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コンタクトプロセスによる感染症の伝播に関する研究~渡り鳥効果を考慮した一般的モデル~

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第68回全国大会. 渡り鳥効果を考慮したコンタクトプロセスによる感染症の伝播 松崎雄大* 豊田規人* 北海道情報大学経営情報学部*. 5B-1. 1 はじめに 我々の研究は基本的には2次元セルオートマトンに 基づくコンタクトプロセスによって,感染症のような病 気の伝播を研究するものであるが[4],今までの研究と違 う点は 2 つある.まず,感染個体が移動し,その感染個 体が感染症を伝播するという新しい概念を取り入れた ことだ .なぜなら渡り鳥が鳥インフルエンザの伝播に 関わっているというようなことがありえるからだ[1].次 に閉鎖された空間を2つ作り,閉鎖された空間から閉鎖 された空間へ,ある一定の確率で渡り鳥効果により感染 症を伝播するという地理的設定を図1のように導入し た.図1では,10×10 のセル上に「海」(黒色セル)を 境にして閉鎖された空間を作り,海を基準に外側を「陸」 , 内側を「島」と呼ぶことにした.. 図2. 自分自身のセルとその近隣の4つセル. さらに存在密度 s という概念を取り入れる.これは各 セルの初期状態を決定するのに必要なパラメータであ る.式(1)で表すと,. s=PI(0)+PR(0),. (1). PI(0) : ステップ 0 における状態 I の確率, PR(0): ステップ 0 における状態 R の確率. 状態 X={S,I,R}が初期状態においてとる確率 Px(0)は, それぞれ,. 2 感染症の 感染症の伝播モデル 伝播モデル. PS(0)=1-s, PI(0)=τI・s/(τI+τR), PR(0)=τR・s/(τI+τR),. n×n のセル(10×10 のセルの例は図1参照)におけ るセル1つにつき,個体が1つ存在するものとする.ま た,感染している個体はτI 日間感染した状態を続け,免 疫のある人はτR 日間免疫のある状態を続けるものとす る. 「感染する可能性のある個体」を状態 S,「感染して いる個体」を状態 I,「感染後治癒し,免疫のある個体」 を状態 R とする.そして,. (2). で,PS+PI+PR=1 を満たす.. 「状態 S」→「状態 I」→「状態 R」→「状態 S」 という状態の変化を繰り返すものとし,この順序が変わ らないものとする.その状態の変化は次のルールに従う.. ここで図2を例にとり,近隣セル4つ(白色セル)のう ち 4 つ全てが感染している場合はどのように感染症を伝 播するのかを考えてみよう.隣接している,1つの感染 個体は Q1=q という確率で状態 S の人(黒色セル)に感 染症を伝播する.. Q1=q.. (3). しかしここで感染しなかった場合には,もう一方の感染 者から(1-q)q という確率で感染症を伝播する.この場合 黒色セルにおける全体の感染率 Q2 は,. Q2=Q1+(1-Q1)Q1 図1. (4). である. まわりの状態 I の数が3の場合は同様に,. 10×10 のセルの例. 感染する可能性のある個体 S が中央のセルにいる場合, その上下左右のセルのうち,いずれかのセルの1つにで も感染している個体 I がいる場合,その人は次のステッ プで感染率 q(0.0≦q≦1.0)で感染するものとする(図2 参照) .ステップとは時間間隔である.それは 1 日目, 2日目,3 日目,…に当たるものとする.図2は自分自 身とその近隣セルを n×n 格子から切り取った図である. 自身は黒,4つの近隣セルは白で表すものとする.. Q3=Q2+(1-Q2)Q1,. (5). まわりの状態 I の数が4の場合は,. Q4=Q3+(1-Q3)Q1 となる.. 「The spread of epidemic based on contact process with migratory birds effect」 *Yuudai Matsuzaki ,Norihito Toyota,Faculty of Bisiness Admin. and Information Science,Hokkaido Information University.. 2-15. (6).

(2) 情報処理学会第68回全国大会 表1 w. τR. シミュレーション時のパラメータの組み合わせ 0 1. 5. 30. 10 1 5. 30. 100 1 5. 30. 1000 1 5. R 8000. 30 6000. 渡り鳥が感染症を媒介する可能性があるらしいので[1] 渡り鳥が及ぼす影響を考慮した.ここでは海以外のある セルと,海以外の異なるセルを交換することを渡り鳥効 果と呼ぶことにする.これをランダムに選ばれたセル同 士に1ステップごとに w 回行うものとする. 島のサイズは m×m,海は幅 j で図1のように島を取 り囲むこととする.従って,陸のサイズは n2-(2j+m)2 で ある.そしてステップ数 t ごとの各状態の数をグラフ化 し,状態 S,I,R の数についてτR,w のパラメータをそ れぞれ変更して比較・考察する(表1参照) .. 4000. 2000. 50. 図4. P P:共存相になる確率. 0.80. 0.60. 0.40. 0.20. q 0.00. 0.10. 図3. 0.20. 0.30. 0.40. 0.50. 0.60. 0.70. 0.80. 0.90. 200. t. τR=30,w=1000,q=0.9 のときの R の時間変化. シミュレーションによって以下の4つの知見が得ら れたのでまとめる. ・渡り鳥効果の回数 w が小セル相転移点が大きい ・τRが大きいと相転移点が大きい ・τR=30,w=10 とτR=30,w=100 のときには相転移点 が2つある ・ 渡り鳥による効果は大きい 実際の感染症の感染期間,免役期間,感染率でシミュ レーションを実行すれば,我々が行ったシミュレーショ ンや従来研究におけるシミュレーションの結果より,現 実味を帯びた結果になると考えられる.また,致死率(感 染者が死ぬ確率)という要素を加えて考察しても良い. もしそうすることが出来るならば,鳥インフルエンザの 伝播の本質を解明出来る可能性もある.実際の鳥インフ ルエンザの伝播に関しては詳しくことが分かっておら ず,渡り鳥が感染拡大の一因と考えられているに過ぎな いからだ. コンタクトプロセスは SARS にも応用可能である. SARS の実際の感染率も良く分かっていない[5]. 世界は, SARS の流行後に鳥インフルエンザの流行が来た.また, 新型インフルエンザは家畜からの伝染が原因らしい.よ って,今回のモデルの一般化は,これら感染症の伝播を 統一的に考察できるだろう. 課題として残るのは,海で島と陸に分け隔てた地形的 効果の解明とより詳細な相転移的現象の解明である.そ のメカニズムを解明出来れば感染症の研究により一層 貢献出来るに違いないと考えられる.. サイズを n=100,島を m=5,感染期間τR=3,感染率を q=0~q=1.0 とし,s,τR の値と 1 ステップごとに起きる 渡り鳥効果の回数 w を w=0,10,100,1000 として,そ れぞれシミュレーションした.τR はτR=1,τR=5,τ R=30 とする.それを表1に示す. このミュレーションの結果によっていくつかの事実が 判明した.1つ目はτR=30 のときに w=10 と w=100 に おいて相転移現象が 2 回起こるということである(図2 参照) .免疫期間τR が感染期間τIの10倍のときに起 こっていることから,感染率が低いときは渡り鳥効果に よって移動しても感染が拡大しないが,感染率が高くな るにつれて渡り鳥効果による移動によって感染が拡大 する.. 0.00. 150. 4 まとめ. 3 シミュレーション結果 シミュレーション結果と 結果と考察. 1.00. 100. 1.00. w=100,τR=30 の時の相転移図. そして感染率が高くなりすぎると同時刻に免疫のある 個体 R の数が多くなり,感染個体Iと感染する可能性の ある個体Sの数が極端に減るため感染が拡大せず,感染 症は撲滅されると考えられる.2つ目はτR=30,w=1000 のとき,感染症は完全に撲滅され拡大する余地がないこ とである.これは渡り鳥効果による移動回数が多過ぎる ため,早期に一時的に感染が拡大していくが,同時に免 疫のある個体 R の数が極端に多くなり,感染が拡大せず, 感染症は完全に撲滅されると考えられる.またその他の 初期値において相転移現象は1回のみであった.. 参考文献 [1] Hokky Situngkir, “EPIDEMIOLOGY THROUGH CELLULAR AUTOMATA Case of Study:Avian Influenza in Indonesia”(arXiv:nlin.CG/0403035 2004). [2] 国立感染症研究所 感染症情報センター 「鳥インフルエンザに関するQ&A」 http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/QA040401.html [3] 松崎雄大, “コンタクトプロセスによる鳥インフルエ ンザの伝播に関する研究~渡り鳥効果を考慮した 一般的モデル~”,「情報処理シンポジウム 2005」 (情報処理学会北海道支部 2005)pp113. [4] 香取眞理,「複雑系を解く確率モデル こんな秩序 で自然を操る」 (株式会社講談社 1997)pp104~124. [5] 国立感染症研究所 感染症情報センター 「重症急性呼吸器症候群(SARS)に関する Q&A」 http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/QA/QAver2P001.html. 2-16.

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参照

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