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放射線治療・化学療法を受ける頭頚部腫療患者の 口腔ケアの検討

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Academic year: 2021

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(1)

放射線治療・化学療法を受ける頭頚部腫療患者の 口腔ケアの検討

ースタッフへのアンケートを実施して一

1.はじめに

放射線治療や化学療法は、さまざまな口腔有害事 象(口腔粘膜炎・口腔乾燥・口腔内庭痛など)を引 き起こす。頭頚部悪性腫療の患者も、放射線治療や 化学療法を行っている途中でそれら老引き起こすこ

とが大半である。

近年、治療前に蝕歯や歯周炎の治療など口腔ケア を徹底することで口腔有害事象が軽減できると言わ れている。

しかし、当病棟では治療前からの積極的な口腔内 の治療・ケアの介入が行われることは少なかった。

スタッフの多くから、口腔ケアに興味老持っている が、自分の知識に不安があるという意見がきかれた。

そこで、合併症の予防や軽減をはかる目的で、ス タッフがより多くの知識を持つため、口腔ケアの勉 強会者開催した。その前後に「口腔ケアに対する興 味」・「口腔内観察」などについて評価した。

11.研究方法

研究者を除く、口腔ケアに携わる看護師 14人(平 均年齢297歳)在対象とし、アンケートを実施 した。勉強会前アンケートは、 20077 10

~20 日とし、第 1 回口腔ケア勉強会は、 2007 年

730日に行った。第l回勉強会では、口腔外科 医により口腔ケアの基本・口腔内の観察方法につ いての説明が行なわれた。第2回口腔ケア勉強会 9月 10日に行い、その内容としては、勉強会前 アンケートの結果を参考にし、治療に伴う有害事象 について口腔外科医より説明された。勉強会後のア ンケートは、 2007 年 9 月 11 日 ~20 日に行った。

アンケートは、「口腔ケアに対する興味」・「口腔内

A7階南

O福 田 美 知 子

山 下

田 中 美 由 紀 藤 田 奈 穂

観察」などの30項目を行い、 5段階評価とした。

111.倫理的配慮

アンケートは無記名とし、内容は本研究の目的以 外に使用しないこと・参加しなくても勤務上不利益 が生じないことを説明し、同意と協力老得た。

IV.結果

ア ン ケ ー ト の 回 収 は 2固とも 14人中 13 (92.8%)であった。それぞれの口腔ケアについて のアンケート老ウィルコクソンの符号付き順位和検 定を行い比較したところ、7項目において有意差 (p

< 0.05)を認めた。

「蝕歯の確認」は、勉強会前1.250.62、勉強 会後2.3:::!:::1.31と勉強会後が有意に高値を示した (p < 

o .  

042) (図1)。勉強会前「全くしていない」

人が 11 (84.6%)と高率で、あったが、勉強会後 5 (38.4%)と有意に低率を示した。

「蝕歯の有害事象」は、勉強会前2.69:::!:::1.1、勉 強会後3.93:::!:::1.4と勉強会後が有意に高値を示し (p< 0.015) (2)。勉強会前は「少し知って いる」人が3 (23%)と低率であったが、勉強 会後は、 7 (53.8%)と有意に高率を示した。

「歯肉炎の有害事象」は勉強会前2.53:::!:::1.12 勉強会後40.91と勉強会後が有意に高値を示し (p<0.015)(3)。勉強会前は「少し知って いる」人が、 1 (7.6%)と低率であったが勉強 会後では6 (46.1%)と有意に高率を示した。

「口内炎の有害事象」は勉強会前3.3:::!:::  0.85、勉 強会後4.230.91と勉強会後が有意に高値を示 した(p< 0.029) (図的。勉強会前は「知っている」

to

(2)

人が、 l人 (7.6%)と低率であったが、勉強会後は、

4 (30.7%)と有意に高率を示した。

「開口障害の有害事象」は、勉強会前2.07:::!::  0.86 勉強会後3.38:::!::1.26と勉強会後が有意に高値を 示した (p

0.008) (5)0勉強会前は「少し知っ ている」人が0人だったが、勉強会後は6(46.1%)

と有意に高率を示した。

「プラークの有害事象」は、勉強会前2.23:::!::1.09 勉強会後3.69:::!::  0.94と勉強会後が有意に高値を 示した (pO.  012) (6)。勉強会前は、「少し 女日っている」人が2人(15.3%)と低率で、あったが、

勉強会後は7 (538%)と有意に高率を示した。

「適切な説明の提供」勉強会前2.07:::!::  0.75、勉 強 会 後3.150.89と勉強会後が有意に高値を示 した (p0.024) (7)。 勉 強 会 前 は 「 時 々 し ている」人が O人であったが、勉強会後は、 6人

(46.1 %)と有意に高率を示した。

有害事象の項目の中でも「舌苔の有害事象J(p 

0.105)、「入れ歯の有害事象J(p 

0.09)の項 目では有意差は認められなかった。しかし2項目 とも、勉強会後の方が「少し知っているJ・「知って いる」人が多い傾向で、あった。

10% 20 30%40%  50~泊 60児 70% 80%  90%  100

ウィルコクソンの順位和検定 P0.042 1 蝕歯の確認

10%20%  30%  40%  50%  6070%80%  90%  100 ウィルコウソンの順位和検定 P0.015 2 蝕歯の有害事象

o o 

nL  

悶あまり知らない

0 10 20 30% 40 5即. 60%  70%  80% .100

ウィルコウソンの順位和検定 P0.015 3 歯肉炎の有害事象

図あまり知らない 囚どちらでもない 日知っている

10%  20%  3040%  50%  60%  70%  80%  90%  100% 

ウィルコゲノンの順位和検定 P0.029 4 口内炎の有害事象

勉強会前

勉強会後

ω

2904問続事

問伽害

E

ぷ田

m

F

ウィルコウソンの順位和検定 P0.012 6 プラークの有害現象

回どちらともいえない

ウィルコクソンの順位和検定 p0.024 7 適切な説明の提供

(3)

V.考察

大田は「看護師による的確なアセスメントは、適 切な口腔ケア介入や口腔ケア指導につながる重要な 業務であるJ1)と言っている。現在、当病棟では、

看護師が毎日、口腔内の観察・アセスメントを行っ ている。また、口腔外科医は、セルフケアが十分で なく、看護師の継続的な介入が必要な患者に対し、

口腔ケアシートを記入している。今回の研究結果よ りスタッフの治療に伴う有害事象の知識の向上が図 れた。このことは、口腔ケアシートをより有効活用 することができ、詳細な観察・アセスメントにつな がっていくと考える。また、患者の口腔内の状況や 個人に合った口腔ケアの提供につなげていくことも 重要である。現在、口腔ケアシートは、紙面記載に なっているが、今後は電子カルテへの入力記載を行 い、継続的に医師・歯科医師と情報の共有を図るこ

とが課題である。

一般的に、放射線治療・化学療法などの前に口腔 内のスクリーニングや治療を行うシステムの整備を することで、有害事象となりうる危険因子在減らす ことができるといわれている。今後は、当病棟でも 口腔内治療が必要な患者に対し、スムーズに介入が できるシステムが必要である。

口腔ケアの到達目標はセルフケアとして行なうこ とであり、看護師はその介助老おこなうことが理想 的であるといわれている。そのため、患者を対象に セルフケアできるよう口腔ケアの必要性を説明し、

理解してもらうことが課題である。

VI.結論

‑口腔ケアの勉強会・口腔外科医の介入によりス タッフの口腔ケアの観察点が広がり、有害事象に 対する知識の向上が図れた。

‑治療前より口腔ケアを継続的に行なえるシステム が必要である0

.患者がセルフケアできるよう口腔ケアの必要性を 説明し、理解してもらうことが課題である。

VII.引用・参考文献

)大田洋二郎:がん患者の口腔トラブルとケア,

看護技術, vo152, 12, ~ 39, 2006  2)大田洋二郎:癌患者の口腔合併症と歯科治療

129 

講習会テキスト(静岡県立静岡がんセンター), 

2006 

3)菊谷武:口腔・中咽頭がんの患者さんに行な POHC,デンタルハイジーン別冊, 6, p58 ~

6 1 2002 

4)松下文彦:口腔ケアのテクニック&チームプ レイ, Nursing  Today, vo12 1 5, 12 ~ 15, 

2006 

参照

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