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「福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する第一次指針」

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Academic year: 2021

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「 東 京 電 力 ( 株 ) 福 島 第 一 、 第 二 原 子 力 発 電 所 事 故 に よ る 原 子 力 損 害 の 範 囲 の 判 定 等 に 関 す る 第 一 次 指 針 」 平 成 2 3 年 4 月 2 8 日 原 子 力 損 害 賠 償 紛 争 審 査 会 第 1 は じ め に 1 平 成 2 3 年 3 月 1 1 日 に 発 生 し た 東 京 電 力 株 式 会 社 ( 以 下 「 東 電 」 と い う 。 ) 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 及 び 福 島 第 二 原 子 力 発 電 所 に お け る 事 故 ( 以 下 「 本 件 事 故 」 と い う 。 ) は 、 広 範 囲 に わ た る 放 射 性 物 質 の 放 出 を も た ら し た 上 、 更 に 深 刻 な 事 態 を 惹 起 し か ね な い 危 険 を 生 じ さ せ た 。 こ の た め 、 政 府 に よ る 避 難 、 屋 内 退 避 の 指 示 な ど に よ り 、 多 数 の 住 民 ら が 、 避 難 そ の 他 の 行 動 を 余 儀 な く さ れ 、 あ る い は 、 生 産 及 び 営 業 を 含 め た 事 業 活 動 の 断 念 を 余 儀 な く さ れ る な ど 、 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 か ら 半 径 約 3 0 ㎞ 圏 内 を 中 心 に 福 島 県 全 体 の み な ら ず 周 辺 の 各 県 も 含 め た 広 範 囲 に 影 響 を 及 ぼ す 事 態 に 至 っ た 。 こ れ ら 周 辺 住 民 ら の 被 害 は 、 そ の 規 模 、 範 囲 等 に お い て 未 曾 有 の も の で あ り 、 本 件 事 故 発 生 か ら 1 ヶ 月 を 経 過 し て も な お 依 然 と し て 事 故 が 終 息 し な い 状 況 が 続 い て い る 。 ま た 、 数 万 人 以 上 に 及 ぶ 避 難 者 、 営 業 被 害 等 を 受 け た 多 数 の 事 業 者 を 始 め と す る 被 害 者 ら の 生 活 状 況 等 は 、 今 後 の 被 害 の 全 容 の 確 認 を 待 つ こ と が で き な い ほ ど 切 迫 し て お り 、 こ の よ う な 被 害 者 を 迅 速 、 公 平 か つ 適 正 に 救 済 す る 必 要 が あ る 。 こ の た め 、 原 子 力 損 害 に よ る 賠 償 を 定 め た 原 子 力 損 害 の 賠 償 に 関 す る 法 律 ( 以 下 「 原 賠 法 」 と い う 。 ) に 基 づ き 、 「 原 子 力 損 害 の 範 囲 の 判 定 の 指 針 そ の 他 の 当 該 紛 争 の 当 事 者 に よ る 自 主 的 な 解 決 に 資 す る 一 般 的 な 指 針 」 ( 同 法 1 8 条 2 項 2 号 、 以 下 「 指 針 」 と い う 。 ) を 策 定 す る に 当 た っ て は 、 上 記 の 事 情 に か ん が み 、 原 子 力 損 害 に 該 当 す る 蓋 然 性 の 高 い も の か ら 、 順 次 指 針 と し て 提 示 す る こ と と し 、 可 能 な 限 り 早 期 の

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被 害 者 救 済 を 図 る こ と と し た 。 2 そ こ で 、 ま ず 、 こ の た び の 指 針 ( 以 下 「 第 一 次 指 針 」 と い う 。 ) に お い て は 、 政 府 に よ る 指 示 に 基 づ く 行 動 等 に よ っ て 生 じ た 一 定 の 範 囲 の 損 害 に つ い て の み 、 基 本 的 な 考 え 方 を 明 ら か に す る 。 具 体 的 に は 、 ① 「 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 に 係 る 損 害 」 と し て 、 「 避 難 費 用 」 、 「 営 業 損 害 」 、 「 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 」 、 「 財 産 価 値 の 喪 失 又 は 減 少 等 」 、「 検 査 費 用 ( 人 ) 」 、 「 検 査 費 用 ( 物 ) 」 、 「 生 命 ・ 身 体 的 損 害 」 、 「 精 神 的 損 害 」 を 、 ② 「 政 府 に よ る 航 行 危 険 区 域 設 定 に 係 る 損 害 」 と し て 、 「 営 業 損 害 」 、 「 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 」 を 、 ③ 「 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に 係 る 損 害 」と し て 、「 営 業 損 害 」、「 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 」 を 対 象 と し た 。 な お 、 政 府 の 指 示 等 に よ る も の 以 外 が 損 害 賠 償 の 対 象 か ら 除 外 さ れ る も の で は な く 、 第 一 次 指 針 で 対 象 と さ れ な か っ た 損 害 項 目 や そ の 範 囲 、 例 え ば 、 第 一 次 指 針 の 対 象 外 と な っ た 者 の 避 難 費 用 や 営 業 損 害 ( い わ ゆ る 風 評 被 害 も 含 む 。 ) 、 本 件 事 故 の 復 旧 作 業 等 に 従 事 し た 原 子 力 発 電 所 作 業 員 、自 衛 官 、 消 防 隊 員 、 警 察 官 又 は そ の 他 の 者 が 被 っ た 放 射 線 被 曝 等 に 係 る 被 害 、 本 件 事 故 に よ り 代 替 性 の な い 部 品 等 の 仕 入 れ が 不 能 と な っ た 取 引 先 の い わ ゆ る 間 接 損 害 、 地 方 公 共 団 体 独 自 の 財 産 的 被 害 、 政 府 指 示 等 が 解 除 さ れ た 後 に 発 生 す る 損 害 な ど の う ち 、 合 理 的 な 範 囲 内 で 原 子 力 損 害 に 該 当 し 得 る も の に つ い て は 、 今 後 検 討 す る 。 他 方 で 、 被 害 者 が 被 っ た 損 害 に 関 し て は 、 原 賠 法 に 基 づ く 賠 償 以 外 に も 、 被 災 者 救 済 の た め の 複 数 の 措 置 等 が 既 に 実 施 さ れ 、 あ る い は 、 今 後 実 施 さ れ る 予 定 の も の 等 が 想 定 さ れ る が 、 こ れ ら の 措 置 等 と の 関 係 ( 損 益 相 殺 の 可 否 等 ) に つ い て も 、 今 後 検 討 す る 。 3 第 一 次 指 針 で 示 し た 損 害 の 範 囲 に 関 す る 考 え 方 が 、 今 後 、 被 害 者 と 東 電 と の 間 に お け る 円 滑 な 話 し 合 い と 合 意 形 成 に 寄 与 す る こ と が 望 ま れ る と と も に 、 東 電 に 対 し て は 、 多 数 の 被 害 者 へ の 賠 償 が 可 能 と な る よ う な 体 制 を 早 急 に 整 え た 上 で 、

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迅 速 、 公 平 か つ 適 正 な 救 済 が 行 わ れ る こ と を 期 待 す る 。 第 2 各 損 害 項 目 に 共 通 す る 考 え 方 1 原 賠 法 に よ り 原 子 力 事 業 者 が 負 う べ き 責 任 の 範 囲 は 、 原 子 炉 の 運 転 等 に よ り 与 え た 「 原 子 力 損 害 」 で あ る が ( 3 条 ) 、 そ の 損 害 の 範 囲 に つ き 、 一 般 の 不 法 行 為 に 基 づ く 損 害 賠 償 請 求 権 に お け る 損 害 の 範 囲 と 特 別 に 異 な っ て 解 す る 理 由 は な い 。 し た が っ て 、 指 針 策 定 に 当 た っ て も 、 本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 、 す な わ ち 社 会 通 念 上 当 該 事 故 か ら 当 該 損 害 が 生 じ る の が 合 理 的 か つ 相 当 で あ る と 判 断 さ れ る 範 囲 の も の で あ れ ば 、 原 子 力 損 害 に 含 ま れ る と 考 え る 。 こ れ に 関 連 し て 、 損 害 項 目 の う ち 、 避 難 費 用 、 営 業 損 害 、 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 な ど 、 継 続 的 に 発 生 し 得 る 損 害 に つ い て は 、そ の 終 期 を ど う 判 断 す る か と い う 困 難 な 問 題 が あ る が 、 こ の 点 に つ い て は 今 後 検 討 す る 。 2 ま た 、 本 指 針 策 定 に 当 た っ て は 、 平 成 1 1 年 9 月 3 0 日 に 発 生 し た 株 式 会 社 ジ ェ ー ・ シ ー ・ オ ー ( J C O ) 東 海 事 業 所 に お け る 臨 界 事 故 に 関 し て 原 子 力 損 害 調 査 研 究 会 が 作 成 し た 同 年 1 2 月 2 5 日 付 け 中 間 的 な 確 認 事 項 ( 営 業 損 害 に 対 す る 考 え 方 ) 及 び 平 成 1 2 年 3 月 2 9 日 付 け 最 終 報 告 書 を 参 考 と し た 。 た だ し 、 本 件 事 故 は 、 そ の 事 故 の 内 容 、 深 刻 さ 、 周 辺 に 及 ぼ し た 被 害 の 規 模 、 範 囲 、 期 間 等 に お い て 上 記 J C O の 臨 界 事 故 を 遙 か に 上 回 る も の で あ り 、 そ の 被 害 者 及 び 損 害 項 目 の 類 型 も 多 岐 に わ た る も の で あ る こ と か ら 、 本 件 事 故 に 特 有 の 事 情 を 十 分 考 慮 し て 策 定 す る こ と と し た 。 3 ま た 、 損 害 の 算 定 に 当 た っ て は 、 例 え ば 、 避 難 費 用 等 に つ い て は そ の 証 明 を も と に 実 費 賠 償 を す る こ と が 原 則 で あ る が 、 本 件 事 故 に よ る 被 害 者 が 数 万 人 規 模 に も 上 り 、 そ の 早 急 な 救 済 が 求 め ら れ る 現 状 に か ん が み れ ば 、 合 理 的 に 算 定 し た 一 定 額 の 賠 償 を 認 め る な ど の 方 法 も 考 え ら れ る 。 た だ し 、 上 記 一 定 金 額 を 超 え る 避 難 費 用 等 の 負 担 を 余 儀 な く さ れ た こ と

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が 証 明 さ れ た 場 合 に は 、 必 要 か つ 合 理 的 な 範 囲 で 増 額 さ れ る こ と が あ り 得 る 。 な お 、 営 業 損 害 に つ い て も 、 避 難 に よ り 証 拠 の 収 集 が 困 難 で あ る 場 合 な ど 必 要 か つ 合 理 的 な 範 囲 で 証 明 の 程 度 を 緩 和 し て 賠 償 す る こ と や 、 大 量 の 請 求 を 迅 速 に 処 理 す る た め 、 客 観 的 な 統 計 デ ー タ 等 に よ る 合 理 的 な 算 定 方 法 を 用 い る こ と が 考 え ら れ る 。 4 賠 償 金 の 支 払 方 法 に つ い て も 、 早 急 な 救 済 が 必 要 な 被 害 者 の 現 状 に か ん が み れ ば 、 例 え ば 、 賠 償 額 が 最 終 的 に 確 定 す る 前 で あ っ て も 、 一 定 期 間 ご と に 支 払 い を し た り 、 請 求 金 額 の 一 部 を 前 払 い す る な ど 、 合 理 的 か つ 柔 軟 な 対 応 が 東 電 に 求 め ら れ る 。 第 3 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 に 係 る 損 害 に つ い て [ 対 象 区 域 ] 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 が あ っ た 区 域 は 、 以 下 の と お り で あ る 。 ( 1 ) 避 難 区 域 政 府 が 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 に 基 づ い て 各 地 方 公 共 団 体 の 長 に 対 し て 住 民 の 避 難 を 指 示 し た 区 域 ① 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 か ら 半 径 2 0 k m 圏 内 ( 平 成 2 3 年 4 月 2 1 日 に は 、 原 則 立 入 り 禁 止 と な る 警 戒 区 域 に も 設 定 ) ② 福 島 第 二 原 子 力 発 電 所 か ら 半 径 1 0 k m 圏 内 ( 同 年 4 月 2 2 日 に は 、 半 径 8 k m 圏 内 に 縮 小 ) ( 2 ) 屋 内 退 避 区 域 政 府 が 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 に 基 づ い て 各 地 方 公 共 団 体 の 長 に 対 し て 住 民 の 屋 内 退 避 を 指 示 し た 区 域 ③ 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 か ら 半 径 2 0 k m 以 上 3 0 k m 圏 内 ( 注 ) こ の 屋 内 退 避 区 域 に つ い て 、 同 年 3 月 2 5 日 、

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官 房 長 官 よ り 、住 民 の 生 活 維 持 困 難 を 理 由 と す る 自 主 避 難 の 促 進 等 が 発 表 さ れ た 。但 し 、同 区 域 は 、同 年 4 月 2 2 日 、 下 記 の ( 3 ) 計 画 的 避 難 区 域 及 び ( 4 ) 緊 急 時 避 難 準 備 区 域 の 指 定 に 伴 い 、 解 除 さ れ た 。 ( 3 ) 計 画 的 避 難 区 域 政 府 が 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 に 基 づ い て 各 地 方 公 共 団 体 の 長 に 対 し て 計 画 的 な 避 難 を 指 示 し た 区 域 ④ 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 か ら 半 径 2 0 k m 以 遠 の 周 辺 地 域 の う ち 、 本 件 事 故 発 生 か ら 1 年 の 期 間 内 に 積 算 線 量 が 2 0 ミ リ シ ー ベ ル ト に 達 す る お そ れ の あ る 区 域 で あ り 、 概 ね 1 か 月 を 目 途 に 、 別 の 場 所 に 計 画 的 に 避 難 す る こ と が 求 め ら れ る 区 域 ( 4 ) 緊 急 時 避 難 準 備 区 域 政 府 が 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 に 基 づ い て 各 地 方 公 共 団 体 の 長 に 対 し て 緊 急 時 の 避 難 等 の 準 備 を 指 示 し た 区 域 ⑤ 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 か ら 半 径 2 0 k m 以 上 3 0 k m 圏 内 の 部 分 か ら 「 計 画 的 避 難 区 域 」 を 除 い た 区 域 の う ち 、 常 に 緊 急 時 に 屋 内 退 避 や 避 難 が 可 能 な 準 備 を す る こ と が 求 め ら れ 、引 き 続 き 自 主 的 避 難 を す る こ と 及 び 特 に 子 供 、妊 婦 、 要 介 護 者 、 入 院 患 者 等 は 立 ち 入 ら な い こ と が 求 め ら れ る 区 域 [ 避 難 等 対 象 者 ] 避 難 等 対 象 者 の 範 囲 は 、 政 府 の 指 示 に よ り 避 難 そ の 他 の 行 動 を 余 儀 な く さ れ た 者 と し て 、 以 下 の と お り と す る 。 1 本 件 事 故 が 発 生 し た 後 に 対 象 区 域 内 か ら 同 区 域 外 へ 避 難 の た め の 立 退 き ( 以 下 「 避 難 」 と い う 。 ) 及 び こ れ に 引 き 続 く 同 区 域 外 滞 在 ( 以 下 「 対 象 区 域 外 滞 在 」 と い う 。 ) を 余 儀 な く さ れ た 者 2 本 件 事 故 発 生 時 に 対 象 区 域 外 に 居 り 、 同 区 域 内 に 生 活 の 本 拠 と し て の 住 居 が あ る も の の 引 き 続 き 対 象 区 域 外 滞 在 を 余 儀

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な く さ れ た 者 3 対 象 区 域 内 で 屋 内 へ の 退 避 ( 以 下 「 屋 内 退 避 」 と い う 。 ) を 余 儀 な く さ れ た 者 ( 備 考 ) 1 ) 以 上 の 「 避 難 」 、 「 対 象 区 域 外 滞 在 」 及 び 「 屋 内 退 避 」 を 併 せ て 、 「 避 難 等 」 と い う 。 ま た 、 避 難 等 対 象 者 に は 、 い っ た ん 避 難 し た 後 に 住 居 に 戻 っ て 屋 内 退 避 を し た 者 な ど も 含 ま れ る ( 但 し 、 損 害 額 の 算 定 に 当 た っ て は 、 こ れ ら の 差 異 が 考 慮 さ れ る こ と は あ り 得 る 。 ) 。 2 ) 対 象 区 域 に 居 住 す る 者 に 対 し て は 、 政 府 に よ り 、 前 記 の と お り 、 区 域 に 応 じ て 、 避 難 が 指 示 さ れ ( 避 難 区 域 及 び 計 画 的 避 難 区 域 )、又 は 自 主 的 な 避 難( 屋 内 退 避 区 域 、 緊 急 時 避 難 準 備 区 域 ) が 求 め ら れ て い る 。 し た が っ て 、 政 府 の 避 難 指 示 の 対 象 と な っ た 区 域 の 居 住 者 の み な ら ず 、 自 主 的 な 避 難 が 求 め ら れ て い る 区 域 の 居 住 者 に つ い て も 、 対 象 区 域 外 に 避 難 す る 行 動 に 出 る こ と や 、 同 区 域 外 に 居 た 者 が 同 区 域 内 の 住 居 等 に 戻 る こ と を 差 し 控 え る 行 動 に 出 る こ と は 、 合 理 的 な 行 動 で あ り 、 「 政 府 の 指 示 に よ り 」 避 難 や 対 象 区 域 外 滞 在 を 「 余 儀 な く さ れ た 」 場 合 に 該 当 す る 。 ま た 、 政 府 の 避 難 指 示 や 自 主 的 避 難 の 要 請 の 前 に 避 難 や 対 象 区 域 外 滞 在 を し た 者 に つ い て も 、 政 府 の 指 示 に 照 ら し 、 そ の 行 為 は 客 観 的 ・ 事 後 的 に み て 合 理 的 な 行 動 で あ っ た と 認 め ら れ 、 「 政 府 の 指 示 に よ り 」 避 難 又 は 対 象 区 域 外 滞 在 を 「 余 儀 な く さ れ た 者 」 の 範 疇 に 含 め て 考 え る べ き で あ る 。 [ 損 害 項 目 ] 1 検 査 費 用 ( 人 ) ( 指 針 )

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本 件 事 故 の 発 生 以 降 、 「 避 難 等 対 象 者 」 の う ち 、 対 象 区 域 内 で 屋 内 退 避 し 、 又 は 、 同 区 域 内 か ら 同 区 域 外 に 避 難 し た 者 が 、 放 射 性 物 質 へ の 曝 露 の 有 無 等 を 確 認 す る 目 的 で 受 け た 合 理 的 な 範 囲 で の 検 査 に つ き 検 査 費 用 及 び そ の 付 随 費 用 ( 検 査 の た め の 交 通 費 等 ) を 負 担 し た 場 合 に は 、 被 害 者 の 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 1 ) 放 射 性 物 質 は 、 そ の 量 に よ っ て は 人 体 に 多 大 な 負 の 影 響 を 及 ぼ す 危 険 性 が あ る 上 、 人 の 五 感 の 作 用 で は 知 覚 で き な い と い う 性 質 を 有 し て い る 。 そ れ ゆ え 、 本 件 事 故 の 発 生 に よ り 、 少 な く と も 、 避 難 等 対 象 者 の う ち 、 対 象 区 域 内 に 屋 内 退 避 し 、又 は 、同 区 域 内 か ら 同 区 域 外 に 避 難 し た 者 が 、 自 ら の 身 体 が 放 射 性 物 質 に 曝 露 し た の で は な い か と の 不 安 感 を 抱 き 、 こ の 不 安 感 を 払 拭 す る た め に 検 査 を 受 け る こ と は 合 理 的 な 行 動 と い え る 。 2 ) 無 料 の 検 査 を 受 け た 場 合 の 検 査 費 用 に つ い て は 、 被 害 者 に 実 損 が 生 じ て お ら ず 、 損 害 と は 認 め ら れ な い 。 3 ) な お 、 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 の 前 に 本 件 事 故 に よ り 生 じ た 部 分 が あ れ ば 、 こ れ を 賠 償 対 象 か ら 除 外 す べ き 合 理 的 な 理 由 は な い か ら 、 本 件 事 故 日 以 降 の 検 査 費 用 が 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 2 避 難 費 用 ( 指 針 ) 避 難 等 対 象 者 が 負 担 し た 以 下 の 費 用 が 、 損 害 と 認 め ら れ る 。 Ⅰ ) 対 象 区 域 か ら 避 難 す る た め に 負 担 し た 交 通 費 、 家 財 道 具 の 移 動 費 用 Ⅱ ) 対 象 区 域 外 に 滞 在 す る こ と を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ り 負 担 し た 宿 泊 費 及 び こ の 宿 泊 に 付 随 し て 負 担 し た 費 用 Ⅲ ) 避 難 等 対 象 者 が 、 避 難 等 に よ っ て 生 活 費 が 増 加 し た 部 分 が あ れ ば 、 そ の 増 加 費 用

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( 備 考 ) 1 ) 対 象 区 域 内 の 居 住 者 ら が 負 担 し た 避 難 費 用 ( 交 通 費 、 家 財 道 具 の 移 動 費 用 、 宿 泊 費 及 び こ の 宿 泊 に 付 随 し て 負 担 し た 雑 費 、 以 下 「 宿 泊 費 等 」 と い う 。 ) に つ い て も 、 賠 償 の 対 象 と す る の が 妥 当 で あ る 。 な お 、 屋 内 退 避 を し た 者 に は 、 避 難 費 用 は 原 則 と し て 認 め ら れ な い が 、 Ⅲ ) に 該 当 す る 費 用 は 賠 償 の 対 象 と な る ほ か 、 屋 内 退 避 を 余 儀 な く さ れ た こ と に 伴 う 生 活 の 困 難 や 不 安 に つ い て は 、 精 神 的 損 害 に お い て 考 慮 さ れ る 。 ま た 、 屋 内 退 避 区 域 が 解 除 さ れ た 後 、 何 ら の 規 制 も 及 ば な く な っ た 区 域 に つ い て は 、 解 除 か ら 相 当 期 間 経 過 後 に 生 じ た 避 難 費 用 等 は 賠 償 の 対 象 と な ら な い 。 こ の 相 当 期 間 が ど の 程 度 か は 今 後 検 討 す る 。 2 ) 避 難 費 用 の う ち 、 Ⅰ ) の 交 通 費 及 び 家 財 道 具 移 動 費 用 に つ い て 、 損 害 額 算 定 及 び 支 払 方 法 と し て は 、 対 象 区 域 内 の 居 住 者 ら が 実 際 に 負 担 し た 費 用 を 領 収 証 等 で 確 認 し た 上 で 損 害 額 を 算 定 し 、 そ の 実 費 を 賠 償 す る 方 法 が 原 則 で あ る 。 し か し な が ら 、 本 件 に お い て 、 数 万 人 に 及 ぶ 多 数 の 被 害 者 か ら 逐 一 領 収 証 等 で 実 費 を 確 認 す る こ と が 困 難 で 、 か え っ て 被 害 者 の 早 期 の 救 済 が 図 ら れ な く な る お そ れ が あ る の で 、 一 定 金 額 を 平 均 的 な 損 害 額 と 算 定 し た 上 、 対 象 者 全 員 に 一 律 に 支 払 う こ と が 考 え ら れ る 。 そ の 際 の 平 均 的 損 害 額 に つ い て は 、 今 後 早 急 に 検 討 す る 。 3 ) 避 難 費 用 の う ち 、Ⅲ )の 生 活 費 の 増 加 費 用 に つ い て は 、 例 え ば 、 屋 内 退 避 し た 者 が 食 品 購 入 の た め 遠 方 ま で の 移 動 が 必 要 と な っ た り 、 避 難 等 し た 者 が 自 家 用 農 作 物 の 利 用 が 不 能 又 は 著 し く 困 難 ( 以 下 「 不 能 等 」 と い う 。 ) と な っ た た め 食 費 が 増 加 し た り し た よ う な 場 合 に は 、 そ の 増 加 分 は 賠 償 の 対 象 と な り 得 る 。 4 ) 避 難 費 用 の う ち 、 Ⅱ ) の 宿 泊 費 等 に つ い て は 、 避 難 等 し た 者 の 中 で も 、 自 ら こ れ を 負 担 し て ホ テ ル 、 旅 館 等 に 宿 泊 す る 場 合 と 、 宿 泊 費 等 は 負 担 し な い で 体 育 館 、 公 民 館 、 避 難 所 等 に 宿 泊 す る 場 合 な ど 、 様 々 な 類 型 が 考 え ら

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れ る と こ ろ 、 厳 密 に 言 え ば 、 後 者 は 宿 泊 費 等 の 実 費 負 担 が な い か ら 、こ の 費 用 が 損 害 と 認 め ら れ な い こ と と な る 。 し か し 、 こ れ で は 、 相 対 的 に 見 て よ り 不 便 な 生 活 を 長 期 間 余 儀 な く さ れ た 者 へ の 賠 償 額 が 少 な く な る と い う 正 義 に 反 し 公 平 性 を 欠 く 結 論 と な り か ね な い 。 し た が っ て 、 賠 償 の 方 法 と し て は 、 ① 実 際 に 宿 泊 費 等 を 負 担 し た か 否 か に か か わ ら ず 、 避 難 生 活 を 送 っ て い る 者 全 員 に 平 均 的 な 宿 泊 費 等 を 一 律 に 賠 償 す る こ と と す る か 、 あ る い は 、 ② 後 者 の 場 合 に は 、 精 神 的 苦 痛 が よ り 大 き い と し て 慰 謝 料 の 金 額 を 増 額 す る な ど 、 一 定 の 調 整 を す る 方 法 が 考 え ら れ る が 、 こ れ ら に つ い て で き る だ け 早 急 に 検 討 す る 。 3 生 命 ・ 身 体 的 損 害 ( 指 針 ) 避 難 等 対 象 者 に つ き 、 以 下 の も の が 、 損 害 と 認 め ら れ る 。 Ⅰ ) 本 件 事 故 に よ り 対 象 区 域 か ら の 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ た た め 、傷 害 を 負 い 、健 康 状 態 が 悪 化 し 、疾 病 に か か り 、 あ る い は 死 亡 し た こ と に よ り 生 じ た 逸 失 利 益 、 治 療 費 、 薬 代 、 精 神 的 損 害 等 Ⅱ ) 本 件 事 故 に よ り 対 象 区 域 か ら の 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ 、こ れ に よ る 健 康 状 態 の 悪 化 等 を 防 止 す る た め 、負 担 が 増 加 し た 検 査 費 、 治 療 費 、 薬 代 等 ( 備 考 ) 1 ) 避 難 等 対 象 者 が 、 本 件 事 故 に よ り 対 象 区 域 か ら の 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ た た め 、 生 命 ・ 身 体 的 損 害 を 被 っ た 場 合 に は 、 そ れ に よ っ て 失 わ れ た 逸 失 利 益 の ほ か 、 被 っ た 治 療 費 や 薬 代 相 当 額 の 出 費 、 精 神 的 損 害 等 の 損 害 が 認 め ら れ る 。 な お 、 こ の 生 命 ・ 身 体 的 損 害 を 伴 う 精 神 的 損 害 の 額 は 、 下 記 4 の 場 合 と は 異 な り 、 生 命 ・ 身 体 の 損 害 の 程 度 に 従 っ て 個 別 に 算 定 さ れ る べ き で あ る 。 2 ) ま た 、 対 象 区 域 か ら の 避 難 等 に よ り 実 際 に 健 康 状 態 が

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悪 化 し た わ け で は な く と も 、 高 齢 者 や 持 病 を 抱 え て い る 者 ら が 、 避 難 等 に よ る 健 康 悪 化 防 止 の た め に 従 来 よ り 費 用 の 増 加 す る 治 療 を 受 け る こ と も 合 理 的 な 行 動 で あ る か ら 、 こ れ に よ っ て 増 加 し た 費 用 も 損 害 と 認 め ら れ る 。 3 ) な お 、 例 え ば P T S D ( 心 的 外 傷 後 ス ト レ ス 障 害 ) な ど が こ こ で 言 う 「 身 体 的 損 害 」 に 該 当 し 得 る か 否 か に つ い て は 、 今 後 検 討 す る 。 4 精 神 的 損 害 ( 指 針 ) 本 件 事 故 に お い て 、 避 難 等 対 象 者 が 受 け た 精 神 的 苦 痛 ( こ こ で は 、 生 命 ・ 身 体 的 損 害 を 伴 わ な い も の に 限 る 。 ) に つ い て 、 そ の ど こ ま で が 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 と 言 え る か 判 断 が 難 し い 。 し か し な が ら 、 少 な く と も 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に 伴 い 、 正 常 な 日 常 生 活 の 維 持 ・ 継 続 が 長 期 間 に わ た り 著 し く 阻 害 さ れ た た め に 生 じ た 精 神 的 苦 痛 の 部 分 に つ い て は 、 損 害 と 認 め ら れ る 余 地 が あ り 、 今 後 、 そ の 判 定 基 準 や 算 定 の 要 素 な ど を で き る だ け 早 急 に 検 討 す る 。 ( 備 考 ) 1 ) 前 述 し た よ う に 、本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 で あ れ ば 「 原 子 力 損 害 」 に 該 当 す る か ら 、 生 命 ・ 身 体 的 損 害 を 伴 わ な い 精 神 的 損 害 ( 慰 謝 料 ) に つ い て も 、 相 当 因 果 関 係 が 認 め ら れ る 限 り 、 賠 償 す べ き 損 害 と い え る 。 2 ) 生 命 ・ 身 体 的 損 害 を 伴 わ な い 精 神 的 苦 痛 の 有 無 、態 様 及 び 程 度 等 は 、 当 該 被 害 者 の 年 齢 、 性 別 、 職 業 、 性 格 、 生 活 環 境 及 び 家 族 構 成 等 の 種 々 の 要 素 に よ っ て 著 し い 差 異 を 示 す も の で あ る 点 か ら も 、損 害 の 有 無 及 び そ の 範 囲 を 客 観 化 す る こ と に は 自 ず と 限 度 が あ る 。 し か し な が ら 、 本 件 事 故 に お い て は 、 実 際 に 周 辺 に 広 範 囲 に わ た り 放 射 性 物 質 が 放 出 さ れ 、 こ れ に 対 応 し た 政 府 か ら の 避 難 や 屋 内 退 避 等 の 指 示 が あ っ た の で あ る か

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ら 、対 象 区 域 内 の 住 民 ら が 、住 居 か ら 避 難 し 、あ る い は 、 屋 内 退 避 す る こ と を 余 儀 な く さ れ る な ど 、 日 常 の 平 穏 な 生 活 が 現 実 に 妨 害 さ れ た こ と は 明 ら か で あ り 、 ま た 、 そ の 避 難 等 の 期 間 も 総 じ て 長 く 、 ま た 、 そ の 生 活 も 過 酷 な 状 況 に あ る 者 が 多 数 で あ る と 認 め ら れ る 。 し た が っ て 、 本 件 事 故 に お い て は 、 少 な く と も 避 難 等 対 象 者 に つ い て は 、 そ の 状 況 に 応 じ て 、 避 難 等 に よ り 正 常 な 日 常 生 活 の 維 持 ・ 継 続 が 長 期 間 に わ た り 著 し く 阻 害 さ れ た こ と に よ る 一 定 の 精 神 的 損 害 を 観 念 す る こ と が で き る 。 3 ) こ の 精 神 的 損 害 に 係 る 損 害 額 の 具 体 的 な 算 定 は 困 難 で あ る が 、 例 え ば 、 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ た 経 緯 ( 避 難 指 示 、 屋 内 退 避 指 示 の 別 等 ) 、 避 難 等 の 別 ( 避 難 、 対 象 区 域 外 滞 在 、 屋 内 退 避 ) 、 避 難 等 の 期 間 及 び 避 難 し た 施 設 の 居 住 環 境 そ の 他 の 避 難 等 に お け る 生 活 状 況 等 に 応 じ て 避 難 等 対 象 者 を 類 型 化 し た 上 、 段 階 的 か つ 合 理 的 な 差 を 設 け る な ど し て 、 類 型 化 さ れ た 対 象 者 ご と に 共 通 す る 一 定 の 精 神 的 損 害 及 び こ れ に 対 す る 賠 償 額 を 認 め る こ と が 考 え ら れ る 。 他 方 で 、 上 記 2 ( 避 難 費 用 ) で 述 べ た と お り 、 一 般 的 に 言 え ば 、 宿 泊 費 等 を 負 担 し て ホ テ ル 、 旅 館 等 に 宿 泊 す る 場 合 と 、 宿 泊 費 等 は 負 担 し な い で 体 育 館 、 公 民 館 、 避 難 所 等 に 宿 泊 す る 場 合 と で は 、 後 者 の 方 が 精 神 的 苦 痛 は 大 で あ る と 認 め ら れ る か ら 、こ の よ う な 差 異 に か ん が み 、 宿 泊 場 所 に か か わ ら ず 一 定 額 を 算 定 し て 、 こ れ を も っ て 両 者 を 併 せ た 損 害 額 と 認 定 す る こ と に も 合 理 性 が あ る と 考 え ら れ 、 あ わ せ て 今 後 検 討 す る 。 4 ) ま た 、 こ れ ま で 述 べ た 、 生 命 ・ 身 体 的 損 害 に 伴 う 精 神 的 損 害 、 避 難 等 に よ る 正 常 な 日 常 生 活 の 著 し い 阻 害 に 伴 う 精 神 的 損 害 の ほ か に も 、 一 定 以 上 の 放 射 性 物 質 に 曝 露 し た こ と に よ る 精 神 的 苦 痛 な ど 様 々 な も の が 考 え ら れ る 。 も ち ろ ん 、 原 子 力 事 故 や 放 射 性 物 質 の 放 出 に 対 す る 一 般 的 ・ 抽 象 的 不 安 感 や 危 惧 感 等 は 、 精 神 的 損 害 と し て

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認 め ら れ る も の で は な い 。 こ の よ う な 一 般 的 ・ 抽 象 的 不 安 感 や 危 惧 感 に と ど ま ら な い も の に つ い て 、 何 が 、 ま た ど こ ま で 損 害 と 認 め ら れ る か は 、 今 後 検 討 す る 。 5 営 業 損 害 ( 指 針 ) Ⅰ ) 従 来 、 対 象 区 域 内 で 事 業 の 全 部 又 は 一 部 を 営 ん で い た 者 が 、 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 が あ っ た こ と に よ り 、 営 業 が 不 能 に な る 等 、 同 事 業 に 支 障 が 生 じ た た め 、 現 実 に 減 収 の あ っ た 営 業 、 取 引 等 に つ い て は 、 そ の 減 収 分 が 損 害 と 認 め ら れ る 。 上 記 減 収 分 は 、 原 則 と し て 、 本 件 事 故 が な け れ ば 得 ら れ た で あ ろ う 売 上 高 か ら 、 本 件 事 故 が な け れ ば 負 担 し て い た で あ ろ う ( 本 件 事 故 に よ り 負 担 を 免 れ た で あ ろ う ) 売 上 原 価 を 控 除 し た 額 ( 逸 失 利 益 ) と す る 。 Ⅱ ) ま た 、 上 記 の よ う に 同 事 業 に 支 障 が 生 じ た た め に 負 担 し た 追 加 的 費 用 ( 商 品 、 営 業 資 産 の 廃 棄 費 用 等 ) や 、 事 業 へ の 支 障 を 避 け る た め 又 は 事 業 を 変 更 し た た め に 生 じ た 追 加 的 費 用 ( 事 業 拠 点 の 移 転 費 用 、 営 業 資 産 の 移 動 ・ 保 管 費 用 等 ) も 合 理 的 な 範 囲 で 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 1 ) 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 が あ っ た こ と に よ り 、 自 己 又 は 従 業 員 等 が 対 象 区 域 か ら の 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ 、 又 は 、 車 両 や 商 品 等 の 同 区 域 内 へ の 出 入 り に 支 障 を 来 し た こ と な ど に よ り 、 同 区 域 内 で 農 業 そ の 他 の 事 業 の 全 部 又 は 一 部 を 営 ん で い た 者 が 、 そ の 事 業 の 継 続 に 支 障 が 生 じ た 場 合 に は 、 当 該 事 業 に 係 る 営 業 損 害 は 損 害 と 認 め ら れ る 。 対 象 と な る 事 業 は 、 農 林 水 産 業 、 製 造 業 、 建 設 業 、 販 売 業 、 サ ー ビ ス 業 、 運 送 業 そ の 他 の 事 業 一 般 で あ り 、 営 利 目 的 の 事 業 に 限 ら れ ず 、 ま た 、 そ の 事 業 の 一 部 を 対 象

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区 域 内 で 営 ん で い れ ば 対 象 と な り 得 る 。 ま た 、 上 記 事 業 の 支 障 に よ り 生 じ た 商 品 や 営 業 資 産 の 廃 棄 、 返 品 費 用 な ど 、 あ る い は 、 こ の よ う な 事 態 を 避 け る た め に 、 当 該 事 業 者 が 対 象 区 域 内 か ら 同 区 域 外 に 事 業 拠 点 を 移 転 さ せ た 費 用 や 、 事 業 に 必 要 な 営 業 資 産 等 ( 家 畜 等 を 含 む 。 ) を 搬 出 し た 費 用 、 事 業 を 変 更 し た 場 合 に か か る 費 用 な ど の 追 加 的 費 用 に つ い て も 、 そ れ が 必 要 か つ 合 理 的 な 範 囲 内 に 止 ま る 限 り 、 損 害 と 認 め ら れ る 。 2 ) 将 来 の 売 上 高 の た め の 売 上 原 価 を 既 に 負 担 し 、 又 は 継 続 的 に 負 担 せ ざ る を 得 な い よ う な 場 合 に は 、 当 該 売 上 原 価 は 本 件 事 故 に よ っ て も 負 担 を 免 れ な か っ た と し て こ れ を 控 除 せ ず に 減 収 分 ( 損 害 額 ) を 算 定 す る の が 相 当 と 認 め ら れ る 。 3 ) ま た 、 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 の 前 に 本 件 事 故 に よ り 生 じ た 部 分 が あ れ ば 、 こ れ を 賠 償 対 象 か ら 除 外 す べ き 合 理 的 な 理 由 は な い か ら 、 本 件 事 故 日 以 降 の 営 業 損 害 が 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 4 ) 事 業 の 廃 止 や 倒 産 に 至 っ た 場 合 の 損 害 額 の 算 定 方 法 等 は 、 困 難 な 問 題 で あ る た め 、 今 後 検 討 す る 。 6 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 ( 指 針 ) 対 象 区 域 内 に 住 居 又 は 勤 務 先 が あ る 勤 労 者 に つ い て 、 同 区 域 内 に 係 る 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に 伴 い 、 そ の 就 労 が 不 能 等 と な っ た 場 合 に は 、 給 与 等 の 減 収 が 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 1 ) 対 象 区 域 内 に 係 る 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ た 勤 労 者 が 、 例 え ば 、 同 区 域 内 に あ っ た 勤 務 先 が 本 件 事 故 に よ り 廃 業 を 余 儀 な く さ れ 、 ま た は 、 避 難 先 が 勤 務 先 か ら 遠 方 と な っ た た め に 就 労 が 不 能 等 と な っ た 場 合 に は 、 そ の 給 与 等 の 減 収 が 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 に 該 当 す る と い え る 。

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な お 、 就 労 の 不 能 等 に は 、 本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る 解 雇 そ の 他 の 離 職 も 含 ま れ る 。 2 ) 但 し 、 自 営 業 者 や 家 庭 内 農 業 従 事 者 等 の 逸 失 利 益 分 に つ い て は 、 別 途 営 業 損 害 の 対 象 と な り 得 る か ら 、 こ こ で い う 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 の 対 象 と は な ら な い 。 3 ) ま た 、 就 労 が 不 能 等 と な っ た 期 間 の う ち 、 雇 用 者 が 勤 労 者 に 給 与 等 を 支 払 っ た 場 合 に は 、 当 該 雇 用 者 の 出 捐 額 が 損 害 と な り 、 こ れ は 当 該 雇 用 者 の 営 業 損 害 で 考 慮 さ れ る べ き も の で あ る 。 他 方 、 既 に 就 労 し た も の の 未 払 い で あ る 賃 金 に つ い て は 、 当 該 賃 金 は 本 来 雇 用 者 が 支 払 う べ き も の で あ る が 、 本 件 事 故 に よ り 当 該 賃 金 の 支 払 が 不 能 等 と な っ た と 認 め ら れ る 場 合 に は 、 当 該 賃 金 部 分 も 勤 労 者 の 損 害 に 該 当 し 得 る 。 4 ) ま た 、 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 の 前 に 本 件 事 故 に よ り 生 じ た 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 が あ れ ば 、 こ れ を 賠 償 対 象 か ら 除 外 す べ き 合 理 的 な 理 由 は な い か ら 、 本 件 事 故 日 以 降 の も の が 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 5 ) な お 、 未 就 労 者 の う ち 就 労 が 予 定 さ れ て い た 者 に つ い て は 、 そ の 就 労 の 確 実 性 に よ っ て は 、 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 を 被 っ た と し て 賠 償 の 対 象 と な り 得 る 。 7 検 査 費 用 ( 物 ) ( 指 針 ) 対 象 区 域 内 に あ っ た 商 品 を 含 む 財 物 が 、 ① 当 該 財 物 の 性 質 等 か ら 、 検 査 を 実 施 し て 安 全 を 確 認 す る こ と が 必 要 か つ 合 理 的 で あ り 、 又 は ② 取 引 先 の 要 求 等 に よ り 検 査 の 実 施 を 余 儀 な く さ れ た も の と 認 め ら れ た 場 合 に は 、 被 害 者 の 負 担 し た 検 査 費 用 は 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 1 ) 本 件 事 故 に よ る 被 害 の 全 貌 は い ま だ 判 明 し て お ら ず 、

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個 々 の 財 物 が そ の 価 値 を 喪 失 又 は 減 少 さ せ る 程 度 の 量 の 放 射 性 物 質 に 曝 露 し て い る か 否 か は 不 明 で あ る 。 し か し な が ら 、 財 物 の 価 値 な い し 価 格 は 、 当 該 財 物 の 取 引 等 を 行 う 人 の 印 象 ・ 意 識 ・ 認 識 等 の 心 理 的 ・ 主 観 的 な 要 素 に よ っ て 大 き な 影 響 を 受 け る 。 し か も 、 財 物 に 対 し て 実 施 す る 検 査 は 、 取 引 の 相 手 方 ら に よ る 取 引 拒 絶 、 キ ャ ン セ ル 要 求 又 は 減 額 要 求 等 を 未 然 に 防 止 し 、 営 業 損 害 の 拡 大 を 最 小 限 に 止 め る た め に も 必 要 と さ れ る 場 合 が 多 い 。 し た が っ て 、 ① 平 均 的 ・ 一 般 的 な 人 の 認 識 を 基 準 と し て 当 該 財 物 の 種 類 及 び 性 質 等 か ら 、 そ の 所 有 者 等 が 当 該 財 物 の 安 全 性 に 対 し て 危 惧 感 を 抱 き 、 こ の 危 惧 感 を 払 拭 す る た め に 検 査 を 実 施 す る こ と が 合 理 的 で あ る と 認 め ら れ る 場 合 、 又 は ② 取 引 先 の 要 求 等 に よ り 検 査 の 実 施 を 余 儀 な く さ れ た 場 合 に は 、 そ の 負 担 し た 検 査 費 用 を 損 害 と 認 め る の が 相 当 で あ る 。 2 ) ま た 、 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 の 前 に 本 件 事 故 に よ り 生 じ た 検 査 費 用 が あ れ ば 、 こ れ を 賠 償 対 象 か ら 除 外 す べ き 合 理 的 な 理 由 は な い か ら 、 本 件 事 故 日 以 降 の も の が 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 8 財 物 価 値 の 喪 失 又 は 減 少 等 ( 指 針 ) 財 物 に つ き 、 現 実 に 発 生 し た 以 下 の も の に つ い て は 、 損 害 と 認 め ら れ る 。 な お 、 こ こ で 言 う 「 財 物 」 は 動 産 の み な ら ず 不 動 産 を も 含 む 。 Ⅰ ) 政 府 の 指 示 に よ る 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に 伴 い 、 対 象 区 域 内 に 所 有 し て い た 財 物 の 管 理 が 不 能 等 と な っ た た め 、 当 該 財 物 の 価 値 の 全 部 又 は 一 部 が 失 わ れ た と 認 め ら れ る 場 合 に は 、 現 実 に 価 値 を 喪 失 し た 部 分 及 び こ れ に 伴 う 追 加 的 費 用 ( 当 該 財 物 の 廃 棄 費 用 等 ) に つ い て は 合 理 的 な 範 囲 で 損 害 と 認 め ら れ る 。

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Ⅱ ) Ⅰ ) の ほ か 、 当 該 財 物 が 本 件 事 故 の 発 生 時 対 象 区 域 内 に あ り 、 ⅰ ) 財 物 の 価 値 を 喪 失 又 は 減 少 さ せ る 程 度 の 量 の 放 射 性 物 質 に 曝 露 し た 場 合 又 は 、 ⅱ ) ⅰ ) に は 該 当 し な い も の の 、 財 物 の 種 類 、 性 質 及 び 取 引 態 様 等 か ら 、 平 均 的 ・ 一 般 的 な 人 の 認 識 を 基 準 と し て 、 本 件 事 故 に よ り 当 該 財 物 の 価 値 の 全 部 又 は 一 部 が 失 わ れ た と 認 め ら れ る 場 合 に は 、 現 実 に 価 値 を 喪 失 し 又 は 減 少 し た 部 分 及 び 除 染 等 の 追 加 的 費 用 に つ い て 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 1 ) Ⅰ )に つ い て は 、対 象 区 域 か ら 避 難 等 し た こ と に 伴 い 、 例 え ば 農 産 物 や 家 畜 等 の 管 理 が 不 能 等 に な っ た た め 、 農 産 物 の 収 穫 が で き な い ま ま 廃 棄 物 と せ ざ る を 得 な く な っ た り 、 家 畜 が 死 亡 す る な ど 、 当 該 財 物 の 価 値 の 全 部 又 は 一 部 が 失 わ れ た と 認 め ら れ る 場 合 に は 、 そ の 現 実 に 価 値 を 喪 失 し 又 は 減 少 し た 部 分 に つ い て は 、 損 害 と 認 め ら れ る 。 但 し 、 当 該 財 物 が 商 品 で あ る 場 合 に は 、 こ れ を 財 物 価 値 ( 客 観 的 価 値 )の 喪 失 又 は 減 少 等 と 評 価 す る か 、あ る い は 、 営 業 損 害 と し て そ の 減 収 分 ( 逸 失 利 益 ) と 評 価 す る か は 、 個 別 の 事 情 に 応 じ て 判 断 さ れ る べ き で あ る 。 な お 、 立 ち 入 り が で き な い た め 、 価 値 の 喪 失 又 は 減 少 に つ い て 現 実 に 確 認 で き な い も の は 、 蓋 然 性 の 高 い 状 況 を 想 定 し て 喪 失 又 は 減 少 し た 価 値 を 算 定 す る こ と も 考 え ら れ る が 、 こ の よ う な 想 定 が で き な い 場 合 の 手 法 に つ い て は 今 後 検 討 す る 。 2 ) Ⅱ の ⅰ ) に つ い て は 、 本 件 事 故 に よ り 放 出 さ れ た 放 射 性 物 質 が 当 該 財 物 に 付 着 し た こ と に よ り 、 当 該 財 物 の 価 値 が 喪 失 又 は 減 少 し た 場 合 に は 、 そ の 価 値 喪 失 分 又 は 減 少 分 は 賠 償 の 対 象 と な る 。 3 ) Ⅱ ) の ⅱ ) に つ い て は 、 Ⅱ の ⅰ ) の よ う に 放 射 性 物 質

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の 付 着 に よ り 財 物 の 価 値 が 喪 失 又 は 減 少 し た と ま で は 認 め ら れ な く と も 、 財 物 の 価 値 な い し 価 格 が 、 当 該 財 物 の 取 引 等 を 行 う 人 の 印 象 ・ 意 識 ・ 認 識 等 の 心 理 的 ・ 主 観 的 な 要 素 に よ っ て 大 き な 影 響 を 受 け る こ と に か ん が み 、 そ の 種 類 、 性 質 及 び 取 引 態 様 等 か ら 、 平 均 的 ・ 一 般 的 な 人 の 認 識 を 基 準 と し て 、 財 物 の 価 値 が 喪 失 又 は 減 少 し た と 認 め ら れ て も や む を 得 な い 場 合 に は 、 賠 償 の 対 象 と な る 。 4 ) な お 、 Ⅱ ) の ⅰ ) 及 び ⅱ ) に 関 し て は 、 喪 失 又 は 減 少 し た 財 物 の 価 値 を 回 復 す る た め 、 除 染 等 の 措 置 が 必 要 と な る 場 合 が あ る 。 こ の 場 合 に 、 価 値 の 喪 失 又 は 減 少 を 損 害 と と ら え る か 、 あ る い は 、 そ の 除 染 等 の 措 置 費 用 を 損 害 と と ら え る か 、 と い う 問 題 が あ る が 、 こ の 点 は 今 後 検 討 す る 。 5 ) ま た 、 不 動 産 売 買 契 約 の 解 約 、 不 動 産 を 担 保 と す る 融 資 の 拒 絶 又 は 売 却 予 定 価 格 の 値 下 げ に よ る 損 害 、あ る い は 、 賃 料 の 減 額 を 行 っ た こ と 又 は 本 件 事 故 後 に 賃 貸 借 契 約 を 解 約 さ れ た こ と に よ る 損 害 な ど に つ い て は 、 こ れ が 本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 と 認 め ら れ る か 否 か は 、 今 後 検 討 す る 。 第 4 政 府 に よ る 航 行 危 険 区 域 設 定 に 係 る 損 害 に つ い て [ 対 象 区 域 ] 海 上 保 安 庁 に よ り 航 行 危 険 区 域 に 設 定 さ れ た 、 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 を 中 心 と す る 半 径 3 0 k m の 円 内 海 域 [ 損 害 項 目 ] 1 営 業 損 害 ( 指 針 ) 航 行 危 険 区 域 の 設 定 に よ り 、 ① 漁 業 者 が 、 対 象 区 域 内 で の 操 業 の 断 念 を 余 儀 な く さ れ た た め 、 現 実 に 減 収 が あ っ た 場 合 は 、 そ の 減 収 分 、② 内 航 海 運 業 又 は 旅 客 船 事 業 を 営 ん で い る 者 等 が 、

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同 区 域 を 迂 回 し て 航 行 し た こ と に よ り 費 用 が 増 加 し た 場 合 又 は 減 収 が 発 生 し た 場 合 に は 、 当 該 費 用 の 増 加 分 又 は 発 生 し た 減 収 分 、 が い ず れ も 合 理 的 な 範 囲 で 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 1 ) 海 上 保 安 庁 に よ る 航 行 危 険 区 域 の 設 定 に よ り 、 漁 業 者 が 同 区 域 で 漁 業 を 営 む こ と が 危 険 で あ る と し て こ れ を 断 念 す る こ と は 、 合 理 的 な 行 動 で あ る と 認 め ら れ る か ら 、 こ れ に よ っ て 減 収 が 生 じ た 場 合 に は 、損 害 と 認 め ら れ る 。 減 収 分 の 算 定 方 法 は 、 前 記 第 3 の 5 ( 営 業 損 害 ) と 同 じ で あ る 。 2 ) ま た 、 同 様 に 、 内 航 海 運 業 者 又 は 旅 客 船 事 業 等 に お い て 、 対 象 区 域 を 航 行 す る こ と が 危 険 で あ る と し て 、 こ れ を 避 け て 航 路 の 迂 回 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ り 費 用 が 増 加 し た 場 合 又 は 減 収 が 発 生 し た 場 合 に は 、 そ の 費 用 の 増 加 分 又 は 発 生 し た 減 収 分 に つ い て も 、 そ れ が 必 要 か つ 合 理 的 な 範 囲 内 に 止 ま る 限 り 、 損 害 と 認 め ら れ る 。 減 収 分 の 算 定 方 法 は 、 前 記 第 3 の 5 ( 営 業 損 害 ) と 同 じ で あ る 。 3 ) な お 、 政 府 に よ る 航 行 危 険 区 域 設 定 の 前 に 本 件 事 故 に よ り 生 じ た 損 害 が あ れ ば 、 こ れ を 賠 償 対 象 か ら 除 外 す べ き 合 理 的 な 理 由 は な い か ら 、 本 件 事 故 日 以 降 の 営 業 損 害 が 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 2 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 ( 指 針 ) 航 行 危 険 区 域 の 設 定 に よ り 、 同 区 域 で の 操 業 が 不 能 等 と な っ た 漁 業 者 又 は 内 航 海 運 業 者 等 の 経 営 状 態 が 悪 化 し た た め 、 そ こ で 勤 務 し て い た 勤 労 者 が 就 労 不 能 等 を 余 儀 な く さ れ た 場 合 に は 、 給 与 等 の 減 収 が 損 害 と 認 め ら れ る 。

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( 備 考 ) 前 記 第 3 の 6 の ( 備 考 ) の 1 ) な い し 5 ) に 同 じ ( 但 し 、 避 難 等 に 特 有 の 通 勤 困 難 等 の 部 分 は 除 く 。 ) 。 第 5 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に 係 る 損 害 に つ い て [ 対 象 区 域 及 び 品 目 ] 第 一 次 指 針 に お い て は 、 差 し 当 た っ て 、 政 府 に よ る 出 荷 制 限 指 示 又 は 地 方 公 共 団 体 が 本 件 事 故 に 関 し 合 理 的 理 由 に 基 づ き 行 う 出 荷 又 は 操 業 に 係 る 自 粛 要 請 等 ( 生 産 者 団 体 が 政 府 又 は 地 方 公 共 団 体 の 関 与 の 下 で 本 件 事 故 に 関 し 合 理 的 理 由 に 基 づ き 行 う 場 合 を 含 む 。 以 下 「 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 」 と い う 。 ) が あ っ た 区 域 及 び そ の 対 象 品 目 に 係 る 損 害 を 対 象 と す る 。 但 し 、 上 記 区 域 以 外 に お い て も 、 ま た 、 上 記 品 目 以 外 に つ い て も 、 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に 伴 い 、 返 品 、 出 荷 停 止 、 価 格 下 落 等 の 被 害 が 生 じ て い る か ら 、 こ れ ら が ど こ ま で 賠 償 の 対 象 と な る 損 害 に 該 当 す る か に つ い て は 、 今 後 検 討 す る 。 [ 損 害 項 目 ] 1 営 業 損 害 ( 指 針 ) Ⅰ ) 農 林 漁 業 者 が 、 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に よ り 、 同 指 示 等 に 係 る 対 象 品 目 の 出 荷 又 は 操 業 の 断 念 を 余 儀 な く さ れ 、 こ れ に よ っ て 減 収 が 生 じ た 場 合 に は 、 そ の 減 収 分 が 損 害 と 認 め ら れ る 。 Ⅱ ) ま た 、 上 記 出 荷 又 は 操 業 の 断 念 に よ り 生 じ た 追 加 的 費 用 ( 商 品 の 廃 棄 費 用 等 ) も 合 理 的 な 範 囲 で 損 害 と 認 め ら れ る 。 Ⅲ ) 対 象 品 目 を 仕 入 れ た 流 通 業 者 等 が 、 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に よ り 、 当 該 品 目 の 販 売 等 の 断 念 を 余 儀 な く

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さ れ て 生 じ た 減 収 分 も 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 1 ) 政 府 に よ る 出 荷 制 限 指 示 が あ っ た 区 域 に お け る 当 該 指 示 の 対 象 と な っ て い る 品 目 に つ い て は 、 出 荷 又 は 操 業 の 断 念 を 余 儀 な く さ れ て 減 収 が 生 じ た 場 合 に は 、 損 害 と 認 め ら れ る 。 減 収 分 の 算 定 方 法 は 、 前 記 第 3 の 5 ( 営 業 損 害 ) と 同 じ で あ る 。 ま た 、 上 記 出 荷 又 は 操 業 の 断 念 に よ り 生 じ た 商 品 の 廃 棄 費 用 な ど の 追 加 的 費 用 に つ い て も 、 そ れ が 必 要 か つ 合 理 的 な 範 囲 内 に 止 ま る 限 り 、 損 害 と 認 め ら れ る 。 2 ) 県 な ど の 地 方 公 共 団 体 に よ る 出 荷 又 は 操 業 に 係 る 自 粛 要 請 等 に つ い て は 、 例 え ば 、 特 定 の 品 目 に つ い て 暫 定 規 制 値 を 超 え る 放 射 性 物 質 の 検 出 が あ っ た こ と を 理 由 と す る 場 合 に は 、 本 件 事 故 に 関 し 合 理 的 理 由 に 基 づ き 行 わ れ た も の と し て 、 こ れ に 伴 う 減 収 及 び 追 加 的 費 用 は 、 1 ) と 同 様 に 損 害 と し て 認 め ら れ る 。 3 ) 生 産 者 団 体 に よ る 出 荷 又 は 操 業 に 係 る 自 粛 要 請 等 が あ っ た 場 合 に は 、 こ れ を す べ て 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 と い え る か は 難 し い 問 題 で あ る が 、 少 な く と も 、 福 島 県 沖 に お け る 航 行 禁 止 区 域 の 設 定 、汚 染 水 の 排 出 等 の 事 情 を 踏 ま え 、 福 島 県 の 漁 業 者 団 体 が 県 と の 協 議 に 基 づ き 行 っ た 操 業 自 粛 要 請 に つ い て は 、 こ れ に 伴 う 減 収 及 び 追 加 的 費 用 は 、 1 ) と 同 様 に 損 害 と 認 め ら れ る 。 4 ) な お 、 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 が な さ れ る 前 に 自 主 的 に 出 荷 又 は 操 業 の 停 止 を し て い た も の に つ い て は 、 こ れ も 事 故 の 発 生 に よ り 合 理 的 な 判 断 に 基 づ い て 実 施 さ れ た も の と 推 認 で き 、 こ れ を 賠 償 対 象 か ら 除 外 す べ き 合 理 的 な 理 由 は な い か ら 、 本 件 事 故 日 以 降 の も の が 損 害 と 認 め ら れ る 。 5 ) ま た 、 生 産 者 の み な ら ず 、 流 通 業 者 等 も 、 仕 入 れ た 対 象 品 目 に つ い て 、 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に よ り 当 該

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品 目 の 販 売 等 を 断 念 せ ざ る を 得 な く な っ た 場 合 に は 、 こ れ に よ る 減 収 分 も 損 害 と 認 め ら れ る 。 損 害 額 の 算 定 方 法 は 、 前 記 第 3 の 5 ( 営 業 損 害 ) と 同 じ で あ る 。 2 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 ( 指 針 ) 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に よ り 、 対 象 品 目 を 生 産 す る 農 林 漁 業 者 等 の 経 営 状 態 が 悪 化 し た た め 、 そ こ で 勤 務 し て い た 勤 労 者 が 就 労 不 能 等 を 余 儀 な く さ れ た 場 合 に は 、 給 与 等 の 減 収 が 被 害 者 の 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 前 記 第 3 の 6 の ( 備 考 ) の 1 ) な い し 5 ) に 同 じ ( 但 し 、 避 難 等 に 特 有 の 通 勤 困 難 等 の 部 分 は 除 く 。 ) 。 ( 以 上 )

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