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(1)

1 複素数

1. 虚数単位 : i=

1

2. 複素数平面 : C={z =x+iy|x, y R}

ユークリッド平面としての位相をあたえる.

3. 実部: z =x 虚部: z =y

4. 複素共役 : ¯z =xiy 5. 絶対値 : |z|=p

x2+y2 (=r)

6. 偏角: argz(= θ) (2π を法として理解する) 7. 極形式 : z =r(cosθ+isinθ)

8. 二つの複素数の積に対する絶対値と偏角の変化 (1) |zz|=|z||z|

(2) argzz = argz+ argz

(3) arg1z =argz とくに arg zz = argzargz 9. ド・モアブルの定理 : (cosθ+isinθ)n= cos+isin 10. 1 n 乗根は cos2kπ

n +isin2kπ

n (k = 1,2,· · · , n1) と表せる.

(2)

2 複素関数

1. 開集合 : DC (領域ともいう) 2. 複素関数 : f :DC

変数が複素数で値も複素数の関数(写像).

3. 値域: ∆ ={f(z)|z D}

4. 複素関数をしばしば w=f(z) で表す.

定義域D を含む複素数平面をz-平面,値域の複素数平面をw-平面として区別する.

5. : 平行移動 w=z+a ( aC は定数) 6. : 相似変換 w=az (aC は定数 ̸= 0)

7. : 反転 w= 1/z (C を加えると見やすい) 8. リーマン球 : ˆC=C∪ {∞}

位相は一点コンパクト化 ( の近傍は C のコンパクト集合の補集合).

立体射影によりリーマン球を可視化する.

9. 演習 : 平行移動,相似変換,反転はリーマン球上の(小)円を円にうつす.

10. : 一次分数変換 w= az+b

cz+d (a, b, c, d adbc ̸= 0 をみたす複素数) 11. 一次分数変換は平行移動,相似変換,反転の合成で表せる.

たとえば c̸= 0 であれば w= a

c adbc c

1 cz+d また,c= 0 ならw= a

dz+ b d

12. : 一次分数変換は Cˆ の円を円にうつす.

13. : 多項式 w=a0+a1z+· · ·+anzn 14. : 有理関数 w= a0zn+· · ·+an

b0zm+· · ·+bm ただしa0b0 ̸= 0 15. : 指数関数 w=ez :=

X n=0

1 n!zn 16. 定理 :

(1) (指数法則) ez+z =ezez

(3)

(2) (オイラーの公式) e = cosθ+isinθ

(3) z=x+iy のときez =exeiy =ex(cosy+isiny) とくに指数関数ez 2πi を周期にもつ

17. 指数関数が定める対応:CC を可視化する 18. : 三角関数 sinz = eizeiz

2 =

X k=0

(1)k

(2k+ 1)!z2k+1, cosz = eiz+eiz

2 =

X k=0

(1)k (2k)! z2k 19. : 累乗根 n

z

z wn=z の解の一つを対応させる多価関数 20. : 対数関数 logz (指数関数の逆関数)

多価で logz = log|z|+iargz となる

なぜなら w= logz =u+iv とおくと z =ew なので,2πiを法とすれば

• ℜlogz =w=u= logeu = log|ew|= log|z|

• ℑlogz =w=v argew argz 主値 Logz は偏角を限定したもの

21. 対数関数が定める対応:C− {0} →Cを可視化する 22. 命題 : logzz = logz+ logz

23. : 一般の累乗関数や指数関数は za =ealogz, az =ezloga により定義する

(4)

3 複素微分

1. 開集合 DC

2. 定義 : f :DC が正則

f D の各点で微分可能 すなわち z0 D に対し lim

zz0

f(z)f(z0) zz0

が存在する.

3. 微分(導関数) ff(z) あるいは df

dz などで表す.

4. 補題 :

(1) f, g:DC が正則

f ±g, f·g, f /g {z D|g(z)̸= 0} で正則.

(2) (微分法則)

(f ±g) =f±g, (f ·g) =f·g+f·g, (f /g) = (f·gf·g)/g2 (3) (合成関数の微分法則)

f :D∆, g: ∆ C が正則

F =gf :DC も正則で dF

dz =g(f(z))f(z) 5. : (zn) =nzn1

6. : w=|z|2 z ̸= 0 で微分不可能.

実関数としては至るところ微分可能であることに注意.

7. 定理 :

(1) f(z) =u(x, y) +iv(x, y) D で正則

∂u

∂x = ∂v

∂y かつ ∂v

∂x =∂u

∂y (コーシー・リーマンの方程式).

(2) u, v:DR C1 級で,コーシー・リーマンの方程式をみたす

f =u+iv D で正則.

8. 証明 :

(1) については z を実軸に沿って近づけたときと,虚軸に沿って近づけたときの極 限を比較する.

(2) については f 2変数関数の2次元ベクトル値関数とみなして,その(全)微分 にコーシー・リーマンの方程式を適用する.

9. 演習 : ez, sinz, cosz,logz の導関数を求めよ.

(5)

10. 演習 : ラブラシアン: ∆ = 2

∂x2 + 2

∂y2

f =u+iv が正則なら ∆u= ∆v = 0 (調和関数) であることを示せ.

(6)

4 複素積分

1. C : [0,1]DC なめらかな曲線.

f :DC 複素関数.

2. 複素積分の定義: Z

C

f(z)dz = Z 1

0

f(C(t))dC

dt dt, ただしdC

dt = dC

dt +idC dt C の像のみにより,パラメータの取り方には依存しない.

3. C =z(t) = x(t) +iy(t) および f(z) =u(x, y) +iv(x, y)と表すと Z

C

f(z)dz = Z 1

0

(u+iv)(dx dt +idy

dt)dt

= Z 1

0

udx dt dt

Z 1

0

vdy dt dt+i

µZ 1

0

vdx dt dt+

Z 1

0

udy dt dt

= Z

C

(u dxv dy) +i Z

C

(v dx+u dy) のように線積分で表される.

4. 注意 : 曲線 C には向きがある.

向きを逆にしたC や,二つの曲線上の積分の和をとるC+C なども意味をもつ.

5. 積分の性質 : (1) (向き)

Z

−C

f dx= Z

C

f dx (2) (線形性)

Z

C

(λf +µg)dx=λ Z

C

f dz+µ Z

C

g dx (3) (加法性)

Z

C+C

f dz = Z

C

f dz+ Z

C

f dz (4) (当たり前の評価) ¯¯

¯¯Z

C

f(z)dz¯¯

¯¯L(C) sup

zC|f(x)|, ただしL(C)Cの長さ.

6. : C aC を中心とする半径 r の半時計周りに向き付けられた円とすると,

Z

C

(za)ndz =

( 0, n̸=1 2πi, n=1 7. 定義 : 領域 Dが単連結

D 内のかってな単純閉曲線が囲む領域は D に含まれる.

領域D k 重連結(やや古典的な術語)

D 単連結な領域からk 個の穴を空けた領域とトポロジーが等しい.

(7)

8. コーシーの積分定理 : f(z) DCで正則で,D の閉曲線がC D 内の単連 結領域を囲むとき Z

C

f(z)dz = 0

9. 証明 : C が囲む閉領域を D とすると,グリーンの定理とコーシー・リーマンの方 程式からZ

C

f(z)dz = Z

C

(u dxv dy) +i Z

C

(v dx+u dy)

= Z

D

µ

∂u

∂y ∂v

∂x

dx dy+i Z

D

µ

∂v

∂y + ∂u

∂x

dx dy

= 0

10. : D が単連結領域,f D で正則,C1, C2 D内の始点と終点が一致する曲

線のとき, Z

C1

f dz= Z

C2

f dz

11. : 単純閉曲線 C1 C2 1重連結領域 D を囲み,f D の閉包を含む領域

で正則のとき, Z

C1

f dz= Z

C2

f dz

ただし C1 C2 の向きは同じとする.

12. : 単純閉曲線C と,C が囲む領域に含まれる互いに交わらない単純閉曲線の組 C1, C2,· · · , Ck が,k重連結領域を囲み,f D の閉包を含む領域で正則のとき,

Z

C

f dz = Z

C1

f dz+ Z

C2

f dz+· · ·+ Z

Ck

f dz

ただし C, C1,· · · , Ck の向きは同じとする.

13. : C 0C を中心とする半径 r(1< r < 2)の半時計周りに向き付けられた 円とする.

Z

C

2z1

(z2+ 1)(z+ 2)dz = Z

C

µ1 2

µ 1

zi + 1 z+i

1 z+ 2

dz

= Z

C1

1

2(zi)dz+ Z

C2

1 2(z+i)dz

= 2πi

ここで C1, C2 はそれぞれ i, i の周りの半時計周りに向き付けられた小さな円.

(8)

14. 定理 : f(z)は単連結領域 DCで正則とする.このとき F(z) =

Z z a

f(z)dz

D で正則で,f の原始関数,すなわちF(z) =f(z) をみたす.

(証明は実の場合と同様).

15. 演習 : D Cを単連結領域,u:DR を調和関数とする.このとき D 上定義 された調和関数v :DR で,u+iv D で正則になるものが定数項を除いて一 意的に存在することを示せ.

(9)

5 正則関数

1. コーシーの積分表示 : f(z) :DCは正則,C D の中の単連結領域を囲む単 純閉曲線,a C が囲む領域の任意の点とする.このとき

f(a) = 1 2πi

Z

C

f(z) zadz さらに,任意回微分可能で

f(n)(a) = n!

2πi Z

C

f(z) (za)n+1 dz

2. 証明 : コーシーの積分定理の系より,C a の周りの半径 R が十分小さな円 {z =a+Re|0θ } の場合に帰着.

右辺左辺= 1 2πi

Z

C

f(z)f(a) za dz ここで εR= supzC|f(z)f(a)| とおけば

¯¯¯¯f(z)f(a) za

¯¯¯¯ εR R なので

|右辺左辺| ≤ 1

εR

R 2πR 0 (R0) 微分については,|h| を十分小として

f(a+h)f(a)

h = 1

2πih Z

C

µ f(z)

z(a+h) f(z) za

dz

= 1 2πi

Z

C

f(z)

(z(a+h))(za)dz ここで h0とすると,被積分関数は一様に f(z)

(za)2 に収束.したがって f(a) = 1

2πi Z

C

f(z) (za)2 dz 以下,同じ操作を繰り返す.

3. (グルサーの定理) : 正則関数は無限回微分可能で,導関数も正則.

4. (モレラの定理(コーシーの積分定理の逆)) : f :D C を連続関数で,D の任意の閉曲線C に対して

Z

C

f(z)dz = 0 が成り立つとする.このとき f D 正則.

(10)

5. 証明: F(z) = Z z

a

f(z)dz とおけば,D上の関数として矛盾なく定義され,F(z) = f(z) なので F は正則.したがって f も正則.

6. リウビリの定理: 複素数平面全体で定義された正則関数(整関数という)f :CC は,有界ならは定数関数である.

7. 証明 : C(θ) =a+Re とおくと f(a) = 1

2πi Z

C

f(z) (za)2 dz したがって

|f(a)| ≤ 1

Z

C

|f(z)|

R2 dz M

2πR2 2πR 0 (R→ ∞) とくに任意のaC に対して f(a) = 0

8. 代数学の基本定理 : f =a0+a1z+· · ·+anzn= 0 (n1, an̸= 0) は解をもつ.

9. 証明 : f = 0 が解を持たないとすると,1/f C で定義された有界な正則関数に なるので,リウビリの定理より定数.

10. : 複素係数多項式は1次式の積に分解する.

11. 定義 : aC を中心とするべき級数とは X

n=0

cn(za)n =c0+c1(za) +c2(za)2+· · · (1) で表わされる適当な領域(?)で定義された関数.

べき級数 (??) z C で絶対収束するとは

X n=0

|cn(za)n| が収束するとき.

12. 定理 : (??) z0(̸=a)で収束すれば,(??) |za| <|z0a| をみたす z で絶 対収束する.

(証明は実の場合と同じ).

13. 定義 : (??) |z a|< R のときに収束し|z1| > R のときに発散するような 0R≤ ∞ を,(??) の収束半径,|za|< R を収束円という.

14. 定理(コーシー・ハダマールの判定条件)) :

(11)

(1) (??) の収束半径 R R = 1 lim supn→∞ pn

|cn|. であたえられる.

(2) lim

n→∞

¯¯¯¯ cn

cn+1

¯¯¯¯ は,存在すれば R に一致する.

15. べき級数は収束円内で複素関数を定義する.

16. 定理 : 複素関数 f(z) = (??) は収束円内で微分可能(正則)で,

(1) (項別微分)

f(z) = X n=0

ncn(za)n1 =c1+c2(za) +· · · (2) (項別積分)

Z z

a

f(z)dz = X n=0

cn

n+ 1(za)n+1 =c0(za) + c1

2(za)2+· · · (これも証明は実の場合と同様).

17. 定理 : f :D C を正則関数とする.任意の aD に対し,R =d(a, ∂D) とお くと,f |za|< R でテイラー展開可能,即ち

f(z) = X n=0

f(n)(a)

n! (za)n

18. 証明 : コーシーの積分表示を変形することを考える.まず,r < R をえらび,a を中心とする半径 r の円をC とする.C 上に点ζ C,および C で囲まれる円の 中にz をとると

1

ζz = 1

a)(za) = 1

a)(1 zζaa) = 1 ζa

X n=0

µza ζa

n

ここで¯¯

¯¯za ζa

¯¯¯¯= |za|

r <1より,この級数はζ C に関して一様収束する.した がって f(z) のコーシーの積分表示をこの展開で書き換えれば,積分と無限和の順

(12)

序を取り替えることができ,

f(z) = 1 2πi

Z

C

f(ζ) ζz

= 1 2πi

Z

C

f(ζ) ζa

X n=0

µza ζa

n

= 1 2πi

X n=0

Z

C

f(ζ)(za)n a)n+1

= X n=0

µ 1 2πi

Z

C

f(ζ) a)n+1

(za)n

最終辺は|za|< r で収束しているので,その収束半径はr 以上.さらに r(< R) は任意だったので,少なくともR.

19. 注意 : コーシーの積分表示はこれからも分かる.

20. 注意 : a= 0 のときはマクローリン展開という.

21. : (1) ez =

X n=0

zn n!

(2) log(1 +z) = X n=1

(1)n1zn n

(13)

6 有理関数

1. 定理 : C1, C2 a を中心とする同心円,D を,外側は C1,内側は C2 で囲まれ た 円環領域,f D を含む領域で一価正則な関数とする.このときf a でロー ラン展開可能,即ち

f(z) = X n=−∞

cn(za)n さらに,C a を囲むD の単純閉曲線とすると,

cn = 1 2πi

Z

C

f(ζ) a)n+1

2. 証明 : z D とし,コーシーの積分表示を少し変形しすると f(z) = 1

2πi µZ

C1

f(ζ) ζz

Z

C2

f(ζ) ζz

ここで ζ C1 のとき,|za|/|ζa|<1より 1

ζz = 1

a)(1zζaa) = 1 ζa

X n=0

µza ζa

n

で,級数部分は ζ C1 に関して一様に収束する.したがって,積分と無限和の順 番を交換して

1= 1 2πi

X n=0

µZ

C1

f(ζ) a)n+1

(za)n となる.さらに積分路は C に変えても不変.

一方ζ C2 のとき,|ζa|/|za|<1 より 1

ζz = 1

(za)a) = 1

(za)(1 ζzaa) = 1 za

X n=0

µζa za

n

で,級数部分は ζ C2 に関して一様に収束する.したがって,積分と無限和の順 番を交換して

符号込の第2= 1 2πi

X n=0

µZ

C2

f(ζ)(ζa)n

1

(za)n+1

= 1 2πi

X−∞

n=1

µZ

C

f(ζ) a)n+1

(za)n

3. : 3

(z2)(z+ 1) = 1 z2 1

3 + 1

32(z2)− · · ·+ µ1

3

n+1

(z2)n+· · ·

(14)

4. 特異点の種類 :

(1) a D f :D C の特異点 f a で正則でない(定義されていない 場合も含む).

(2) a が孤立特異点 f a の近傍で a 以外では正則.

(3) a k 位の極 (k1) f a でのローラン展開がk 次の項から始まる.

(4) aが除去可能な特異点 f a で定義されていないが,f a でのローラ ン展開が負べきの項を含まない.

: (ezz1)/z2 = 1 2! + z

3! +z2 4! +· · ·

(5) a が真性特異点 極でも除去可能でもない特異点.

: e1/z = 1 +z1 +z2

2! +z3 3! +· · ·

5. 留数の定義 : f を領域D− {a} で一価正則な関数,C a を含む Dの単連結領 域を囲む閉曲線とするとき,

Res[f, a] = 1 2πi

Z

C

f(z)dz

f a における留数という.

6. 観察 :

(1) f a で正則 Res[f, a] = 0

(2) f が一価で a が孤立特異点 Res[f, a] =c1 (3) a f 1位の極 Res[f, a] =c1 = lim

za(za)f(z) (4) a f k位の極 Res[f, a] =c1 = 1

(k1)! lim

za

dk1

dzk1(za)kf(z) 7. 留数定理 : f D− {a1, a2,· · · , ak}で一価正則,C {a1, a2,· · · , ak}を含む D

の単連結領域を囲む閉曲線とすると Z

C

f dz= 2πi(Res[f, a1] + Res[f, a2] +· · ·+ Res[f, ak]) (証明は容易).

8. : C を単位円とする.f = cosz

z(zπ)2 に対しては,

Z

C

f dz = Res[f,0] = 2i π

参照

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