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Academic year: 2021

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総括コメント

著者 松浦 章

雑誌名 関西大学東西学術研究所紀要

巻 45

ページ 45‑46

発行年 2012‑04

URL http://hdl.handle.net/10112/7303

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45

(2011年10月22日)

東西学術研究所創立60周年記念国際シンポジウム

総括コメント

松 浦   章

記念講演

周振鶴・復旦大学教授の「和刻本漢籍的文化史意義」

 周教授は一般に漢籍として呼称される書籍の概念を中国学者の立場から明らかにし、江戸時 代の漢学者達が考証・考察した成果の重要性を指摘するとともに、現在の中国学学者の間では、

その成果の認識が極めて低いことを指摘されるとともに、鎖国時代の日本の学者達の研究成果 を明らかにする必要があること。日本で出版された書籍が西洋にもたらされ翻訳される原本に なったことなどを論じられた。東西学術研究所の大庭脩元所長が究明された江戸時代の漢籍輸 入の研究をさらに発展させる重要な提言であった。

徐興慶・国立台湾大学教授の「阪谷朗廬とその新思想の転化」

 徐教授は幕末明治時期に活躍した漢学者阪谷朗廬の足跡を探求するとともに、彼の思想の源 流を講究し、漢学を基盤に漢字で記された洋学書を読破して西欧思想を受容していたことを明 らかにされた。開化以前の日本の伝統的な学問姿勢を明示された。

ノースカロライナ大学パトリック・オニール教授の“Finding the Right Letters: The Origins of the Earliest English Alphabet”

 オニール教授は、現在使用されているアルファベットがどのようにして文字として成立した かを、西欧の古い様々な言語から各文字が採用されていった過程を明らかにされ、特に書写材 料である羊皮紙などに書きやすい文字が採用されたことなどを刻銘に述べられた。

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46

研究発表

二階堂善弘研究員「海を越える伽藍神 ─ 日中五山の伽藍神の比定 ─ 」

 二階堂研究員は、日本の寺院に安置されている伽藍神を探求し、中国では既に忘れ去られて いるものが日本で残されてはいるが、どのような素性の神様であるかが不明のものもあるなど 永年の調査に基づいた報告であった。

小田淑子研究員「イスラーム研究と「東西」という世界認識枠」

 小田研究員は「東西」と言う、東洋、西洋という概念がイスラーム世界から見た場合どのよ うな意味を持つのか、とりわけ東西学術研究所の名称になっている「東西」と言う語彙では意 味を成さないなどの問題を提起された。

高橋誠一研究員・松井幸一非常勤研究員「琉球の伝統的集落景観とその構造」

 松井非常勤研究員は高橋研究員との共同調査による沖縄の古宇利島の家屋調査などを報告し、

高橋研究員は古宇利島の各家々に設置されている石敢當とシーサーの旧設と新設などの状況を 刻銘に報告された。1980年代以降において沖縄ではこれらの物の設置が増加傾向にあることを 指摘された。

山本登朗研究員「『伊勢物語』の虚と実 ─『毛詩』を手がかりに ─ 」

 山本研究員は、『伊勢物語』に附記された補注の問題について注視され、その形式が中国の古 典である『毛詩』を手本として付けられたのではないかとの指摘をされた。このような事例は

『古今和歌集』などの作品にも見られるとの報告であった。

 このシンポジウムにおいて報告された 3 件の記念講演と 4 件の研究発表から提示された問題 は、今後に新たな未来を構築する東西学術研究所にとって、新たな地平を開く研究課題であっ たと言えるであろう。

参照

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