ドイツにおける特定部門計画確定決定での防護負担
その他のタイトル Die Schutzauflage im
Fachplanfeststellungsbeschlus in der Bundesrepublik Deutschland
著者 亀田 健二
雑誌名 關西大學法學論集
巻 44
号 4‑5
ページ 599‑634
発行年 1995‑01‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/00024628
ド
イ
ツ に
お
ける
塁
部門
計 画 確 定 亀 決定で 田 の
誓
健
轟
一 は じ め に 二 防 護 負 担 の 意 義 (‑
︱̲
‑︶ 防護 負担 の意 義
︵ニーニ︶防誤負担の内容
︵ニー三︶防護負担の法的性質
三 追 加 的 防 護 負 担 四防護負担の成立要件
︵四ー一︶公共の福祉
︵四ーニ︶保護される範囲
︵四ー三︶﹁危険︑重大な不利益もしくは里大な生活妨害﹂または﹁他の者の権利に対する不利益な影孵﹂
︵四ー四︶期待不能
(U nz um ut ba rk ei t)
︵四 ー四
I ‑
︶事実として前々から存する負荷︵事実的既存負荷︶︵
Ta ts ii ch li ch e Vo rb el as tu ng )
︵四ー四ーニ︶計画上所与の前々から存する負荷︵計画上所与の既存負荷︶︵
Pl an ge ge be ne Vo rb el as tu ng )
五金銭による調整︵金銭補償︶
六防護負担に関する権利救済
︵六ー一︶不利益を被る者の権利救済
︵六ーニ︶事業計画の責任者の権利救済
︵六ー三︶地方自治体の訴権
七 お わ り に
ドイ
ツに
おけ
る特
定部
門計
画確
定決
定で
の防
護負
担
行政計画として︑国土利用計画や財政計画など多種多様な計画が多数存在している︒そして︑それらの計画は︑さ
を基準にして分類すると︑総合計画
(G es am tp la nu ng )
まざまな基準に従って分類されている︒そのうち︑国土利用計画や開発計画や都市計画などの計画を︑計画部門範囲
(l )
と特定部門計画
(F ac hp la nu ng )
とに区分することができる︒
総合計画とは﹁国土または特定の地域を対象とし︑宅地開発︑産業地域︑交通開発︑環境保設︑人口増加などのよう
( 2)
なすべての空間関連的な要素を含む︑総合的な計画﹂である︒また︑特定部門計画とは︑﹁特定の事業部門のプロ
( 3)
ジェクトに関する計画﹂であり︑﹁道路︑河川︑鉄道︑港湾︑空港等の施設に関する国の計画で︑これを公共事業関
(4 )
連計画と呼ぶこともできる﹂ものである︒
この特定部門計画について︑総合計画との関連︑国の特定部門計画と地方公共団体の総合計画との関係など議論す
べき課題が多く存在する︒もちろん︑特定部門計画に対する権利救済も重要な課題である︒そのうち︑本稿は︑ドイ
ツ 連 邦 共 和 国 の 特 定 部 門 計 画 の 法 制 度 に お け る
︑ 利 益 調 整 の 手 法 で あ り 権 利 救 済 の 制 度 で も あ る 防 護 負 担
(S ch ut za uf la ge )
の法的問題について考察するものである︒
( 5)
ドイツ連邦共和国では︑特定部門計画を規律する法律において︑防護負担と呼ばれる制度が存在する︒
防護負担に関する規定の例として以下のようなものがある︒まず︑
(B un de sf er ns tr a. Be ng es et z ( FS tr G) )
の一九七四年法︵現行法ではない︶
は じ め に
四五
六0
典型的な例として︑連邦遠距離道路法
の第一七条第四項を挙げることができる︒
この第一七条第四項は︑﹁計画確定決定において︑道路建設責任者
(T 品 ge r de r StraP.,e
nb au la st )
に対して︑公共の
また︑航空法
(L uf tv er ke hr sg es et z (L uf tV G) )
廃棄物法
(A bf al lg es et z (A bf G) )
︵一
九八
一年
法︶
︵第一号︶当該事業計画が︑負担または条件に
福祉のために
( f i ir da s i i ff e n tl i c he Wo hl
)︑または︑危険
(G ef ah re n)
︑重大な不利益
(e rh eb li ch e Na ch te il e)
もしく
は重大な生活妨害
(e rh eb li ch e Be la st ig un ge n)
に対する隣接地の利用の保護のために
(N
ur Si ch er un g d er Be nu tz un g de r b en ac hb ar te n
Grundstiicke)~I§
女レJ~.;;;
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協 叫
部 政
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他誌
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碑が
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けら
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︒そ
のよ
うな
施設
が事
業計
画と
両立しないとき︑または︑その費用が得ようとしている防護目的と比例しないときは︑利害関係人は︑道路建設責任
者に対して︑金銭による適切な補償の請求権を有する︒﹂と規定していた︒
は︑第九条第二項で︑﹁計画確定決定において︑事
業者に対して︑公共の福祉のために︑または︑危険もしくは不利益に対する隣接地の利用の保護のために必要とされ
︵一九八六法︶は︑第八条で︑﹁公共の福祉の維持のために必要である限りにおい て︑第七条第二項に基づく計画確定決定および第七条第一二項に基づく許可は︑条件つきで与えられることができ︑か つ︑負担を義務づけられる︒これらには期限をつけることができる︒廃棄物貯蔵施設及びその業務に対してなされた 要求以上の負担の受容・変更・補充が︑計画確定決定が発せられた後︑または︑許可が与えられた後も許される︒﹂
︵第一項︶︑﹁当該事業計画が義務として宣言された廃棄物処理計画の確定に違反する場合には︑計画確定決定または 許可は拒否される︒さらに︑以下の場合に︑それらは拒否される︑
よって防止または調整することができない公共の福祉への侵害を見込まれる場合︑または︑
⁝⁝︵第三号︶負担または条件によって防止または調整することができない他の者の権利への不利益な影響が見込ま
れる場合で︑かつ︑当該当事者が異議をとなえている場合﹂︵第一︳一項︶ る施設の設置及び維持が義務づけられる︒﹂と規定している︒ 関法第四四巻第四・五合併号
と規定している︒
︵第
二号
省略
・筆
者︶
四六
六0
ドイ
ツに
おけ
る特
定部
門計
画確
定決
定で
の防
護負
担
(L an de sv er wa lt un gs ve rf ah re ns ge se tz (L w V Vf G) )
第七
四条
第二
項︶
︒
したがって︑連邦や州に関する行政手続法の規定によって︑特定部門計画に関する各個別の法律に防護負担の規定
が存在しなくても︑これらの行政手続法が適用されるすべての各個別の事業計画の計画確定決定においても︑防護負 バ
ー デ ン
・ ヴ ュ ル テ ン ベ ル ク 州 の 行 政 手 続 法
このように防護負担について特定部門計画に関する個々の法律で規定される以外に︑
法
(V er wa lt un gs ve rf ah re ns ge se tz (V w V f G) )
は︑第七四条第二項で︑﹁計画確定決定において︑計画確定行政庁は︑
公聴機関の論議の際に一致するに至らなかった異議について決定する︒計画確定行政庁は︑事業計画の責任者に対し
て︑公共の福祉のために
(z um Wo hl de r A ll ge me in he it
)︑または︑他の者の権利に対する不利益な影響の回避のため
に
(z ur Ve rm ei du ng na ch te il ig er Wi rk un ge n a uf Re ch te an de re r)
必要とされるところの︑予防措置︑または︑施設の
設置もしくは維持を義務づけなければならない︒そのような予防措置または施設が実行できない場合︑あるいは︑当
該事業計画と両立しない場合には︑利害関係人は金銭による適切な補償の請求権を有する︒﹂と規定している︒また︑
州の行政に関する行政手続法においても︑連邦の行政手続法第七四条第二項と全く同じ規定を置いている ︵第二号以下省略・筆者︶⁝⁝﹂と規定している︒ 水路法
(B un de sw as se rs tr aB en ge se tz (W aS tr G) )
︵一
九九
0
年法︶
四七
︵六
〇
は︑第一九条第一項で︑﹁計画確定決定につき︑
行政手続法第七四条が以下の条件で適用される︑︵第一号︶い水位が変更される︑あるいは︑佃許可または他の権限
に基づく水利が侵害されることによって︑重大な不利益が見込まれる場合には︑計画確定行政庁は︑事業計画の責任
者に対して︑予防措置︑または︑施設の配備もしくは維持︵第七四条第二項第二文︶を義務づけなければならない︒
一般法である連邦の行政手続
(V er wa lt un gs ve rf ah re ns ge se tz f i i r Ba de n‑
W
ii rt te mb er g)
︵例
えば
︑
(‑
︱│
‑︶
防護
負担
の意
義
防護負担の意義 規定を欠く特定部門計画に対しても適用されてきたのである︒
一九
九
0
年六月二八日の第三回・法清算法律(D ri tt es Re ch ts be re in ig un gs ge se tz )
の第
二六条︵連邦遠距離道路法の改正に関する規定︶によって︑﹁連邦遠距離道路法における計画確定手続に関する規定
(6 )
の大部分が廃止された﹂からである︵第三回・法清算法律第四四条︵法律の改正新法に関する規定︶第一項に基づき
連邦遠距離道路法の改正新法が公示された︶︒連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第四項が削除されたのは︑
﹁各州の行政手続法における計画確定規定が内容的に同じ規律を含んでいるので︑第四項が抜け落ちる︑というのが
( 7)
第三回・法清算法律の理由付けであるといわれている﹂からである︒
したがって︑連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第四項は消滅したけれども︑当該規定に関してなされた
多くの判決により形成されてきた原則は︑今なお継承されているのである︒また︑その原則は︑他の特定部門計画に
おける防護負担についても適用されてきたのである︒例えば︑連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第四項や
航空法第九条第二項などの規定は︑﹁連邦鉄道法は︑それと比べられる規定を有していない︒しかし︑当該事象によ
(8 )
れば︑まったく別のものが︑連邦鉄道法の適用範囲に妥当するものではない︒﹂と判例が述べるように︑そのような 正新法によって姿を消した︒ 前述の連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第四項の規定は︑ 担が課せられることになる︒
関法
第四四巻第四・五合併号
一九
九
0
年八月八日の連邦遠距離道路法の改 四八六0四 ︶
ドイ
ツに
おけ
る特
定部
門計
画確
定決
定で
の防
護負
担
四九
︵ 六
0五 道路やゴミ処理場の設置によって︑当該施設の周辺地域に環境の悪化など不利益をもたらすことが起こり得る︒そのような不利益の発生を回避するために︑防音壁の設置や排出ガスの処理施設などの防護施設が設置されるべきである︒このように︑周辺地域に悪影響を及ぽすことが予想される特定部門計画の実施がなされる場合︑周辺住民の権利利益と当該計画の実施によって得られる利益との対立が生じることになる︒この諸利益間の対立を計画確定の段階で調整し︑計画の実施の段階ではそのような問題が生じないことが︑周辺住民の利益の保護においても︑また︑当該特
( 9)
定部門計画の実現にとっても望ましいことである︒
計画に係る諸利益間の対立について︑例えば︑連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第一項第二文は﹁計画
確定の際に︑当該事業計画にかかわる公的及び私的利害が比較衡量されなければならない﹂と規定し︑また︑現行法
である連邦遠距離道路法(‑九九四年法︶第一七条第一項第二文は﹁計画確定の際に︑環境影響を含め︑当該事業計
画にかかわる公的及び私的利害が︑比較衡量の枠内で︑考慮されなければならない﹂と規定しているように︑ドイツ
ツの計画法における重要な原則である比較衡量要請
(A bw ii gu ng sg eb ot )
の特定部門計画の確定においては︑まず比較衡量をしなければならないことになっている︒このような規定は︑ドイ
( 1 0 )
の原則を条文上明らかにしたものである︒
計画の確定にあたっては︑まず第一に比較衡量要請原則に基づき公的利害と私的利害とが比較衡量されるのである
が︑その結果︑計画の必要性が優先された場合︑﹁比較衡量の際に後退を余儀なくされた私的利害は︑比較衡量の手
( 1 1 )
法では現実には解決されないままに残る﹂ことになる︒しかし︑﹁このような私的利害︑とりわけ計画実施に伴う隣
( 1 2 )
接地に対する危険︑不利益等は︑特定部門計画︵公共事業計画︶の領域では︑これを切り捨てることができない﹂の
( 1 3 )
で︑﹁なお未解決の利害衝突を克服するために防護負担が関与する﹂のである︒防護負担によって︑計画の実施に
第四四巻第四•五合併号
よって発生する不利益を防止するのである︒
連邦行政裁判所の判例によれば︑連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第四項の規定は︑﹁当該影響によっ
て連邦遠距離道路法第一九条︵収用の規定・筆者注︶により請求できるという意味ではなく︑確定された計画による
隣接地への影響のために﹃正当な比較衡量﹂でもってしてはもはや克服できない極限を設定する﹂という意義を有し
( 1 4 )
ているのである︒また︑連邦行政裁判所は︑航空法に関しても︑﹁計画確定決定において事業者に対し︑公共の福祉
ため︑または︑危険や不利益に対する隣接地の利用の保護のために必要である施設の設置及び維持を義務づけること
を︑航空法第九条第二項は規定することによって︑航空法上の手続における計画決定につき﹃正当な比較衡量﹄で
( 1 5 )
もってしてはもはや克服できない極限を設定する﹂と判決している︒
まさに︑比較衡量だけでは諸利益間の調整がつかず︑防護措置や金銭補償による調整方法を取らざるを得ないとい
うことが︑防護負担制度の趣旨であって︑﹁特定部門計画における防護負担は計画上の問題解決のための手法であり︑
それは︑起業案がもたらす隣接地に対する不利益な影響のために︑﹃適正な比較衡量をもってしてはもはや克服でき
( 1 6 )
ない︑ぎりぎりの限界﹄を課するという点に決定的な意義がある﹂のである︒
︵ニーニ︶防護負担の内容
防護負担の概念は広くとらえられており︑連邦行政手続法第七四条第二項﹁第二文で述べられた目的のための︑
( 1 7 )
各々の予防措置の命令︑ならびに︑施設の設置もしくは維持の命令は︑防護負担の概念に算入される﹂のである︒そ
して︑﹁﹃施設﹄という用語の下に︵例えば︑防音施設ー
v gl . Rd nr . 7
8ーのような︶物的な措置が考えられる一方︑ 関法
五〇
六0六
ドイ
ツに
おけ
る特
定部
門計
画確
定決
定で
の防
護負
担
﹃予防措置﹂という用語は︑当該事業計画による公共または第三者の利益に対する侵害を阻止または低下させるため
( 1 8 )
に命じられる︵例えば︑廃棄物処理事業における作業時間規制のような︶他のすべての措置を指す﹂のである︒
また︑﹁事業計画責任者が︑その敷地の上に︑あるいは︑その事業計画で実施する措置だけが︑施設や防護措置に
属するのではない︒不利益を被る者がそれでもって自衛策を講じる﹁受動的な
(p as si ve
)﹄防護もまたそれに含まれ
( 1 9
る︒﹂のである︒つまり︑道路に沿ってつくられる騒音防止壁のような積極的な措置のみならず︑沿道の住居におけ )
る防音窓のような受動的な措置も︑防護負担に含まれるのである︒
この受動的な措置については︑﹁事業計画責任者がそのような設備を自分自身でつくる必要はなく︑その取り付け
( 2 0 )
と維持についてお金を支払うだけに限ることができる﹂のである︒この場合︑金銭補償に似てくるのであるが︑﹁だ
がしかし︑なにか別のものである︒つまり︑当該設備が実際につくられることについての責任は︑当該事業計画の責
( 2 1 )
任者に依然としてとどまっているのである︒﹂と解されている︒そして︑事業計画責任者は︑このような金銭を支払
( 2 2 )
う場合に︑そのお金を他の目的のために使用することを排除するという支払方法をとることができるのである︒
なお︑﹁計画確定での調整請求権は︑不利益を受けた所有者たる個人に成立し︑当該土地の後日の譲渡の際に取得
者に移行しない﹂のであるが︑﹁それに対して︑受動的防護措置の設置及び維持の義務は︑常に当該土地に結びつい
( 2 3 )
ており︑それ故に︑また︑その時その時の所有者だけから主張され得る﹂のである︒
︵ニー三︶防護負担の法的性質
五
︵ 六
0七 計画確定行政庁が事業計画責任者に防護負担を命じるのであるが︑この防護負担の法的性質について見解が分かれ
手続法第三六条第二項第四号の負担であるとする︒ 第四四巻第四・五合併号
ている︒防護負担は︑連邦行政手続法第三六条第二項第四号﹁受益者
( Be g i in s t ig t e n)
に︑ある作為
(T un
)︑受忍
(D ul de n)
または不作為
(U nt er la ss en )
を指定する決定︵負担
Au fl ag e)
﹂の意味における負担であるのかどうか︑
つまり︑行政行為論における付款としての負担であるのかどうかという問題があるのである︒
この問題について︑﹁その法的性質によれば︑防護負担は第一二六条第二項第四号の意味における負担である︑
り︑その補充のない欠落ならびにその命令が総合計画の釣合のとれている状態にかかわらない場合に︑切り離される
( 2 4 )
ところの︑取消訴訟ならびに義務づけ訴訟の︑対象である﹂という見解にみられるように︑多くの見解は︑連邦行政
これに対して︑﹁計画法上の防護負担は︑その本質と機能において︑秩序行政のテクニックとしての負担
( 2 5 ) (A uf la ge )
とは同一でない﹂という見解や︑﹁たいていの防護負担の場合︑第三六条第二項第四号の意味における負
( 26 )
担とは関係ないであろう﹂という見解がある︒﹁行政庁の規制が︵純粋の技術的な意味における︶負担としてみなさ
れるのかどうかということにとって︑その内容が︑決定的である﹂とし︑﹁純粋の負担はーー'非常によく広げられた
法的定義に反して1それが受益を与える主たる規制の他に他の規則対象を持つ場合に︑提示される﹂のに対して
担ではなく︵﹃変更的負担
(r no di fi zi er en de n Au fl ag en
)﹄ ﹁計画された事業計画が実行されるように決定するという防護負担の場合には︑この不利な条件が欠けている﹂と指
( 27 )
摘する︒そして︑﹁そのように﹃事業計画に関係づけられる﹄防護負担は︑第三六条第二項第四号の意味における負
( 28 )
でもない︶︑内容的には計画確定の制限または変更である﹂
とするのである︒
また︑﹁防護負担命令についての問題は計画それ自身に属する︑ 関法
つまり︑計画によって引き起こされるすべての問
五
︵ 六
0八
つま
であ
る︒
ドイツにおける特定部門計画確定決定での防護負担
とし
︑﹁
それ
は︑
Ei nr ic ht un g)
五
六0九 題は計画それ自身によって解決されなければならない﹂ということが判例からは明らかであり︑﹁そのことから︑防
( 2 9 )
護負担に際しては︑計画の集積された要素が問題となるということが︑結論として出てくる﹂という見解がある︒こ
の見解は︑﹁連邦遠距離道路法第一七条第四項の防護負担は︑計画確定決定の集積された要素
(e in in te gr ie rt er e B
s ,
命 ︶ ta nd te il de s P la nf es ts te ll un gs be sc hl s u se s)
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ス い
3 0
また︑別の見解は︑﹁計画確定法の負担は︑特定部門計画法上の全手段の正規の︑かつ︑典型的な要素に属する﹂
比較衡量要請と並んで︑特定部門計画法での制度上独立の制度
(e in e in st it ut io ne ll s e l bs t i i. n d ig e
である︒計画上の問題を克服する際の決定手段としての意義のみならず︑手続法的重要性もまた︑防
( 31 )
設負担要請にとってふさわしいものである︒﹂とする︒この見解は︑﹁そのつど要請される防設負担は︑事業計画それ
自身の性質・範囲・形態の確定と同じく︑計画確定決定の不可欠の内容になる︒つまり︑独立したところの︑またそ
の対象につき計画された事業計画から分離できるところの特別の給付義務としての特質をそれによって失うことなし
︵ 立︶
に︑防護負担は︑狭い意味での計画の確定とともに︑法的統一を形成する︒﹂ものとして防護負担をとらえているの
なお︑抗告訴訟との関連で︑防護負担の法的性質について︑連邦行政裁判所は︑﹁道路建設責任者は負わせられる
防護負担を独立して取り消すことができる︑また︑計画確定によって不利益を被る者は防護負担の付与について主張
面 ︶
し得る請求権を義務づけ訴訟ならびに回答訴訟︵
Be sc he id un gs kl ag e)
によって追求することができる﹂と述べ︑連
邦遠距離道路法第一七条第四項に基づいて計画確定決定においてなされる防護負担命令は︑その法的性質によれば︑
取消訴訟でもって独立して取り消され︑また︑義務づけ訴訟でもって独立して要求され得るところの︑負担である︑
の原
則が
適用
され
る︶
︒
事業計画が確定された後︵つまり防護負担については既に決定された後である︶に︑予見できない影響が生じた場
合︑その影響によって不利益を被った者は︑防護負担についての追加的な命令を請求することができる︒この点につ
いて︑連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第六項第二文は︑﹁当該計画が取り消しできない状態になった後︑
隣接地に対する︑当該事業計画の予見できない影響︑または︑確定された計画に応じた施設の予見できない影響が生
じた場合︑不利益を被った者は︑第四項に基づいた︑隣接地への不利益な影響の回避のために必要とされる施設の設
置及び維持を求めることができる﹂と規定していた︒また︑同様に︑連邦行政手続法第七五条第二項第二文は︑﹁当
該計画が取り消しできない状態になった後︑他の者の権利に対する︑当該事業計画の予見できない影響︑または︑確
定された計画に応じた施設の予見できない影響が生じた場合︑不利益を被った者は︑不利益な影響を排除するところ
の︑予防措置︑または︑施設の設置及び維持を求めることができる﹂と規定している︒なお︑このような追加的な防
護負担命令に対しては︑例えば連邦行政手続法第七五条第二項第二文による場合︑﹁本質的に︑第七四条第二項に基
蔀 ︶
づく請求権に適用されるのと同様の原則が︑第二項第二文による請求権に︑個々に︑適用される﹂ということになる
︵連邦遠距離道路法の場合も︑第一七条第六項第二文による追加的な防護負担命令に対して︑第一七条第四項と同様
防護負担の追加的な命令をすることができるかどうかについて︑前記のような明文の規定がある場合は問題がない 追加的防護負担 関法第四四巻第四・五合併号
( 34 )
と判断している︒
五四
︵ 六 一
0)
ドイ
ツに
おけ
る特
定部
門計
画確
定決
定で
の防
護負
担
︵四ー一︶公共の福祉
五五
︵ 六
としても︑明文の規定がない場合においても可能かどうかは問題となる︒計画確定決定がなされた後では︑当該決定
に確定力が生じているので︑そのような追加的命令を一般的に認めることは︑計画確定決定の確定力を覆すことにな
るからである︒この問題につき︑﹁計画決定の確定力
(B es ta nd sk ra ft )
を破ることを認める明白な法律上の規定なく
( 3 6 )
して︑追加的な計画補充請求権
(n ac ht ri ig li ch eP la ne rg ii nz un gs an sp ri ic he )
は与えられるべきでない﹂とされ︑﹁この
( 3 7 )
ような場合には︑収用的な侵害のための補償を民事裁判で主張するという方法のみが残されている﹂といわれている︒
防護負担の成立要件
前述のように︑防護負担の成立要件として︑連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第四項第一文は﹁公共の
福祉のために︵f
日
da s of fe nt li ch e W oh l)
︑または︑危険
(G ef ah re n)
︑重大な不利益
(e rh eb li ch e Na ch te il e)
もしく
は重大な生活妨害
(e rh eb li ch e Be la st ig un ge n)
に対する隣接地の利用の保護のために
(z ur Si ch er un g d er Be nu tz un g de r b en ac hb ar te n
Grundstiicke)”
必寧kレg(J~る協
g設の設置及び維持﹂と規定し︑連邦行政手続法第七四条第二項第二
文は﹁公共の福祉のために
(z um Wo hl de r A ll ge me in he it
)︑または︑他の者の権利に対する不利益な影響の回避のた
めに
(z ur Ve rm ei du ng na ch te il ig er Wi rk un ge n a uf Re ch te an de re r)
必要とされるところの︑予防措置︑または︑施設
の設置もしくは維持﹂と規定している︒以下︑防護負担の成立要件に関するいくつかの論点について考察する︒
﹁公共の福祉﹂を表現する文言が︑連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第四項第一文では
"
da so f f en t l ic h e
四
第四四巻第四•五合併号
Wo
hl
"
であり︑連邦行政手続法第七四条第二項第二文では︱
'W
oh
ld
er
Al
lg
em
ei
nh
ei
t"
であるが︑これらの意味は同じ
( 38 )
︵3 9 )
である︒﹁それ故に︑公共の福祉の内容は︑それぞれの特定部門計画に関する法律上の文脈とは無関係である﹂ので
( 4 0 )
ある︒﹁公共の福祉は︑概念的には︑当該事業計画によって侵害を受けるすべての公の利害を含んでいる﹂のである︒
そして︑﹁個々の場合に公共の福祉が必要とするものは︑法秩序における全体︑特に︑何よりもまず基本権において
( 4 1 )
示される一般的な秩序原則および評価から引き出されなければならない﹂のである︒
そして︑この﹁公共の福祉﹂の概念が﹁︵たとえば︑公共の交通の利益において適切な道路建設が公共の上水道を
危険におとしいれるおそれがある場合のように︶︑当該事業計画自身よりも︑他の共同体の財産のために役立つかど
( 42 )
うかが︑しばしば問題とされる﹂のである︒﹁それ故に︑例えば︑道路建設事業計画の際の防護措置は︑交通の安全
( 43 )
性及び軽快性に役立つ場合に認められるのみならず︑公共の上水道の保護のためにもまた認められる﹂のである︒
また︑後述するように︑この﹁公共の福祉﹂という要件は︑地方自治体が計画高権の侵害を理由として行政訴訟を
する場合にも用いられる要件であり︑その意味で︑﹁公共の福祉﹂は地方自治体の計画高権の保護をも目的としてい
︵四ーニ︶保護される範囲
連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第四項第一文が﹁隣接地の利用の保護のために﹂と規定し︑連邦行政
手続法第七四条第二項第二文が﹁他の者の権利に対する不利益な影響﹂と規定している︒ただし︑この﹁隣接地﹂や
﹁他の者の権利﹂についての定義規定はない︒しかし︑﹁当該特定部門計画に関する法律の文言における両者の違い るといえるのである︒ 関法
五六
六
ドイ
ツに
おけ
る特
定部
門計
画確
定決
定で
の防
護負
担
( 4 4 )
は︑異なった結果に至るものではない﹂とされている︒
これらの規定における人的保護範囲については︑﹁調整規定によって保護される人の範囲は︑連邦イミッション保
護法
(B un de s‑ Im mi ss io ns sc hu tz ge se tz
(BlmSchG))~ff:!
冬^
第一
E方︵現行法の第五条第一項第一号・筆者注︶において
( 4 5 )
の概念に一致する﹂といわれている︒そして︑連邦行政裁判所の判用いられているような﹃近隣
(N ac hb ar sc ha ft
)﹄
五七
︵ 六
決によれば︑﹁話しに出ている規定の精神にのっとれば︑近隣
(N
ac hb ar sc ha ft )
とは︑公衆の一部としての個々人に
行き当たり得る影響から明らかに際だって見えるところの︑資格のある︑不利益を受けた存在︑として特徴を示すも
のである︒つまり︑その影響は︑はっきりと見渡せる輪郭のために︑また︑それとともに︑とどのつまりは法的安定
性の
ため
に︑
1控訴裁判所が適切に定義したようにー﹃許可対象への市民のもっと狭い空間的・時間的な関係﹄
の意味で︑施設に対する特別の関係を前提とする︒﹂とされ︑また﹁当該物が当該施設により︑連邦イミッション保
護法第五条第一号からは認められない仕方で︑不利益を受けるほどに︑当該施設の影響範囲の中に配置されていると
ころの︑ある物またはある集合物︵例えば︑ある土地またはある営業︶についての権利を通して︑そのような関係が
つながりを持つ︒ある人がそのような影響を避けることができず︑あるいは︑いずれにせよ持続的に避けることがで
きず︑その結果︑その者に特別の保護を与えることを正当化するほどに長い間︑その者がその影響にさらされ続ける
場合︑それにふさわしく当てはまる︒まさに︑そのような継続的な滞在が︑近隣の概念が結びつく特徴の︱つであ
( 4 6 )
る︒﹂とされている︒そして︑﹁相当に密接な結びつきが︑職場および職業教育の場所を通じては︑生じるのであるが︑
( 4 7 )
連邦行政裁判所の判決によれば︑猟場借り受け人の地位を通じては︑生じない﹂のである︒
特定部門計画による不利益な影響が隣接の土地に及ぶ場合︑保護される法益として︑まず︑土地所有権をあげなけ
影響﹂と規定している︒ 第四四巻第四・五合併号 ればならない︒しかし︑保護法益は土地所有権に限定されず︑﹁計画法上の調整規定を土地所有権に結び付ける場合 に︑計画によって間接的に影響を受け得る他の法益は無視されない︑特に︑生命︑健康ならびに身体的保全のような
( 48 )
基本法第二条第二項の意味における基本法上保護される専属的な法益も同じく無視されることはない﹂のである︒
︵四ー三︶﹁危険︑重大な不利益もしくは重大な生活妨害﹂または﹁他の者の権利に対する不利益な影響﹂
防護負担の成立要件の一っとして︑連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第四項第一文は﹁危険︑重大な不 利益もしくは重大な生活妨害﹂と規定し︑連邦行政手続法第七四条第二項第二文は﹁他の者の権利に対する不利益な 連邦イミッション保護法第五条第一項第一号において﹁危険︑重大な不利益もしくは重大な生活妨害﹂という文言
が用いられていることから、「危険・不利益•生活妨害の概念を、連邦イミッション保護法第五条第一項第一号での
概念のように定義することが申し出られる︑これらの概念が︑その文字どおりに︑第二回・遠距離道路法改正法律で( 4 9 )
もって遠距離道路法に入れられたからなおのことである﹂ということになる︒それ故に︑﹁危険の概念の下に︑一般
( 5 0 )
的な生活経験によれば遠い存在ではないところの︑法益侵害の可能性を理解することができる﹂のである︒つまり︑
保護法益の侵害が差し迫っている場合をさしている︒また︑﹁不利益の概念は︑物質的ないしは経済的な利益の侵害﹂
であり︑﹁生活妨害の概念は︑むしろ︑非物質的な領域に該当する︑そして︑身体的または精神的な健全の侵害を内
( 5 1 )
容として含んでいる﹂のである︒
連邦行政裁判所は︑﹁連邦遠距離道路法(‑九七四年法︶第一七条第四項に関して︑不利益とは︑法律上の地位に
関法
五八
六一 四︶
ドイ
ツに
おけ
る特
定部
門計
画確
定決
定で
の防
護負
担
︵四ー四︶期待不能
(U nz um ut ba rk ei t)
五九
︵六
一五
おける侵害を前提にしない」と判決し、「危険・不利益•生活妨害の概念の内容を、比較衡量の要請を考えにいれて、
( 5 2 )
防護負担規定の機能的な意義から確定」している。しかしながら、「危険・不利益•生活妨害の概念は法律上の地位
の当惑
(B et ro ff en he it )
を前提としている﹂ので︑﹁連邦行政手続法第七四条第二項第二文の必要条件との差異はな
( 5 3 )
い﹂といわれている︒
連邦行政裁判所の判例によれば︑保護法益が︑事業計画により︑不利益な影響を受けるとしても︑そのすべての場
合に防護負担請求権が認められているのではない︒防護負担を必要とするほどに保護法益が侵害されていなければな
らない︒防護負担の必要性があるのかどうかが問題とされるのである︒この必要性の問題を決定するために︑﹁期待
可能性
(Z um ut ba rk ei t)
﹂の概念が用いられることがある︒しかし︑連邦行政裁判所が防護負担の必要性に関する判
断において用いる﹁期待可能性﹂は︑﹁当裁判所が常に強調してきたように︑その際︑ここで用いられている﹃期待
可能
性﹄
の概念は︑連邦行政裁判所の判例によれば︑当該閾︵イキ︶の向こう側では︑財産権に対するー間接的な
ー侵害が﹃重大かつ耐えきれない﹄ものであることが︑それ故に︑収用されうるものであることが︵したがって︑
(u nz um ut ba r)
﹄ものであることが︶収用法上の意味における︑﹃期待できない
( 5 4 )
を特徴づけるものではない﹂のである︒つまり︑期待可能性の概念は︑﹁当該限界の向こう側では︑侵害が︑重大か はっきりするという︑そのような閾
つ耐えられないものとして位置し︑ひいては︑収用の効果を持っているというところの︑限界を際だたせるものでは
( 5 5 )
ない﹂のである︒