タイトル
当事者主義的民事訴訟運営と制裁型スキームに関する 一考察(六) : 日本民事訴訟法の当事者照会とアメリ カ連邦民事訴訟規則の質問書を素材として
著者 酒井, 博行; SAKAI, Hiroyuki
引用 北海学園大学法学研究, 49(3): 617‑655
発行日 2013‑12‑30
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論
説
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当 事 者 主 義 的 民 事 訴 訟 運 営 と 制 裁 型 ス キ ー ム に 関 す る 一 考 察
㈥
⎜ ⎜
日 本 民 事 訴 訟 法 の 当 事 者 照 会 と ア メ リ カ 連 邦 民 事 訴 訟 規 則 の 質 問 書 を 素 材 と し て
⎜ ⎜ 酒
井 博 行
当事者主義的民事訴訟運営と制裁型スキームに関する一考察 ㈥
北研 49(3・ ) 目
次 は じ め に 第 一 章 当 事 者主 義 的訴 訟 運営 の 基 盤と し ての 証 拠・ 情 報の 収 集 手 続 の実 効 化
⎜ 얧当 事 者 照 会の 改 革に 焦 点を 当 てて
⎜ 얧 第 一 節 当 事者 主 義的 訴 訟運 営 へ の移 行 の必 要 性
⎜ 얧争 点 整 理 手 続に 焦 点を 当 てて
⎜ 얧 第 一款
争点 整 理手 続 の現 状
⎜얧 裁 判 所主 導 型訴 訟 運営
⎜ 얧
第 二 款 争 点 整 理 手 続 に お け る 当 事 者 主 義 的 訴 訟 運営 へ の 移 行の 必 要性 第 三款
当事 者 主義 的 争 点整 理 手続 に おけ る 当事 者・ 代 理 人弁 護士
︑ 裁判 所 の 役割
・権 限・ 責任
︵ 以上
︑ 四五 巻 四号
︶ 第 四 款 訴 訟 資 料 提 出 過 程 に お け る 裁 判 所 の 管 理 的権 限 と 当 事者 自 立支 援 的 権限
︵ 以上
︑ 四六 巻 二号
︶ 第 五 款 当 事 者 主 義 的 民 事 訴 訟 運 営 と 実 体 的 正 義・ 手 続 的 正
★ カ ラ ー 対 応 機 使
用 ★
今 回 は
使 用 の た め義︑ 手 続保 障
︵以 上
︑ 四六 巻 三号
︶ 第 二 章 日 本 民事 訴 訟法 に おけ る 当 事者 照 会・ 訴 え提 起 前の 照 会 と そ の問 題 点 第 一 節 当 事者 照 会・ 訴 え提 起 前 の照 会 の立 法 経緯 第 二 節 理 念・ 根 拠 第 三 節 要 件 第 一款
照会 の 主体
・ 相手 方 第 二款
照会 の 時期 第 三款
照会 事 項 第 四款
照会 除 外事 由 第 五款
照会 の 方法 第 四 節 回 答 第 一款
回答 義 務 第 二款
回答 の 方法 第 三款
不当 な 回答 拒 絶・ 虚 偽 回答 の 効果 第 五 節 問 題点 第 一款
当事 者 照会
・ 訴え 提 起 前の 照 会の 利 用状 況
・課 題
第 二 款 日 本 弁 護 士 連 合 会 に よ る 当 事 者 照 会 改 革 の 提 案
︵以 上︑ 四 八巻 一 号
︶ 第三 章 ア メ リ カ 連 邦 民 事 訴 訟 規 則 に お け る 質 問 書 とそ の 実 効 化 手 段 第 一 節 質 問書 の 概要 第 一款
目的 第 二款
質問 書 の利 点 と 難点 第 三款
質問 書 に服 す る 者 第 四款
質問 書 にお け る 質問 数 第 五款
質問 書 の様 式
︵ 以上
︑ 四八 巻 四号
︶ 第 六款
質問 書 によ り 入 手可 能 な情 報 等の 範 囲 第 七款
質問 書 を送 付 可 能な 時 期な ど 第 八款
質問 書 への 回 答 第 九款
質問 書 に対 す る 異議 第 一〇 款 保 護 命令
︵ 以 上︑ 本 号︶ むす び にか え て
北研 49(3・ )
第 三 章 ア メ リ カ 連 邦 民 事 訴 訟 規 則 に お け る 質問 書 と そ の 実 効 化 手 段 第 一 節 質 問 書 の 概要 第 六 款 質 問 書 に より 入 手 可 能な 情 報 等 の 範囲 1 前 提
⎜ 얧必 要 的 デ ィス ク ロ ー ジャ ー
⎜얧 現行 の 連 邦 民訴 規 則 に 基 づく 訴 訟 手 続に お い て
︑ 当事 者 は 他 の当 事 者 か ら のデ ィ ス カ バリ の 要 求 を 待つ こ と な く︑ 一 定の 事 項 に つい て は 他 の 当事 者 に 開 示し な け れ ば なら な い と いう 必 要 的 デ ィス ク ロ ー ジャ ー︵
re q u ir ed d is cl o su re
︶
︵ 連邦 民 訴 規 則 二六 条
쐍
︶
⒜ 項
︶が 行 わ れ る
︒こ の 必 要 的デ ィ ス ク ロ ージ ャ ー の 手続 は 三 種 類 に分 類 さ れ る︒ まず
︑ イ ニ シャ ル・ デ ィ ス ク ロー ジ ャ ー
︵
in it ia l d is cl o su re
︶︵ 連 邦 民 訴 規 則二 六 条
⒜
⑴項
︶ に お い て︑ 当 事 者 は原 則 とし て
︑
開示 を な す 当 事者 が 請 求
・抗 弁 を 支 持 する た め に 用い う る
︑ デ ィス カ バ リ 可能 な 情 報 を 有す る 可 能 性の あ る人 物 の 氏 名︑ 住 所
︑ 電 話番 号︵ 連 邦 民訴 規 則 二 六条
⒜
⑴ 項
︶
︑
開 示 をな す 当 事 者が 有 し
︑ か つ︑ 請 求 ま たは 抗 弁を 支 持 す るた め に 用 い うる 全 て の 文書 の 写 し な ど︑ お よ び
︑電 磁 的 に 蓄 積さ れ た デ ータ
︑ 有 体 物
︵連 邦 民 訴 規則 二 六条
⒜
⑴ 項
︶︑
開 示を な す 当 事 者に よ っ て 主張 さ れ て い る損 害 額 の 全て の 費 目 の 計算
︵ 連 邦 民 訴規 則 二 六 条⒜
⑴ 項
︶︑
判決 の 全 部 また は 一 部 の 履行
︑ も し くは 判 決 の 履 行の た め の 費用 の 補 償・ 償還 に つ き 保 険会 社 が 責 任を 負 う根 拠 と な る全 て の 保 険 契約
︵ 連 邦 民訴 規 則 二 六 条⒜
⑴ 項
︶ を 開 示 し なけ れ ば な らな い
︒ また
︑ 専 門 家証 言 の デ ィ スク ロ ー ジ ャー
︵
d is cl o su re o f e x p er t t es timo n y
︶︵ 連 邦 民 訴規 則 二 六 条
⒜⑵ 項
︶ に おい て 当事 者 は
︑ トラ イ ア ル に て証 言 を 求 める 可 能 性 の ある 専 門 家 証人 の 身 元 を 開示 し な け れば な ら な い
︵連 邦 民 訴 規則
北研 49(3・ )
二 六条
⒜
⑵ 項
︶︒ また
︑そ の 専 門 家 証人 が 証 言 のた め に 委 任 を受 け
︑ま た は雇 用 さ れ て いる 場 合
︑あ るい は 当 事 者の 被 用者 と し て 証言 の 義 務 を 負う 場 合
︑
証 人 が 証 言 する 予 定 の 全て の 意 見
︑ およ び そ の 根拠
︑
意 見 形成 の 際 に 考慮 さ れた 事 実 や デー タ
︑
意 見の 要 約
・ 支持 の た め に 用い ら れ る 資料
︑
過 去 一〇 年 間 に 著さ れ た 全 て の出 版 物 の リス ト を含 む
︑ 証 人の 適 格 性 に 関す る 情 報
︑ 過 去 四 年 間に 証 人 が 専門 家 と し て トラ イ ア ル また は 証 言 録 取書 に て 証 言を し た全 て の 事 件の リ ス ト
︑
そ の 事 件 での 調 査
・ 証 言の た め に 支払 わ れ る 報 酬に つ い て の陳 述 と い っ た情 報 を 記 載し た
︑証 人 自 身 によ っ て 準 備
・署 名 さ れ た報 告 書 が 提 出さ れ な け れば な ら な い
︵連 邦 民 訴 規則 二 六 条
⒜
⑵項
︶︒ な お︑ 証 人が 前 記 の 報告 書 の 提 出 を要 求 さ れ ない 場 合
︑ 専 門家 証 言 の ディ ス ク ロ ー ジャ ー で は
︑ そ れ に つ いて 証 人 が 証言 す るこ と が 予 想さ れ る 係 争 事項
︵
su b je ct ma tt er
︶︑
そ れ に 関 して 証 人 が 証 言す る と 予 想さ れ る 事 実 や意 見 の 要 約が 陳 述さ れ な け れば な ら な い
︵連 邦 民 訴 規則 二 六 条
⒜
⑵項
︶︒ さら に 当 事 者は
︑ 前 記 の イニ シ ャ ル
・デ ィ ス ク ロ ージ ャ ー
︑ 専門 家 証 言 の ディ ス ク ロ ージ ャ ー に 加 えて
︑ プ リ トラ イ アル
・ デ ィ スク ロ ー ジ ャ ー︵
p re tr ia l d is cl o su re
︶︵ 連 邦 民 訴 規則 二 六 条
⒜
⑶項
︶ に お いて 原 則 と し て︑
召 還 する 予 定の
︑ ま た は召 還 す る 可 能性 の あ る 個々 の 証 人 の 氏名
︑ 住 所
︑電 話 番 号
︑
証 言 録 取 書に よ る 証 言 の提 出 を 予 定し て いる 証 人 の 氏名
︵ 速 記 が なさ れ て い な い場 合 に は
︑証 言 録 取 書 の関 連 す る 部分 の 反 訳 記 録も
︶︑
当 事者 が 提 出 する 予 定の
︑ ま た
︑提 出 す る 可 能性 の あ る 個々 の 文 書 ま たは そ の 他 の証 拠 物 の 一 覧︵ 他 の 証 拠の 要 約 を 含 む︶ と い っ た︑ ト ライ ア ル で 提出 す る 可 能 性の あ る 証 拠に 関 す る 情 報を 他 の 当 事者 に 提 供 し
︑か つ
︑ 裁 判所 に 提 出 し なけ れ ば な らな い
︵連 邦 民 訴 規則 二 六 条
⒜
⑶項
︶︒
北研 49(3・ )
2 質 問 書に よ り 入 手 可能 な 情 報 等の 一 般 的 範 囲 必要 的 デ ィ スク ロ ー ジ ャ ーの 対 象 と なら な い 事 項 につ い て は
︑当 事 者 か ら のデ ィ ス カ バリ の 要 求 を 受け て
︑ 他 の当 事 者や 第 三 者 から 開 示 が な され る
︒ デ ィス カ バ リ が 許さ れ る 範 囲に つ い て は
︑デ ィ ス カ バリ の 手 続 の 種類 を 問 わ ず︑ 連 邦民 訴 規 則 二六 条
⒝ 項 に 規定 が な さ れて い る
︒ ま ず︑ 裁 判 所 の命 令 に よ る 特段 の 制 限 がな い 限 り
︑ 一般 に 当 事 者は 全 ての 当 事 者 の請 求
︵
cl a im
︶ ま た は 抗弁
︵
d ef en se
︶に 関 連 す る︑ 秘 匿 特 権 の対 象 と な らな い 全 て の 事項
︵ 文 書 また は その 他 の 有 体物 の 存 在
︑ 表示
︑ 性 質
︑管 理
︑ 状 態
︑お よ び 所 在︑ ま た
︑ あ らゆ る デ ィ スカ バ リ 可 能 な事 項 を 知 る者 の 身元 や 所 在 を含 む
︶ に関 し て デ ィ スカ バ リ を 求め る こ と が でき
︑ 加 え て︑ 十 分 な 理 由︵
g o o d c a u se
︶が あ る 場 合︑ 裁 判所 は 当 該 訴訟 に 含 ま れ る係 争 事 項︵
su b je ct ma tt er
︶に 関 連 する 全 て の 事 項に つ い て のデ ィ ス カ バ リを 命 じ る こと が でき る︵ 連 邦 民訴 規 則 二 六条
⒝
⑴ 項
︶︒ こ れ を 受 け て︑ 連 邦 民 訴規 則 三 三 条
⒜⑵ 項 で は
︑連 邦 民 訴 規 則二 六 条
⒝ 項に 基 づき デ ィ ス カバ リ が 可 能 な全 て の 事 項に つ き 質 問 書に よ り 質 問す る こ と が 可能 で あ る 旨︑ ま た
︑ 事 実ま た は 事 実へ の 法の 適 用 に 関連 す る 意 見 もし く は 主 張に つ き 質 問 して い る と いう 理 由 の み で質 問 書 は 異議 を 述 べ ら れな い 旨 規 定さ れ てい る
︒ な お︑ 質 問 書 が 必ず し も 証 拠能 力 あ る 証 拠を 要 求 し てい る 必 要 は ない が
︑ そ れら は 証 拠 能 力あ る 証 拠 の発 見 につ な が る よう 合 理 的 に 計画 さ れ て いな け れ ば な らな い
︵ デ ィス カ バ リ 一 般に 関 す る
︑連 邦 民 訴 規 則二 六 条
⒝
⑴項
쐍
︶
参 照︶
︒ 質問 書 に お いて 他 の 当 事 者に 質 問 す るこ と が 可 能 な事 項 の 範 囲は 前 記 の 通 りで あ る が
︑こ の 点 か ら
︑質 問 書 は 一般 に 次の 二 種 類 に分 類 さ
쐍
︶
れ る
︒ま ず︑
id en tif ic a tio n i n te rr o g a to ri es
は
︑他 の 当 事者 に 事 実 に関 す る 情 報 を要 求 す る 質問 書 であ り
︑ 関 連す る 文 書
︑ 有体 物
︑ 事 件に 関 連 す る 事実 に つ い ての 知 識 を 有 する 人 物 の 身元 を 明 ら か に
쐍
︶
す る
︒ 次 に︑
co n te n tio n i n te rr o g a to ri es
は︑ 事 実 ま たは 事 実 へ の 法の 適 用 に 関連 す る 意 見 また は 主 張 につ い て 質 問 する も の で あり
北研 49(3・ )
︵ 連邦 民 訴 規 則 三三 条
⒜
쐍
︶
⑵ 項︶
︑ と り わ け︑
⑴ ど の よ うな 主 張 を する か
︑ ま た は︑ 特 定 の 主張 を す る か 否か を 陳 述 する こ と︑
⑵ 主 張 の根 拠 と な る 事実 を 説 明 する こ と
︑
⑶ どの よ う に 法を 事 実 に 適 用す る か に 関す る 立 場 を 主張 し
︑ ま たは 説 明す る こ と
︑⑷ 主 張 の 法 的な
︑ ま た は理 論 的 な 根 拠を 提 示 す るこ と を 当 事 者に 求 め る もの で
쐍
︶
あ る
︒ 3
identification interrogatories
⑴ 証 人 の 身 元や 所 在 な ど
id en tif ic a tio n i n te rr o g a to ri es
によ る 質 問 の対 象 と な る 事項 は
︑当 事 者 か ら のデ ィ ス カ バリ の 要 求 を 待つ こ と な く前 記 の必 要 的 デ ィス ク ロ ー ジ ャー に よ り 開示 さ れ る 事 項と 重 複 し てい る
︒ ま ず
︑当 事 者 が その 請 求
・ 抗 弁を 支 持 す るた め に用 い う る ディ ス カ バ リ 可能 な 情 報 を有 す る 可 能 性の あ る 人 物の 氏 名 等 は
︑イ ニ シ ャ ル・ デ ィ ス ク ロー ジ ャ ー
︵連 邦 民訴 規 則 二 六条
⒜
⑴ 項
︶ の 対 象 であ る
︒ そ れ に加 え て
︑ トラ イ ア ル に て召 還 す る 予定 の
︑ ま た は召 還 す る 可能 性 の あ る 証 人 の 氏 名 等
︑ 証 言 録 取 書 に よ る 証 言 を 提 出 す る 予 定 の 証 人 の 氏 名 等 は
︑ プ リ ト ラ イ ア ル
・デ ィ ス ク ロー ジ ャー
︵ 連 邦 民訴 規 則 二 六 条⒜
⑶ 項
・
︶ の 対 象 であ る
︒ しか し
︑ 必 要的 デ ィ ス ク ロー ジ ャ ー の規 定 に よ っ て︑ 同 様 の 情報 に 関 す る ディ ス カ バ リの 要 求 が 排 斥さ れ る わ けで は
쐍
︶
なく
︑ そ れ ゆえ 当 事 者 は
︑デ ィ ス カ バリ が 可 能 な 事項 に つ い ての 知 見 を 有 する 人 物 の 身元 や 所 在 に つい て
︑ 質 問書 に より さ ら な る情 報 を 求 め るこ と が で
쐍
︶
きる
︒ 質 問 書 は︑ と り わ け人 身 被 害 や 不法 死 亡 の 事件 に お い て
︑こ の 種 の 情報 を 引き 出 す の によ く 適 し て いる と さ
쐍
︶
れ る︒
北研 49(3・ )
⑵ 証 言 を な す予 定 の 専 門 家証 人 の 氏 名な ど 専門 家 証 言 のデ ィ ス ク ロ ージ ャ ー に おい て 当 事 者 は︑ デ ィ ス カバ リ の 要 求 を待 つ こ と なく
︑ ト ラ イ アル に て 専 門家 証 人と し て の 証言 を 求 め る 可能 性 の あ る人 物 の 身 元 に関 す る 情 報を 開 示 し な けれ ば な ら ず︵ 連 邦 民 訴 規則 二 六 条
⒜⑵ 項
︶︑ そ れ に加 え て
︑そ の 専 門 家証 人 の 意 見や そ の 根 拠
︑意 見 形成 の 際 に 使 用さ れ た デ ータ 等 に 関 す る報 告 書 の 提出 が 求め ら れ る 場合 が あ る
︵ 連邦 民 訴 規 則二 六 条
⒜
⑵ 項
︶︒ しか し
︑ 専 門家 証 言 の デ ィス ク ロ ー ジャ ー に よ っ て︑ 同 様 の 情報 に 関 す る ディ ス カ バ リの 要 求 が 排 斥さ れ る わ けで は
쐍
︶
なく
︑ そ れ ゆえ 当 事 者 は
︑ト ラ イ ア ルで 証 言 を 行 う可 能 性 の ある 専 門 家 証 人に 関 す る さら な る 情 報 を質 問 書 に より 求 める こ と が で
쐍
︶
き る
︒
⑶ 文 書
︑ 有 体物 等 の 存 在
︑所 在
︑ 表 示な ど 書物
︑ 記 録
︑ま た は 文 書 の存 在 や 所 在に 関 す る 一 部の 情 報
︑ すな わ ち
︑ 当 事者 が そ の 請求
・ 抗 弁 を 支持 す る た めに 使 用し う る
︑ 当事 者 の 所 有 また は 支 配 の下 に あ る 全 ての 文 書
︑ 電磁 的 に 蓄 積 され た 情 報
︑お よ び 有 体 物の 写 し も しく は 表示 は
︑ イ ニシ ャ ル・ デ ィス ク ロ ー ジ ャー の 対 象 とな り
︵ 連 邦 民訴 規 則 二 六条
⒜
⑴ 項
︶
︑ デ ィ ス カバ リ の 要 求を 待 つこ と な く 開示 さ れ な け れば な ら な い︒ しか し
︑ イ ニシ ャ ル
・ デ ィス ク ロ ー ジャ ー に よ り
︑同 様 の 情 報に つ い て の ディ ス カ バ リの 要 求 が 排 斥さ れ る わ けで は
쐍
︶
なく
︑ そ れ ゆえ
︑ 文 書
︑ 電磁 的 に 蓄 積さ れ た 情 報
︑有 体 物 の 存在
・ 所 在 等 に関 す る 情 報は
︑ 質 問 書 によ り 求 め るこ と がで き る
︵ 連邦 民 訴 規 則 二六 条
⒝
⑴ 項も
쐍
︶
参 照
︶︒
北研 49(3・ )
4
contention interrogatories
⑴ 事 実
︑ 事 実へ の 法 の 適 用に 関 連 す る他 の 当 事 者 の意 見
・ 主 張 質問 書 で は
︑事 実 ま た は 事実 へ の 法 の適 用 に 関 連 する 意 見
・ 主張 に つ き 質 問す る こ と が許 さ れ る
︵ 連邦 民 訴 規 則三 三 条⒜
⑵ 項
︶︒ 法的 な
︑ ま たは 事 実 上 の 結論
・意 見 を 求め る 質 問 書は
︑ そ れ が 訴訟 の 迅 速 化︑ 証 拠 の 導 出︑ ま た は 争点 の 縮減 と い っ た重 要 な 目 的 に資 す る 場 合に 適 切 で あ ると い う こ とは
︑ い く つ かの 裁 判 例 が指 摘 す る と ころ で
쐍
︶
あ る
︒し か し︑ そ の よ うな 質 問 書 は
︑明 確 で
︑わ か り や すく
︑か つ 事 件 に 適 合す る よ う に精 密 に 作 成 され て い な けれ ば な ら
쐍
︶
な い︒
co n te n tio n i n te rr o g a to ri es
の 目 的 は
︑質 問 書 を 送 付し た 当 事 者に 質 問 書 を 送付 さ れ た 当事 者 の 事 件 に関 す る 理 論に つ いて の デ ィ スカ バ リ を 認 める こ と で ある た め
︑ そ のよ う な 質 問書 を 許 容 す る規 定 の 下 では 不 可 避 的 に︑ 法 と 事 実と が 混合 し た 質 問が 認 め ら
쐍
︶
れ る︒ た と え ば︑ 移 動 住 宅 の製 造 業 者 に対 し
︑ そ の 生産 す る 住 宅が 商 品 と な り特 定 の 目 的に 適 合す る と 考 えて い た か 否 か︑ ま た
︑ もし そ う 考 え てい た の で あれ ば
︑ そ の 主張 の 事 実 上の 根 拠 に つ き質 問 す る 質問 書 は︑ 事 実 に 基づ く 法 理 論 を質 問 す る もの と し て 適 切で あ る 旨 を判 示 す る 裁 判例 が 存 在
쐍
︶
する
︒
⑵ 質 問 書 を 送付 し た 当 事 者の 知 見 の 範囲 内 に あ る 事実
︑ 両 当 事者 に 等 し く 入手 可 能 な 事実 質問 書 を 送 付し た 当 事 者 の知 見 の 範 囲内 に あ る 情 報に つ い て 質問 書 に よ る 質問 が 可 能 であ る と い う こと は
︑ 裁 判例 に よっ て 認 め られ て
쐍
︶
い る
︒ この 種 の 質 問書 は
︑ 争 点 を縮 減 し て 確定 し
︑ ま た
︑質 問 書 を 送付 す る 当 事 者に
︑ 回 答 する 側 の当 事 者 が どの よ う に 事 実を 見 て い るの か と い う 点に 関 す る 視点 を 提 供 す るた め
︑ 許 容さ
쐍
︶
れ る
︒ また
︑ 質 問 書で 求 め ら れ てい る の と 同じ 情 報 を
︑ 質問 書 を 送 付し た 当 事 者 がす で に 入 手し て い る 場 合︵ 以 前 の ディ ス カバ リ の 要 求に 対 し て す でに 情 報 が 提供 さ れ て い る場 合 な ど
︶に も
︑ 裁 判 所は 個 別 の 事件 ご と の 判 断に よ り
︑ 同一
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の 事項 に つ い て質 問 書 に よ りさ ら に 情 報を 求 め る 必 要の 有 無 を 評価
쐍
︶
す る
︒ た とえ ば
︑ 使 用者 に よ る 人 種差 別 に 関 連す る 事件 で
︑ 個 々の 被 用 者 の 職務 内 容 証 明書
︵
jo b d es cr ip tio n
︶ に関 す る 事 項 がす で に 証 言録 取 書 で 回 答さ れ て い たと し ても
︑ 使 用 者に そ の 事 項 につ い て 質 問す る 質 問 書 への 回 答 を 要求 し た 裁 判 例が 存 在 す る︵ 質 問 書 を 送付 し た 当 事者 が
︑職 務 内 容 証明 書 に 関 す る 公 式 の 見 解 を 求 め てい た こ と を理 由 と
쐍
︶
す る
︶︒
⑶ 他 の 当 事 者の 主 張 の 根 拠に 関 連 す る事 実 質問 書 で は 適切 に
︑ 当 事 者の 特 定 の 主張 ま た は 主 張さ れ て い る訴 訟 原 因
︵
ca u se o f a ct io n
︶ の 詳 細 な事 実 上 の 根拠 を 質問 す る こ とが で き
︑ そ のよ う な 質 問書 の 適 切 さ は︑ 原 告 の 主張 の 事 実 上 の根 拠 や
︑ 原告 が そ の 主 張を 支 持 す るた め に使 用 す る こと を 意 図 し てい る 文 書 を知 る 被 告 の 権利 に 基
쐍
︶
づ く︒
⑷ 管 轄 権 や 裁判 地 に 関 連 する 事 実 人的 管 轄 権
︵
p er so n a l j u ri sd ic tio n
︶ ま た は事 物 管 轄 権︵
su b je ct m a tt er j u ri sd ic tio n
︶ の た め の 最小 限 度 の 接触
︵
mi n imu m c o n ta ct
︶の 存 在 の よ うな
︑裁 判 所 の 管 轄権 に 関 連 する 事 実 が 事 件の 争 点 と 関連 す る 場 合
︑質 問 書 に よ りそ の よう な 事 実 につ き 質 問 す るこ と が で
쐍
︶
きる
︒
⑸ 保 険 の 担 保範 囲 当事 者 は
︑ ディ ス カ バ リ の要 求 を 待 つこ と な く
︑ イニ シ ャ ル
・デ ィ ス ク ロ ージ ャ ー に おい て
︑ 判 決 の全 部 ま た は一 部 の履 行
︑ も しく は 判 決 の 履行 の た め の費 用 の 補 償
・償 還 に つ き保 険 会 社 が 責任 を 負 う 根拠 と な る 全 ての 保 険 契 約に
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つ いて 開 示 す るこ と を 要 求 され
︑ か つ
︑各 当 事 者 は
︑調 査 や 複 写の た め に 他 の当 事 者 が 責任 保 険 証 券 を利 用 可 能 な状 態 にし な け れ ばな ら な い
︵ 連邦 民 訴 規 則二 六 条
⒜
⑴ 項
︶︒ しか し
︑ 必 要的 デ ィ ス ク ロー ジ ャ ー の規 定 に よ っ て︑ こ の 種 の情 報 に つ い ての さ ら な るデ ィ ス カ バ リの 要 求 が 排斥 さ れる わ け で は
쐍
︶
な く
︑ 当 事 者は
︑ 保 険 の担 保 範 囲 が 事件 の 争 点 と関 連 し て お り︑ そ れ ゆ え︑ 係 属 中 の 訴訟 の 訴 訟 物と 関 連す る 場 合
︑責 任 保 険 の 存在 と 額 に 関す る さ ら な る質 問 書 を 送付 す る こ と がで
쐍
︶
き る
︒
⑹ 損 害 賠 償 に関 連 す る 質 問 当事 者 は
︑ ディ ス カ バ リ の要 求 を 待 つこ と な く
︑ イニ シ ャ ル
・デ ィ ス ク ロ ージ ャ ー に おい て
︑ 損 害 賠償 の 個 々 の費 目 の算 定 を 他 の当 事 者 に 開 示す る こ と を要 求 さ れ
︑ また
︑ 被 害 の性 質 や 範 囲 に関 連 す る 資料 を 含 む
︑ 算定 の 根 拠 とな る 文書 ま た は その 他 の 証 拠 資料 を 他 の 当事 者 に 利 用 可能 な 状 態 にし な け れ ば なら な い
︵ 連邦 民 訴 規 則 二六 条
⒜
⑴ 項
︒た だ し
︑ 秘匿 特 権 が 認 めら れ る 資 料や デ ィ ス ク ロー ジ ャ ー から 保 護 さ れ る資 料 は 除 く︶
︒ しか し
︑ 必 要的 デ ィ ス ク ロー ジ ャ ー の規 定 に よ っ て︑ こ の 種 の情 報 に つ い ての さ ら な るデ ィ ス カ バ リの 要 求 が 排斥 さ れる わ け で は
쐍
︶
な い
︒ そ れ ゆえ
︑ 質 問 が損 害 賠 償 と 関連 す る 限 り︑ 原 告 が 被 告の 正 味 の 資産 に つ い て 質問 す る 質 問書 を 送付 す る こ とは 適 切 で あ る旨 を 判 示 する 裁 判 例 が 存在
쐍
︶
す る
︒ その よ う な 場 合︑ 質 問 は 必ず し も 厳 密 に作 成 さ れ る必 要 はな い が
︑ それ が 損 害 賠 償に 関 連 す る情 報 の 発 見 につ な が る よう 合 理 的 に 計画 さ れ て いる な ら ば
︑ たい て い 許 容さ
쐍
︶
れ る︒ ゆ え に
︑た と え ば
︑ 連邦 地 方 裁 判所 の 裁 判 例 で︑ 懲 罰 的 損害 賠 償 に 関 する 判 断 の ため に 被 告 の 財務 状 況 に つき 質 問す る 質 問 書を 許 容 し た もの が 存 在
쐍
︶
する
︒
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⑺
contention interrogatories
と し て許 容 さ れ ない 場 合
⎜ 얧純 粋 に 法 的 な事 項 に 関 す る質 問
⎜ 얧 質問 書 は
︑純 粋 に 法 的 な事 項 に 関 す る質 問 を 提 示し て は な ら
쐍
︶
ない が
︑そ れ は 具 体 的に は
︑ 事 件 の 事 実に 関 連 し ない 法 的な 争 点 に関 す る 質 問 を
쐍
︶
指 す
︒ なお
︑ 外 国 法は 証 言 の 対 象と な り︵ 連 邦民 訴 規 則 四四.
一 条
︶︑ そ れ ゆ え
︑ 専門 家 証 言 のデ ィ ス ク ロ ージ ャ ー の 対象 と なり
︑ ま た
︑質 問 書 に よ るデ ィ ス カ バリ が 可 能 で
쐍
︶
ある
︒ 5 質 問 書に 対 す る 制 限
⑴ 秘 匿 特 権 質問 書 を は じめ
︑ 一 般 に ディ ス カ バ リの 手 続 に よ り︑ 秘 匿 特 権の 対 象 と な る事 項 の 開 示を 求 め て は なら な い
︵ 連邦 民 訴規 則 二 六 条⒝
⑴ 項
︶︒ ゆえ に
︑質 問 さ れ てい る 事 項 が 秘匿 特 権 に 係 る事 項 で あ るこ と は
︑質 問 書 に 対す る 有 効 な異 議 事由 と
쐍
︶
な る︵ 質問 書 に 対 する 異 議 に つ いて は
︑ 本 章本 節 第 九 款 にて 論 じ る
︶︒ 秘 匿 特 権 には 様 々 な 種 類の も の が ある が
︑ま ず
︑ 憲 法上 認 め ら れ たも の と し て︑ 自 己 負 罪 拒否 特 権
︵
p ri v ile g e a g a in st s el f-i n cr imi n a tio n
︶が あ り︵ 合 衆国 憲 法第 五 修 正
︶︒ ま た
︑ 伝 統的 に コ モ ン・ ロ ー 上 認 め られ て き た もの と し て
︑ 弁護 士
| 依 頼者 間 の 秘 匿 特権
︑ 医 師
|患 者 間の 秘 匿 特 権︑ 聖 職 者
| 信者 間 の 秘 匿特 権 な ど が
쐍
︶
ある
︒ 秘匿 特 権 の 主要 な も の で ある 弁 護 士
|依 頼 者 間 の 秘匿 特 権 に つき 若 干 補 足 する と
︑ こ の秘 匿 特 権 は 弁護 士 と 依 頼者 と の間 の コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンの み を 保 護す る も の で あり
︑ 事 実 には 及 ば
쐍
︶
な い
︒ま た
︑ 質 問書 が も っ ぱ ら当 事 者 の 代理 人 弁護 士 か ら のみ 入 手 さ れ た事 実 ま た は情 報
︵ こ れ らは 秘 匿 特 権の 問 題 を 生 じさ せ う る
︶で は な く
︑ 当事 者 の 知 識の 範 囲内 で の 情 報・ 事 実 を 要 求し て い る 限り
︑ 当 事 者 は質 問 書 へ の回 答 を 強 制 さ
쐍
︶
れ る
︒
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⑵ ワ ー ク
・ プロ ダ ク ト ワー ク・ プ ロ ダ クト
︵
wo rk p ro d u ct
︶の 法 理 は
︑ 当事 者 や そ の代 理 人 弁 護 士な ど が 訴 訟の た め に 準 備し た 文 書 や有 体 物等 を 他 の 当事 者 か ら の ディ ス カ バ リの 要 求 か ら 保護 す る も ので あ り
︑ 当 事者 が 自 ら 訴訟 の た め の 準備 を 行 う こと な く︑ 他 の 当 事者 が 勤 勉 に 準備 し た 資 料な ど に た だ乗 り す るこ と を 防 ぐ こと を 主 眼 と
쐍
︶
す る
︒ こ の 法理 は も と もと
쐍
︶
判 例で 発 展 し たも の が 後 に 連邦 民 訴 規 則に て 明 文 化 され た も の であ り
︑ 現 行 の連 邦 民 訴 規則 で は 二 六 条⒝
⑶ 項 に 規定 さ れて い る
︒ こ の ワ ーク
・ プ ロ ダ ク ト は
︑ さ ら に 二 種 類 に 分 類 さ れ る
︒ 第 一 の 類 型 は
︑ ノ ン オ ピ ニ オ ン
・ ワ ーク
・ プ ロ ダ ク ト
︵
n o n -o p in io n w o rk p ro d u ct
︶︑ す な わ ち︑ 当 事 者 ま たは そ の 代 理人 弁 護 士 に よっ て
︑ も しく は そ れ ら の者 の た め に︑ 訴 訟を 予 期 し て︑ ま た は ト ライ ア ル の ため に 準 備 さ れた 文 書 や 有体 物 で あ り
︑こ れ ら の 資料 は デ ィ ス カバ リ か ら 保護 さ れる
︵ 連 邦 民 訴規 則 二 六 条⒝
⑶ 項
︶︒ た だ し
︑ 当 事者 が
︑
⑴ それ ら の 資 料 につ い て の 重大 な 必 要 性 があ る こ と
︑⑵ 不 当な 困 難 な しに は
︑ 他 の 手段 に よ っ てそ れ ら の 資 料を 入 手 す るこ と が で き ない こ と を 証明 し た 場 合 には
︑ ノ ン オピ ニ オン
・ ワ ー ク・ プ ロ ダ ク トに つ い て のデ ィ ス カ バ リが 認 め ら れる
︵ 連 邦 民 訴規 則 二 六 条⒝
⑶ 項
︶︒ 第二 の 類 型 は︑ オ ピ ニ オ ン・ ワ ー ク
・プ ロ ダ ク ト
︵
o p in io n w o rk p ro d u ct
︶で あ り
︑ 訴訟 に 関 連 す る代 理 人 弁 護士 や その 他 の 代 理人 の 心 理 的 な印 象
︑ 結 論︑ 意 見
︑ ま たは 法 理 論 を指 す︵ 連 邦 民訴 規 則 二 六 条⒝
⑶ 項
︶︒ こ の オ ピ ニオ ン
・ワ ー ク
・ プロ ダ ク ト は
︑ノ ン オ ピ ニオ ン
・ ワ ー ク・ プ ロ ダ クト と 異 な り
︑資 料 の 必 要性 や 資 料 入 手に 際 し て の不 当 な困 難 の 存 在・ 不 存 在 に かか わ ら ず
︑無 条 件 に デ ィス カ バ リ から 保 護 さ れ る︵ 連 邦 民 訴規 則 二 六 条
⒝⑶ 項
︶︒
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⑶ 証 人 と な らな い 専 門 家 の知 る 事 実
︑意 見 訴訟 を 予 期 して
︑ ま た は トラ イ ア ル の準 備 の た め に他 の 当 事 者の 委 任 を 受 け︑ あ る い は雇 用 さ れ て おり
︑ か つ
︑ト ラ イア ル で 証 言す る 予 定 の ない 専 門 家 の知 る 事 実
︑ また は そ れ らの 専 門 家 の 保持 す る 意 見は
︑ 質 問 書
︵お よ び 証 言録 取 書︶ に よ る 開示 の 対 象 とは な ら な い︵ 連 邦 民訴 規 則 二 六 条⒝
⑷ 項
︶︒ た だ し
︑ 連邦 民 訴 規 則 三五 条︵ 身 体 お よ び精 神 検査 に 関 す る規 定
︶ に 規 定さ れ て い る場 合
︑ お よ び︑ 他 の 手 段に よ り 同 様 の事 項 に 関 する 事 実
・ 意 見を 入 手 す るこ と が不 可 能 で ある と い う 例 外的 な 事 情 を当 事 者 が 証 明し た 場 合 には
︑ こ れ ら の事 項 に つ いて の デ ィ ス カバ リ が 認 めら れ る︵ 連 邦 民 訴規 則 二 六 条
⒝⑷ 項
・
︶︒
⑷ 企 業 秘 密
︑内 密 の 情 報 当事 者 は
︑ ディ ス カ バ リ を制 限 し
︑ また は 禁 止 す る保 護 命 令︵
p ro te ct iv e o rd er
︶を 裁 判 所に 申 し 立 てる こ と に よ り︑ 企 業秘 密 や 内 密の 企 業 情 報 を質 問 書 に よる 開 示 か ら 保護 す る こ とが で き る
︵ 連邦 民 訴 規 則二 六 条
⒞
⑴ 項
︒ 保 護 命令 に つい て は
︑本 章 本 節 第 一〇 款 に て 論 じる
︶︒ も っ と も
︑こ の 種 の情 報 を 求 め る質 問 書 は 当該 訴 訟 の 争 点と 密 接 に 関連 す る情 報 を 求 める も の で あ るた め
︑ 裁 判所 が 回 答 義 務を 完 全 に 否定 す る こ と を躊 躇 す る 可能 性 が
쐍
︶
あ る
︒そ れ ゆ え
︑裁 判 所が デ ィ ス カバ リ を 制 限 する 保 護 命 令を 認 め る こ とに よ っ て
︑問 題 と な っ た情 報 を 広 く一 般 に 開 示 する こ と か ら保 護 しつ つ
︑ 質 問書 を 送 付 し た当 事 者 に 必要 な 情 報 を 提供 す る こ とを 認 め る こ とが あ り う る︒ た と え ば
︑石 膏 製 断 熱材 の 製法 に 関 連 する 内 密 の 情 報を 要 求 す る原 告 の 質 問 書に 対 し て
︑裁 判 所 が
︑ 製法 を 含 む 質問 書 へ の 回 答に つ き た だ一 組 のみ の 写 し を準 備 し 秘 密 裡に 原 告 の 代理 人 弁 護 士 に迅 速 に 提 出す る こ と
︑ 回答 を ど の よう な 方 法 で あれ 原 告 本 人あ る いは そ の 他 の何 人 に も 開 示し て は な らな い こ と
︑ およ び
︑ 回 答は 原 告 の 代 理人 弁 護 士 によ っ て の み
︑か つ
︑ 当 該訴
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訟 の促 進 に と って 重 要 な 意 義を 持 ち
︑ 訴訟 の 促 進 に 資す る 場 合 にの み 用 い ら れな け れ ば なら な い こ と を命 じ た 裁 判例 が 存在
쐍
︶
す る
︒ 第 七 款 質 問 書 を 送付 可 能 な 時期 な ど 当事 者 は
︑ 連邦 民 訴 規 則 二六 条
⒡ 項 所定 の 要 件 に 従い 協 議 を 行う 以 前 に
︑ 質問 書 を 含 むデ ィ ス カ バ リ一 般 を 他 の当 事 者そ の 他 の 情報 源 に 要 求 して は な ら ない
︵ 連 邦 民 訴規 則 二 六 条⒟
⑴ 項
︒ た だし
︑ 連 邦 民訴 規 則 二 六 条⒜
⑴ 項 に基 づ きイ ニ シ ャ ル・ デ ィ ス ク ロー ジ ャ ー を 免除 さ れ る 場合
︑ 特 段 の 合意 ま た は 裁判 所 の 命 令 があ る 場 合 を除 く
︶︒ 連 邦民 訴 規則 二 六 条
⒡項 は
︑ 当 事 者が で き る だけ 早 期 に
︑ かつ
︑ 少 な くと も ス ケ ジ ュー リ ン グ・ カン フ ァ レ ンス
co n fe re n ce
︵sc h ed u lin g
︶が 行 わ れる か 連 邦 民訴 規 則 一 六 条⒝ 項 に 基 づく ス ケ ジ ュ ーリ ン グ・ オ ーダ ー
︵
sc h ed u lin g o rd er
︶が なさ れ る二 一 日 前 まで に
︑ 請 求 およ び 抗 弁 の性 質
︑ 迅 速 な和 解 の 可 能性
︑ 連 邦 民 訴規 則 二 六 条⒜
⑴ 項 所 定 のイ ニ シ ャ ル・ デ ィス ク ロ ー ジャ ー の 実 施 また は 準 備 など に つ い て 協議 し
︑ デ ィス カ バ リ
・ プラ ン の 案 を提 出 し な け れば な ら な い旨 を 規定 す る
︵ ディ ス カ バ リ・ カン フ ァ レ ン ス︹
d is co v er y c o n fe re n ce
︺︶
︒ し かし
︑ こ の ディ ス カ バ リ・ カン フ ァ レ ンス の 実施 の 要 求 に従 え ば
︑ 全 ての 当 事 者 は裁 判 所 の 許 可を 求 め る こと な く 質 問 書を 送 付 す るこ と が で き る︒ ま た
︑ それ ぞ れの デ ィ ス カバ リ の 方 法 は任 意 の 順 序で 用 い る こ とが 可 能 で あり
︑ そ れ ゆ え︑ 当 事 者 や証 人 の 便 宜 のた め に
︑ また は 司法 の 利 益 の点 か ら 裁 判 所が 特 に 命 令す る 場 合 を 除き
︑ 全 て の当 事 者 は 他 のデ ィ ス カ バリ の 方 法 が 用い ら れ る 前後 を 問わ ず 質 問 書を 送 付 す る こと が で き る︵ 連 邦 民 訴 規則 二 六 条
⒟
⑵項
︶︒ 当 事者 が 他 の 形態 の デ ィ ス カバ リ の 途 中で あ ると い う 事 実に よ っ て
︑ 他の 当 事 者 のデ ィ ス カ バ リが 遅 延 さ せら れ る こ と はな い
︵ 連 邦民 訴 規 則 二 六条
⒟
⑵ 項
︶︒ 質問 書 の う ち︑ 証 人 の 身 元や
︑ 文 書 また は そ の 他 の有 体 物 の 所在 な ど を 質 問す る
id en tif ic a tio n i n te rr o g a to ri es
は︑
北研 49(3・ )
訴 訟の 早 期 の 段階 で 送 付 さ れ
쐍
︶
う る
︒ そ れに 対 し て
︑ 事実 や 事 実 への 法 の 適 用 に関 連 す る 意見 や 主 張 に 関す る 質 問 を含 む
co n te n tio n i n te rr o g a to ri es
が 訴 訟 の 早 期の 段 階 で 送付 さ れ た 場 合︑ 裁判 所 は
︑指 定 さ れた デ ィ ス カ バリ が 完 了 する ま で︑ ま た は プリ ト ラ イ ア ル・ カ ン フ ァレ ン ス や そ の他 の よ り 後の 時 点 ま で それ ら へ の 回答 を 延 期 す るこ と を 命 じう る
︵連 邦 民 訴 規則 三 三 条
⒜
⑵項
︶︒
co n te n tio n i n te rr o g a to ri es
を 送 付 す る 適 切 な 時 期 に つ い て は
︑ 数 多 く の 裁 判 所 に よ って 精 密 な 吟 味 が な さ れ て
쐍
︶
い る︒
co n te n tio n i n te rr o g a to ri es
を早 期 に 送 付さ れ る こ と に対 す る 異 議の 際 に 述 べ られ る 主 な 異議 事 由 は
︑質 問 書を 送 付さ れ た 当 事者 が 十 分 な 文書 ま た は 証言 の デ ィ ス カバ リ を 行 うだ け の 時 間 がな く
︑ そ れゆ え 回 答 の ため の 十 分 な情 報 を収 集 す る こと が 不 可 能 であ る と い うも の で
쐍
︶
あ る
︒さ ら に
︑も し訴 訟 中 の あま り に も 早 期の 段 階
ro g a to ri es
でco n te n tio n i n te r-
へ の 回 答 を強 制 さ れ る なら︑ 当 事 者は 事 件 に 関 する 仮 定 的 かつ 不 完 全 な 理論 を 提 示 す る よ う 要 求 さ れ る こ と にな り
쐍
︶
う る
︒裁 判 所 は
︑
co n te n tio n i n te rr o g a to ri es
へ の 回 答 を 延期 さ せ る 権限 を 有 す る が︵ 連 邦 民 訴規 則 三 三 条⒜
⑵ 項︶
︑ そ の 理 由と し て
︑
co n te n tio n i n te rr o g a to ri es
は たい て い 法 と事 実 が 混 合 した 質 問 を 含 み
︑ し ば し ば さ ら な る デ ィス カ バ リ が完 了 し た 後 で解 決 さ れ うる よ う な 当 事者 間 の 紛 争を 誘 発 す る とい う こ と が挙 げ ら
쐍
︶
れ る
︒連 邦 地 方 裁判 所 の裁 判 例 に よっ て 示 唆 さ れて い る よ うに
︑ 通 常 の 実務 で は
︑ 早期 の 回 答 が ディ ス カ バ リの 目 的 に 資 する 旨 を 質 問書 を 送付 し た 当 事者 が 証 明 し ない 限 り
︑裁 判 所 が
co n te n tio n i n te rr o g a to ri es
へ の回 答 を デ ィス カ バ リ の 後の 段 階 ま で延 期 さ
쐍
︶
せ る
︒ なお
︑ 現 行 の連 邦 民 訴 規 則で は
︑ 当 事者 は 質 問 書 をは じ め と する デ ィ ス カ バリ の 手 段 を︑ 連 邦 民 訴 規則 二 六 条
⒜項 の 必要 的 デ ィ スク ロ ー ジ ャ ーの 対 象 と なる 事 項 に 関 連す る さ ら なる 情 報 を 入 手す る た め に利 用 す る こ とが 予 定 さ れて
쐍
︶
い る︒ そ の た め︑ デ ィ ス ク ロー ジ ャ ー が相 当 と な る 時点 よ り も 前に 同 じ 情 報 を求 め る 質 問書 を 送 付 す るこ と に よ って
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当 事者 が 必 要 的デ ィ ス ク ロ ージ ャ ー に 先ん じ よ う と して い る 場 合︑ 連 邦 民 訴 規則 に よ る と裁 判 所 の 命 令に よ る と を問 わ ず︑ 質 問 書 は時 期 尚 早 で ある と し て 排斥 さ れ る 可 能性 が
쐍
︶
あ る
︒ 質問 書 を 当 事者 の 一 人 に 送付 す る 場 合︑ そ の 写 し を他 の 全 て の当 事 者 に 送 付し な け れ ばな ら な い
︵ 連邦 民 訴 規 則五 条
⒜⑴ 項
︶︒ な お
︑質 問 書
︑お よ び 質 問書 に 対 す る回 答 は
︑そ れ ら が 訴 訟手 続 で 使 用さ れ る ま で
︑ま たは 裁 判 所 が命 じ るま で は
︑ 裁判 所 に 提 出 され て は な らな い
︵ 連 邦 民訴 規 則 五 条⒟
⑴ 項
︶︒ 第 八 款 質 問 書 へ の回 答 1 回 答 の義 務 と 様 式 質問 書 を 送 付さ れ た 当 事 者は
︑ 個 々 の質 問 に 対 し て回 答 す る か︑ ま た は 異 議を 述 べ な けれ ば な ら な い︵ 連 邦 民 訴規 則 三三 条
⒝
⑵ 項︒ 質 問 書 に対 す る 異 議 につ い て は
︑本 章 本節 第 九 款 に て論 じ る
︶︒ 質 問 書 を送 付 さ れ た 当事 者 が そ の質 問 書全 体
︑ ま たは そ の 中 の 一部 の 質 問 に対 し て 異 議 を述 べ る 場 合︑ 異 議 事 由 を述 べ な け れば な ら ず
︑ かつ
︑ 異 議 の対 象 とな ら な い 質問 に つ い て は︑ 全 て 回 答の 義 務 が 課 さ
쐍
︶
れ る
︒ な お︑ 質 問 書 を 送付 さ れ た 当事 者 に は
︑ 質問 へ の 回 答︑ 異 議を 述 べ る こと に 加 え て
︑保 護 命 令 を申 し 立 て る とい う 選 択 肢も 認 め ら れ る︵ 連 邦 民 訴規 則 二 六 条
⒞項
︒ 保 護 命令 に つい て は
︑ 本章 本 節 第 一
〇款 に て 論 じる
︶︒ 質問 書 を 送 付さ れ た 当 事 者は
︑ 個 々 の質 問 に 対 し
︑個 別 に
︑ 完全 に
︑ か つ 書面 で 回 答 しな け れ ば な らず
︑ か つ
︑回 答 は宣 誓 の も とで 確 証 さ れ てい な け れ ばな ら な い の で︵ 連 邦 民 訴規 則 三 三 条
⒝⑶ 項
︶︑ 回 答は 真 実 で なけ れ ば な
쐍
︶
ら ず︑ さ もな け れ ば 制裁 が 科 さ れ るこ と に な る︒
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2 回 答 によ っ て 情 報 を提 供 す る 義務 質問 書 を 送 付さ れ た 当 事 者は 質 問 に 回答 す る 際
︑ 入手 可 能 な 全て の 情 報 を 提供 す る 積 極的 な 義 務 を 負う が
︑ 他 方︑ 新 たな 情 報 を 探し 出 す 義 務 まで は 負 わ
쐍
︶
ない
︒ 質問 書 を 送 付さ れ た 当 事 者が 団 体 で ある 場 合
︑ 当 該団 体 は そ の役 員
︑ 従 業 員︑ 元 従 業 員に よ っ て 保 有さ れ て い る情 報 につ い て も
︑提 供 す る 義 務を
쐍
︶
負 う
︒ また
︑ 質 問 書 を送 付 さ れ た親 会 社 は そ のコ ン ト ロ ール 下 に あ る 従属 会 社 の 保有 す る情 報 を も 提供 し な け れ ばな ら な い 旨を 判 示 す る 裁判 例 が 存 在
쐍
︶
す る
︒ なお
︑ 当 事 者が 知 見 や 情 報を 有 し な いゆ え に 質 問 に対 す る 回 答が で き な い 場合
︑ 単 に 回答 を 拒 絶 す るこ と は 許 され ず
︑回 答 中 で 情報 の 提 供 が 不可 能 で あ る旨 を 述 べ た うえ で
︑ 保 有す る 限 り の 情報 を 提 供 し︑ か つ
︑ 残 余の 情 報 を 入手 す るた め に 特 に尽 力 し た こ とに つ い て 述べ な け れ ば なら な い と さ
쐍
︶
れ る
︒ 3 回 答 を行 う 者 個人 で あ る 当事 者 に 送 付 され た 質 問 書に 対 し て は
︑そ の 個 人 自ら が 宣 誓 の もと で 回 答 し︑ 署 名 に よ る確 証 を し なけ れ ばな ら な い
︵連 邦 民 訴 規 則三 三 条
⒝
⑶項
・⑸ 項
︶︒ 特に 複 雑 な 質問
︑ ま た は 意見 や 主 張 を求 め る 質 問 への 回 答 の 準備 に 際し て
︑ 個 人の 当 事 者 が しば し ば 代 理人 弁 護 士 の 援助 を 受 け てい る こ と は 自明 で あ る が︑ 代 理 人 弁 護士 の み が 回答 に 署名 し 確 証 する こ と は 不 適切 で あ り
︑許 容 さ れ
쐍
︶
な い︒ も っ と も︑ 代 理 人 弁 護士 は 依 頼 者た る 当 事 者 本人 と と も に回 答 に署 名 し て 確証 し な け れ ばな ら ず︵ 連 邦民 訴 規 則 二六 条
⒢
⑴ 項
︶︑ ま た
︑ 質 問に 対 す る 異議 を 作 成 し た代 理 人 弁 護士 は 全て の 異 議 に署 名 し な け れば な ら な い︵ 連 邦 民 訴 規則 三 三 条
⒝⑸ 項
︶︒ 質問 書 を 送 付さ れ た 者 が 会社
︑ パ ー トナ シ ッ プ
︑ また は 社 団 であ る 場 合
︑ 回答 は そ の 役員 ま た は 代 理人 に よ っ て署
北研 49(3・ )