案件のプロジェクト・チームに参画して、検討することになった背景や目的や リスクを十分に把握した上で、買収先企業の経営に従事することが望ましいと考えられる。

なお、どの部門から派遣するかについては、事業部門から派遣するパターンと経営企画部門 や財務部門から派遣するパターンが存在する。また、日本の親会社へのレポーティング・ラ インを構築するために、経営者以外にも、買収先企業に対してスタッフが派遣されることも ある。

3.アンケート調査結果の分析

本節では、2017年3月に筆者が実施した「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアン ケート調査(企業編)」および「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査

(プロフェッショナル編)」の集計結果を用いて、日本企業によるクロスボーダーM&Aにお けるPMIの実態について明らかにする。

(1)アンケート調査の概要

①企業編の概要

表1は、日本企業に対して実施した「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケー ト調査(企業編)」の概要を示している。本アンケート調査は、2017年3月に、既存の各種の アンケート調査では明らかにされていない論点も含め、日本企業のクロスボーダーM&Aの 今後の課題や将来展望を明らかにすることを目的として実施された。アンケート調査票は、

買手としてクロスボーダーM&Aを実施したことのある日本企業850社(上場企業700社、未 上場企業150社)に郵送し、217社(回答率25.5%)より回答を得た。

上場企業700社を選定するにあたっては、上場企業のWebサイト上に記載されている会社 概要、沿革、有価証券報告書に記載されている沿革、プレスリリース(適時開示を含む)を チェックし、2000年以降にクロスボーダーM&Aを実施した実績のある日本企業を特定化し た上で抽出した。未上場企業150社を選定するにあたっては、筆者が過去に実施したアンケ ート調査の送付先企業でクロスボーダーM&Aを実施した実績のある企業を選定したり、

M&Aアドバイザリー・ファームのWebサイト上に記載のトラック・レコードより実施経験 のある企業を把握したりするなどして送付先を選定した。なお、上場・未上場を問わず、

(6)

M&Aアドバイザリー・ファーム、コンサルティング・ファーム、証券会社、M&Aアドバ イザリー部門を有する銀行は対象外とした。ただし、金融機関でも、保険会社、ノンバン ク、事業会社を母体とする銀行については含めることとした。

アンケート調査票は、M&A業務を推進している部署(経営企画部、経営戦略部、事業開 発部、財務部など)の担当役員もしくは担当部長(もしくは室長・グループ長)宛に郵送し た。筆者が既にコンタクトを有している企業については、当該担当者宛に郵送した。なお、

上場企業でM&A業務を推進している部署が特定・推定できない場合は、管理部、総務部、

広報部宛に郵送した先も一部存在する。また、未上場の中堅・中小企業でM&A業務を推進 している部署が特定・推定できない場合は、代表者宛に郵送した。

本調査における調査項目は、表1に示されているとおり、「戦略とアプローチに関する質 問」、「M&Aアドバイザー(ファイナンシャル・アドバイザー)に関する質問」、「PMI

(post-merger integration)に関する質問」、「課題と将来展望に関する質問」の四つに大別 されるが、本稿では、PMIに関する項目のみの現状を明らかにする。

②企業編の回答企業の特徴

表2と表3と表4は、それぞれ回答企業の上場・未上場の区分、売上高(連結)、業種を示し ている。上場・未上場の区分については、上場企業が186社(85.7%)、未上場企業が31社

(14.3%)となっている。売上高(連結)については、数百億円規模の中堅クラスの企業の ほか、売上高1,000億円以上の大手企業も多数含まれている。業種の傾向については、製造 業が最も多く、147社(67.7%)となっている。

1 日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編)の概要 調査目的 日本企業のクロスボーダーM&Aの今後の課題や将来展望を明らかに

することを目的とし、アンケート調査を実施する。

調査時期 20173

調査対象 2000年以降に買手としてクロスボーダーM&Aを実施した経験のあ る日本企業850社(上場企業700社、未上場企業150社)

調査項目 Ⅰ戦略とアプローチに関する質問

M&Aアドバイザー(ファイナンシャル・アドバイザー)に関する

質問

PMIpost-merger integration)に関する質問

Ⅳ課題と将来展望に関する質問 回答率 217社(回答率25.5%

(出所)筆者作成。

(7)

③プロフェッショナル編の概要

表5は、M&Aを支援するプロフェッショナル(以下、「M&Aプロフェッショナル」とい う)に対して実施した「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(プロフ ェッショナル編)」の概要を示している。本アンケート調査は、2017年3月に、前述の「日本 企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編)」を補完する目的で実施さ れた。

アンケート調査票は、クロスボーダーM&Aに関与したことのある日本のM&Aプロフェ ッショナル100名に郵送し、85名(回答率85.0%)より回答を得た。

本調査における調査項目は、表5に示されているとおり、「クロスボーダーM&Aの推進体 制に関する質問」、「PMI(post-merger integration)に関する質問」、「将来展望と課題に関 する質問」の三つに大別されるが、本稿では、PMIに関する項目のみの現状を明らかにする。

2 回答企業の上場・未上場の区分

区分 回答数 %

上場 186 85.7%

未上場 31 14.3%

サンプル数 217 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編) の集計結果に基づき作成。

3 回答企業の売上高(連結)

売上高 回答数 %

100億円未満 12 5.5%

100億円以上500億円未満 45 20.7%

500億円以上1,000億円未満 24 11.1%

1,000億円以上5,000億円未満 75 34.6%

5,000億円以上1兆円未満 20 9.2%

1兆円以上 38 17.5%

N/A 3 1.4%

サンプル数 217 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編) の集計結果に基づき作成。

4 回答企業の業種

区分 回答数 %

製造業 147 67.7%

卸売業・小売業 23 10.6%

サービス業(情報・通信を含む) 28 12.9%

その他(金融・建設・不動産・運輸・物流・

倉庫など) 18 8.3%

N/A 1 0.5%

サンプル数 217 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編) の集計結果に基づき作成。

(8)

④プロフェッショナル編の回答者の特徴

本調査における回答者のビジネス・カテゴリーの分布は、表6に示されているとおりであ る。M&Aアドバイザリー・ファームには、国内独立系M&Aアドバイザリー・ファーム、

監査法人系FAS、コンサルティング・ファームのM&A支援チーム、M&A仲介会社、大手 ファームから独立した個人のM&Aプロフェッショナルなどが含まれている。金融機関には、

大手銀行のM&Aアドバイザリー部門、大手証券会社の投資銀行部門、銀行のM&Aファイ ナンス・アレンジャーが含まれている。弁護士事務所には、大手弁護士事務所に所属し、ク ロスボーダーM&Aの法務サポートの実績が豊富な弁護士が含まれている。プライベート・

エクイティ・ファームには、投資銀行などでM&Aアドバイザリーの経験があり現在はプラ イベート・エクイティ・ファームに所属しているプロフェッショナルが含まれている。

(3)アンケート調査結果

①日本企業のPMIに対する意識と検討状況

表7は、日本企業がクロスボーダーM&Aを実施する際にPMIを意識しているかと、買収の 検討段階においてPMIの具体的な検討を行っているかを示している。まず、全体的な傾向と

5 日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(プロフェッショナル編)の概要 調査目的 日本企業のクロスボーダーM&Aの今後の課題や将来展望を明らかに

することを目的とし、アンケート調査を実施する。

調査時期 20173

調査対象 M&Aアドバイザリー・ファーム、大手証券会社の投資銀行部門、大

手銀行(M&AアドバイザリーおよびM&Aファイナンス・アレンジャ ー)、監査法人系FAS、弁護士事務所、戦略系コンサルティング・フ ァーム、プライベート・エクイティ・ファームなどに所属するM&A プロフェッショナル100

調査項目 ⅠクロスボーダーM&Aの推進体制に関する質問

PMIpost-merger integration)に関する質問

Ⅲ将来展望と課題に関する質問 回答率 85名(回答率85.0%

(出所)筆者作成。

6 回答者のビジネス・カテゴリー

区分 回答数 %

M&Aアドバイザリー・ファーム 37 43.5%

金融機関(M&Aアドバイザリー、ファイナ

ンス・アレンジャー) 15 17.6%

弁護士事務所 15 17.6%

プライベート・エクイティ・ファーム 18 21.2%

サンプル数 85 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&A に関するアンケート調査(プロフェ ッショナル編)」の集計結果に基づき作成。

(9)

して、PMIを強く意識しているという傾向が読みとれる。しかし、PMIの具体的な検討を行 うことが多いかどうかについては、「強く意識しており、具体的な検討を行うことが多い」

が81社(38.0%)、「強く意識しているが、具体的な検討までは行わない(行えない)ことが 多い」が116社(54.5%)となっており、行っているという企業のほうが少ないという結果 となっている。今後は、PMIの重要性が高まるにつれて、具体的な検討を行う企業が徐々に 増えていくと予想される。

表8は、クロスボーダーM&AのPMIに関する日本企業の意識について、M&Aプロフェッ ショナルが回答した結果を示している。「ある程度向上している」という回答が60名(72.3

%)を占めた。「大幅に向上している」という回答は9名にとどまった。なお、「向上してい ない」という回答は14名(16.9%)存在したが、主に中堅・中小企業を支援しているM&A ファームなどが数多く含まれており、大企業と中堅・中小企業ではPMIに対する意識の度合 いが異なる可能性がある。

表9は、日本企業のクロスボーダーM&A案件における基本合意の前段階からのPMI施策の 具体的な検討が行われるケースが増加しているかについて、M&Aプロフェッショナルが回 答した結果を示している。「大幅に増加している」という回答は2名(2.4%)のみであり、

「ある程度増加している」という回答が49名(59.8%)となっている。また、「増加していな い」という回答が31名(37.8%)となっている。

7 買収の検討段階におけるPMIに関する検討状況

状況 回答数 %

強く意識しており、具体的な検討を行うこと

が多い。 81 38.0%

強く意識しているが、具体的な検討までは行

わない(行えない)ことが多い。 116 54.5%

あまり意識していない。 16 7.5%

サンプル数 213 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編) の集計結果に基づき作成。

8 クロスボーダーM&APMIに関する日本企業の意識

状況 回答数 %

大幅に向上している。 9 10.8%

ある程度向上している。 60 72.3%

向上していない。 14 16.9%

サンプル数 83 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(プロフェ ッショナル編)」の集計結果に基づき作成。

(10)

②PMIの計画策定・実行における外部コンサルタントの起用

表10は、PMIの計画策定・実行における外部コンサルタントの起用状況を示している。ク ロスボーダーM&Aにおいて、ファイナンシャル・アドバイザーを起用することは多い(4)が、

PMIで外部コンサルタントを起用することは少なく、多くの場合は自社で対応しているとい う実態が読み取れる。

表11と表12は、主要なPMI施策を示しているが、表11は、日本企業が外部コンサルタント の助言・サポートに期待する施策を、表12は、外部コンサルタントの助言・サポートを得る と効果が出やすい施策についてM&Aプロフェッショナルが回答した結果を示している。

まず、企業側とM&Aプロフェッショナル側に共通して回答数が少なかった施策は、「ビ ジョン・基本方針の策定・浸透」、「企業文化・企業風土の融合」、「買収先の従業員に対する コミュニケーション」であった。これらは企業経営の根幹をなすものであり、外部コンサル タントに依存するものではなく、企業経営者が主導で行うものである。社内の意見を吸い上 げる仕組みを構築する上でコンサルタントの助言を得ることはあり得るが、明確なビジョン を提示して末端の従業員まで浸透させることを実行するのは企業経営者の重要な役割である。

また、「統合の効果の測定」についても、シナジー効果の定量化を行う方法などに関する助 言を得ることはあっても、M&A前に当初想定されていた効果とM&A後の実際の状況を比 較・分析して、継続的に評価を行って次のアクションを模索することは企業経営者主導で行 うべきものであると考えられる。

そして、企業側が外部コンサルタントに期待したいと回答し、M&Aプロフェッショナル 9 クロスボーダーM&A案件における基本合意の前段階からのPMI施策の具体的な検討が行われるケース

状況 回答数 %

大幅に増加している。 2 2.4%

ある程度増加している。 49 59.8%

増加していない。 31 37.8%

サンプル数 82 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&A に関するアンケート調査(プロフェ ッショナル編)」の集計結果に基づき作成。

10 PMIの計画策定・実行における外部コンサルタントの起用状況

状況 回答数 %

すべての案件において必ず起用している。 9 4.3%

起用する場合が多いが、案件によっては起用

しないこともある。 43 20.6%

案件によっては起用することもあるが、起用

しないことのほうが多い。 81 38.8%

原則として起用しない。 76 36.4%

サンプル数 209 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編) の集計結果に基づき作成。

(11)

側も外部コンサルタントの助言により効果が出やすいと回答した数が共通して多かった項目 は、「買収先に対するモニタリング体制の構築」、「経営者・キーパーソンの引き留め策」、

「100日プランの策定」、「人事制度・報酬制度の統合」であった。特に、「経営者・キーパー ソンの引き留め策」や「人事制度・報酬制度の統合」は、外部コンサルタントが持つノウハ ウを活用することや、第三者的な視点から客観的な助言を得ることは効果的であると考えら れる。「100日プランの策定」については、計画の立案も実行も経営者が主導で行うべきもの であるが、計画に盛り込むべき項目についての助言を得たり、具体化するための方法につい て助言を得たりすることは効果的であると考えられる。なお、「プロジェクト全体のコーデ ィネート」という回答もある程度存在した。

11 外部コンサルタントの助言・サポートに期待するPMI施策(複数回答可)

施策 回答数 %

ビジョン・基本方針の策定・浸透 15 8.2%

企業文化・企業風土の融合 17 9.3%

買収先に対するモニタリング体制の構築 59 32.4%

既存の経営者のアセスメント 39 21.4%

経営者・キーパーソンの引き留め策 49 26.9%

買収先の従業員に対するコミュニケーション 29 15.9%

Day1プランの策定 26 14.3%

100日プランの策定 52 28.6%

人事制度・報酬制度の統合 48 26.4%

業務プロセスの統合 52 28.6%

統合の効果の測定 31 17.0%

プロジェクト全体のコーディネート 49 26.9%

サンプル数 182

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編) の集計結果に基づき作成。

12 外部コンサルタントの助言・サポートを得ると効果が出やすいPMI施策(複数回答可)

施策 回答数 %

ビジョン・基本方針の策定・浸透 8 9.8%

企業文化・企業風土の融合 3 3.7%

買収先に対するモニタリング体制の構築 27 32.9%

既存の経営者のアセスメント 12 14.6%

経営者・キーパーソンの引き留め策 21 25.6%

買収先の従業員に対するコミュニケーション 11 13.4%

Day1プランの策定 20 24.4%

100日プランの策定 42 51.2%

人事制度・報酬制度の統合 36 43.9%

業務プロセスの統合 18 22.0%

統合の効果の測定 8 9.8%

プロジェクト全体のコーディネート 29 35.4%

サンプル数 82

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&A に関するアンケート調査(プロフェ ッショナル編)」の集計結果に基づき作成。

(12)

表13は、日本企業のクロスボーダーM&AのPMIに対応できる外部コンサルタントの数が 不足していると感じているかどうかを示しているが、企業側とM&Aプロフェッショナル側 とでは、やや回答の傾向が異なっている。M&Aプロフェッショナルのほうが、「極めて不 足している」と回答した割合が高かった理由としては、M&Aアドバイザリー・ファームや コンサルティング・ファームがPMIコンサルタントの人員の拡充を図っているが、PMI支援 の需要が高まっており、コンサルタントの数が足りないという実情が反映されている可能性 もある。

③PMI人材

表14は、日本企業のクロスボーダーM&Aにおける現地の買収先企業への常駐経営人材の 派遣状況を示している。「すべての案件において必ず派遣している」という回答が103社(48.6

%)と最も多く、次いで「派遣する場合が多いが、案件によっては派遣しないこともある」

という回答が77社(36.3%)となっており、総じて派遣する場合が多いという実態があると いえる。なお、「案件によっては派遣することもあるが、派遣しないことのほうが多い」は 21社(9.9%)、「原則として派遣しない」は11社(5.2%)にとどまっている。

表15は、派遣する常駐経営人材の出身部門の傾向を示している。最も多い回答は「事業部 門の人材を派遣することが多い」であり、84社(39.8%)を占めている。その他には、「管 理部門(経営企画・財務など)の人材を派遣することが多い」が42社(19.9%)、「管理部門 13 日本企業のクロスボーダーM&APMIに対応できる外部コンサルタントの数

状況 企業編 プロフェッショナル編

回答数 % 回答数 %

極めて不足している。 46 24.9% 43 52.4%

やや不足している。 108 58.4% 36 43.9%

十分足りている。 31 16.8% 3 3.7%

サンプル数 185 100.0% 82 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編)」および「日本企業のクロスボー

ダーM&Aに関するアンケート調査(プロフェッショナル編)」の集計結果に基づき作成。

14 現地の買収先企業への常駐経営人材の派遣状況

状況 回答数 %

すべての案件において必ず派遣している。 103 48.6%

派遣する場合が多いが、案件によっては派遣

しないこともある。 77 36.3%

案件によっては派遣することもあるが、派遣

しないことのほうが多い。 21 9.9%

原則として派遣しない。 11 5.2%

サンプル数 212 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編) の集計結果に基づき作成。

(13)

(経営企画・財務など)と事業部門の両方の人材を派遣することが多い」が52社(24.6%)

となっている。

表16は、クロスボーダー案件のPMIの経験のある人材の中途採用の有無を示している。

「既に採用実績がある」という回答は、60社(28.4%)であった。日本でも、企業内M&A人 材として、戦略の立案やエグゼキューションのスキルを期待して投資銀行出身者を採用する 動きは数多く行われているが、PMIに絞って採用が行われたケースは少ないといえる。これ は、企業側の需要が少なかったという見方や、PMIの成功や失敗を多数経験してスキルを有 する人材の流動化が進展してないという見方など、いろいろな要因が考えられる。

今後については、「採用実績はないが今後は採用を検討する」という回答が82社(38.9%)

存在したように、適切な人材がいれば採用したいと考えている企業は数多く存在し、人材の 流動化が進展するにつれて、採用実績も増えてくると考えられる。

表17は、日本企業のクロスボーダーM&AのPMIに携わる企業内人材の数が不足している と感じているかを示している。企業側にもM&Aプロフェッショナル側にも同じ質問を設け たが、総じて不足しているという傾向が読み取れる。

15 派遣する常駐経営人材の出身部門

傾向 回答数 %

管理部門(経営企画・財務など)の人材を派

遣することが多い。 42 19.9%

事業部門の人材を派遣することが多い。 84 39.8%

管理部門(経営企画・財務など)と事業部門

の両方の人材を派遣することが多い。 52 24.6%

特に傾向はない。 23 10.9%

原則として派遣しない。 10 4.7%

サンプル数 211 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編) の集計結果に基づき作成。

16 クロスボーダー案件のPMIの経験のある人材の中途採用

採用実績 回答数 %

既に採用実績がある。 60 28.4%

採用実績はないが今後は採用を検討する。 82 38.9%

今後も採用予定はない。 69 32.7%

サンプル数 211 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編) の集計結果に基づき作成。

(14)

表18は、日本企業がクロスボーダーM&Aの推進体制の構築・強化のために行うべき重要 事項についてM&Aプロフェッショナルが回答した項目を示している。「M&A業務(戦略、

案件遂行)経験者の中途採用」と並んで「M&A業務(PMI)経験者の中途採用」が重要で あることが示されている。

4.若干の考察

本節では、アンケート調査結果から得られた示唆も踏まえて、日本企業のクロスボーダー M&AにおけるPMIに関する将来展望について考察する。

(1)PMIに対する意識と外部コンサルタントの活用

アンケート調査では、クロスボーダーM&Aを実施したことのある日本企業はPMIを強く 意識しており、M&Aプロフェッショナル側も日本企業によるPMIに対する意識は向上して きていると認識している。また、強く意識しているが、実行には移すことができていない場 合も多いというような実態が存在することも明らかになった。「強く意識しているが、具体 17 日本企業のクロスボーダーM&APMIに携わる企業内人材の数

状況 企業編 プロフェッショナル編

回答数 % 回答数 %

極めて不足している。 138 65.4% 72 86.7%

やや不足している。 68 32.2% 11 13.3%

十分足りている。 5 2.4% 0 0.0%

サンプル数 211 100.0% 83 100.0%

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編)」および「日本企業のクロスボー

ダーM&Aに関するアンケート調査(プロフェッショナル編)」の集計結果に基づき作成。

18 日本企業がクロスボーダーM&Aの推進体制の構築・強化のために行うべき重要事項(複数回答可)

項目 回答数 %

M&Aを担当する専門組織・チームの設置 52 64.2%

同業他社のM&Aの動向のチェック 4 4.9%

買収候補先のリストアップや情報のアップデ

ート 38 46.9%

M&A業務推進のためのマニュアルやガイド

ラインの作成 6 7.4%

M&A投資枠の設定 10 12.3%

M&A投資基準の設定 22 27.2%

M&A業務(戦略、案件遂行)経験者の中途

採用 35 43.2%

M&A業務(PMI)経験者の中途採用 35 43.2%

CFO機能の充実 16 19.8%

M&Aに知見のある社外取締役の登用 9 11.1%

M&A専門誌の購読・M&A専門書の読破 0 0.0%

M&Aセミナーや研修プログラムへの参加 3 3.7%

サンプル数 81

(出所)「日本企業のクロスボーダーM&A に関するアンケート調査(プロフェ ッショナル編)」の集計結果に基づき作成。

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的な検討までは行わない(行えない)ことが多い」という回答が多かった背景としては、「行 えない」という実情も反映されている可能性がある。社内リソースの都合や、また入札案件 などにおいては、短期間でデューデリジェンスを実施する必要があり、PMIに関する高い意 識を持っていても実際の検討や計画立案までは行えないという実態があると推測される。こ のような実態があるとすれば、PMIに知見のある社内リソースを確保するとともに、相対案 件を重視し、戦略的かつ能動的なアプローチを行うことを心がけ、PMIを見据えた案件を自 ら創出するという視点も重要になってくると考えられる。

そして、本調査では、PMIコンサルタントの助言・サポートに期待する施策についても明 らかにした。リソースが足りない場合や専門家の知見やノウハウを活用したい場合には、

PMIコンサルタントの起用も効果的であるが、いずれの場合においても、起用する際には、

何を期待して外部コンサルタントを起用するのかを明確にした上で起用することが望ましい。

PMIの主体は企業側であるので、外部コンサルタントに「丸投げ」するつもりで起用するの ではなく、どのようなアドバイスをしてほしいかを整理することが大切である。

昨今、一部のM&Aアドバイザリー・ファームがPMIを見据えた支援を行う動きが顕著に なってきている。具体的には、従来はファイナンシャル・アドバイザリー業務やデューデリ ジェンス業務を中心として案件のサポートを行ってきたM&Aアドバイザリー・ファームが PMIコンサルタントを内製化し、M&A後のサポートまで支援を継続する動きが出てきてい る。また、組織・人事分野のコンサルティング・ファームなども、日本企業のクロスボーダ ーM&AにおけるPMIのサポートを強化しており、外部プロフェッショナルが起用される場 面もある程度増加すると予想される。

(2)PMI人材の将来展望

企業内のPMIに関与する人材の層を厚くするには、企業内で育成する方法と外部から経験 豊富な人材を採用する方法が考えられる。企業内での育成方法については、海外の子会社や 地域統括会社の経営人材として若手を積極的に登用することなどが不可欠である。また、ク ロスボーダーM&Aの経験に乏しい場合、M&Aの検討機会や実施件数が多くリソースが不 足する場合、社内で育成することが難しい場合などでは、クロスボーダー案件のPMIの経験 のある人材の中途採用を行うことも一手段である。そして、外部から採用したPMI経験者が 企業内のPMI人材の育成に関与する局面も出てくるであろう。

アンケート調査結果においては、クロスボーダー案件のPMIの経験のある人材の中途採用 について、「既に採用実績がある」という回答が少なく、「採用実績はないが今後は採用を検 討する」という回答が多かったが、人材の流動化がまだ進展していないという見方もできる。

今後は、経験を積んだ人材が増えるにつれて、企業から別の企業へPMI経験者が転職するケ ース、企業内でPMIの実践を積んだ人材がPMIコンサルタントに転身するケース、多様な企

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業のPMIに関与した経験のあるプロフェッショナル人材が企業に招聘されて着任するという ケースなどが出てくると予想される。また、プライベート・エクイティ・ファンドのオペレ ーション支援チームのメンバーが企業内のPMI担当やPMIコンサルタントに転身するケース も出てくる可能性がある。

人材の流動化が進展していく上では、人材エージェント(エグゼクティブ・サーチ会社、

人材紹介会社)の役割も期待される。昨今、M&Aプロフェッショナルやプライベート・エ クイティ・ファームなどのプロフェッショナル人材に特化する人材紹介会社が、事業会社の 企業内M&A人材の採用支援を強化する動きも出てきており、このような人材エージェント が活躍する場面も増える可能性がある。

おわりに

以上、日本企業のクロスボーダーM&AにおけるPMIについて述べてきたが、今後も日本 企業による案件の実績が積み上がっていくにつれて、PMIに関与する人材の流動化が進展す る可能性について示唆を行った。

クロスボーダーM&Aが注目されて増加傾向を示す一方で、買収後に海外子会社の経営に 関する問題が生じるケースも顕在化しており、2017年には経済産業省が研究会を設置した。

具体的には、2017年8月に、日本企業による海外企業の買収とその後の海外子会社の経営を 主な論点とし、実態と課題を分析した上で、海外M&Aに携わる企業や関係者が業務を遂行 する際に参考となる事例などを提示するための研究会(「我が国企業による海外M&A研究 会」)が設置されて議論が開始されており、クロスボーダーM&Aの活用の促進と成功に向 けた一助となることが期待されている。

最後に、今後の研究課題について述べて本稿の締めくくりとする。本稿では明らかにでき なかったが、企業規模別あるいは経験値によって特徴や当事者の意識が異なる可能性もあ り、アンケート調査結果のクロス集計を行うことも有効であると考えられる。また、本稿で は深く掘り下げることは行わなかったが、企業内M&A人材の人事異動のあり方、企業内 M&A人材に対するインセンティブ・システムや報酬のあり方、買収先企業に派遣する常駐 経営人材を含むグローバル経営人材の育成などの論点は今後特に重要になってくると思われ る。これらの点については、筆者の今後の研究課題としたい。

(1) 日本企業による海外企業の買収を示す用語としては、クロスボーダーM&A以外に、in-out型 M&AやアウトバウンドM&A(outbound M&A)という用語も使用されるが、本稿ではクロ スボーダーM&Aという用語を使用する。

(2) 例えば、松江・篠原(2012)や竹田(2013, 2016)では、日本企業のクロスボーダーM&Aに

(17)

おけるPMIの実務が述べられている。

(3) 具体的には、『知的資産創造』(野村総合研究所)の2009年11月号、『旬刊経理情報』(中央経 済社)の1319号(2012年7月)、『一橋ビジネスレビュー』(一橋大学イノベーション研究セン ター)の60巻4号(2013年3月)、『証券アナリストジャーナル』(日本証券アナリスト協会)の 2013年4月号などにおいてクロスボーダーM&Aの特集が組まれている。

(4) 「日本企業のクロスボーダーM&Aに関するアンケート調査(企業編)」の「ⅡM&Aアドバイ ザー(ファイナンシャル・アドバイザー)に関する質問」においては、クロスボーダーM&A におけるファイナンシャル・アドバイザーの起用状況の質問も設定したが、「すべての案件に おいて必ず起用している」が69社(32.5%)、「起用する場合が多いが、案件によっては起用し ないこともある」が91社(42.9%)、「案件によっては起用することもあるが、起用しないこと のほうが多い」が42社(19.8%)、「原則として起用しない」が10社(4.7%)という結果であ った。

付記

本稿におけるアンケート調査は、平成28年度東洋大学井上円了記念研究助成に基づいて実施さ れたものである。ここに記して深く感謝したい。また、ご多忙の中、アンケート調査に回答いた だいた企業の方々や本稿を執筆するにあたり貴重なコメントをいただいた実務家の方々にも、こ の場を借りて御礼を申し上げたい。

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In recent years, cross-border mergers and acquisitions rapidly increased in Japan. And problems about post-merger integration (PMI) came to be discussed. The purpose of this paper is to analyze the result of questionnaire survey under the title ”Questionnaire Survey about cross-border mergers and acquisitions in Japan” and to shows the points of post-merger integration in Japanese cross-border mergers and acquisitions.

This paper is organized as follows. The first section shows previous study of in this area.

The second section explains some important points of post-acquisition problems in cross- border M&A transactions. The third section analyzes the result of questionnaire results.

Forth section considers the future outlook of post-acquisition problems in Japanese cross- border M&A transactions. Finally, some future studies are drawn.

Keywords

Cross-border mergers and acquisitions PMI(post-merger integration)

Financial advisor

PMO(project management office)

Executive

A Consideration on PMI in Japanese Cross-Border Mergers and Acquisitions

SUGIURA, Keiichi

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