1.はじめに
食品の価値は,もともと栄養があるか,美味し いか,といった栄養特性や嗜し好特性が中心で考え られてきた。しかし,1984年から86年にかけて文 部科学省が行った特定研究「食品機能の系統的解 析と展開」において,食品の価値をわれわれの身 体に対する「機能」という観点から考える「食品 機能」という新しい概念が提唱された1- 3)。 食品の働きを一次機能(生きていく上で最低 限必要である栄養素やカロリーを供給する機能), 二次機能(味や香り,テクスチャーなどの感覚 に関わり,美味しいと感じさせる嗜好・感覚機 能),三次機能(疾病の予防,疾病の回復,生体 防御,体調リズムの調節,老化抑制などの生体調 節機能)に分類し,三次機能についての研究が盛 んに行われるようになってきた。食品による生 体調節作用とは,私たちの体の中での,免疫系 (外来病原菌やウイルスを殺して身体を防御),消 化系(食物を消化・吸収),循環系(血液やリン パ球の循環),分泌系(唾液,胃液,ホルモンの 分泌),神経系(情報伝達)などの高次生命活動, 老化,生活習慣病など様々な疾病の予防や疾病か らの回復,生体の恒常性(ホメオスタシス)維持 に食品が関与しているというものである。食品や 食品成分による生体調節作用を明らかにして,身 体の様々な部位での異常により引き起こされる疾 病を予防したり,回復を早めるために食品や食品 成分を利用しようと考えた。医食同源を「科学的 に解明する」研究である。 本報では,日本における機能性食品(Functionalfoods,Designer foods, Neutraceuticals;前述の 三次機能が効率よく発現するように設計され,あ る特定の疾病の予防に寄与すると考えられる食品) に関する研究,今後の展開について考えてみたい。
2.日本の機能性食品研究
文部科学省特定研究に引き続いて,農林水産省 では,委託プロジェクトとして「食品成分の分子 構造と機能の解明(1989-1991年)」,「新需要創 出のための生物機能の開発と利用技術の開発に関 する総合研究(1989-2000年)」,「健全な食生活 構築のための食品の機能性及び安全性に関する総 合研究(活力ある長寿社会実現のための医食同源 イニシアチブ)(2002-2011年)」が,また,文 部科学省でも「機能性食品解析とその分子解析 (1992-1995年)」が実施されてきた(第1図)。 2.1)機能性評価 食品の機能性の評価にはいくつかの種類(段 階)がある。 試験管内試験(酵素などを用いて行う試験), 細胞試験(微生物,マウス,ヒトなどの動物細胞 を用いて,細胞の反応性に与える食品,農産物, 分画成分などの影響を評価したり,作用機作を解 明する試験),動物試験(マウス,ラットなどに 食品,農産物,分画成分などを摂取させて,動物 の反応性に与える影響を評価する試験),疫学研 究(横断研究;年齢の異なる集団に対して実験や 調査を行ない,年齢以外の要因をできる限り排 除して各年齢群を比較する研究),疫学研究(コ ホート研究;同一の対象者を一定期間継続的に追 跡し,いくつかの時点で測定を行って変化を検討山
やまもと本(前田)万
ま り里
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 食品機能研究領域 領域長日本の機能性食品研究,開発のゆくえ
する研究),疫学研究(ヒト介入試験;有効成分 などを投与してその効果を検証する試験),プラ セボ(偽薬)や実薬を用いたランダム化群間比較 二重盲検試験が典型的である。 エビデンス(科学的根拠)レベルの分類も行わ れていて,ランダム化比較試験のメタアナリシス (過去に独立して行われた複数の臨床研究のデー タを収集・統合し,統計的方法を用いて解析した 系統的総説)が最も信頼性が高く,次いで,1つ 以上のランダム化比較試験,ランダム割付を伴わ ない同時コントロールを伴うコホート研究(前向 き研究),ランダム割付を伴わない過去のコント ロールを伴うコホート研究,ケース・コントロー ル研究(後ろ向き研究),処置前後の比較などの 前後比較,対照群を伴わない研究,症例報告,専 門家個人の意見,の順となる。 2.2)疫学研究を中心とした機能性評価 大学,公立研究機関,民間企業が,様々な評価 手法を使って,健康に役立つと考えられる農産物, 食品,食品成分について研究が行われてきた。た だし,どれだけ動物で試験を重ねても結果は動物 によるものであり,ヒトでの検証が行われていな いものは,機能性の効果は分からないということ になる。今までの機能性研究では,特定保健用食 品申請のために実施される試験以外では,疫学研 究(ヒト介入試験)まで実施している例が少なく, それが問題意識となって,農水省委託プロ「農林 水産物・食品の機能性等の解析・評価するための 基盤技術の開発(医農連携プロ)(2011-2013年)」 では,農業と医療分野との緊密な連携により,予 防医学等に活用できるよう,農林水産物・食品の 各種疾病予防効果に関する研究開発について体系 的に取り組み,ヒト介入試験で効果を検証した農 林水産物を世の中に送り出すことを目標とした。 医農連携プロでは,①「タンニン類に着目したリ ンゴ・茶の生体調節作用の医学的検証と高含有品 種育成など活用に関する研究開発」(対象農林水 産物と成分:リンゴ,茶のタンニン類,機能性: 免疫調節作用,代謝制御作用),②「メタボロー ム解析による機能性食物繊維の作用機序解明とそ の臨床応用に向けた食品開発」(対象農林水産物 と成分:キノコ,海草の食物繊維,機能性:生活 習慣病予防),③「ケルセチン・イソフラボンの 生活習慣病予防機能の科学的エビデンス強化と高 含有農産物の作出」(対象農林水産物と成分:大 豆のイソフラボン,タマネギのケルセチン,機能 性:生活習慣病予防),④「柑かんきつ橘類果皮を利用し た抗認知症機能性食品の開発に向けた基盤技術の 開発」(対象農林水産物と成分:柑 橘類果皮のノビレチン,機能性: 認知症軽減),⑤「米タンパク質の 新規生体調節機能性の先導的開発 と機構解析」(対象農林水産物と成 分:米のタンパク質,機能性:生 活習慣病予防)の5課題4)が実施 中である。 2.3)機能性成分の事例 現在まで,疫学研究で一定の成 果が出た成分についてのいくつか の例を次に示す。 2. 3. 1)ポリフェノール ポリフェノール類は植物二次代 謝産物の総称で,果実や茶,野菜な 委託プロジェクト「食品成分の分子構造と機能の解明」 1989-1991 農水省 特定研究「食品機能の系統的解析と展開」 1984-1986 文科省 機能性食品解析とその分子解析 1992-1995 文科省 委託プロジェクト「新需要創出のための生物機能の開発 と利用技術の開発に関する総合研究」 1989-2000 農水省 委託プロジェクト「健全な食生活構築のための食品の機能性 及び全性に関する総合研究(活力ある長寿社会実現のための 医食同源イニシアチブ)」 安 食 2002-2012 農水省 委託プロジェクト「農林水産物・食品の機能性等の解析・ 評価するための基盤技術の開発(医農連携プロ)」 2011-2013 農水省 第1図 文科省,農水省で実施されてきたプロジェクトの代表例
どの農産物や果汁や酒類,飲料などの加工品に広 く含まれている色素や渋み成分であり,OH 基を 多数含むため,抗酸化作用が期待されている。カ テキン,アントシアニン,イソフラボン,プロア ントシアニジン,ルチン,ケルセチン,クルクミ ン,クロロゲン酸などがポリフェノールに含まれ る。 イソフラボンは,大豆,クズ,カンゾウ,レッ ドクローバーなどのマメ科の植物に多く含まれて いるフラボノイドの一種であり,ゲニステイン, ダイゼインなどの種類がある。イソフラボンは配 糖体の形で存在しているが,摂取されると腸内細 菌により,糖鎖がはずれたアグリコンとなって吸 収される。イソフラボンは女性ホルモンであるエ ストロジェンのような活性5)を持つことが知ら れており,更年期障害を軽減する6),骨粗 鬆しょう症 の予防になる7),脂質代謝を改善する8)との報告 がある。ダイゼインは腸内細菌の働きにより,エ クオール(equol)というエストロジェン活性の より強い成分に代謝される9)ことが知られている。 ただし,腸内細菌によるもののため,代謝には個 人差があることも知られている。 大豆イソフラボンを有効成分として,骨の健康 維持に役立つとする特定保健用食品(後述)もあ り,食品安全委員会は安全な1日摂取目安量の上 限を70 ~ 75 mg と設定している。ただし,濃縮 物サプリメントとして摂取する場合と豆腐などの 食品として摂取する場合とでは,有効性や安全性 の解釈が異なってくることを認識する必要がある。 カテキンは茶,穀類,ワイン,桃,杏あんず,レンコ ンなどに多く含まれるフラボノイドの一種であ り,茶には,エピガロカテキンガレート(EGCG), エピガロカテキン(EGC),エピカテキンガレー ト(ECG), エ ピ カ テ キ ン(EC), + カ テ キ ン (C),エピガロカテキン -3"-O- メチルガレート (EGCG3"Me),エピカテキン -3"-O- メチルガレー ト(ECG3"Me)などが含まれている。茶カテキ ンでは,LDL コレステロール・総コレステロー ル低下作用10),体脂肪低下作用11),胃がん・膀ぼうこう胱 がん・食道がん・膵すいぞう臓がん・前立腺がん・乳がん 発症のリスク低減効果,虫歯・歯周病予防効果12), 抗アレルギー作用13)が報告されている。 アントシアニンは,植物の果皮や花に広く分 布するアントシアン色素のうちアントシアニジ ン (アグリコン) の配糖体である。糖鎖の構成に より多くの種類が存在し,ビルベリー,ブドウ, カシス,紫さつまいもなどに多く含まれ,pH に よって色が変化する。アントシアニンは強い抗酸 化性を有していることが知られているが,ヒト介 入試験では,調節性眼精疲労軽減作用14)が報告 されている。 ケルセチンは,フラボノイドの1種で,糖がと れたアグリコンである。茶,タマネギ,そば,ブ ロッコリー,ブドウ,ケッパー,ブルーベリー等 様々な植物に含まれている。ケルセチンには,血 圧低下作用・酸化 LDL 低下作用15)が報告されて おり,欠乏により血管性紫斑症を起こす。 ルチンは,ケルセチンに2糖類ルチノースが結 合したフラボノイドの1種で,ケルセチン,ヘス ペリジンともにビタミンP(レモンの皮に含まれ る成分であり,毛細血管透過性を抑制する物質と して単離された水溶性のビタミン様物質)ともい う。そば,イチジクに含まれている。ダッタン そばは通常のそばの10倍以上ルチン含有量が高 い。長期摂取により血清中ミエロペルオキシダー ゼ(MPO;CRP(C 反応性蛋たんぱく白)とともに血管 系疾患と高い相関がある酵素)が低下すること16) が報告されている。 クルクミンは,カレー粉スパイスのターメリッ クに含まれる黄色の色素で,強い抗酸化性を示す。 アルツハイマーの原因となるアミロイドβの蓄積 を抑制すること17,18)が報告されており,クルクミ ンをリードとしたアルツハイマー治療薬も開発中 であるという。 2. 3. 2)乳酸菌 乳酸菌は,チーズ,ヨーグルト,乳酸飲料,キ ムチ,ピクルス,ザワークラウト,漬け物,なれ ずし(馴れ寿司)などの発酵食品に含まれ,人の
腸内に棲すむことのできる細菌(善玉菌)で,代謝 により乳酸を生成する。ビフィズス菌,ラクトバ チルス菌,ラクトコッカス菌などがある。漬け物 などに存在する植物性乳酸菌は,生きて腸まで届 くプロバイオティクス食品であり,ヨーグルトな どに存在する動物性乳酸菌の10倍の腸内生存率が あるといわれている。植物性乳酸菌の効果として, 免疫活性作用,発がん物質の排出・分解,便秘・ 下痢の解消,病原菌感染の予防などが挙げられる。 腸内細菌叢そうのバランスを改善することで,健康維 持増進に寄与しうると考える研究者も多く,生き たままの乳酸菌などの細菌(善玉菌)をプロバイ オティクス,善玉菌が利用するオリゴ糖などの栄 養源をプレバイオティクスと呼んでいる。 2. 3. 3)オリゴ糖 オリゴ糖は,グルコース(ブドウ糖),フルク トース(果糖)など単糖が10個程度まで結合した 糖類のことで,フラクトオリゴ糖,ガラクトオリ ゴ糖,イソマルトオリゴ糖,キシロオリゴ糖,大 豆オリゴ糖,乳果オリゴ糖などがある。消化吸収 されにくく,ビフィズス菌などの善玉菌の栄養源 となって,腸内環境を整える。善玉菌は増殖して 乳酸,酢酸など有機酸を生産して,大腸内が酸性 になると,腸の働きを活発にして排便が促される とともに,過敏性腸症候群の軽減作用19,20),食中 毒,腸炎など感染症の予防21),乳幼児のアトピー 性皮膚炎軽減作用22),カルシウムなどミネラルの 可溶化,吸収促進23)などが認められたとの報告 がある。また,カロリーが砂糖の1/2程度で, 血糖値を上げにくい(低 GI 食品)ことが知られ ている。 2. 3. 4)EPA,DHA EPA(エイコサペンタエン酸)は炭素数が20 の,DHA(ドコサヘキサエン酸)は炭素数が22の, n-3系(ω - 3系)の直鎖の多価不飽和脂肪酸で あり,いわし,さば,まぐろなどの青魚の脂肪に 含まれる必須脂肪酸である。同じ n-3系脂肪酸で は,α - リノレン酸があり,亜麻仁油,エゴマ油 に含まれている。EPA や DHA は血中中性脂肪 を低下させ,冠状動脈疾患に対しての有効性が報 告されている24)。また,抑うつ症状スコアの改 善25),花粉症リスクの低減26),リウマチ症状の軽 減27),潰瘍性大腸炎の改善28)などが報告されて いる。エイコサペンタエン酸のエチルエステル化 合物である,「イコサペント酸エチル」は「医薬 品」である。 農産物,食品に含まれる機能性成分は,品種, 産地,栽培法,収穫時期などによって含有量が変 動する。また,目的とする機能性成分の特性によ り,抽出されやすい条件(抽出する水の温度や油 に溶けやすい性質をもつ等)や調理・加工上での 安定性などが異なる。農産物,食品に含まれる機 能性成分の効率的利用のためには,そのような 色々な要因が把握されていないといけないのだが, 研究自体は,まだ遅れており,途上にある状況で ある。これらの要因の中で,特に,大きな変動を もたらすのが,品種(遺伝形質)である。農研機 構では,様々な農産物の品種育成を行っているが, 今までに,機能性成分含有量を意識して育成され てきた農産物を表にまとめた(第1表)29)。
3.今後の機能性研究
今まではどちらかというと,前項で示したよう に機能性成分が中心の研究開発が多く行われてき た。そのような中,生活習慣病罹り か ん患者・未病者が 増加し,健康上の課題を抱えた方々のニーズに マッチした農林水産物やその加工品の国内外への 安定的な供給システムを確立するために2012年に 農研機構に補正予算が交付された。独立行政法人, 公立研究機関,大学,民間企業等との連携により, 健康上のリスク低減等に効果が期待される農林水 産物やその加工品の開発およびそれらの生産・流 通技術の確立,医療機関等との連携により,上記 で開発された農林水産物やその加工品について, 健康への影響評価や個人の健康状態に応じたテイ ラーメイドな供給システムの開発,を目標として, 現在,18課題の研究プログラムが実施されている (機能性農林水産物・食品開発プロジェクト)(第2図,第3図)30)。その中では,農研機構育成の 機能性農産物品種等を使い,ヒト介入試験を行っ てエビデンスを集め,機能性成分の変動を明らか にして,それをデータベースに収載するとともに, 食事レシピに活用するという手順で研究を進めて いる。ヒト介入試験を行って,効果を検証する農 産物は,現在のところ,高アミロース米,表面研 削玄米,β - グルカン高含有大麦,全粒小麦,高 タンパク大豆,ルチン高含有ダッタンそば,高リ コピンニンジン,高ルテインケール,ゴーヤ,ケ ルセチン高含有タマネギ,β - クリプトキサンチ ン高含有カンキツ,高カテキン緑茶である。 食品,農産物の機能性の研究においては,機能 性成分の分析,作用メカニズムの解析,機能性成 分を多く含む農産物の開発等の多くの課題がある が,これまでの研究開発ではこのような多くの課 題に対する総合的な検証が不十分であった。この ため,今後,食品,農産物に含有される特定の機 能性成分が有する生体調節作用に関して,機能性 成分の分析,その作用メカニズムの解析とヒトレ ベルでの有効性の検証及び機能性成分を多く含む 品種の育成,栽培法の確立,最適な加工・調理法 の開発などを行っていく必要があると考えてい る。 また,単に三次機能,その有効成分だけを 品目 品種名 機能性成分 健康増進効果 用途例 米 (巨大胚芽)はいいぶき, ゆきのめぐみ γ-アミノ酪酸 (GABA) 血圧上昇抑制 五目ちらし, 炊き込みご飯 二条裸麦 ビューファイバー, キラリモチ 食物繊維 (β-グルカン) コレステロール代謝改善, 免疫賦活作用 パン,ケーキ ふくいぶき イソフラボン 閉経後骨密度増加, 脂質代謝改善 豆腐 クロダマル アントシアニン, プロシアニジン 抗酸化性 煮豆,甘納豆,菓子 ジャガイモ シャドークイーン アントシアニン 抗酸化性 菓子 アヤムラサキ, アケムラサキ アントシアニン 抗酸化性,肝機能強化 加工食品 すいおう(葉) ルテイン 抗酸化性,白内障や加齢黄 班変性のリスクの低減 おひたし,加工食品 タマネギ クエルリッチ, 月交24号 ケルセチン 抗酸化性,抗炎症作用 油を添加した加熱調理品 ゴマ ごまぞう,まるえもん, まるひめ ゴマリグナン(セサミン, セサモリン) 抗酸化性 ごま油,加工食品 ダッタンソバ (実,葉) 満天きらり ルチン 抗酸化性,血管強化 そば,そば茶 べにふうき メチル化カテキン 抗アレルギー,血圧上昇抑 制,脂質代謝改善 緑茶,加工食品,外用剤 サンルージュ アントシアニン 抗酸化性 緑茶,加工食品 カンキツ 西南のひかり, 津之輝,たまみ β-クリプトキサンチン 骨密度増加,メタボ抑制 生食,飲料 イチゴ おいCベリー ビタミンC 抗酸化性,コラーゲン合成 促進,メラニン色素生成抑 制,銅・鉄の吸収促進,免 疫賦活 生食 ヤーコン アンデスの雪, サラダオカメ フラクトオリゴ糖 腸内細菌増殖 生食 乳酸菌 老化予防, 肌水分保持効果 ヨーグルト ラクトコッカス・ラクティスH61株 大豆 サツマイモ 茶 第1表 農研機構で育成された機能性成分高含有農産物(農研機構品種リスト2010より) 第1表 農研機構で育成された機能性成分高含有農産物(農研機構品種リスト2010より)
図2 機能性農産物・食品開発プロジェクトの研究概要
美味しく食べて生活習慣病を予防して健康を維持増進できる日本食の普及 産地 市場、メーカー スーパー、コンビニエンスストア 家庭、事業所等 3.テイラーメイドな提 供システムの開発 2.データベース構築及び 栄養指導システム開発 機能性成分 生体機能性情報 素材情報(品目、品種、産地、栽培法等) 特性情報(生体利用性、用量、調理適性等) 栄養成分情報 安全性情報 主食 主菜 副菜 果実 乳製品 し好飲料 1.機能性農林水産物・加工品開発 栄養ケアステーション等での情報発信、 管理栄養士による栄養指導 栄養指導のための情報の集約、システム化個人の健康状
態の把握
個人用レシピの
設計
機能性農産物の産
地からの配送
健康弁当、食事
製造=>ヒト介
入試験による効
果検証
弁当宅配、食堂で
の提供
機能性農産物
データベース検索
科学的
根拠の
取得
図3 機能性農産物や機能性弁当のテイラーメイド提供システムの研究概要
スタート
個人向け健康レシピ デリバリーリング 第2図 機能性農産物・食品開発プロジェクトの研究概要 第3図 機能性農産物や機能性弁当のテイラーメイド提供システムの研究概要追い掛けて研究を行うのではなく,栄養成分,嗜 好成分についても同時に考慮した栄養・健康機能 を総合的に考えた農林水産物・食品の開発が重要 であると考えている。 さらに,機能性としては,生活習慣病予防だけ ではなく,超高齢化の中で健康寿命延伸に大きく 寄与すると考えられるロコモティブシンドローム 予防,脳機能改善(抗認知症,ストレス軽減等) なども対象としていく必要がある。また,健康な 人がその健康を維持し,活力ある超高齢者になる ための,健康な人のための食生活提案に資する研 究も必要となる。これらの研究成果は,日本に続 いて超高齢化していく外国への有益な情報となる と考えられる。
4.機能性表示をめぐる動き
最近,食品の生体調節作用に関する表示をめぐ る動きが激しくなってきた。6月14日に閣議決定 された「日本再興戦略」(二.戦略市場創造プラ ン)では,「食の有する健康増進機能の活用」と して, ・いわゆる健康食品等の加工食品及び農林水産 物に関し,企業等の責任において科学的根拠をも とに機能性を表示できる新たな方策について,今 年度中に検討を開始し,来年度中に結論を得た上 で実施する。検討に当たっては,国ではなく企業 等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨及 び機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメ ントの表示制度を参考にしつつ,安全性の確保も 含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に行 う。 ・食の有する健康増進機能の解明・評価や,健 康増進機能を有する食材・食品の開発・普及促進 を図る。 さらに,健康・疾病データベースなど,世界最 先端の研究・分析基盤を確立すること等により, こうした市場・産業の拡大・発展を図る。と記載 された。特定保健用食品,栄養機能食品ではない 新たな機能性食品ということで,重要なのは,1. 安全性の確保,2.機能性表示(有効性の科学的 根拠),3.表示の内容,4.対象とする機能性 表示の範囲である。アメリカのダイエタリーサプ リメント制度では,構造・機能強調表示だけを対 象としているが,これを疾病リスクの低減表示ま で拡大していくのか,科学的根拠はどのようなレ ベルを求めるのか(学術論文の選定方針,効果程 度の評価),また,農林水産物(生鮮品)であれ ば,機能性成分値の変動が大きく左右してくるこ とになるが,それをどのように表示していくのか, 安全性情報や機能性情報を盛り込んだ機能性成分 データベースなどを整備するのか,これから消費 者庁内での議論が深まっていくものと期待される。5.おわりに
日本再興戦略が示した「新たな表示」は,今ま で踏み込んで来なかった「農林水産物の機能性表 示」という点に言及しているところが,上記の機 能性食品開発プロジェクトにも大きく影響すると 考えられる。このように,にわかに活気づいてき た食品機能性分野であるが,我々がやらなければ いけないのは,科学的根拠の明らかで健康維持増 進に役立ち,美味しくて安全な食品を国民に届け るための信頼性のある「研究」を行うことである。 今後も,一次(栄養),二次(嗜好),三次(生体 調節機能)すべてを連結させながら(栄養・健康 機能性),健康で豊かな食生活をもたらす農林水 産物(モノ,情報)が提供できるよう,食品機能 性研究者が自覚を持って研究を進めていく必要が ある。参 考 文 献
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