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技術科教育関連施設 ・ 設備と安全性

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技術科教育関連施設 ・ 設備と安全性

田口 浩継 ・大迫 靖雄

A StudyonEducationalFacilitiesandEquipmentofIndustrialArts EducationandtheirSafety

HirotsuguTAGUCHIandYasuoOHSAKO

(ReceivedNovemberl4,1997)

ThisstudyinvestigatededucationalfacilitiesandequipmentoflndustrialArts EducationatsomejuniorhighschoolsinKumamotoPrefecture,Thenitexamined circumstancesofsafetyEducationanditsnecessity,Theresultsindicatethatforsafety educationinaworkshop,oldtoolmachinesshouldbeexchangedfornewonesettingup inproportiontothescaleofeachschoolandfullspaceshouldbesecuredFurthermore,

goodmaintenanceoftoolmachinesandthefacilities'usebasedonadequateawareness ofeducationalobjectsareessentiaL

2種類の実態調査を熊本市内及び県内の中学校で行 い,施設。設備の現状と安全教育の実施状況を調査 し安全教育の実態と必要性について検討した.

研究の方法 調査対象

本研究の第1回目の調査として熊本市内の中学校 10校を任意に選択し,技術科教育に関連した施設・

設備及び安全教育に関する実態調査及び聞き取り調 査を行った.第2回目の調査は,熊本県下の中学校 196校に対してアンケート調査を実施した.なお,ア ンケートの回収は92校(回収率46.9%)であった.

調査期間

第1回目の調査は,平成8年9月~10月に実施し,

第2回目のアンケート調査は,平成9年7月~8月 に実施した.

調査の内容

技術科教育に関連した施設,特に木材加工室,金 属加工室(以下技術教室)に設置されている工作機 械類の実態を明らかにするために次の項目について 調査を行った.①工作機械類の数量及び購入年度,

②使用可能な工作機械類の台数,③教師・生徒が使 用する工作機械類,④工作機械類の動作確認・整備 点検の頻度,⑤安全装置の有無,⑥生徒の安全確保 についての留意点.なお,熊本市内の中学校10校に 対しては,上記以外に①付帯施設・設備の有無,② 技術教室の床面積と実質作業面積についても実態調 査を行った.

はじめに

学校教育に関する研究は教育課程に注目した研究 が主として行われているが,学校教育の実施にあた っては,教育編成,学習開発等教育課程に関係する いわゆる教育のソフト面のみならず,教育環境の整 備や安全教育の徹底などハード面の教育条件の整備 も重要といえる.その中でも,技術科教育のような 実習を含んだ学習指導を行う教科においては,安全 教育に関係した研究や教育条件の整備は不可欠であ る.この点に関しては,1960年に「日本学校安全会 法」の施行などによって学校安全の普及充実が図ら れた゜さらに,1968年には,技術科教育の事故発生 に対して,「中学校技術・家庭科における工作機械の 使用による事故防止について」などの通達が出され

ている.

しかし,このような対応がなされているにも関わ らず実習時における傷害や事故の発生は依然として 後を絶たない.さらに,上記の文部省の通達以外,

技術科教育における具体的な安全教育に対しての対 策が十分なされているとはいえない.従って,今後 安全教育に関しては,安全面に留意した教育の在り 方や施設・設備の整備など,より詳細な対応を行う ため,施設・設備の現状の把握と将来的方向を示す

ことが必要といえる.

本研究では,技術科教育に関連する施設・設備の

*熊本大学教育学部技術教育

-63-

(2)

材品目」に新しく加わった「集塵機」については,

70.8%と低い値を示している.また,以前から「標 準教材品目」にあげられていた小型旋盤の導入率は,

「金属加工」領域の履修の低下により減少していると いえる.また,手押しかんな盤と両頭型研削盤は昭 和45年の学習指導要領から削除されたが,昭和45年 以降に手押しかんな盤を購入している学校がみられ る.手押しかんな盤は,生徒にとっては使用禁止と なっている工作機械であるが,「木材加工」領域の履 修の時間的制限により教師が行う加工実習の前準備 や教具等の製作に使用する場合も多いため,工作機 械の設置基準について検討の必要があるといえる.

平均導入台数については,設置型の大型工作機械 は殆ど1台となっており,移動式の小型工作機械が 複数導入され工作機械の簡便化が進んでいる傾向が みられる.糸のこ盤を設置する学校の増加傾向は,

製作題材や作業内容の変化も影響しているものと思 われる.

工作機械類の購入年度及び安全装置の有無

現存する主な工作機械類の購入年度についての調 査結果を図1-a,bに示す.本図より,型式の古いも のが多く,購入して20年以上経過している工作機械 類が全体の45.9%,さらに,30年以上経過している 工作機械類が25.1%を占めている.

工作機械類の老朽化と安全性の低下についての関 連は重要であるため,昭和35年に文部省通知として

「中学校技術・家庭科設備参考例」が示され,工作機 械類の耐用年数について述べられている.それによ ると,表3に示すように設置式の工作機械類の耐用 年数は10年,移動式の工作機械類の耐用年数は5年 となっている.その後,昭和47年に新たに「教材基 準」が出され,それに伴い耐用年数についての記述 は削除されたが,各機械毎に安全基準が定められた.

ただ,現在でも一般的に機械関係の業界において工 作機械類の耐用年数は,設置型は10年,移動式は5 年とされている.これらの耐用年数から考えると約

7割の工作機械類についての新設が必要と思われる.

調査結果 工作機械類の導入率及び平均導入台数

今回調査を行った工作機械類について,指導内容 との対応性を検討するため昭和47年に出された「教 材基準')」,平成3年に出された「標準教材品目2)」及 び学習指導要領での登録,記載の有無を表1に示す.

また,工作機械類の導入率及び平均導入台数の調査 結果を表2に示す.表2より,導入率が8割以上を 示した工作機械類は,糸のこ盤(96.5%),卓上ポー ル盤(93.3%),丸のこ盤(92.1%),自動かんな盤 (88.8%),角のみ盤(85.4%),ベルトサンダー(84.

3%)であった.また,平均導入台数の多い工作機械 類は,糸のこ盤(2.39台),ベルトサンダー(1.33 台),電気ジグソ(1.26台)であった.

調査対象の大部分の学校が,品目として「標準教 材品目」の基準に示された工作機械類については設 置している.特に,共通必修領域として履修率の高 い木材加工に関連する工作機械類については,その 設置種類も多く充実していることが明らかとなった.

しかし,今回の学習指導要領の改訂により「標準教 表1技術科教育に関わる主な工作機械類

工作機械類名 学習指導要領への肥峨

jlLIjlJj

糸のこ盤 卓上ボール盤 丸のこ盤 自動かんな盤 ベルトサンダー 角のみ盤 集塵機 刃物研磨機 手押しかんな盤 小型旋盤 両頭型研削盤 電気ジグソ 木口削り機 パンドソー類 竃気ルータ

○○×○×○xxx○○xxxx ○○○○○○○○xoxxx×× ○○○xxxxxox○xxxx ○○○○×○xxx○xxxx× ×○○○×○xxx○xxxx×

表2工作機械類の導入率及び平均導入台数

工作機械名糸のこ盤卓上十一ル盤丸のこ盤自動かんな盤へルトサンダー角のみ盤集塵機刃物研磨機

等入率(%)965933921888843854708607 平均導入台数(台)239103101103133112103109

工作機械名手押し力んな盤小型旋盤両頭型研削盤電気/グノ木ロ削り機ハントノー類電気ルータ

尋入率(”5965114781658813322 平均導入台数(台)100109114126100108100

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(3)

30

25

050

211(烟)鏑如ぺ護

S35以前 S35-S44 S45-S54 S55-H元 H2以降 購入年度(年度)

四糸のこ盤田卓上ボール盤圃丸のこ盤曰自動かんな盤、ベルトサンダー鬮角のみ盤

図1-a工作機械類の購入年度

30

25

050

211(屯)無知ぺ鍵

S35以前

S35-S44 S45-S54

S55-H元 H2以降 購入年度(年度)

図集塵機田刃物研磨機、手押しかんな盤曰小型旋盤、両頭型研削盤圏電気ジグソ

図1-b工作機械類の購入年度 ところで,技術科教育における工作機械等に関し

ては,従来地方公共団体に対して強制力はないまで も,教材整備の参考基準として「教材基準」が活用 されてきた.この「教材基準」が見直され,「標準教 材品目」が設定された.中学校の「標準教材品目」

に新たに設定された「木材加工」領域関係の工作機 械類は,丸のこ盤,ペルトサンダー,集塵機,刃物 研磨機となっている.このうちペルトサンダーは,

単一の刃物によって切削,切断を行う他の研削機械

に比べて事故は発生しにくく,安全教育の視点から 生徒の使用には適している.しかし,作業時に多量 の塵俟が発生するため健康・衛生面から問題が指摘 されている3).このため,集塵機の「標準教材品目」

への設定がなされたものと思われる.このようにペ ルトサンダーと集塵機については,最近の実習内容 を反映して,購入台数が増加する傾向がみられた.

文部省通達において,安全面から安全装置や安全 カバーの装備が義務づけられているが,その装備率

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|薑毎’

§818§?エロ■●●●●0000●●0●O060D00●●p■01F■●1℃こ▼B●.●ニマの●●■●●z●ローマg▲▼●●O0900C0●OC0C000●09.CGO●COOO●COO●●CQ●00●0■00050●●●◆●●000●●0●00■

mIii illilili:'1

(4)

%),丸のこ盤(4.0%),小型旋盤(9.4%ハ手押し かんな盤(9.8%),刃物研磨機(10.9%),電気ジグ

ソ(11.8%)であった.

この結果は,前述した通り各学校とも学習指導要 領に示された工作機械類をほぼ完備しているにも関 わらず,その多くを使用していない状態で放置して いることを示している.さらに,生徒に使用させる 工作機械類は一部に限られ,学習指導要領で示され ている丸のこ盤,小型旋盤,自動かんな盤,刃物研 磨機などは使用率が少ないことが明らかとなった.

特に,丸のこ盤については,技術科教育が中学校に 導入された初期から木材加工作業における主要機械 として使用されてきたが,作業中の傷害が多いため,

昭和43年に文部省(初等中等教育局長)から通知が 出され,「教材基準」からも除外されており,使用す る場合でも安全カバーの設置や自動送り等の設置,

作業の際の注意事項が示されている.このこともあ り,実習中に生徒に丸のこ盤を使用させる頻度は減 少している.ただ,授業における前準備や教具の製 作に教師が使用しており,その使用頻度は高い結果

となっている.

工作機械類の動作確認及び整備点検の頻度

安全教育において欠くことのできない工作機械類 の動作確認及び整備点検について,その頻度を図2,

3に示す.図2は,工作機械類の動作確認について は,約6割が使用時に毎回動作確認を行っていると いう結果を示している.しかしながら,全く実施し ていないという回答が22%を示している.、また,図 3より,整備点検については,使用時に毎回実施し ているが33%,全く実施していないが35%を示して

いる.

安全確保のためには,工作機械類の動作確認及び 整備点検は重要であるが,今回調査を行った学校に おいては,確認整備の実施率がかなり低いことが明 らかとなった.この点について,聞き取り調査の中 でも,教師が工作機械類の整備・点検に対しての知 表3工作機械類の耐用年数

my月ヨ呵二勢

0年|淵澆霧:鶉

日UU

四h什目Ⅱ 君.刃物IIlf塵

は,丸のこ盤が64.1%,手押しかんな盤が61.9%で あり,装備がなされていない学校が多いことが明ら かとなった.特に,安全面に注意すべき古い工作機 械に安全装置の無いものが多く,検討が必要である.

工作機械類の使用可能率及び使用率

工作機械類の使用可能率及び教師・生徒の使用率 を表4に示す.なお,使用可能率とは,設置されて いる工作機械類のうち,現在使用が可能な工作機械 類の割合を示す.また,教師・生徒の使用率とは,

現在使用が可能な工作機械類のうち,教師及び生徒 が実際に使用している工作機械類の割合を示す.

本表から,設置されている工作機械類のうちかな りの台数が使用できないことが明らかとなった.特 に使用できない割合が高い工作機械類は,小型旋盤 (36.0%),角のみ盤(28.2%),手押しかんな盤(22.6

%),刃物研磨機(22.0%)となっている.また,教 師の使用率が高いのは木口削り機(100.0%),電気 ルータ(100.0%),集塵機(87.5%),ベルトサンダ ー(83.1%),両頭型研削盤(83.7%),丸のこ盤(82.

7%)であった.それに対して,使用率の低いのは,

小型旋盤(37.5%),手押しかんな盤(63.4%),角 のみ盤(63.9%),刃物研磨機(69.6%)であった.

さらに,生徒の使用率が高い工作機械類は,ベルト サンダー(87.6%),糸のこ盤(84.4%),卓上ポー ル盤(83.2%)であった.それに対して,使用でき る環境にあるが生徒に使用させている割合の低い工 作機械類は,電気ルータ(00%),パンドソー類(0.0

表4木工機械の使用可能率及び使用率

工作機械名糸のこ盤丸のこ盤卓上十一ル盤自動力んな盤へルトサンダー角のみ盤集塵機刃物研磨機 使用丁能率(%)864904902864890718862780 教師使用率(%)701827773771831639875696 生徒使用率(%)84440832186876344571109 工作機械名手押し力んな盤」型旋盤両頭型研削盤麺気ノグノ木ロ削り機ハントノー類電気ルータ

使用丁能率(%)7746408789448758461000

教師使用率(%)63437583770610007271000 生徒使用率(%)98941861182860000

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(5)

ど実習室以外の付帯施設・設備の有無及び,実習室 の面積・実質作業面積を表5,6に示す.なお,実 質作業面積とは,実習室の総面積から道具や工作機 械,材料などが設置されたスペースを除いた面積を 示す.表5より,工具室は10校中,6校が設置して いる.しかし,この6校でも一部の工具類は実習室 内に置いてあり,全ての工具類を工具室に保管して いる学校は少ない.材料室,未完成作品置き場,作 品展示棚は,調査校中1校に材料室が設置されてい るほかは設置されていないという結果が示されてい る.また,表6より,実質作業面積が少なく,-人 当たりの作業面積は分離型と統合型で異なっており,

分離型の面積は全て3,2以下となっている.なお,

分離型は技術教室が「木材加工室」「金属加工室」と 複数に分離している場合を,統合型は1教室のみの 場合を示す.

西日本工高建築連盟編の建築設計ノート4)による と,木材加工,金属加工などの作業が行われる実習

蕊 図2工作機械類の動作確認の頻度 毎回実施

57%

ロI

していな35%

表5付帯施設・設備の有無 付帯施設・設備

工具室 材料室 未完成作品置き場 作品展示棚

設置学校数(校)

6/10 1/10 0/10 0/10

表6実習室の面積と実質作業面積

一人当たり実質 作業面積(m:)

1.77 1.68 1.66 1.61 2.17 1.50 1.47 1.31 167 1.63 1.51 1.73

4.05 3.38 3.43 4.06

図3工作機械類の整備点検の頻度 識に乏しく実施することができないという回答があ った.

これらの結果から,現在使用していない工作機械 類の中には,整備法がわからないため使用できない ものもあり,整備をすることにより使用可能になる ものも含まれていることが推測できる.これらのこ とから,工作機械類の整備・点検に関する内容を,

教員養成系大学における教育課程や現職教員の講習 会等において,指導体制を強化することが必要とい える.特に,本教科の指導者の中には,免許外の担 当者が多く,生徒の安全確保や教科の教育目標を達 成させるためにも,工作機械類の操作及び整備・点 検に関するマニュアル作りや講習会の実施が必要と いえる.

技術科関連施設の作業面積

熊本市内の中学校10校における工具室や材料室な

①は木材加工室,②は金属加工室を示す

-67-

(6)

工作機械を使用させず,工具類だけを使用させる」

「教師自身授業中工作機械を使用しない」「専門でな いので工作機械は使用させていない」等の消極的な 安全指導を行っていることが明らかとなった.

しかしながら,学習指導要領や教科書に記載され ている工作機械類を生徒が使用することは,本教科 の教育目標を達成するため必要と考えられる.従っ てこのような消極的な安全指導の結果は,「木材加 工」領域の教育目標を達成しているとはいえない.

教育目標を達成するためにも,それらの工作機械類 を使用できる環境を作り,生徒の学習指導に使用す ることが必要であることを示しているといえる.

おわりに

技術科教育に関連する施設・設備の実態調査を熊 本市内及び県内の中学校で行い,安全教育の実態と 必要`性について検討を行った.その結果,以下のこ

とが明らかとなった.

(1)各学校とも学習指導要領に示された工作機械類 はほぼ完備されているが,耐用年数を越えた型式 の古いものや安全装置の装備がなされていないも のが多いことが明らかとなった.

(2)安全の確保や工作機械類の有効活用のために工 作機械類の動作確認及び整備点検は重要であるが,

その実施率は低い.その原因の一つに整備・点検 に関する教師の無知が推測され,これらに関する 教師教育が必要であることが明らかとなった.

(3)実習室以外の付帯施設・設備を保有した学校は 少ないため,道具や工作機械,材料などが設置さ れたスペースを除く実質作業面積が狭くなってい る.その結果,作業に必要な-人当たりの作業面 積が基準以下であるところが多いことが明らかと なった.

(4)安全教育を徹底するため,技術教室の施設・設 備の整備,補充,古い工作機械類の更新等を行い,

各学校の規模に応じた工作機械類の設置と実習室 の広さの確保が必要であることが明らかとなった.

(5)安全性確保のため,危険度の高い工作機械など の使用を避けるという消極的な指導がみられ,教 育目標を理解した設備等の使用が望まれる.

室の適正作業面積は最低3,2/人が必要とされてお り,調査学校中,分離型の学校はその基準を下回り 狭い面積しか確保されていない.しかしながら,統 合型の学校は基準を上回っていることが明らかとな った.ただ,アメリカの場合,技術科教育すわなち インダストリアルアーツにおける実習室をみると,

技術科教育に関連した各種の実習を総合的に行う実 習室の場合,その床面積は7.75,2/人となってい る5).これと比較すると日本の中学校における実習 室は統合型でも狭いことが明らかである.これは日 本における1クラスの生徒の人数は40名であるのに 対して,インダストリアルアーツの実習は1クラス 24名であることが原因といえる.浜崎によると,安 全教育の面から実習作業における1クラスの人数は 最高は22人までが「教授」になり,それを越えると

「警戒」になることが述べられている6).このことか らも我が国の教育条件は悪いといえる.

しかも,表4に示した工作機械類の使用可能率か ら,現在設置してある工作機械類のうちかなりの数 が使用できないことが明らかである.これらの工作 機械類を整理することによって得られるスペースを 作業用に活用できる.特に,小型旋盤,手押しかん な盤,角のみ盤,パンドソー類,刃物研磨機につい ては,その2割以上が使用できないという結果であ った.

以上のことは,安全性確保のため,施設・設備の 整備,補充,古い工作機械類の更新等を行い,各学 校の規模に応じた工作機械類の設置と実習室の広さ の確保の必要性を示しているといえる.

技術科教育における安全指導

最後に,技術科教育の指導において,生徒の安全 面での配慮に関する調査結果を表7に示す.本表に 示すように,「生徒に対する安全指導に関する項目」

が最も多く57件,次に「機械の管理に関する項目」

が50件,「安全作業に対する生徒の態度の育成に関す る項目」が17件,「教室環境の設営に関する項目」が 16件,「工作機械を全く使用しないという消極的な回 答」が16件,「作業時の教師の留意点に関する項目」

が4件であった.教師の大部分が,「道具や機械の安 全な操作方法を徹底して理解させる」や「1年生か らのしつけ,モラルをしっかり身につけさせる」「精 神的なゆとりや作業への集中を指導する」など,安 全な作業を実施するための知識面や態度面の育成な ど積極的な安全指導を行っていることが示された.

しかし,教師の中には,安全性を考慮して「生徒に

付記

本論文は,平成9年度日本産業技術教育学会全国 大会(平成9年8月9日鳴門教育大学)において 講演した内容をベースとしてまとめたものである.

-68-

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表7生徒の作業時の安全確保についての注意

?意点

()内の数字は,回答人数を示す。

4)西日本工高建築連盟編:学校一建築設計ノート,彰国社,

1976

5)日本産業技術教育学会:技術科教育の研究,朝倉書店,

1993

6)浜崎秀栄:実習室の管理と安全一技術教育における-,

那覇出版,1986,pp56-57 参考文献

1)文部省通知:教材基準,1972 2)文部省通知:標準教材品目,1991

3)例えば大迫靖雄:健康・傷害に対する建築用木質材料の 特性,科学研究費補助金研究成果報告書,1996

-69-

教室環境

・作業場の整理整頓(後かたづけ)の励行・安全の確保(8)

ゆったりとした作業スペースの確保(3)

・安全な作業に対しての啓蒙(「使用規定や安全上の注意」を掲示)(2)

工作機械のある部屋の安全管理・授業以外は施錠(2)

使用しない工作機械にはカバーを掛ける(1)

安全指導

道具や機械の安全な操作法の徹底した指導(26)

作業時は作業しやすい体育服・上履の着用指導(13)

けがや事故などの緊急時の対応についての徹底した指導(12)

周囲の安全の確認,周りに人がいないかなどの作業の注意事項の指導(4)

工具や工作機械のもつ危険`性をきちんと説明(2)

態度の育成

1年生からのしつけ,モラルを身につけさせる,守る態度の育成(4)

工具の整理・整頓

・精神のゆとりと集中

置く位置に気を付ける態度の育成(4)

真剣に取り組ませる態度の育成(3)

作業に関する注意を十分聞かせる,説明をよく聞く態度の育成(2)

・作業の開始と終了のベルの徹底(2)

・作業中は生徒同士協力して行わせる(2)

機械管理

工作機械は教師立ち会いのもと行わせる,許可無く使用させない(26)

危険な機械は分類し触れさせない,危険な機械作業は教師が行う(14)

工作機械の主電源のON,OFFは教師が確実に行う(6)

工具

機械類は定期的に点検・整備を行う(4)

留意点

芯生徒への気配りを忘れない,事故が起きないように万全を期す(2)

生徒の体調面(健康面)の変化に気を付ける(1)

・作業が安全にできるようなジグの工夫をする(1)

消極的

工作機械は全く使わせていない(10)

専門でないため工作機械は使用させていない(3)

生徒に工作機械を使用させず,工具類だけを使用させる(2)

教師自身授業中には工作機械を使用しない(1)

参照

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