東 南 ア ジア研 究 7巻1号 1969年6月
ラ
フ ・シ
語の
研
究
タイ国 チ ェ ンライ県 に お け る ラフ ・シ族 の言 葉 の予 備報 告
西
田 龍 雄 *A Preliminary Study on the Lahu Ski Language in Chiang RaiProvince
by
Tatsuo NISHIDA
Theaim ofthispaperistodescribebrieRyandtentatively thephonemic andgrammaticalstructures of the Lahu Shilanguage,gathered,usingthe Burmeselanguage,from aladyinformantlivingin aChristian Lahuvillage at aNikhom nearMae°han,northern Thailand during thepresentwriter'S f
ieldtripin 1964.
Linguistically,LahuShュis clearly divergentfrom the other Lahu lan一 guages,Lahu Na,LahuNi,onthephonological,grammaticalandlexicallevels. Asregardsthe segmentalphonemes,thedistinctionbetween velarandpost -velarstopsreportedby Matisoff in theLahu Na ofChiang Maiprovinceis notmaintainedin theLahu Shilanguageinquestion.
This dialectshows a simple phonemic system,having 23single c on-sonants:/k khg pph b tthd tstsh dzsfh zv 苫gm n ?1/,8vowelsof twoseries:oralandlaryngealized:/ieE苫au0〇 /(1aryngealized)and/ih
eh eh Yh ah uh oh ?h/(oral) and5tonemes:high level,mid level,low level,rising andfalling. Theglidingtonemes,risingandfalling,arerealized asahigh risingora high falling tone respectivelyin laryngealizedvowels (characterizedbylaryngealizationorglottalization),butasalow risingora low falling toneinoralvowels.
Syllable structure is always CV or CVV with atoneme.Noconsonant clusteroccursattheinitialposition,whileasyllablehasnoglottalstopending. A wordmayconsistofonetofourmorphemes. Bi-morphemicwordsare mostfrequent.
Wordsoftheaction-stateclasscaneasilybedistinguishedfrom itsacc ompa-nimentby a bound morphemeve(VP).Wordsrefertoobjectsarepre丘Ⅹed byaboundmorpheme?ah-or?Sh-(NP).
Tonalchangeoccursquitefrequently:asequenceoftwohigh tonesresults in thatoflow andhigh tones.Thelanguageseemstobefollowingthesimilar processofchanging from a syllabic-tone type toaquasiword-tonetypeas seen in theAkhalanguage,although thelatterhasmoreclearlyafeatureof stress.(SeeT.Nishida,"A preliminaryreporton theAkhalanguage,"Studio Phonologica,IV 1965/66.)
西 田 :ラフ ・シ語 の研 究 ま え が き 1964年 の秋 , わ た くLは , チ ェ ンライ県 メ- チ ャ ン郡 ,セ ン ・チ ャー イ に あ る Nikhom に滞 在 して , そ の近 辺 の 山地 民 の言 葉 を 調査 した。 このNikhom の 管轄 内 には , ア カ族 , ラフ ・シ 族 , ヤ オ族 な どが い た。 わ た くLは, ア カ語 の調 査 か らは じめ た が , そ の調 査 が一 段 落 つ い た 11月 の終 り頃 か ら (Tr:jlA'lI'=:に は11月20「lか ら, 12月17口まで) ラフ ・シ底 の言 葉 の調 査 に と りか か った 。 こ こで 発 表 す るの は, そ の と きに調 査 した ラ フ ・シ言吾につ い て の予備 的 な報 告 で あ る。本 柄 は ラ フ ・シ語 の音 素 構造 お よび 文法 体 系 の概 略 を記 述 す る こ とを 目標 に して い る。1) Ⅰ ラフ族 の分 布 地 域 と従 来 の研 究 1. ラフ族 の分 布 地 域 は, リス 族, ア カ族 と同 じよ うにか な り広 い範 囲 に お よん で い る。 まず 本 拠 地 と考 え得 る中 国雲 南省の酉 郡 (潤 槍 江 と怒 江 の 問) か ら ビル マ 国境 地 帯 にか けて , も っ と も多 くの ラ フ族 がい る。 この地 域 か ら, 西 と南 に下 って ビル マの シ ャ ン州 の西 部 お よび 東 部 の地 域 , そ して ラオス の西 北 部 か らタイ 国北 部 の チ ェ ンライ県 , チ ェ ンマ イ県 , クー ク 県 に ラフ族 は点在 す る。 2) した が って現 在 わ か って い る限 り, ラフ族 の分 布 地 域 を 大 別 す る と, つ ぎの 四 つ に な る。3) A 中国雲 南省 a 潤
槍
柁 両族 自治 区 b 孟連 倭 ・投 前古 ・倖 瓦 族 自治 区, C秋
馬 ・俸・
倖 瓦族 自治 区 B ビル マ ・シ ャ ン州 a 北 部 シャ ン州 モ ン ・ル ンの 東 部 b 南 部 シャ ン州 ケ ン トゥ- ン周 辺 C ラオ ス酉 北 部a
ナ ム タ県 b ム オ ン ・シー ン D タイ国北 部 の諸 県 a チ ェ ン ライ県 メー ス ワイ周辺 b チ ェ ンマ イ県 チ ェ ンダ オ周 辺 C タ 1) この調査に多 くの援助を与えて下 ったタイ国学術研究会議な らびに内務省 と くに Nikhom の方 々に 深 く感謝 しなければな らない。わた くしの今回の言語調査については,つぎの拙稿をみ られたい。 西 田龍雄 「タイ国北部の言語調査について」『東南アジア研究』 3巻 3号,
「アカ語の音素体系- タイ 同北部における山地民 アカ族の言語の記述的研究」『音声科学研究』IV1965/66,
「ビス語の研究」打つ東 南アジア研究し]4巻1号,「リス語の研究」『東南アジア研究』 5巷 2号など。2) F.M.LebarG・C・HickeyandI.K.Musgrave,Ethnicgroupsof mainlandSoutheastAsia,
HRAF.1964・p・30参照。
3) この分類は,便宜的な もの としてか りに掲げたものであって, 今の段階では厳密な分類はできない。 桂満希郎 「ラフ ・ナ語の音素体系」『東南アジア研究』 6巻 3号にも同様な分類がなされ, 分布図が あげ られているか ら(p.131) ここでは分布図は省略す るQ
東 南 ア ジア研 究 7巻1号 - ク県 タ- ク周辺4) ラフ族 の分 布 は, この よ うに 中国, ビル マ, ラオス, タイの四 カ国 に またが る広 い地域 にわ た って い るた め に, それ らの部族 間 の言葉 もか な り大 き く相 違 して い る こ とは十 分 に予 測 で き る。 しか しこれ らの地 域 の ラフ語 で調 査 され て い な い言葉 の ほ うが圧 倒 的 に多 い た め に, この 予 測 を全般 にわ た って確 証 す る こ とは, い ま の段 階 で は不 可 能 に近 い。 普通 ラフ族 は, 女性 の 服 装 の色 か ら, 黒 ラフ族 (Lahu Na),赤 ラフ族 (Lahu Ni),黄 ラフ族 (Lahu Shi),シ ェ レ-ラフ族(LahllShehleh) の 4部族 に大 別 され る。 この分類 は,各 部族 の 自称 と も概 略一 致 す る が,言 葉 の面 か らは必ず し も妥 当で は な く, な お検 討 が必要 で あ る。5) た とえ ば, タ- ク県 の ラフ族 は, ラフ ・ナ族 と称 して い るに もか か わ らず , ケ ン ・トゥ- ンの ラフ ・ナ族 , チ ェ ンダ オの ラフ ・ナ族 の言 葉 とは音 素 体 系 で 著 し く異 な って い る。 チ ェ ンダ オの ラフ ・ナ語 は, クー ク県 の ラフ ・ナ語 よ り も, む しろ こ こで報 告 す る ラフ ・シ語 の ほ うに よ り近 い。 それ ぞれ の分 布 地 域 の 内部 で , ラフ ・ナ語 , ラフ ・-語 , ラフ ・シ語 , ラフ ・シ ェ レ一語 の 下 位分 布 の状況 が は た して どの よ うで あ るの か は, い まの段 階 で は, あ ま りよ くわ か らな い。 2. ラフ語 につ いて の 報 告 は, これ まで に い く種類 か あ った 。た と え ば Prince Henri d'Orleansの旅行記
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(Paris:1898),その英 訳Fr
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(London:1898) に, ほかの少数部 族 の言葉 と並 んで掲載 され たわず か の語 乗 , またそれ か ら 引用 した G.A.Scottの
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,pt.1.vol.1 (Rangoon:1900)に含 まれ る250語 ほ どの語 乗 .DaviesのYかnnan(
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につ け ら れ た160語 ほ どの語 柔,J
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(Haut-Laosoccidental) (R.Ⅰ.n.S.4.:1905) の報 告 に提供 され た少数 の語 棄 な どは,言 語 学 の 目的 の た め には使 え な い。既 発 表 の資 料 の 中で , 声 調 表 記 を と もな った信 頼 で き る研 究 には, まず J.H.Telford の
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(Rangoon:1938) が あ った。 この書 物 は ビル マ ・シ ャ ン州 ケ ン トゥ- ン周辺 の ラフ ・ナ語 す なわ ち ラフ族 の共 通 語 を実 用 的 な 目的 を もって記 述 した もので あ る。∫.H.Telford は, 長 くビル マ に滞在 して, 4) ラフ族の人口は正確にはわか らないが,Lebarの上掲書には, つぎの数字があげられている。 中国 のラフ族139,000(1953年の中国の統計にしたがう), ビルマのラフ族66,000, ラオスのラフ族2,000, タイ国のラフ族は119部落に 15,000人いる (Young による)。そ して全人口は20万を上回るだろうと いう。Hap
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lBocTOtTHO放A3Ⅰ川 (1965mocIくBa)でも,同 じく53年の中国の統計にしたがって,中国の ラフ族を139,000としているが (p.32), Hapozlu IOro-BocTOtIHOiiA31川 (1966爪ocKBa)では19 65年の統計によるとして, ビルマの ラフ族40万, タイのラフ族15万,ベ トナムのラフ族 3万(ラオスの 誤 り?)言 「58万の数字をあげている(p.17)。タイ国のラフ族については,Dr.Hanks,Ⅰ.Sharp,"A reportontribalpeoplesinChiengraiprovince,North oftheMacRokriver,"TheSiam Society,Bangkok,1964に部落数,世帯数の詳 しい数字が報告 されている。5) ラフ語ナ方言, シ方言 というのが正 しいであろうけれども慣例にしたがい, ラフ ・ナ語, ラフ ・シ語 と呼ぶ ことにす る。
西 田 :ラ フ ・シ言吾の 研 究
ロー マ字 に よ る ラ フ語 の正 書 法 (Standard orthography) を発 案 し, そ れ を もって 新 約 聖 書 を翻 訳 した (これ に は声 調 表 記 を あ た え てい な い。
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AmericanBaptistForeign Mission Society.Rangoon:1949)06)
Bの地 域 の うち, ケ ン ト ソー ン周 辺 の ラフ ・ナ語 は, Telford の この 書 物 の お か げで大 体 を つ か む こ とがで き る。 そ の あ と, 1967年 にな って , ど この ラ フ語 で あ るか は 明 記 され て い な い が , ビル マ地 域 の ラフ語 の音 素 体 系 が RobbinsBurling に よ って記 述 され た (良.Burling
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IJAL vol.33,No.1) 07)しか しAの 地 域 の ラフ語 は , 断 片 的 な 引 例 に とど ま って , 未 だ ま とま った報 告 は発 表 され て お らず 8), Cの地 域 で話 され る ラフ語 に い た って は , 分 布 地 域 の 詳細 さえ も明 らか で は な い の が現 状 で あ る。
この よ うな状 勢 の
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の地 域 の ラフ語 は 数 人 の言 語 学 者 に よ って 最 近 調 査 され/ほ じy)た 。9)
す で に発 表 され た研 究 の 中 で は, J・A・Matisoff の学 位論 文
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が もっ と も と との って い るolO) これ は 著者 が1965年2月 か ら禦.年3月 まで , チ ュ ンマ イ県 チ ェ ンダ オ に て , ラフ ・ナ言吾を対 象 と して行 な った言 語 調 査 の くわ しい成果 で あ るoll'そ の文法 記 述 を部 分 的 に発 霞 させ た数編 の論 稿 も, そ の後 関 係者 に配 布 され て い る012) この よ うに ラ フ ・ナ語 は, 多 くの研 究 者 に よ って と りあ げ られ た けれ ど も13',残 りの3部 族 ラフ ・ニ 語 , ラフ ・シ語 , ラフ ・シ ェ レ一語 は, どの地 域 の部 族 に 関 して も, 末 だ報 告 され てい
な い 。 3. タイ 国 山 地 民 の 問 で は , ラフ語 が共 通 語 と して使 わ れ て い る。 これ は ラフ語 が覚 え 易 く 6) 聖書の ラフ語訳 には その後, PaulLewis訳が出版 されている。 British and Foreign BibleSociety,London,1962(未見)。
7) R.Burling の
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については,拙稿 「ロロ ・ビルマ語比較研究における問題」 『東南アジア研究』 6巻 4号をみ られたい。8) 中国の ラフを もっとも多 く引例 している 論文 として, 胡坦, 戴床屋 「喰尼語元音的松緊」『中国語 文』1964,北京。
9) Rev.LarryM・Peet,"TowardsamoreLoquaciousLahu,"OverseasMissionaryFellowship, Chiengmai,1964(mimeographed).タイ国の ラフ ・ナ語を対象 とした実用的な書物であるらしい (未見)0
10) UniversityofCalifornia,Berkeley.Ph.D.1967.UniversityMicrofilms,Inc.Ann Arbor, Michigan.
ll) Matisoffは主にチ ェンダオ近 くの三つの部落の ラフ ・ナ語を調査 した。1)HueyTad チ ェンマイ か ら北方約65キロ。 2)Pahsu,HueyTad よりさらに山地を 3時間ばか りのぼった部落。 これは HueyTad の支族の部落である。3)Shatudeu チ ェンマイか ら北方120キロFarng を越えて ビル マ国境に近い部落。
12) GlottalDissimilation and the Lahu High-Rising Tone: a Tonogenetic Case-study (mimeographed),Verb Concatenation in Lahu:the syntax andsemanticsofsimple juxtaposition (mimeographed).
13) 最近では桂満希郎がメ-サーイの ラフ ・ナ語を調査 している。上掲 『東南アジア研究』 6巻 3号。
東南 ア ジア研究 7巻1号 話 し易 い とい う理 由の ほか に, ラフ語 自体 に多 くの変 種 が あ るため に, た とえ ほかの山地 民 が うま くな い ラフ語 を話 したに して も, と くに奇異 に感 じな い ゆえで あ ろ う と思 う。 これ らの言葉 が, い ままで よ く記録 され なか ったのは,第 1にその言葉 を話 す部族 が,交 通 路 か ら離れ た山地部落 に住 んで い た ことと,言葉 自体 の体 系 が相 当 に扱 い難 か った こ とに よ っ て い る。 この調 査 は ビル マ語 を媒介 と して行 な った014) 当拍 メ- チ ャ ンにいた (そ の後, メー ス ワイ に移住 した) ラフ ・シ族 の- 部落 は, ビル マか ら移動 して来 て ま もない状 態 にあ り, そ の共 通 語 と して ラフ ・シ語 の ほか に, ビル マ語 とシ ャン語 を使 って いた。 タイ語 は理解 は したが,請 さなか った。質 問 に用 いた ビル マ語 を, その ま ま直訳 的 に置 きか え るこ と もあ ったが,調 査 は 短 期 間 な が ら順調 にい った。語桑 約1,500,物語 数編 ,文章 約 100を記録 した。 イ ンフ ォー マ ン トは既婚 の若 い女性 にな って も らった。 この人 の経歴 につ いて詳細 な点 はわ か らな いが, ラフ ・シ語 の イ ンフ ォー マ ン トと して は悪 くはな か った と思 って い る。15) そ の 当時 において, どの 研 究者 も, この言葉 を調 査 して いな か った。 わ た くしの集 め た ラフ ・シ語 の資料 は多 くはな い けれ ど も, そ の点で は価値 を もって い ると思 う。 4. 本稿 は, さ きに発 表 した 「リス語 の研 究」 と概 略同 じ構成 を とって い る。わ た くしの も つ ロロ ・ビル マ共 通 態 の設 定 を 目標 とす る構想 の第3の段 階, ロ口語系 1の解 明 の ため には, その予備 的 な段 階 と して,各 々の言葉 の記 述 が ど う して も必要 で あ った。わ た くLは前稿 「リ ス語 の比 較研 究」 にお いて も, ラフ ・シ語 , ラフ ・ナ語 (タ- ク) を 引例 したが,未 だその体 系 を提 出 して いな か った。本稿 で それ を補 いた い。 Ⅲ ラ フ ・シ 語 の 音 素 体 系 つ ぎに, メ- チ ャ ンで話 され た ラフ ・シ語 の音 素体 系 を記 述 す るO この言葉 も リス語 と共 通 した性格 を もって い る。 1. ラフ ・シ語 の一形 態素 は,大 部 分 が単 音 節で あ り,-音 節 は一種 の トネー ムを と もな った CV または CVn形 式 (-Vnは nasalizedvocoids) を な して いて, それ以外 の結合 形式 はな い。 ラ フ ・シ語 の単 純 単語 は,-形 態素 あ るい はそれ以上 の連 続 形式 を とり,実 際 には2形 態 素 か ら成 る単語 が圧 倒 的 に多 いか ら,発 話 の最小 単位 は,閉 じたつ なが り関係 にあ る CV・CV 形 式 または CVn・CV形式 を とるのが もっ と も多 い。 まず , 同系統 の言葉 に対 して, ラフ ・シ語 の音素体 系 が もって い る特 徴 をつ ぎに列 挙 しよ う。16) 14) 調査の状況については拙文 「タイ国北部の言語調査について」を見 られたい。 15) わた くしのインフォーマン トはすでにタイ国にはいないとのことである (桂氏の報告による)。 16) これは比較言語学的な意図ではな く,言語類型的に見た意見である。上掲拙稿 「ロロ ・ビルマ語比較 研究における問題」p.206以下を見 られたい。
西 門 :ラフ ・シ語 の 研 究
1) 音 節 はす べ て母 音 音 素 に終 わ る開音 節で あ り, 閉鎖音 に終 わ る閉音 節 は な い。 CVnで表 記 した -Vnは音 声 学 的 には,鼻 音 化母 音 にあ た る。 (cf.p.17-)
2) 子 音 音素 の体 系 には,voicelessの系 列 と,voiced の系列 の対 立 が あ る。 そ して voiceless の 系列 には aspirated と unaspirated の対 立 が あ る。 3) 音 節初頭 に子 音 結 合 は あ らわ れ な い。 4) 母 音音素 の体 系 には, 普通 母音 に対 立 す る緊 喉
母
fl,J・(喉 頭 を緊 張 させ て発 出す る廿
晋) uj 系列 が あ る。 (cf.p.16-) 5) 普 通 母音 の音 節 が とる トネー ムの種 類 と緊喉 付音 の 音節 が とる トネー ムの種類 とは市捜 し た分 配 関 係 を示 す。 (cf.p.7) 6) 緊 喉母 音 は,普 通 母音 よ り ももち ろん あ らわ れ る頻 度は少 な いが, 付着 の性 格 と初頭十 音 の結 合 関係 に と くに限定 関係 は認 め られ な い。 (cf.p.17) 7) ビル マ語 か ら借用 され た単語 が か な り多 くあ って,本 来 の ラフ ・シ語 の体 系 に新 しい特 徴 を加 え て い る。 た とえ ば CVn音 節 の タイプ を作 るな ど。(cf.p.18) 8) 一 つ の音 素 が, 環境 で補 い合 う関 係 にあ る変 形 (allophone) を もつ ことが あ るが, リス 語 ほ ど若 し くは な い。 (cf.p.13-14) 以下 , これ らの特 徴 を音素 体 系 全 体の 記述 と聞達 して, よ り具 体 的 に説 明 しよ う。 2. トネー ム (声 調) 1) 基 本 的 トネー ム5種 ラ フ ・シ語 の トネー ムは ,高平 型 ,中平 型,
低 平 型 の 1eveltonesと上 昇 型 と下 降型 の gliding tonesを基 本 調 とす る register-contourmixed tonesystem を と って い る。 そ して,上 に指 摘 した よ うに この方 言 には,普 通 母 音 と緊喉母音 の 2系 列 が あ って, そ の対立が トネー ム型 そ れ 自体 と トネー ム型 の分配 関 係 に酎 か こ結 びつ い て い る。 トネー ムの基 本 的 な対 立 関係 は, つ ぎの例 か ら明 らかで あ る。 普 通 (非 緊喉) 母 音 緊 喉 用音
1
) 高 平 型 [ka:55Veill] "tohear" 2) 中平 型 [ka:331a 35] "paper" 3) 低平 型 [ka:llVe‡ll] "tobedumb"4) 上 昇 型 [?〇6 31ka:13] "branch" 6) [?a6 33ka 35]Hwater" 5) 下 降型 [ta:55ka:31] "trading" 7) [n旦 35kす 53] "crow"
ラフ ・シ語 の母 音音素 の 繋喉 ・非 緊喉 の性格 と, トー ン型 の この よ うな分 配 関 係 は, ビス語 や ア カ語 と離 れ て, リス語 に近 い。 ラフ語 と リス語 は, この点 に関 して 同 じ類 型 に属 して い る。
束南 ア ジア研究 7巻1号
ラフ ・シ語 の緊喉母 音 と非 緊喉母音 の差異 を職能 的 な対 立 と認 め るな らば,緊 喉母音 が とる トー ンの型 が, 普通母音 よ りも少 し高 い registerで あ って も,4)の [13]と6)の [35],5)の [31]と7)の [53]は, それ ぞれ上 昇 型 お よび下 降型 に該 当す る完 全 に補 い合 う allotoneで あ る とい うこ とがで き る。leveltonesには この よ うな変形 がな くて,glidingtonesにのみ母 音 の性格 の違 い が反 映す るの は, ラフ(シ)語 の特 徴 で あ る。上昇 型 と下 降型 はつ ぎの よ うにな る。 gliding tone
[
普 通母音 緊喉母 音 rising [13] [35] falling [31] [53] したが って , ラフ ・シ語 で意 味 の弁別 を にな う トー ンす なわ ち トネー ム (声調) は,5種 類 で あ ると認 めて差支 えがな い。 ここで用 い る トネー ムの表 記法 と,母 音音素 の2系 列 の分配 関係 を示 す とつ ぎの よ うにな る (母 音 の表記 につ いて は母 音音素 の項 で論 じる p.16)0 普通母音 (非緊 喉) 緊 喉母音 1) 高 平 型 /kah-veh/ "tohear'' 2) 中 平 型 /kah-1a/ "paper" 3) 低 平 型 /kah-veh/ 〃tobedumbM4) 上 昇 型
/
75h-kah/ "branch" /?ah-ka/"water〃 5) 下 降 型 /tahkah/ "trading" /n昌一ka/ "crow"高平 型 が単 独 で発音 され る場合 には,非 常 に高 い平 板型 を とる。
[ka:6 66]Hcar",[℃a:6 66]〃丘sh",[va:氏 66]=bamboo''
ゆ るい低昇 型 [112] トー ンも観察 され る。 [?a6 55Su:6 112]. しか し, それ が発話 の最 後 で高 平 型 に したが う低平 型 トー ンの変 型で あ るこ とは [?a6 55Su:氏llni:55
]
"garlic"との対 照 か ら す ぐに理 解 で き る。 同 じよ うな例 を あげ よ う。[?a6 55mi:丘 112]HBre":[?a6 55mi:氏 lltSei33k主:31]=kitchenけ
[?a6 55kU:氏 112
]
=head'':[?a丘 55kU:氏 llpi:6 55Vei3:1]
〃tobelieve" この よ うに ラフ ・シ語 の変調 現象 はかな り頻 繁 にお こる。高平 型 +高平 型 の連続 は,低平 型 +高平 型 の連 続 にかわ る。
[ts`〇:氏 55] 〟person",[ts`〇:丘 55 ha:丘 112] Hyoung man'',[ts`〇:氏 llkh〇:丘 55] 〃thief〃,
[ts`〇:氏 ll5a:丘 55]"child
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, [hE:丘 55 pi:氏 llkh355]"jungle",[hE
:氏 llp`1:55]Hfox'',[sE
:a llha
ニ
丘 55]
Hgirdle"
, [ha:氏 llt`〇:55]
"trousers"こ れ ら の 違 っ た 環 境 に あ らわ れ る [ts`〇:6 55] と [ts`〇:丘 11],[h
E
:6 55] と [he
:丘 11], [sE:丘 55] と [sE:丘 11]は, それ ぞれ 同一形 態素 の変 型 と して 扱 わ ざ るを 得 な い。単 独 に あ ら われ る [ts`〇:丘 55]を 根 拠 と して,高平 型 トー ンを この基本 型 と認 め よ う。 もちろん, さきに西 田 :ラフ ・シ語 の研 究
掲 げ た よ うに, ラ フ ・シ語 の2音 節 の単 語 に は ,高 平 型 一十低 平 型 の連 続 もあ る。 さ らに例 を追
加 する と, [
n
u:
丘 55p
a:6112] ‖0Ⅹ" , [p `i:6 55 Sei 11 2 ] "louse" , [m苫:丘 55ki
:
丘 112 ] "st
a
r"etc ・が あ るが ,2音 節 単 語 で
中
平 型+
中平 型 の連 続 を もつ 単 語 は極 め て稀 で あ る. (筆者 の質 料 で は,[mei33首ei33]
"goods",[d5u:丘 331u:月 33]
"bell"の2例 に 限 られ る)。 した が って , ラフ ・シ語 はや は りア カ語 と同 じよ うに,音 節 高 トー ン体 系 か ら単 語 高 トー ンに移 行 しつ つ あ る 言 葉 あ るい は す で に移 行 して しま った言 葉 で あ る と考 え て よい の で は な い だ ろ うか。 17)い まの
段 階 で 2音 節 単 語 が と り得 る トー ンの連 続 関 係 の数 は , 日本 語 の よ うに少 な くは な い が ,近 い 将 来 には , か な り限 定 され た数 に 統合 され る こ とは十 分 に予 測 で き る。[na:11k`〇:且 55
]
"nose"の [k`〇:6 55] と [?〇6 31k`〇:6 11
]
Hcavity"の [k`っ:6 11] が , 別 の 形 態 素 で あ る とは考 え られ ず , この< 昇 > を 意 味 す る単 語 は, す で に低 平 型 ・高 平 型 連 続 に固定 して い る とみ な さ ざ るを 得 な い。 この こ と と関連 して [?a6-]
には じま る単 語 の トー ンにつ い て論 じよ う. [?a6-] を第 - 形 態 素 とす る単 語 の トー ン連 続 には , い ちお う四 つ の タイ プ を設 定 で き る。 i) 高 ・低 型,ii)低 ・高 型,iii) 中 ・降型,iv)中 ・昇 型i) [?a6 55kU:6 112] Hhead''[?a6 55mi :丘 112]
〟
fire" [?a6 55Su:6 112] "onion" [?a丘 55pi:氏 112]
Hinsect"ii) [?a丘 11PE:6 55
]
"bee" [?a丘 11Ze王55]
Hmother" [?aalltS`u:丘 55] "thorn" [?a丘 11gE:6 55]
"lance"iii) [?a丘 33駆 53
]
…needle" [?a6 331隻 53]
"salt" [?a6 33PE:丘 31]
"duck" [?a6 33tSei31]
‖eagle"iv) [?aa33na 35
]
"gun"[?aa33Sを 35]
"life,age" [?a丘 33na:6 13]
"disease" [?aa33tJ
〇:丘 13]
=umbrella'' この [?a6-]
に は じま る単 語 は , つ ぎに示 し得 るよ うに,核 形 態 素 が平 板 型 トー ンで あれ ば [?a6-]
が 高 平 型 ま た は低 平 型 に な り,核 形 態素 が昇 降型 で あ る と, [?a丘-] は 中平 型 にな った O [先 行 形 態 素 ] 高 平 型 低 平 型 中 平 型 [核 形 態 素 ] 低 平 型 高 平 型 下 降型 ・上昇 型 筆 者 は概 略 この様 式 の成 立 を認 め た い。 [-veyl] に終 わ る2形 態 素 (2音 節)の単 語 に も同 じよ うな変 調 現 象 が あ らわ れ るが ,トvei] の トー ン型 は か な り統 合 され て い る。 i) [-vev13:1] iv) [-ve‡ll] 17) 拙稿 「アカ語 の音素体系」『音声科学研究』Ⅳ p.6。補注1(p.39)参照 9i) [ts
`
ち:
6 33Vei 3:1] [h5:33Vei3:1] [mE:33Vev13・.1] ii) [pa:丘 55Ve王3・.1] lh〇:氏 55Vei3:1] [pi:6 55Ve‡3:1] iii) [h〇:氏 llVei3:1] [k`a:6 llVe王31.1] [p`i:氏 llVei3:1] iv) [d〇:6 31Veil:1] [m〇
:氏 31Ve‡l・.1] lm! 53Veill] [1$ 53Veill] Ⅴ) [kり 35Veill] [ga 35Ve‡ll] [1ei13Ve‡ll] [trei 13Ve‡11] 東 南 ア ジア研 究 7巻 1号 "tobesweet'' 中平 型 -[3:1] "todye" "toberipe" "tobethin" 高平 型 -[3:1] りtosellけ りtoglVeけ "tobehot" 低平 型 -[3:1] 〃tocross'' 〃tobeblueけ りtodrink'' 下 降型 -[1:1] 〟tosee″ りtobehungry" HtolickM "tospeak'' 上 昇 型 -[1:1] "toplough'' "toplay" "todrop" トvevl] を第 2音 節 とす る単語 の トー ン型 の連 続 関係 はつ ぎの よ うにな るo [核形 態素] 高平 型 , 中平 型 ,低乎 型 [従 属 形態素 -vei] 下 降型 上昇 型 ,下 降型 低平 型 この現象 も, や は りラフ ・シ語 が単 語高 トー ン体 系- 向か った結果 を示 して お り, その過程 において,[?a6-]
の場合 と同 じよ うに平 板型 トー ンと昇 降型 トー ンが大 き く区別 され てい る , ラフ ・シ語 の トー ン型 につ いては, な お検 討すべ き余地 が多 く残 され て い るが,基 本 的 な性 格 は, この変 調現象 を トー ン連続 関係 の様 式 化 の結果 と して と らえ ることに よ って明 瞭 にで き るで あ ろ う。 3. 子 音 音 素 ラフ ・シ語 の子 音音素 目録 は,23種 の単純 音素 か ら成 りた ち,音素結 合 はない。子 音音素 は つ ぎの よ うに分類 で き る。 stops affricates fricatives nasals lateral velar k khg ? h苫
r
)
labial p ph b f v m dental tth a tstsh dz s z n 1西 田 :ラ フ ・シ語 の 研 究 この 手許音 素 を, 統 合 昔 と
非
続 合音 の 関 係 か ら分 け る と,つ ぎの よ うに な る。 統 合 音 1t
- p
I i
t
s
-k
f/\
・
つt
h
- p
h
i 1
t
s
h
- k
h
/
/
\
Z - 首 3 d- bI i
dz- g㌔/
111 非 統合 音 ? 1 筆 者 が 「ロ ロ ・ ビル マ語 比 較 研 究 に お け る問 題」 に あ げ た類 型 に した が うと, ラ フ ・シ語 は ,1-b),2-b),3-b),4-a)の タイ プ に 属 す る こ とに な る。本 稿 の は じめ に,この言 葉 の特 徴 と して,voiceless:voicedの対 立 とasplrated:unaspirated
の対 ir_が あ る こ とを指 摘 したO そ れ らの対 立 は具 体 的 に は, velar,labial,dentalの 各系列 で
stopsと affricatesの いず れ に もあ らわ れ, fricativeには有 声 :無 声 の対 立 の み が 認 め られ る。 しか し nasalsと lateralには そ の いず れ の対 立 もお こ らな い。 この特 徴 を
簡
単 な表 にす る と,つ ぎの よ うにな る。(十は対 立 が あ る こ と, -は対 立 が な い こ とを示 す 。 リス語 の特 徴 と 比 較 され た い18))[統 合 ・非 統 合] [統 合] [統 合] [統 合 ] [非 統 合]
stops affricates fricatives nasals lateral voiceless:voiced 十
unaspirated:asp. 一十
+
ラ フ ・シ語 の子 音 体 系 成 j;r_の概 略 を言 う と,
i)stop:affricate:fricative:nasal:1ateralの調 節 法 の対 立
ii)velar:labial:dentalの調 音 点 の対 立
iii)voicelessI.VOicedの声帯振 動 有 無 の対
:
l
r
/
-
_
iv)unaspirated:aspiratedの気 息 量 の対 立 の 四 つ が-
巨亡、にな って , そ の可 能 な組 み合 わせ の な か に, 適 宜 す き間 が あ た え られ て い る こ と にな る。 この対 立 関係 は, もっぱ ら音節 の 初 亘酎こあ らわ れ て , 末 尾 の 位 置 には子 音 音 素 は た た な い。 タ- クの リス語 とは単 純 音 素 の数 で 違 って い るが , これ らの特 徴 自体 は, ま った く並 行 して い る。 18) この特徴をアカ語, ビス語および リス語 と比べ られたい。 拙稿 「アカ語の音素体系」(p.10)「リス 語の研究」(p.55)。 ロロ・ビルマ系の言語では,voiceless:voicedの対立があるのとないのとで類 型的に大 きい相違を示 している。 この点 ラフ語 は,アカ語や リス語 と類型的に近いことになる。 しか し系統的に考察 した場合にはそうではない。 cf.「ロロ ・ビルマ語比較研究における問題」(p.208-) 11東南 ア ジア研究 7巻1号
つ ぎに, ラフ ・シ語 の音声 の性格 と各音素 の設 定 につ いて述べ たい。 1) 無 声無気 閉鎖音
/
k
pt
//
?
/
完全 な閉鎖 と破裂 を もつ [k] [p] [t]が, た とえばつ ぎの単語で観察 され る。
[ka:llp`I:655
]
"Aoor'' [k尋35Vev111]
Htobecoldけ [pa:氏llta:i55]
"rabbit'' [pa:丘55]
〃frog"[ta:氏33m妄35
]
=hammer'' [ta:丘13Veill]
"tocarry with apole" [k] [p] [t]は同 じ環境 [♯-a:]で対立 す るか ら, それ ぞれ 音素 /k p t/をたて る。 [p]の ほか に破擦音 [p車]が観 察 され るが, [p]は [可 母音 と連続 す ることが な く, [p+]は [7f] とのみ連続す るか ら, この両者 は補 い合 う関係 にあ って, [p卓]は音素 /p/の変形 allophone
とみなせ る。
[ph :丘55Vei3:1
]
〃tocarry on one'sback'' [pk :丘55]
〃worm'' [na:llp桓 35]
"ear"無声無気 閉鎖音 は, その ほか声 門 に もあ らわれて,極 めて弱 い閉鎖 と破裂 しか もたない [?]
が観察 され る。 と くに緊喉母音 の前 で は, この声 門閉鎖音 はは っき り聞 きとることがで きる。
[
?
a
丘 11
k尋 35]
"
wat
er" [?〇丘 31bE
:
丘11]"a cover
'
'
[?
冒
35
V
eil l ]"
t
op
u lldow
n'
'
[?首 35Vei
ll]
"tobend "ラフ ・シ語で は [?]は zeroとは対立 しない。 た とえば [?E:613Veill] 〃tobesmall"は
×[
♯E:613Veill]とは対立 しないか ら, た とえ明瞭な声 門閉鎖 が な くと も, あ るいは 閉鎖 が ま った く起 こっていな くて も,それ を含 む形態素 を書 きあ らわす ときには,構造 的な特徴 を示 す 音素 と して /7/ を表記上付加す ることがで きる。 これ は構造 的 に見 た単位 の表 現で あ る。 2) 無声 出気 閉鎖音 /kh ph th/ 完全 な閉鎖 と度合 の強 くない破裂 を もつ無声 出気音 [k`][p`][t`]が観察 され る。 この出気 の気 息は長 くない。[k`a:氏33
]
Hcrossbow" [k`a:丘55Ve王31]
=tobebitter" [p`尋35Ve王11]
パtospreadout" [p`a:a55S`a:13]
〃religion" [?〇631t`a:氏31]
"upside'' [?U:55t`a:653]
Hbefore"同 じ環境 [#-a:]で対立 す るこれ らの音声 には,音素 /kh phth/をたて る。 この ほかに,無 気音 の場合 と同 じよ うに,[pサ]が あ らわれ る。 [m妄35p`手`苫:丘11
]
Hface",[?〇631pせち:653] "price",[tJ`〇:丘55tu:氏llp`卓'¥:氏55]
"grave"。 この [pせ]も [Y]母音 の前 に限 って観察 され, [可 と連続 しない [p`] と補 い合 う関係 に あ るか ら,[p`] と [pサ] は一つ の音素 /ph/の allophoneで あ る とみなせ る。3
)
有声無気 閉鎖音/
g
b d
/
完全 な閉鎖 と破裂 を もち,そ して軟 かい [g] [b] [d]が観察 され る。[ga:氏llVev131
]
Htohelp" [ba:氏llVev131]
Htoshine" [da:且31Vevlll]"tobegood''西 田 :ラフ ・シ語 の研究
[g尋35Veill
]
Htoscratch" [ba:丘55Vey131]
"tojoke'' [da:氏31mi:a55]
"torch"同 じ [♯-a]の環境 で対 立す る [g] [b] [d]には,それぞれ音素
/
g
bd
/
を たて る。 この/
b
/
音素 に あた る [b]の allophone として上掲 [p][p畑 [p`] [pサ] と並 行 して両 唇 摩擦音 を と もな った [bp]が [¥]母音 の前 に限 って あ らわれ るoつ ぎの例が あ る。[bp!35Veill
]
"tobesatisfiedwith food", [b匹:31Veill]
"towrite" 4) 破 擦音 /tstshd
z
/
破
擦
音 に は alveolar [tsts`dz] と palato-alveolar[tJtJ
`d5]が, た とえばつ ぎの例で 観察 され る。[tsa:氏55Vev131
]
"toeat" [tsち:33k妄35]
"rubber"[tJe:llVevlll
]
"tohide"[?〇631tJei31
]
"aclan"[t†〇:a33Vev131
]
"toturn'' ltlu:55VeI31]
"todependon"[ts`a:631Veill
]
"tobedirty" [dza:633]
〃very" [ts`ち:fi55Vei31]
"towash"[tJg:llmi55
]
"mortar" [tJ`ev131Ve‡ll]
"tobite" [tJ〇:氏55]
"person" [?aatJ`u:55]
"thorn"[dz苫:丘31Vevlll
]
"totear" ld
5ev13 1Ve
v
l
ll]"tolend
" [dS〇:丘 13
V
e
i ll]
"t
odye
" [d3u
6 33
1
u:
6 33]
"bell" [dz] は [a]母音 の前 でや や 口蓋 音化 す る [dぞ]O この例 か ら明 らか な よ うに, この破擦音 の2系列 は,連続 す る母音音素 との間 に限定 され た 分配 関係 を もって いて,そ の分配 関係 を検討す る と,[ts]系 と [tJ]系 の問 に完 全 に補 い合 う 関係 が成立 す る。 [i-1
]
[ei] [E] [a] [U ] [0芯] [〇] [7f] [tsts`dz] + ' [tJtJ`d5] 十 一 ++
+
+
したが って, これ らの音声 には一種 の系列 の音素 /tstshd
z
/をたてれ ば十 分で あ る。音素/
t
s
tshd
z
/
は [a] [苫]母 音 と連続 す る環境 において のみ [ts] [ts`][dz]の形 を と り, それ 以外 の 母音
の前 で は硬 口蓋 音 [tJ] [tJ'] [d5] として あ らわれ る0 5) 摩擦 音 i)/
sz
/
摩 擦音 の第1と して,上述 の [ts] [tJ
] な どにあた る [S] [Z][3]が観察 され る。 出気 を と もな った [S`]もあ るが,それ は [S] と自由に交 替す るo [S尋35Vevlll]∼ [S`尋35Veill]Htobe rough " [S] [Z] はいず れ も摩擦 の持 続部 が長 く,-[S^S] [Z等] の形 を と り, その うえ 口蓋 化 する傾 向を もってい る。 [5]は と くに摩擦 が強 く, 口蓋 に著 し く接近 して調音 されて [j]に近 い 場 合 も多 い。
[
?
〇h31Sa:613] "flesh" [Z等尋53ni:氏11]〃today"東 南 ア ジア研 究 7巻1号
lse;35Veil]] utobethirsty" [sE:氏llle氏55] りthree"
[?〇631Su:612] "onion"
[Z買ei31Vei35] "bud" [Z買E:631] "house" [5u:631Veill] "totake" [53:A31] "sheep" [Z]と [3]は,連続す る母音 との問に, つ ぎのよ うな分配 関係 を もって, 補 い合 う関係 にた ってい る。 (十は 自由交替を示 す) [i] [ei] [E] [a] [U] [0凸] [〇] [ち] [Z] 十 一十 十 [3] + + (+) + + J その うえ [qa]と [5a] (た とえば "child")が 自由交替 をす るか ら,[Z] [5]には音素
/
Z
/
を,それ に対 して,その無声音/
S
/
を設定す る。 ラフ ・シ語の この摩擦音 の扱いは リス語 ほど 厄介ではない。 ii) 声門および軟 口蓋摩擦音/
h
苫
/
[h]と [¥]が,た とえばつ ぎの単語で観察 され る。[ha:氏33] "rice丘eld" [he:611Vev131] "tobehard" [h〇:613Veill] 〃tosmell" [hu13Vei11] 〃tostop"
[首a:611Vei3:1] "toget" [苫E:a31] "abear" [首〇:氏33Vev131] "tocount" [開 53k`E:A55] "thread" ここで音素
/
h首
/
を設定す る作業 には問題 はない. iii) 唇 歯摩擦音/
∫v
/
無声音 [f] とその有声音 [Ⅴ]が,つ ぎの単語で観察 され る。 [fa35] "squirrel" [fa35Vevlll] "toconceal" [feill Vei31]"tosend"
[fD^35Veill] "towrap in'' [va:氏55] "bamboo" [va:633Vey131] 〃tofind out" lvev131] Hleech"[Ⅴ〇:611Vei31] "tobebrigh t"
[f] [Ⅴ]が連続す る母音 の 種類は 多 くはないが,[a] [ei] [〇]母音 の前で,[f] [Ⅴ]は明 ら かに対立す るか ら, 2音素
/
f
v
/
を認 め る。 その ほかに摩擦 の弱い 両唇摩擦音 [W]があ らわ れ る。[wu:13Pe∑31
]
"belly" [wu:13tu:611]
"navel"この [W]は [Ⅴ]と補 い合 う分配 を示 していて,その関係 を表 にす るとつ ぎのよ うにな る。 [i] [ei] [E] [a] [U] [oG] [〇] [首] [Ⅴ]
+
+
lw]1
4
× + × + × × 十 ×西 田 :ラフ ・シ言吾の研 究
した が って ,[W]は音 素
/
v
/
が [♯-U]の環境 で あ らわ れ る変 形 とみ な して差支 えが な い 。6) 鼻 音 /
um n/
標 準 的 な有 声鼻 音 [U][m][n]がつ ぎの 例で 観 察 で き るが, これ に あた る 無 声鼻 音 は 出て 来 な い。
[り] [りa:Li66]"fish
"
,[鴨 35]"bird"
,
[耶:丘33Vev131]"tobeshort" [m] [ma:655Vev131]"tobemany", [Z浦 31m尋35Veill]"todream"[mE:633Vev131]"toberipe川
[n] [na:655Vei31]"tolisten'' [n尋35Vev111]"tobeblack'' [nE:6 33Vei 31]Htoshake''
この ほか [p]に対 す る [p+],[p`] に対 す る [pせ],[b]に 対 す る [bp]と並 行 して,[m]
に対 して [mv] (正確 には [mq]) が [ち] 母 音 と連 続 す る形 式 にのみ あ らわ れ るO
[mvち:氏66
]
"horse" [mvち:5JPhei55]
"nigh t" [mv苫:33Vei31]
Htobetall'' [mvち:a31]
"mushroom"[mv]は あ き らか に [♯-可 の環 境 に限 って あ らわ れ る [m]の allophoneで あ る。
また [np] 鼻 音 が [Iti:611Vev131] Htolook" [mvち:655n,i:11]りsun"に 認 め られ るO こ の [np]は [i]母 音 と 結 合 す る 形 式 に 限 られ , それ に 対 立 す る [ni:]形 式 は 出て 来 ないか ら, [叫]は [♯-i]の環境 で 作 られ る [n]の allophoneで あ るO し た が って , ラフ ・シ語 の鼻 音 に は /
りm n/
の 3音素 を たて る。7)
側面音 /1
/
摩 擦 の な い有 声 歯 茎 側面 音 [1]のみ が観察 され る。 これ は
/
?
/
と と もに非 統合 音 で あ る。[?〇丘311E:655]"four" [lev1llVei31] "toplay" [1〇:631Vevlll
]
"tobark". [1U:a31Veill]
〃toenter''これ に は音素 /
1
/ を たて て問題 は な い。 ラフ ・シ語 に は,子 音 音素 結 合 は全 く認 め られ な い。19) 19) インフォーマン トが示 したk Lahualphabetに,以上の音素は,つぎのように該当する。 k c tS t t s s p p y z / / ′/′ / //
hk kh ch tsh ht th sh s hp ph r x ′ノ Z g g . J d d d Z Z b g' ng 首 g / ny n / n n/
m f b m f / 1 v h 1 v h / インフォーマ ン トはrを [hara]とよんだが, Er]には じまる形態素はラフ ・シ語にはなかった.l
S
東南 ア ジア研究 7巻1号 4. 母 音 音 素 母 音音素 に関 して, メ-チ ャ ンの ラフ ・シ語 の もっ と も大 きい特 徴 は,すで に指摘 した ご と く,普通母音 と緊喉母 音 の 2系列 の対立 が認 め られ るこ とで あ り, しか もその母音 の性格 を と もない得 る トネー ムの種類 の間 に規則 的な分配 関係 が成 立す る点 にあ る. ただ し,母音結合 お よび鼻 音化母音 に は緊喉母音 はない。緊 喉音 は咽頭 お よび喉頭 を よ り緊 張 させ て発 出す る母 音 で あ り,雲 南省 の--語 , ラフ語, リス語 な どに認 め られ るこ とがすで に報 告 されて い る。 タ - クの リス語 に も同種 の対立 が あ った。 ラフ ・シ語 に は,つ ぎの よ うな対立 例 が あ る。
[?〇h31p`尋35
]
"leafofthree" [ts尋35Ve‡ll]
"tocontinue" [p`a:31Sa:丘12]
"religion" [tsa:丘13Ve‡11]
"toboil"[m 妄 35S主
3
5
]
"eye" [1a53S尋35]
"bag"[?〇丘31Si:13
]
=fruitM [la53Sa:a13]
〟righ thand"これ らの例 か ら, ラフ ・シ語 に も緊 喉母音 と非 緊喉 (普通) 母 音二 つ の対 立 した母音音素 を 認 めたい。 この 2系列 の対立 は,主 に昇 降型 トー ンに あ らわれ るか ら, この 緊 喉 性 を トネ ー ムの性格 に帰着 させ て, トネー ムを5種 類 か ら7種類 に増加 し, この対 立 を 解 消 す る こ と も 記述法 と して 可 能 で あ る。20' しか し,[k`妄:655
]
Hdish" :[?〇631 k`e:655] "excrement'', [kEa55tJi:All] "arrow":[?〇丘31tヲi:11]
"pillar" の よ うに 平板型 トー ンに も 緊喉音 が あ らわれ るこ とと, リス語 な ど との並行性 か ら, ラフ ・シ語 に も, この2系列 の対立 を設 定 した。 この問題 はなお検討すべ きで あ る。 ここで は,音素表記上 ,両 系列 を弁別 す るために,非 緊喉 母 音 に は
/
-
h
/
をつ けて あ らわ した。21)ラフ ・シ語 の 母 音音素 目録 はつ ぎの よ うにな る。 非 緊 喉 ih eh Eh ちh ah uh oh 〇h 緊 喉 l e E 首 a u O〇
これ らの母音 は全体 が ととの った 2+ 3+ 3 の 8母音 シス テム をな して い I・u
】
\ / l
る。 e一 首- 0I
IT
これ らの音素 には, い ろいろの環境 においてつ ぎの 音声 が該 当す るO/
i
h,
i
/
E- a- 〇 には [i] [Ⅰ] [i],
/
e
h,
e
/ には [eyI
L/
E
h,
E
/には [EL
/苫h,ち/ に は [Y] [血¥] [叛],/
a
h,
a
/
に は [a] lcl
],/
u
/ に は [u] [U],/
o
h,
o
/
に は [o] [oG],/
〇
h,〇
/
には [〇] がそれ ぞれ あた る. この うち,/
i
h
/と /苫h/につ いて,説 明 を補 足 しよ うo/
i
h
/
は/
k
g苫?
/
と連 続 す る とき,[i] の allophoneの [主]形 を とる。 [tJu:丘13g主:631
]
"saliva",[m妄35がi:631] "tear'', [?〇丘31写り:631] "sweat
'
'
, [首叫:631Veill] "tolaugh ", [?i:11Vei31]
"tobe big".
/Y
h
/
は/
d
z
/
のあ とで [鴇]あ る い は [晦]に聞 こえ る. [dぞ7g:丘31]は [d㌘血捕 31]ま20) しか し, もしregisterの対立がなければ,音節高 トーンの弁別は5種類が限度であろう。
座 Fl:ラフ ・シ語 の研究 た は [dzd古:丘31
]
で あ るo これ らの母音 は,す で に例示 した ご と く,有 声 声 門摩 擦 音 [丘]を と もな って 発 出 され る こ と が 多 い。 それ は録 音 テープ を逆 に して 聞 くと, た とえ ば [a丘]は [aa]∼ [ha]とな って, [Li] また は [h]を明 瞭 に聞 き とる こ とがで き る。 つ ぎに8母 音 の対 立 を示 す 例 を左 側 に あ げ, そ の右側 に音素 表記 をつ け た。 [mi:655Vev131]
"tosit" [mevl:55Ve‡31]"to tame" [mE:氏55Ve‡31]
"todisappear" lm首33Vei31]
"tobetall"22'[ma:丘55Vei31
]
"tobemany" [k`a:llmu:丘55]
"bread" [mo6.31]∼ [moa31]
"cloud" [m〇:631Vevlll]
"tosee" /mih-veh/ /m色h-veh/ /m主h-veh/ /mYh-veh/ /mah-veh/ /khahmhh/ /m6h/ /m3h-veh/ もち ろん , 母音音素 と子音 音素 の結 合に はす き間 が あ る。普通 母 音 の系列 で は, そ のす き間 は規 則 だ った もので はな い が ,緊喉母 音 の場 合 に は,か な りのす き間 が認 め られ る。 た とえば, わ た くしの資 料 で は,k-kh- と母 音 音素 の結 合 閑係 はつ ぎの よ うに な る。 /ih eh Eh 苫h ah uh
oh 〇h/ /k/ + + /kh/ /i
e
E 1a
u o 〇/ 、. t、 ラフ ・シ語 の全 音 節表 を提 出す る必要 がで て くるが , い まは この間是削こふ れ な いで お くO そ の ほか鼻 音 化 母音 がつ ぎの 例で観 察 され る。[6∼l] lv6i33]∼ [vi33
]
"town" [?〇631tJ`e∼i55]
Hvegetable" ld] [?〇631tWd11]
=body" [5] [h5:33me且11]
"stone"[mvち:a55h5:11
]
"wind" [え] [?a丘331a:13]"flag"[?さi55Vev131
]
Hto lean"[1Illhさi55Vei31
]
Hto learn" [吉山主:31pu551d:13]
"lake" [su33t5:33Vev131]
"to pray'' [?a6 33t∫s:31]
Humbrella" 鼻音
化 母 音 が あ らわ れ るの は, ビル マ語 か らの借用 語 で あ る こ とが多 い。 そ して, この鼻 音 22) これに対 して [m〇:655Vei3月 "tobehigh"の形式 も並存する。1
7
東 南 ア ジア研 究 7巻1号
化母音 が普通 母音 と 自由交 替す る形態素 も少 な くな い。23) [pa:llka:丘55]〃jaw"は3度の うち 2度 が [pa:llk畠:55] とな った. 同 じよ うにつ ぎの例が あ る.
[?〇丘:311a:13]∼ [?〇6311え:13
]
Hhorsesaddle"[?a:55Vei31]∼ [?畠:55Vei31
]
〃tosurprise"[fcI:13Ve王]∼ [f5:13Veill
]
Htowrap inル[sU:33]∼ [sd:33
]
"iron",[苫〇:氏33Ve‡31]∼ [85:33Vei31]
"toread''lh〇:55Vei31]∼ [h5:55Ve王31
]
Htodye''-方で は,普通母音 と鼻 音化母音 は, は っき りと対 立 してい る。 [tJ5:llja:55
]
"student" [tJ`〇:llja:55]
…child" [?〇丘:3115:33]
"story'' [736:311〇:33]
‖east"したが って,共 通す る鼻 音化現象 を
/
n
/音素 に該 当す る単位 とみ な して, これ らを /in,on, 〇n,
a
n
/
に よ って表記す る。母音音素結合 /aioe
〇
e
/
ラフ ・シ語 には,なお降 り型2重母音 が観察 され る。 [ai] [kai31VeT11
]
"togo"[paillVei31
]
〃tofalldown'' [nai33Ve‡31]
"tocure" [a昌] [na:31Pa:ll1a芭13]
〃sea''[ma芭 13] "mark"
[pa:llta‡55
]
"rabbit" [k尋35fa‡35]
〃match'' [1aY33tSull]
"leopard" [va芭33Vei31]
〃tobefast" [ロa芭33Vey131]
"tobeeasy"[ai][a芭]は, いず れ もビル マ語,タイ語 か らの借用形式 が多 い (Bur.:pinle〃sea",ahma? Hmark汀,N.Thai:kataaj〟rabbit",kafaj〃matchM)
この [ai]と [aさ] は対立 す る形態素 を もたないか ら,一種 の
/
a
i
/で表記す ることにす る. [o昌] [k`a:33pO昌31]
″all"ltoさ35Ve‡11
]
〟tolightacandle" [〇昌] [p〇岩55Vei31]
"festival''(< Bur.pwe)[k`〇岩13Veill]"toenvy"
この二重母 音 は
/
o
//
〇
/
が/
e
//
E
/
と結合 した 単位 と認 めて,/
o
e
//
〇
E
/
の 母 音 結合 をた て る。/
〇
E
/
は便宜 的 に/
〇
e
/
で表記 す る。また,つ ぎの よ うな 疑似的な 二 重 母音 があ る. [haevei]りtobefoolish
"
,[koevei]"to return"
,[t〇eveyl]"togoout"
,[b〇evevl]"toberound"。これ らは,あ る状態 を示す形態素トe」 を挿入 した複合形式で あ るか ら,それぞれ
/
h
a
-
?
e
-
v
e
//
k
0
-
7
e
-
v
e
//
t
〇
一
?
e
-
v
e
//
b
〇
一
?
e
-
v
e
/
23) そ の ほか,後続 鼻 音 によ って [73631-]が同化 され [75:3l-] とな る例 が あ る。 I?5:31m7:55mall] "wife",[531na13ma13]"youngersister''
西 田 :ラ フ ・シ語 の 研 究
と表 記す る。diminutivesufnx の モー?E)を と もな う複合 形 式 [?〇丘 31b〇:E35] Hroomけ も同
じよ うに /75h-b〇hJ
Eh
/
と表 記 す るO 以上 の結 果 , ラフ ・シ語 の母 音体 系 は,8種 の普通 母 音 と8種 の緊 喉母 音 とそ の ほか に,4 種 の鼻 音化 母 音 と3種 の母 音結 合 か らな って い る と言 う こ とがで き る024) ラ フ ・シ語 に は,長 母音 と短 母 音 の職 能 的 な対 立 は全体 と して成 立 しな いが, た だ緊 喉母 音 は非 緊 喉母 音 よ り短 く発 音 され る一般 的 な現 象 は認 め られ る。 5. 以上 ラ フ ・シ語 の音素 構造 を トネー ム, 子音 音素 , 母 音 音素 の諸 体 系 を 中心 にそ の特 徴 を記 述 した。 そ の記述 は,原 則 的 にす で に発 表 した 「ビス語 の研 究」
「ア カ語 の音素 体 系」
お よ び 「リス語 の研 究 」 に お いて試 み た方 法 に したが って い る。 解説 に あ た って それ らの論 文 とか な り重 複 した と ころが 出て来 たが, 統一 した方 法 を用 いて ,い くつ か の言 葉 を記 述 す る こ とは, そ の結 果 を比 較対 照 し,言語 類 型学 的考 察 を 加 え るに あ た って も,有 用 で あ るが, こ とに ビス 語 , ア カ語 , リス語 , ラフ語 の よ うに系 統 的 に近 い言葉 に お いて は, そ れ ぞ れ の言葉 の詳 純 な 特 徴 点 を知 る うえ で も,極 めて有 効 で あ る と思 う。 Ⅲ ラ フ ・シ語 (メ ーチ ャン) の 文 法体 系 1. メー チ ャ ンの ラフ ・シ語 は,す で に ま とま った報 告 の あ る ビル マの ケ ン トゥン近 辺 に分 布 す る ラフ ・ナ語 や タイ国 チ ェ ンマ イ県 ドイ ・チ ェ ン ・ダ オの ラフ ・ナ語 とは, 文法 体 系 や語 柔 形 式 に,細 部 の点 で か な り相違 が あ る。 つ ぎに ラフ ・シ語 の文法 体 系 を簡 略 に記 述 す る。 文 法 体 系 お よび語 棄 形 式 の異 同 につ いて は,別 論 「ラフ語 比較 文法」 に ゆず りた い。 2. ラフ ・シ語 の単 純 単語 は, 一 つ また は二 つ あ るい は それ以上 の形 態 素 の結合 か らで きて い る。 そ の 中で ,二 つ 以上 の形 態 素 か らな る単 純 単語 が もっ と も頻 度 が多 いが, なかで も核 形 態 素 とそれ に先 行 す る 75h- また は ?ah- の連 続 か あ るい は 核 形 態 素 と そ れ に 付 随す る -veh の連 続 で あ る場 合 が もっと も多 い。 ?5h- ?ah- -veh?5h一mをh "beard" ?ah-kbh "head" Z合一veh "tosleep" ?5h-S孟 "flesh"
?
ah一首6日n
e
edle" kdh-veh "tocry"?Sh-zih "seed" ?
a
h-poh
"s
h irt" 15h-veh "tobark"24) インフォーマン トがあげた Lahualphabetに上述のラフ ・シ語の母音音素 はつぎのように 該当す る。
1
9
i/
iih/ ui/ih/[主:] u /u.uh/ ai/
a
i
/
/ / / h h h e e0
e e0
/ //
e e 0 aO aoを含む形式は,わた くしの資料にはない。 eh/
EE
h/ uh/
ちぢ
h
/
aw /〇〇h/ a /a
ab/
東 南 ア ジア研 究 7巻1号
これ らの例か ら明 らかな どと く,7
5
h
-または?
a
h
-を先行す る単語 は名辞表現で あ り,-
ve
h
を と もな う形式 は,つ ねに動辞 表現で あ る。 同 じ主核形態素 が
?
5
b- また は?
a
h
- を先行す る 形式 と-
ve
h
を と もな う形式 を共 に もって い る例 ももちろん少 な くはない。pr
e
f
i
Ⅹ 十 核形態素 核形態素 核形態素 +s
l
l托Ⅹ
?Sh 首uh
"e
gg'
'
首uh
首uh-
ve
h"t
ol
a
ya
ne
gg"
?5h phs"g
ro
up"
ph6
ph6
-
ve
h"t
oc
ol
l
e
c
t
'
'
?
5
hv
芭〃f
lo
we
r
'
'
ve
v昌
一
ve
hHt
obl
o
s
s
o
mり
この形態 が ラフ ・シ語 におけ る単語構成法 の基本 的な特徴 で あ る。 この点 リス語 と極 めて よ く並行 してい る。 この
pr
e
丘
Ⅹ + 核形 態素 の名辞表現 をいわ ゆ るCo
gnat
eObj
e
c
t
と して,そ れ にs
u氏Ⅹ
を と もな う動 辞 表 現 を結 び付 けた 単語構成法 もあ るo?
S
h一
首uh苫uh-
ve
h"t
ol
a
y
a
ne
gg"
,7
5
h-
v邑Ⅴ孟I
Ve
h"t
obl
o
s
s
o
m"
といい得 る. 同 じよ うに,?
5
h-
l
i
bl
i
b-
ve
h"t
odo
ubt
"
?
S
h-
kh5
hkh5
h-
ve
h〃t
obl
o
o
m"
な ど この形態素連続 は よ く使 わ れ る。 ラフ ・シ語 に は, いま一つ 明瞭な単語構成 法 が あ る。それは行為 を表現す る形式 と,行為 に 使 う道具 を表現す る形式 の対立 をあ らわす手順で あ る。換言す ると,動辞 表現 と,それに該 当 す る名辞表現<道具名詞> が形 式 の うえで弁 別 され,つ ぎの よ うなpr
o
d
uc
t
i
ve
な手 順で形成 され る。 ラフ ・シ語 には, リス語 の よ うな行 為者 を表現す る形式 が これに加わ らな い。 核形 態素 +ve
h
行 為動詞ph色
h-
ve
h "t
of
a
n"
首5-ve
h
〃t
ooa
r
'
'
s
i
-
ve
h
=t
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s
e
け
t
hE-
ve
h
"t
odi
g"
1e
h-
ve
h
"t
opl
a
y"
核 形態素+ t
ah
道具名詞ph色
h-t
ah
"
af
a
n"
苫5
-
t
ah
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a
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S
トt
ah
〟
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s
e
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ヽ
′
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t
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ve
l
〃
1e
h-
t
Gh
"t
o
y"
ラフ ・シ語 で は,-
t
ah
を と もな う形式 にはpr
e
f
ix?
5
h
- は普通 は つ かない。 この-
t
ah
を と もな う単語 も,首5
-
t
ah
苫5
-
ve
h
"(舟 を)こ ぐ',t
s
ah-t
nht
s
ah-
ve
h
"食 べ るべ き ものを食べ る-食べ る",
t
s
孟h-t
aht
s
ah-
ve
h
"煮 るべ き ものを煮 る-煮 る"の よ うに連続す る構成 もあ る。 このあ との場合 は,複合単語 と して扱 って よいで あろ う。 ラフ ・シ語 の複合形式 は, リス語 に比べて は っき りしていて,分析 し易 い。 い ま代表 的な タ イプを あげ る と,つ ぎの よ うにな る。 タイプ 1両hN
l"f
is
h"
+ ?S
h-
me
hN
2"t
ai
l
"
-頭h"
l十me
hN
2
"氏s
ht
ai
l
"
タイプ 2市 田 :ラ フ ・シ語 の 研 究
一首ih "water" は,?ah-k5 日water" に対 して ,つ ね に複合 形 式 にあ らわ れ るocf・tsah+ 苫ih "saliva''
タイ プ 3
m3hN1-k〇hN2日mouthけ-ト 75h一首Th"3日skinけ- mSh"Lk〇h"2+ 苫ih"3日1ip'' タイプ 4
S音"i-ts£"2日treeり十?Sh
一
首
ih"3-kか 4日skinけ-S
音"1-トがh"3-kか 4日bark oftree〃タイプ 5
mENl-sihN2日eye"十?Sh
-
y
ihN3-kaN4"skin"- mENl十 kが 4"eye-lid"この ほか に も, な お別 の タイプ は予 測 で き る し,容 易 に分 析 し難 い複雑 な校合 形 式 もあ る。 m%h n孟S益 がh dうh-veh "rainbow"は m
%h/n云/
S
迂
/がh/dS
h-
ve
h
/ と分 析で きて,日大 が 渇 き水 を飲 む''の意 で あ る こ とが わ か るが, この n昌 の意 味 が明 瞭で はな く,/
m
音hn昌/ と す べ きか/
m言h/n
孟/ で あ るの か判 断 し難 い。 ちなみ に , モ ソ語 で は,"虹 "は "大 の 舌 が水 を 飲 む"とか "火 の舌 が水 を飲 む''とい う意 味 で表 現 され るC ラフ ・シ語 と非 常 に近 い。 3. 等 式 文 と叙 述 文- 肯 定 形 式 ・否 定 形 式 ・発 問形 式 ラフ ・シ語 の文 は , リス語 な ど と同 じよ うに,等 式 文 と叙 述 文 に大 別 で き る。 この二 つ の文 の タイプ は, そ れ ぞ れ特 有 の否定 形 式 を もつ ほか に,つ ぎの点 で 区別 され る。等 式 文 は基 本 的 に は,二 つ の名辞 表 現 か ら成 りた ち,丁 寧 な発 話 で は, そ の二 つ の名辞 表 現 の間 に休止 が おか れ る。 叙述 文 は基 本 的 に は 形態素 -veh に終 わ るか, あ るい はそ の位
置 に入 れ 替 わ り得 る付 属 形 態素 に終 わ る勤 評 表 現 と, それ に先 行 す る名辞 表 現 か ら成 りたつ 。 これ も丁 寧 な発 話 で は名 辞 表 現 と動辞 表 現 の 問 に休止 が お か れ る。 等 式 文 りah l主h♯ 名辞 表 現 ♯<私 は・・--で あ る> りah lもh♯ 1dh htlh sih tsh5hく/私 は ラ フ ・シ人 で あ る> この 1主h は,主格 を示 す助辞 で あ り,そ れを と もなわ ない qah♯ldh htlh sih tsh5h で も 等 式 文 は成 りた ち,また 文 の終 りに-phEh-veh を加 えて, qah♯ 1dh hbh sih tsh5h phEh-vehりah lEh ♯lab htlh sih tsh5h phEh-veh で も成 りたつ . (この -phEh-veh は, ビル マ 語 の phrac-se
/phyi
t
e
e
/
に該 当す る)qah l主h ♯ 名辞 表 現 mahE #<私 は-・・-で はな い>
qah l主h♯lab hah sih tsh5h mahE ♯く私 は ラフ ・シ人 で はない>
この 1主h も肯定形 式 の場合 と同 じ扱 いを受 け るが,肯 定 形式 の -phEh-vehは否定 形式 に は 用 い られず,-mahE が使 われ る。 これ は,ビル マ語 の -phyitte が,否定 形 式で は -mahou? に 置 き換 え られ る事 実 とよ く並 行 す る。
東南 ア ジア研究 7巻1号
この mahEは [mヲ 11hEノヽ:?11] の音声形式 を とることが多 いo
叙 述 文 りah♯動辞表現 (-veh)♯<私 は-・・-す る> qah♯1ah-veh♯<私 は来 る> ロah♯ma動辞表現 ♯<私 は---しない> gah♯malah♯<私 は来 ない> 等式 文 も叙述 文 も発 問形 式 に換 え るには,三 つ の手 J煩が あ る。 i)高 い昇 降型語調 を加 え るoii)肯定形式 と否定形式 をつづ けて並べ るoiii)発 問助辞 1dh または -1畠h を加 え る。 i) ♯lah hdhsih tsh5h< ラフ ・シ人です> - 1ah hdh sih tsh5h[451]< ラフ ・シ人ですか>
ii) - 1ah h血hsih tsh5hhE mahE< ラフ ・シ人ですか>
iii) -->1ah htlh sih tsh5h ldh< ラフ ・シ人です か>
i) ♯lah一Veh<来 る> - ♯lab-veh[451]<来 るか>
ii) --♯labmalahく来 るか>
iii) -- ♯labveh はh <来 るか>
発 問形式 で は phE-mahEとはな らず に,hEmahEで あ る。 ビル マ語 の hou7mahou?
と並行す る011ahは発 問助辞 で あ り,疑問辞 を含 む文にあ らわ れ る -1丘hと補 い 合 う関係 に たち, ビル マ語 の -1a∼-leと同 じ分布 を示 して い るol丘hにつ いては あ とで述べ る。 等式 文の名辞表現 の環境 に入 り得 る形態素 を groupSの形態素 , 叙述 文の動辞表現 の環境 に入 り得 る形態素 を groupVの形態素 とよぶ ことにす る。そ して qahの位 置に 替 わ り得 る 形 態素 もgroupS,maに替わ り得 る形態素 は, このほかには見 出せ ないが,一Vehに替 わ り得 る形態素 はい くつ か あ って,ma-,-vehとつ ぎに述べ る別 の一類 をま とめて,groupEとす る。 ラフ ・シ語 の形態素 は, この3類 groupS,groupV,groupE に大別で きる。
4. ラフ ・シ語で主格 が 1主hに よ って 表現 され る こ とは, うえに あげた 諸 例 に よ ってわか るが,つ ぎの よ うに,主格 < -は> ,対格 < -を> の関係 が もっぱ ら 形 態素 の意味 と語 順 に よ って理 解 させ られ るとき も多い。 Subj.
-
Object-
Pred・ gah♯ nえーts舌h d5h-V te -veh zak-k5h tuh-
Ⅴ
<私 (は)薬 (杏)のむ> <私 (は)衣 (香)建 て る> く 私 (は)ご飯 (香)食べ る> く私 (紘)追 (杏)歩 く>西田:ラフ・シ語の研究
これ らの例 で は objectは 日本 語 の く - を> に あた る 形 態素 に よ って 明示 され る こ とが な いが ,つ ぎの
Subject Object
g
a
h l
主h ♯ tsh5h-kh5h tha Predicate phEh-veh 私 は 盗 人 を と らえ る の よ うな例 で は , 目的語 は -tha< - を> に よ って明確 に され て い る。 この種 の 関係 を あ らわ す形 態素 を あ げ る と,つ ぎの よ うに な る。 つ ま り叙述 文 の基 本 形 式 は, つ ぎの よ うに拡 張 され得 る。 i) りah(1主h)♯S thaV-veh ii) りah(1主h)♯S 16h V-veh iii) I)ah l邑h S♯Ⅴ-vehiv) t]ah(1主h)#S ?ah-k丘h V-veh i) りah (1Eh)♯kh孟 tshih tha te-veh
# ne tha tah k5h く 私 (は)- -・を-- ・す る=> < 私 (は)- - か ら- -す る二> く 私 と---は-- ・す る> < 私 (は)- - よ り---で あ る> 私 (は)この 弓 を作 る。 精霊 を怖 れ るな 。
この tha は, 日本 語 の < - を> に あ た るほか に,t]ah♯mi h-kh5hthami h-veh< 私 は椅 子 に坐 る> , Z5h tha tah k6< 彼 に言 うな> の よ うに< ・-に> に該 当す る 場 合 もあ る。 後者 は, ラフ ・シ人 の考 えで は,< 椅子 を坐 る> ,<彼 を 言 う> と して 把 握 され て い る か らで あ る。 な お また tha は,m告h tha tsE-veh< 馬 か ら落 ち る> の 例 の よ うに, 日本 語 の く -・か ら> に もあた るが , これ もこの現 実 を ラフ ・シ人 は く 馬 を落 ち る> と表 現 した た めで あ る0 ii-a) t]ah(1主h)港kdh thEh 16h lah-veh < 私 はバ ンコクか ら来 た>
ii-b) 頭 h(1主h)♯kdh the.h 16h kai-veh < 私 はバ ンコクへ行 く> この 16h は 出発 点 あ るい は 目的地 の方 向 を 示 す形 態素 で あ るた め に, 日本 語 の < -か ら> と く -へ > の両 方 に該 当す る。 またつ ぎの よ うな < -か ら> の意 味 に もあ た る。 ts含h tshih♯ka 16h te-veh< この酒 は何 か ら作 ったか> これ は, また < 何 に お いて 作 っ たか> と表 現 され て い る と も考 え られ る. この 16h が ,場 所 を示 す 於 格 の はた らきを し, い わ ゆ る存在 文 に お いて頻 繁 に見 られ るか らで あ る。 S音 ts主?Sh-ka 16hq益syEh kh主h tshSh-veh < 樹 の枝 に烏 が3羽 とま って い る> この 16h は さ らに,kh5h-16h< -・の 中 に>,tha16h< ・・・の上 に>,75hh516h< -・の下 に> , pa 16h< - の そ ば に> と複合 され るo mとh tshan kh5h-16hzをh tshSh-veh < メ- チ ャ ンの 町 に は市 場 が あ る> zgh kh5-16h mih kh6h tsh5h-veh <家 の 中 に は椅子 が あ る> 23
東南 ア ジア研究 7巻 1号
S言ts畠h?5h-h516h ?5hp舌h-mah tsh5h-veh く 樹 の下 に は虫 が い る>
iii) 頭 h l孟hn5h♯kai-veh < 私 とあな たは行 く>
gah lEhz5h ♯lah-htlh tsh5h く二私 と彼 は ラフ人 で あ る>
1dh-hah tsh5h-ts畳h
l
Eh ?ah-khahtsh5h-ts怠h < ラフ族 とアカ族>ラフ ・シ語 で は,日本語 の く私 はあなた と--す る> に該 当す る表 現 は,く私 とあな た は--・す る> と して表現 され る こ とが多 い。
iv) 頭h?ahk丘hn5h ?ah-sa?ui-veh <私 よ りあなた は年 が い って い る(歳 が多 い)> この ?ah-k丘hは りmorethan''を意味 し, さ らに程 度 が高 い場合 には?ah-kもhlihlEh< --・よ りず っ と・--> の連続 が 認 め られ る。 ここで も, ラフ ・シ人 は <私 はあな た よ り・- -> とい うとらえ方 を しないで ,く私 よ りあなた は・- ・・二> と表現 す るのが普通 で あ る。
ラフ ・シ語 の属格 < -の> は,-vehで表現 され る。補注2(p.34) Ⅴ) Sveh S♯Ⅴ-veh く ・--・の---は- -で あ る>
S喜一ts畠hveh?5hka♯ji-veh く (この)樹 の枝 は小 さい二>
S音-ts昌hveh?Shpha♯nih-veh
<
(この)樹 の葉 は紅 い>これ は 複合 単語 形式,S音-ts至h?5hk去,S音ItS至h ?5h phaに対 立 す る構成 で あ って , ラフ ・シ 語 は,動詞 につ く su托Ⅹと genitiveを表 現す る sufBxが同 じ形 式 を もつ言語 群 (ビル マ語 , ア カ語 な ど)に属 して い る ことがわ か る。人称 代名詞 の属格 な どにつ いて はの ちに述 べ る。(cf. p.26) 以上 の 関係 を表現 す る付 属形態素 を ま とめ る と,つ ぎの よ うにな る。 -1Eh 主格 -tha 対 格 -veh 属格 -1孟h 適格 -1bh 於 格 ,従 格 これ らの形 態素 はすべ て, さきに掲 げ た ma,-vehと同 じ groupE に属 させ る。 上 掲 の諸 例 でわ か るよ うに, これ らの形 態素 の意 味職能 は 日本語 の助辞 と も一致 しない し, ビル マ語 の 助辞 とも違 って い る。 た とえ ば, ラフ ・シ語 の 同 じ一つ の -16h は, ビル マ語 の kou< -・・・ ・-へ>,kaくこ- -か ら> ,hmaく -・に> と対 照 され る。
Lahu Shi Burmese
mもh tshan-16hkai-veh :meichan
go
u
thwa-me < メ- チ ャン-行 く>m主h tshan116h lab-veh ・.mei-changdla-de < メ- チ ャンか ら来 た>
m主h tshankhうh-16h z音hts5h-veh l.
mei°hanmybu th
a-
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z8i菖トde< メー チ ャン (の町)に市 場 が あ る> 上 に あげ た叙述 文 i)は, なお一つ の補 語 を含 ん だ場合 ,つ ぎの よ うに拡張 され る。