はじめに 1.HAART について
本邦における抗 HIV 療法に関する概説は 2002 年に味澤 02 が本誌に寄稿した論文に整理されて おり,その枠組みは現在も有用である.今回は,
抗 HIV 薬(特にプロテアーゼ阻害剤)に焦点を 絞って検討する.
現在抗 HIV 薬としては,4 種類の機序が存在す る.(1)逆 転 写 酵 素 を 阻 害 す る 核 酸 類 似 体
( NRTI : Nucleoside!Nucleotide Reverse Tran- scriptase Inhibitors),(2)逆転写酵素を阻害する 非核酸類似体(nNRTI:Non-Nucleoside Reverse Transcriptase Inhibitors),(3)プロテアーゼ阻害 剤(PI:Protease Inhibitors),(4)ウイルスが CD4 陽性細胞に吸着する段階を阻害する薬剤(EI:
Entry!Fusion Inhibitors),の 4 つである.
Table 1 に抗 HIV 薬の種類と米国,本邦での承 認 状 態 を 示 す(以 後,各 薬 剤 は 略 語 で 示 す). HAART(Highly Active Antiretroviral Therapy)
は複数の抗 HIV 薬を組み合わせることで成り立 つ.
現在の抗 HIV 療法=HAART は 1997 年以降に 可能になり,整理された考え方である(Table 2 は米国のガイドラインを示す).
それが端的に示された論文が 1997 年 Gulick 97 の報告である.AZT!3TC,IDV 単独,IDV!AZT!
3TC の 3 群の治療が比較された(Fig. 1 参照).血 漿 HIVRNA 量(以後特記なければ HIVRNA 量と 記載)で判定すると,AZT!3TC,IDV 単独とも効 果は不十分であった.即ち,HIVRNA 量の抑制が 破綻し(検出感度以上となり),HIV が薬剤耐性を 獲得しうる状況であった.IDV!AZT!3TC の 3 剤 併用は長期に HIVRNA 量が検出感度未満(500 copies!mL=以後 c!mL と表記)となり,有効と考 えられた.
HAART の基本的発想法をまめると以下の内 容となる.
!HAART は「強力な薬剤 1 剤+NRTI 2 剤」で 可能であること.
"NRTI 2 剤では不十分であること.
#強力な薬剤 1 剤単独でも不十分であること.
$有効な組み合わせは効果が長期に持続するこ と.
%効果判定は HIVRNA 量が重要であり,これ を検出感度未満(50c!mL)に維持すること.
HIV 感染症の病態が「CD4 陽性 T リンパ球を 中心とする免疫の破綻」と想定されるにもかかわ ら ず,抗 HIV 療 法 の 効 果 判 定 は 基 本 的 に
「HIVRNA 量」であり「CD4 数」ではない.CD4 数の上昇は HIVRNA 量の抑制が不十分である治 療メニューでも認められる.治療開始後(6〜12 カ月以上後)に HIVRNA 量が検出される(50c! mL(〜400c!mL)以上)状態は,短期的には CD4 数の低下を意味しないが,使用中の薬剤に対して HIV による耐性獲得が進行する事態を反映して い る と 考 え ら れ,「治 療 失 敗」と 判 断 さ れ る 総 説
HIV 治療の現状―Protease inhibitors に関する概説
国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター
立 川 夏 夫
別刷請求先:(〒162―8655)新宿区戸山 1―21―1 国立国際医療センターエイズ治療研究開
発センター 立川 夏夫
Key words: HIV, protease inhibitors, HAART, lopinavir/ritonavir, TMC114
Table 1 抗 HIV 薬の種類と承認状態
本邦認可 FDA 認可
商品名 一般名
分類 略語
1987.09.18 1987.03.19
レトロビル Zidovudine
NRTI AZT(ZDV)
1992.06.19 1991.10.09
ヴァイデックス Didnanosine
NRTI ddI
1996.04.24 1992.06.19
ハイビット Zalcitabine
NRTI ddC
1997.07.25 1994.06.24
ゼリット Stavudine
NRTI d4T
1997.02.14 1995.11.17
エピビル Lamivudine
NRTI 3TC
1997.09.05 1995.12.06
フォートベイス* Saquinavir
PI SQV
1997.11.20 1996.03.01
ノービア Ritonavir
PI RTV
1997.03.28 1996.03.13
クリキシバン Indinavir
PI IDV
1998.11.27 1996.06.21
ビラミューン Nevirapine
nNRTI NVP
1998.03.06 1997.03.14
ビラセプト Nelfinavir
PI NFV
2000.02.25 1997.04.04
レスクリプター Delavirdine
nNRTI DLV
1999.09.10 1998.09.17
ストックリン Efavirenz
nNRTI EFV
1999.09.10 1998.12.17
ザイアジェン Abacavir
NRTI ABC
1999.09.10 1999.04.15
プローゼ Amprenavir
PI APV
2000.12.12 2000.09.15
カレトラ Lopinavir/ritonavir
PI LPV/r
2004.03.25 2001.10.26
ビリアード Tenofovir DF
NTRI TDF
未承認 2003.03.13
Fuzeon Enfuvirtide
EI T20
2003.12.18 2003.06.20
レイアタッツ Atazanavir
PI ATV
2005.3.23 2003.07.02
エムトリバ Emtricitabine
NRTI FTC
2004.12.24 2003.10.20
レクシヴァ Fosamprenavir
PI FPV
未承認 2005.06.22
Aptivus Tipranavir
PI TPV
FDA:Drugs Used in the Treatment of HIV Infection(http://www.fda.gov/oashi/aids/virals.html)参照
(Napravnik 05).
初回治療失敗時,副作用による抗 HIV 薬の使用 制限により,上記構造が変更される場合もあるが,
治療を考える上で,「強力な薬剤」と「NRTI」を区 別することは有用である.副作用で,ある「強力 な薬剤」を中止する場合には,同等の「強力な薬 剤」に変更すれば良く,「NRTI」の変更を考慮する 場合には,まず,別の「NRTI」に変更する.
現在,「NRTI」で「強力な薬剤」と判断される薬 剤はまだ存在しない.作用機序上の限界なのか,
単なる開発上の偏りなのかは不明である.更に,
「NRTI」が 2 剤で「強力な薬剤」に匹敵しうると の報告もない.
現在,「強力な薬剤」と考えられるのは,PI と nNRTI に属する薬剤である.PI の代表的薬剤が LPV!r であり,nNRTI の代表的薬剤が EFV であ
る.この 2 剤は米国ガイドラインを代表として,
多くのガイドラインの初回選択薬として推奨され ている(Table 2 参照).逆に考えると,現在の薬 剤レパートリーが 19 種類存在しても,代表的「強 力な薬剤」が LPV!r と EFV しかない現状では,
安心して組み立て可能な HAART は,2 回しかな いことになる.即ち,初回治療で成功させること が非常に重要であることを意味している.今後「強 力な薬剤」を key drug(s)と表記する.
今回は特に,抗 HIV 療法において中心的役割を 持つ薬剤=PI に関して,最近の知見を整理した い.
2.各 PI を考える前提
各薬剤に関して以下の項目について整理してみ る.
(A)各 PI 単剤での効果(これに関しては Ta-
Table 2 米国 DHHS ガイドライン(05 年 10 月 6 日 版)(http://www.aidsinfo.nih.gov/)
2NRTI 強力な薬剤
第一推奨薬剤の組み合わせ
3TC(または FTC)+ AZT LPV/r
3TC(または FTC)+ AZT
EFV 3TC(または FTC)+ TDF
第二推奨薬剤の組み合わせ
3TC(または FTC)+ ABC LPV/r 3TC(または FTC)+ TDF 3TC(または FTC)+ ddI 3TC(または FTC)+ d4T 3TC(または FTC)+ AZT 3TC(または FTC)+ ABC 3TC(または FTC)+ TDF 3TC(または FTC)+ ddI 3TC(または FTC)+ d4T ATV
FPV FPV + RTV IDV + RTV NFV SQV + RTV
3TC(または FTC)+ ABC
EFV 3TC(または FTC)+ ddI
3TC(または FTC)+ d4T 2NRTI NVP
注:ATV は TDF 使用時には RTV100mg と併用する.
(左記の いずれか)
ble 3 単剤(または RTV 併用時)の 各 PI の抗ウイルス効果参照)
(B)各 PI-HAART の 効 果(こ れ に 関 し て は Table 4 各 PI-HAART の効果比 較(24 週 後),Table 5 各 PI-HAART の効果比較(48 週後)参照)
(C)各 PI-HAART の salvage 療法時の効果
(D)各 PI の耐性とまとめ
各 PI 単 剤 で の 効 果 の 判 定 で は「ど れ だ け HIVRNA 量が低下したか」を中心に考える.「どれ だけ HIVRNA 量が低下したか」は重要なデータ だが,検査には検出感度があり,「50c!mL 未満」が
「10c!mL」なのか,「1c!mL」なのか,「0.1c!mL」な のか,は不明である.各論文で比較評価の難しい ところは,400c!mL 未満を 400c!mL と想定して 計算している場合と,それが明記されていない場 合がある.この判断は各論文の著者にまかされて いる.単剤投与は 4 週間以内とそれ以降で分けて 変化を評価する(Table 3 参照).
各 PI-HAART の効果は,「対象患者中どれだけ
の比率で治療が成功したか」を中心に考える.こ の時重要な解析は ITT(intention to treat)解析で ある.副作用による中断や経過観察脱落例も治療 失敗群に判定する解析方法である.治療成功の判 定は,HIVRNA 量が 50c!mL 未満が理想的であ り,400(〜500)c!mL 未満は acceptable であると 考 え ら れ て い る.あ る 患 者 が 治 療 を 開 始 し,
HIVRNA 量が「50c!mL 未満で安定すること」と,
「51〜399c!mL で安定すること(=400 未満だが 50 未満ではない)」の違いの評価は難しいが,最終 目標は「50c!mL 未満で安定すること」である.特 に,一旦「50c!mL 未満」を達成した後の,「51〜399 c!mL」は治療失敗を意味する可能性が高い(Ta- ble 4,5 参照).
Salvage 療法は日常臨床でしばしば遭遇する非 常に重要な問題である.しかし個々の症例におい ては,PI 治療失敗だが,nNRTI 未使用例の場合も あれば,nNRTI 治療失敗だが,PI 未使用例の場合 もある.NFV!AZT!3TC の失敗であれば,その後 の選択肢はまだ広い.このため Salvage 療法に関 する「臨床で有用な」研究は乏しいのが現状であ る.以下に Salvage 療法に関して数報をまとめて みた(Table 6 参照).全例,PI+2NRTI での治療 失敗が 1 回(以上)ある患者が対象となり,nNRTI の使用歴に関しては様々である.表中網掛けをし ている部分は,対象患者は nNRTI 未使用患者で Fig. 1 IDV!AZT!3TC と IDV 単独と AZT!3TC の 3
群の比較(Gulick 97)
Table 3 単剤(または RTV 併用時)の各 PI の抗ウイルス効果 報告 HIVRNA 量減少
期間 1 日量
短期効果(4 週以内)
Markowitz 95 0.83 log
4 週間 600 〜 1,200mg
RTV
Schapiro 96 1.06 log
2 週間 3,600mg
SQV
Danner 95 1.13 log
4 週間 1,200mg
RTV
Schapiro 96 1.34 log
2 週間 7,200mg
SQV
Sanne 03 1.41 log
2 週間 400mg
ATV
Murphy 99 約 1.5 log
4 週間 2,400mg
APV
Sanne 03 1.51 log
2 週間 2,250mg
NFV
Gulick 97 約 1.6 log
4 週間 2,400mg
IDV
Schooley 01 1.6 log
4 週間 2,400mg
APV
Markowitz 98 1.88 log
4 週間 2,250mg
NFV
Murphy 01 1.85 log
2 週間 400 or 800/200mg
LPV/r
Japour 98 約 2.0 log
3 週間 800/200mg
LPV/r
Osman 05
(2.5 log)
(4 〜 8 週間)
1,200mg/200mg SQV/RTV
長期効果(12 週以上)
Schapiro 96 0.48 log
24 週間 3,600mg
SQV
Markowitz 95 0.5 log
12 週間 600 〜 1,200mg
RTV
Danner 95 0.81 log
32 週間 1,200mg
RTV
Schapiro 96 0.85 log
24 週間 7,200mg
SQV
Murphy 99 0.91 log
12 週間 2,400mg
APV
Atkinson 00 1.0 log
16 週間 2,250mg
NFV
Gulick 97 1.24 log
24 週間 2,400mg
IDV
Gathe 04 2.09 log
12 週間 800/200mg
LPV/r
注:約とは筆者が図表から推測した値
salvage 療法に nNRTI が含まれている場合であ る.EFV,NVP,DLV と nNRTI の強さに違いが あるが,基本的には,nNRTI 未使用患者に対する nNRTI を含んだ salvage 療法が治療効果は優れ て い る(Hammer 02 で は,47% vs 19% ま た は 33% vs 8% で あ り,Jensen-Fange 01 の 例 で は 55% vs 22% であった).
注 意 す べ き は,Hammer 02 で は APV!EFV! ABC!ADF(adefovir)+placeb 群 が 8%,Gulick 00 では SQV!NFV!ADF 群が 8%,Jensen-Fangel 01 で は NFV+2NRTI 群 が 22% の salvage 成 功 率であった.これらの群は本来効果が非常に期待 できない群である.Salvage 治療研究の中にはこ のような患者群(易治療性)も含まれていること を考慮して,研究結果を評価すべきである.
3.PI 治療における RTV の役割
PI に 関 す る 考 え 方 も 変 化 が あ り,現 在 で は
「RTV 併用 PI」が key drug(s)としての PI の基 本形となりつつある(Lichterfeld 03).
種々の治療ガイドラインにおいても,「RTV 併 用 PI」が明示されている.HAART の経験の蓄積 により,薬剤血中濃度の保持が重要であることが 共通認識となり,薬剤血中濃度の保持を達成する ために薬剤代謝酵素(CYP3A4)阻 害 剤 で あ る RTV が常用されるようになった.RTV は強力な CYP3A4 の 阻 害 作 用 を 持 ち,阻 害 剤 と し て の RTV は 100mg〜200mg の量であることが多い.
この場合 RTV の抗ウイルス効果は期待されてい な い(Table 7 参 照).各 PI の 単 独 投 与 と RTV 併用時の血中薬物濃度の比較を見ると,その効果 を見ることが出来る.RTV 併用が最初に試みられ た SQV においては,RTV 併用時の C min は SQV 単独と比較し 19.8 倍〜21 倍の上昇が認められ,
AUC では 10.2 倍〜17.2 倍の上昇が認められてい る.最 近 の PI で あ る FPV や ATV で は,AUC の上昇は 2 倍程度であるが,C min は各薬剤単独 と比較し 4〜6 倍の上昇が認められている.また,
RTV 併用による薬剤血中濃度保持の利点は,3
Table 4 各 PI-HAART の効果比較(ITT,24 週後)
PI 初回患者が対象.PI に関して量が記載されていない場合は通常推奨量.
報告 24 週後
人数 NRTI 治療歴 2NRTI
PI CD4 数
上昇 検出感度未満率
HIVRNA
量低下(log) 50 c/mL 400 c/mL
Mitsuyasu 98 116
(16 週)
37%
(16 週)
23%
(16 週)
1.6
(16 週)
81 4 週未満 2NTI
SQV(硬カプセル)
Mitsuyasu 98 97
(16 週)
67%
(16 週)
37%
(16 週)
2.0
(16 週)
90 4 週未満 2NTI
SQV(軟カプセル)
Murphy 03 ND
約 61%
約 38%
約 2.4 91
(−)
d4T/3TC NFV
Murphy 03 ND
約 71%
約 38%
約 2.6 181
(−)
d4T/3TC ATV
Kirk 99 71% 132
(200 c/mL)
40%
(20 c/mL)
2.59 96
(+)
2NTI IDV
Eron 00 約 60% ND
(500 c/mL)
約 41%
2.5 102
4 週未満 ddI/d4T
IDV
Eron 00 約 53% ND
(500 c/mL)
約 42%
2.6 103
4 週未満 AZT/3TC
IDV
Staszewski 99 86
約 56%
約 43%
ND 148
15% に(+)
AZT/3TC IDV
Wheat 02 144
60%
43%
ND 281
? 2NTI
SQV(軟カプセル)
R-French 04 ND
約 56%
約 45%
ND 83
4 週未満 3TC/ABC
NFV
Kirk 99 67% 117
(200 c/mL)
45%
(20 c/mL)
2.20 95
(+)
2NTI RTV
Kirk 99 82% 110
(200 c/mL)
47%
(20 c/mL)
2.69 93
(+)
2NTI SQV800/RTV800
Young 02 ND
68%
52%
ND 89
3TC 初回 d4T/3TC
IDV1,600/RTV200
R-French 04 ND
約 73%
約 53%
ND 166
4 週未満 3TC/ABC
FPV
Gathe 04 207
約 76%
約 53%
ND 327
4 週未満 3TC/ABC
NFV
Gathe 04 203
約 78%
約 57%
ND 322
4 週未満 3TC/ABC
FPV1,400/RTV200
Walmsley 02 ND
約 72%
約 60%
ND 327
2 週未満 d4T/3TC
NFV
Walmsley 02 ND
約 80%
約 65%
ND 326
2 週未満 d4T/3TC
LPV/r
Murphy 01 ND
約 97%
約 89%
ND 35
(−)
d4T/3TC LPV/r
注:約とは筆者が図表から推測した値.報告は 50 c/mL 未満率で順に並べてある.
回以上の内服回数を 1 日 2 回〜1 回に減らすこと が可能である点でもある.抗 HIV 療法は数十年に 及ぶ可能性があり,内服率維持において 1 日 2 回 以下(できれば 1 日 1 回)が非常に重要な要因と 考えられている.
PI の中で RTV と併用されることがない唯一の PI は NFV で あ る.RTV は CYP3A4 と 共 に CYP2C19 も阻害するが,その阻害効果は弱い.
NFV の代謝はこの CYP2C19 が中心であり,この ため RTV の併用効果が他の PI ほど認められな いと考えられる(Zeldin 04).
現在最も重要な PI であるカレトラ(LPV!r)は 既に lopinavir と ritonavir が合剤の剤型で発売さ れている.
各PIについて 1.記載上の注意点
!「ITT 解析 24 週目での血漿 HIVRNA 量が 50 copies!mL 未満率」は「ITT,24 週,50c!mL 未満」と表記する.
"「log10copies!mL」は「log c!mL」と表記する.
#薬剤耐性に関する情報,文献は,HIVresis- tanceWeb ( http:!!www.hivresistanceweb.
com!index.shtml)と Stanford 大学 HIV drug resistance databese(http:!!hivdb.stanford.
edu!)の情報が中心.これに関する文献は今 回記載していない.
2.Saquinavir(SQV)について
SQV は 1995 年 12 月 最 初 に FDA に 認 可 さ れ た PI である.SQV が認可された当初は,HAART を 成 立 さ せ る 要 素 は ま だ 十 分 で は な か っ た.
HAART を成立させる薬剤数も少なく,短期的に 治 療 効 果 判 定 す る 場 合 に 最 も 重 要 な 血 漿
Table 5 各 PI-HAART の効果比較(ITT,48 週後)
PI 初回患者が対象.PI に関して量が記載されていない場合は通常推奨量.
報告 48 週後
人数 NRTI 治療歴 2NRTI
PI CD4 数
上昇 検出感度未満率
HIVRNA 量
低下(log) 50 c/mL 400 c/mL
Eron 00 41% ND
(500 c/mL)
ND 2.6
103 4 週未満
AZT/3TC IDV
Murphy 03 211
53%
34%
2.31 91
(−)
d4T/3TC NFV
Murphy 03 234
64%
35%
2.51 181
(−)
d4T/3TC ATV
Wheat 02 213
47%
37%
ND 281
? 2NTI
SQV(軟カプセル)
Eron 00 53% ND
(500 c/mL)
ND 2.6
102 4 週未満
ddI/d4T IDV
R-French 04 216
51%
41%
2.32 83
4 週未満 3TC/ABC
NFV
Young 02 ND
45%
42%
ND 89
3TC 初回 d4T/3TC
IDV1,600/RTV200
Staszewski 99 185
48%
43%
ND 148
15% に(+)
AZT/3TC IDV
R-French 04 201
66%
51%
2.41 166
4 週未満 3TC/ABC
FPV
Walmsley 02 195
63%
52%
ND 327
2 週未満 d4T/3TC
NFV
Gathe 04 207
68%
53%
ND 327
4 週未満 3TC/ABC
NFV
Gathe 04 203
69%
55%
ND 322
4 週未満 3TC/ABC
FPV1,400/RTV200
Walmsley 02 207
75%
67%
ND 326
2 週未満 d4T/3TC
LPV/r
Murphy 01 213
91%
86%
ND 35
(−)
d4T/3TC LPV/r
報告は 50 c/mL 未満率で順に並べてある
Table 6 Salvage 療法の比較.PI + 2NRTI 失敗歴(± nNRTI 使用歴)患者を対象とした場合 検出感度未満率 判定基準
治療内容 nNRTI 歴
例数
Hammer 02:PI 失敗.EFV + APV を骨格に更に PI を追加(SQV,IDV,NFV)した効果を見る.
47%
24 週,200 c/mL 未満 APV + EFV + ABC + ADF + PI 追加
無 84
33%
24 週,200 c/mL 未満 APV + EFV + ABC + ADF + placebo
無 31
19%
24 週,200 c/mL 未満 APV + EFV + ABC + ADF + PI 追加
有 28
8%
24 週,200 c/mL 未満 APV + EFV + ABC + ADF + placebo
有 5
Gulick 00:IDV(PI)失敗.NNRTI 未使用患者への PI と DLV の使用.
30%
24 週,500 c/mL 未満 SQV + RTV + DLV
無 37
20%
24 週,500 c/mL 未満 SQV + RTV + ADF
無 35
31%
24 週,500 c/mL 未満 SQV + RTV + DLV + ADF
無 36
41%
24 週,500 c/mL 未満 SQV + NFV + DLV
無 37
20%
24 週,500 c/mL 未満 SQV + NFV + ADF
無 40
22%
24 週,500 c/mL 未満 SQV + NFV + DLV + ADF
無 36
Jensen-Fangel 01:SQV or RTV or IDV 治療失敗.NNRTI 未患者への NFV + NVP の効果.
22%
24 週,200 c/mL 未満 NFV + 2NRTI
無 27
55%
24 週,200 c/mL 未満 NFV + NVP + 2NRTI
無 29
網掛け部分は nNRTI 未使用患者に nRTI を併用した salvage 療法での成績
HIVRNA 定量も日常検査としては存在しなかっ た.HIVRNA 定 量 の 最 初 の 検 査 キ ッ ト が FDA で認可されたのは 1996 年 6 月 3 日であった.この 時期,HAART が最も熱狂的に受け入れられた理 由は,その CD4 数の回復と患者の QOL の回復で
あった.
SQV は最初に認可された PI であり,その変遷 は,PI 全体の歴史が反映されている.
!SQV(=硬カプセ ル)時 代:早 期 の 治 療 失 敗・薬剤耐性化と血中濃度問題の重要性の確
Table 7 RTV(多くは 100 〜 200mg)併用時と単独投与時の薬物濃度の比較
RTV 併用による濃度変化(倍)
RTV 併用投与 単独投与
報告
C min C max
AUC
19.8 8.5
17.2 SQV 1,600 + RTV 400(2X)
SQV 1,800(3X)
Buss 01
21 5.5
10.2 SQV 800 + RTV 800(2X)
SQV 1,800(3X)
10.8 〜 11 1.3 〜 1.6
2.3 〜 2.7 IDV 1,600 + RTV 200(2X)
IDV 2,400(3X)
Saah 01
1.3 〜 1.9 1.1 〜 1.3
1.2 〜 1.4 NFV 2,500(2X)+ RTV 100/200
NFV 2,250(3X)
Kurowski 02
2.1 〜 2.3 1.6 〜 1.7
1.7 〜 1.9
(同,Nelfinavir の活性代謝物 M8 濃度)
3.6 0.8
1.4 APV 1,200 + RTV 200(2X)
APV 2,400(2X)
Sale 02
6.1 1.3
2.4 FPV 1,400 + RTV 200(2X)
FPV 1,400(2X)
FPV Prescribing
Information FPV 1,400(2X) FPV 1,400 + RTV 200(1X) 2.1 1.5 4.1 6.6 1.2
2.1 ATV 300 + RTV 100(1X)
ATV 400(1X)
ATV Briefing Document.
注:倍数は「RTV 併用投与時の値」/「単独投与時の値」で計算
認
!SQV(=軟カプセル)時代:剤型の変換によ る対応とそれでも残る血中濃度問題
"SQV 800mg!RTV 800mg 時 代:初 回 治 療 失 敗後の HAART 治療問題
#SQV 1,200mg!RTV 200mg 時 代:CYP3A4 阻害剤としての少量 RTV 併用
(A)SQV 単剤(または SQV!RTV 単独)での効 果(Table 3 参照)
Schapiro 96 は,1 日 3,600mg 単独投与 2 週間で HIVRNA 量は 1.06log c!mL 低下し,CD4 数は 4 週目で 72!mm3上昇したことを報告した.単剤で の効果としては強くない.1 日 7,200mg 単独投与 2 週間では HIVRNA 量は 1.34 log c!mL 低下して いた.
Osman 05 は 2005 年 に SQV!RTV 単 独 投 与 の 効果を短報で報告している.28 例の未治療患者に 対して SQV 1,200mg!RTV 200mg(2X)を投与し,
4〜8 週 間 の 効 果 を 検 討 し た.4〜8 週 後 に HIVRNA 量は 2.5log c!mL 低下していた.強力な 効 果 と 考 え ら れ る.十 分 な 評 価 な さ れ る 前 に LPV!r が登場したため,SQV!RTV の効果は中途 半端な評価のままである.LPV!r が副作用で使用 できない場合の次の選択肢になりうる結果であっ た.
(B)SQV-HAART の効果(Table 4,5 参照)
Mitsuyasu 98 は SQV(硬 カ プ セ ル)-HAART と SQV(軟カプセル)-HAART の効果を 報 告 し
た.ITT,16 週,400c!mL 未満(50c!mL 未満)は 硬カプセルでは 37%(23%)で,軟カプセルでは 67%(37%)であった.Key drug(s)の血中濃度 上昇で効果が増強されることが示された.しかし 現在の HAART の効果から判断すると両者とも 弱い効果であった.他に初回治療患者に対する SQV(軟カプセル)-HAART としては,Wheat 02 の報告がある.SQV(軟カプセル)3,600mg!日を key drug(s)とし,2NRTI を併用した結果は,
ITT,24 週,400c!mL 未満率(50c!mL 未満率)が 60%(43%)であり,48 週で 47%(37%)であっ た.中等度の効果であった.
Kirk 01 は,欧州での多数患者(2,708 例)での治 療 効 果 を SQV-HAART,RTV-HAART,IDV- HAART に関して比較している.SQV 単剤を key drug とした際の効果が IDV,RTV より劣ること が示されている(Table 8 参照).
SQV 800mg!RTV 800mg を key drug(s)とし た初回治療での効果の検討もされている.Kirk 99 は,269 例の患者に対して,SQV 800mg!RTV 800 mg,IDV 2,400mg,RTV 1,200mg の 3 群 を 比 較 し報告している(各群とも 2NRTI を併用).SQV! RTV 群は IDV 群,RTV 群に対して有意に優れた 結果であった.SQV!RTV 群の効果は SQV 単独 に比較し非常に改善し,RTV 群,IDV 群より優れ た 結 果 で あ っ た.24 週 目 の 200c!mL 未 満 率 が 82% は良い結果であった(Table 9 参照).しかし,
現実的には,RTV 800mg の併用は RTV の副作用
Table 8 Key drug (s)としての SQV,RTV,IDV の比較(Kirk 01)
IDV RTV
SQV
1.5 log c/mL 1.5 log c/mL
1.2 log c/mL 12 カ月後 HIVRNA 量低下
54%
47%
41%
12 カ月後 500 c/mL 未満率
96 /mm3 90 /mm3
74 /mm3 12 カ月後 CD4 数上昇
Table 9 Key drug (s)としての SQV/RTV,RTV,IDV の比 較(Kirk 99)
IDV RTV
SQV/RTV
71%
67%
82%
24 週,200 c/mL 未満率
40%
45%
47%
24 週,20 c/mL 未満率
132 /mm3 117 /mm3
110 /mm3 12 カ月後 CD4 数上昇
のため今後試みられることは少ないと思われる.
SQV!RTV の 初 回 治 療(SQV 量 を 増 加 さ せ RTV 量 を 減 量)の 報 告 と し て は,Montaner 04 の報告がある.対象患者は 147 例(90% が PI 未治 療)であった.SQV 1,600mg!RTV 100mg 1 日 1 回
(+2NRTI)と IDV(+2NRTI)を比較している.
ITT,24 週,50c!mL 未満率が SQV!r 群は 51%,
IDV 群は 42% であった.やはり IDV 群より優れ た結果であった.
現在 PI において最も信頼される LPV!r と直接 SQV!RTV を比較した報告は少ない(現状では,
RTV100〜200mg 程度の併用時の SQV 治療効果 は「劣ってはいないが,LPV!r との優劣は同等ま たは劣る」との認識である).Ananworanich 05 は 2005 年 7 月に SQV 1,600mg!RTV 100mg(1 日 1 回)初回治療を報告し,約 30 週の経過でウイル ス学的失敗(HIVRNA 量 500c!mL 以上または 2 log 未満の低下)が 4% であったこと,更に治療失 敗者に minor な耐性変異しか入っていなかった ことを報告している.今後の評価を待たなければ ならない.
(C)SQV-HAART の salvage 療 法 時 の 効 果
(Table 6 参照)
治療失敗患者に対して SQV 使用する場合は,
殆ど RTV と併用されている.RTV との併用なし では「弱い」ためである.Salvage 療法時の RTV の併用量は,以前は 800mg であったが,最近は減
量される方向にある.
Deeks 98 は IDV ま た は RTV を 含 む HAART 治療失敗後(18 例;IDV 歴 17 例,RTV 歴 4 例)の SQV800mg!RTV800mg(+2NRTI)という選択肢 を検討した.治療変更後 4 週目に一旦 HIVRNA 量は 1.43log c!mL と低下したが,12 週目には治療 変 更 前 値 ま で 再 上 昇 し て い た.18 例 中 15 例
(83%)がウイルス学的失敗であった.(主に)IDV を含む HAART 失敗に対して,SQV!RTV を key drug(s)とした salvage 療法の有効性が低いこと が示された.
Tebas 99 は NFV を 含 む HAART 治 療 失 敗 後
(26 例)の SQV800mg!RTV800mg(+d4T!3TC)
という選択肢を検討した.治療変更後 4 週目には HIVRNA 量は 1.7log c!mL と低下した.24 週,500 c!mL 未満(50c!mL 未満)は 71%(59%)であっ た.NFV を含む HAART 失 敗 に 対 し て,SQV! RTV の salvage 療法の有効性が高いことが示さ れた.Salvage 失敗群の 治 療 変 更 時 の HIVRNA 量は 72,397c!mL であり,成功群(36,083c!mL)と 比較して高い値であった.
現在最も信頼できる salvage 療法は LPV!r を 中心とした組み合わ せ と 考 え ら れ る が,SQV! RTV との比較試験はない.しかし,Deeks 98 らの 結果から類推すると,LPV!r ほどの信頼性は乏し いと推定される.
(D)SQV の耐性とまとめ
現在 SQV が key drug(s)として単独で使用さ れることは(特殊な場合を除いて)ない.薬剤耐 性 の 観 点 か ら は,SQV の 高 度 耐 性 関 連 部 位 は G48V,I84V,L90M の 3 カ所(特に 48,90)であ る.G48V は SQV に対し約 10 倍耐性化し,RTV,
IDV,NFV に対しては約 3 倍耐性化すると報告 されている.I84V は SQV では 2〜6 倍耐性化し RTV,IDV,APV,LPV!r にも耐性化 す る.通 常,L90M 後に出現すると報告されている.L90M は,LPV までの PI に対しては耐性化する.この 3 カ所は,他の PI 耐性と重なる部位であり,SQV は「PI での交叉耐性」に関する代表的薬剤といえ る.SQV 単独の key drug(s)では salvage 療法が 適さない理由と考えられる.
今後 SQV!RTV を key drug(s)とした場合の 使用に関しては評価の余地はある.しかし全体の PI の流れからは離れている.LPV!r を key drug
(s)とした効果が強力な HAART と,ATV!RTV を key drug(s)とした副作用の mild な QOL 重視 の HAART と比較して,SQV!RTV がどちらの性 格を特徴とするのか評価は付けがたい.
2.Ritonavir(RTV)について
RTV は 1996 年 3 月に,FDA に認可された PI である.忍容性と肝障害のため単独の PI として使 用された時期は短かった.RTV は CYP3A4 を強 く阻害する薬剤であり,薬剤相互作用を最も注意 しなければならない薬剤である.現在は併用薬剤 の血中濃度維持するための非常に重要な薬剤と考 えられている(前述参照).Lopinavir(ABT-378)
は開発当初から強力な抗 HIV 効果が確認されて いたが,血中濃度の維持が問題であった.その問 題を解決したのが RTV 併用であった.
現在の PI のラインナップでは,RTV との併用 が推奨されている.薬物動態を改善することは,
初回治療患者では 1 日 1 回の投与が可能となるこ と(LPV!r,ATV!RTV,FPV!RTV)であり,初 回治療失敗患者では salvage 療法として強力にな るためである.しかし,肝障害がベースに想定さ れる患者では,RTV の投与量がなるべく少ない選 択肢を考慮すべきと考えられる(Sulkowski 00).
(A)RTV 単剤での効果(Table 3 参照)
Danner 95 は 1995 年 に RTV 単 剤 投 与 の 結 果 を報告している.投与量 800,1,200mg!日での結 果は,4 週目で HIVRNA 量は 800mg:0.83log c! mL,1,200mg:1.13log c!mL 低下していた.1,200 mg 投与群は 32 週で 0.81 log c!mL 低下し,CD4 数 は 230!mm3上 昇 し て い た.Markowitz 95 の 1RTV 単剤投与(600〜1,200mg!日)の結果では,
4 週目で HIVRNA 量は 0.83log c!mL 低下し,12 週で 0.5log c!mL 低下していた.単剤での効果は 強いとは考えられない.
(B)RTV-HAART の効果(Table 4,5 参照)
初回治療患者(32 例)に対する RTV!AZT!ddC の多剤併用療法(最初の 2 週間は RTV 単剤)の結 果が Mathez 97 によって報告されている.2 週目 には CD4 数が 173!mm3上昇し,28 週まで に 12 例が治療中断に至った.HIVRNA 量の変化は測定 さ れ な か っ た.Notermans 98 ら は RTV!AZT! 3TC の結果(16 例)を報告している.3 週目には HIVRNA 量は 2.09log c!mL 低下し,24 週で約 2.8 log c!mL 低下した.ITT,24 週,250c!mL 未 満 率は 86%,CD4 数上昇は 180!mm3であった.24%
の症例が副作用にて治験を中止しており忍容性に 問題があることが示されたが,抗ウイルス効果と し て は 優 れ た 結 果 で あ っ た.前 述 し た Kirk 99
(Table 9 参 照)の 結 果 か ら は RTV-HAART は IDV-HAART と 同 等 ま た は そ れ 以 下 で あ り,
SQV!RTV-HAART からは劣ると考えられる.副 作用と効果を勘案し,RTV-HAART が選ばれる ことは普通ない.
(C)RTV-HAART の salvage 療 法 時 の 効 果
(Table 6 参照)
RTV を単独 PI として salvage 療法に使用する 試みはほとんどない.
(D)RTV の耐性とまとめ
現在 RTV の役割は他剤の boost 機能である.
現在の薬剤レパートリーでは他剤の boost 機能に 最も優れた薬剤が RTV なので,RTV が選ばれて いる.薬剤耐性の観点からは,RTV の高度耐性関 連部位は V82A!T!F!S,I84V の 2 カ所であり,
特 に V82A!T!F!S が 重 要 で あ る.RTV と IDV はかなり共通の耐性パターンを持ち,32,46,
Table 10 IDV 単剤,AZT/3TC,IDV/AZT/3TC の比較(Gulick 97)
IDV/AZT/3TC AZT/3TC
IDV
33 33
31 症例数
約 1.8 約 1.1
約 1.6 4 週 HIVRNA 低下(log c/mL)
1.77 0.83
1.24 24 週 HIVRNA 低下(log c/mL)
90%
0%
43%
24 週 500 c/ml 未満率
約 70%
0%
約 30%
24 週 50 c/ml 未満率
86 46
101 24 週 CD4 数上昇(/mm3)
注:約とは筆者が図表から推測した値.
Table 11 IDV/AZT/3TC,EFV/AZT/3TC,IDV/EFV の比較(Staszewski 99)
EFV/IDV EFV + AZT/3TC
IDV + AZT/3TC
148 148
154 人数
53%
70%
48%
48 週,400 c/mL 未満率
47%
64%
43%
48 週,50 c/mL 未満率
84%
98%
86%
OT:48 週,400 c/mL 未満率
75%
90%
79%
OT:48 週,50 c/mL 未満率
180 201
185 CD4 上昇
54,82,84,90 を介して広く PI の交叉耐性を有 する.
CYP3A4 の代謝阻害による血中薬物濃度保持 という側面以外に,RTV が P-glycoprotein に作用 することで細胞内薬物濃度保持にも役立っている のではないかとの観点で研究されているが一定の 見解には至っていない(Chaillou 02).
3.Indinavir(IDV)について
IDV は PI としての FDA 認可は 3 番目であっ たが,FDA 史上最速 42 日で認可がおりた PI であ る.それほど期待された PI であり,IDV にて初め て HAART が 確 立 さ れ た と 考 え ら れ る(前 述 Gulick 97 参照).発売当初は 8 時間毎空腹時内服 が必要であり,1 日に 1.5 リットル以上の水分補給 したにもかかわらず,約 16% に腎・尿路結石を合 併し,16% に消化器症状を合併した.光(効果)も 影(副作用)も強烈な薬剤であった.
(A)IDV 単剤での効果(Table 3 参照)
Gulick 97 の報告では,4 週目で HIVRNA 量は 約 1.6log c!mL 低下し,24 週で 1.24log c!mL 低下 していた.CD4 数は 24 週で 101!mm3上昇してい た.強力な薬剤であることを示唆する結果であっ
た.
(B)IDV-HAART の効果(Table 4,5 参照)
Gulick 97 らの報告では IDV!AZT!3TC 治療に おいて,24 週目 500c!mL 未満率(50c!mL 未満率)
は,90%(約 70%)であった(ITT ではないがほ とんど中断・脱落例なし).この報告では LPV!r に双肩しうる結果であった(Table 10 参照).
しかし,以後はこれほどの結果はない.副作用 での脱落が多いためと考えられる.Staszewski 99 らは興味深い報告をしている(Table 11 参照). IDV!AZT!3TC と EFV!AZT!3TC と EFV!IDV を比較した報告である.PI,nNRTI,3TC に治療 歴のない患者が対象となった.ITT,48 週,500c!
mL 未満率(50 c!mL 未満率)の結果は,IDV 群は 48%(43%)であり,EFV 群は 70%(64%)であ り,EFV!IDV 群は 53%(47%)であった.IDV は ITT 解析では低い結果であった.興味深いのは OT 解析(内服継続中の患者のみで検討)である.
OT 解析では IDV 群は非常に良い結果(48 週,
50c!mL 未満率,79%)である.「尿路結石・消化器 症 状 の 副 作 用 の 程 度 の 軽 い 患 者 で は,IDV- HAART の効果は強い」という印象を裏付ける結
Table 12 NFV と他 PI との比較研究,24 週と 48 週の結果
投与方法
< 400 RTV < 50
比較 PI (±)
< 400
< 50 NFV
2NRTI 24 週
1 日 1 回 約 71%
約 38%
(−)
400 ATV 約 61%
約 38%
2,500 d4T/3TC Murphy 03
1 日 2 回 約 73%
約 53%
(−)
2,800 FPV 約 56%
約 45%
2,500 AZT/3TC R-French 04
1 日 1 回 約 78%
約 57%
200 1,400 FPV 約 76%
約 53%
2,500 3TC/ABC Gathe 04
1 日 2 回 約 80%
約 65%
200 800 LPV
約 72%
約 60%
2,250 d4T/3TC Walmsley 02
投与方法
< 400 RTV < 50
比較 PI (±)
< 400
< 50 NFV
2NRTI 48 週
1 日 1 回 64%
35%
(−)
400 ATV 53%
34%
2,500 d4T/3TC Murphy 03
1 日 2 回 66%
58%
(−)
2,800 FPV 51%
42%
2,500 AZT/3TC R-French 04
1 日 1 回 69%
53%
200 1,400 FPV 68%
55%
2,500 3TC/ABC Gathe 04
1 日 2 回 75%
67%
200 800 LPV
63%
52%
2,250 d4T/3TC Walmsley 02
注:約とは筆者が図表から推測した値.< 50:HIVRNA 50 c/ml 未満率,< 400:HIVRNA 400 c/ml 未満率
果である.また,この報告は EFV!IDV 併用療法 が決して抜き出た結果ではないことを示し,Key drug(s)+2NRTI の構造の妥当性を裏付けてい る.
Young 02 は IDV800mg!RTV100mg!d4T!3TC
(1 日 2 回)による初回治療の結果を報告してい る.ITT,24 週,400c!mL 未満率(50c!mL 未満 率)は,68%(52%)であった.IDV!RTV-HAART が IDV-HAART と同等の結果であった.
(C)IDV-HAART の salvage 療 法 時 の 効 果
(Table 6 参照)
IDV(RTV 併用なし)を salvage 療法として使 用する報告は多くはな い.臨 床 現 場 で は NFV- HAART に失敗後に IDV-HAART が有効であっ た例も経験したが,論文として報告されたものは 探せなかった.IDV(RTV 併用なし)使用時期の salvage 療法としては,SQV!RTV-HAART が中 心であったためとも考えられる.IDV!RTV によ る salvage 療法の報告は散見され,Campo 03 は 28 例 に 対 し て IDV 800mg!RTV 200mg+NRTI に て 6 カ 月 の HIVRNA 400c!mL 未 満 率 は 57%
という結果であった.出来の良い Salvage 治療の 目安が 24 週目(400c!mL 未満率)で 60% という 目安で考えると合格の結果であった.
(D)IDV の耐性とまとめ
薬剤耐性の観点からは,IDV の高度耐性関連部 位は V82A!T!F!S,I84V の 2 カ所である(他に
M46I!L を加える場合もある).特に V82A!T!F! S は最も頻度が高い.IDV,RTV,(SQV)は耐性に 共通性が高い.
現状では IDV が今後使用されることは非常に 少ないと予測される.IDV!RTV が 1 日 2 回の内 服だとしても,腎・尿路結石,消化器症状の問題 は依然残っている.Solas 02 は IDV 800mg!RTV 100mg(1 日 2 回)投与による最低血中濃度と消化 症状・腎障害との関連を報告している.IDV の C min は平均 1,465ng!mL であり,本来越えるべき 最低値(100ng!mL)よりかなり高い値であった.
RTV 併用は IDV 内服を簡便化するが,血中濃度 の安定による副作用の増加が生じてしまう.血中 濃度により投与量を調整することは理論的には可 能だが,study としての根拠もなく,現実的な煩雑 さもある.現状では,IDV は HAART の効果の偉 大さと adherence(服薬遵守)や QOL の問題を明 確化した歴史的薬剤と位置づけられる.
4.Nelfinavir(NFV)について
NFV の FDA 認可は 4 番目,IDV 認可から約 1 年後であった.IDV-HAART を経験した後には NFV は非常に 救われる PI であった.「効果があ る割には副作用が強くない」ということが最大の 特徴であった.この時期には,HAART により HIV 患者の寿命の延長が現実的となり,「長期に 内服継続可能な薬剤」ということが現実的に必要 とされていた.NFV 以降の新規 PI の研究は,ま
ず,NFV-HAART との比較試験がなされた.NFV と比較して抗ウイルス効果が劣るようでは,使用 価値が乏しいためである(Table 12 参照).
(A)NFV 単剤での効果(Table 3 参照)
Markowitz 98 の報告では,4 週で HIVRNA 量 は 1.88log c!mL 低下 し,4 週 で 50% が 500c!mL 未満,CD4 数上昇約 40!mm3と良好な結果であっ た.単剤・4 週間での 1.88 log c!mL の低下は臨床 で の 手 応 え に 比 し 良 い 結 果 と も 考 え ら れ る.
Sanne 03 の報告では,4 週での HIVRNA 量低下 は 1.51log c!mL であり, 実感に近い印象がある.
Atkinson 00 は AG1343―505 より,NFV 単剤投与 の結果を報告している.16 週間の単剤治療中に最 大 の ウ イ ル ス 量 減 少 は 1.5log c!mL の 低 下 で あ り,16 週目は 1.0log c!mL の低下であった.前述の 通り,key drug(s)としての NFV の効果は「中 等度」と考えられる.
(B)NFV-HAART の 効 果(Table 4,5,12 参 照)
Saag 01 は NFV750mg(×3)+AZT!3TC の効 果を報告している.ITT(?),24 週,400c!mL 未 満 率(50c!mL 未 満 率)が 81%(55%),CD4 数上昇は 95!mm3であった.この結果では良好な key drug(s)といえる.
NFV はそれ自身の効果判定の study とともに,
多くの他薬剤との比較試験がなされている(Ta- ble 12 参照).
Rodriguez-French 04 は 未 治 療 患 者 に 対 す る NFV!AZT!3TC と FPV!AZT!3TC と を 比 較 し て い る.FPV は RTV の 併 用 が な く,1 日 2,800 mg(2X)であった.ITT,48 週,400c!mL 未満 率(50c!mL 未満率)が NFV 群では 51%(41%),
FPV 群では 66%(51%)と FPV 群が優れていた.
両群とも中等度の効果といえる.
Gathe 04 は FPV(RTV 併用)1 日 1 回投 与 を NFV と比較し検 討 し て い る.2NRTI は ABC+
3TC であった.NFV-HAART は 1 日 2 回投与で,
FPV!RTV-HAART は 1 日 1 回 投 与 で あ っ た.
ITT,48 週,400c!mL 未満率(50c!mL 未満率)が NFV 群では 68%(53%),FPV!RTV 群では 69%
(55%)と同等の結果であった.ウイルス学的失敗
は,FPV!RTV 群 6%(20!322),NFV 群 9%(28! 327)であった.下痢の副作用は,FPV!RTV 群 9%,NFV 群 16% と有意差が認められた.両群と も良い結果といえる.
Walmsley 02 は 未 治 療 患 者 に 対 す る NFV
(+d4T!3TC)と LPV!r(+d4T!3TC)とを比較 し,LPV!r の優位さ を 報 告 し て い る.ITT,48 週,400c!mL 未 満 率(50c!mL 未 満 率)が NFV 群では 63%(52%),LPV!r 群では 75%(67%)と LPV!r 群が優れていた.ウイルス学的失敗は,
LPV!r 群 0.6%(2!362),NFV 群 9.2%(30!327)
であった.LPV!r 群の抗ウイルス薬としての確実 性が示された.
Murphy 03 の報告に関しては ATV の項で述べ る.
NFV を key drug(s)とした HAART の効果と しては Walmsley 02 の報告,48 週目 400c!mL 未 満率(50c!mL 未満率)が 63%(52%),が実際の 臨床の印象に近い.NFV-HAART は現状では選 択する積極的理由はない.
(C)NFV-HAART の salvage 療 法 時 の 効 果
(Table 6 参照)
NFV を salvage 療法として使用する報告はほ とんどない.前述の通り,NFV の場合には RTV 併 用 で の 血 中 濃 度 上 昇 も あ ま り 期 待 で き ず,
「RTV を併用した salvage 療法」としての上積み も期待できない.
(D)NFV の耐性とまとめ
PI を含め多くの key drug(s)を目指す新規薬剤 が比較としてまず採用する key drug(s)が NFV である.NFV は key drug(s)としての歴史的試 金 石 と 考 え ら れ る.新 規 薬 剤-HAART は NFV- HAART 以上の抗ウイルス効果がなければ,最終 的に患者に採用されない.そのために上記し示し たように,多くの比較研究が報告されている.米 国 DHHS ガイドライン(05 年 10 月 6 日版)にお い て も,Clinical trials have found nelfinavir to have a virologic effect similar to atazanavir and ritonavir-boosted fosamprenavir , but inferior to lopinavir!ritonavir, fosamprenavir, and efavirenz in terms of virologic suppression at 48 weeks,と
Table 13 4 種類投与量の組み合わせでの LPV/RTV-HAART の効果(Murphy 01)
GroupⅡ b 400/200 Group Ⅱ a
400/100 GroupⅠ b
400/100 GroupⅠ a
200/100
400mg/200mg 400mg/100mg
400mg/100mg 200mg/100mg
LPV/RTV の 1 回量
初期から 2NRTI 併用 初期から 2NRTI
LPV/r 単独 併用 LPV/r 単独
初期 2 週間
33 35
16 16
N
ND 単独投与 2 週間:1.85 log10 c/ml 低下
2 週目 HIVRNA 変化
57 56
42 43
400 c/ml 未満までの日数
85 74
72 77
50 c/ml 未満までの日数
約 90%
約 97%
約 85%
約 80%
24 週 400 c/ml 未満率
約 74%
約 89%
約 74%
約 68%
24 週 50 c/ml 未満率
80%
91%
81%
100%
48 週 400 c/ml 未満率
73%
86%
50%
100%
48 週 50 c/ml 未満率
213 ./mm3 244 ./mm3
48 週 CD4 数上昇
網掛け部分は LPV/r の通常の使用量
記載されている.現実的 NFV-HAART が採用さ れるのは,!妊婦で HAART が必要な場合,"治 療上条件の良い患者で副作用を含めた何らかの理 由で ATV!RTV が使用できない場合,の 2 つと考 えられる.
NFV 薬剤耐性には大事な側面が 2 つ あ る.1 つは治療失敗時に出現する耐性変異(D30N)が,
subtype B において非 subtype B より出現しやす い 可 能 性 が あ る と い う こ と で あ る(Grossman 04).Subtype B(欧米型)と非 subtype B との差 異,各 subtype の臨床的意義は今後の重要なテー マ で あ る.2 つ 目 は D30N 自 身 の 性 格 で あ る.
D30N の 出 現 時 に は NFV の IC50は 14 倍(5〜93 倍)以上耐性化すると考えられている(Stanford HDRDB,Patick 98).この D30N の特徴は,NFV に選択的に耐性であり,他の PI の感受性を変化さ せないということである.この考え方は,IDV- HAART 失敗後の SQV!RTV-HAART は salvage 失敗したが,NFV-HAART 失敗後の SQV!RTV- HAART は salvage 成功することを裏付ける.今 後,NFV 耐性の持つこの特徴が生かされれば,再 度,NFV 使用の選択肢は増えると考えられる.同 様の現象は ATV でも主張されている.耐性変異 の特徴(ある薬剤の耐性変異が他の薬剤の耐性変 異に良い方向をもたらす可能性)が治療薬選択に 寄与する可能性を示唆している.
5.Lopinavir!ritonavir(LPV!r)について
LPV!r は現在最強の抗 HIV 薬である.抗 HIV 効果が最も強く,耐性出現が最も少ない.効果に 比して副作用は acceptable である(実際には下痢 が問題になることも多いが,抗ウイルス効果を勘 案 す る と 非 常 に 良 い 薬 剤 で あ る).多 く の HAART 失敗患者がこの薬に救われて来たこと を経験している.Table 3,4,5 は LPV!r の強さ を理解してもらうための資料といえる.
(A)LPV!r 単独での効果(Table 3 参照)
Japour 98 は LPV!r の単独投与(phase II)の結 果を報告している.治療開始 3 週間は LPV!r が単 独投与(32 例)され,その後 d4T!3TC が追加さ れ た.こ の 結 果 で は,単 独 投 与 2 週 間 で の HIVRNA 量の約 2log c!mL 低下が認められ,CD4 数 上 昇 は 約 70!mm3で あ っ た.Gathe 04 は 最 近 LPV!r 単独治療を未治療患者に試み報告してい る.その報告では,12 週での HIVRNA 量低下は 2.09log c!mL であった.単剤 12 週では通常の薬剤 ではリバウンドが存在するが,LPV!r ではその段 階でも HIVRNA 量低下 2.09 log の効果を有する.
非常に強力な薬剤である.
(B)LPV!r-HAART の効果(Table 4,5 参照)
LPV!r-HAART に関しては Murphy 01 らの報 告を少し詳しく述べる.治療は 4 群に分けられ,
全群 d4T+3TC が併用された(Table 13 参照). 通 常 の 投 与 量 は LPV!RTV が 400mg!100mg である(網掛け部分). LPV!r-HAART の実感は,
Table 14 LPV/r での salvage 療法
ITT 解析 Salvage 療法(LPV/r + EFV 併用)
報告
24 週,400 c/ml 未満率:69 〜 82%
LPV/r + EFV + NRTIs Kempf 00,02
ITT 解析 Salvage 療法(LPV/r + EFV 併用なし)
報告
24 週,50 c/ml 未満率:58%
LPV/r + NRTIs Poulton 01
48 週,400 c/ml 未満率:69%
LPV/r + NRTIs Patterson 02
ITT 解析 Salvage 療法(PI + EFV)
報告
16 週,400 c/ml 未満率:35%
APV + EFV + ABC Falloon 02
16 週,400 c/ml 未満率:43%
NFV + EFV + adefovir/ABC or NRTI Hammer 99
Group II 400!100 の結果に近く,ITT,48 週,400 c!mL 未満率(50c!mL 未満率)が 91%(86%)と いう驚異的な結果であった.Table 5 においても これだけの結果を出せる key drug(s)はない.
Stryker 00 は上記患者を更に解析して報告して いる.HIVRNA 量の検出感度を 3c!mL で判定す ると,56% の患者が 3c!mL 未満に至っていた.
HIVRNA 量 の 治 療 前 値 が 100,000c!mL 未 満 で あった患者群では 72% が 3c!mL 未満に至ってい た が,100,000c!mL 以 上 の 患 者 で は 37% が 3c! mL 未満に至っただけであった.CD4 数の治療前 値が 200!mm3以上であ っ た 患 者 群 で は 67% が 3 c!mL 未満に至っていたが,200!mm3未満の患 者では 37% が 3c!mL 未満に至っただ け で あ っ た.LPV!r を含む抗 HIV 療法は非常に強力であ る が,HIVRNA 量 が,100,000c!mL 以 上 ま た は CD4 数が 200!mm3未満の患者では効果が低下す ることが示されている.
(C)LPV!r-HAART の salvage 療 法 時 の 効 果
(Table 6 参照)
LPV!r は治療失敗患者においても,最も期待で きる薬剤である.2000 年に発表された M98-957 は,2 剤以上の PI 失敗(+NRTI 失敗)で nNRTI 未使用患者を対象とした研究であった(Kempf 00,Kempf 02).平均 PI 使用歴は 3 剤であり,平均 NRTI 使用歴は 4 剤.68% が最低 3 剤の PI に対 して 4 倍以上の感受性の低下が認められていた.
29 例は LPV!r(800mg!200mg)+EFV600mg+
2NRTI で あ り,28 例 は LPV!r(1,066mg!266 mg)+EFV600mg+2NRTI であった.EFV との
併用で LPV!r の AUC が約 40% 低下するとの報 告もあり,LPV!r を 1,066mg!266mg と増量した arm が設定された.ITT,24 週,400c!mL 未満率 は通常量群で 69%,増量群で 82% であった.それ までの多くの salvage 療法の成功 率 が 30〜50%
であったことと比較すると,画期的に良い成績で あった.副作用による中断は通常量群で 14%,増 量群で 11% であった.
しかし,この治療は nNRTI 未使用患者が背景 であり EFV の効果が上乗せされている.LPV!r
(nNRTI の併用なし)での salvage 効果は不明で あった.LPV!r 自体の salvage 効果は PI 治療失 敗 患 者(nNRTI 未 使 用)に 対 す る EFV+PI
(LPV!r 以外)を骨格とした salvage 療法の報告 と比較することで明らかになる(Table 6 参照).
NRTI が ABC で あ る か 否 か は 結 果 に 影 響 し な かった.他 2 報告と比較して Salvage の効果にお いても LPV!r の結果が非常に優れていることが 認められる.
EFV を含まない場合の LPV!r-salvage 療法の 効果は如何であろうか(Table 14 参照).Poulton 01 らはこれに該当する 65 例の結果を報告してい る.Salvage 療 法 前 の CD4 数 は 70!mm3, HIVRNA 量は 100,000c!mL であった.58% の患 者が AIDS を発症していた.全例 PI 使用歴(平均 2.8 剤)があり,69% は RTV boost の PI 使用歴が あった.54 例では nNRTI 使用歴があった.LPV! r-salvage 療法の効果は ITT,24 週,50c!mL 未満 率は 58% であった(OT 解析では 74%).明らか なウイルス学的失敗は 4 例のみであった.治療効