Ⅳ
水 資 源 開 発 利 用 事 業
A
各 国にお けるか んが い排水 事業 の発展 過 程 と将来 の開発 構想
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河下流域開発構想の概要
農林省農地局建設部武
田健
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河の概要1) Mekong河 は ア ジア大陸 の屋 根 とい われ るチベ ッ ト高原か ら発 して ,雲南 , ビルマ北 部 を通 り, ラオ ス, タイの国境 を抜 け, カ ンボ ジアの平野 を流れ ,南 ベ トナ ム西 部で南 シナ海 に注 ぐ 延 長4,200kmの世界第10位 の国際河川で あ る。 (流域面 積 は80万km2) この報 告で い う Mekong河下流 域 とは, ラオ ス, タイ, カ ンボ ジア, お よびベ トナ ムの4 カ国 にあ る Mekong河 の流域 を指 す もので , ラオ スの Vientiane付近 よ り下 流 々域 の流路 延 長 は約2,700km,流域面 積 は約61万km2,住民 は2千400万人 を数 え る。 中国 , ビル マ, ラオ ス3 カ国 の国境地点 にお け る Mekong河本流 の標高 は約490mで ,開発 計画 の立場 か らこの点 を境 と して,流域 を上下 の2流域 に区分 してい る。 この地 点か ら下 流 PaMong附近 まで はや は り 峡谷 で あ るが,河川勾配 はやや緩 やか で あ る。平 地 はほ とん どな く, 本 流河 畔 の LuangPra-bangと山間盆 地 の2,3の町を除 けば, この地域 で は集団生活 の適地 は少 ない。PaMong下 流付 近か らMekong河 の南 岸 に展 開す る平 地 は タイの Khorat高原 で あ る。 この高原 は標高 100-200mで ,緩 い起 伏 を もって南 東 にわずか に傾斜 してい る。 この中を Nam Chee 河 , お よび Nam Mune河 が流れ ,両河 は途 中で合 流 して Mekong河 に注 いで い る。Mekong河北 側 には支 流 の Nam Ngum 河 を 中心 に Vientiane平 野 が履 けてい る。やが て Mekong河 は
AnnameseCordiellaLLl脈 に衝突 しその流路 を南 に転換す る.Khoneの滝 を経 て カ ンボ ジアに
入 ると右岸 側 には標高 100m あ るいはそれ以下 の平 地 が展開 し, この平 原 の西 寄 りに Tonle Sap湖 が あ る。 この湖 は GrandLacとも呼 ばれ , 乾季 の水面 積が 約 3,000km2で ,雨 季 には 10,000km2 に広 が り,Mekong河 の遊水 池 と しての機能 を果 して い る。 カ ンボ ジアの Sambor 付近 か ら下 流 は Mekong平 野 とな り,上 流 か らの砂 , シル トを盛 ん に沈積 して , 随所 に浅 瀬 を作 り,河 口付 近で は長 さ300kmに近 い大三 角洲 を作 ってい る。 1) 水文に関しては本文,竹内俊雄p.51 加藤哲夫 ・川合 尚p・61 を参照 - 13
0-n JⅧekong河流域 の土地 利 用 とか んが い この地域 の農 業 を特 徴づ けて い るものは,圧 倒 的 な水 田稲 作で あ る。この ことは ただ Mekong 河流域 だ けで な く,広 く東南 ア ジアの モ ンスー ン地帯 に共 通 した現 象 で あ る。Mekong河下 流 域 にお け る稲作 は,他 の作物 に くらべ て比較 で きない位 に大 きい経済 的価 値 を も ってい る。 こ れ は水 田稲作 と して の土 地利用形 態が , この地域 の土 地 と水 の条件 に も っとも適 してい ること を示 してい るので あ る。 このた め他 の利用形 態 と比べ て生産性 も高 く,かつ安定 してい るとい うことが で きよ う。 1. 土 地 利 用 この地域 を土 地利用 とい う観 点か ら大 まか に分 け ると, 山岳丘 陵地帯 , 高原地帯,Mekong 平 野 地帯 ,Mekong デル タ地帯 の 4地帯 に区分 で き る。 (1) 山岳丘 陵地 帯 標 高200m 以上 の地帯 で あ る。 山地 は ラオ スの北 部 か ら南 に下 ってふ たつ に分 れ , 東側 は
AnnameseCordiella 山脈 ,西 側 は Dong PhyaYen 山脈 ,Cardamones山脈 と続 いて い る。
この地帯 は森 林 とその間 に, 自家 用 の米 お よび畑 作物栽 培 のた め に開墾 され た狭 い耕地 が点在 してい る。
(2) 高 原 地 帯
標高 100-200m で タイの Khorat高原 が その代表 的 な もので あ る。 (このほか Annamese
Cordiella両脈 卓にあ る標高600-1,000m の 高原 ,例 え ば ラオ スの Boloven,ベ トナ ムの
Kon-tum,Ban Me Thuot,Dalatな どの高 原 を と くに高 い高原 と呼 ぶ こと もあ る。) Khorat高原
は
申
世 代砂岩 を基 盤 とす る構造平 野 で ,土 壌 は砂土 で あ ま り肥 沃 で ない。面 積 は約1
7
万km2あり,耕地 はそ の16%で他 は疎 林 とな って い る。Nam Mune河 ,Nam Chee河 の本 流又 は支 流 に
沿 う多 くの沖積 地 は稲 作地 と して開発 され て い る。 この高原 は南 と西 を山脈 (標高500-600m) で 囲 まれ て い るた め, 雨季 において も周 囲 の地域 に比 べ て雨 量 は少 ない。 この地 域 と Mekong 河 をは さんで東 の対 岸 に沖積 地帯が あ り, 稲作 が行 な われ てい る。 ラオ スの Vientiane平 野 は,成因的 には Khorat高原 の一 部 とみ な され , や は り砂土 で あ る。 この平 野 を流 れ る Nam Ngum 河 ,そ の支 流 の Nam Lic河 は水 量が豊 富 な ので ,将 来 の開発 に大 きな期待 が持 たれ て い る。 (3) Mekong 平 野地帯 大 部分 は カ ンボ ジアの平 原 で あ る。Mekong河 が カ ンボ ジア領 に入 り,河岸 が漸 く鉱 が り始
め るのは Kratie付 近か らで あ る。 この辺 の Mekong 河 の両岸 は 巾 1-2km が わずか に開墾
され ,各 種 の畑 作物 が栽培 され て い る。 その背後 は疎 密 の程 度 は あ るが ,大体森 林 とな って い
る。右岸 は丘 陵地 を経 て TonleSap 湖 を閉む盆地 とな ってお り,水 田が この湖 を と り囲ん で
31--い る。 この地矧 ま太 古の海 が埋 め られ て次第 に陸地 とな った新 し31--い沖積層 の地帯 で あ る。総面
積 は,790万 haあ り, この うち耕地 は約40万 haで他 は森林 とな ってい る。 この地帯 の稲作 の
中心地 は Battambang付近で , ここで は TonleSap湖 に注 ぐ河川か ら, か んが い用 水 を取
水 してい る。 また この Mekong河下 流域 で最 も古 いか んが い施設 の残 ってい るの もこの湖 の
沿岸 で あ る。 それ はか の有 名 な AngkorWatの遺 跡 のひ とつで あ る BaraiOccidentalの貯
水池 を 中心 と したか んが い施設 で あ る。 これ は約1,000年前 に建 設 され た もので , 現在 は修復 され て Siem Reap周辺 の約 12,000haの水 田をか んが い してい る。 (4) Mekongデル タ地帯 KompongChamの下 流か ら始 ま り,現在 もなお成 長 をつづ けてい る広 大 な沖積 地 帯で あ る。 毎 年9月か ら11月 にか けて,Mekong河 の増水 とともに洪水 は河岸 か らあふ れ,下 流一 帯 にひ ろが り,300-400万 haの土 地 が浸水 し, 一再 に沼地 のよ うな状 態 を呈 す る。 デル タにお け る 微 地形 の変 化 に伴 な って湛水 の深 さも変 って くるので , ここには そのそれぞ れ に応 じた稲が 作 付 け され てい るO デル タの南西 部 のマ ング ロ-ブに覆 われ た地 帯や ,排水 不良 のた め有 害土 壌 とな ってい る Joncs平原 を除 いて は,すべ て水 田とな ってい る。
2.
か ん が い 開 発 この地域 の人 口は現在 年率 約3
% の割合 で増加 してい る。現在 米 を 中心 と して い る農産 物 は と くに タイ, カ ンボ ジアな どで は,外貨 獲得 の有 力 な手段 と して輸 出に 占め る割合 も大 きい。 輸 出能 力を保 ちなが ら人 口の増加 に対 応 して食糧 を確保 してゆ くた めには,米 の生産 は もっと 増加 し, しか も安 定 させ ることが必要 で あ る。専 門家 の試 算 によ ると1975年 には,東南 ア ジア の地域 において米 だ けで1500-2000万 tが不足 す るとい うことで あ る。 これ は米 の余剰 国 と不 足 国 との問で完 全 な貿易 が行 なわれ ると して の計 算で あ るか ら,実際 問題 と して は もっと大 き な不足 が生ず ることにな る。 またか んが い を行 な うことによ って米以外 の作物 生産 を拡 大 させ ることがで き, この ことに よ って米 だ けの mono-cultureか ら脱却 し,多角的 な営農 が可能 とな る。 (1) ラ オ ス ラオ スは地形上 この流域 の 中で も雨 の多 い地 帯 とな ってい る。 この国 の Mekong河支 流 の 谷底 平 野 に発 達 して い る沖積平 野 は,作物栽培 の適地 とな って い る。現在 か んが い の行 なわれ てい るのは ご く一 部 の地域 で ,Vientiane,Saravane,Sayabury,LuangPrabangの地方 に若 干 の水 路が み られ るにす ぎない。 全 か んが い面積 は850ha程 度 とい われ てい る。 この地方 の か んが い開発 は貯水 池 または河川か らの分 水 によ って割 に簡単 に実施 で きるもの と思 われ る。 また平 野部 には 自然 堤 防 の後 背湿 地 の広 い地域 が未 利用 の まま残 され てい る。 このよ うな地域 は排 水 に よ る農 地 開発 に大 きい期待が もたれ る。 (2) タ イ - 132-この地域 はい わゆ る Khorat高原で あ り, タイ国 内で も東北 部 の辺 境地帯 に属 し,Mekong 流域 中で は最 も乾燥 した地域 とな って い る。 この地 方 の河川 は雨 季 の流 出が 割 に急激 で あ り, 一 方乾季 の流 量 は きわ めて少 ない。 したが って1951年 に米国 の援 助で溜 池 (Tank)によ るか ん が い 計画 が実施 され , 1963年 まで に133ヶ所 の Tank が完 成 し (総貯 水 量3億 1干300万 m3) なお現在5カ所 が工 事 中で あ る。 これ らのダ ムは小 河川 に建設 され , 堤高 は大体3-14mのア - スダ ムで あ る。と ころが この よ うなTank もあ る年 には貯水状況 が わ る くて水 の補給が十 分 で きず , また あ る年 には雨 が 多す ぎて水 が ダ ムを越 流 して堤 防 を破壊 す るとい うこと もあ る。
雨
の降 り方 が よ くわか らない た め,現 在 の余 水 吐で は処理 で きな い ので あ る。 この高原 は なだ らか な起 伏 で あ るか ら,貯 水 池建 設 に通 す る地 点 は限 られて お り, しか も十 分 な貯水 量 を期 待 しえ な い.地下 水 の利 用 も考 え られ た けれ ど も現在 まで のボ ー リングそ の他 に よ る調 査 の結果 で は,量,
質 と もに あ ま り期 待 が もて な い よ うで あ る。 この地域 のか んが い開発 につ いて は,勿 論 極 地 的 には小 貯水 池 の建 設 ,あ るい はMekong河 本 流 か らの湯水 な どを農 本 と技 術 力 に応 じて手 が けて ゆ くべ きで あ るが ,根本 的 にはPaMong 貯水 池か らの分 水計 画 に依 存 す る以外 はない。 (3) カ ンボ ジア カ ンボ ジアにお け る既 耕地 は大 き く二つ の地 帯 に分 け ることが で き る。 す なわ ち a.TonleSap 湖 周辺 沖積 地 帯, b.Mekong 河 お よび Bassac河 に沿 ったIlfJ積 地 帯 で あ るoaの地帯 に
お け るか んが い の水 源 は TonleSap湖 に注 ぐ河川 で あ って,ここには Bovel,BaraiOccidental
な どの事業 が既 に実施 され て い る。 しか し湖 の北 か ら束 にか けて の地方 は流域 も浅 く,雨 量 も 少 な い ので稲作 は不安 定 で あ る。bの地 帯 にお け るか んがい用 水 は Mekong河 に依 存 し,洪水 の氾濫 を主 と して利 用 して い る。Kratieか ら下 流 の Mekong河両岸 地帯 は, この流域 で最 も 肥 沃 な土壌 の地 帯 で あ る。 こ こで は と うもろ こ し, タバ コ
,
棉 ,落 花 壁 ,大豆 ,果 実 な どが と くにか んが いす る こと もな く栽培 され て い ると ころが 多 い。 カ ンボ ジアにお け るか んが い の一 般 的 な形 式 につ いて は別 に報 告 され ることとな って い るので省 略す る。 (4) ベ ト ナ ム ベ トナ ムはい わゆ る Mekong デル タの地域 で あ る。 ここは きわ めて平坦 な地形 で, 勾配 は 約10万分 の 1であ る。標
高 は平 均海 面上1-2m, 潮位 は1.8m とい う状 態で あ る。 このデル タ で は, これ までか んが いだ けを 目的 とす る事 業 は と くに行 な われ て い ない。排 水 あ るい は洪水 分 散 の た め に建 設 され た水 路 を で き るだ け利用 してか んが いを行 な って い る。土 地 は海
面 とあ ま り差 が な い ので,丁潮
時 を うま く利 用 して排 水 す る以外 に よい方 法 は ない。一 部 の地域 で は 堤 防 で土 地 を囲み ,水 路 と水 門を備 え,満 潮時 を利 用 してか んが い の取水 を行 ない ,干潮時 に 排 水 す るとい う,日本 の輪 中 と同 じしくみ の と ころ もあ る。堤 防 , ポ ンプ,水 門,水 路 とい う 組 合せ の農 地 開発 も計 画 され て い るが , これ はMekong河総合 開発 によ る安価 な電 力 の供給 を - 133-lO3く> EO4' 川5\ 久、ソントレン仰 :/ムレTフ○ STUNGTF托Nq nn . I-. lEMFTEAP ・/./..'.I .ー ◎ `/:-.チ.-..:/...ss .●●●..._ 。. 1 ...:':.I.I.,'.::.:.::.I..:'二三,.09誓 一一 ●■● -■.-●..-...言 う.● ■I■./.■●●●●●●●●∴.●●●●●●←I.●●..●㌔●
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一
一 運 三可 図-1 Mekong河 下 流 域 の 氾 濫 地 域 (ECAFE Reportに よ る) 一一134-前提 と して い る。 また塩 害 につ いて は乾 季 に流 量が減ず るに従 い塩 水 が侵入 して ,デル タに水 はあ って も使 えな い とい う状態 とな る。 開発 の結 果乾季 の流量が増加すれ ば,塩害対 策上 極 め て有 効 で あ り,土 地利用 皮 は高 くな る。 いずれ に しろ この地域 の開発 は ポ ンプの有 効 な利用 に
よ って大 き く進 め られ るもの と思 われ る。
ベ トナ ムで は この Mekong デル タ以外 に Mekong 河流域 と して ,SeSan河 ,Srepok河 の
上 流 に AnnameseCordiella山脈 中の高原が あ る。 この地域 は標高 の関係 で,気 温 も温帯的で あ り, 野菜 , コー ヒーな どが栽 培 されて い る。 も し Mekong 流域 で酪農 をや るとすれ ば この 地帯 とい われて い る。 Ⅲ 水資 源の 開発 と農業 Mekong 河下 流域 の農 業 は, 自然 の土 地 と水 の条件 に うま く適合 した形 で,長 い間営 まれて きて い る。従 って農 業 の大部分 は雨 季 に行 なわれ ,乾 季 には よほ ど 自然条件 のよい所 でない限 り農 業 は行 なわれて い ない。主体 は水 田稲作 で あ るが, これ を土 地 と水 との結 びつ きとい う点 か らみ ると次 の よ うにな る。 a 土 地が比 較的高 く河 川 の氾濫水 は直接 及 ばない地域 b 河 川 の氾濫水が 稲 作 に適 当な水深 とな る地域 C 氾濫 に よ る水深 は
b
よ りは大 きいが ,氾濫 の速 度が あ る程 度以下 で水深 も4
-5m
程度 の 地域 d cよ りもさ らに湛水 深が大 きい低 い地域 aはいわゆ る天 水 田で ,降雨 だ けに依存 して い る地域 で あ る。 このた めそ の年 の雨 の分 布 に 大 き く支 配 され ,生産 は不安 定 な地域 で あ る。 bは河谷平 野 , デル タな どで生産 は割 に安定 してい る。 しか しこの地域 の境界 地帯 で は,年 によ る洪水 の変 動が生産 に大 きい影 響 をお よぼす 。 Cの地域 はいわゆ る淫 稲の地域 で あ る。 dは浮 稲 も栽 培 で きない ほ ど湛水深 の大 きい ところで あ り,乾季 に入 って減水 とともに植 付 け られ る。乾 季 稲 の地帯 で あ る。 この よ うな 自然 の条件 を若干 な りと も変 えて耕境 を拡 げ,生産 を安定 ,拡 大す るた めの人工 的 な施設 の建 設 , これ がか ん がい排水事業 で あ る。 この流域 の農業 は現在 の水利条件 を基 盤 と して成立 して お り, これ を前提 と して農 業技術 ,労 働配分 , その他 の社会 生 活 の型 がつ くられ て い る。 しか も これ は長 い歴 史 を背負 って ,なか ば固定 したか た ちで今 日に至 って い る。現在 考 え られ, 進 め られ よ うと して い る Mekong 河 の水資 源総合 開発計画 は,洪水 を調 節 し, 読 量 を平 均化 し,乾季 に も利用 で き る多 くの水 を確保 し,安 い電気 をお こ し,産業 を発展 させ て, 地域住民 の生 活水 準 の 向上 をはか るとい う一見 バ ラ色 の未 来像 を描 いて い る。 しか し な が ら --135-Mekong河 の水 の状 態 が大 き く変 るとい うことは,流域 の各所 にその反 作用 が大 き く現 われ て くるとい うことを見 逃す わ けにはゆか ない。 その影 響 を真先 に, しか もも っと も大 き く受 け る の は農 業 で あ ろ う。 また地域 的 には Mekongデル タにお いて も っと も著 しい と思 われ る。 こ の よ うな現 象 は既 に タイの ChaoPhraya平 野 にお いて現 われて い る 。 また別 の面 で は,雨季 の洪 水 がな くな り,乾 季 において も充分 な水 が確保 され ることは よい と して も,高 温の上 に水分 が あ ったので は病 虫害 の大規 模 な発 生 も考 え られ る。 勿論 薬 品 によ る駆 除 な ど技術 的 な対 策 は可能 で あ る。 しか し現在 の農 民 の資本 力で , この よ うな ことが抵抗 な しに受 け入 れ られて ゆ くか ど うか。 水利 施設 の建 設 は大 きい資 本 の投下 を必要 とす るもの で あ るか ら, これ によ って生ず る農 業生産 の効果 も, 相 当程 度の もの を期待す るわ けで あ る。 ただ単 に水利施設 を造 って水 を確保 しただ けで は,生産 の増 大 には あ ま り大 きい期 待 はで きな い。 そ こには新 しい品種の導入 ,肥料 の施用 な どを 中心 と した,高 い農 業技術 が適用 され な け れ ばな らない。農村 の伝 統 的 な慣 習 も これ に応 じて変 らね ばな らないで あ ろ う。土 地 の問題 も 大 きい問題 で あ る。 この よ うな一 種 の農村 にお け る社会革命 に近 い変 化 を ,大 きい摩擦 もな く進 めて ゆ くた めの, 漸進 的 な計画 が考 え られ な けれ ばな らない。 自然 改造 に よ って生ず る各 種 の影 響 をで き るだ け 予測 し,い ろい ろな対 策 を講 じて ゆか ない と,開発 効果 の 吸収 はお ろか ,か え って マイナ スの 現 象す ら生 じかね な いので あ る。 メ コ ン委員会 で も この地域 の開発 は単 に水 利施設 の建 設 だ け で な く, その効果 を裏付す るた めの社会 経済 的な開発 を含 めた,文字 通 りの地域社会 の総合 開 発 を実施 すべ きで あ ると して , その作業 を開始 した とい うことで あ る。 -13