*1 埼玉医科大学国際医療センター核医学科
*2 千葉大学大学院薬学研究院
*3 福井大学高エネルギー医学研究センター
*4 大阪府済生会中津病院 PET センター
*5 東邦大学医療センター大森病院放射線科
*6 公立松任石川中央病院 PET センター
別刷請求先:東京都文京区本駒込 2–28–45 (0113–8941) 6 日本アイソトープ協会 学術部学術課
医学・薬学部会事務局
《報 告》
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 31 報
(平成 20 年度 第 34 回調査)
6 日本アイソトープ協会 医学・薬学部会 放射性医薬品安全性専門委員会
松田 博史*
1荒野 泰*
2岡沢 秀彦*
3岡村 光英*
4水村 直*
5横山 邦彦*
6要旨 本調査は,平成 20 年度に投与された放射性医薬品に関連して発生した副作用事例の発生頻度 とその内容を調べる目的で実施された.調査は,調査票を核医学診療施設に送付して回答を求めるアン ケート方式で実施した.調査対象 1,247 施設のうち,930 施設より回答が得られた.副作用事例は 24 件報告された.回答を得た 930 施設における放射性医薬品の投与件数は 1,063,343 件であった.副作用 発生率は 100,000 件あたり 2.3 件であった.不良品事例の報告はなかった.
(核医学 47: 29–43, 2010)
I . I .I .
I .I . は じ め に
日本アイソトープ協会医学・薬学部会放射性医 薬品安全性専門委員会で毎年実施している副作用 事例調査は回を重ねて 34 回となった.この調査 は,in vivo 核医学検査と非密封 RI による治療の 目的で使用される放射性医薬品投与に関連して発 生した副作用 (adverse reaction) 事例,ならびに放 射性医薬品の不良 (drug defect) 事例の発生頻度と その内容を調べて報告するものである.第 33 回 (平成 19 年度) までの調査結果の概要は,これま で 30 報にわたって本誌に報告してきた1).今回は 平成 20 年 4 月 1 日より平成 21 年 3 月 31 日まで の 1 年間に発生した事例について,平成 21 年に 調査した結果を報告する.
I I . I I . I I . I I .
I I . 調査方法
調査は従来通り,調査票を核医学診療施設に送 付して回答を求めるアンケート方式で実施した.
「第 34 回放射性医薬品副作用事例アンケート調査 放射性医薬品副作用・不良品事例調査票 (平成 20 年度対象)」 は,平成 20 年 4 月に前年度第 33 回 調査票回収依頼時に全国 in vivo 核医学診療施設 に送付した.副作用・不良品事例発生のつど連絡 通知を受け,調査資料とするためである.平成 21 年 4 月に第 34 回調査の調査票回収を依頼し た.同時に第 35 回調査 (平成 21 年度対象) の依 頼を行った.平成 21 年 6 月をもって調査票の回 収を締め切った.同時に平成 20 年度に使用した 放射性医薬品の投与件数を調査した.報告された 個々の事例については製薬会社による調査結果を 含め,委員会で検討を行った.
I I I . I I I .I I I .
I I I .I I I . 調査結果
今回調査対象とした 1,247 施設のうち,回答が 得られたのは 930 施設で,調査票回収率は 74.6%
であった (Table 1).
副作用事例は 21 施設より 24 件報告された.
Table 2 副作用・不良品事例報告の推移 年 度
1994〜1996 1997〜1999 2000〜2002 2003〜2005 2006〜2008
調査票回収率 (%) 78.4 82.8 86.0 80.2 76.9
副作用報告件数 79 93 88 56 67
不良品報告件数 27 9 9 15 6
副作用発生頻度 (10 万件あたり) 2.2 2.3 2.1 1.4 1.9 不良品発生頻度 (10 万件あたり) 0.7 0.2 0.2 0.4 0.2
今回は不良品事例の報告はなかった.副作用を報 告した施設数は回答を寄せた 930 施設の 2.3% で あった.副作用事例は前年度より 8 件多く,不良 品事例は 3 件少なかった.報告された放射性医薬 品の全投与件数は 1,063,343 件であり,副作用の 発生率は 0.0023% となる.投与 100,000 件あたり は 2.3 件であり,対前年度比は 2.4 である.過去 5 回の調査結果を比較してみると,2004 年度以後 の副作用は 0.0009〜0.0027%, 不良品は 0.0000〜
0.0006% である.今回は副作用事例報告が 24 件 で,過去 5 年間の 11〜32 件の中で件数,発生率 ともに 2 番目に高い (Table 1).1994〜2008 年の 間に報告された副作用等の発生件数および頻度を 3 年ごとに区切り,その推移をみると,副作用報 告は 1994 年から現在までに投与 100,000 件あた り 1.4〜2.3 件で大きな変化は見られない.不良品 については,100,000 件あたり 0.2〜0.7 件の発生
頻度である (Table 2).
報告された副作用発現事例を使用した放射性医 薬品別にみると,メルカプトアセチルグリシルグ リシルグリシンテクネチウム (9 9 mT c ) 注射液
[99mTc-MAG3],クエン酸ガリウム (67Ga) 注射液
[67Ga-クエン酸ガリウム],メチレンジホスホン酸
テクネチウム (99mTc) 注射液 [99mTc-MDP],ヒドロ キシメチレンジホスホン酸テクネチウム (99mTc) 注射液 [99mTc-HMDP] 各 3 件,ジエチレントリア ミン五酢酸テクネチウム (99mTc) 注射液 [99mTc-
DTPA],フルデオキシグルコース (18F) 注射液
[18F-FDG],塩化タリウム (201Tl) 注射液 [201Tl-塩 化タリウム]各 2 件,ピロリン酸テクネチウム (99mTc) 注射液 [99mTc-PYP],過テクネチウム酸ナ トリウム (99mTc) 注射液 [99mTc-パーテクネテイト], ヘキサキス (2-メトキシイソブチルイソニトリル) テクネチウム (99mTc) 注射液 [99mTc-MIBI],テク Table 1 第 34 回放射性医薬品副作用等事例調査結果
第 30 回 第 31 回 第 32 回 第 33 回 第 34 回
2004 2005 2006 2007 2008
対象施設数 A 1,220 1,243 1,263 1,259 1,247 回答施設数 B 968 1,007 975 994 930 調査票回収率 B/A 79.3% 81.0% 77.2% 79.0% 74.6%
副作用等報告施設数 C 23 20 28 13 21
副作用等報告率 C/B 2.4% 2.0% 2.9% 1.3% 2.3%
アンケート回答施設における
放射性医薬品投与件数 D 1,277,906 1,264,098 1,189,127 1,192,072 1,063,343
副作用報告件数 E 16 19 32 11 24
副作用発生率 E/D 0.0013% 0.0015% 0.0027% 0.0009% 0.0023%
不良品報告件数 F 8 3 3 3 0
不良品発生率 F/D 0.0006% 0.0002% 0.0003% 0.0003% 0.0000%
Table 3 放射性医薬品別副作用事例 (平成 20 年度)
副作用の種類3) 頻 度 放射性医薬品1) 投与件数2)
V F A O 計 (%)
99mTc-PYP
1,175 1 0 0 0 1 0.0851
[ピロリン酸テクネチウム (99mTc)]
99mTc-MAG3 [メルカプトアセチルグリシルグリシル
10,795 0 0 3 0 3 0.0278
グリシンテクネチウム (99mTc)]
99mTc-DTPA
8,082 2 0 0 0 2 0.0247
[ジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム (99mTc)]
99mTc-パーテクネテイト
15,285 1 0 0 0 1 0.0065
[過テクネチウム酸ナトリウム (99mTc)]
67Ga-クエン酸ガリウム
55,558 0 1 2 0 3 0.0054
[クエン酸ガリウム (67Ga)]
99mTc-MIBI [ヘキサキス (2-メトキシイソブチル
20,732 1 0 0 0 1 0.0048
イソニトリル) テクネチウム (99mTc)]
99mTc-MAA
22,158 1 0 0 0 1 0.0045
[テクネチウム大凝集人血清アルブミン (99mTc)]
123I-BMIPP [15-(4-ヨードフェニル)-3(R,S)-
22,781 0 0 1 * 0 1 * 0.0044
メチルペンタデカン酸 (123I)]
99mTc-MDP
110,373 2 0 1 0 3 0.0027
[メチレンジホスホン酸テクネチウム (99mTc)]
18F-FDG
85,208 0 0 2 0 2 0.0023
[フルデオキシグルコース (18F)]
99mTc-テトロホスミン
57,201 0 1 0 0 1 0.0017
[テトロホスミンテクネチウム (99mTc)]
123I-IMP [塩酸 N-イソプロピル-4-
62,117 0 0 1 0 1 0.0016
ヨードアンフェタミン (123I)]
201Tl-塩化タリウム
143,258 0 0 2 * 0 2 * 0.0014
[塩化タリウム (201Tl)]
99mTc-HMDP [ヒドロキシメチレンジホスホン酸
268,837 1 0 2 0 3 0.0011
テクネチウム (99mTc)]
合 計 9 2 13 0 24
* 2 薬剤同時投与 1 例あり
1)慣用名表記 ([ ] 内は一般名)
2)アンケート回答施設における投与件数 (回収率 74.6%)
3)副作用の種類:V; 血管迷走神経反応,F; 発熱,A; アレルギー反応,O; その他
ネチウム大凝集人血清アルブミン (99mTc) 注射液
[99mTc-MAA],15-(4-ヨードフェニル)-3(R,S)-メ チルペンタデカン酸 (123I) 注射液 [123I-BMIPP], テトロホスミンテクネチウム (99mTc) 注射液 [99mTc- テトロホスミン],塩酸 N-イソプロピル-4-ヨード アンフェタミン (123I) 注射液 [123I-IMP] 各 1 件で,
延べ 25 件であった.なお,今回は 2 薬剤同時投 与事例が 1 例含まれており,症例数は 24 であ
る.従来からの副作用と比較するために,本委員 会では症例ごとに調査票の 「副作用の症状」 に基 づき,副作用の種類を血管迷走神経反応 (V), 発 熱 (F), アレルギー反応 (A), その他 (O) に分類 して検討した (Table 3).
調査票を回収し得た 930 施設での当該放射性医 薬品総投与件数 (参考資料 1) を母数として算定し た副作用発生頻度は,99mTc-PYP 0.0851% (検査
Table 5 副作用発現の症例 (平成 20 年度) 症例 副作用 患 者
重 篤 度 薬剤の 措 置
番号 の種類 性別, 年齢
因果関係 用 量 副作用の症状
(回復時間)
診 断
99mTc-パーテクネテイト [過テクネチウム酸ナトリウム (99mTc)] (脳,甲状腺,唾液腺,異所性胃粘膜シンチグラフィ)
08-01 V 男,9 歳 非重篤 74 MBq 酸素,
クレチン病 薬剤−可能性小 ラクテック
負荷−可能性小 心因−可能性あり 他の薬剤−記載なし
(1 分で軽快)
99mTc-MAA [テクネチウム大凝集人血清アルブミン (99mTc) 注射液] (肺シンチグラフィ)
08-02 V 女,55 歳 非重篤 1 vial 特になし
深部静脈血栓 薬剤−可能性あり (200 MBq) 症,肺動脈血 負荷−記載なし
栓塞栓症 心因−記載なし 他の薬剤−記載なし
(5 分) Table 4 副作用事例種類別報告の推移
年 度
副作用の種類
1994〜1996 1997〜1999 2000〜2002 2003〜2005 2006〜2008
血管迷走神経反応 (V) 31 32 46 16 23
(0.9) (0.8) (1.1) (0.4) (0.7)
発 熱 (F) 0 0 0 1 2
(0.0) (0.1)
アレルギー反応 (A) 26 31 24 28 33
(0.7) (0.8) (0.6) (0.7) (1.0)
その他 (O) 22 30 18 11 9
(0.6) (0.8) (0.4) (0.3) (0.3)
合 計 79 93 88 56 67
(2.2) (2.3) (2.1) (1.4) (1.9)
注:( ) の数値は,アンケート回答施設における投与件数を母数とした 10 万件あたりの発生件数 100,000 対 85 件), 99mTc-MAG3 0.0278% (同 28
件),99mTc-DTPA 0.0247% (同 25 件),99mTc-パー テクネテイト 0.0065% (同 7 件),67Ga-クエン酸 ガリウム 0.0054% (同 5 件),99mTc-MIBI 0.0048%
(同 5 件), 99mTc-MAA 0.0045% (同 5 件), 123I- BMIPP 0.0044% (同 4 件), 99mTc-MDP 0.0027%
(同 3 件),18F-FDG 0.0023% (同 2 件),99mTc-テト ロホスミン 0.0017% (同 2 件), 123I-IMP 0.0016%
(同 2 件),201Tl-塩化タリウム 0.0014% (同 1 件),
99mTc-HMDP 0.0011% (同 1 件) であった (Table 3).
米国核医学会 (Society of Nuclear Medicine) の局 方委員会の報告2) では,18 施設で実施された 783,525 検査中 18 件の副作用事例が報告されてお り,頻度は 100,000 件あたり 2.3 例であった.ま た,欧州核医学会 (European Association of Nuclear Medicine) の報告3) では,100,000 件中 11 例であっ た.ただし,これらの調査では血管迷走神経反応 があらかじめ除外されている.
静注 (坐位) 直後,意識消失.ベッドに移動し,バイタ
ルチェック.呼びかけに応答あり.最高血圧 1 0 0 mmHg, 酸素飽和度 100%.酸素 4 L マスクにて開始.
ラクテック 500 mL 点滴.意識清明,会話可能,見当識 問題なし.血圧 102/64 mmHg,呼吸記載なし,脈拍 100/分.
静注 (仰臥位) 直後,胸痛,胸部熱感,左前胸部絞扼感 出現.我慢できそうとのことで,検査を継続した.検査 終了後,坐位になったところ,急速に症状改善した.数 分後に症状消失.中一日あけて 2 回検査を行ったが,2 回とも同様の経過である.血圧 110/70 mmHg, 呼吸測 定せず,脈拍 72/分整 (撮像・測定継続)
99mTc-PYP [ピロリン酸テクネチウム (99mTc) 注射液] (心および骨シンチグラフィ)
08-03 V 女,49 歳 非重篤 0.5 vial プリンペラン
狭心症疑 薬剤−確実 負荷−記載なし 心因−記載なし
他の薬剤−記載なし (20 分)
99mTc-MDP [メチレンジホスホン酸テクネチウム (99mTc)] (骨シンチグラフィ)
08-04 A 男,66 歳 非重篤 740 MBq 強力ネオミノ
膀胱癌 薬剤−可能性あり ファーゲン
負荷−可能性小 シー,ソル・
心因−可能性小 コーテフ
他の薬剤−可能性あり (翌日回復)
08-05 V 男,70 歳 非重篤 740 MBq 特になし
前立腺癌 薬剤−可能性あり 負荷−可能性小 心因−可能性小
他の薬剤−可能性小 (2 時間)
08-06 V 女,59 歳 非重篤 1 vial 特になし
S 状結腸癌 薬剤−可能性小 (740 MBq)
負荷−可能性小 心因−可能性あり
他の薬剤−可能性なし (10 分)
99mTc-HMDP [ヒドロキシメチレンジホスホン酸テクネチウム (99mTc)] (骨シンチグラフィ)
08-07 V 女,63 歳 非重篤 740 MBq 特になし
直腸癌 薬剤−可能性あり 負荷−記載なし 心因−記載なし
他の薬剤−記載なし (30 分)
08-08 A 女,77 歳 非重篤 740 MBq ステロイド軟膏
肺癌 薬剤−可能性あり 負荷−可能性小 心因−可能性あり
他の薬剤−可能性あり (9 日)
08-09 A 女,44 歳 非重篤 1 vial 特になし
左乳癌 薬剤−可能性あり (740 MBq) 負荷−可能性小
心因−可能性あり
他の薬剤−可能性なし (120 分)
99mTc-DTPA [ジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム (99mTc)] (腎シンチグラフィ)
08-10 V 男,36 歳 非重篤 1 vial 特になし
右水腎症疑 原因−不明 (482 MBq)
(40 分)
静注 (坐位) 直後,悪心・嘔気,嘔吐出現.プリンペラ
ン静注し,経過を見る.10 分程度で症状は回復.血圧 160/70 mmHg, 呼吸測定せず,脈拍 70/分 (撮像・測定 継続)
静注 (坐位) 30 分後,そう痒感の訴えあり.上半身発疹 著明.その後,右記薬剤投与.本剤投与から 6 時間 30 分後,骨シンチ検査時には上半身の発疹はあるものの,
そう痒感は消失していた.血圧,呼吸,脈拍測定せず
(撮像・測定継続)
静注 (坐位) 30 分後,頭痛,腰のしびれ感出現.2 時間 ほど持続した.その後軽快するも,頭重感が残った.血 圧,呼吸,脈拍測定せず (撮像・測定継続)
本剤投与直後より気分不快の訴えあり.静注終了後,仰 臥位にて様子を見ながらバイタルチェックをするも,特 に大きな変化は見られず.約 10 分ほどで回復.その 後,30 分ほど休んだ後,動き出した.血圧 149/101 mmHg, 呼吸記載なし,脈拍 73/分整 (撮像・測定継続)
静注 (坐位) 2 時間後,顔面紅潮,顔面のほてり出現.
血圧,呼吸,脈拍測定せず (撮像・測定継続)
静注 (坐位) 6 時間後,顔面のほてり感あり.その他の 他覚所見なく,帰宅.帰宅後もほてり感持続.本剤投与 3 日後,起床時,頬部に発赤あり.当院を受診.皮膚科 でステロイド軟膏を処方され,経過観察.血圧,呼吸,
脈拍測定せず (撮像・測定終了後)
静注 (坐位) 40 分後,両手に発疹出現.撮影時 (120 分
後) には明らかに消退傾向.血圧,呼吸,脈拍測定せず
(撮像・測定継続)
ラシックス負荷レノグラム 30 分の検査を予定する.本 剤を仰臥位にて投与し,20 分後にラシックスを投与前 に,医師が患者に具合の悪いところがないか尋ねたとこ ろ,15 秒ほど返事がなく,その後,「うまく言葉で言え ないが,眠気がする」とのこと.血の気が引く感じあ り.血圧を測定.その後,7 分ほど観察し,ラシックス 投与を中止.残り 3 分ほど撮像して終了.外来看護師の 話では,外来での様子は問題ないとのこと.血圧 110/72
mmHg,呼吸,脈拍測定せず (撮像・測定継続)
08-11 V 女,48 歳 非重篤 1 vial 特になし 腎血管性高血 薬剤−可能性大 (185 MBq)
圧症,腹部大 負荷−記載なし 動脈−腎動脈 心因−記載なし バイパス術後 他の薬剤−記載なし
(5 分)
99mTc-MIBI [ヘキサキス (2-メトキシイソブチルイソニトリル) テクネチウム (99mTc)] (心筋血流シンチグラフィ)
08-12 V 女,72 歳 非重篤 600 MBq 特になし
副甲状腺機能 薬剤−可能性あり 亢進症 負荷−可能性あり 心因−可能性あり
他の薬剤−可能性小 (60 分)
99mTc-テトロホスミン [テトロホスミンテクネチウム (99mTc)] (心筋シンチグラフィ)
08-13 F 男,81 歳 非重篤 592 MBq ロキソプロ
心不全 原因−不明 フェン
(1 日)
99mTc-MAG3 [メルカプトアセチルグリシルグリシルグリシンテクネチウム (99mTc)] (腎・尿路シンチグラフィおよびレノグラフィ)
08-14 A 男,66 歳 非重篤 200 MBq 特になし
腎血管性 薬剤−可能性あり 高血圧症疑 負荷−記載なし
心因−記載なし 他の薬剤−記載なし
(30 分)
08-15 A 女,1 歳 非重篤※ 150 MBq ソル・コーテフ
多嚢胞 薬剤−可能性あり 異形成腎 負荷−可能性小
心因−可能性小 他の薬剤−可能性小
(30 分)
08-16 A 女,2 歳 重 篤 200 MBq ソル・コーテフ
逆流性腎症 薬剤−可能性大 (実投与量 負荷−可能性小 111 MBq) 心因−可能性小
他の薬剤−可能性小
(96 時間) 静注 (仰臥位) 10 分後,悪心・嘔気出現.腎血管性高血
圧,大動脈−腎動脈バイパス術後の患者であるが,外来 で再び血圧上昇あり.腎血流再評価のため入院.レノグ ラム施行のため本剤を静注して症状が出現した.血圧,
脈拍は静注前と著変なく,皮疹等も見られなかった.安 静 5 分ほどで症状消失.血圧 150/90 mmHg, 呼吸測定 せず,脈拍 70/分整 (撮像・測定中止)
静注 (坐位) 15 分後,胸部苦悶感出現.心電図,心エ コー上,明らかな異常は認めず.皮疹,呼吸苦なし.約 1 時間の経過観察で症状軽快した.経過観察とした.血 圧 97/59 mmHg, 呼吸測定せず,脈拍 74/分整 (撮像・
測定継続)
静注 (坐位) 1 時間後,発熱 (39.3°C), 悪寒出現.心筋 症,心不全にて入院中で精査目的で心筋シンチを施行予 定であった.原因不明であるが,経過観察した.血圧 100/62 mmHg, 呼吸測定せず,脈拍 123/分不整 (撮像・
測定中止)
レノグラム実施後,引き続いて薬剤負荷 (カプトプリ
ル) シンチを施行のためカプトプリル服用.薬剤負荷シ
ンチ施行直前に被検者が両側前腕にレース状発赤に気づ く.発赤以外の自覚症状なく,全身状態良好,血圧低下 なし.以前にアンジオテンシン II 受容体拮抗薬の内服 歴があることから,RI 製剤の副作用の可能性が否定で きない.血圧 164/88 mmHg, 呼吸,脈拍測定せず (撮 像・測定終了後)
検査前,なかなか鎮静を得ず,硫酸アトロピン,アタ ラックス P, ホリゾン,ケタラールにてようやく鎮静.
本剤によるレノグラムを施行.投与直後より咳あり.次 第に激しくなり,一時呼吸停止.吸気時呼吸音異常あ り.アンビューで様子見.酸素飽和度 60% 台まで低 下.ソル・コーテフ投与で改善.検査を中止し,病棟 へ.症状からはアレルギー性で,当該医薬品の関与の可 能性あり.血圧測定せず,呼吸不整,脈拍 160 台/整 (撮 像・測定中止)
※ 重篤度に関し,医療機関から当専門委員会へ送付され
た調査票では 「重篤」 と報告されたが,製薬会社による 追跡調査により,主治医は 「非重篤」 と判断しているこ とから,当専門委員会では本症例の重篤度を 「非重篤」
と判定した.
静注 (仰臥位) 3 時間後,利尿レノグラム終了後に嘔吐,
発熱 (39°C), 発疹出現.アレルギーを疑い,ソル・
コーテフ投与.症状軽減した.5 ヶ月前のレノグラム終 了後に発熱,発疹あり.この時は感染もしくは抗生剤の アレルギーと考えていた.前回の記録を調べ,RI によ るアナフィラキシーと判断した.血圧,呼吸測定せず,
脈拍 120/分整 (撮像・測定終了後)
67Ga-クエン酸ガリウム [クエン酸ガリウム (67Ga)] (腫瘍,炎症シンチグラフィ)
08-17 A 男,5 歳 非重篤 37 MBq ザジテン,
若年性関節 薬剤−可能性大 オイラックス
リウマチ疑 負荷−記載なし クリーム
心因−記載なし 他の薬剤−可能性小
(2 日)
08-18 F 男,81 歳 非重篤 74 MBq 特になし
乳房外 薬剤−可能性あり パジェット病 負荷−可能性小
心因−可能性あり 他の薬剤−可能性なし
(6 時間)
08-19 A 男,75 歳 非重篤 74 MBq 特になし
間質性肺炎疑 薬剤−可能性大 負荷−記載なし 心因−記載なし 他の薬剤−記載なし
(3 日)
201Tl-塩化タリウム [塩化タリウム (201Tl)] (心筋,腫瘍,副甲状腺シンチグラフィ)
08-20* A 男,40 歳 非重篤 74 MBq ソル・コーテフ
ブルガダ 薬剤−可能性あり 症候群 負荷−可能性あり 心因−可能性小 他の薬剤−可能性なし
(24 時間)
08-21 A 女,70 歳 非重篤 74 MBq 特になし
甲状腺腫瘍疑 薬剤−可能性あり 負荷−記載なし 心因−記載なし
他の薬剤−記載なし (3 週間)
123I-IMP [塩酸 N-イソプロピル-4-ヨードアンフェタミン (123I)] (脳血流シンチグラフィ)
08-22 A 女,68 歳 非重篤 185 MBq 特になし
アルツハイ 薬剤−可能性あり マー型老年 負荷−可能性小 認知症疑 心因−可能性小
他の薬剤−可能性なし
(24 時間) 若年性リウマチ疑いで精査中およびステロイド治療中の
患児.本剤投与 3 日前より足関節痛とその付近 (ネーム バンド部) に軽度の発疹あり.静注 (坐位) 10 時間後頃 に,足関節付近以外に四肢・体幹に発赤膨隆皮疹が広範 囲に出現した.出現,消退を繰り返し,ザジテン内服,
オイラックスクリーム塗布にて徐々に改善した.現時点 で原疾患に伴う皮疹の可能性を完全には除外できない が,皮膚科専門医の診断では本剤の影響が一番考えやす いとのことである.血圧,呼吸,脈拍測定せず (撮像・
測定継続)
静注 (坐位) 18 時間後 (投与翌日の朝食後),全身のふ るえ,発熱 (39.2°C) 出現.内科を受診.受診時の体温
38.2°C,全身のふるえ消失.特に処置することなく帰
宅.投与 2 日後,皮膚科受診.原疾患の術創部発赤悪化 で同部を処置する必要があるため,同日施行予定の撮像 を中止した.血圧,呼吸,脈拍測定せず.
静注約 10 分後,注射刺入部周囲〜前腕にかけて広く皮 膚発赤があることに自分で気がついた.痛みやかゆみは なく,膨脹や膨疹もなかった.数分の観察で徐々に薄く なってきたので,帰宅し様子を見てもらった.3 日後の スキャン時には完全に消失していた.注射漏れを疑う集 積はなかった.血圧,呼吸,脈拍測定せず (撮像・測定 継続)
Tl−BMIPP 検査施行 (BMIPP→Tl の順に静注).3 時間 後,前胸部,背部にそう痒感を伴う膨疹出現.ソル・
コーテフ 200 mg 点滴し,本剤投与から 6 時間半後には 上記症状の消失を確認し,経過観察とした.エビ,カニ アレルギーを有する患者 (ヨードアレルギーはなし).
血圧 110/62 mmHg, 呼吸 18/分整,脈拍 66/分整 (撮像・
測定継続).123I-BMIPP と同時投与.
静注 (坐位) 8 時間後,左前腕〜上腕に直径 20 cm 程度 の皮疹が出現しているのに気づく.翌々日より 38°C の 熱発が続き,本剤投与 7 日後に近医を受診,体幹部の皮 疹を指摘される.経過観察にて症状は徐々に軽快.血 圧,呼吸,脈拍測定せず (撮像・測定終了後)
静注 (坐位) 40 分後,皮膚発赤,発疹出現.検査終了時 に本人と付き添い家族 (娘) より,皮疹,そう痒感の訴 えがあり,上記症状を確認した.問診にて検査前に同様 の皮疹がなかったこと,アレルギー歴のないことを本人 に再度チェックし,当該医薬品の可能性と考えた.翌 日,自宅へ問い合わせにて状態を聴取したところ,夫よ り,自宅の毛虫刺されだと思うとの弁あり.症状は改善 しているとのこと.患者の認知機能にも問題があり,因 果関係の推定は困難であるが,否定はできない.血圧,
呼吸,脈拍測定せず (撮像・測定終了後)
123I-BMIPP [15-(4-ヨードフェニル)-3(R,S)-メチルペンタデカン酸 (123I) 注射液] (脂肪酸代謝シンチグラフィ)
08-20* A 男,40 歳 非重篤 111 MBq ソル・コーテフ
ブルガダ 薬剤−可能性あり 症候群 負荷−可能性あり 心因−可能性小 他の薬剤−可能性なし
(24 時間)
18F-FDG [フルデオキシグルコース (18F) 注射液] (腫瘍シンチグラフィ,心筋シンチグラフィ,脳シンチグラフィ)
08-23 A 女,60 歳 非重篤 185 MBq 特になし
脳腫瘍 薬剤−可能性あり 負荷−記載なし 心因−記載なし
他の薬剤−記載なし (48 時間)
08-24 A 男,71 歳 非重篤 185 MBq 強力ネオミノ
悪性リンパ腫 薬剤−可能性あり ファーゲン
負荷−記載なし シー,タチオン
心因−記載なし
他の薬剤−記載なし (5 日後軽快)
* 2 薬剤同時与 因果関係 薬剤:当該医薬品によるもの,負荷:検査の負荷によるもの,心因:患者の心因によるもの
放射性医薬品名は慣用名表記 ([ ] 内に一般名を示す)
Tl−BMIPP 検査施行 (BMIPP→Tl の順に静注).3 時間 後,前胸部,背部にそう痒感を伴う膨疹出現.ソル・
コーテフ 200 mg 点滴し,本剤投与から 6 時間半後に は上記症状の消失を確認し,経過観察とした.エビ,カ ニアレルギーを有する患者 (ヨードアレルギーはな し).血圧 110/62 mmHg, 呼吸 18/分整,脈拍 66/分整
(撮像・測定継続).201Tl と同時投与.
静注 (仰臥位) 1.5 時間後,顔面紅潮,皮膚発赤出現.
血圧,呼吸,脈拍記載なし (撮像・測定終了後)
静注 (坐位) 60 時間後,発疹,そう痒感出現.パッチテ スト等の精査をしない限り,関連性を確定できない.血 圧,呼吸,脈拍記載なし (撮像・測定終了後)
Table 6 薬剤による影響の可能性 薬剤による 第30回 第31回 第32回 第33回 第34回
可能性 2004 2005 2006 2007 2008
確 実 1 0 8 0 1
(6%) (25%) (4%)
大 8 6 11 3 4
(50%) (32%) (34%) (27%) (17%)
あ り 4 7 10 5 15
(25%) (37%) (31%) (45%) (63%)
小 2 1 0 2 2
(13%) (5%) (18%) (8%)
不 明 1 5 3 1 2
(6%) (26%) (9%) (9%) (8%)
報告件数合計 16 19 32 11 24
Table 7 副作用事例の重篤度
重篤度 第30回 第31回 第32回 第33回 第34回
2004 2005 2006 2007 2008
重 篤 1 0 2 0 1
(6%) (6%) (4%)
中等度 1
非重篤* (6%) 19 30 11 23 軽 微 14 (100%) (94%) (100%) (96%)
(88%)
不 明 0 0 0 0 0
報告件数合計 16 19 32 11 24
*平成 17 年 4 月の改正薬事法の施行により,「中等度」 お よび 「軽微」 は 「非重篤」 として統合され,「重篤」 と 「非
重篤」 の 2 分類となった.
副作用発現症例の内容を列挙すると,血管迷走 神経反応 (V) は 9 例 (08-01, 08-02, 08-03, 08- 05, 08-06, 08-07, 08-10, 08-11, 08-12),発 熱 (F) は 2 例 (08-13, 08-18),アレルギー反応 (A) は 13 例 (08-04, 08-08, 08-09, 08-14, 08-
15, 08-16, 08-17, 08-19, 08-20, 08-21, 08- 22, 08-23, 08-24),その他 (O) は 0 であった (Table 3, 5).1994〜2008 年の間に報告された副 作用症例の推移を 3 年ごとに種類別にまとめたも のと比較してみると (Table 4), 血管迷走神経反
Table 8 放射性医薬品別副作用報告件数 (1975〜2008 年)
放射性医薬品 第 1〜29 回 第 30 回 第 31 回 第 32 回 第 33 回 第 34 回
1975〜2003 2004 2005 2006 2007 2008 累計
99mTc-MAG3 13 3 ( 28) 16
67Ga-クエン酸ガリウム 37 2 ( 2) 4 ( 4) 3 ( 3) 2 ( 3) 3 ( 5) 51
99mTc-MDP 27 1 ( 1) 2 ( 1) 3 ( 2) 1 ( 1) 3 ( 3) 37
99mTc-HMDP 36 1 ( 0) 3 ( 1) 4 ( 1) 2 ( 1) 3 ( 1) 49
99mTc-DTPA 71 1 ( 9) 2 ( 25) 74
18F-FDG 2 ( 3) 1 ( 1) 2 ( 2) 5
201Tl-塩化タリウム 28 1 ( 1) 3 ( 2) 1 ( 1) 1 ( 1) 2 ( 1) 36
99mTc-PYP 42 1 ( 65) 1 ( 85) 44
99mTc-パーテクネテイト 17 1 ( 5) 1 ( 7) 19
99mTc-MIBI 11 1 ( 4) 1 ( 4) 1 ( 3) 1 ( 4) 1 ( 5) 16
99mTc-MAA 12 2 ( 7) 1 ( 5) 15
123I-BMIPP 8 2 ( 5) 1 ( 3) 1 ( 4) 12
99mTc-テトロホスミン 3 1 ( 1) 3 ( 5) 1 ( 2) 8
123I-IMP 8 1 ( 2) 1 ( 2) 2 ( 3) 1 ( 2) 13
99mTc-スズコロイド 4 4
99mTc-フィチン酸 6 6
99mTc-HM-PAO 5 1 ( 4) 6
99mTc-ECD 8 2 ( 3) 1 ( 1) 1 ( 1) 12
99mTc-DMSA 9 1 ( 12) 1 ( 15) 11
99mTc-HSA-DTPA 5 1 ( 14) 1 ( 21) 7
99mTc-HSA 5 5
99mTc-PMT 1 1
99mTc-GSA 5 1 ( 11) 6
123I-ヨウ化ナトリウムカプセル 3 3
123I-MIBG 5 1 ( 5) 6
131I-ヨウ化ナトリウムカプセル (治療) 2 2
131I-ヨウ化ヒプル酸ナトリウム 243 243
131I-ヨウ化メチルノルコレステノール 222 4 (138) 1 ( 36) 7 (276) 1 ( 37) 235
131I-MIBG 3 3
131I-ヨウ化人血清アルブミン 12 12
111In-塩化インジウム 1 1
111In-DTPA 12 12
合 計 970
注:( ) の数値は,アンケート回答施設における投与件数を母数とした 10 万件あたりの発生件数 医薬品の名称は慣用名表記
Table 9 不良品事例種類別報告の推移
不良品の種別 年 度
1994〜1996 1997〜1999 2000〜2002 2003〜2005 2006〜2008
分布不良 8 0 7 1 0
(0.2) (0.2) (0.0)
標識不良 3 5 1 8 0
(0.1) (0.1) (0.0) (0.2)
放射能・液量不良 1 0 0 1 1
(0.0) (0.0) (0.0)
異物混入 0 1 0 1 0
(0.0) (0.0)
溶出不良 2 1 0 0 2
(0.1) (0.0) (0.1)
容器破損や汚染 8 1 0 3 1
(0.2) (0.0) (0.1) (0.0)
その他 5 1 1 1 2
(0.1) (0.0) (0.0) (0.0) (0.1)
合 計 27 9 9 15 6
(0.7) (0.2) (0.2) (0.4) (0.2)
注: ( ) の数値は,アンケート回答施設における投与件数を母数とした 10 万件あたりの発生件数 2008 年は不良品事例の報告は 0 件
応 (V), アレルギー反応 (A), その他 (O) は 100,000 件あたり各々 0.4〜1.1 件,0.6〜1.0 件,0.3〜0.8 件にみられた.発熱 (F) と分類された症例はこの 15 年間で 3 件であった.
個々の副作用事例について投与された放射性医 薬品との因果関係をみると,薬剤による可能性が 確実 は 4%, 大 は 17%, あり は 63%, 小 は 8%, 原因不明が 8% であった (Table 5, 6).副作 用の重篤度との関係では,重篤が 4%, 非重篤が 96% であった (Table 5, 7).1975 年以降の放射性 医薬品別副作用報告件数の推移を Table 8 に示す.
本報告書に副作用事例として記載されたもので 製薬会社から厚生労働省に報告済みのものは,必 要に応じて各放射性医薬品添付文書の 「使用上の
注意」 に記載される予定である.また,本副作用
事例アンケート調査の結果を添付文書に反映させ るため,平成 7 年から各放射性医薬品の添付文書 の [その他の注意] の項に,『6 日本アイソトー プ協会医学・薬学部会放射性医薬品安全性専門委
員会の 「放射性医薬品副作用事例調査報告」 にお いて,その症状があらわれることがあると報告さ れている』 旨記載されている.具体的な症状につ いては最新の添付文書を参考にされたい.
なお,本調査はアンケート方式により実施して いるが,製薬会社が収集した症例の中にこれまで の報告書には含まれていない事例があることが判 明したことから,当専門委員会では平成 12〜16 年度の調査報告書における症例数と製薬会社が収 集した自発症例数との比較を行い,本 『核医学』
誌に報告を行った4).副作用症例の情報は医療安 全の確保を図る貴重な情報源であり,医療の現場 における同様の副作用の再発防止に役立つと考え る.そのため,製薬会社が保有している重篤症例 の情報で当専門委員会のアンケート回答には含ま れていない事例についても,該当医療機関の了承 を得て極力報告書に反映し,安全性の確保に供し たいと考えている.
今回の調査期間においては以下の重篤症例が報
告されている.
塩酸 N-イソプロピル-4-ヨードアンフェタミン (123I) 注射液 [123I-IMP] を投与された 50 歳代の女 性 (原疾患:右後大脳動脈狭窄) は,検査終了後に 一次性ショック症状 (発疹を伴う意識障害) をきた し,約 1 時間推移した.血圧は正常.副作用治療 のため入院し,発現 1 日後には軽快した.薬剤負 荷試験を実施していることから併用薬による発現 も考えられるため,本剤との因果関係は関連不明 と判断された.
核医学診療における有害事象を一つにまとめ,
可能な限り情報を共有する意義は大きい.核医学 診療施設各位におかれては引き続き本調査へご協 力くださるようお願い申し上げる.
院内製造の PET 製剤 (15O-標識ガス剤および 18F- フルオロデオキシグルコース (FDG)) の副作用症 例については,日本核医学会 PET 核医学委員会 が結果の解析にあたっている.平成 20 年度は 18F- FDG 投与に伴うと判断された副作用事例が 1 件 報告された.重篤度は非重篤で,副作用の症状か らアレルギー反応と分類されている.投与件数に ついては 98 施設から回答が得られた.結果を参 考資料 2 に示す.
なお,現時点で製造販売後調査が実施されてい る治療用の放射性医薬品と治療目的の 131I-ヨウ化 ナトリウムカプセルに関しては,副作用頻度およ び内容が診断用とは異なると思われるため,今 後,適正使用推進に向けての検討が必要であると 考えている.
今回は不良品事例の報告はなかった.1994〜
2008 年の間に報告された不良品事例の推移を 3 年 ごとにまとめたものを Table 9 に示す.
副作用および不良品各事例については該当する 製薬会社に詳細な調査を依頼し,報告を得てい る.なお,本委員会では核医学診療施設から報告 された内容と製薬会社が実施した調査結果を併せ て検討を行っているが,副作用または不良品と放 射性医薬品との因果関係はきわめて少ないと委員 会が判断した事例については報告書に含めていな い.
文 献
1) 日本アイソトープ協会医学・薬学部会放射性医薬 品安全性専門委員会: 放射性医薬品副作用事例調 査報告.核医学 1979; 16: 511–516.
第 2 回放射性医薬品副作用事例調査報告.核医学 1981: 18: 415–419.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 3 報 (昭和 55 年度 第 6 回調査).核医学 1982; 19: 1099–1105.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 4 報 (昭和 56 年度 第 7 回調査).核医学 1983; 20: 419–424.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 5 報 (昭和 57 年度 第 8 回調査).核医学 1984; 21: 283–287.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 6 報 (昭和 58 年度 第 9 回調査).核医学 1985; 22: 551–555.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 7 報 (昭和 59 年度 第 10 回調査).核医学 1986; 23: 455–460.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 8 報 (昭和 60 年度 第 11 回調査).核医学 1987; 24: 497–503.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 9 報 (昭和 61 年度 第 12 回調査).核医学 1988; 25: 367–373.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 10 報 (昭和 62 年度 第 13 回調査).核医学 1989; 26: 565–572.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 11 報 (昭和 63 年度 第 14 回調査).核医学 1991; 28: 323–328.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 12 報 (平成 元年度 第 15 回調査).核医学 1991; 28: 437–444.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 13 報 (平成 2 年度 第 16 回調査).核医学 1992; 29: 399–405.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 14 報 (平成 3 年度 第 17 回調査).核医学 1993; 30: 575–581.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 15 報 (平成 4 年度 第 18 回調査).核医学 1994; 31: 289–296.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 16 報 (平成 5 年度 第 19 回調査).核医学 1995; 32: 605–614.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 17 報 (平成 6 年度 第 20 回調査).核医学 1996; 33: 675–686.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 18 報 (平成 7 年度 第 21 回調査).核医学 1997; 34: 267–279.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 19 報 (平成 8 年度 第 22 回調査).核医学 1998; 35: 159–172.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 20 報 (平成 9 年度 第 23 回調査).核医学 1999; 36: 249–260.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 21 報 (平成 10 年度 第 24 回調査).核医学 2000; 37: 237–248.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 22 報 (平成 11 年度 第 25 回調査).核医学 2001; 38: 139–150.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 23 報 (平成 12 年度 第 26 回調査).核医学 2002; 39: 55–65.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 24 報 (平成 13 年度 第 27 回調査).核医学 2003; 40: 39–50.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 25 報 (平成 14 年度 第 28 回調査).核医学 2004; 41: 33–46.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 26 報 (平成 15 年度 第 29 回調査).核医学 2005; 42: 33–46.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 27 報 (平成 16 年度 第 30 回調査).核医学 2006; 43: 23–35.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 28 報 (平成 17 年度 第 31 回調査).核医学 2007; 44: 29–42.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 29 報 (平成 18 年度 第 32 回調査).核医学 2008; 45: 19–35.
放射性医薬品副作用事例調査報告 第 30 報 (平成 19 年度 第 33 回調査).核医学 2009; 46: 29–41.
2) Silberstein EB, Ryan J and the Pharmacopoeia Committee of the Society of Nuclear Medicine:
Prevalence of Adverse Reactions in Nuclear Medicine. J Nucl Med 1996; 37: 185–192.
3) Hesslewood SR, Keeling DH and the Radiopharmacy Committee of the European Association of Nuclear Medicine: Frequency of adverse reactions to radio- pharmaceuticals in Europe. Eur J Nucl Med 1997; 24:
1179–1182.
4) 日本アイソトープ協会医学・薬学部会放射性医薬 品安全性専門委員会: 放射性医薬品の副作用事例 報告について―調査報告書における症例数と製薬 会社が収集した自発症例数との比較―.核医学 2006; 43: 325–330.
検 査 放 射 性 医 薬 品1) 投与件数2) 実 施 施設数 99mTcO4− パーテクネテイト (脳) 92 8
〃 (甲状腺) 9,219 597
〃 (唾液腺) 4,313 359
〃 (異所性胃粘膜) 951 359
〃 (その他) 710 105
99mTcO4− 小計 15,285 716
99mTc スズコロイド 1,513 113 フィチン酸 12,578 183
MAA 22,158 799
PYP 1,175 161
PYP (RBC 標識) 1,901 105
HM-PAO 13,843 146
ECD 71,968 644
MDP 110,373 444
HMDP 268,837 758
DMSA 7,424 413
DTPA 8,082 306
HSA 1,191 146
HSA-DTPA 3,429 484
PMT 1,473 260
GSA 8,228 333
MIBI 20,732 556
テトロホスミン 57,201 369
MAG3 10,795 552
テクネガス 474 22
99mTc 合計 638,660 891
67Ga クエン酸ガリウム (腫瘍) 37,857 808
〃 (炎症) 17,301 529
〃 (その他) 400 66
67Ga 合計 55,558 849
201Tl 塩化タリウム (心筋) 132,111 714
〃 (腫瘍) 8,938 493
〃 (副甲状腺) 1,625 247
〃 (その他) 584 95
201Tl 合計 143,258 811
参考資料 1 放射性医薬品総投与件数 (平成 20 年度報告件数)
検 査 放 射 性 医 薬 品1) 投与件数2) 実 施 施設数
123I NaI カプセル (甲状腺) 4,769 420
〃 (全身サーベイ) 162 39
IMP 62,117 518
MIBG 27,260 706
BMIPP 22,781 559
イオマゼニル 1,652 147
123I 合計 118,741 841
131I NaI カプセル(甲状腺) 2,962 40
〃 (全身サーベイ) 1,046 60
〃 (甲状腺機能亢進症治療) 3,292 122
〃(甲状腺癌および転移巣治療) 2,213 53
ヨウ化ヒプル酸ナトリウム 33 2 ヨウ化メチルノルコレステノール 2,463 412
MIBG 2,513 412
ヨウ化人血清アルブミン 65 15
131I 合計 14,587 561
111In 塩化インジウム 512 144
DTPA (脳脊髄液腔) 1,901 263
オキシン (白血球) 118 9 〃 (血小板) 2 1
111In 合計 2,533 333
51Cr クロム酸ナトリウム 85 15
〃 (赤血球寿命) 0 0
51Cr 合計 85 15
133Xe ガス (脳血流) 504 7
〃 (肺換気) 1,177 63
〃 (その他) 0 0
133Xe 合計 1,681 70
81mKr 注射液 (脳血流) 90 1
〃 (肺血流) 331 25
ガス 2,611 155
81mKr 合計 3,032 180
18F フルデオキシグルコース 85,208 148 総合計 1,063,343 930
(循環血液量・
循環赤血球量)
1) 慣用名表記
2) 調査票回収率:74.6%
参考資料 2 ポジトロン放出核種標識薬剤副作用等事例調査結果 (平成 20 年度) (1) 回収率等
対象施設数 A 133
回答施設数 B 98
調査票回収率 B/A 73.7%
副作用等報告施設数 C 1
副作用等報告率 C/B 1.0%
自家標識製剤投与件数 D 243,586
副作用報告件数 E 1
副作用発生率 E/D 0.0004%
不良品報告件数 F 0
不良品発生率 F/D
(2) 投与件数
放 射 性 薬 剤 投与件数 検査実施 施設数
15O 標識ガス 829 20
18F フルオロデオキシグルコース 242,757 96 合 計 243,586 98
(3) 放射性医薬品別副作用事例
副作用の種類** 頻 度
放射性薬剤 投与件数*
V F A O 計 (%)
18F-フルオロデオキシグルコース 242,757 0 0 1 0 1 0.0004
* アンケート回答施設における投与件数 (回収率 73.7%)
** 副作用の種類:V; 血管迷走神経反応,F; 発熱,A; アレルギー反応,O; その他
(4) 副作用事例 症例 副作用 患 者
重 篤 度 薬剤の 措 置
番号 の種類 性別, 年齢
因果関係 用 量 副作用の症状
(回復時間)
診 断
18F-フルオロデオキシグルコース
08-101 A 男,68 歳 非重篤 記載なし 強力ミノファー
頭頸部癌 薬剤−可能性大 ゲンシー,
負荷−記載なし サクシゾン
心因−記載なし
他の薬剤−記載なし (90 分)
静注 (坐位) 30 分後,発疹,そう痒感,上半身の熱感出 現.90 分後に症状軽快したので,帰宅してよいことと した.血圧,呼吸,脈拍測定せず (撮像・測定継続)
Summary
The 31st Report on Survey of the Adverse Reaction to Radiopharmaceuticals (The 34th Survey in 2008)
Subcommittee for Safety Issues of Radiopharmaceuticals, Medical Science and Pharmaceutical Committee, Japan Radioisotope Association
Hiroshi M
ATSUDA*
1, Yasushi A
RANO*
2, Hidehiko O
KAZAWA*
3, Terue O
KAMURA*
4, Sunao M
IZUMURA*
5and Kunihiko Y
OKOYAMA*
6*1Department of Nuclear Medicine, Saitama Medical University International Medical Center
*2Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Chiba University
*3Biomedical Imaging Research Center, University of Fukui
*4Department of PET Center, Osaka Saiseikai Nakatsu Hospital
*5Department of Radiology, Toho University Omori Medical Center
*6Department of PET Center, Public Central Hospital of Matto Ishikawa
This survey was performed in order to investigate the incidence of adverse reactions to radiophar- maceuticals in FY2008 in Japan. It was based on re- sponses to questionnaires sent to nuclear medicine institutions. The reply was obtained from 930 institu- tions among 1,247 to which the questionnaire had been sent. Twenty four cases of adverse reactions
were reported. A total of 1,063,343 radiopharmaceu- tical administrations was reported. The incidence of adverse reactions per 100,000 cases was 2.3. No case of defect products was reported.
Key words: Adverse reactions, Drug defect, Radiopharmaceuticals.