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EU会社法統合指令における公示規制 利用統計を見る

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(1)

著者

松田 和久

著者別名

Kazuhisa MATSUDA

雑誌名

東洋法学

62

3

ページ

219-235

発行年

2019-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00010349/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

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《 論  説 》

EU 会社法統合指令における公示規制

松田 和久

1  序  2017年 6 月14日に欧州議会および欧州理事会が採択した「会社法のある側面 に関する指令」(以下、「統合指令」)( 1 ) は、EU 会社法に関する 6 つの指令 (82/891/EEC 指令(第 6 指令)( 2 ) 、89/666/EEC 指令(第11指令)( 3 ) 、2005/56/EC 指令(越境合併指令)( 4 ) 、2009/101/EC 指令(公示指令)( 5 ) 、2011/35/EU 指令 (合併指令)( 6 ) 、2012/30/EU 指令(設立・資本維持変更指令)( 7 ) を統合するもの であり、設立および資本維持・変更、公示および会社の無効、他の加盟国にお いて設立された会社の支店に関する公示、合併、越境合併、会社分割について 規制している(統合指令 1 条)。統合指令の制定により、前記 6 つの指令は廃 止となる(統合指令166条)。  EU 加盟国の国民にとって EU 法がより分かり易く利用し易いものとなり、 それにより EU 法が定める権利を使用する新たな機会を国民に与えるために、 欧州委員会は EU 法を簡素化・明確化することに多大な重要性を認識してい る。しかし数多くの規定が幾度も改正され、制定当初の規制と改正後の規制と が散在している状況では、当該目的を達成することはできない。したがって数 多くの異なる規制の比較を適切に調査することが、現行のルールを明確化する ために必要である。このような理由により、頻繁に改正されてきた規定を統合 することは、法が分かり易く利用し易いものとなるためには必須である。  そこで欧州委員会および欧州理事会は、EU 会社法指令の統合に向けた活動 を開始し、2012年12月12日に公表された「アクションプラン:ヨーロッパ会社

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法およびコーポレートガバナンス――より関係強化した株主および持続可能な 会社のための現代的な法的枠組み」( 8 ) において、2013年において大多数の会社 法指令の統合を準備する予定であることを明らかにした。その後2015年に「会 社法のある側面に関する指令案」( 9 )が提案され、前述のように採択に至ってい る。統合指令は前文81項、 3 編168条からなるが、そのほとんどが前述の 6 つ の指令の内容を移行したものである。  このうち公示に関する規制について、従来は68/151/EEC 指令(第 1 指 令)(10) 、第11指令および公示指令において規制されていたところ、統合指令に おいては第 1 編第 3 章で規制している。本稿においては、統合指令における公 示規制について概説することとし、その他の規制については、紙幅の関係上取 り扱わない。 2  総説  統合指令第 1 編第 3 章第 1 節においては、公示に関する総則的規制がなされ ている。本節に定める調整措置は、附則第 2 に定める会社(ドイツにおける die Aktiengesellschaft、die Kommanditgesellschaft auf Aktien、die Gesellschaft mit beschränkter Haftung、フランスにおける société anonyme、société en commandite par actions、société à responsabilité limitée、société par actions simplifiée など)に 関する加盟国における法律・規則・行政行為に定める規定に適用される(統合 指令13条)。 ( 1 ) 公示される文書および細目  加盟国は、少なくとも下記の(a)から(k)の文書および細目に関して、会社 による強制的公示を保障するために必要な措置を講じなければならない(統合 指令14条)。(a)設立証書および定款(設立証書と別個の証書である場合)、 (b)会社の存続期間の延長を含む(a)所定の証書の変更、(c)設立証書もしく は定款の変更後におけるすべての条項、(d)法定機関もしくは機関の構成員と して、①第三者との取引および司法手続きにおいて会社を代表する権限を有す

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る者(単独行使もしくは共同行使の別を公示する必要あり)、もしくは②会社 の執行・監督・管理に参与する者の選任・終任および細目、(e)引受資本の増 加が定款変更を必要とする場合を除き、設立証書もしくは定款において授権資 本を記載している場合は少なくとも 1 年毎の引受資本の額、(f)86/635/EEC 指令(銀行その他の金融機関における年次会計・連結会計に関する指令)(11) ・ 91/674/EEC 指令(保険事業における年次会計・連結会計に関する指令)(12) およ び2013/34/EU 指令(ある企業形態における年次会計・連結会計に関する指 令)(13) によって公表することが要求されている各事業年度の会計文書、(g)登 記された会社の事業所の変更、(h)会社の解散、(i)裁判所による会社の設立 無効判決、(j)清算人の選任・細目および代表権限(法律もしくは会社定款に よって明示的および専属的に定められるものを除く)、(k)清算の結了、およ び加盟国において登記の抹消が法的効果を生ずる場合は抹消の事実。また加盟 国は、統合指令14条に定める文書および事項の変更が、統合指令16条 1 項 1 文 により適格な登記簿に記載されること、および統合指令16条 3 項 5 項により当 該変更に関する完全な文書(加盟国法において文書への記載の際に要求される 法的検査を含む)の受領後21日内に公示されることを保障するために必要な措 置を講じなければならない(統合指令15条)。 ( 2 ) 登記簿における公示  各加盟国においては、中央登記簿・商業登記簿・会社登記簿(以下、「登記 簿」)において各登記会社に関する記録簿を開設しなければならない(統合指 令16条 1 項 1 文)。加盟国は、統合指令22条 2 項により設置された中央登記 簿・商業登記簿・会社登記簿を連携するシステム(登記簿連携システム)によ る登記簿間の情報共有において、明白に認識されうるための独自の識別子を会 社が有することを保障しなければならず、当該識別子は少なくとも、登記簿の 所在する加盟国、起源となる国内登記簿、登記簿における会社の番号および認 識不可能を回避するための特徴を認識しうるための要素によって構成されなけ ればならない(統合指令16条 1 項 2 文)。なお本条において「電子的方法」と

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は、データ処理(デジタル圧縮を含む)および保存をするための電子的設備に よる方法により情報の送受信が初めになされ、有線・無線・光学的方法その他 の電磁的方法など加盟国が定めた方法により、送信・伝達・受信がなされるこ とをいう(統合指令16条 2 項)。  統合指令14条により公示することが要求されているすべての文書および細目 は、記録簿に保存するか登記簿に記載しなければならず、登記簿における記載 事項はすべて記録簿において明らかにしなければならない(統合指令16条 3 項 1 文)。また加盟国は、会社その他当該告示を実施・補助することが要求され ている者や団体による、統合指令14条による公示が要求されているあらゆる文 書および細目の保存が、電子的方法によることができることを保障しなければ ならず、加えて電磁的方法によることができる会社の種類および公示すべき文 書および細目についても定めなければならない(統合指令16条 3 項 2 文)。そ して統合指令14条に定めるすべての文書および細目が保存された場合、書面・ 電子的方法いずれの場合であれ、電子的形式により記録簿への保管もしくは登 記簿への記載がなされなければならない(統合指令16条 3 項 3 文)。さらに統 合指令14条に定める文書および細目のうち2006年12月31日までに書面により保 存されたものについては、登記簿による電子的形式への自動変換を要求しては ならないが、それでも加盟国は、本条 4 項に定める方法により電子的方法によ る開示申込みを受けた際に、登記簿による電子的形式への変換がなされること を保障しなければならない(統合指令16条 3 項 4 文)。  統合指令14条に定める文書および細目に関する全部もしくは一部の謄写は申 込みによるものとし、当該申込みは申込者の選択により書面もしくは電子的方 法による(統合指令16条 4 項 1 文)。また当該謄写は申込者の選択により書面 もしくは電子的方法により入手することができ、すべての文書および細目がす でに保管されている場合は当該方法によるものとする。しかしながら、2006年 12月31日より前に書面により保存されたすべて(もしくは一部)の文書および 細目について、登記簿に保存されてから申込みがなされるまでの明示の期間 (10年を下回ることはできない)が経過したものは電子的方法により入手でき

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ない旨を、加盟国が決定することができる(統合指令16条 4 項 2 文)。そして 統合指令14条に定める文書および細目の全部もしくは一部の謄写にかかる費用 は、書面・電子的方法いずれの場合であれ管理費用を超えてはならず(統合指 令16条 4 項 3 文)、申込者に提供される書面による謄写は、申込者が当該認証 を免除しない限り「原本と相違なし」と認証しなければならず、電子的方法に よる謄写は当該認証を明示的に要求しない限り「原本と相違なし」と認証して はならない(統合指令16条 4 項 4 文)。さらに加盟国は、電子的方法による謄 写の認証について、少なくとも電子署名(1999/93/EC 指令(電子署名のため の共同体における枠組みに関する指令)(14) 2 条 2 項)がなされることにより原 本であることの真正性および内容の完全性が保証されることを保障するために 必要な措置を講じなければならない(統合指令16条 4 項 5 文)。  本条 3 項による文書および細目の公示は、加盟国によって定められる官報 (電子的形式により保存されるものでもよい)において全部もしくは一部が掲 載されるか、もしくは当該文書が記録簿への保存もしくは登記簿への記載がな されていることを参照することによって効力を生じ(統合指令16条 5 項 1 文)、 また開示された情報を中央電子装置を通して時間順に入手することができるシ ステムの利用を少なくとも要求するような、官報と同等の公示方法に代替する ことを加盟国が決定することができる(統合指令16条 5 項 2 文)。そして当該 文書および細目は、第三者が悪意であることを会社が証明した場合を除き、本 条 5 項による公示がなされた後でなければ第三者に対抗することができない (統合指令16条 6 項 1 文)。なお公示から16日後よりも前に取引がなされた場 合、当該公示を知ることができなかったことを証明した第三者に対しては、当 該文書および細目について対抗することができない(統合指令16条 6 項 2 文)。 さらに加盟国は、本条 5 項による公示内容と登記簿もしくは記録簿に保存され た内容との不一致を回避するために必要な措置を講じなければならず(統合指 令16条 7 項 1 文)、内容の不一致がある場合、本条 5 項により公示された文書 は、当該文書が記録簿もしくは登記簿に保存されていることをについて第三者 が悪意であることを会社が証明した場合を除き、第三者に対抗することができ

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ず(当該第三者は決して当該文書に依拠し得ない)(統合指令16条 7 項 2 文)、 加えて第三者は、公示手続きが完了していないあらゆる文書および細目に常に 依拠することができる(統合指令16条 7 項 3 文)。 ( 3 ) 登記簿連携システムを通じた情報の入手  加盟国は、統合指令16条 5 項~ 7 項に基づき、第三者が統合指令14条に関す る細目およびあらゆる形式の文書に依拠しうることを定めた加盟国法の規定に より、最新の情報が入手できることを保障しなければならない(統合指令17条 1 項)。また European e-Justice portal(以下、ポータル)に公示が要求されてい る当該情報を、ポータルの規制および技術的要求に従い提供しなければならず (統合指令17条 2 項)、欧州委員会はポータルに提供された情報をすべての EU 公用語で公開しなければならない(統合指令17条 3 項)。そして統合指令14条 による文書および細目の電子的謄写は、登記簿連携システムを通じて公に入手 することができ(統合指令18条 1 項)、加盟国は、統合指令14条による文書お よび細目が、標準伝言方式および電子的方法により登記簿連携システムを通じ て入手しうること、および情報伝達の安全性に関し推奨される最低基準を保障 しなければならない(統合指令18条 2 項)。さらに欧州委員会は、ポータルを 通じて入手しうるため、加盟国において登記されている会社に関する、(a)統 合指令14条による文書および細目および(b)当該文書の形式および細目が列挙 された注釈(すべての EU 公用語で入手可能)について、すべての EU 公用語 による検索サービスを提供しなければならない(統合指令18条 3 項)。  統合指令14条による文書および細目について登記簿連携システムを通じて入 手するために請求される手数料は、それに関する管理費用を超えてはならない (統合指令19条 1 項)。また加盟国は、(a)会社の名称および形態、(b)会社の 登記された事業所および登記された加盟国および(c)会社の登記番号に関する 細目については、手数料無料で登記簿連携システムを通じて入手しうることを 保障しなければならず(統合指令19条 2 項 1 文)、それ以外の細目についても 手数料無料で入手しうることを選択することができる(統合指令19条 2 項 2

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文)。そして会社登記簿においては、会社の解散手続きもしくは破産手続きの 開始および結了、登記簿からの抹消に関する情報について、会社の登記がなさ れている加盟国において法的効果が生ずるものとなっている場合、遅滞なく登 記簿連携システムを通じて入手しうるようにしなければならない(統合指令20 条 1 項)。さらに支店の登記簿においても、当該情報について遅滞なく登記簿 連携システムを通じて受領しうることを保障しなければならず(統合指令20条 2 項)、当該登記簿間の情報交換については手数料無料としなければならない (統合指令20条 3 項)。  統合指令14条により公示された文書および細目は、統合指令16条 1 項による 記録簿が開設されている加盟国において適用される言語規則によって認められ た言語のうちの一つを用いて、作成・保存されなければならない(統合指令21 条 1 項)。また統合指令16条による強制的公示に加え、統合指令16条による任 意的公示をするため、加盟国は統合指令14条による文書および細目について、 いずれの EU 公用語への翻訳をも認めなければならず(統合指令21条 2 項 1 文)、当該文書または細目の翻訳が認証されることを規定し(統合指令21条 2 項 2 文)、第三者による任意的公示の翻訳への利用を容易にするために必要な 措置を講じなければならない(統合指令21条 2 項 3 文)。そして統合指令16条 による強制的公示および本条 2 項による任意的公示に加え、加盟国は統合指令 16条による文書および細目を他のいずれの言語によっても公示することを認め ることができ(統合指令21条 3 項 1 文)、当該文書または細目の翻訳が認証さ れることを規定することができる(統合指令21条 3 項 2 文)。さらに登記簿に おける公用語によって公示された文書または細目と任意的公示による翻訳とが 一致しない場合、当該翻訳は第三者に対抗することができず、また当該翻訳に ついて強制的公示の対象となることについて第三者が悪意であることを会社が 立証しない限り、第三者は任意的公示の翻訳について決して対抗されない(統 合指令21条 4 項)。

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( 4 ) 登記簿連携システムの運用  ヨーロッパ中央プラットホーム(以下「プラットホーム」)は設置されなけ ればならず(統合指令22条 1 項)、登記簿連携システムは、加盟国の登記簿、 プラットホーム、ヨーロッパ電子アクセスポイントとして提供されるポータル によって構成されなければならない(統合指令22条 2 項)。また加盟国は、国 内の登記簿と登記簿連携システムとの相互利用をプラットホーム経由で可能と するよう保障しなければならない(統合指令22条 3 項)。そして加盟国は、登 記簿連携システムへの任意のアクセスポイントを設置することができ、当該ア クセスポイントの設置後および運用に関する重大な変更後に著しい遅滞なく、 欧州委員会に通知しなければならない(統合指令22条 4 項)。さらに登記簿連 携システムからの情報の入手は、ポータルおよび加盟国によって設置された任 意のアクセスポイントを通じて行うことが保障されなければならず(統合指令 22条 5 項)、登記簿連携システムの設置により、会社についての情報交換に関 する加盟国間における既存の双務的合意は影響を受けてはならない(統合指令 22条 6 項)。  欧州委員会は、プラットホームの開発および運用について、独自の方法によ るか第三者によるかを決定しなければならず(統合指令23条 1 項 1 文)、第三 者による開発および運用とすることを決定した場合、第三者の選択および第三 者との合意による欧州委員会による実施は、966/2012規則(EU 一般予算に適 用される財政上の規則に関する規則)(15) によらなければならない(統合指令23 条 1 項 2 文)。また欧州委員会が第三者による開発および運用とすることを決 定した場合、公的調達手続きのための技術的明細および第三者との合意期間に ついて、実施要領により定めなければならない(統合指令23条 2 項)。そして 欧州委員会が第三者によるプラットホームの運用を決定した場合、プラット ホームの運用管理に関する詳細な規則が、実施要領により採用されなければな らず(統合指令23条 3 項 1 文)、当該運用管理には特に、プラットホームの機 能の監視、プラットホーム利用により配布および交換されるデータの危機管理 および保護、加盟国における登記簿と第三者との間における関係の調整につい

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て含まれなければならず(統合指令23条 3 項 2 文)、プラットホームの機能の 監視は欧州委員会によって実行されなければならない(統合指令23条 3 項 3 文)。さらに本条 2 項 3 項にいう実施要領は、統合指令164条 2 項による検査手 続きにより採用されなければならない(統合指令23条 4 項)。  実施要領による場合、欧州委員会は以下の(a)から(n)に掲げる事項を採 用しなければならない(統合指令24条 1 文)。(a)登記簿連携システムのため に電子的方法により伝達する方法により定められる技術的明細、(b)伝達プロ トコルの技術的明細、(c)登記簿連携システムにおける情報の伝達および分配 のための、情報技術の危機管理に関する最低限の基準を保障する技術的措置、 (d)統合指令20条および34条による、会社の登記簿と支店の登記簿との間にお ける情報交換の方法を定める技術的明細、(e)統合指令20条、34条および130 条による、登記簿間の情報交換のため送付されるデータの詳細な項目、(f)登 記簿、プラットホーム、ポータル間の情報交換のための、標準的メッセージ フォーマットの構造を定める技術的明細、(g)プラットホームが機能を発揮す るために必要なデータの集まり、および当該データのストレージ、利用、保護 の方法を定める技術的明細、(h)登記簿間の伝達のための独自の識別子の構造 および利用を定める技術的明細、(i)情報の分配および交換に関する登記簿連 携システムの運用の技術的方法を定める明細、およびプラットホームにより提 供され、適切な言語形式によるメッセージの発信を保障する情報技術サービス を定める明細、(j)ポータルにより提供される当該サービスのための調整した 基準、(k)オンラインによる支払いなど、利用しうる支払い設備を考慮した支 払い様式、(l)統合指令14条により列挙される細目および文書の形式の説明 文書の細目、(m)登記簿連携システムにより提供されるサービスを利用しうる 技術的条件、(n)プラットホームへの任意のアクセスポイントに接続するため の手続きおよび技術的要件。またこれらの実施要領は統合指令164条 2 項によ る検査手続きにより採用されなければならない(統合指令24条 2 文)。  プラットホームの設置および将来における開発、および本指令に基づくポー タルの修正は、EU 一般予算から資金調達しなければならない(統合指令25条

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1 項)。またプラットホームの維持および機能は EU 一般予算から資金調達し なければならず、登記簿連携システムを利用する際に個々の利用者が納める手 数料についても同様とすることができる(統合指令25条 2 項)。そして委任さ れた法律および統合指令163条により、欧州委員会はプラットホームの手数料 を EU 一般予算からの資金調達と可とするか否か、および可とした場合の本条 2 項による手数料の金額を定める規則を採択することができる(統合指令25条 3 項)。さらに本条 2 項により課される手数料のうち、統合指令19条 1 項に関 する文書および細目の入手の際に加盟国により納めるものはこの限りでなく (統合指令25条 4 項)、統合指令19条 2 項(a)(b)(c)に関する文書および細目 の入手の際には手数料を納めてはならない(統合指令25条 5 項)。各加盟国は 本指令に基づく国内の登記簿の修正、維持、機能にかかる費用を負担しなけれ ばならない(統合指令25条 6 項)。  加盟国は、書面であれ他の媒体であれ、文書およびその他の形式において以 下の(a)および(b)の事項を明記すべきことを規定しなければならない(統合 指令26条 1 文)。(a)統合指令16条による記録簿が保存されている登記簿を認 識するために必要な情報および当該登記簿における会社の番号、(b)会社の形 式、登記された営業所の所在地および会社が解散した場合はその事実。また当 該文書に会社の資本額が記載されている場合、引受額および払込額についても 記載されなければならず(統合指令26条 2 文)、加盟国は、少なくとも本条 1 文による文書および資本の引受額および払込額について会社のウェブサイトに 掲載すべきことを規定しなければならない(統合指令26条 3 文)。そして各加 盟国は公示手続きを実行する者を決定しなければならない(統合指令27条)。 さらに加盟国は少なくとも、(a)統合指令14条(f)において要求される会計文 書の公示を怠った場合、(b)統合指令26条に定める商業文書もしくは会社の ウェブサイトで掲載される強制的細目を省略した場合、適切な罰則を定めなけ ればならない(統合指令28条)。

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3  会社の支店に関する公示その他  統合指令第 1 編第 3 章においては、会社の支店に関する公示についても規制 されており、このうち第 2 節においては他の加盟国において設立された会社の 支店について、第 3 節においては第三国において設立された会社の支店につい て、それぞれ規制している。 ( 1 ) 他の加盟国において設立された会社の支店に関する公示  ある加盟国において開設された支店が、他の加盟国において設立された附則 第 2 に定める会社のものである場合、当該支店に関する文書および細目につい ては、統合指令16条により支店が設置されている加盟国法に基づき公示されな ければならない(統合指令29条 1 項)。また支店に関する公示要件が会社のそ れと異なる場合、当該支店の公示要件は支店において履行される取引より優先 される(統合指令29条 2 項)。そして統合指令30条 1 項による文書および細目 については、登記簿連携システムを通じて公示されなければならず、統合指令 18条および19条 1 項による文書および細目については必要な変更を加えて適用 されなければならない(統合指令29条 3 項)。さらに加盟国は、登記簿連携シ ステム登記簿間の情報共有において明白に認識されうるための独自の識別子を 支店が有することを保障しなければならず、当該識別子は少なくとも、登記簿 の所在する加盟国、起源となる国内登記簿、登記簿における支店の番号および 認識不可能を回避するための特徴を認識しうるための要素によって構成されな ければならない(統合指令29条 4 項)。  統合指令29条による強制的公示においては、以下の(a)から(h)に掲げる 文書および細目のみを含まなければならない(統合指令30条 1 項)。(a)支店 の住所、(b)支店の活動、(c)統合指令16条による会社の記録簿が保存されて いる登記簿および当該登記簿における登記番号、(d)会社の名称および法形 式、会社の名称が異なる場合における支店の名称、(e)統合指令14条(d)によ り会社により公示される法定機関もしくは機関の構成員として、もしくは支店

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の活動のための(権限が明示された)常勤代表者として、第三者との取引およ び司法手続きにおいて会社を代表する権限を有する者の選任・終任および細 目、(f)統合指令14条(h)(j)(k)により会社により公示される、会社の解 散、清算人の選任・細目および権限、清算の結了、および当該会社が対象とな る破産、整理、調停その他類似する手続き、(g)統合指令31条による会計文 書、(h)支店の閉鎖。また支店が設置されている加盟国は、統合指令29条によ る公示において、以下の(a)~(d)に掲げる事項を提供することができる(統 合指令30条 2 項)。(a)本条 1 項(e)(f)に関する者の署名、(b)統合指令14 条(a)(b)(c)による、設立証書、基本定款および定款(独立した証書に含ま れる場合)および当該文書を修正したもの、(c)本条 1 項(c)による、会社の 存在に関する登記簿の証明書、(d)当該加盟国に存在する会社財産に関する保 証人の指示書(保証人の有効性に関する公示をしている場合)。  統合指令30条 1 項(g)による強制的公示は、2006/43/EC 指令(年次会計お よび連結会計の法定監査に関する指令)(16) およびある企業形態における年次会 計・連結会計に関する指令による規制を受ける会社が加盟国法により作成、監 査および公示される会計文書に限定されなければならない(統合指令31条)。 また支店が設置されている加盟国は、統合指令30条 2 項(b)および31条による 文書が他の EU 公用語により公表されるべきこと、および当該文書の翻訳が認 証を受けるべきことを規定することができる(統合指令32条)。そして会社が ある加盟国において 1 つ以上の支店を設置している場合、30条 2 項(b)および 31条による公示は会社の選択によりいずれかの支店の登記簿にすることができ (統合指令33条 1 文)、そのような場合において他の支店による強制的公示は、 公示がされている支店の登記簿の細目(登記簿における支店の番号を含む)を 包含しなければならない(統合指令33条 2 文)。さらに統合指令20条は会社の 登記簿および支店の登記簿それぞれに適用されなければならず(統合指令34条 1 項)、加盟国は同条 1 項 2 項による情報の受領後の手続きについて決定しな ければならず、会社が解散その他の登記の抹消がなされる場合に支店について の登記の抹消が著しい遅滞なくなされることを当該手続きで保障しなければな

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らない(統合指令34条 2 項)。なお本条 2 項 2 文は、合併、会社分割および登 記された事務所の越境移転など、法形式の変更の結果としてされた登記簿の抹 消がなされた会社の支店には適用してはならない(統合指令34条 3 項)。加え て加盟国は、支店が用いる文書およびその他の形式において、統合指令26条の 定める情報に加えて支店に関する記録簿が保存されている登記簿及び当該登記 簿における支店の番号を明示しなければならない旨を定めなければならない (統合指令35条)。 ( 2 ) 第三国において設立された会社の支店に関する公示  ある加盟国において開設された支店が、加盟国法による規制を受けないが附 則第 2 に定める会社に相当する法形式を有する会社のものである場合、当該支 店に関する文書および細目については、統合指令16条により支店が設置されて いる加盟国法に基づき公示されなければならず(統合指令36条 1 項)、その場 合は統合指令29条 2 項が適用されなければならない(統合指令36条 2 項)。  統合指令36条による強制的公示においては、以下の(a)から(k)に掲げる文 書および細目を含まなければならない(統合指令37条)。(a)支店の住所、 (b)支店の活動、(c)会社が規制を受ける国の法規、(d)当該法規で定めてい る場合、当該会社が記載されている登記簿および当該登記簿における登記番 号、(e)設立証書、基本定款および定款(独立した証書に含まれる場合)およ び当該文書を修正したもの、(f)会社の法形式、事業の主要地、目的、少なく とも年次ごとの引受済資本額(当該細目が(e)による文書で明示されない場 合)、(g)会社の名称および会社の名称が異なる場合における支店の名称、 (h)会社により公示される法定機関もしくは機関の構成員として、もしくは支 店の活動のための(権限が明示された)常勤代表者として、第三者との取引お よび司法手続きにおいて会社を代表する権限を有する者の選任・終任および細 目(会社を代表する者の権限の範囲、単独代表もしくは共同代表の別)、(i) 会社の解散、清算人の選任・細目および権限、清算の結了、および当該会社が 対象となる破産、整理、調停その他類似する手続き、(j)統合指令38条による

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会計文書、(k)支店の閉鎖。  統合指令37条(j)による強制的公示は、会社が規制を受ける国の法規により 作成、監査および公示される会計文書に適用されなければならず、当該会計文 書がある企業形態における年次会計・連結会計に関する指令に定める方法によ り作成されていない場合、加盟国は支店の活動に関する会計文書の作成および 公示を要求することができる(統合指令38条 1 項)。その場合は統合指令32条 および33条が適用されなければならない(統合指令38条 2 項)。また加盟国 は、支店が用いる文書およびその他の形式において、支店に関する記録簿が保 存されている登記簿及び当該登記簿における支店の番号を明示しなければなら ない旨を定めなければならず、会社が規制を受ける国の法規が登記簿への記載 を要求している場合、記載されている登記簿および当該登記簿における登記番 号も明示されなければならない(統合指令39条)。 4  適用に関する規制  統合指令第 1 編第 3 章第 4 節においては、第 3 章に定める規制の適用に関す る規制がされている。加盟国は、統合指令29条、30条、31条、36条、37条およ び38条に定める公示を怠った場合、統合指令35条および39条に定める強制的細 目を省略した場合、適切な罰則を定めなければならない(統合指令40条)。ま た各加盟国は、第 2 節および第 3 節に定める公示手続きを実行する者を決定し なければならない(統合指令41条)。そして統合指令31条および38条は、 89/117/EEC 指令(他の加盟国において設立された信用協会および金融協会の 支店の年次会計文書に関する義務に関する指令)(17) の規制を受ける信用協会お よび金融協会の支店には適用されず(統合指令42条 1 項)、今後の調整がなさ れるまで、加盟国は統合指令31条および38条を保険会社の支店に適用する必要 はない(統合指令42条 2 項)。さらに78/660/EEC 指令(第 4 指令)(18) 52条によ り設置される交渉委員会は、(a)EU 条約258条および259条にかかわらず、第 2 節から第 4 節の規定の適用の際に生じる実務上の問題について取扱う通常会 議を通じて、当該規定の調和的な適用を容易にし、また(b)必要に応じて、第

(16)

2 節から第 4 節の規定の追加もしくは修正を欧州委員会に助言しなければなら ない(統合指令43条)。

( 1 ) Directive (EU) 2017/1132 of the European Parliament and of the Council of 14 June 2017 relating to certain aspects of the company law (codification) (OJ L 169, 30.6.2017, p.46). ( 2 ) Sixth Council Directive 82/891/EEC of 17 December 1982 based on Article 54 (3) (g) of the

Treaty, concerning the division of public limited liability companies (OJ L 378, 31.12.1982, p.47).

( 3 ) Eleventh Council Directive 89/666/EEC of 21 December 1989 concerning disclosure requirements in respect of branches opened in a Member State by certain types of company governed by the law of another State (OJ L 395, 30.12.1989, p.36).

( 4 ) Directive 2005/56/EC of the European Parliament and of the Council of 26 October 2005 on cross-border mergers of limited liability companies (OJ L 310, 25.11.2005, p.1).

( 5 ) Directive 2009/101/EC of the European Parliament and of the Council of 16 September 2009 on coordination of safeguards which, for the protection of the interests of members and third parties, are required by Member States of companies within the meaning of the second paragraph of Article 48 of the Treaty, with a view to making such safeguards equivalent (OJ L 258, 1.10.2009, p.11).

( 6 ) Directive 2011/35/EU of the European Parliament and of the Council of 5 April 2011 concerning mergers of public limited liability companies (OJ L 110, 29.4.2011, p.1).

( 7 ) Directive 2012/30/EU of the European Parliament and of the Council of 25 October 2012 on coordination of safeguards which, for the protection of the interests of members and others, are required by Member States of companies within the meaning of the second paragraph of Article 54 of the Treaty on the Functioning of the European Union, in respect of the formation of public limited liability companies and the maintenance and alteration of their capital, with a view to making such safeguards equivalent (OJ L 315, 14.11.2012, p.74).

(17)

more engaged shareholders and sustainable companies (COM (2012) 740 final, 12.12.2012). 当 該アクションプランに関する論稿として、拙稿「EU 会社法におけるコーポレートガバ ナンス――2003年・2012年アクションプランに基づく取組み――」稲葉陽二・藤川信 夫・岡西賢治編『企業コンプライアンス』(尚学社、2013年)。

( 9 ) Proposal for a Directive of the European Parliament and of the Council relating to certain aspects of the company law (codification) (COM (2015) 616 final, 3.12.2015).

(10) First Council Directive 68/151/EEC of 9 March 1968 on co-ordination of safeguards which, for the protection of the interests of members and others, are required by Member States of companies within the meaning of the second paragraph of Article 58 of the Treaty, with a view to making such safeguards equivalent throughout the Community (OJ L 65,14.3.1968, p.8). (11) Council Directive 86/635/EEC of 8 December 1986 on the annual accounts and consolidated

accounts of banks and other financial institutions (OJ L 372, 31.12.1986, p.1).

(12) Council Directive 91/674/EEC of 19 December 1991 on the annual accounts and consolidated accounts of insurance undertakings (OJ L 374, 31.12.1991, p.7).

(13) Directive 2013/34/EU of the European Parliament and of the Council of 26 June 2013 on the annual financial statements, consolidated financial statements and related reports of certain types of undertakings, amending Directive 2006/43/EC of the European Parliament and of the Council and repealing Council Directives 78/660/EEC and 83/349/EEC (OJ L 182, 29.6.2013, p.19). (14) Directive 1999/93/EC of the European Parliament and of the Council of 13 December 1999 on

a Community framework for electronic signatures (OJ L 13, 19.2000, p.12).

(15) Regulation (EU, Euratom) No 966/2012 of the European Parliament and of the Council of 25 October 2012 on the financial rules applicable to the general budget of the Union and repealing Council Regulation (EC, Euratom) No 1605/2002 (OJ L 298, 26.10.2012, p.1).

(16) Directive 2006/43/EC of the European Parliament and of the Council of 17 May 2006 on statutory audits of annual accounts and consolidated accounts, amending Council Directives 78/660/EEC and 83/349/EEC and repealing Council Directive 84/253/EEC (OJ L 157, 9.6.2006, p.87).

(18)

a Member State of credit institutions and financial institutions having their head offices outside that Member State regarding the publication of annual accounting documents (OJ L 44, 16.2.1989, p.40).

(18) Fourth Council Directive 78/660/EEC of 25 July 1978 based on Article 54 (3) (g) of the Treaty on the annual accounts of certain types of companies (OJ L 222, 14.8.1978, p.11).

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