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: 自然再生、湿原、植生、遷移、泥炭採掘手法、泥炭地

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全文

(1)

南ドイツの排水及び泥炭採掘が行われた高層湿原における植生の自然遷移と 自然再生―4つの長期的モニタリング調査で得られた結果の比較解析

ポシュロド ペータ1・マインドル クリスティーナ1・スリーワ ヤン2・ヘアコマ ウード3・ イェーガ マティアス4・シュカト ウルリーケ5・ゼーマン アンドレアス1

ウルマン アンヤ3・ワルナ テレザ1

Peter Poschlod1, Christina Meindl1, Jan Sliva², Udo Herkommer³, Matthias Jäger4, Ulrike Schuckert5, Andreas Seemann1,

Anja Ullmann3 and Teresa Wallner1

1 Institute of Botany, Faculty of Biology and Preclinical Medicine, University of Regensburg, D-93040 Regensburg, Germany

² Department of Ecology, Technical University of Munich, D-85350 Freising-Weihenstephan, Germany

³ agl Ulm(Working group Landscape Ecology Ulm), Marlene-Dietrich-Strasse 1, D 89231 Neu-Ulm, Germany

4 Institute of Animal Ecology and Tropical Biology, Faculty of Biology, University of Würzburg, D-97074 Würzburg, Germany

5 Im Weizen 47, D-71636 Ludwigsburg, Germany

摘  要

 湿原や泥炭地は、炭素など化学元素の蓄積、利水・治水、自然保全など多数の機能 を果たし、地球規模の気候変動に影響を与える可能性のある生態系として注目され、

自然保全および自然再生・生態系管理政策の対象となっている。本稿では、南ドイツ・

アルプスの麓の

4

箇所の泥炭採掘跡の高層湿原における植生の自然遷移および植生管 理下の植生変化に関する長期的モニタリング調査の結果を紹介する。本調査において 得られた結果からは以下の点が示唆された。

(1)泥炭採掘終了後の自然遷移は泥炭採掘手法によって異なる。泥炭をブロックとし て採掘する手法(切り取り法)の場合には、再び泥炭を形成する植生が発達することが ある。これとは対照的に、現場において泥炭を粉砕する手法(粉砕法)の場合には、数 十年間安定した特定種の優占群落が持続する。

(2)自然再生事業において、水位上昇でもたらされる水文学的条件は、泥炭を形成す る植生の発達に影響を与える。本調査においては、水位を上昇させることによって泥 炭採掘跡地が広く冠水した場合には木や潅木、矮生潅木などが絶滅することが明らか になった。主に低層湿原に出現する種からなる植生状の浮島が形成され、長期的に泥 炭を形成する高層湿原植生の成立に繋がる可能性がある。

(3)苗を植えることや種を撒くことによって高層湿原や中間湿原の典型的な維管束植 物を再導入すると、他の植物種の定着を前提とした高密度の植生の成立が早く進むこ とがある。しかし、ムラサキミズゴケなど泥炭を生成するミズゴケ類は、短期的・中 期的には定着することができず、これらの回復は泥炭が採掘された高層湿原の自然再 生における大きな課題である。

キーワード

: 自然再生、湿原、植生、遷移、泥炭採掘手法、泥炭地

1.はじめに

湿原は地球レベル、地域レベル、局所レベルな ど異なる空間的スケールにおいて複数の機能を持 っている1)-4)。地球規模では炭素循環において重 要な役割を果たし(蓄積機能)5)-8)、地域レベルに おいては栄養塩、重金属などによる環境汚染や

集中的な降水による洪水を緩和し(処理機能9)、 緩和機能10),11))、局所レベルにおいては氷期残存 種、希少種、絶滅の恐れのある種などにとって特 に好適な種の生息・生育場所を与える(保全機能)2)。 一方湿原には、気候、植生遷移、環境汚染の履歴 など、過去の環境変遷の記録が残されている(記 録機能)12),13)

(2)

湿原は、これら多くの機能を果たしているのに も関わらず、北半球の全ての国々において農業、

林業、産業などによる影響を強く受けてきた。例 えば、南ドイツにおいては(表 1)、人口の増加 に伴い食糧生産を上げる必要が生じ、18世紀末 に湿原の農地化・土地改良が始まった。有名な 事例の一つはインゴルシュタット(Ingolstadt)

市の近くに位置している地下水涵養性のドナウ

モース(

Donaumoos)湿原の排水および農地化

である。ここではカール・テオドール選帝侯

(1724~1777)が新しい集落の造成を命令し、こ の地にジャガイモの生産が奨励された14)。また、

高層湿原における大規模な泥炭採掘事業は

19

世紀 末から

20

世紀の初めにかけて開始され、それら の泥炭は燃料(機関車、暖房)や局所的には家畜の 敷わら代わりに利用された15)。1960年代以降は、

泥炭は土地改良材としてのみ採掘されるようにな った16)。現在では、上記のような土地利用の影 響を受けていない湿原は皆無である。その上、

昨今まで大気中の酸性物質(特に硫黄酸化物)

が湿原に蓄積され 17),18)、地下水涵養性である 立地の「降水涵養性化」を引き起こした19)。降 水涵養性の湿原においては、窒素 20)-22)や埃 23)

が大気から湿原に供給されることによりミズゴケ 類(

Sphagnum spp.)の成長量が増加し、湿原表面

の乾燥化が起こり、樹木が侵入できるようになる ことが示唆されている22)。また、窒素供給量の

増加によって、ミズゴケ相の種組成が泥炭を生 成しない種(特にサンカクミズゴケ類(

Sphagnum recurvum

))へ変化することもある20),21)。例えば、

南ドイツの高層湿原では、1980年代以前にコサン カクミズゴケ(

Sphagnum angustifolium

)は記録さ れなかった15)

南ドイツの高層湿原のほとんどは、アルプスの 麓の年間雨量が

1,000 mm

を超える丘陵地に位置 し、主に排水や泥炭採掘による影響を受けてお り、植林地や農地としての利用はわずかである。

このため、湿原の多くは現在、排水のみが行われ た部分と、排水後小規模または大規模に泥炭が採 掘された部分、そして泥炭を形成するある程度健 全な群落が残っている部分とのモザイクを成して いる。

前述の湿原が持つ複数の機能を維持するため、

連邦政府は残存している健全な湿原の保全だけ でなく(20世紀末以降、湿原の排水や泥炭の採 掘許可は出されなくなった)、すでに排水された 湿原や、泥炭が採掘された湿原を再生する目標 を設定している24)。そのような再生目標を実現 するためには、自然再生のための人為的干渉は 必要なのであろうか。泥炭採掘が止められたア ルプスの麓に位置する

9

つの湿原において遷移 段階の異なる場所を比較した結果、Poschlod1),15)

は植生管理を行わない場合、植生の発達が以下 の要因によって異なることを発表した。(1)「切り 表 1 農業,林業,工業による南ドイツの湿原・泥炭地への過去及び現在の影響24),37)

湿原・泥炭地のタイプの名称は Joosten and Clarke3)に従った.本稿において考察している湿原・泥炭地の地名は太字で 示している.

湿原のタイプ 過去及び現在の人為的影響,現状

地下水涵養性湿原(氷期後の地下水位の上昇によって発達.

一次的湿原タイプ:水位上昇湿原,二次的湿原タイプ:貫 流水湿原).ドナウ川及びその支流の谷に位置している(例 えばインゴルシュタットの近くのドナウモース,ウルムの 近くのオースタリート).

18世紀および19世紀の初めに開拓された(「未開発地に関 する法律」).一部において土地所有者による泥炭採掘(「切 り取り法」),現在は主に集約的農業が行われている(トウ モロコシ,ジャガイモ,牧草など).

氷河によって形成された盆地の中に発達した大きな地下水 涵養性及び降水涵養性湿原の複合体(一次的湿原タイプ:

陸化型湿原,二次的湿原タイプ:高層湿原).アルプスの 麓の丘陵地帯に位置している(例えばミュンヘンより南東 のケンドルミュールフィルツ,ウルムより南のウルツァッ ハリート).

原生の状態に近い「健全な」高層湿原部の中心部(しかし,周 辺の排水の影響を受けていることが多い),広い面積におけ る泥炭採掘(昔は「切り取り法」,現在は「粉砕法」による),

縁における農業(もともと家畜の敷き藁を採るために秋に1 回だけ刈られたが,現在は集約的に牧草を生産し,年に3~5 回刈られている)など条件が不均一である.

アルプスの麓のモレーン地形の小さな盆地の中で発達した 小規模の地下水涵養性及び降水涵養性湿原(主に湖から発 達.一次的湿原タイプ:陸化型湿原,二次的湿原タイプ:

高層湿原).例えばトゥラウンシュタインの近くのウィー ニンガーフィルツ,ミュンヘンより南東のウェンドリンガ ーフィルツ

本タイプの湿原は数が多いため,人為的な影響をあまり強 く受けていないものが比較的多いが,集約的に農業が行わ れているものや農業を止め,放棄されたものもある.降水 涵養性の湿原の多くは20世紀の初めに泥炭採掘が行われ た.採掘はほとんどが「切り取り法」(手動または機械)によ る.縁はほとんど農地開発されている.

アルプスの麓のモレーン地形の斜面において湧水から発達

した小さな地下水涵養性湿原(斜面湿原,湧水湿原). もともと家畜の敷き藁を採るために利用されてきたが、現 在は排水され、牧草生産のために集約的に利用されてい る。牧草地が放棄されると、セイヨウイソノキ(Frangula alnus)などが優占してしまう.

(3)

取り法(peat cutting)」を用いる採掘手法は、「粉 砕法(peat milling)」に比べ、採掘後泥炭を生成す る植生の発達が良好であること)、(2)残存する泥 炭層、(3)水質(4)水文学的条件などが植生発達に 影響を与えること、などである。これらの比較研 究に基づき、自然再生のための管理手法が導かれ た15)。これらの手法には、「切り取り法」によって 泥炭を採掘し、乾燥化した矮生潅木植生(heath)

や、森林の再沼沢化および「粉砕法」で採掘した跡 地の表面地形の変更、水位の上昇、湿原植物の種 蒔きや移植などが含まれる25)-28)。自然再生地の長 期的モニタリングによる管理の違いが植生発達に 有意な影響を与えることは、これまで証明された ことがない。管理が適切であることを確認するに は、自然再生地の長期的モニタリングが不可欠で ある。しかし、これまでは短期的で、植生の発達 について適切な判断ができない調査しか行われて いない29)-31)

本稿では、アルプスの麓の丘陵地に位置する降 水涵養性湿原における調査によって得られた新し い結果を紹介し(ウルツァッハリート(Wurzacher

Ried

)、ウィーニンガーフィルツ(W ieninger

Filz)、ウェンドリンガーフィルツ(Wendlinger Filz))、さらに過去に発表された結果を再評価し

(ケンドルミュールフィルツ(Kendlmühlfilz))26)、 以下の問題に関して考察する。

(1)自然再生のための管理処置をとらなくて も、放棄された泥炭採掘跡地において泥炭 を生成する植生の自発的発達は可能である か(ウィーニンガーフィルツ

, ウェンドリン

ガーフィルツにおける研究)。

(2)排水された湿原および泥炭採掘が行われた 湿原の水位を上昇させること(再沼沢化)は 自然再生の目的を達成するために役立つか

(ウルツァッハリートにおける研究)。

(3)粉砕法を用いて泥炭採掘が行われた採掘跡 地における自然再生処置の成功率はどの位 か。水位を上昇させることだけでなく、種 子を撒くことや苗を植えること、植生を移 植することなどは有効か(ケンドルミュール フィルツ26)における研究)。

これらの問題に答えるため、次のような場所 に永久方形区を設置した。(1)放棄された湿原

(1986年および

2005年・2006年に調査)。

(2)泥炭 採掘跡地(最初の調査は

1992年。1993年から水位

を上昇させる処置がとられ、2002年に再調査)。

(3)泥炭を現場で乾燥させてから粉砕する手法に より泥炭を採掘した広大な採掘跡地(種子を撒く こと、苗を植えること、植生を移植するなどの処

置を行い、1987年~1994年にかけて植生の発達や 自然再生処置の成功率をモニタリング)。

自然再生処置の成功率を評価するために、泥炭 または泥炭を生成する植物の再生率を用いた。

この項目は上記の湿原の生態学的機能 ― 物質の 蓄積、有害物質の処理、保水力・洪水緩和、自然 保全、環境変遷の記録 ― のすべてに関連してい る。アルプスの麓の丘陵地に位置する降水涵養性 の湿原において泥炭を生成する主な植物は次の 通りである。ミズゴケ類の中ではムラサキミズ ゴケ(

Sphagnum magellanicum

)(高位泥炭の

90%

まで)、イボミズゴケ(

Sphagnum papillosum

)、

スギハミズゴケ(

Sphagnum capillifolium

)、ハリ ミズゴケ(Sphagnum cuspidatum)(それぞれ高位

泥炭の

10%以下)、維管束植物の中ではワタスゲ

Eriophorum vaginatum

)である32)。地下水・地表 水涵養性の条件下では、スゲ属などや、その他、

カヤツリクサ科植物およびマゴケ類も泥炭を生成 することがある。

2.調査地、自然再生のための管理処置、モニタ リング

2.1 排水・泥炭採掘後-自然再生のための処置 が取られなかった調査地

ウェンドリンガーフィルツ湿原はバイエルン

(Bayern)州の南東部、ミュンヘン(München)

市より約

40 km

東方に位置している(図 1)。最終 氷期のモレーン地形に位置する高層湿原である。

第二次世界大戦後、湿原を排水し現場で表層を粉 砕することで泥炭が採掘されたが、それは地元の

図 1 バーデン・ヴュルテンベルグ州,バイエルン 州(ドイツ南部)における調査地の位置.

(K)ケンドルミュールフィルツ ,(W)ウルツァッハリー ト ,(We)ウェンドリンガーフィルツ ,(Wi)ウィーニン ガーフィルツ ,(S)シュトゥットガルト ,(M)ミュンヘン

(4)

農家が泥炭を牛舎に敷くためであった(図 2a)。

このような泥炭の利用は

1960年代まで継続され

た。その頃から、牛乳の生産に関する規則が厳し くなり、泥炭から発生する埃が牛乳の質を悪化 させることから、農家は牛舎に泥炭を敷かなくな った。1980年代の中頃まで泥炭の採掘が継続され た所もあったが、その後は採掘が中止された。泥 炭採掘が終わった後、泥炭地の表面は裸地となり 植物の定着が遅く、定着した種の数も限られてい た15)。1986年に

7

つの調査線を設け、それに沿っ て

4 m

2の永久方形区を不規則的に配置した。各 方形区において

1986年と 2006年に植生と水文学

的条件を調査した。1986年には地形測量を実施 し、ボーリング調査により泥炭断面を調査した。

その際植物遺体分析によって泥炭の組成を明らか にした。

ウィーニンガーフィルツ湿原もバイエルン 州 の 南 東 部 に 位 置 し 、 ト ラ ウ ン シ ュ タ イ ン

(Traunstein)市の近くにある(図 1)。ウェンドリ ンガーフィルツと同様、最終氷期のモレーンの縁 で発達した典型的で小規模の高層湿原である。ウ ェンドリンガーフィルツとは違って、20世紀の 初め頃から、泥炭は手作業でブロックに切られ、

採掘され、ウィーニンガー醸造所で利用された。

泥炭を手作業で採掘する際、まず新しく泥炭が採 掘される区域の表層を剥がし、それを以前採掘さ れたところに移す(図 3a)。このような手法がと られた場合には、放棄された泥炭採掘跡地にも高 層湿原の典型的な植物のほとんどが残存し、根、

地下茎など無性の部分、もしくは種子・胞子とし て生き残った15),33)。泥炭採掘は

1960年代に終わ

り、採掘地は放棄された。その後、中心部の排水 溝を冬季にせき止める以外の管理はなされなか ったため、開水面が作られ、凍結時はバイエルン 州の伝統的な競技「カーリング」のために利用され た15)。また、毎年晩夏にかけて堰が開けられ、ヨ シ(

Phragmites australis

)の刈り取りを可能にする ために水位が下げられた。

ウィーニンガー湿原では、まず

1986年に、3

つ の調査線に沿って地形測量や植生調査が行われ た15)。また、20~50 m間隔でボーリング調査が 行われた。調査線に沿って永久方形区(4 m2)が不 規則的に配置され、1986年と

2005年に各方形区

において植生や水位、水質が測定された。

c d

a b

図 2 ウェンドリンガーフィルツ:(a)泥炭地(黒い線:泥炭地の境界線)の中の「粉砕法」による泥炭採掘跡地

(灰色の部分),赤い線:トランセクト 2.(b)「粉砕法」によって泥炭が採掘されている現場の様子.(c)

「粉砕法」による泥炭採掘跡地(ギョリュウモドキが優占するトランセクト 2 東部,1986 年).(d)「粉砕 法」による泥炭採掘跡地(ミカヅキグサが優占するトランセクト 2 東部,2006 年).

(5)

2.2 排水・泥炭採掘後に自然再生のための処置 が取られた調査地

ウ ル ツ ァ ッ ハ リ ー ト 湿 原 は 上 ス エ ー ビ ア

(Upper Swabia)地方のウルム(Ulm)市より南方に 位置し(図 1)、南ドイツでも最も広い高層湿原複 合体の一つである。ウルツァッハリート湿原は最 終氷期中に形成されたモレーンの間に位置してい る。氷期後、モレーンに囲まれた盆地に浅い湖が 発達した。この湖はその後次第に陸化し、高層湿 原の形成が始まった。この湿原は低層湿原と低層 湿原の中に位置する

7

つの高層湿原からなり、

いわゆる湿原複合体を形成していた34)図 4a)。

排水および局所的な泥炭採掘が始まったのは

1730年である。1880年になると、「切り取り法」を

用いて産業としての泥炭採掘が始まった。第一次 世界大戦後には燃料不足のため採掘が集約化され た。1946年にバドウルツァッハ(Bad Wurzach)市 にガラス工場ができ、泥炭採掘はさらに集約的に 行われるようになった35)。しかし、土地所有者が 何度も排水の強化を試みたのにもかかわらず、泥 炭地は盆地地形に位置しているため、完全な排水 には成功しなかった34),36)。現在は

7

つの高層湿原 部のうち

2

つだけが残り、湿原の中心にある最も 大きい高層湿原部は、一部は排水・泥炭採掘の影 響を受け道路にも横断されているものの、その大 部分は影響を受けていない(図 4b)。泥炭採掘は

1995年まで継続されたが、ウルツァッハリートの

一部(4 km2以上)は

1959年には自然保護区域に指

定された。

1981年に保護区域は 14 km

2に拡大し、

さらに

1996年には 18 km

2になった。1989年にウ ルツァッハリートは

European Diploma

(優れた自 然地域に対して贈られる賞)を受け、その後は詳 細な管理計画が作成されるようになった。この管 理計画に基づいて、一つの処置として、湿原中心 部の排水された部分や泥炭採掘が行われた部分に

おいて水位を上昇させる処置がとられた。このよ うな水位管理は

1993年に開始された。

この湿原では、泥炭採掘跡地から排水のみの影 響を受けた地域にまたがって

3

つの調査線を設 けた。これらに沿って等間隔で方形区(大きさ:

4 m

2)を配置し、1992年(保全管理が始まる前)と

2002年に調査を行った

35)。管理計画に必要な基礎 データを得るため調査線沿いに水文学的調査が継 続的に実施されたが、水位管理が開始されてから は、水位観測はせき止められた排水溝においての み実施された。

ケンドルミュールフィルツ湿原はバイエルン 州の中で最も大きな高層湿原複合体の一つで、

キームゼー(Chiemsee)湖の南側の盆地に位置 している(図 1)。この盆地はイン・キームゼー

(Inn-Chiemsee)氷河によって最終氷期に形成され た。今日では、この泥炭地の縁には農耕地、牧草 地、植林があり、そして中心部には泥炭採掘跡地 や元の高層湿原が残存している部分(一部は排水 の影響を受けている)もある(図 4c)。

この地域においては、19世紀末までは農家が 局所的に泥炭を採掘し、燃料や家畜の敷き藁の 代わりとして使用した。湿原の大規模の排水は

1885年に始まり、泥炭は産業、特に岩塩の生産の

ために使われた。第一次世界大戦後、バイエルン 州泥炭産業公社は面積

2.4 km

2の範囲において泥 炭を採掘した。最初は手作業であったが、その後 は機械によって採掘された。1976年からは別会社 が面積

0.4 km

2において、土地改良材生産のため

「粉砕法」により泥炭採掘を行った。1985年に泥炭 採掘は終了し38)、1986年に約

1 m

の高位泥炭層 が残る地域において、自然再生事業が始まった。

まず最初に、長さ

1.5 km

弱の採掘地の表面がエ ッゲルスマン(Eggelsmann)39)が記載した手法に よって「圃場」に区画された。そして、圃場内の水

( ) ( )

植物の根を含む表層をスコップで 剥ぎ取り,泥炭採掘跡地に捨てる

泥炭をスコップで切り取る 採掘地に溜まった水をすくい 上げるためのバケツ

採掘地における水位の 上昇を防ぐための堤防.

水位 泥炭のブロックを 乾燥させ,保管

図 3 ウィーニンガーフィルツ:(a)「切り取り法」による泥炭採掘跡地の断面図37).(b)泥炭採掘跡地において 泥炭を生成する植生(永久方形区 3,2005 年).ワタスゲとイボミズゴケが優占している.

(6)

位を上昇させた後、1987年には泥炭や水質に合わ せて特定の維管束植物の種子を撒いたり、苗を植 えたりすることによって、典型的な湿原植生の回 復が促進された25)。その後、さらに植生の発達を 促進するため肥料を撒いたり、ミズゴケ類の移植 等が行われた26)。自然再生の実施効果を評価する ために大きさの異なる二つの永久方形区が設置 され、維管束植物の場合には

100 m

2、コケ類の 場合には

1 m

2の永久方形区においてモニタリン グ調査が行われた。方形区は泥炭採掘跡地の

6S

番圃場を縦断するトランセクト沿いに置かれた

図 8)。ここでは、1987年の夏に種子を撒いた、

または苗を植えた維管束植物(種子と苗:ヌマス ゲ(

Carex rostrata

)、ホソバワタスゲ (

Eriophorum angustifolium

)、種子のみ:ワタスゲ)および導入 したミズゴケ類(ハンモックに生える種:ムラサ キミズゴケ、スギハミズゴケ、ホローに生える 種子:ハリミズゴケ)に関する結果だけを発表す る。実験デザインの詳細については、Maas and

Poschlod

25)

Sliva

26)を参照されたい。

2.3 植生および水文学的条件のモニタリング 植生調査の際には、シュミットまたはブラウン

-ブランケットの優占度スケールを用いた41)。学 名については維管束植物の場合は

Ehrendorfer

42)、 ミズゴケ以外のコケ類の場合には

Frahm and Frey

43)、ミズゴケ類の場合には

Daniels and Eddy

44)に従った。

水位観測や水質分析に必要な採水は、長さ

1 m

または

2 m

の塩化ビニールパイプを使って行っ た15)。1985年5~9月、ウィーニンガーフィルツ およびウェンドリンガーフィルツにて水位観測 と、pH、イオン濃度など水質項目の測定を月に 一回行った。2005年にはウィーニンガーフィルツ において

5~9

月の間、2カ月おきに測定した。

2006年には 9

月に一回だけ、ウェンドリンガー

フィルツにおいて測定した。異なる年のデータを 比較する際には、1985年および

2005年、2006年

のそれぞれ同じ月に測定したデータのみを使っ た。ウルツァッハリートにおける水位上昇前、お よび水位上昇後の水位観測・水質調査は異なる場 所で行われたため、ここでは使用しない。ケンド

㸦 㸧

㸦 㸧

Fa. Oberlandglas Bad Wurzach

Albers Dietma

「粉砕法」によっ て泥炭が採掘さ

(採掘地番号 6S)れた跡地

0 10 100 1000m

図 4 ウルツァッハリート:(a)歴史的状況と現状(線;降水涵養性の部分(高層湿原の周辺より盛り上がった部 分),点線;地下水・地表水涵養性の部分).(b)現状を示す航空写真40).(c;泥炭採掘・排水の影響を受け なかった,道路に横断されている中心部の盛り上がった高層湿原.m;中心部の盛り上がった高層湿原 部分における泥炭採掘跡地).

ケンドルミュールフィルツ:(c)1986 年の湿原中心部の航空写真.南の方には排水・泥炭採掘の影響をあまり受けていない 高層湿原部がある.北の方には泥炭採掘跡地がある.(1971 年まで「切り取り法」によって採掘された地域は赤で,1976 年~

1985 年,「粉砕法」によって採掘された地域は黒で示されている)

(7)

ルミュールフィルツの水文・水質に関するデータ は既に

Sliva

26)によって発表されているので、考 察の時にのみ検討する。植生の発達を解析する際 は、種の優占度の変化を評価するのに分散分析 を行い、WinStatの

Mann-Whitney-U

検定を用い た。また植生変化を比較するにあたっては、PC-

Ord

45)の多変量解析手法を用いた。

3.結果

3.1 「粉砕法」によって泥炭が採掘された跡地に おける遷移-ウェンドリンガーフィルツに おける研究事例

「粉砕法」による採掘跡地においては、優占種の 単純群落しか発達しなかった。採掘後に残存す る泥炭層の厚さに依存する水位と

pH

が植生の発 達を決める主要な要因だからである。1986年に は湿った酸性の立地(年間平均水位は地下

0 cm~

10 cm)にワタスゲが優占していた。また、湿っ

た酸性~弱酸性の立地においてはミカヅキグサ

Rhynchospora alba

)、湿ったもしくは冠水してい る弱酸性~中性の立地においてはヌマスゲ、ホソ バワタスゲ、ヨシが優占していた。比較的に乾燥

している立地(平均水位は地下

10 cm

以下)にお いてはギョリュウモドキ(

Calluna vulgaris

)(ツツ ジ科)が優占していた15)図 2cを参照)。2006年 には植生変化は確認できなかった。それぞれの立 地に同じ種が優占し、ミズゴケ類の侵入は認めら れなかった。唯一、冠水していてヌマスゲが生え ている立地のみにハリミズゴケが侵入し、密な層 を成していた。泥炭の堆積は確認できなかった が、以前ギョリュウモドキが優占していた場所に ミカヅキグサが侵入し、1986年とは水位が変化し なかったのにもかかわらず、ミカヅキグサの被度 が高くなった(図 2d,図 5)。

3.2 自然再生管理が行われていない「切り取り 法」による泥炭採掘跡地における遷移-ウィ ーニンガーフィルツにおける研究事例 ウィーニンガーフィルツにおける植生の発達 は、ウェンドリンガーフィルツとは著しく異なっ ていた。1986年に泥炭採掘が行われなかった地域 は排水の影響を受けていたが、2005年にはこの傾 向はより明瞭になり、排水された降水涵養性の泥 炭地の指標であるモンタナマツ(

Pinus mugo

)やギ ョリュウモドキが増えた。水位や水質、泥炭の質 などは泥炭を生成する植生の発達を決めている。

第2軸:6.7%

第1軸:66.5%

永久方形区

図 5 ウェンドリンガーフィルツ:1986 年にギョリュウモドキが優占する遷移段階として分類された永久方形 区のオーディネーション(DCA,主行列:12 方形区,27 種.副行列:12 方形区,27 種(相関係数の高い種

(R2>0.30)は赤字で示されている)と 4 つの環境要因(WLev:水位,pH,Cond:電気伝導度,Ca:カル シウムイオン濃度).しかし,環境要因は全て R2<0.30 だった).

Pic abi:Picea abies(ドイツトウヒ),Calvul:Calluna vulgaris(ギョリュウモドキ),Vaculi:Vaccinium uliginosum

(クロマメノキ),Eri vag:Eriophorum vaginatum(ワタスゲ),Rhy alb:Rhynchospora alba(ミカヅキグサ),Dic cer:

Dicranella cerviculata(コブオバナゴケ),Leugla:Leucobryum glaucum(シロシラガゴケ).

(8)

従って、1986年には既にワタスゲやイボミズゴ ケ、またはホロムイソウ、ハリミズゴケ、コサン カクミズゴケからなる泥炭を生成する植生が発達 しており、厚さ

80 cm

に及ぶ新しい泥炭層が確 認された。泥炭の堆積は現在も続いているため、

永久方形区の中からは図 6のように、1a、1b、

3、4

だけが

2006年にも見つかった。ワタスゲ以

外にコサンカクミズゴケも優占していた方形区

1a、1b

では泥炭層の厚さが増加せず、方形区

3

図 3bを参照)と

4

においてはムラサキミズゴケ や特にイボミズゴケが、1986年以来

28 cm

また

30 cm

の泥炭層の発達に貢献した。

3.3 自然再生のために水位が上昇させられた「切 り取り法」による泥炭採掘跡地における遷移

-ウルツァッハリートにおける研究事例 ウルツァッハリートにおける泥炭採掘跡地では 再沼沢化のための管理によって水位が上昇し、採 掘跡地の多くは冠水するようになった。冠水する ことによって植生が大きく変化し、特に採掘が行

われたところにおいては、木本や矮生潅木、ヨウ シュヌマガヤ(

Molinia caerulea

(ヌマガヤに似た ようなヨーロッパに分布しているイネ科植物))な ど排水・湿原生態系の劣化の指標とされる植物が 広域的に枯死した(表 2)。ワタスゲ、ミズゴケ類 など泥炭を生成する高層湿原の種は、浮島の発達 のみによって再定着、もしくは分布を拡大するこ とができた(図 7,表 2)。逆に、水位が上昇する 前に定着していたムラサキミズゴケのローンは冠 水した後消えてしまった(表 2)。地下水涵養性の 泥炭層まで採掘されたところや、排水溝が泥炭層 の基盤の下にある無機質層に届く場合には、ヌマ スゲ、ヨシなど、泥炭を生成する低層湿原の種が 定着または分布を拡大した(表 2)。

第2軸17.1%

第1軸18.5%

永久方形区

図 6 ウィーニンガーフィルツ:1986 年と 2005 年に調査された永久方形区のオーディネーション(DCA,主 行列:22 方形区,65 種.副行列:22 方形区,65 種(相関係数の高い種(R2>0.30)は赤字で示されている)

と 4 つの環境要因.

   (青い字:WLev;水位,pH,Cond;電気伝導度,Ca:カルシウムイオン濃度,R2>0.30).

緑の輪:泥炭採掘跡地における水位の高い条件下にある泥炭を生成する植生,ワタスゲ,ムラサキミズゴケ,イボミズ ゴケ,コサンカクミズゴケなど.赤い輪:泥炭採掘跡地における水位の低い条件下の植生(ヨーロッパアカマツ(Pinus

sylvestris),ドイツトウヒ,ギョリュウモドキ,永久方形区 2a と 2b)または泥炭が採掘されなかった地域の中のモンタナ

マツやギョリュウモドキが優占する排水の影響を受けた立地.茶色の輪:ハンノキ林(ヨーロッパハンノキ(Alnus glutinosa, Aln glu),セイヨウイソノキ(Frangula alnus, Fra aln),ガマ(Typha latifolia, Typ lat),セリ科シシウド属の一種(Angelica sylvestris,Angsyl),エゾノリュウキンカ(Caltha palustris,Calpal),ヒメサルダヒコ(Lycopus europaeus,Lyceur),セリ 科カワラボウフウ属の一種(Peucedanum palustre,Peupal))など.

(9)

表 2 ウルツァッハリートの泥炭採掘跡地において水位を上昇させた後,優占度が有意に変化し泥炭を生成する 可能性のある植物種.

(指標種:第 1 グループ:泥炭を生成する高層湿原の種,第 2 グループ:泥炭を生成する低層湿原の種,第 3 グループ:比 較的に乾燥した立地または人為的な影響によって悪化した場所に出現する種).生育地:PR:泥炭採掘地の間の泥炭が採掘 されなかった相対的に高い「尾根」,PCA:泥炭採掘跡地.Mann-WhitneyU 検定の結果(p<0.05):有意な増加↑,有意な減 少↓,有意差がない-.

指標種 生育地 U検定の結果 備考

ワタスゲ PR

PCA -

↑ -

浮島の形成

ムラサキミズゴケ PR

PCA -

↓ -

冠水によって減少

イボミズゴケ PR

PCA -

↑ -

浮島の形成

スギバミズゴケ PR

PCA -

- -

ハリミズゴケ PR

PCA -

↑ -

泥炭を生成する植物種の中で最も高い増 加率,浮島の形成

ヌマスゲ PR

PCA -

↑ -

冠水による増加

ヨシ PR

PCA -

↑ -

冠水による増加 樹木および矮生潅木

(カバ属(B e t u l a s p p .),ビルベリー

Va c c i n i u m m y r t i l l u s),コケモモ

Vaccinium vitis - idea)など

PRPCA -

↓ -

冠水によって減少

ヨウシュヌマガヤ PR

PCA -

↓ -

冠水によって減少

ワタスゲ

ムラサキミズゴケ−1992

ムラサキミズゴケ−1992年と2002年の差 調査線における永久方形区の位置

ワタスゲ−1992年と2002年の差 距離(m)

図 7 ウルツァッハリート:トランセクトの断面図.

永久方形区の位置や 1992 年におけるワタスゲ,ムラサキミズゴケの被度(%,縦軸)および 1992 年~2002 年の被度の変化が示さ れている.

(10)

3.4 「粉砕法」による泥炭採掘終了後、再沼沢化 のための管理及び維管束植物・ミズゴケ類 の再導入を行った採掘跡地における遷移-

ケンドルミュールフィルツにおける研究事

植物の種子を撒くこと、もしくは苗を植えるこ とによる定着成功率は大きく異なり、苗を植えた 方が高い成功率が得られた(図 8a)。ヌマスゲの 場合には、植えてから4年目に被度は

100%に及

び、モニタリング期間中に

2ヶ所を除いてトラン

セクト沿いのほとんど全域に定着した(図 8a)。

ホソバワタスゲは種子を撒いても、苗を植えても いずれによっても定着した(1番目の方形区を除 く)。しかしヌマスゲと違って分布を拡大せず、

導入後

7年目も、種子や苗を導入したところに限

って出現した(図 8a)。ワタスゲは種子を撒いた 唯一の方形区に定着したが、積極的に定着させる ための処置を取らなかった方形区(トランセクト の前半分、図 8a)にも定着した。移植後のミズゴ ケ類の定着率は場所によって大きく異なった。そ れぞれの生態学的特長に関係なく移植した

3

種は 一つの方形区において似たような反応を示した。

5

つの方形区においては移植したミズゴケのパッ チは拡大し、被度は増加したが(図 8b)、それ以 外の

4

方形区においては枯死した。

4.考察

4.1 植生の自発的回復

「切り取り法」によって泥炭が採掘された場所と

「粉砕法」によって採掘された場所との比較から、

泥炭採掘手法は泥炭を生成する植生の自発的再 生に影響を与えていることが明らかになった。

Poschlod

15)が以前、アルプスの麓の丘陵地に位置 する

9

つの湿原の比較研究に基づいて発表したよ うに、泥炭を生成する植生は「切り取り法」による 採掘地域のみにおいて再生し、「粉砕法」によって 採掘された地域では定着が認められなかった。ウ ィーニンガーフィルツの泥炭採掘跡地におけるモ ニタリング調査からは「切り取り法」によって採掘 された地域において(1)泥炭の生成は現在も続い ていること(2)泥炭堆積速度が

20年に約 30 cm

と 非常に速いことが判明し、Poschlod15)の推定と一 致している。一方、ウェンドリンガーフィルツに おいては泥炭採掘が

40年間以上前に終了したの

にもかかわらず、元の泥炭を生成する植生は回復 していない。Lavoie et al.46)

Poulin et al.

47)が報告 した北米における研究事例においても、ミズゴケ 類の定着は「切り取り法」による泥炭採掘地域のみ 認められ、「粉砕法」による採掘地域では維管束植 物しか定着できなかった。Lavoie et al.46)はワタス ゲの定着を望ましい植生変化として評価したが、

我われのウェンドリンガーフィルツにおける研究

では

20年経ってもワタスゲが優占する遷移ステ

ージからミズゴケ類が定着する遷移ステージには 進まなかった。1986年から

2006年にかけてワタ

スゲ自体の被度さえも変化せず、観測できた唯一 の変化は、もともとギョリュウモドキが優占して いた遷移ステージへのミカヅキグサの侵入であっ た。「粉砕法」によって粉砕された泥炭が、真空ハ ーベスターによって採取された場所においては、

ミズゴケ類は冠水条件下でのみ定着できた。さら

ヌマスゲ

ホソバワタスゲ

ワタスゲ

ムラサキミズゴケ

スギハミズゴケ

ハリミズゴケ 直径(cm) 被度

被度被度被度 直径(cm) 被度直径(cm) 被度

(b)

(a)

図 8 ケンドルミュールフィルツ.

(a):「粉砕法」によって泥炭が採掘された圃場 6S における 1988 年~1994 年の維管束植物の被度の変化.:種を撒いた方形区, 苗を植えた方形区.(b)J 地点における移植されたミズゴケの発達(○:直径(cm).●:被度(%))26)

(11)

に、20年経った時点ではこれらのミズゴケのマッ トはハリミズゴケのみから成り、稀にミズゴケ属 ハリミズゴケ節のサンカクミズゴケ、コサンカク ミズゴケも混じっていた。泥炭を生成する、高層 湿原の典型的な種はまだハリミズゴケのマットに 侵入しておらず、未だ泥炭の堆積や高層湿原群落 の発達は始まっていない。この結果から、泥炭採 掘後に泥炭裸地が残る採掘手法の場合には、元来 の泥炭を生成する高層湿原植生の自発的な発達は 不可能であるという

Poschlod

ほかの仮説が検証 されたといえる。これについてはドイツの南部だ けでなく、他の国でも同じような結果が得られて いる。

Price et al.

48)は、「粉砕法」によって粉砕された 泥炭が真空ハーベスターによって採取された場 合、ミズゴケ類の再定着に適した場所は存在しな いと述べた。そしてその理由として、毛管現象に よる急激な乾燥が、地表面への水分供給を断ち、

また泥炭採掘が広範にわたるため、ミズゴケの胞 子が散布される可能性が低いことによると報告し た。しかし、「粉砕法」で採掘が行われた跡地にお いて自発的植生回復が成功しないことには、さら に多くの要因が影響していると思われる。例え ば、胞子散布の他にミズゴケ類の発芽・定着や成 長の阻害も重要な要因である49),50)と考えられる。

胞子の散布や胞子からの定着はこれまで観察され たことがない。アルプスの麓の丘陵地に位置する 湿原において、泥炭層の大部分を占めるムラサキ ミズゴケなどはめったに胞子をつくらないことが 知られている15)。一方、ミズゴケは植物体の断片 が散布されることで32)、新しい植物体をつくるこ とができる51),52)。しかし、泥炭を生成するミズゴ ケ類をある程度大きなパッチにまで再生させるこ とは、冠水していない立地にコケを積極的に導入 した時にのみ成功した26)

「切り取り法」による泥炭の採掘跡地において、

泥炭を生成する植生の自発的再生に貢献する要因

については、Poschlod 1)が整理している(表 3)。

最も重要な点は表層の保存である。表層には、根 や地下茎など、クローン成長できる植物の断片 や種子・胞子が含まれており、ミカヅキグサ、ミ ズゴケ類など泥炭を生成する種の貴重な供給源と なる。したがって、ミズゴケ類が回復できるよう に、表層を湿った状態で保存することが重要であ る15),33),53)。また、生きている植物を含む表層は

「粉砕法」による泥炭採掘跡地の表層より発芽・定 着に適した環境(マイクロサイト)である可能性が あり54),55)、維管束植物の発芽・定着の成功、種子 の大きさや植物の成長はその環境に依存する56)4.2 自然再生のための管理処置

ウルツァッハリートにおける研究事例から明ら かになったように、泥炭を生成する植生の再生は 水位を上昇させることだけでは、短期的にも中期 的にも必ずしも望めない。しかし、局所的には、

自然再生のための管理処置を採る前に、自発的遷 移によって元の植生が回復することもある。泥炭 採掘跡地は、泥炭が採掘されることのなかった比 較的高い場所や、深さ

4 m

以上も採掘された場 所があったり、非常に不均一な表面地形である ため(図 7)、水位を上昇させると広域的に冠水す ることは避けられない。Rochefort

et al.

57)が示し たように、ミズゴケの成長を促進させるためには 冠水期間がなるべく短く、水深が浅い方が望ま しい。しかし、Schouwenaars58)

Beets

59)による と、ウルツァッハリートで観察されたような浮島 形成によって、泥炭を生成する植生が定着するこ とがある。このように定着する種の多くは低層湿 原の種である。ワタスゲやイボミズゴケのような 高層湿原または中間湿原の種も、この浮島におい て優占度が高まる場合がある59)

「粉砕法」による泥炭採掘跡地では植生の回復が 遅いので、回復促進のために種蒔きや苗を植える こと、ミズゴケの無性散布体の再導入およびミズ ゴケの小さなマットの移植などが進められた25)

表 3 自然再生の観点から見た二つの泥炭採掘手法の比較-「切り取り法」と「粉砕法」.

切り取り法 粉砕法

植生と泥炭表層は保存され,(根・地下茎その他植物体

(の断片)),種子,胞子,植生芽など植生回復のポテンシ ャル維持.

植生と泥炭表層は破壊.

採掘は垂直に早く進み(1年間で約1.5~3 m),採掘地の面

積は狭い. 採掘は非常に広い面積で行われ,垂直に緩慢に進行(1年間

で約6~8 cm).

採掘地は1年間で放棄され,周辺からの成長や種子・胞子

の散布による植生回復が可能. 広い採掘地は数十年間利用され,周辺の植生は変化し,植 生回復の可能性は低下.

水位が高くても採掘は可能.自然再生のための水文環境

の管理は多くの場合不要. 採掘は乾燥した条件でのみ可能.自然再生のために水文環 境の管理(侵食を抑えるための圃場の整備を含む)など非常 に手間を要する.

(12)

上記のように、種子を蒔くことは成功しなかった が、苗を植えることは、特に長い地下茎を伸ば すクローン植物の場合には成功することがある

図 826),27)

しかし、これらの自然再生のための植物の導入 と同時に排水溝の堰上げ、堤防建設、地表面再 構築など水文学的条件上、適切な管理が不可欠で ある48),60)。ケンドルミュールフィルツの場合、

水文学的条件の管理が厳密に計画されていたの にもかかわらず、表面地形の設計ミスによって 地下水が湧き出た為、細かい泥炭断片が堆積し た圃場があった。このような圃場にはヨシやガマ

Typha latifolia

)が侵入したが、ヌマスゲが定着 することもあった。しかし、採掘跡地の大部分に おいてはワタスゲやホソバワタスゲなどが定着し た。これらの種はヌマスゲとともに導入後短期間 で泥炭裸地を覆うため、植生の再生に最も適した 種である。また、ミズゴケのマットを移植しても 定着・拡大できない場合には、大半が移植後枯死 するか、枯死しなくても成長量が非常に小さかっ た26),27)。従って、ミズゴケのマットの移植による 自然再生は、特別な条件下でのみ応用可能な手法 であると思われる。Rochefort et al.61)は、別の手 法を用いて自然の湿原でミズゴケを採取し、その 断片を薄く泥炭裸地に撒いた。その後ミズゴケの 断片に藁のマルチを被せ、リンを含む肥料を撒い た。3年後、ミズゴケは広域的に定着したが被度 は低かった。このようにミズゴケを回復させる試 みは成功し始めているが、泥炭裸地におけるミズ ゴケ層の再生は未だに大きな課題である(http:

//www.piano.or.jp/report/index.html)。

4.3 結論

泥炭採掘手法は採掘終了後の自発的植生発達 の方向性を決める。本研究においては、「切り取 り法」による採掘がなされたところと「粉砕法」

による採掘跡地における植生回復を比較した。し かし、両半球の温帯地域においては他にも多数の 採掘手法が適用されている。自発的植生回復の成 功に必要な条件を理解するためには、今後の研究 においては全ての採掘手法の比較が求められる。

そして、自然再生においては原生的な湿原ではな く、「はじめに」で述べたような湿原が果たす機 能の一部の再生を目的にすることが現実的かもし れない。例えば、Vasander

et al.

31)は再生処置を 取ってから数年のうちに採掘跡地は原生の湿原に 近い状態に戻ると報告しているが、これは炭素 シンクとしての機能のみの回復を意味している。

「粉砕法」による採掘跡地の水位を地表面付近で 安定させると、自然の湿原微地形の相対的に低

いところ(ホロー)に生育する多くの種類、例え ばモウセンゴケ類(

Drosera spp.)やヤチスギラン

Lycopodiella inundata

)などドイツのレッドデー タブック掲載種62)の生育地となり得る。

今後、『湿地・泥炭地の賢明な利用』3)という本 が再発行される際には、上記の点を含むべきであ る。というのも、この本は湿原の適切な利用に関 する枠組みを提案するはずでありながら、利用後 の自然が再生可能であるかどうかなど、湿原の保 全に関する考察がほとんど含まれていないからで ある。

自然環境の保全においては、生態系の再生が可 能であるかどうかは最重要点の一つである63)。本 来、生態系を利用する前に、その生態系を利用す ることにより悪化した場合、回復または再生可能 であるかどうかを確認すべきである。しかし、湿 原を利用する際には、しばしばこのような考察な しに、湿原生態系に悪影響のあるような、または 生態系の破壊に繋がるような利用がなされがちで ある。このことは、生態系利用の根本的なジレン マを反映している。生物多様性条約の「生態系ア プローチの理念」によると、(5)「生態系サービス を維持するために、生態系の構造と機能を保全 すべきである」、(6)「生態系はその生態系が機能 できる範囲内で利用すべきである」、とある。し かし、湿原の利用においては、この二つの原則 はほとんど守られてこなかったといえる。また、

原則(11)は、「生態系アプローチにおいては科学 的および伝統的地元の知見・実践など全ての関連 情報を考慮すべきである」とあるが、高層湿原の 再生に関してはまだこのような情報や知見がない ので、この原則を応用することができない。ま た、もし情報があったとしても、それは包括的に 整理・評価されていない。このこともまた、現在 の学問の根本的な問題を反映していると考えられ る。加えて、学術研究のため研究費を配分する機 関もこのような応用的研究分野に関するレビュー や教科書などの発行について十分な支援をしてい ないと思われる。

もう一つ考慮しなければならないのは、湿原や 泥炭地はそれぞれ独特の性質を持ち、ある一つの 湿原で得られた知見は必ずしも別の湿原にあては まるとは限らないということである。湿原のタイ プが異なる場合や、湿原の地理的位置が遠く離れ ている場合には当然さまざまな条件が異なるが、

同じ地方に位置し、同様のタイプに属している場 合でさえ、他の湿原で得られた知見があてはま らないことがある。Price

et al.

48)は泥炭採掘跡地 について、「各湿原において特有の課題があるた

(13)

め、標準的な管理手法を推奨することは不可能で ある」と述べている。従って、泥炭採掘技術、長 期的モニタリング調査、自発的・人為的に制御さ れた植生回復、自然再生の管理処置などに関する データベースを構築することは、再生事業の目標 が採掘後の湿原機能の再生であるとした場合、泥 炭採掘の適切な手法を選択するのに役立つ。し かし、泥炭地の自然再生に関わっている人は誰で も、理論的な(科学的な)考察の結果は、実際に現 場で応用するには適さないことがあることを理解 しているだろう。ウルツァッハリート、ケンドル ミュールフィルツにおける研究事例から明らかに なったように、これは特に水文学的管理処置の場 合に該当する。

最後に、ミズゴケ泥炭を代替する製品の開発の ため努力が必要である64)。また、ミズゴケを再生 可能な自然資源として、泥炭採掘跡地または泥炭 地でないところでも栽培する技術の発展も目指す すべきである65)-67)

謝辞

バイエルン州、バーデン・ヴュルテンベルグ 州、そして全てのこの研究に関わっていた機関に 感謝している。20年以上前に初めて湿地再生に関 する研究を開始したミュンヘン工科大学のプファ ーデンハウアー教授に厚くお礼を申し上げたい。

バッドウルツァッハの自然保護センターはウルツ ァッハリートの再沼沢化のための管理が開始され てから、モニタリング調査が継続されるように活 動して下さっている。最後に、英文を校正してく れたカトリーン・ビューレビュル氏に感謝した い。

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Entstehung, Kulturgeschichte und Gedanken zur

表 2 ウルツァッハリートの泥炭採掘跡地において水位を上昇させた後,優占度が有意に変化し泥炭を生成する 可能性のある植物種. (指標種:第 1 グループ:泥炭を生成する高層湿原の種,第 2 グループ:泥炭を生成する低層湿原の種,第 3 グループ:比 較的に乾燥した立地または人為的な影響によって悪化した場所に出現する種).生育地:PR:泥炭採掘地の間の泥炭が採掘 されなかった相対的に高い「尾根」,PCA:泥炭採掘跡地.Mann-WhitneyU 検定の結果(p&lt;0.05):有意な増加↑,有意な減 少↓,

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